- 『ファイナルファンタジー レゾナンス』レビュー|戦闘・育成と購入価値
- 忖度なし総合評価|82点/100点
- どんなゲーム?FFBEの1stシーズンを家庭用RPGとして再構築
- ブレイク中心のコマンドバトルは、なぜ面白いのか
- オートバトルがないことは、やはり気になる
- ビジョン育成は本作最大の強み|『FFV』のジョブシステムに通じる面白さ
- ストーリーは王道ファンタジー|人物の魅力はあるが、意外性では弱い
- 飛空艇で広がる世界|探索の楽しさは昔ながらのFFに近い
- HD-2Dとシネマティックピクセル|ドットの進化は見事
- 快適性はどう?便利な機能はあるが、育成周回が課題
- Nintendo Switch 2版と旧Switch版の違い
- クリアまでのボリュームと7,678円の購入価値
- 『ファイナルファンタジー レゾナンス』がおすすめの人・向いていない人
- 読者アンケート|『FFレゾナンス』をどう評価する?
- 総評|82点。戦い方を考え、育てるRPGとして買う価値はある
『ファイナルファンタジー レゾナンス』レビュー|戦闘・育成と購入価値

『ファイナルファンタジー レゾナンス』で特に注目したいのは、敵の弱点を突いてブレイクし、育てたアビリティを組み合わせて強敵を攻略するコマンドバトルだ。
近年の『FF』本編がアクション寄りの戦闘を採用するなか、本作はターン制へ戻ってきた。敵味方の行動順を見ながらコマンドを選び、ビジョンと呼ばれる歴代FFキャラクターの力を借りて戦う。『FFV』のジョブ育成が好きだった人なら、気になる仕組みだろう。
実際、ビジョンを育ててアビリティを習得し、別のビジョンと組み合わせる育成システムは奥深い。飛空艇で世界を巡り、隠された強敵や装備を探す楽しさもある。昔ながらのRPGに求められる要素を、かなり充実させた作品だ。
ただし、戦闘の仕組みが優れているからといって、あらゆる戦闘が面白いわけではない。オートバトルが存在せず、育成のために同じ敵と繰り返し戦う場面でも手動操作が必要になる。高難度ではブレイクを狙う過程が長引き、戦略性より戦闘時間の長さが気になることもある。
物語、探索、映像、快適性まで含めて、通常版7,678円(税込)に見合う内容なのか。単に昔の『FF』が好きという理由ではなく、一作品のRPGとして評価していこう。
忖度なし総合評価|82点/100点
総合評価:82点/100点 評価ランク:A
| 評価項目 | 得点/配点 | 講評 |
|---|---|---|
| 戦闘の面白さ | 21/25 | ブレイクと行動順の駆け引きが優秀。高難度の長期戦と定型化が惜しい |
| 育成・カスタマイズ | 18/20 | ビジョンとアビリティの組み合わせが豊富。育成周回の負担が弱点 |
| ストーリー・キャラクター | 11/15 | 王道ファンタジーとして楽しめるが、人物描写や展開には既視感もある |
| 探索・ダンジョン | 9/12 | 飛空艇による世界探索が魅力。ダンジョン構造には物足りなさが残る |
| グラフィック・音楽 | 11/12 | HD-2Dと音楽は高水準。一部の3D演出には質感の違いがある |
| 操作性・快適性 | 6/9 | 倍速や難易度変更は便利。手動戦闘とビジョン管理の負担が残る |
| ボリューム・価格 | 6/7 | 本編と寄り道、強敵、育成要素が充実。遊び方によって満足度に差が出る |
| 総合評価 | 82/100 | 戦闘と育成が際立つ一方、繰り返し遊ぶ際の快適性に課題を残す良作RPG |
評価を押し上げたのは戦闘と育成だ。敵のブレイクを狙う戦術とビジョンによる能力の組み合わせが噛み合っており、キャラクターを強化した成果が次の戦闘で生きてくる。
ただ、育成が進めば進むほど面白くなる一方で、同じ戦闘を繰り返す手間も増えていく。この長所と短所が表裏一体になっている点が、満点には届かない最大の理由だ。
物語やダンジョン探索も水準以上には仕上がっているが、戦闘・育成ほどの強い個性はない。総合82点は、コマンドバトル好きには積極的にすすめられる一方、物語を最優先する人には少し慎重になりたい評価である。
どんなゲーム?FFBEの1stシーズンを家庭用RPGとして再構築
| 正式名称 | FINAL FANTASY RESONANCE |
|---|---|
| 発売日 | 2026年10月22日(Steam版は10月23日) |
| 対応機種 | Nintendo Switch 2/Nintendo Switch/PS5/Xbox Series X|S/Windows/Steam |
| 通常版価格 | 希望小売価格7,678円(税込) |
| 発売元 | スクウェア・エニックス |
| 開発 | 有限会社ランカース |
| ジャンル | RPG |
| プレイ人数 | 1人 |
| CERO | C(15歳以上対象) |
本作の原点は、スマートフォン向けRPG『FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS(FFBE)』の1stシーズンにある。
主人公レインとラスウェル、記憶を失った少女フィーナ、クリスタルを巡る物語などを引き継ぎながら、戦闘、育成、映像表現、探索を大きく作り直した買い切り型RPGだ。元のスマートフォン版をそのまま移植した作品でも、FFBEの全シーズンを収録した完全版でもない。
FFBEで採用されていたガチャによるキャラクター入手は、本作には引き継がれていない。歴代FFキャラクターの力を得るビジョンも、ストーリーやイベント、各地の探索を通じて手に入れる方式へ変更された。
元がスマートフォン向け作品だったと聞くと、ゲームの規模や作りに不安を覚える人もいるだろう。しかし、ワールドマップを歩き、飛空艇で世界を巡り、町やダンジョンを攻略して強敵へ挑む基本構造は、家庭用RPGとして整えられている。
FFBEとの詳しい関係やガチャ、体験版については、既存記事『FINAL FANTASY RESONANCE』はどんなFF?FFBEとの関係・ガチャ・体験版とTGS試遊を整理で解説している。
ブレイク中心のコマンドバトルは、なぜ面白いのか
戦闘の基本はターン制のコマンドバトル。画面上部には敵味方の行動順を示すタイムラインが表示され、次に誰が行動するかを見ながら攻撃や回復、補助を選ぶ。
ここで重要になるのが、敵のHPとは別に用意されたブレイクゲージだ。
ゲージをすべて削った敵は、そのターンの間、行動できなくなり、防御力も下がる。弱点属性で攻撃すればゲージを効率よく減らせるため、相手の弱点を把握することが戦闘の基本になる。
面白いのは、ブレイクの目的がダメージを増やすことだけに限らないところだ。
例えば複数の敵がいて、次に行動する敵が強力な攻撃を準備している場合。HPの少ない敵から倒すより、その敵のブレイクゲージを優先して削った方が安全に戦えることがある。反対に、弱点攻撃へMPを使いすぎれば、その後の攻撃や回復に支障が出る。
倒す順番だけでなく、敵の行動を止める順番まで考える必要がある。昔ながらのコマンド選択に、もう一段階の判断が加わっている。
フルブレイクで戦況が一気に変わる
ブレイクした敵が1体だけなら、その敵の行動を封じることが主な利点になる。ところが敵全員をブレイクすると、「フルブレイク」が成立する。
フルブレイク時には、ターンの最後に発生する「エクストラフェーズ」でパーティー全員が追加行動できる。さらに、その最後にはビジョン固有の必殺技「レゾナンス」を発動可能だ。
敵が複数いる戦闘では、この仕組みが攻撃対象の選択に影響する。1体に攻撃を集中させれば早く倒せるかもしれない。しかし、残りの敵にも攻撃を振り分けて全員をブレイクできれば、追加行動とレゾナンスによって一気に攻勢へ移れる。
もちろん、全員をブレイクできずにターンを終えれば、狙いどおりの追加行動は得られない。強引にフルブレイクを狙って敵を倒し損ねるより、危険な相手だけを確実に止める方がよい場面もあるだろう。
フルブレイクが成立した際に使えるレゾナンスは、1回につき1つ。全体攻撃や追加効果を持つ技など種類があるため、どのビジョンの技を使うかも編成段階から考えておきたい。
ここに、戦闘を組み立てる楽しさがある。単に弱点属性の攻撃を連発するのではなく、敵の数や行動順、現在のパーティー構成に合わせて攻め方を変えられる。
リミットバーストと幻獣も戦術の幅を広げる
レゾナンス以外にも、仲間固有の「リミットバースト」が存在する。敵をブレイクしたり、攻撃を受けたりするとリミットゲージが溜まり、ゲージを消費して強力な技を繰り出せる。攻撃系だけでなく、味方を支援する技も用意されている。
幻獣も重要な戦力だ。召喚すると3ターンの間、戦闘に参加し、最後には強力な技を放つ。消費MPが大きいので気軽に連発するものではないが、強敵との戦闘では大きな助けになる。
敵のブレイクを狙うためにMPを残すか、幻獣を召喚して攻勢へ出るか。あるいは補助効果を優先して長期戦に備えるか。使える手段が増えるほど、パーティーの役割分担にも意味が出てくる。
弱点が分かってからの戦闘には、単調さもある
ブレイクの仕組み自体はよくできている。ただし、敵の弱点と有効な攻撃手順が分かってしまえば、毎回新しい戦術を考えられるわけではない。
雑魚戦では、同じ属性攻撃でゲージを削り、追加行動で倒す流れが繰り返されやすい。敵の種類が変わっても、戦闘の基本的な進め方が大きく変わらない場面では、戦略性より作業感が強くなる。
ボス戦では事情が異なる。厄介な攻撃を防ぐためにブレイクのタイミングを調整し、回復や補助を挟みながら攻める必要がある。敵の攻撃が激しくなるほど、行動順を読める利点も大きくなる。
しかしエキスパート難易度などでは、ブレイクゲージを削るまでに時間がかかり、同じ手順を何度も繰り返す長期戦になりやすい。相手の攻撃を見極める緊張感はあっても、効率のよい攻略法が固まった後は、戦闘時間の長さが負担になる場合がある。
難しい敵と戦うこと自体は歓迎したい。けれども、その難しさが新しい判断を要求するものなのか、単純に多くのターンを必要とするものなのかで、面白さはかなり変わってくる。
この点で、戦闘にはまだ改善の余地がある。序盤から中盤にかけての戦術の広がりは優秀だが、終盤まで新鮮さを保てるかという点では、やや惜しい。
オートバトルがないことは、やはり気になる
本作にはオートバトルが用意されていない。
これは開発側の意図的な判断で、当初存在していた戦闘のリピート機能も、プレイヤーがビルドやコマンドを考える楽しさを優先して外されている。
強敵と戦う場面なら、その考え方にも納得できる。敵の行動順を見ながら攻撃を調整し、仲間の能力を使い分ける戦闘は、自分でコマンドを選ぶことに意味がある。
問題は、ビジョンのマスタリーを育てるための反復戦闘だ。
特定の能力を覚えるために何度も戦う際、相手が十分に弱くなっていても、攻撃対象や使用するコマンドを毎回指定する必要がある。戦闘速度を上げれば演出の待ち時間は短くなるが、入力の手間そのものはなくならない。
強敵との戦闘で必要な慎重さを、育成のための雑魚戦にまで求める必要があったのか。ここは疑問が残る。
特にビジョン育成は本作の中心的な遊びであり、繰り返し戦闘する機会が少なくない。それだけに、オートバトルを採用しなかった影響は小さくない。
すべての戦闘を自動で済ませたいわけではない。手動でじっくり戦いたい相手と、効率よく育成したい相手で、操作の負担を選べる仕組みがあれば、さらに遊びやすかったはずだ。
ビジョン育成は本作最大の強み|『FFV』のジョブシステムに通じる面白さ
『ファイナルファンタジー レゾナンス』で、戦闘と並んで高く評価したいのがビジョンの育成システムだ。
ビジョンは、歴代『FF』の主人公やFFBEの登場人物たちの想いが結晶化した力。レインたちに装備させることで、能力補正やアビリティなどの恩恵を受けられる。
装備できるビジョンは1人につき1つ。戦闘を重ねてマスタリーを上げると、新しいアビリティを習得していく。ここまでは一般的な成長システムに見えるが、面白いのはその先だ。
一度習得したアビリティは、別のビジョンを装備しても使える。
つまり、現在装備しているビジョンの能力に、以前育てたビジョンのアビリティを組み合わせられる。装着にはコスト制限があるものの、複数のビジョンを育てた成果が無駄になりにくい。
これは『FFV』のジョブシステムを好きだった人には、かなり魅力的な仕組みだろう。現在の役割を強化するだけでなく、別の役割で覚えた能力を持ち込むことによって、思わぬ組み合わせが生まれる。
物理アタッカーにティナのビジョンを育てさせる意味
ビジョン育成の特徴がよく分かるのが、魔法を得意とするティナのビジョンを、物理攻撃役に装備させるような育成方法だ。
ティナのビジョンからは、ダメージ上限を突破するためのアビリティを習得できる。魔法系のビジョンであっても、その習得能力は物理アタッカーにとって重要な意味を持つ。
目当てのアビリティを習得するまで、一時的に普段とは異なるビジョンを装備する。覚え終わったら別のビジョンへ切り替え、習得した能力を組み込む。これによって、物理攻撃役としての性能をさらに伸ばせる。
目先の能力補正だけでビジョンを選んでいては、こうした育成の価値を見落としやすい。どのアビリティが将来必要になるかを考え、完成させたいビルドから逆算して育てることができる。
一方、この方法には手間もある。必要な能力を習得するまで、戦闘中の役割と合わないビジョンを装備することになり、パーティーの強さや使いやすさが一時的に落ちる場合がある。
それでも、育成が終わった後に構成の幅が広がるのは魅力的だ。ビジョンを集めること自体が目的なのではなく、集めた能力をどう使うかが問われる仕組みになっている。
マスタリーだけでなく、魔石による覚醒も重要
ビジョンには、戦闘を重ねるマスタリー育成とは別に「魔石」による覚醒が用意されている。
魔石はダンジョンの宝箱や特定のモンスターの討伐などで手に入り、ビジョンを最大3段階まで覚醒させられる。覚醒によって、さらに強力なアビリティや上位の技、魔法などが使用可能になる。
ただし、魔石の数は限られている。強いビジョンを手に入れたからといって、片っ端から最大覚醒させることはできない。
ここで悩ましいのが、どのビジョンへ優先的に魔石を使うかという判断だ。
現在のパーティーに不足している能力を補うのか、主力アタッカーの長所を伸ばすのか。それとも、まだ倒せない強敵を見据えて別のビジョンを強化するのか。覚醒させる順番によって、その後の攻略も変わってくる。
お気に入りの歴代FFキャラクターを育てたいという気持ちと、攻略に必要な能力を優先したいという判断がぶつかることもあるだろう。
自由に育てられる一方、限られた資源を使う以上は計画性も必要。こうした判断の積み重ねが、ビジョン育成に奥行きを与えている。
強いビジョンに偏りやすい問題もある
育成の自由度が高いとはいえ、実戦で使いやすいビジョンとそうでないビジョンには差がある。
特に高難度の強敵を相手にすると、ダメージ効率や防御面の安定性を重視する必要があり、一部の強力なアビリティが優先されやすい。
好きな能力を自由に組み合わせられても、強敵に勝つためには効率的な構成が求められる。その結果、実用的なビルドがある程度固定されてしまう場面もある。
とはいえ、ビジョンの種類が多く、習得した能力を別の構成へ持ち込める仕組みは優秀だ。戦闘に勝てない時に、単純なレベル上げ以外の改善策を考えられることが大きい。
育成周回に時間がかかることは欠点だが、アビリティを習得するほど編成の選択肢が増えていく魅力は、それを上回っている。育成18点という高評価は、この仕組みそのものの完成度に対するものだ。
ストーリーは王道ファンタジー|人物の魅力はあるが、意外性では弱い
物語は、グランシェルト王国の騎士レインとラスウェルが、王国を守る土のクリスタルに起きた異変を調査するところから大きく動き始める。
飛空艇部隊の隊長であるレインと副隊長ラスウェルは、土の神殿で圧倒的な力を持つ鎧の男と遭遇。クリスタルを破壊され、王国も襲撃を受ける。そこから2人は、記憶を失った少女フィーナとともに、残されたクリスタルを守る旅へ出る。
主人公のレインは明るく真っすぐで、正義感の強い人物。対するラスウェルは生真面目で慎重な性格をしており、レインに振り回される場面も少なくない。
この2人は幼い頃からともに育った間柄だが、性格は対照的。行動力のあるレインと、それを支えるラスウェルの組み合わせは分かりやすく、会話にも親しみやすさがある。
フィーナも、記憶を失っているという謎を抱えながら、天真爛漫な性格で2人の旅に加わる。クリスタルや幻獣との関係など、物語を進めたくなる要素も用意されている。
常闇のヴェリアスをはじめとする敵対人物も存在感があり、クリスタルを巡る争いは次第に世界全体へ広がっていく。町を訪れ、事件を解決し、新しい仲間と出会いながら旅が続く構成は、古典的なRPGに近い。
その一方、物語の展開には既視感もある。
主人公の正義感、慎重な幼なじみ、記憶を失った少女、クリスタルを狙う謎の敵。人物の役割が理解しやすい反面、設定だけでは意外性を感じにくい。大きな出来事が起きても、その意味を人物の内面にまで掘り下げる場面には物足りなさが残る。
レインとラスウェルの関係も、2人の性格の違いは伝わるものの、その対比が常に深い人間ドラマへ結びついているわけではない。仲間たちの掛け合いは楽しいだけに、もう一歩踏み込んだ描写が欲しいところだ。
もちろん、物語の展開を理解しやすいことは長所でもある。登場人物や目的が次々と変わって話が分からなくなるタイプの作品ではなく、FFBEを知らなくても冒険についていきやすい。
ストーリーを重視する人なら十分楽しめる水準にはある。ただし、シリーズでも屈指の重厚な物語を期待すると、少し物足りない。物語に引っ張られるRPGというより、物語を進めながら戦闘と育成を楽しむRPGと考えた方が、本作の性格に合っている。
飛空艇で広がる世界|探索の楽しさは昔ながらのFFに近い
序盤の冒険は、物語の進行に合わせて行ける場所が増えていく形式だ。グランシェルト王国から各地へ向かい、町で情報を集め、ダンジョンを攻略しながら旅を続ける。
この時点では自由な探索という印象はそれほど強くないが、飛空艇を手に入れると行動範囲が大きく広がる。
これまで行けなかった地域へ向かえるようになり、飛空艇でしか到達できないダンジョンや強敵、イベントも登場する。地図を見ながら新しい場所を探し、気になる地域へ足を運ぶ楽しさが生まれる。
ここは初代『FF』から続く、シリーズらしい魅力がよく表れている部分だ。
例えば初代『ファイナルファンタジー』FC版レビューでも触れたように、飛空艇を手に入れると、それまで歩いていた世界の見え方が変わる。山や海によって隔てられていた場所が新たな目的地になり、冒険の範囲そのものが広がっていく。
本作もその感覚を受け継いでいる。各地には光の祠が存在し、訪れることで歴代FFキャラクターのビジョンを入手できる。ビジョンを集めることが、そのまま新しいアビリティや編成の可能性につながるのもいい。
探索の報酬が単なる消費アイテムだけでなく、キャラクターの成長へ結びついているため、新しい場所を探す動機が生まれやすい。まだ行っていない場所に、どんなビジョンや強敵が待っているのか。世界を巡る意味がきちんと用意されている。
ダンジョンは分かりやすい反面、仕掛けの面白さは控えめ
飛空艇で世界を巡る楽しさに対して、通常ダンジョンの構造は比較的素直だ。
複雑な謎解きを要求されにくく、迷いすぎずに先へ進めるのは長所。しかし、ダンジョンごとに大きく異なる仕掛けを期待すると、物足りなく感じる可能性がある。
隠された宝箱を探したり、寄り道した先で報酬を手に入れたりする楽しさはある。けれども、道順を考えること自体が大きな遊びになっているわけではない。
サブクエストにも同じ傾向がある。
仲間やFFBEのサブキャラクターの過去を掘り下げる新規エピソードは魅力的で、物語を補う役割もある。一方、以前訪れた場所へ戻ったり、指定されたものを集めたりする内容では、移動や戦闘の手間が目立ちやすい。
チョコボやファストトラベルなど、移動を便利にする仕組みがあることは救いだ。ランダムエンカウントも、エンカウントセンサーによって遭遇が近いことを把握できるため、ある程度は心構えを作れる。
ただ、快適な移動手段があっても、ダンジョンやサブクエストそのものの内容が豊かになるわけではない。探索の自由度と報酬は評価できるが、その道中にも、もう少し変化が欲しかった。
HD-2Dとシネマティックピクセル|ドットの進化は見事
本作は「もし『ファイナルファンタジー』がドットのまま進化していたら」というコンセプトを掲げている。
HD-2Dによって、町やフィールドには立体的な奥行きが生まれ、光や影の表現も豊かになった。キャラクターはドット絵を中心に描かれているが、カメラワークや動きによってイベントシーンにも迫力がある。
特に特徴的なのが「シネマティックピクセル」だ。3DCGをピクセル化することで、立体的な演出をドット表現へ落とし込んでいる。オープニングや重要なイベントでは、古典的なドット絵とは異なるダイナミックな映像を楽しめる。
これまでのHD-2D作品でも、ドット絵と3D背景を組み合わせた表現は採用されてきた。しかし、本作はカメラを大きく動かす演出やイベントの見せ方にも力を入れており、キャラクターの動きを細かく描きながら場面を盛り上げている。
歴代FFキャラクターの3D演出は豪華だが、統一感には欠ける
一方、歴代FFキャラクターが使うレゾナンスの演出では、美麗な3Dグラフィックが登場する。
クラウドやティーダなど、おなじみのキャラクターが迫力ある必殺技を繰り出す姿は見応えがある。普段のドット絵とは異なる特別な演出だからこそ、レゾナンスを発動する楽しさにもつながっている。
ただし、ドット絵を中心にした世界から突然3Dキャラクターの映像へ切り替わるため、質感の違いが気になる場面もある。
レゾナンスの3D演出にはFFBE由来のCG素材も活用されており、横画面向けの調整などが行われている。映像表現を作品全体で統一するより、歴代キャラクターの見せ場を印象的に描くことを優先した形だ。
ドットと3Dの組み合わせは好みが分かれるところだが、映像全体の完成度は高い。背景、キャラクター、光の演出が組み合わされた場面には、本作ならではの魅力がある。
音楽も冒険を支える大きな魅力
音楽を担当するのはElements Garden。FFBEの楽曲に加え、新規楽曲33曲が収録されている。
戦闘を盛り上げる力強い楽曲から、町やフィールドで流れる落ち着いた音楽、物語の重要な場面を支える曲まで、場面に合わせた音作りが行われている。
シリーズおなじみの旋律も登場するが、懐かしい曲が流れることだけが魅力ではない。新しい物語と映像に合わせた楽曲が用意され、冒険の雰囲気をしっかり作り上げている。
物語の展開に古典的な部分があっても、音楽と映像によって場面の印象が強まる。HD-2Dと音楽の完成度は、本作を支える重要な長所だ。
快適性はどう?便利な機能はあるが、育成周回が課題
昔ながらのRPGを現代向けに作り直すなら、操作性や快適性も重要だ。
本作には戦闘速度の変更、難易度設定、オートセーブ、ファストトラベルなどの便利な機能が用意されている。難易度はカジュアル、ノーマル、エキスパートから選択でき、途中で変更することも可能だ。
そのため、ストーリーを進めたい時は難易度を下げ、強敵との戦闘を楽しみたい時は高難度に挑む、といった遊び方ができる。
エンカウントセンサーも、探索中の戦闘が近いことを把握できる便利な仕組みだ。突然の戦闘に戸惑う場面を減らし、ある程度の準備をして移動できる。
一方、ビジョンやアビリティの管理では、装備する能力やキャラクターの役割を何度も見直す必要がある。これは育成の楽しさにつながる反面、複数のキャラクターを育てるほどメニュー操作の手間も増えていく。
オートバトルがないことに加え、育成途中では目当てのアビリティを習得するためにビジョンを入れ替え、戦闘を重ねる必要がある。効率的に育てる手段は用意されているものの、反復作業の負担を十分に減らせているとは言いにくい。
全体として必要な便利機能は揃えている。しかし、本作ほど育成と戦闘を繰り返すゲームなら、もう少し操作の手間を軽減する工夫が欲しかった。
Nintendo Switch 2版と旧Switch版の違い
本作はNintendo Switch 2とNintendo Switchの両方で発売されている。ゲームの収録内容は基本的に同じだが、画質や動作には違いがある。
旧Switch版は30fpsを目標とした動作なのに対し、Switch 2専用版は60fpsを目標としている。解像感やロード時間にも差があり、全体としてSwitch 2専用版の方が快適に遊びやすい。
ただし、Switch 2専用版でも一部の広いフィールドや負荷の高い場面では、フレームレートの低下が生じることがある。常時60fpsで安定すると考えるべきではない。
旧Switch版をSwitch 2本体で動かした場合も、Switch 2専用版と同じ動作になるわけではない。旧Switch版は30fpsを目標とした仕様のままで、専用版ほど画質やロードが改善されるわけではない。
Switch 2パッケージ版はキーカード方式
購入前に確認しておきたいのが、Nintendo Switch 2のパッケージ版だ。
Switch 2パッケージ版はゲームキーカード方式で、初回プレイ時に本編データのダウンロードが必要になる。
ダウンロードにはインターネット接続と13GB以上の空き容量が必要。更新データなどによって、追加の空き容量が必要になる場合もある。
ダウンロード完了後は、通常のプレイ時に毎回インターネット接続を要求されるわけではない。ただし、プレイする際にはキーカードを本体に挿入しておく必要がある。
また、旧Switch版とSwitch 2専用版は別商品で、セーブデータの相互引き継ぎには対応していない。旧Switch版を購入した後、Switch 2専用版へ当然アップグレードできると考えない方がよい。
携帯モードで快適に遊びたいならSwitch 2専用版は魅力的だ。一方、ゲームデータを収録した従来型のゲームカードを重視する場合は、旧Switch版のパッケージ仕様にも購入価値がある。
クリアまでのボリュームと7,678円の購入価値
『ファイナルファンタジー レゾナンス』は、メインストーリーだけを進める場合と、寄り道や育成まで楽しむ場合でプレイ時間が大きく変わる。
本編を中心に進めても数十時間規模のボリュームがあり、飛空艇での探索やビジョン収集、サブシナリオ、強敵への挑戦まで含めると、さらに長く遊べる。
特徴的なのは、エンディング後も育成した能力を試せる相手が残っていることだ。
コロシアムでは強敵に挑戦し、階級に応じて装備やアイテムなどの報酬を獲得できる。さらに、各地に存在する「十二武具」の封印を解除し、強敵を倒すことで強力な武器や防具を入手する要素もある。
シリーズでおなじみのギルガメッシュとのイベントや、最強クラスの敵であるアルテマウェポンとの戦闘も用意されている。
こうした強敵は、ビジョン育成の価値をさらに高めている。ストーリーを進めるだけなら使わなかった能力でも、強敵の行動に合わせて編成を組み直すことで活躍する可能性がある。
特にビジョン育成が好きな人には、明確な目標があることがうれしい。強い敵を倒すために能力を習得し、編成を試し、さらに難しい相手へ挑む。エンディングを迎えた後もゲームを続ける理由が用意されている。
その反面、やり込み要素の多くが戦闘と育成に関係しているため、コマンドバトルに飽きてしまうと、ボリュームの多さを十分に楽しめない可能性がある。
物語を一度クリアすれば満足という人にとっては、通常版7,678円は少し高く感じられるかもしれない。反対に、アビリティの習得や強敵攻略を長く楽しめる人なら、価格に見合うだけの遊びがある。
ボリュームそのものに大きな不足はない。購入価値を左右するのは、豊富に用意された育成と戦闘を、どれだけ楽しめるかだ。
『ファイナルファンタジー レゾナンス』がおすすめの人・向いていない人
おすすめしたいのは、『FFV』のジョブシステムのように、キャラクターを育てながら能力を組み合わせることが好きな人だ。
敵の弱点を調べ、行動順を見てブレイクのタイミングを考え、難しい相手に合わせて編成を変えていく。そうした戦闘の過程を楽しめるなら、本作の強みを十分に味わえる。
また、飛空艇で世界を巡り、隠された祠や強敵を探すことが好きな人にも向いている。新しいビジョンや装備を手に入れることが次の戦闘に結びつくため、探索と育成を行き来する楽しさがある。
反対に、物語の深さや意外性を最も重視する人には、少し慎重にすすめたい。レインたちの冒険は王道で分かりやすいものの、人物描写や展開の独自性では突出していない。
育成のために同じ敵と繰り返し戦うことが苦手な人も注意が必要だ。便利な機能があっても、オートバトルがないため、育成周回では手動操作を繰り返すことになる。
購入を迷っている場合は、無料の「第1章まるごと先行体験版」を試す方法もある。製品版の第1章を遊ぶことができ、セーブデータも対応する製品版へ引き継げる。
ただし、体験版だけでは飛空艇で世界を巡る楽しさや、ビジョンが増えてからの育成の奥深さまでは十分に分からない。序盤の戦闘テンポや操作感を確認するものと考えるのがよいだろう。
読者アンケート|『FFレゾナンス』をどう評価する?
戦闘やビジョン育成が楽しかった人も、繰り返しの戦闘が気になった人も。体験版だけ遊んだ人や、これから購入を考えている人も、今の気持ちに一番近いものを選んでください。
※匿名・ログイン不要で投票できます。1つだけ選択し、投票後に集計結果が表示されます。
総評|82点。戦い方を考え、育てるRPGとして買う価値はある
『ファイナルファンタジー レゾナンス』は、近年の『FF』とは異なる方向で、シリーズの面白さを追求したRPGだ。
敵の弱点を把握してブレイクを狙い、行動順を読みながらコマンドを選ぶ。ビジョンを育てて新しいアビリティを覚えれば、さらに戦い方の幅が広がる。強敵に勝てなかった時も、装備や編成を見直すことで攻略の糸口を探せる。
この戦闘と育成の組み合わせは、本作の大きな強みだ。
ビジョンを育てるために戦い、その力を使って新しい強敵へ挑む。飛空艇で世界を巡れば、さらにビジョンや装備を手に入れる機会が生まれる。探索と育成、戦闘が互いにつながっているため、次の目標を見つけやすい。
ただし、すべてが理想的というわけではない。
オートバトルがなく、アビリティを習得するための反復戦闘にも手動操作が必要になる。高難度ではブレイクを狙う戦闘が長引き、自由なビルドも効率のよい能力へ偏りやすい。育成を深めるほど面白さが増す一方で、同じ遊びを繰り返す負担も大きくなっていく。
物語やダンジョンについても、戦闘ほどの完成度には届いていない。レインたちの冒険は親しみやすいものの、人物描写や展開の深さではもう一歩欲しかった。
それでも、ビジョン育成とブレイク戦闘の仕組みは魅力的で、長時間のRPGとして十分に楽しめる内容がある。HD-2Dの映像や音楽も高水準で、飛空艇で世界を巡る楽しさが冒険を支えている。
総合評価は82点。
物語を第一に考える人や、反復戦闘を避けたい人には必ずしも向いていない。しかし、コマンドバトルの戦略を練り、アビリティを育て、強敵を倒すことが好きなら、通常版7,678円を払う価値のある作品だ。
懐かしいから面白いのではない。自分の考えた編成が戦闘で機能し、新しい能力を覚えるたびに次の戦い方を考えられる。その楽しさこそ、本作が持つ最も大きな魅力だ。
昔ながらの『FF』が好きな人はもちろん、戦略的なコマンドバトルとキャラクター育成を求めている人にこそ、遊んでほしい一本である。