
ジャンプ原作ゲームの原点!ファミコン版『神龍の謎』徹底レビュー【第1回】
『ドラゴンボール 神龍の謎』――それは、週刊少年ジャンプ黄金期の看板漫画を、ファミコンの世界に初めて本格的に“召喚”した意欲作。アニメもゲームも手探りだった1986年、鳥山明作品の魅力をどう再現するか、まだ誰も正解を知らなかった時代。
この連載「漫画/アニメ原作ゲーム大全」では、数多くの原作付きレトロゲームを取り上げつつ、原作との違いや独自の試み、ファン目線での評価まで深掘りしていきます。
記念すべき第1回は、すべてのジャンプ原作ゲームの原点とも言えるこの作品をピックアップ!
📘 作品概要・基本情報

『ドラゴンボール 神龍の謎』は、1986年11月27日にバンダイからファミリーコンピュータ用ソフトとして発売されたアクションゲームです。週刊少年ジャンプで大人気連載中だった鳥山明原作の漫画『ドラゴンボール』を原作とした、シリーズ初のゲーム化作品として知られています。開発はトーセが担当。
ゲームはアクションとアドベンチャーを組み合わせたような内容で、悟空を操作してドラゴンボールを集める旅を追体験していきます。プレイヤーはステージクリア型のサイドビューアクションと、マップ探索・会話によるイベント進行という2つのゲーム性を行き来しながら進行。漫画の序盤(ブルマと出会う)から、レッドリボン軍編までのエピソードがベースとなっています。
当時のファンにとっては、「漫画の世界を自分で動かせる」という点が衝撃的であり、記憶に残るタイトルとして語られることも多い作品です。反面、ゲーム難度の高さや理不尽な展開でも知られ、今なお「ジャンプ原作ゲームあるある」の代表例として名前が挙がることもあります。
🧩 原作との違いと再構成されたストーリー

『ドラゴンボール 神龍の謎』は、原作の序盤──ピラフ編から第22回天下一武道会までをベースにしたアクションRPG風の作品ですが、その物語構成には多くの再構成や大胆な省略が見られます。
最大の特徴は、物語の流れがかなり独自に編集されている点。例えば、原作ではかなり重要な存在であるレッドリボン軍が一切登場せず、代わりにピラフ一味との対決が物語全体にわたって展開されます。時系列も飛び飛びで、「最初から悟空が成長した姿で登場する」といった原作未読者にはやや混乱する構成になっています。
また、悟空がいきなり筋斗雲に乗っていたり、カリン塔の描写がまるでダンジョンのように扱われていたりと、ストーリーよりもゲームの展開重視なアレンジが強く見られます。アニメ的な演出や丁寧なセリフ描写は控えめで、テキスト量は最小限。むしろ「悟空が次のステージへ進むための動機づけ」としてストーリーが使われている印象です。
この大胆な構成は、当時のファミコンゲームの容量制限や、アクション重視の設計方針からくるものとも考えられます。とはいえ、原作ファンから見ると「あの名場面がない!」「あれ?順番が違う…」といった違和感を覚えることも少なくありませんでした。
🎮 原作にないゲームオリジナル要素・キャラ

ファミコン版『ドラゴンボール 神龍の謎』には、原作に登場しないゲームオリジナルの要素やキャラクターがいくつか登場します。これはアクションRPGとして物語を成立させるためのアレンジであり、開発チームの創意工夫が随所に感じられるポイントです。
たとえば、最終ステージ「コンペイ塔」に出現する謎のロボット型ボスや、ゲーム中盤で唐突に登場する「MB軍」なる組織とその将軍など、原作には存在しないエピソードや敵キャラクターがいくつか配置されています。MB軍の将軍については、鳥山明氏の絵に似せたデザインとも言われ、独特な存在感を放っています。
また、敵キャラの中には、名前や設定こそ明示されていないものの、どこか原作キャラを彷彿とさせる姿をした雑魚キャラも登場し、「このデザインは誰に似せたんだろう?」とプレイヤーの想像をかき立てます。
なお、一部で語られていた「最終ボスが謎のバケモノ」といった情報は誤りで、実際にはそういった存在は登場せず、コンペイ塔の中で敵を倒しながら進んでいく構成となっています。
このように、原作とは異なる展開やキャラを追加しながらも、ドラゴンボールの世界観から逸脱しすぎないギリギリのラインでゲーム性を保っていたのが、本作の特徴といえるでしょう。
💬 原作ファンの満足度と当時の声

1986年に登場した『ドラゴンボール 神龍の謎』は、原作漫画の世界を自分で操作できる喜びがあった一方、「難しすぎて挫折した」という声も多かったようです。
“一生懸命頑張って初戦を勝利で飾った私でしたが、何故かブルマさんが捕まってしまいました”
“…相当頑張ったにもかかわらず、結局全クリできなかったゲームのひとつ。”ウィキペディア+13Studio POPPO+13アメーバブログ(アメブロ)+13
また、難易度が非常に高く、理不尽な設計に対する評価も目立ちます:
“常に減り続ける体力を気にしながらプレイするので当時の小学生には高難易度。そして体力回復の肉、そしてケーキ、特にケーキが出ないとクリアは難しい。”小田切ロロの日々の葛藤を赤裸々に告白3+2主にレトロゲーマーブログ+2
なお、全体として「原作世界の雰囲気は伝わっている」「アクション部分の基本は悪くない」との肯定的な評価も併記されており、“原作ファン向けには懐かしさで語られるが、ゲームとしては玄人向け”という印象が浮かび上がりました:
“原作通りの範囲だと空気感は出せている。アクション操作自体はシンプル。”さくひんDB
“レトロゲームとしての醍醐味を年を追うごとに感じさせてくれる作品だ。”主にレトロゲーマーブログ
このように、原作ファンにとっては「世界を動かせる喜び」がありつつも、「攻略の難しさが至るところにある」ため、“思い出補正込みで語られるタイプの熱量ある作品”とまとめるのが妥当です。
📺 ジャンプ原作ゲームとしての歴史的位置づけ

『ドラゴンボール 神龍の謎』(1986年11月27日発売)は、“ジャンプ原作ゲームの歴史”において、極めて重要な第一歩とされる作品です。
当時、週刊少年ジャンプの人気漫画をゲーム化する流れはまだ本格化しておらず、ファミコンでリリースされたジャンプ漫画のゲームは『キン肉マン マッスルタッグマッチ』(1985年)に続く2本目。そして「ドラゴンボール」という国民的作品の初ゲーム化として、本作は大きな注目を集めました。
また、この『神龍の謎』はバンダイが発売を担当し、その後のジャンプ×バンダイの蜜月関係を築く上でも非常に重要なターニングポイントとなっています。のちに『北斗の拳』『聖闘士星矢』『ドラゴンボールZ』シリーズなど、数多くのジャンプタイトルがゲーム化されていく中で、“このタイトルが礎になった”といっても過言ではありません。
本作のリリース以降、ジャンプ原作ゲームはファミコン、スーパーファミコン、そしてプレイステーション時代へと受け継がれ、『ジャンプスーパースターズ』や『ジャンプフォース』といったクロスオーバー作品に発展していきます。
つまり『神龍の謎』は、ジャンプゲームの原点であり、“ゲームメディアにおけるジャンプコンテンツの可能性”を初めて提示した先駆けとして、その歴史的価値はきわめて大きいのです。
🧾 まとめ:ファミコンとジャンプ、伝説の始まり

『ドラゴンボール 神龍の謎』は、ファミコン黎明期の技術と、ジャンプ黄金期の勢いが交差した“記念碑的な作品”です。
ゲームとしての完成度には賛否があり、操作性や理不尽な難易度に苦しめられたプレイヤーも少なくありません。しかし、ドラゴンボールという巨大な原作コンテンツを、当時のハード性能でどう表現するかに挑んだ意欲作でもありました。
そしてこの作品は、のちのジャンプゲーム文化の礎となり、以降続く「ドラゴンボールゲームシリーズ」の第一作として、確かに歴史にその名を刻んでいます。
今改めて振り返れば、その未完成さすら“パワー”に見えてくる。
『神龍の謎』は、ジャンプとファミコンが手を組んだ最初の冒険譚。
すべてはここから始まったのです。
ゲーム序盤のヤムチャ、正直ラスボスより強い説…あると思います!
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