五大厄災は“暗黒大陸編”の核心を示すキーワードだ
『HUNTER×HUNTER』において「五大厄災」は、暗黒大陸という未知の舞台を語るうえで欠かせない要素です。
作中では「人類が持ち帰った大きすぎる災厄」として描かれ、それぞれが単なる怪物や病気にとどまらず、物語全体を揺るがす存在として提示されました。
この記事では、五大厄災の 正体 を事実ベースで整理し、出典 を明確に押さえたうえで、今後の物語における 役割 を考察します。
クラピカの王位継承戦、ジンやビヨンドの遠征計画、そして読者が気になる「暗黒大陸の本質」へ――そのすべてをつなぐ糸口が、この五大厄災なのです。
ブリオン

正体
ブリオンは暗黒大陸の五大厄災のひとつで、呼称は「植物兵器」。
“植物”と“兵器”という相反する言葉が並ぶ時点で、常識の外にある存在だとわかります。
生物的でありながら、戦闘用に設計されたかのような恐ろしさを持つのです。
初出は暗黒大陸編の導入(第341話)。
説明図では、メビウス湖の北方・森林外縁から約400kmの地点にある迷宮都市に鎮座する姿として描かれています。
能力の詳細は明かされていませんが、人類が到底制御できない“災厄”として扱われており、存在そのものが大きな脅威です。
登場しうる局面
ブリオンと遭遇する条件は、遠征ルートがメビウス湖北方の迷宮都市帯に触れるかどうかにかかっています。
十二支ん率いる正規遠征か、ビヨンド側のルートがその地を踏めば、接触は避けられません。
ただし問題は「戦えば倒せるか」ではなく、“どう接近しないか”という点です。
ブリオンは“討伐対象”というより、人類がどこまで足を踏み入れるかを試す境界線のように描かれています。
仮に痕跡や部位が持ち帰られ、それがカキン王子陣営や黒鯨号の政治劇に流入したとすれば、二次的な災厄が人間社会に広がる危険性もあります。
つまりブリオンは、派手な戦闘のための存在ではなく、欲望と探究心に線引きを強いる試金石。
暗黒大陸という舞台で、最も“人間の姿勢”を問う厄災なのかもしれません。
ゾバエ病

正体
ゾバエ病は暗黒大陸で発見された五大厄災のひとつで、通称は「不死の病」。
恐ろしいのは、発症した人間の体がゾンビのように変質し、死ぬことができなくなる点です。
肉体は衰弱しながらも活動を続け、本人の意思とは無関係に生存し続ける――まさに「永遠の病」です。
初出は第341話。
被害報告では、治療法は存在せず、発症すれば社会全体に連鎖的被害を与えるとされています。
現実の疫病を極端にデフォルメしたかのような厄災で、暗黒大陸の危険度を象徴する存在です。
登場しうる局面
もし遠征隊が感染経路を持ち帰ることになれば、脅威は暗黒大陸の外にまで及びます。
黒鯨号のように人間が密集する環境でゾバエ病が拡散すれば、念能力の有無に関係なく全滅は避けられないでしょう。
つまりゾバエ病は「念で解決できる敵」ではなく、人類社会そのものを崩壊させる感染リスクとして描かれています。
また、ゾバエ病は単なる災厄にとどまらず、物語における「人間の倫理」を浮き彫りにする存在です。
感染者を救うべきか、隔離すべきか。
その葛藤こそが、HUNTER×HUNTERらしい重厚なドラマを生む可能性があります。
アイ(Ai)

正体
アイは暗黒大陸の五大厄災のひとつで、異名は「欲望の共依存」。
その性質は、対象となった人間に「愛して欲しい」「側にいて欲しい」という強烈な欲求を植え付け、
やがて理性を奪い取っていくという、精神的かつ依存的な災厄です。
見た目は少女の姿をしているともされますが、詳細は不明。
危険度はAランクに指定されており、過去の遠征でも壊滅的な被害をもたらしています。
最大の恐怖は、攻撃的な力ではなく、人の心を支配し、抜け出せなくさせる点です。
力ずくの戦闘では対処できない、きわめてHUNTER×HUNTERらしい「精神と感情」を揺さぶる厄災と言えるでしょう。
登場しうる局面
もし遠征隊がアイと接触した場合、戦闘力の高低は意味をなしません。
どれほどの念能力者でも、依存心や愛情を突かれることで無力化されるからです。
黒鯨号や王位継承戦といった人間関係が入り乱れる舞台で、
もしアイが姿を現すことになれば、王子や兵士、ハンター同士の関係そのものを瓦解させる可能性があります。
つまりアイは「倒す怪物」ではなく、人間の内側に潜む欲望を利用する災厄。
物語に登場すれば、敵との戦いというよりも、自分自身や仲間との信頼関係をどう維持するかというテーマが前面に出るでしょう。
アルカ=ナニカと「アイ」の関連性
作中ではゾルディック家の末妹アルカに宿る存在「ナニカ」が、暗黒大陸の厄災「アイ」と関係している可能性が示唆されています。
「お願いを叶える代わりに代償を求める」というナニカの仕組みは、公式資料で語られるアイの特徴と一致しており、読者の間ではほぼ確定的な見解となっています。
この関連性を踏まえると、アイは既に物語に登場している数少ない“厄災”であり、暗黒大陸を舞台としない展開でも強い影響力を持つ存在だと言えるでしょう。つまり五大厄災の中でも特に物語と地続きになっているのが「アイ」なのです。
ヘルベル(Hellbell)

正体
ヘルベルは暗黒大陸の五大厄災のひとつで、異名は「双尾の蛇」。
その姿は、首元に鐘のような黒い塊を抱え、そこから二本の尾が生えているという異様なものです。
生息域はメビウス湖の南方湿地帯。
かつてニトロ米を求めたオチマ連邦の遠征隊がこの地に入り、帰還率わずか1%(11名生還)という凄惨な結果に終わりました。
脅威度は当初B+とされたものの、後にAランクへ格上げ。
その理由は、ヘルベルが持つとされる特異な性質――「殺意を感染させる」という恐るべき能力にあります。
つまり、直接的な攻撃だけでなく、集団内部を自壊させるトリガーになり得る存在なのです。
登場しうる局面
もし遠征ルートが南方の湿地にかかれば、ヘルベルとの遭遇は避けられません。
特にニトロ米の利権は魅力的で、パリストン派をはじめとする勢力がこぞって狙うでしょう。
しかし、問題は戦闘そのものではありません。
ヘルベルの力が発動すれば、仲間同士が殺意をぶつけ合い、念能力でさえ制御できない集団崩壊が起きかねないのです。
つまりヘルベルは「倒す敵」ではなく、どう隔離するか・どう近づかないかという条件戦を強いる存在。
その意味で、物語的には人間関係や欲望のもつれをあぶり出す“試金石”として再登場する可能性が高いでしょう。
パプ(Pap)

正体
パプの別名は「人飼いの獣」。
その恐ろしさは、ただ人を殺すのではなく、飼い慣らし、変質させることにあります。
被害者は、頭に角のような突起を生やし、掌サイズの人形のように縮小した状態で発見される――という衝撃的な特徴を持ちます。
生息域はメビウス湖北東の山脈。
かつてベゲロセ連合の1000人規模の遠征隊がこの地に挑み、7名の生還者を残して壊滅しました。
しかも被害者の一部は既知世界に持ち込まれ、国際許可機関の地下に秘匿保管されていると明かされています。
つまりパプの影響は、既に“こちら側”にも侵入してきているのです。
登場しうる局面
北東山脈は、無尽石などの資源を狙う勢力にとって外せないエリアです。
ゆえにパプとの接触は、むしろ必然に近い。
恐ろしいのは、単なる戦闘災害にとどまらない点です。
“人を飼う”という異質な能力は、倫理や人権そのものを揺さぶります。
物語に組み込まれた場合、焦点は「どう倒すか」よりも、人をどう扱うかへと移るでしょう。
そして「研究」「利用」「管理」という名目のもと、黒鯨号やカキンの王子たちが手を伸ばす可能性も大いにあります。
パプは単なる怪物ではなく、人間の欲望と倫理を試す鏡として物語を大きく動かす存在になるかもしれません。
厄災 | ラベル/別名 | 生息域(作中) | 何が脅威か(確定) | 登場しうる局面(条件/接点) |
---|---|---|---|---|
ブリオン | 植物兵器 | メビウス湖北方・迷宮都市帯(森林外縁から約400km) | 生物×兵器の性質/制御不能。接近や持ち帰りが二次災厄の引き金。 | 北方ルートで遠征が迷宮都市に触れた時/痕跡の持ち帰り→王位継承戦サイドへ波及。 |
ゾバエ病 | 不死の病(寄生性伝染) | 暗黒大陸起源(地域不明/人類側へ流入リスク) | 感染→肉体変容→死ねない状態に。治療法不明、封じ込め困難。 | 密閉空間(黒鯨号など)で拡散リスク/帰還者・サンプル経由で流入の可能性。 |
ヘルベル | 双尾の蛇 | メビウス湖南方湿地帯 | 殺意の感染で内部崩壊を誘発/直接攻撃より集団自壊が脅威。 | 南方湿地に各勢力が集中(ニトロ米利権)した時に危険上昇/隔離・接近禁止が必須。 |
パプ | 人飼いの獣 | メビウス湖北東山脈 | 被害者が縮小・角化し“飼われる”状態に/一部は既知世界でも秘匿保管。 | 北東ルートで接触/研究・管理・利用の名目で持ち込み→倫理崩壊の再演リスク。 |
アイ | 欲望の共依存(ガス生命体) | 起源不明(気体状/閉鎖空間に適性) | 欲望・依存で心を支配。気体ゆえ隔離困難。 | 人間関係が密な場(黒鯨号・継承戦)で拡散/遠征からの持ち帰りで広域化の恐れ。 |
メモ(作中資料より)
- ヘルベル:オチマ連邦のニトロ米遠征は帰還11名(約99%損耗)。後に危険度がAへ引き上げ。
- パプ:ベゲロセ連合の1000名規模遠征で生還7名。被害者の一部は国際許可機関の地下で秘匿保管。
- 共通:五大厄災は「倒す対象」というより、接近しない・持ち帰らないといった“条件管理”を強いる存在として描写。
厄災とキメラ=アントは、どこが決定的に違うのか

まず起点が違います。
五大厄災は、人間が暗黒大陸から“持ち帰ってしまったもの”や、もともとそこに“在る”現象として提示されます。誰かの意志で襲ってくるのではなく、条件が揃うと破局が連鎖する――自然災害に近い怖さがある。
一方のキメラ=アントは、女王から生まれ、群れを作り、命令系統をもち、自分の意志で勢力を広げる“生物群”です。
ひろがり方も別物です。
厄災は、閉鎖空間や人の密集、利害の錯綜といった“舞台条件”に触れるだけで、感染・依存・持ち帰りの形で勝手に増殖します。誰が悪いと指差す前に、もう広がっている。
アントは、捕食と繁殖、そして“合成”で数と質を加速させ、戦略的に版図を拡大します。放っておくほど手に負えなくなるのは、こちらです。
だから、対処の仕方が根本から変わります。
厄災に有効なのは「どう近づかないか」「どう隔離するか」「何を持ち帰らないか」といった線引きと管理。討伐より前に“作法”が問われる。
アントに対しては、討伐・陽動・布陣といった作戦設計が中心になります。最終的には、誰がどこでどう戦うかの設計図がものを言う。
ドラマの焦点もズレます。
厄災がもたらすのは、人を救うのか隔離するのか、成果のために危険を持ち帰るのか封じるのか――そんな倫理の板挟み。
アントでは、個と群れの意志がぶつかります。王と人間、仲間と使命。どんな価値を抱えて、どんな代償を払うのかが主題になる。
ひとことでまとめるなら、
厄災は“間違った触れ方をした瞬間に破局が始まる地雷”。
アントは“手をこまねけば版図を広げる軍勢”。
どちらも、最終的には人間側の選択を試してきます。
厄災には節度と線引きを、アントには覚悟と設計を。
HUNTER×HUNTERの文法で言えば、どちらも「条件と代償」をこちらに突きつけてくる“鏡”なのだと思います。
ネテロ会長と暗黒大陸――受け継がれる挑戦
ネテロ会長は、キメラ=アント編でその生涯を閉じた人物ですが、実はその人生の一部は暗黒大陸との関わりに貫かれていました。
ハンター協会の公式記録によれば、会長は若い頃、暗黒大陸踏査隊の一員として実際に上陸した経験を持っています。
帰還率が1%を切る遠征のなかで生き延びた稀有な存在であり、その経験は彼の強さと思想を形づくった要素のひとつでした。
そして、その遺志を継ぐかのように登場したのが、実子であるビヨンド=ネテロ。
ビヨンドは父の死後、再び暗黒大陸への挑戦を旗印に掲げ、各国やハンター協会を巻き込む大きな政治劇を動かしていきます。
つまり暗黒大陸の物語は、単なる未知の冒険ではなく、ネテロ家という“親子二代の挑戦”が中心に据えられているのです。
この視点から見ると、五大厄災は“ただのモンスター”ではなく、ネテロという人間が生涯を賭して挑んだものの象徴に見えてきます。
会長が王(メルエム)との戦いで体現した「人間としての矜持」は、暗黒大陸に足を踏み入れる者が必ず向き合う覚悟そのものだったのでしょう。
人類が持ち帰ってしまったもの、その重さ

暗黒大陸は「近づかないこと」が唯一の防御策だと言われます。
それでも、人間は好奇心や欲望に突き動かされ、何度も踏み込み、そして「何か」をこちら側に持ち帰ってきました。
最もわかりやすいのは、パプの被害者です。
角が生え、掌ほどに縮んだ人形のような状態に変えられた彼らは、一部が実際に既知世界へ運ばれました。
現在は国際許可機関の地下に秘匿保管されているとされますが、それはつまり――災厄がすでに“こちら側”の足元に潜んでいるということ。
封じ込めているつもりが、利用や研究の名目で再び表舞台に出てくる危うさを、私たちは否応なく感じてしまいます。
そしてもう一つ、もっと身近な事例があります。
それがニトロ米です。
オチマ連邦の遠征隊は、1000人規模の挑戦で生還者わずか11人という惨状を経験しました。
けれども彼らが命を削って持ち帰ったその穀物は、既知世界で“利権”として流通している。
「危険を承知で得た成果を、今さら手放せるか?」――そんな人間らしい欲望が、二次災厄の温床になってしまうわけです。
他の災厄についても、直接の“持ち帰り”は描かれていないものの、その危険は常に示されています。
ゾバエ病なら帰還者やサンプル経由での感染拡大、ブリオンなら痕跡や部品の持ち出し、アイなら気体として閉鎖空間に紛れ込む可能性。
描写の中で繰り返し強調されるのは、「持ち帰ること自体が最大のリスク」だという一点です。
こうして並べてみると、五大厄災が象徴しているのは「人間の欲望と選択」なのだと改めて気づかされます。
倒すかどうかではなく、何をこちらに連れて帰らないか。
その線引きこそが、暗黒大陸に挑む者たちが背負わなければならない最大の試練なのです。
五大厄災は物語にどう関わるのか
五大厄災をめぐる考察で、多くのファンが気になるのは「じゃあ、この存在たちは今後どこで登場するのか」という点だと思います。
いま連載が集中しているのは、カキンの王位継承戦。
舞台は黒鯨号という閉鎖空間です。
ここにもし“ゾバエ病”や“アイ”のような災厄が紛れ込んだら――それだけで物語は一瞬にして崩壊の危機に直面します。
感染や依存といった「見えない脅威」は、人間同士の疑心暗鬼と相性が悪すぎる。
念能力者の戦いどころか、人間関係そのものを内側から溶かすでしょう。
一方で、ブリオンやヘルベル、パプといった存在は、王位継承戦の舞台からすぐに顔を出すことはなさそうです。
これらは暗黒大陸の“現地”に足を踏み入れた瞬間に立ちはだかる壁であり、ビヨンド=ネテロ陣営の探索ルートが描かれるときにこそ本領を発揮するはずです。
特にニトロ米や無尽石の利権がからめば、「危険を承知で突っ込む」動機は十分にある。
利欲と恐怖がせめぎ合うなかで、災厄がどう描かれるのかが見ものです。
つまり五大厄災は、物語の進行に合わせて二層構造で配置されていると考えられます。
閉鎖空間での内側からの崩壊(ゾバエ病・アイ)。
そして未知の地での人類の節度を試す壁(ブリオン・ヘルベル・パプ)。
どちらにしても、共通しているのは「念能力では片付けられない」ということ。
それはつまり、HUNTER×HUNTERという作品が、単なるバトル漫画ではなく、人間がどこまで欲望と責任を引き受けられるかを描こうとしている証でもあるのでしょう。
五大厄災に関するFAQ
Q1. 厄災は念能力で倒せるの?
A. 直接的に“戦闘”で解決できる存在としては描かれていません。
むしろ「どう近づかないか」「どう持ち帰らないか」という管理が核心です。
念で倒すという発想そのものがズレている、というのが作品内での扱いです。
Q2. いまの王位継承戦に直接関わってくる厄災はある?
A. 可能性があるのはゾバエ病やアイのような“内部崩壊型”の災厄です。
黒鯨号という閉鎖空間は、感染や依存の拡散にとって最悪の条件が揃っています。
逆にブリオンやヘルベル、パプは暗黒大陸の“現地探索”が本格化してからが本番でしょう。
Q3. なぜ“五大”と区切られているの? 他にも災厄はないの?
A. 作中で「五大厄災」と定義されているのは、現時点で人類が特に危険視している五つの存在だからです。
ただし暗黒大陸はほぼ未知の世界。
「五大」はあくまで“公式に認定された一群”という意味であって、他に未知の脅威がいないとは限らない、と読めます。
Q4. 過去に人類が持ち帰ったのは?
A. 確定しているのは、パプの被害者の秘匿保管と、ニトロ米の利権化です。
どちらも「欲望に負けて持ち帰った結果」が示されています。
この事実だけで、暗黒大陸が“人類の欲望を試す舞台”だとよくわかります。
Q5. 災厄が物語に登場する意味って何?
A. 一言で言えば「人間の選択を試す鏡」です。
戦闘の見せ場というより、人がどこまで節度を保てるか/欲望と責任をどう扱うかを描き出す装置。
だからこそ、HUNTER×HUNTERの根幹にふさわしいテーマとして配置されているのだと思います。
五大厄災が映す、人間の弱さと限界
『HUNTER×HUNTER』の暗黒大陸に潜む五大厄災は、ただの“怪物”として描かれているわけではありません。むしろ、それぞれが人間の欲望や愚かさ、そして制御不能な進歩の象徴として存在しています。
ブリオンが示す「知性と技術の暴走」、アイが象徴する「関係性の依存」、パプが持つ「終わりなき繁殖」……いずれも人間社会に通じる要素を、極端な形で具現化した存在です。だからこそ、災厄との遭遇は冒険譚の一幕でありながら、人間そのものへの問いかけにもなっています。
物語の中で彼らがどのように登場し、どんな決着を迎えるのかはまだ分かりません。しかし確かなのは、五大厄災が“単なる敵”としてではなく、人間の限界を映し出す鏡として描かれているということ。そこにこそ、暗黒大陸編のスリルと深みが宿っているのです。
出典:『HUNTER×HUNTER』 冨樫義博/集英社
引用範囲:暗黒大陸編(週刊少年ジャンプ掲載エピソード、および単行本第37巻以降収録分より)
© 冨樫義博/集英社
※本記事の引用画像は、作品内容の考察・批評を目的とした引用であり、著作権はすべて著作者に帰属します。