バラエティ/お笑い

『笑っていいとも!』終了から12年|次の国民的昼番組は生まれたのか?

目次
  1. 『いいとも!』終了から12年|次の国民的昼番組は生まれたのか?
  2. 『笑っていいとも!』の次の国民的昼番組は生まれたのか?
  3. 2014年3月31日、『笑っていいとも!』は32年間の歴史に幕を下ろした
  4. 『バイキング』から『ぽかぽか』へ。フジテレビ昼番組の12年間
  5. 実は『いいとも!』が終わる前から、次のお昼の顔は育っていた
  6. 2014年春、テレビ朝日でも「正午の顔」が変わっていた
  7. 『いいとも!』終了後の視聴率はどう変わった?
  8. 視聴率1位なら「国民的昼番組」と呼べるのか?
  9. 2014年から2026年、私たちのテレビの見方も変わった
  10. 2025年には新宿アルタも閉館。『いいとも!』の記憶は街にも残っていた
  11. 毎日見ていなかったのに、なくなると寂しかった
  12. 『いいとも!』の次に、同じような番組は必要だったのか?
  13. 12年経った今だからこそ分かる、『笑っていいとも!』の大きさ
  14. 読者アンケート|次の国民的昼番組は生まれた?

『いいとも!』終了から12年|次の国民的昼番組は生まれたのか?

『笑っていいとも!』終了から12年、次の国民的昼番組は生まれたのか?正午を指す時計と明るいテレビスタジオを背景に、昼番組の変化を表現したイラスト。

2014年4月1日、火曜日。

お昼の12時になっても、テレビにタモリはいませんでした。

前日まで32年間続いていた『森田一義アワー 笑っていいとも!』が、2014年3月31日に最終回を迎えたからです。

その日からフジテレビでは新番組『バイキング』が始まりました。他局でも新しい編成が動き出し、平日のお昼は少しずつ違う姿になっていきます。

あれから12年。

『バイキング』は姿を変えながら約8年間続き、『ポップUP!』を経て、現在は『ぽかぽか』が放送されています。

一方、他局には『ひるおび』『ヒルナンデス!』『徹子の部屋』といった長寿番組があります。

では、あれほど大きな存在だった『笑っていいとも!』に代わる、次の国民的昼番組は生まれたのでしょうか。

この問いに答えるには、単に視聴率や放送年数を比べるだけでは足りません。

そもそも、私たちは『笑っていいとも!』の何を特別だと思っていたのでしょうか。

今回は2014年から2026年までの番組史をたどりながら、日本のお昼のテレビがどう変わったのかを考えてみます。

『笑っていいとも!』の次の国民的昼番組は生まれたのか?

最初に結論から整理すると、『いいとも!』終了後にも、長く支持されている昼番組は存在します。ただし、『いいとも!』と同じ役割を担う国民的番組が誕生したかどうかは、簡単には決められません。

例えば、TBSの『ひるおび』は2009年に始まり、2026年10月19日には放送4,500回に到達しました。

日本テレビの『ヒルナンデス!』も2011年から15年以上放送されています。

さらに、テレビ朝日の『徹子の部屋』は2026年に放送50周年を迎えました。

これらを見れば、『いいとも!』の終了後に、昼の人気番組がなくなってしまったわけではないことが分かります。

ただし、三つの番組は、それぞれ内容が違います。

『ひるおび』はニュースや天気、『ヒルナンデス!』は生活情報やロケ企画、『徹子の部屋』はゲストとの対談が中心です。

そして『いいとも!』は、新宿アルタから毎日生放送する公開バラエティーでした。

つまり、現在もお昼の顔となる番組はありますが、必ずしも『いいとも!』の代わりを目指しているわけではありません。

むしろ、一つの番組が日本のお昼を象徴する時代から、それぞれ異なる楽しみ方を提供する番組が並ぶ時代になったという見方もできそうです。

2014年3月31日、『笑っていいとも!』は32年間の歴史に幕を下ろした

『森田一義アワー 笑っていいとも!』が始まったのは1982年10月4日。

タモリが司会を務め、原則として月曜日から金曜日の正午に放送されていました。

ゲストとのトークを楽しむ「テレフォンショッキング」、曜日ごとに異なるレギュラー陣、観客を交えたスタジオ企画。

番組は何度も内容を変えながら、32年間続きました。

最終回の2014年3月31日には、番組総放送回数8,054回を達成。タモリによる同一司会者としての出演回数8,001回とともに、ギネス世界記録に認定されています。

同日の正午の最終回は、関東地区で平均世帯視聴率16.3%を記録しました。夜には大型特別番組『笑っていいとも!グランドフィナーレ 感謝の超特大号』も放送されています。

ただ、今回注目したいのは、最終回がどれほど盛り上がったかではありません。

その翌日から、日本のお昼がどうなったのかです。

なお、『いいとも!』の終了理由や2013年のフジテレビの編成判断については、『笑っていいとも!』はなぜ終わった?32年の歴史と終了理由を検証した記事で詳しく取り上げています。

『バイキング』から『ぽかぽか』へ。フジテレビ昼番組の12年間

まず、もっとも直接的な後継番組である、フジテレビの平日昼の変遷を振り返ります。

番組放送期間主な特徴
笑っていいとも!1982年10月4日〜2014年3月31日タモリ司会の公開生バラエティー
バイキング2014年4月1日〜2020年9月25日生活情報から時事・討論中心へ変化
バイキングMORE2020年9月28日〜2022年4月1日放送時間を拡大した情報・討論番組
ポップUP!2022年4月4日〜12月23日生活・芸能情報を中心とした番組
ぽかぽか2023年1月9日〜放送中ゲストトークとスタジオ企画を中心とした生バラエティー

『いいとも!』終了後、フジテレビは最初から同じ形式を引き継いだわけではありません。

最初の後継番組『バイキング』は、むしろ「脱いいとも」だった

2014年4月1日に始まった『バイキング』は、当初、曜日ごとに異なるMCを置いた生活情報バラエティーでした。

フジテレビは後継番組の企画段階で「脱いいとも」を掲げ、一人の司会者が全曜日を担当する仕組みから距離を置こうとしていました。

しかし2015年には坂上忍が全曜日のMCを務める体制へ変わり、番組の内容も芸能ニュースや社会問題を扱う方向へと変化していきます。

その後、2020年には『バイキングMORE』へ改題。2022年4月まで続きました。

『バイキング』と『バイキングMORE』は一連の番組系統として約8年間続いたため、「いいとも終了後の番組はすべて短命だった」という説明は正確ではありません。

ただし、8年間続いたのは『いいとも!』と同じタイプの番組ではなく、独自に変化した情報・討論番組でした。

『ポップUP!』を経て、再び生バラエティーへ

2022年4月に始まった『ポップUP!』は、ニュースや討論から離れ、芸能、グルメ、美容、ファッションといった生活エンターテインメントを中心に据えました。

しかし同年12月に終了。放送期間は約9か月でした。

そして2023年1月9日、現在の『ぽかぽか』が始まります。

ハライチの岩井勇気・澤部佑と神田愛花を共通MCに据え、曜日レギュラーやゲストを迎えながら、スタジオでさまざまな企画を行う生バラエティーです。

2026年10月現在も放送中で、通常の放送時間は平日11時47分から13時50分となっています。

興味深いのは、『いいとも!』終了時に一度離れた「共通MC+曜日レギュラー+ゲストトーク+生放送」という構造が、形を変えて戻ってきていることです。

もちろん、『ぽかぽか』は『いいとも!』の復活番組ではありません。しかし、長年親しまれてきた昼の生バラエティーには、現在も受け継がれている部分があるように感じます。

実は『いいとも!』が終わる前から、次のお昼の顔は育っていた

ここで少し視点を変え、フジテレビ以外の番組を見てみましょう。

『いいとも!』が終わったあとに、新しい人気昼番組が突然登場したわけではありません。

実は、現在も続いている主要な昼番組の多くは、2014年より前から放送されていました。

番組放送開始主な内容2026年の状況
ヒルナンデス!2011年3月28日生活情報・ロケ・グルメ放送15周年
ひるおび2009年3月ニュース・天気・時事情報放送4,500回到達
ワイド!スクランブル1996年4月ニュース・社会問題大下容子を冠した番組として継続
徹子の部屋1976年2月2日著名人との対談放送50周年・13時台
ぽかぽか2023年1月9日生バラエティー・ゲストトーク放送4年目

この一覧から分かるのは、『いいとも!』の後継者を一つの番組に求めるだけでは、現在のお昼のテレビを説明できないということです。

『ヒルナンデス!』は、すでに15年以上続いている

日本テレビの『ヒルナンデス!』が始まったのは2011年3月28日。『いいとも!』がまだ放送されていた時期です。

開始当初から南原清隆がメインMCを務め、グルメや旅行、買い物、生活に役立つ情報を中心に放送されてきました。

2026年3月には、一部で番組終了が報じられていたものの、日本テレビは春以降も継続することを正式に発表しています。

すでに15年以上続いていることを考えると、現在のお昼を代表する長寿番組の一つと呼んで差し支えないでしょう。

ただし、『ヒルナンデス!』の魅力は、『いいとも!』とまったく同じものではありません。

街や店を訪ねるロケ企画、商品や食べ物の紹介、家事や暮らしに役立つ情報など、番組の楽しみ方は幅広く、スタジオ内の即興的な笑いだけを中心とするものではありません。

『いいとも!』の代用品というより、独自の昼番組として育ってきた存在です。

『ひるおび』は2026年に放送4,500回を達成

TBSの『ひるおび』は2009年3月にスタートしました。

恵俊彰を中心に、ニュースや天気、社会の出来事を詳しく解説する情報番組として放送されています。

そして2026年10月19日には、放送4,500回に到達しました。

17年半以上続けてきた番組という点では、こちらも十分な歴史を持っています。

『いいとも!』と比べると番組の性格はかなり違いますが、「平日のお昼になると、いつもの司会者がテレビにいる」という習慣は共通しています。

視聴者が毎日必要とするニュースや天気を届け続けることで、別の形の「お昼の顔」が成立していると考えられます。

『徹子の部屋』は『いいとも!』より長い50年の歴史

さらに見逃せないのが、黒柳徹子が司会を務める『徹子の部屋』です。

放送開始は1976年2月2日。『いいとも!』より6年以上も早く始まった番組で、2026年に50周年を迎えました。

長寿番組という基準で考えれば、『いいとも!』を超える歴史を持つ存在が、今も平日昼のテレビにあります。

ただし、『徹子の部屋』はゲストとの対話をじっくり楽しむ番組です。公開生バラエティーだった『いいとも!』と同じものとして比較することはできません。

また、2026年現在の通常放送は13時からです。正午の番組という印象を持っている人もいるかもしれませんが、放送時間には歴史があります。

2014年春、テレビ朝日でも「正午の顔」が変わっていた

『いいとも!』が終わった2014年春には、フジテレビ以外でも昼の番組編成が動いていました。

その象徴が『徹子の部屋』です。

テレビ朝日は2014年4月、『徹子の部屋』をそれまでの13時20分開始から正午開始へ移動させました。

その後、2020年3月30日には再び13時開始へ移っています。

つまり、『いいとも!』がなくなった直後の正午には、フジテレビの『バイキング』だけでなく、テレビ朝日の『徹子の部屋』も新たな放送時間で登場していたのです。

ただし、テレビ朝日の時間変更が『いいとも!』終了を直接の理由として決定されたかどうかは、確認できる資料だけでは断定できません。

重要なのは、2014年春がフジテレビ一局の番組交代ではなく、各局の昼の競争を考える節目にもなっていたことです。

『いいとも!』終了後の視聴率はどう変わった?

では、『いいとも!』終了後、視聴者はどの番組を見るようになったのでしょうか。

ここでは、当時の視聴率から確認できる変化を見てみます。

2014年度、『ひるおび!』第2部は平均7.0%を記録

TBSが2015年3月に発表した『ひるおび!』第2部の年度平均世帯視聴率は、次のように推移しています。

対象年度平均世帯視聴率
2012年度5.9%
2013年度5.7%
2014年度7.0%

数字はビデオリサーチ調べ、関東地区。対象は当時11時55分から13時49分までの第2部です。

『いいとも!』が終了した2014年度には前年から1.3ポイント上昇し、3年連続の同時間帯首位を記録しました。

これは、2014年以降の昼のテレビを考えるうえで重要な実績です。

ただし、『いいとも!』の終了によって視聴者がそのまま『ひるおび!』へ移ったとまでは証明できません。

視聴率は番組内容、当日のニュース、競合番組、視聴者の生活など、さまざまな条件で変化します。

また、『ひるおび!』第2部は11時55分から13時49分までの平均です。12時から13時までの『いいとも!』と、対象時間が完全に一致するわけでもありません。

したがって、ここから言えるのは、『いいとも!』終了後の2014年度に、『ひるおび!』が実際に視聴率を伸ばしたということです。

2022年には『ワイド!スクランブル』が12時台の年間首位に

お昼の競争を考えるうえで、もう一つ注目したい数字があります。

2022年、テレビ朝日の『大下容子ワイド!スクランブル』第2部が、12時から13時までの年間平均視聴率で、同時間帯の首位を記録しました。

関東地区の平均視聴率は世帯6.1%、個人全体3.2%。テレビ朝日が翌2023年1月に発表した実績です。

『ワイド!スクランブル』自体は1996年から続く番組で、2019年4月に大下容子の名前を冠した現在の番組名となりました。

つまり、2014年度にはTBSの『ひるおび!』が好調で、2022年にはテレビ朝日の『大下容子ワイド!スクランブル』が12時台の年間首位を獲得しています。

異なる年の数字を直接比べて歴代の優劣を決めることはできませんが、少なくとも『いいとも!』終了後のお昼が、特定の一番組だけに集中していたわけではないことが分かります。

そして、視聴率の競争に参加しているのは、必ずしも同じジャンルの番組ではありません。

バラエティー、ニュース、生活情報、トーク。現在の昼番組は、それぞれ違う目的で視聴者に選ばれているのです。

視聴率1位なら「国民的昼番組」と呼べるのか?

そもそも「国民的番組」という言葉には、公的に決められた基準がありません。

視聴率が高い番組を指すこともあれば、長く続いている番組、多くの人が名前を知っている番組を指すこともあります。

では、『いいとも!』はどうだったのでしょうか。

番組を代表するコーナーの一つが「テレフォンショッキング」でした。

毎日のゲストトークに加え、翌日の出演者が誰になるのかという楽しみがあり、俳優、歌手、芸人、文化人、スポーツ関係者など、さまざまな人が出演しました。

曜日ごとに異なるレギュラー陣が集まり、新しい企画が始まっては入れ替わる。

内容は少しずつ変わっていても、タモリがいて、正午に新宿アルタから生放送をしているという骨格は変わりませんでした。

この「いつもの場所に、いつもの人がいる」という安心感と、「今日は何が起きるか分からない」という生放送の面白さが、同時に成立していたことは大きな特徴です。

一方、『ひるおび』には毎日ニュースを分かりやすく届ける役割があり、『ヒルナンデス!』には暮らしに役立つ発見があります。

それぞれ違う形で、視聴者の日常に入り込んでいるのです。

「国民的な番組かどうか」を、単純な視聴率だけで判断するのが難しい理由は、ここにあります。

『いいとも!』とまったく同じ番組が現れなくても、別の意味で長く親しまれる昼番組は生まれ得るからです。

2014年から2026年、私たちのテレビの見方も変わった

昼番組を取り巻く環境についても、12年間の変化を考える必要があります。

1982年に『いいとも!』が始まった頃、テレビの生放送は、視聴者が同じ時間に同じ番組を見る機会を作っていました。

1990年代や2000年代に入っても、昼休みにテレビをつけたり、学校が休みの日に見たりするという習慣はありました。

しかし2026年現在は、スマートフォンやインターネットでニュースを読むことも、動画配信サービスで好きな作品を見ることもできます。

必ずしもテレビ局が決めた放送時間に合わせる必要はありません。

総務省が2026年6月に公表した令和7年度の情報通信メディア利用調査では、全年代の平日1日当たりの平均利用時間は、インターネット183.9分、テレビのリアルタイム視聴156.1分でした。

これは昼12時だけを対象にした数字ではありません。また、『いいとも!』終了によってテレビの視聴時間が変化したことを示すものでもありません。

ただし、現在はテレビ以外にも多くの選択肢があり、インターネットが日常的な情報・娯楽の手段になっていることは分かります。

ここで考えたいのは、一つの番組が視聴率で成功できるかという問題だけではありません。

多くの人が、同じ時間に同じ番組を見て、翌日その話題を共有するという体験が、以前とは違う形になっているのではないか。

今は番組そのものを見なくても、SNSで話題の場面を知ることができます。後から配信で見たり、短い動画で内容を確認したりすることもあります。

これは視聴者にとって便利な変化です。

一方、正午になれば全国のどこかで同じスタジオの生放送を見ている人がいる、という感覚とは、少し違うものかもしれません。

2025年には新宿アルタも閉館。『いいとも!』の記憶は街にも残っていた

『いいとも!』終了から12年間の変化を語るうえで、もう一つ象徴的な出来事があります。

2025年2月28日、新宿アルタが45年間の営業を終えました。

新宿アルタは1980年に開業した商業施設で、『いいとも!』の生放送が行われたスタジオアルタが入っていた場所としても知られています。

番組が終了したのは2014年。その後も新宿アルタは営業を続けていましたが、2025年には商業施設としての歴史にも区切りがつきました。

もちろん、商業施設の営業終了と、建物そのものが解体されたかどうかは別の話です。

ただ、毎日のように芸能人が集まり、観客の歓声が響き、その様子が全国に届けられていた場所が、以前と同じ役割を持たなくなったことは確かです。

『いいとも!』には、タモリや出演者だけでなく、新宿アルタという場所の記憶も結びついていました。

テレビ番組と、その番組が放送される街が一緒に知られる。これも『いいとも!』が築いた独特の文化だったのではないでしょうか。

毎日見ていなかったのに、なくなると寂しかった

ここまで番組の歴史や視聴率を比較してきましたが、『いいとも!』が特別だった理由を考えるうえで、数字以上に興味深い資料があります。

フジテレビの公式サイトに残されている、2014年4月の視聴者メッセージです。

そこには、3月31日の最終回を惜しむ声だけでなく、翌4月1日になって番組が本当に終わったと実感した人たちの声が残っています。

例えば、いつもの習慣で正午にテレビをつけたものの、タモリがいないことに寂しさを感じた人。

毎日欠かさず見ていたわけではないのに、昼になれば放送されていることが当たり前になっていたと振り返る人。

学校や仕事が休みの日に『いいとも!』を見るのが楽しみだったという人もいました。

これらは自発的に寄せられた投稿の一部であり、視聴者全体の意見を代表するものではありません。

それでも、当時どのような寂しさを感じた人がいたのかを知る手がかりになります。

考えてみれば、『いいとも!』は平日の正午に放送されていた番組です。

学校に通っている子供も、職場で働いている人も、毎日テレビの前に座れるわけではありません。

それでも「お昼といえば『いいとも!』」という記憶が残っている。

毎日見られないからこそ、夏休みや冬休み、祝日などにテレビをつけることが、ちょっとした楽しみだった人もいるでしょう。

そして、自分が見ていない間も番組は続いていると思える。

番組を毎日見ることと、その番組が毎日存在していることに安心感を持つのは、同じではないのです。

『いいとも!』が終わった直後、正午にタモリがいないことを寂しく感じた視聴者がいたのは、番組そのものだけでなく、長年続いていた日常の一部がなくなったからなのかもしれません。

『いいとも!』の次に、同じような番組は必要だったのか?

ここで、最初の問いに戻ります。

『笑っていいとも!』終了から12年。次の国民的昼番組は生まれたのでしょうか。

放送年数だけで考えるなら、『徹子の部屋』は50周年を迎え、『ひるおび』や『ヒルナンデス!』も長寿番組として定着しています。

視聴率でも、『ひるおび!』や『大下容子ワイド!スクランブル』が同時間帯の年間首位を記録した実績があります。

『ぽかぽか』のように、ゲストトークや曜日レギュラーを中心にした昼の生バラエティーも続いています。

その意味では、現在のお昼に人気番組や長寿番組がないわけではありません。

ただし、『いいとも!』と同じ存在感を持つ番組が現れたかという問いには、別の答えが必要です。

32年間、同じ司会者が平日の正午に生放送を続け、さまざまな芸能人と観客が集まり、番組そのものが新宿の街と結びついていた。

それを、そのまま別の番組で再現することは簡単ではないでしょう。

そもそも、再現する必要があったのでしょうか。

現在は、ニュースを詳しく知りたければ『ひるおび』や『ワイド!スクランブル』があり、生活情報を楽しみたければ『ヒルナンデス!』があります。

生放送のトークや企画を見たければ『ぽかぽか』、著名人の人生をじっくり聞きたければ『徹子の部屋』という選択肢もあります。

かつて一つの番組に集まっていた楽しみを、今は複数の番組がそれぞれの方法で提供している、と考えることもできます。

もちろん、昔にも多様な昼番組はありました。現在だけが特別に選択肢の多い時代というわけではありません。

それでも、テレビ以外のメディアも選べるようになった2026年に、1982年とまったく同じ形の国民的昼番組を求める必要があるのかは、考えてみる価値があります。

『いいとも!』の後継者が見つからなかったというより、一つの番組だけがお昼を象徴する必要が、以前より小さくなったのかもしれません。

その一方で、何となくテレビをつければ、いつもの人がいて、今日も笑っている。

そんな時間にしかない魅力も、確かにあったのだと思います。

12年経った今だからこそ分かる、『笑っていいとも!』の大きさ

2014年3月31日に『いいとも!』が終了したとき、フジテレビのお昼には大きな変化が訪れました。

その後の12年間で、『バイキング』が始まり、『バイキングMORE』へ変わり、『ポップUP!』を経て『ぽかぽか』が放送されるようになりました。

他局では『ひるおび』や『ヒルナンデス!』が長く続き、『徹子の部屋』は50周年を迎えています。

お昼のテレビは『いいとも!』がなくなっても続いてきました。

新しい番組が始まり、新しい視聴習慣が生まれ、それぞれの楽しみ方がある。

それでも、12年前まで平日の正午にタモリがいたことを、今でも覚えている人がいます。

当時の番組を毎日見ていた人も、休みの日にだけ見ていた人も、今ではほとんどテレビを見なくなった人もいるでしょう。

それぞれ違う生活を送っていても、『いいとも!』の話になれば、あのスタジオやテレフォンショッキングを思い出すことができます。

そして、2014年4月1日、当たり前だった正午の風景が変わった日のことも。

『いいとも!』と同じ国民的昼番組が生まれたかどうかは、人によって答えが違うかもしれません。

けれど、ここまでの番組史を振り返ると、一つだけ感じることがあります。

『笑っていいとも!』は、毎日見たい番組であると同時に、毎日そこにあってほしい番組でもあったのではないでしょうか。

次のお昼の顔は、もう生まれているのかもしれません。

ただ、32年間続いたあの正午の時間は、次の番組に置き換わったというより、一つの時代の記憶として残り続けている。

『いいとも!』終了から12年。今のお昼のテレビを見ながら、そんなことを考えてしまいます。

あなたにとって、平日のお昼を象徴する番組は何でしょうか。

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