冨樫作品における「強さ」とは何か
『HUNTER×HUNTER』における“強さ”とは、単なる戦闘能力や念の技巧ではない。
それは「人間という不完全な存在が、何を代償にしてでも超越を求める意志」の表現である。
冨樫義博の描くキャラクターたちは、力を得るたびに同時に“何かを失う”。その失われた部分こそが、強さの証であり、物語の魂である。
本稿では、作中で描かれる「力の構造」「覚醒と代償」「人間的業の行方」を軸に、冨樫流“強さ”の本質を多角的に分析する。
最強とは誰か——この問いを超えて、“なぜ強くあろうとするのか”という根源的テーマを、ランク体系ごとに読み解いていく。
強さランク体系|冨樫作品における階層構造の分析
『HUNTER×HUNTER』の「強さ」は、単なるパワーレベルの序列ではなく、存在の次元そのものの階層構造として描かれている。
冨樫義博の世界観においては、力とは“生まれつき”でも“修練の結果”でもなく、選択と代償の果てに現れる精神構造である。
そのため、本稿では従来の「戦闘力」的な評価を離れ、以下のような五段階のランク体系で整理する。
【SSSランク】――“概念としての強さ”(1〜38巻ベース)
人間という枠組みを超越し、存在そのものが「思想」や「哲理」と化した者。
彼らはもはや勝敗の概念を超え、世界観の根幹を象徴する。
■ メルエム|圧倒的自我と他者理解の臨界
生まれながらに“王”として設計された究極生命体。力・知・支配を極限まで高め、やがて破壊衝動を超えて「理解」へと至る。冨樫作品における“強さの進化系”を象徴する存在。
■ アイザック=ネテロ|祈りと献身の武人
祈りと感謝を武に昇華した、人類の到達点。百式観音は宗教的象徴として機能し、強さを倫理と精神の次元に拡張した。勝敗を超え、“人間の意志”を刻んだ賢者。
■ アルカ=ゾルディック(ナニカ)|願望と代償の因果操作
“お願い”と“代償”による現象改変を司る存在。直接的な戦闘力ではなく、因果律そのものを揺るがす力を持ち、強さの定義を根本から書き換える。冨樫が描く“神的領域”の象徴。
メルエム【ランクSSS】

圧倒的な力の衝突の中で、支配と理解の境界が揺らぐ瞬間。
冨樫義博が描く“強さの本質”――暴力の極地に潜む理性の目覚め。
生まれながらに「王」として設計されたメルエムは、力の総量・知性・統率力のすべてにおいて人間の枠を超越している。
その存在は冨樫義博が描く“強さ”の頂点に位置しながらも、同時に「強さとは何か」という問いそのものを解体する。彼の成長は、戦闘能力の拡張ではなく価値観の進化として描かれる。暴力の最適化によってすべてを支配しうる存在が、他者との対話によって“理解”という新たな領域に踏み込む過程は、冨樫作品全体に通底する「力と倫理の交差点」の象徴である。
メルエムの真価は、勝敗や破壊に対する飽和の後に訪れる“他者の尊厳への目覚め”にある。圧倒的な能力を誇りながら、次第に自らの存在を「一個の意志」として認識し直す姿は、強者の孤独を超えた“知性の覚醒”を示している。冨樫が提示する強さの究極形とは、他者を踏みにじることではなく、他者を理解し共存を模索する「変化の勇気」であり、メルエムはその到達点に立つ唯一の存在である。
最強でありながら、最後には“学ぶ者”へと還る。
その構図こそが、冨樫義博が描く「強さの物語」の真の解答である。
●総合評価(メルエム)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 生得的なオーラ総量・密度・制御が人間域を超越。短期間で円・硬・凝など基礎を最適化。 | SSS |
応用技術 | 学習・適応速度が異常。対戦中に相手の“理”を解析し、戦術と出力配分を即時更新(棋戦で示された認知の汎用化)。 | SSS |
戦闘能力 | 近接・機動・耐久・破壊力すべてが規格外。単独で師団長級を圧倒し、人間側の最上位戦力を複合で上回る。 | SSS |
情報収集・尾行(情報把握・統率) | 円と観察・推論で状況を総覧。直属護衛軍と兵の統率、意思決定の精度は作中最高峰。 | SSS |
精神面 | 当初は覇者の傲慢だが、倫理的覚醒と自己統御に到達。コムギ関連の動揺という弱点はあるが、最終局面での覚悟は揺るがず。 | S+ |
総合 | “力・知・統御”の三要素を概念レベルで満たす冨樫的頂点。 | SSS |
アイザック=ネテロ【ランクSSS】

戦いの果てに見せたのは、怒りでも憎しみでもなく“感謝”――。
冨樫義博が描く「祈りとしての強さ」を体現する、人間の極致の象徴。
人間の極致を体現しながらも、その強さの根源に“感謝”を置いた稀有な存在。ネテロは生涯を通じて武の頂を追い続け、肉体の老いすら修行の延長線として受け入れた。彼の戦いはもはや勝敗を目的とするものではなく、人間の精神が到達しうる祈りの形であった。
百式観音という念能力は、単なる攻撃手段ではなく「祈り」と「赦し」を同時に表現する冨樫的象徴装置である。無限に繰り返される掌の打撃は、神への礼拝にも似た所作として描かれ、彼自身の存在が“信仰と武の融合”にまで昇華している。メルエムとの戦いは、人間の限界がどこまで美しくありうるかを示す一篇の叙事詩であり、敗北の中にこそ精神の勝利を刻みつけた。
冨樫義博の描く「強さ」は、力そのものではなく、力に対する姿勢に宿る。ネテロはその最終形として、“人間の尊厳”を強さの定義へと転化した。戦いの果てに彼が遺したのは、勝者の証ではなく、祈りとしての強さ。肉体が滅びてもなお、文明の意志として残り続けるその姿は、人類という種が持つ可能性の象徴である。
●総合評価(ネテロ)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 異常な鍛錬量で到達した発動速度・精度・制御の極致。祈り=所作がそのまま最速の攻防へ変換される。 | SSS |
応用技術 | 「百式観音」による全方位・多段の自動迎撃/圧殺、切り札「零(ゼロ)の手」は命と寿命を代償に出力を一点集中。技体系の完成度は人類最高水準。 | SSS |
戦闘能力 | 反応・機動・間合い支配が人域の天井。単独で王直属軍級と渡り合う実戦力を持つが、メルエムに対しては火力不足。 | SS+ |
戦略・統率 | 協会会長としての指揮判断、討伐隊の編成・役割設計、最終手段(貧者の薔薇)を含むリスク設計に長ける。 | S+ |
精神面 | 数十年の祈りの鍛錬で獲得した自己統御と闘争心。人類の存続を優先し自己犠牲を即断できる意志強度。 | SSS |
総合 | 人間が鍛錬で到達し得る“武”の極点。技と精神の完成度で物語の基準線を作った存在。 | SSS |
アルカ=ゾルディック(ナニカ)【ランクSSS】

その優しさは祝福であり、同時に破滅をもたらす引き金。
冨樫義博が描く“純粋さゆえの畏怖”を体現する存在。
無垢な笑みの奥に、世界の理を揺るがす存在。
“お願い”と“代償”というシステムを通じ、強さの定義そのものを超越する力。
冨樫義博が描く“因果を操る者”としての象徴的キャラクター。
アルカ=ゾルディックは、“戦う強さ”ではなく“願いを叶える強さ”によって、冨樫世界の根幹を揺るがす存在である。
「ナニカ」と呼ばれる内包存在は、念能力の理を逸脱した異質の現象であり、強さの因果律を再定義する概念装置として機能する。力の発動条件は極めて単純だが、その裏に潜む“代償”の重さが、冨樫作品の持つ倫理構造を浮き彫りにしている。
彼女の強さは、戦闘的優位ではなく、“世界の法則を書き換える権能”にある。
それは神の力にも等しいが、同時に「愛情」「依存」「犠牲」という人間的な情念に強く結びついている点が重要だ。アルカは万能ではなく、常に“代償”と“願い”の均衡に縛られており、その不安定なバランスこそが“強さと脆さの共存”を象徴している。
ナニカの存在は、冨樫が長く描いてきたテーマ――「力の代償」「愛と暴力の共存」――を最も抽象的な形で結晶化させたものだ。
アルカの強さは、誰かを滅ぼす力ではなく、誰かを救うための「再構築の力」。
その構造は、“勝つ”ことを目的としない冨樫流の究極形であり、彼女は“願いの形で世界を動かす”存在として、SSSランクに位置づけられる。
●総合評価(アルカ〈+ナニカ〉)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 通常の念体系の外にある力。暗黒大陸由来と示唆される“ナニカ”が媒介となり、アルカ本人の修行やオーラ制御に依存しない。 | SSS |
応用技術 | 三つの「おねだり」→一回の「願い」という因果律契約で、治癒・転送・物理法則の超越級効果を実現。難度の累積・代償の連鎖・対象選別などルール運用が核心。キルアのみ“命令”で無償行使・停止が可能。 | SSS |
戦闘能力 | 直接戦闘は行わないが、即時全快級の治癒/対象の消失など結果として戦場の勝敗を覆す出力。近接戦の継戦力はなし。 | S |
情報把握・統制 | ルールは明確だが代償のスケールが不定で、第三者運用は高リスク。キルアの統制下では安全性が跳ね上がる。 | A |
精神面 | アルカは無垢で安定、ナニカは強い愛着(キルア限定)と機械的執行の二面性。家族の扱い・外部利用次第で倫理的リスクが常につきまとう。 | A+ |
総合 | “世界のルール側”に干渉する力。通常の念の序列を超え、物語構造を変える切り札。キルアの統制が前提なら最上位級。 | SSS |
【SSランク】――“神域を覗く者”(1〜38巻ベース)
人間の限界を意志と代償で踏み越え、瞬間的あるいは持続的に超域へ到達した層。
強さは数値でなく、選択と構築で更新される。
■ ヒソカ=モロウ|快楽としての存在
戦闘を「生の遊戯」として愉しむ、純粋なる快楽主義者。
念能力と精神が完全に一致した“自己完結型の強者”であり、
冨樫義博が描く「人間的強さの極致」を象徴する存在。
■ クロロ=ルシルフル|戦場を設計する知性
「盗賊の極意(スキルハンター)」を核に、準備・攪乱・同時多重運用で勝利条件そのものを組み替える。
個の火力よりも“状況優位”を創出する冨樫流の完成形。
■ ジン=フリークス|応用と再構築の怪物
念理論の理解と運用が異常に高精度。環境適応・心理掌握を含む“状況再現力”で、
戦闘外も含め強さの定義を拡張する「実戦の博物館」。
■ ネフェルピトー|本能が到達する極地
圧倒的なオーラ量と感知能力、「ドクターブライス」による修復・強化。
本能由来の判断速度が、王直属という位相の恐ろしさを可視化する。
■ カイト|運命論的制約を力へ転写する者
「気狂いピエロ(クレイジースロット)」の不可逆な抽選と覚悟が、戦闘の倫理を再定義。
“選べない”を戦術化し、死と再起の物語性を強さへ結晶させる。
■ ゴン=フリークス(極限形態)|誓約と代償の到達
一時的に“到る”ことで上位層へ踏み込む例外。
勝利のために未来を支払うという構造が、冨樫作品の代償論を最も過激に示す。
■ モントゥトゥユピー|純粋な力と怒りが進化する生命体
圧倒的な物理出力と進化能力を持つ“暴走する進化体”。怒りによって自己強化を続ける、力の原始的象徴。
理性より本能が勝る戦闘特化型であり、破壊衝動そのものが成長を促す異形の存在。
■ シャウアプフ|精神支配と分裂の権化
分裂・変身・洗脳を自在に使いこなす支配型。戦場の空気そのものを支配し、情報と心理で相手を崩壊させる“精神戦の支配者”。
圧倒的な観察力と演算力により、敵味方の思考を操作する“王の参謀”としての冷徹な強さを体現する。
ヒソカ=モロウ【ランクSS】

命を懸けた遊戯の中で、殺意と快楽を同化させる“人間的強さ”の極致。
血塗れの快楽に笑うヒソカ。
殺意すら遊戯と化す男は、“強さ”という言葉を虚無へと還元する。
© 冨樫義博/集英社 『HUNTER×HUNTER』34巻
ヒソカ=モロウは、“強さ”という概念を最も純粋に、そして最も虚無的に体現した男である。
彼にとって戦いは手段ではなく、存在証明そのものだ。
欲望・快楽・死への接触──そのすべてを「遊び」として受け止める姿勢が、
彼を冨樫世界における“人間の極致”へと押し上げている。
彼の念能力「バンジーガム」と「ドッキリテクスチャー」は、
物理的な強さを補う道具ではなく、彼の精神そのものの延長である。
それは柔軟で予測不能、他者の思考を読み取り、戦場全体を心理戦に変換する。
つまりヒソカは、念の理論を「技術」ではなく「感性」で凌駕した存在なのだ。
そして、彼の恐ろしさの本質は「死の拒絶」ですらなく、死の“活用”にある。
クロロ戦後、自らの死をも娯楽として再構築し、再び現世へと舞い戻ったその行為は、
“強さ”を超えて“存在の継続性”へと踏み込んでいる。
彼にとって勝敗は重要ではなく、「生きる=遊ぶ」という根本的な欲求こそが信仰に近い。
ヒソカは、冨樫義博が描く“強さの哲学”の中で、最も人間的で、最も神に近い。
欲望を抑えず、理想を持たず、ただ自分の快楽に忠実であるという一点で、
彼はすでに倫理や勝利の次元を超えている。
SSランクたる理由は、彼が「強さの定義を虚無に溶かした唯一の人間」だからである。
●総合評価(ヒソカ=モロウ)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 纏・練・硬・凝の切替速度と精度が一級。肉体能力(跳躍・握力・反射)も高水準で、基礎の上に戦術を構築できる。 | SS+ |
応用技術 | 「バンジーガム(伸縮自在の愛)」と「ドッキリテクスチャー(薄っぺらな嘘)」の二枚運用。弾性/粘着による罠・牽引・弾道補正・疑似義肢、偽装・変装・偽証まで多用途に拡張。死後の念で“心肺再始動・筋力強化”の自己命令を実行した実績。 | SSS |
戦闘能力 | 近接〜中距離の対人最適化。読み合い・間合い管理・即席ギミックで格上にも勝機を作る。クロロ戦では敗北するも、状況不利(舞台装置側の準備差)が大きく、個体性能は最上位帯。 | SS+ |
情報把握・対人操作 | 予備動作・癖・心理の読解に長け、試合運びで審判・観客すら利用する。協力と裏切りを自在に選ぶ“ゲームメイカー”。 | SS |
精神面 | 戦闘快楽主義だが、勝利のために躊躇なく非情に振れる冷徹さを併せ持つ。死後の念の自己命令に象徴される執念と自己保存意志は作中屈指。 | SS+ |
総合 | “少ない発を徹底運用して上位に喰らいつく”冨樫的怪物。舞台設計差を除けば、対人戦の完成度でSS帯に相応。 | SS |
補足メモ
- 代表戦績:カストロ戦(分析勝ち)/レイザー戦(球の弾道制御・受け止め)/クロロ戦(準備差による敗北→死後の念で蘇生)/シャルナーク・コルトピ討伐。
- 強みは状況創作と即興性。弱点は広域制圧・多数同時相手など舞台が限定される局面。
- 少能力×高創造性の体現者として、「念=発想と運用で化ける」命題の象徴。
クロロ=ルシルフル【ランクSS】

冷徹な知性で戦場そのものを支配し、勝敗の構造を設計する“戦略の芸術家”。
静寂の中に計算された殺意を宿すクロロ。
暴力の美学ではなく、戦略そのものを芸術に昇華させる“構築者”。
クロロ=ルシルフルの強さは、単純な念能力の威力ではなく「戦場を設計する知性」にある。
幻影旅団の頭としてのカリスマ性に加え、戦闘においても彼は常に“舞台そのもの”を支配下に置く。
その中心にある「盗賊の極意(スキルハンター)」は、冨樫作品における“知性による暴力”の最たる象徴であり、相手の能力と状況を利用して勝利条件を再構築する力である。
ヒソカ戦で示されたように、クロロの強さは「勝つ」ことよりも「勝利の過程を設計する」点にある。
能力を盗むだけでなく、環境・群衆・心理を含めた“舞台設定”を自らデザインし、そこでのみ絶対優位を取る。
この構造は、“念バトル=頭脳の芸術”という冨樫的哲学を最も洗練された形で体現している。
彼の本質は、力の誇示ではなく知の演出にある。
クロロにとって戦闘は宗教的儀式のようなものであり、観客(=敵)をもその構成要素に取り込む。
その冷徹な設計思想は、冨樫義博が描く“個のカリスマ”の到達点とも言える。
SSランクたる理由は、彼が「勝利条件を超えて戦いの文脈を掌握する存在」である点にあり、
それは力ではなく“世界を支配する知性”の象徴といえる。
●総合評価(クロロ=ルシルフル)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 出力・精度・切替の土台が非常に高く、近接から中距離まで基礎運用が破綻しない総合型。 | SS |
応用技術 | 盗んだ能力を蔵書化して使う「盗賊の極意(スキルハンター)」が核。厳密な手順で能力を奪取し、状況に応じて複数能力を組み合わせて戦術合成できる(ブック運用/栞による同時運用含む)。 | SSS |
戦闘能力 | 事前準備と舞台設計を含む対人最適化が頂点級。観衆・地形・ギミックを取り込んだ総合戦で上位を圧倒できる一方、即応の“素手一騎打ち”では準備差が縮むほど勝率が下がる傾向。 | SS |
情報把握・対人操作 | 諜報・攪乱・心理誘導に長け、敵の癖・反射・選好を収集して勝ち筋を設計。旅団運営でも役割最適化・損耗管理が徹底。 | SS+ |
精神面 | 冷静・寡欲・非情のバランスが取れ、撤退や捨て石も躊躇しない現実主義。好奇心は強いが、感情で戦略を崩さない。 | SS |
総合 | “自分の能力を増殖させる能力”というメタ的優位で対人戦を支配する設計者。準備前提なら作中でも最上位クラス。 | SS |
メモ
- 1〜38巻範囲での実績でも、奪取能力の運用幅と舞台装置化の巧拙は作中屈指。
- 弱点は“即時性”より段取りで最大値を引き出す設計型である点。準備を阻まれる短期決戦では伸び幅が縮む。
- それでも総合ではヒソカと並ぶ対人戦の覇者であり、旅団という組織を用いた長期戦略まで含めるとSS評価が妥当。
ジン=フリークス【ランクSS】(準SSS扱い)

“最強”を競うのではなく、“最適”を見つけ出すことで常に一歩先へ進む探求者。
ジン=フリークスは、念の威力そのものではなく再構築の知性で戦場を塗り替える存在である。状況の読み、因果の把握、相手の心理への即応—それらを直感的に合成し、最短で「面白い解」を導く。彼にとって念は技術ではなく、世界のルールを柔らかく扱うための“思考のインターフェース”だ。ゆえに彼の強さは、勝敗の積み上げでは測れない。
同時に、ジンは答えを固定しない。完成よりも更新を選び、結論を保留したまま観察を続ける。その姿勢は、メルエムの「理解」やネテロの「祈り」と同列の“悟り”に接近しながらも、人としての遊び心を保つ点で独自だ。神域へ踏み切るのではなく、あくまで人間のままで神の視点を覗き込む—この“未完の完成”こそが彼の強さの核である。
ゆえに本稿では、ジンをSSの最上段(準SSS)に位置づける。世界を改変する権能を持たずとも、世界を編集可能なものとして扱う知により、彼は概念的強者の手前に立つ。冨樫的強さの体系において、ジンは「神を観察する人間」という孤高の頂点で輝く。
●総合評価(ジン=フリークス)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | オーラ制御・切替・練度が世界最上位圏。わずかな手掛かりから他者の系統・操作手順を逆算できる観察と感覚を備える。 | SS+ |
応用技術 | “見ただけ/聞いただけ”の情報から機能等価の技を再現・改良する適応力(模倣・派生のセンス)。GI設計や環境ルールの利用を含むメタ運用に長ける。 | SSS |
戦闘能力 | 正面実戦の長尺描写は少ないが、対人読み合い・間合い管理・即興の構築力は頂点級。短期でも勝ち筋を発明できるタイプ。 | SS |
情報把握・統率 | 遺跡探索・GI開発・選挙編での陣立てなど、状況設計と人心操作に強い。必要なら“嫌われ役”も取れる現実主義で、長期的な勝ち筋を組める。 | SS+ |
精神面 | 好奇心駆動で自由だが、危険域でも遊び心と胆力を失わない。私心と大局の線引きを自分の規範で行う“頑固なプロ”。 | SS |
総合 | 「発そのもの」より“念の理(ルール)を運用する頭脳”が突出。描写制約を踏まえても、作中の知と応用の頂点級。 | SS(準SSS) |
メモ
- いわゆる“多才型”ではなく、他者の能力や場のルールを再設計して勝つ設計者。
- 巨大な一撃より、状況をひっくり返す一手を発明するタイプ。
- 直接の殴り合いの映像は少ないため“SSS”は保留しつつ、総合影響力は最上位帯と位置づけるのが妥当。
ネフェルピトー【ランクSS】

使命と本能が完全に一致した瞬間に宿る“人外の純粋さ”を描いた象徴的場面。
その眼差しには、冨樫義博が描く「忠誠と破壊の二律背反」が凝縮されている。
王直属護衛軍として誕生したネフェルピトーの強さは、圧倒的なオーラ量と反応速度、そして“円”による広域探知に支えられた状況優位の常時確保にある。戦闘では獣の本能に近い判断と観察が同時進行し、敵の意図を即座に嗅ぎ取って致命へ最短距離で迫る。特筆すべきは“玩具修理者(ドクターブライス)”による外科的修復・維持で、仲間や自分の戦闘継続性を異常な水準で高める点だ。ただし発動中は膝をついて集中を要し、行動制約という代償が生じる。
さらに“テレプシコーラ”(自己を操り人形化する強化・制御)によって身体能力を爆発的に引き上げ、思考より先に身体が殺到する“舞踏”のアルゴリズムを作る。この二系統—外科的維持と狂気の加速—が同一個体に同居することが、ピトーの特異性である。強さの核心は「王の存続」という目的に全資源を注ぐ忠誠であり、その一点が判断を迷いなく最短化する。人外の暴力と献身が結晶したこの在り方は、人間域を越えて“神域の縁”を覗くものであり、SSランクに相応しい。
●総合評価(ネフェルピトー)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 王直属護衛軍として生得的に完成された出力・密度・感度を備える。円・硬・凝の水準が人間域を大幅に超過。 | SS+ |
応用技術 | 治療系の玩具修理者(ドクターブライス)で損傷部位の縫合・再接続を行い、戦況を“巻き戻す”。自己操演型の黒子舞想(テレプシコーラ)で反射・機動を跳ね上げ、文字通り“操り人形”のように肉体性能を再設計する。広域索敵の円も脅威。 | SS |
戦闘能力 | 近接の膂力・爪の切断力・跳躍・反応速度が規格外。熟練ハンター(上位)を正面から制圧可能。ただし“極限形態のゴン”のような一時的超越には押し負ける。 | SS |
情報把握・統制 | 円と嗅覚的な感知、現場観察から優先順位を即時更新。護衛・医療・索敵をひとりで回せる作戦価値。ただし組織統率よりは現場最適化の才。 | S+ |
精神面 | 王への絶対帰依が核。無垢さと冷酷さが同居し、命令が倫理判断に優先するため“欺き”も辞さない。王への愛着が戦略判断を偏らせるリスクも内包。 | S+ |
総合 | “治す/操る/斬る”を一体化した最上位級の万能近接。人間の鍛錬では埋めにくい生得差の象徴であり、本稿体系では SS に相当。 | SS |
メモ
- 玩具修理者(ドクターブライス):応急外科の極致。戦場での“時間稼ぎ”と組み合わせると実質的な戦力回復装置として機能。
- 黒子舞想(テレプシコーラ):自己/他者の身体操作を高速化・精緻化する操演。“円”での索敵→機動強襲の流れが致命的。
- テーマは「無垢なる殺意」——生得の優越と献身が、倫理の空白を生み出すという冨樫的逆説を体現。
ゴン=フリークス(極限形態)【ランクSS】

「ゴン=フリークス」——誓約と制約が導いた“最も危険な成長”。
ゴン=フリークスの極限形態は、冨樫義博の強さ論における代償の純化である。彼は「いつか辿り着くはずだった到達点」を、未来を担保にして一挙に現在へ引き寄せた。ここで重要なのは、力の増幅ではなく時間軸の切り替えという構造だ。誓約と制約は単なる自己暗示ではなく、存在条件の再定義として作用し、身体・念・精神のすべてが“結果だけを残す”形に再配置される。ゆえにこの形態は、戦闘技術や経験の積み重ねを必要とせず、目的(意思)と代償(喪失)を直結させた短絡回路として成立する。
その帰結は苛烈である。勝つためではなく、選び取った結末に身体を合わせるための変貌であり、余白や救いを許さない。冨樫作品に通底する「覚醒=喪失」の図式はここで極点に達し、少年漫画の成長譚を反転させる。強さが人格の成熟を保証しないどころか、人格を切り捨ててでも“今”に賭けるという選択が、彼をSSへ押し上げる決定要因だ。メルエムやネテロのように概念へ昇華はしていないが、人間の意志が到達しうる最短最凶の解として、神域の縁を確かに覗き込んだのである。
●総合評価(ゴン=フリークス〔極限形態〕)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 本来は修行途上だが、誓約・制約による“将来の全能力を前借り”して一挙に最終到達点へ。基礎操作そのものは学習の延長、出力密度は人域外。 | SSS(瞬間) |
応用技術 | 「じゃんけん」を核に、強化系の直線火力を制約で極限まで増幅。発の構造は単純でも、代償設計の凶暴さで上位を粉砕する一撃仕様。 | SSS |
戦闘能力 | 近接・機動・反応・破壊力の全てがピトーを圧倒する瞬間最大出力。継戦性はゼロに等しいが、単発勝負の覇権は作中最上位級。 | SSS(瞬間) |
情報把握・統制 | 視野は“復讐の一点集中”。状況設計や長期戦略は切り捨て、目的完遂特化のトンネル化。運用は極めて危険。 | A− |
精神面 | 自己喪失級の覚悟と執念。自分の“未来”を支払う意思決定は人間離れだが、同時に倫理・自制が崩壊。 | S+(危険) |
総合 | 瞬間最大でSSS、持続・回復を含む総合ではSS。人が“強さの代償”で神域に触れた、冨樫的極北のケース。 | SS |
メモ
- 本態は“強化系の最終値を、誓約で一時的に実装”した形。勝つ代わりに未来を捨てるという等価交換が核。
- 〈じゃんけん・グー〉の直線火力は、条件が噛み合えば護衛軍級を一撃で処理できる水準。
- “強さの本質”というテーマに対する答えの一つ——力の獲得は、何かを失う選択の別名であることを示した象徴例。
【Sランク】――“到達しうる人間の極致”(1〜38巻ベース)
■ カイト|選べない力を選ぶ覚悟
「気狂いピエロ(クレイジースロット)」の不確定性を受容し最適解へ変換。
“運命との協働”という倫理で戦闘を再定義する狩人。
■ ゼノ=ゾルディック|老練の龍
広域制圧「龍星群」と機動・間合い管理の達人。
撤退判断と連携設計を含め、実戦設計が完成している。
■ シルバ=ゾルディック|質量で断つ当主
高出力の一点必殺と耐久・判断の三拍子。
最短で致命に届く“プロの殺し”を体現。
■ イルミ=ゾルディック|支配のロジック
「針」による肉体・精神の制御で行動を奪う。
潜入・偽装・遠隔支配まで統合した冷徹な運用。
■ モラウ=マッカーナーシ|戦場工学としての煙
“ディープパープル”で兵站・攪乱・拘束を同時に構築。
持久・機転・現場統制が高水準の万能型。
■ ノヴ|空間分割の戦術家
“ハイドアンドシーク”で戦場を多層化し、各個撃破の土台を作る。
精神負荷はあるが、運用が噛み合えば上位を詰ませる構築力。
■ ビスケット=クルーガー|隠された怪物
“真の姿”での近接はS帯上位圏。
基礎技術と指導力、持久の総合点が極めて高い。
■ キルア=ゾルディック|速度と判断の極
神経操作×電撃強化による“神速”で局地制圧。
消耗と持続を加味しても、総合戦力はS帯。
■ ナックル=バイン|誠実なる拳の論理
“ポットクリン”の利息制約で戦場を管理。
攻守の均衡・倫理観・判断の三位一体。
■ シュート=マクマホン|恐怖を手懐ける制御者
臆病さを制約に転じた精密操作。
遠近の切替と拘束で格上にも勝機を作る。
■ レイザー|遊戯と実戦の合一
球技念獣×本体火力でフィールドを支配。
単体戦・チーム戦いずれもS相当の脅威。
■ ゲンスルー(“ボマー”)|条件火力の実戦家
“カウントダウン”の爆破運用と近接の両立。
連携時の詰め性能が高いS−帯。
■ クラピカ|条件成立時の殲滅者
“緋の目×鎖”の制約下で対特定対象にS級殲滅力。
非適合時はA帯——振れ幅を明記した上でS扱い。
■ ウボォーギン|近接単発火力の極
純筋力×硬での一点突破と高耐久。
対策なき近距離戦では終盤級の圧殺力。
■ フェイタン=ポートオ|痛みの報復装置
“ペインパッカー”の条件が整えば殲滅級。
情報収集後の一点火力で戦況をひっくり返す。
■ フィンクス=マグカブ|廻天の蓄力
巻き数に比例して殴打が増幅する単純強化。
機会設計と連携でS帯の打撃上限に到達。
■ フランクリン=ボルドー|弾幕の重圧
“ダブルマシンガン”の継戦火力と面制圧。
遮蔽物・連携前提で戦場掌握に強い。
■ ボノレノフ=ンドンゴ|戦闘演武曲
“バト=レ・カンタービレ”の段階解放で広域殲滅。
溜め条件を通せばS帯上位の爆発力。
■ マチ=コマチネ|糸の外科と拘束
修復と拘束を両立する高機能サポート兼アサルト。
近接の勘と持久を含め総合S−帯。
■ シャルナーク|条件下の即時制圧
“携帯する他人の運命”で自他の制御。
準備・電波条件が整えばS帯、通常時はA上位。
■ ミザイストム=ナナ|協会最前線の統制
尋問・統制・対人制圧のプロトコルを体現。
純火力描写は限定的だが、総合実戦力でS。
■ ボトバイ=ギガンテ|対テロ実務の怪物
現場経験に裏付けられた制圧力と指揮能力。
描写は少なめだが、協会最上位としてS評価。
■ メレオロン|連携時に神域へ届く隠形
“パーフェクトプラン”単体はA+、
“神の共犯者”連携時はS相当のゲームチェンジャー。
カイト【ランクS】

選べぬ運命を受け入れ、それでも前へ進む狩人の矜持を可視化するコマ。
カイトの強さは、火力や技巧の誇示ではなく、不確定を引き受ける倫理にある。頭上に現れる道化の抽選は使用者の意志を排除し、出目に従った武器と戦い方を強制する。ここで彼は“選べない”を前提条件として受容し、状況読解と機転で最適解へ変換する。つまり戦闘を「偶然との協働」に作り替える存在であり、冨樫作品の主題である〈代償と覚悟〉を最も地に足のついた形で体現している。
また、導師としての態度も強さの内側に含まれる。感情に流されず、しかし情を切らず、生き延びるための現実感覚を弟子へ渡す。その後の壮絶な局面でも、彼の選択は“個の勝敗”を超え、意志の継続として回帰する。ゆえにカイトは神域には踏み込まないが、人間として到達しうる極致に立つSランクの核である。
●総合評価(カイト)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 出力・精度・切替が高水準で安定。野外戦での纏・練・硬・凝の持久運用に長け、索敵〜接敵まで破綻しない。 | S+ |
応用技術 | 具現化系「気狂いピエロ(クレイジースロット)」で出目に応じた武器を具現化。ランダム性という制約の代償に、高威力・広範囲・特殊用途の武器群を引き出せる。“条件を満たすまで仕舞えない”という縛りに適応し、武器特性に合わせて戦術を即興構築できる。 | S |
戦闘能力 | 近〜中距離の殲滅戦・対多数で随一。大鎌の間合い支配/一撃制圧、銃火器系の面制圧など局面対応力が高い。対上位個体(王直属護衛軍級)には分が悪く、瞬殺されうる天井も明確。 | S |
情報把握・統制 | 生態・痕跡の読解、地形と危険源の仕分け、同行者の安全マージン設計が卓抜。小隊規模の指揮・撤収判断を含め、実戦運用の総合力が高い。 | S+ |
精神面 | 冷静・実直・教育者気質。任務優先と保護対象の両立を図りつつ、自分が盾になる覚悟が揺るがない。極限状況でも動揺を最小化する胆力。 | S+ |
総合 | 「制約と即興」を両輪に現実の戦場で勝ち筋を作る職人型の最強圏。人間域の頂点(SS)には届かないが、汎用実戦力でSランクが妥当。 | S |
メモ
- 「クレイジースロット」は出目=戦術を強制する能力設計。リスクを呑み込み、“その武器で勝つ盤面”を創る発想力こそが核。
- 指導者としての資質(安全管理・撤退設計)まで含めると、任務成功率の高さが光るタイプ。
- 抽選の偏りや天敵級との遭遇など“引き”次第で落ちる天井も作中で示され、冨樫的な「強さの限界」の参照点になっている。
ゼノ=ゾルディック【ランクS】

己の気配を抑え、龍のような念を具現化する姿は、殺しの技を芸術へ昇華した老練の象徴。
ゼノ=ゾルディックの強さは、圧倒的な技量よりも戦場設計の完成度にある。
「龍星群」など広域型の攻撃を自在に制御しながら、地形・間合い・撤退経路までを含めた“戦術の閉じた世界”を即座に構築する。その判断の速さと冷静さは、若い暗殺者のような衝動ではなく、何千もの“任務と生還”を積み重ねた結果としての経験知に裏打ちされている。
彼は殺しの技を芸術のように扱うが、それは虚飾ではなく合理性の極。
一方で、依頼内容に対しては「金額」「条件」「命の秤」を冷静に測る倫理観を失わない。
冨樫義博が描く“強者の老い”を最も端的に体現しており、力とは行使の節度であるという哲学を具現する存在。
圧倒的火力を持ちながらも、退くべき時には迷わず退く。
その柔軟な判断と構築力こそ、ゼノがSランクの頂点に立つ理由である。
●総合評価(ゼノ=ゾルディック)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 長年の実戦で磨かれた出力・精度・切替が老練の極みに達する。円・硬・凝の運用にほぼ破綻がない“教科書の完成形”。 | SS |
応用技術 | 具現化系寄りのオーラ造形「龍頭戯画」で攻防・移動・拘束を一体化。上空からの面制圧「龍星群(ドラゴンダイブ)」は殲滅と分断に有効で、連携(例:同調砲撃・着地誘導)まで見据えた設計。 | S+ |
戦闘能力 | 近〜中距離の取り回し、間合い管理、退路設計が卓抜。対上位個体とも長手数で互角以上に渡り合えるが、王級(メルエム)には決定打不足。 | S+ |
情報把握・統制 | 索敵・観察・地形利用に長け、任務単位での被害最小設計が得意。同業(シルバ)や他勢力(ネテロ)との即席連携で最大効率を引き出す職人。 | S+ |
精神面 | 冷静・実務的で不要な殺生を避ける倫理的制動を持つ。状況が“割に合わない”と判断すれば即時撤退できる判断力。老獪さゆえ動揺が少ない。 | SS− |
総合 | 人間域S帯の“業務最適解”。瞬間最大よりも、作戦成功率と安全域の設計で勝つタイプ。頂上決戦の決め手は欠くが、実戦総合力は屈指。 | S |
メモ
- 「龍頭戯画」:輸送・遮蔽・拘束・打撃を同時に担う多目的オーラ体。
- 「龍星群」:広域攪乱/面制圧に特化した降下針。単独殲滅より分断・進路確保で真価。
- テーマは“プロの節度”。圧倒的火力ではなく、任務成功と被害最小を両立させる冨樫的“現実の強さ”。
イルミ=ゾルディック【ランクS】

効率と最適化だけを信奉する、支配のロジックの体現者。
イルミ=ゾルディックの本質は、火力ではなく支配の設計にある。彼は針を用いて外見・筋肉・神経の配線を操作し、自身の姿を自在に組み替えると同時に、他者を「針人間」として制御下に置く。これらは変装や囮だけでなく、都市空間での同時多発的制圧・撤収経路の確保まで含めた作戦単位の最適化として機能する。すなわちイルミの念は、個人戦の技ではなく、任務を成功率で設計するための“ロジック”である。
特筆すべきは意思決定への介入だ。脳内への針で対象の行動傾向を上書きし、危険前で撤退を選びやすくするなど、戦闘の“前段”で勝敗を傾ける。さらに多数の針人間を遠隔で運用することで、監視・追跡・自爆的制圧までを一人で賄う。準備と条件の管理を徹底し、最小リスクで最大成果を常に志向する姿勢が、彼をS帯に押し上げる決定因子である。
一方で、針運用は準備依存・命令の単純化という制約を伴い、純粋な近接殴打で王直属級を押し切るタイプではない。ゆえに格付けはS止まりとなるが、暗殺という文脈に限れば上位層すら凌駕しうる実効性を持つ。冨樫作品が描く「自由意志と制御」のテーマにおいて、イルミは愛情すら最適化してしまう冷徹な合理の極として位置づくのである。
●総合評価(イルミ=ゾルディック)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 幼少より暗殺訓練と念修行を受け、出力・制御・継戦能力ともに極めて高水準。念の四大行を戦術的に使い分ける基礎力を備える。 | S+ |
応用技術 | 操作系を核にした狙撃・暗殺特化の運用が卓越。針(ニードル)を用いた遠隔操作・人格干渉、変装や長距離刺突を組み合わせ、相手の反応を前提に戦場を設計する能力は非常に洗練されている。 | S+ |
戦闘能力 | 暗殺者としての接近戦術、遠距離精密射撃、瞬間的な致命打の実行力が高く、単独任務での成功率は高い。正面からの連戦持久戦や“力押し”に特化した相手(ウボォーギン級)には分が悪いが、狙いを絞った一対一・任務型では上位。 | S |
情報把握・対人操作 | 標的の癖・弱点を観察して計画を組む能力は極めて高い。精神操作・人格改変(針を用いた介入)を含むため、戦略的に相手を“道具化”できる危険性を持つ。協調よりも目標達成を優先する運用が目立つ。 | S+ |
精神面 | 感情の抑制・倫理的拘束の欠如が核。家族的忠誠と職業倫理(暗殺者としての効率)を優先し、必要なら血縁者にも冷酷に介入する。心理的耐久は高いが、内面に病的な執着や操作欲が見える。 | S(危険度↑) |
総合 | 「暗殺任務」という文脈での最適解を体現する人間兵器。純火力で殴り合うタイプではないが、情報・準備・操作を組み合わせればほとんどの実戦状況で勝ち筋を作る。よって総合評価はS(暗殺・任務評価ではS+相当)。 | S |
モラウ=マッカーナーシ【ランクS】

力押しではなく、構築によって勝利条件を設計する。
モラウの強さは、煙という可塑的な素材を兵站・攪乱・拘束へと再配置する“戦場工学”にある。念で生み出した煙を分割・同時操作し、囮・索敵・包囲・護送まで一人で賄う「小部隊」を即席で構築する。“ディープパープル”は単なる分身術ではなく、敵の認知をずらしつつ味方の行動線を最短化する指揮系の能力であり、作戦全体の速度と安全度を底上げする装置である。さらに“スモークジャイル”のような囲い込みによって、火力差のある相手にも領域優位で対抗しうる。
特筆すべきは、技術を成立させる胆力と持久である。高い肺活量と制御精度により、大量ユニットの同時稼働を安定化させ、長時間の隠密・間接戦を可能にする。師弟(ナックル/シュート)との連携下では、相手の性質に応じて役割を即座に再編し、撤退と再侵入を繰り返す“現場最適化”を実現する。冨樫的強さの定義に照らせば、モラウは力の誇示ではなく、状況を設計して勝つという成熟形であり、人間が到達しうる総合実戦力の極としてSランクに位置づけられる。
●総合評価(モラウ=マッカーナーシ)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 出力・制御・持久の三拍子が高水準(肺活量=資源管理)。 | S+ |
応用技術 | 「ディープパープル」「スモークジャイル」「紫煙分身/兵団」などで地形・人数・視界を再設計。 | S+ |
戦闘能力 | 対多数制圧・拘束・分断に長け、単独撃破実績も明確。上位個体にも時間稼ぎ・足止め可。 | S |
情報把握・統率 | 潜入作戦の設計・現場指揮・隊員運用が卓抜(ノヴ連携で真価)。 | SS− |
精神面 | 冷静沈着・胆力高。状況悪化でも任務遂行を優先。 | SS− |
総合 | 実戦運用の完成者。戦場を“作る”側の上位。 | S |
📌メモ:紫煙系は環境依存(風・酸素)が制約。拘束・誘導・偽装の多目的運用で討伐隊の中核を担う。
フェイタン=ポートオ【ランクS】

怒りでも憎しみでもなく、理不尽を測る秤としての報復。
フェイタンの強さは、念能力「ペインパッカー」に集約されている。
被った痛みをエネルギーに変換し、衣服のように纏うその姿は、まさに苦痛の反射装置である。特筆すべきは、この能力が“怒りの爆発”ではなく、冷静な儀式として描かれる点だ。彼は激情ではなく、計測に近い精密さで報復を行う。つまりフェイタンにとって痛みは「感情」ではなく「秤」――自らに与えられた損傷を尺度として、世界の歪みを正すための装置なのだ。
その冷徹さは、幻影旅団という集団の中でも異彩を放つ。
仲間の死や敵の嘲笑に対しても、彼は決して激情しない。代わりに、静かに怒りを圧縮して形に変える。そこには復讐者ではなく、裁定者の冷たさがある。
冨樫義博が描く“強さ”の本質が「感情と論理の衝突」にあるならば、フェイタンはその中庸を取る存在――人の理性が獣を制御する臨界点を体現している。
戦闘面では、瞬発力と機動の高さが群を抜き、旅団内でも上位クラス。だが彼の真価は、戦場の“空気”を読む感覚と、痛みに比例して戦闘力が拡張する変動型能力者としての柔軟性にある。
「痛み=記録」という概念を具現化する彼は、冨樫作品全体で繰り返される“代償による成長”の縮図であり、
強さとは、喪失を正確に測ることだと語る存在である。
●総合評価(フェイタン=ポートオ / Feitan)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 纏・練・硬・発の運用精度・切替速度が高く、瞬間的な出力増強と回避に長ける。 | S+ |
応用技術 | 受けた痛みを変換して反撃する特殊運用(装甲生成・熱化)。多系統の運用(変化/発/放出の併用)を見せる。 | S+ |
戦闘能力 | 近接〜中距離での殲滅力と速攻性に秀でる。刀/傘(隠し武器)や超高速の手数で致命打を着実に重ねる。 | S |
情報把握・対人操作 | 拷問・尋問技能に長け、相手の反応を引き出して戦況を作る“拷問屋”的な観察眼を持つ。 | S |
精神面 | 残虐性・実行力が高く、怒り(トリガー)で能力を最大化する傾向がある。冷徹さと残虐性が評価/危険性を高める。 | S(危険度↑) |
総合 | 変幻自在かつ凶悪な“応用力”と戦闘センスを併せ持つ刺客型。一撃・範囲ともに強力な切り札を持つため、総合S評価が妥当。 | S |
📌メモ(出典・根拠)
- フェイタンの発は変化系に分類され、代表技名は ペインパッカー / ライジングサン(受けた痛みを変換して熱・太陽状の攻撃にする、威力は受けたダメージに比例)であることが作中描写・資料で確認できます。
- 発動時に“鎧”のような防護を生成しつつ、熱攻撃(Rising Sun)の広域火力を放つため、被害想定が大きく、旅団内の数名が視認で危険を訴えた描写もあります(能力の危険度とスケール感の根拠)。
ウボォーギン【ランクS】

強化系の極致にある肉体とオーラの同調を象徴する一瞬。
幻影旅団随一の豪腕にして、強化系の王道を体現する戦士。ウボォーギンの強さは、練で膨張させたオーラを最短経路で打撃に転化する“直線の哲学”にある。銃火器や爆発を正面から受けても前進を止めない耐久、そして拳に凝集させた一撃「ビッグバンインパクト」による局地制圧級の破壊力が核。咆哮は広域の威圧・合図・攪乱として機能し、非念の敵ならそれだけで行動を崩せる。ヨークシンでは陰獣の複合攻撃を力ずくで突破し、捕食や拘束すら“出力差”で振りほどいた。
一方で、彼の戦闘は“力の純度”と引き換えに対術・制約系への脆さを抱える。ク ラピカ戦では、旅団限定の誓約によって強度を得た鎖(拘束系)を前に、強化での破砕が成立しないという構造的な不利が露呈した。つまり、ウボォーギンは“どんな壁も殴り壊す”が、その壁が条件で硬化した理(ルール)である時、力の直線性が裏目に出る。
それでも評価はS。理由は明快で、近接一対多の殲滅力、弾丸を無効化する耐久、戦意を折る威圧——いずれも人間域の頂点水準にあるからだ。冨樫作品における“強さ”は、時に知略や制約で逆転されるが、ウボォーギンはその逆転を成立させるために必要な“規格外の暴力”という基準線を提示した。強化系が到達しうる極点。その純度の高さゆえに、彼はSランクの象徴である。
●総合評価(ウボォーギン)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 強化系としての基本四行(纏・練・硬・発)が全て高水準。単純だが精度が極めて高く、基礎技術だけで他系統を圧倒。 | SS− |
応用技術 | 「ビッグバンインパクト」に代表される純粋強化型の極地。放出系を副次的に併用し、破壊範囲と威力を両立。 | S+ |
戦闘能力 | 物理的耐久・膂力ともに人間の限界を超える。銃弾を歯で受け止め、ロケット弾にも耐える防御性能。真正面からの力比べでは作中屈指。 | SS− |
情報把握・統制 | 状況判断は単純明快で、戦略よりも感覚・経験に基づく判断を優先。仲間への信頼や連携意識は高いが、思考は直線的。 | A+ |
精神面 | 自尊心・闘争本能・戦士的矜持が核。死を恐れず全力で戦う姿勢は純粋な戦闘狂として完成されている。 | S+ |
総合 | “肉体と念の完全同期”による暴力的な強さを体現。思考戦には弱いが、正面衝突では最強格。 | S |
📌メモ:
・強化系の純粋形態としての象徴的存在。冨樫が描く「単純ゆえに強い」の具現。
・「ビッグバンインパクト」は放出を併用した“念弾”であり、直撃時の破壊力は山をも穿つ。
・一方で頭脳戦・心理戦に対応する柔軟性は低く、クラピカの鎖に対して完封された点が“純強化型の限界”を象徴している。
キルア=ゾルディック【ランクS】

キルア=ゾルディックの強さは、才能や血統に還元されるものではない。
それは「殺しの家系」という宿命を背負いながらも、自分の心を守るために強くなるという、逆説的な進化にある。
彼の念能力“雷掌(ナルカミ)”および“神速(カンムル)”は、戦闘技術の結晶であると同時に、自己制御の象徴でもある。
電気は痛みを伴う訓練の果てに身についたものだが、キルアはそれを苦行ではなく、自由へ向かう道具として昇華した。
この点において、彼の強さは冨樫的テーマ「能力=人格の外化」を最も純粋に体現している。
「神速」は単なる速度強化ではなく、意思決定の自動化と反射神経の同化による“肉体のアルゴリズム化”である。
攻撃と回避の判断を神経電流に委ねることで、思考の遅延を排除し、戦場を“反射の世界”に書き換える。
つまり、キルアの強さは「考えないこと」ではなく、「考えるよりも早く正解を選ぶ」こと――すなわち生存本能を信じ切る知性にある。
この冷静な演算と瞬発的な情動の融合こそ、冨樫義博が描く「少年の覚醒」の最終形態だ。
さらに彼は、仲間との関係を通じて“殺すための強さ”から“守るための強さ”へと転化する。
その変化は、力の向かうベクトルの再定義であり、単なる強者の進化ではなく、倫理を伴った力の成熟を意味する。
幼年期のトラウマを超え、心の自由を奪う家族の支配から脱するまでの過程全体が、彼の戦闘哲学の一部だ。
ゆえにキルアのSランクは、速度や技術の指標ではなく、“感情を制御したまま、心を失わない”という冨樫的理想像に由来する。
——力を得ても、彼は「優しさ」を失わない。
その一点において、キルアは“強さの終着点”ではなく、“希望としての強さ”を担う存在である。
●総合評価(キルア=ゾルディック)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 主に変化(Transmutation)、補助的に強化(Enhancement)寄り。オーラの性質を電気に変える応用力が高く、基礎の切替精度・制御は最上位クラス。 | SS+ |
応用技術 | 電気を用いる専用技群(サンダーボルト系・ライトニングパーム等)、そして作中で明示的に登場する神速(Godspeed)——反応と移動を電気で補助する複合技を習得。短期決着に特化した運用設計が核心。 | SSS(瞬間) |
戦闘能力 | 近・中距離の対人最適化に非常に強い。単体火力は強化系最強格には劣る場面もあるが、速度と反応の差で上位を凌駕する。瞬間的な殲滅力はSSS相当の場面を作る。 | SS/SSS寄り |
情報把握・対人操作 | 暗殺家系の教育による暗視・追跡・罠設定能力が高く、戦術設計と即応性でチーム戦でも高い貢献をする。 | SS |
精神面 | 幼年期の洗脳と家族背景で冷静かつ非情に振るう一方、仲間への忠誠と感情が戦闘判断に影響する局面もある(短期の暴走性・保護欲と併存)。 | S+ |
総合 | 短期決着(瞬間最大出力)を狙うならSSS的能力を発揮しうるが、持続や純粋火力という尺度ではSS級。対人戦で勝ち筋を作る設計力が凄まじく、総合評価はSS〜SSS寄りが妥当。 | SS(最高域) |
クラピカ【ランクS】

“命をかける”という言葉は、復讐ではなく秩序への誓いを象徴する。
クラピカの強さは、念能力の純出力ではなく制約設計にある。具現化した五指の鎖は役割が明確で、親指は治癒(ホーリーチェーン)、薬指は探知・判定(ダウジングチェーン)、中指は拘束(チェーンジェイル)、小指は違反即死の刻印(ジャッジメントチェーン)を担う。さらに緋の目発動下の「絶対時間(エンペラータイム)」では系統適性が均一化し、通常では不可能な精度で運用できる。この論理的尖鋭化が、特定状況における殲滅力を保証する。
中でもチェーンジェイルは“幻影旅団にのみ使用する”という誓約で強度を獲得し、対象を絶(念封じ)へ強制する。これは冨樫作品における「代償=力」の典型であり、クラピカは自らの生存域を縮めることで勝利条件を拡大している。小指のジャッジメントチェーンは心臓に条件を刻み、違反を即死で裁く究極の抑止力であるが、発動は高リスクで、倫理面の緊張を伴う。
総じてクラピカは、条件適合時には上位層を屠る特化型のSであり、適合外ではA帯に落ちる振れ幅を内包する。強さの本質は、復讐心そのものではなく、感情を規律に変換する意思にある。鎖は暴力の象徴ではない。約束と秩序を可視化する装置であり、彼はその重さを背負ったまま、なお“人間としての線”を踏み越えない点でSランクに位置づく。
●総合評価(クラピカ)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 具現化系/緋の目発動で特質系化。基礎操作の精度が高く、瞬時の切替も安定。 | S+ |
応用技術 | 絶対時間(エンペラータイム)で全系統100%適性化/五指の鎖:<br>親指聖なる治手(ホーリーチェーン)、人差し指奪う人差し指の鎖(スティールチェーン)、中指鎖の緋縛(チェーンジェイル)〔旅団限定〕、薬指導く薬指の鎖(ダウジングチェーン)、小指律する小指の鎖(ジャッジメントチェーン)。 | SS |
戦闘能力 | 旅団特化下での拘束・処刑性能が最上位級。対多数は苦手だが一対一制圧は極めて高い。 | S+ |
情報把握・統率 | ダウジングによる追跡・嘘判定、証跡の束ねで作戦精度を高める。小隊指揮も堅実。 | S |
精神面 | 執念と自己統制が核。復讐動機は強いが任務では抑制的に運用。 | S |
総合 | 条件戦の鬼。対旅団=SS級、汎用=S級の二面評価で総合S。 | S |
📌メモ
- 鎖の緋縛(チェーンジェイル)は“幻影旅団限定”の誓約で強度を得る。非旅団に使用すれば自滅条件が発動。
- 絶対時間は強力だが寿命消費(起動中の時間対価)とオーラ消耗が大きく、長期戦・連戦は不向き。
- ジャッジメントチェーンは絶対時間下で発動、心臓に刃を刺し“掟”で拘束・違反即死。証言強要・停戦合意の担保として機能。
ノヴ【ランクS】

手刀で空間を切り裂き、敵を異空間へ強制転送する“四次元マンション”の応用技。
ノヴの念能力「四次元マンション(ハイドアンドシーク)」は、触れた地点に“入口”を作り、別次元の安全空間へ出入りできるという極めて応用度の高い能力。
この“異空間”は階層構造を持ち、物資の保管・人員輸送・待機・隔離など、作戦の基盤として機能する。
宮殿突入作戦では、この能力がなければ討伐隊の潜入経路そのものが成立しなかった。つまりノヴは戦場そのものをデザインする戦略レベルの念能力者であり、戦闘単体よりも「戦場成立の根幹」に位置する存在。
一方で、王直属護衛軍(特にプフ)の“圧”により精神的崩壊を起こし、戦闘不能に陥った過去がある。しかしそれは臆病ではなく、超越的存在を前にした人間の限界を描いた象徴的エピソードとされる。
総評としてノヴは、
- 単体火力:A級上位。
- 任務・戦略価値:S級。
- 能力応用性・理論構築力:S級。
“破壊の強さ”ではなく、“構造を操る強さ”。
冨樫義博の思想的テーマ「強さとは知と構築に宿る」を体現する、最も“冨樫的”なSランクキャラである。
●総合評価(ノヴ)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 出力・制御・切替が高水準。繊細な設置運用でも破綻なし。 | S+ |
応用技術 | 四次元マンション(ハイドアンドシーク)で異空間を運用/窓を開く者(スクリーム)で空間切断・強制転送。 | SS− |
戦闘能力 | 直接火力は中〜上位だが、スクリームでの瞬殺性能・隔離が脅威。 | S |
情報把握・統率 | 潜入経路設計、集合点管理、撤退線の確保など作戦中枢を担う。 | SS− |
精神面 | 抑制的で現実的。超格上の“圧”で崩れる弱点はあるが、任務遂行意志は高い。 | S |
総合 | 戦うより戦場を成立させる力で上位。任務価値を含めS評価が妥当。 | S |
📌メモ:
- 作戦時はノヴの異空間が潜入・兵站・負傷者搬送・隔離の基盤。
- スクリームは攻防一体の“刃”として機能し、遭遇戦の最短解を作る切り札。
【Aランク】――“現実的最強圏”(1〜38巻ベース)
神域(SSS/SS)には届かないが、技量・応用・経験で上位に食い込む層。
※暗黒大陸勢や戦闘描写が乏しい人物は保留。
ハンター協会・ゾルディック家・周辺
■ ハンゾー|忍具×念の実戦巧者
隠密・拘束・拷問まで一貫運用。選挙編でも高水準の機動と判断。
■ ウイング|基礎の鬼
“纏・練・絶・発”の教導者。自戦も堅実で、対人戦に強い。
■ ツボネ|変形と追尾の職人
“乗り物”化と追跡で任務成功率を底上げ。随伴力が突出。
■ ゴトー|硬質硬貨の制圧術
近距離の弾幕制圧に長けた執事。護衛任務の即応力が高い。
■ カナリア|抑止の天才
初撃の見切りと棒術で要人エリアを封鎖。若年だが実力確か。
十二支ん(戦闘描写がある範囲)
■ チードル=ヨークシャー|医療と情報の要
戦闘は限定的だが、対策立案と現場運用でA帯の総合力。
■ サイユウ|潜入と攪乱
諜報寄りだが、近接もこなすバランス型。
■ ピヨン/クルック/ゲル/サッチョウ/ギンタ|実務型
各分野の専門性で作戦成功率を支えるA帯。
(※ミザイストム/ボトバイはS評価のため本リスト外、カンザイはA+〜S−の振れ幅)
幻影旅団(A帯)
■ ノブナガ=ハザマ|抜刀間合いの圧
至近距離の読み合い特化。間合い管理に優れるが汎用性に課題。
■ シズク=ムラサキ|掃除機の具現化
“デメちゃん”で物質除去・追跡・後始末。対策なければ戦果大。
■ パクノダ|記憶の銃
尋問・追跡・誓約強制の要。組織戦で真価を発揮。
■ コルトピ|複製の攪乱
偽装・補給・撹乱の達人。直接火力は低いが作戦価値が高い。
■ シャルナーク(通常時)|制御のエンジニア
平時A+。自動操作モード成立時はS相当の瞬間制圧力。
グリードアイランド
■ ツェズゲラ|消耗戦の名手
体力配分・撤退判断が卓越。持久と基礎の教科書。
■ サブ/バラ|連携爆破
“カウントダウン”の補助運用でA帯。連携前提の実戦家。
■ ゴレイヌ|黒白ゴリラの布陣
位置交換・遮断の巧者。場をいじることで優位を作るA。
キメラ=アント(護衛軍以外)
■ メレオロン(単独)|完全隠形
“パーフェクトプラン”単体でA+。連携時はS相当。
■ イカルゴ|遠隔制御の狙撃手
死体操作と知略で奇襲に強い。任務遂行力が高い。
■ パーム=シベリア|監視と変異強化
潜入監視の特化+変異後の前線適性でA帯。
■ コルト|指揮と交渉
索敵・連絡・保護で戦場の秩序を整える。
■ レオル(ハギャ)|借用能力の運用
“レンタルポッド”系の応用で中距離戦に強み。
■ チードゥ|超機動の個人技
速度で翻弄するが、対策されやすくA−止まり。
■ ザザン|近接の局地殲滅
変態後の破壊力で制圧。範囲戦・連携に弱点。
■ ウェルフィン/ブロヴーダ/フラッタ/パイク|局地要員
状況と地形が噛み合うとA帯の役割遂行力。
マフィア・陰獣(ヨークシン)
■ 梟(オウル)|収納と輸送の特殊運用
“隠し金庫”で物資・人員を守る。対旅団戦ではA−。
■ ミミズ/ヒル/ヤマアラシ|特化型の抑止
拘束・毒・体内貯蔵など局地的に強力。総合A−。
天空闘技場ほか
■ カストロ|幻影の技巧派
“分身”のトリックで上位層にも食い下がる。総合A−。
条件差によるA帯相当
- クラピカ(非適合時):A(→ 旅団適合時はS)
- ゴン(通常時):A(→ 極限形態はSS)
- キルア(通常時):A+(→ “神速”運用込みでS)
シズク=ムラサキ【ランクA】

“痕跡”を消すという行為が、戦いの意味さえ書き換える。
シズクの強さは、火力誇示ではなく機能の純度にある。具現化系の“デメちゃん”は、生体を除く無生物—血液・毒・破片・衣類・装備など—を吸い込み、必要に応じて吐き戻す。これは単なる後始末ではない。証拠の抹消、重量の一時退避、視界・足場の確保、毒や体液の除去による応急処置まで、戦闘と作戦の両面で優位を作る装置である。旅団という犯罪集団において、彼女は“破壊の後に残るもの”を処理し、戦場を次の行動に最適化する—その役割は、作劇上の倫理をも可視化する。
また、具現化物の操作精度は高く、吸引の瞬発力は拘束・奪取にも転じうる。生体を吸えないという明確な制約が、かえって運用を研ぎ澄まし、痕跡=情報を奪う戦い方へ収束させる。近接格闘の才で押すタイプではないが、証拠・物量・環境を“無にする”こと自体が強さの一形式であり、旅団の機動を陰で支える中核である。冨樫作品が描く「暴力の後始末」という冷ややかな現実性を、彼女は能力そのものに変換する。ゆえにシズクは、派手さに乏しくとも実戦総合力でAランクに位置づくのである。
●総合評価(シズク)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 具現化系の基礎運用は安定。冷静な間合い管理と持久も良好。 | S− |
応用技術 | 具現化掃除機「デメちゃん」で無機物・体液・毒・痕跡を吸引/証拠隠滅・脱出補助・治療補助に展開。 | S |
戦闘能力 | 近〜中距離の実戦で堅実。奇襲・継戦・装備戦が得意だが、瞬発火力は旅団上位に劣る。 | A+ |
情報把握・統率 | 後処理・偵察補助の実務力が高い。状況の切り替えが速く、連携適性に優れる。 | A+ |
精神面 | 平常心と実務主義。動揺が少なく、撤退・切替の判断が早い。 | A+ |
総合 | 旅団の後方戦力兼サブアタッカーとして完成度高。切り札性は低いが任務価値が高くA評価。 | A |
📌メモ
- 制約:生物(“生きているもの”)は吸えない/対象選別はシズクの認識に依存。
- 強み:証拠消去・毒吸引・物資運搬など作戦の可逆性を担保。単独より連携時に真価。
パクノダ【ランクA】

それは情報戦を越えた、信義の象徴としての念能力。
パクノダの強さは、戦闘火力ではなく情報支配と信義の構築にある。
具現化系能力“記憶弾(メモリーボム)”は、接触した相手の記憶を読み取り、銃弾として具現化し、それを撃ち込まれた者に情報を共有するという極めて特殊な機構を持つ。
この念は、敵の記憶を奪うだけでなく、仲間に真実を遺す手段でもある。
彼女が命を賭して旅団の裏切りを告げたシーンは、冨樫作品全体でも屈指の倫理的転換点であり、「念=意志の延長」という原則をもっとも鮮明に示した場面だ。
パクノダは戦闘能力そのものではS帯に届かない。だが、尋問・情報戦・記憶共有という複合運用で、戦闘以外の局面を支配できる存在である。
冨樫義博が描く“念能力者の本質”とは、超常的な力を通じて倫理と信頼の形を問うことにある。
その意味で、彼女の強さは「仲間に託す力」であり、単独の勝敗を超えた組織と絆の持続力として表現されている。
彼女の死によって旅団は“暴力の集団”から“意志を継ぐ共同体”へと変わった。
ゆえにパクノダは、物理的な強さではなく、信義を代償に世界を変える力としてAランクに位置づけられる。
●総合評価(パクノダ)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 特質系の適性が明確。触れることで記憶を読み取る“サイコメトリー”的運用を持つ。 | A |
応用技術 | 引き出した記憶を具現化した弾に込めて撃つ記憶弾(メモリーボム)を保有。情報配布・証拠移転の機能は作中屈指。 | SS− |
戦闘能力 | 直接殲滅力は高くない。旅団の戦力補助・情報工作が主任務。 | B |
情報把握・統率 | 情報収集・秘匿・共有における即時性と汎用性が極めて高く、組織運用への貢献度はSS級。 | SS |
精神面 | 仲間への忠誠心と職人的慎重さを併せ持つ。自己犠牲的な判断も可能。 | A+ |
総合 | 戦闘より情報価値で群を抜く特異点。運用次第で戦局を一変させるため総合A(情報軸ではS相当)。 | A |
📌メモ(出典・根拠)
- パクノダは対象に触れて記憶を読み取り、質問で深層記憶を抽出できる描写がある。
- 抽出した記憶を「記憶弾(メモリーボム)」として具現化し、他者に撃ち込むことでその記憶を植え付け(または条件によっては元の所有者がその記憶を失う)運用する。
- 作中では旅団内の複数人(ノブナガら)に情報を伝達するためにメモリーボムを使用している実績がある。
- 作中立ち回りは戦闘直行型ではなく情報戦の切り札であり、その希少性と危険度から旅団内部でも重要視されていた。
ツェズゲラ【ランクA】

派手な必殺技を持たずとも、現場を制御する力を体現する。
ツェズゲラの強さは、念能力そのものよりも状況判断とリスク設計にある。
彼はグリードアイランド編で、攻撃・防御・撤退の三位一体を完璧に管理し、限られた情報下でも最適解を導き出す冷静さを見せた。
念の基本操作(纏・練・絶・発)を高水準で運用しつつ、戦況の流れを読む戦略眼は、冨樫作品における“戦闘をゲーム理論として理解する者”の典型である。
それは「力の行使」ではなく、「力の選択」を最適化する知性の形であり、いわば念のマネジメント能力とも言える。
彼がAランクに位置づくのは、単なる熟練者というより、“負けない戦い方”を構築できる希少な実戦家だからだ。
彼にとって念は、暴力の道具ではなく、現場の最適化システムである。
そのため火力や速度ではS帯に及ばないが、総合戦術・体力配分・撤退判断の的確さでは上位層に匹敵する。
冨樫義博が描く「念=自己の拡張」の観点で見れば、ツェズゲラは感情よりも理性、勢いよりも生存を選ぶ。
それは一見地味だが、戦場では最も人間的で、最も実戦的な強さである。
派手さを捨てた理性の強者。
ツェズゲラは、“勝つための念”ではなく、“生き残るための念”を体現するAランクの完成形といえる。
●総合評価(ツェズゲラ)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 出力・制御ともに安定。持久運用と切替に破綻なし(実戦経験に裏打ち)。 | S− |
応用技術 | グリードアイランド環境でのカード運用・契約管理・対人交渉に長ける実務型。奇襲火力より状況設計が核。 | A+ |
戦闘能力 | 正面火力は上位帯に劣るが、回避・間合い管理・撤退線の設計で負けない戦いを作る。 | A− |
情報把握・統率 | 現場裁量・隊編成・役割最適化が巧み。利害調整と安全域の確保に強い。 | S− |
精神面 | 冷静・誠実・現実的。契約遵守と撤退判断が明確で、感情で崩れにくい。 | S− |
総合 | 任務完遂率を高める“堅実なA帯リーダー”。一撃必殺はないが、作戦価値が高い。 | A |
📌メモ
- グリードアイランドでは対人衝突を避けつつ成果を積む運用を徹底。強襲より交渉・時間稼ぎ・撤退判断に秀でる。
- “勝つ”より“負けない”を選べる判断力が評価の要。
ゴレイヌ【ランクA】

黒白の対称性で、秩序を組み替える念能力者。
ゴレイヌの強さは、“黒のゴリラ”と“白のゴリラ”による空間制御と位置交換にある。
具現化系能力者でありながら、純粋な火力ではなく地形と人間の配置を支配することで戦況を支配する。
特筆すべきは、この位置交換能力が「ゴレイヌ自身・仲間・敵」の三者を自在に入れ替えられる汎用性にある点だ。
冨樫義博が描く“念能力=思考の具現化”という理念において、ゴレイヌの能力は秩序と空間の再編を象徴している。
また、彼の戦闘スタイルには人間的な冷静さがある。
戦闘中でも仲間を優先し、状況に応じて自らを犠牲にしても戦線を整える。
それは単なる献身ではなく、「戦場をシステムとして維持する理性」に基づいた選択である。
“黒白のゴリラ”というユーモラスな造形の裏には、秩序と混沌の均衡というテーマが隠されており、彼の念はそのメタファー的表現と言える。
純粋な破壊力ではA帯上位にとどまるが、
能力運用・連携適性・環境操作の三要素が極めて高く、小規模作戦での指揮・支援・誘導においてはS帯にも匹敵する働きを見せる。
冨樫作品の中で、ゴレイヌは“戦いを設計する者”という新しい強者像を提示しており、
その冷静な空間思考こそがAランクにふさわしい“戦略的強さ”の体現である。
●総合評価(ゴレイヌ)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 具現化系の基礎運用が安定。持久と切替に破綻がなく、実戦での消耗管理が巧み。 | S− |
応用技術 | 具現化した“黒/白”のゴリラを二体同時運用し、位置入れ替え・挟撃・遮蔽・壁当てで盤面を再設計。 | A+ |
戦闘能力 | 直線火力より位置取りと衝突ダメージで優位を作るタイプ。足止め・分断は強いが、最上位には決定打不足。 | A− |
情報把握・統率 | GIでの隊列運用・囮/回収の役割分担が巧み。撤退線の確保や状況判断が堅実。 | A |
精神面 | 冷静・実務志向で度胸も十分。仲間志向が強く、無理をしない現実的判断ができる。 | A |
総合 | 「位置」と「人数」を武器化する前衛支援。対人戦の勝率設計に寄与する現実的強者としてA評価。 | A |
📌メモ
- 二体維持はリソース消費が大きく、長期戦では管理が鍵。
- “入れ替え”で被弾を回避しつつ奇襲角を増やす運用が持ち味。
ハンゾー【ランクA】

念未習得の時点で“達人”の域にあり、体術と精神力の完成度で試験官すら認めた戦闘のプロ。
ハンゾーは、冨樫作品において珍しく「能力未公開のまま強さが保証された人物」である。
その理由は、念以前に積み重ねた基礎体術と忍具運用の完成度にある。
ハンター試験時点で、ゴン・クラピカ・レオリオの誰をも即座に制圧できる戦闘力を示しており、
彼の動きは念を纏う前から、すでに“戦場の完成形”として描かれている。
その後の登場(選挙編など)では、暗殺・追跡・護衛・拷問・隠密など、任務全般を一人で完結できる柔軟さが明確になる。
念能力の詳細は明かされていないが、行動の一貫性と精度の高さから、具現化×強化×変化の複合型である可能性が高い。
彼にとって念は“技を補うもの”であり、“技に代わるもの”ではない。
冨樫がしばしば描く「努力と天才の交差点」において、ハンゾーはその中間点に立つ存在であり、念の多様性を現実的な訓練で補完している。
精神的にも極めて安定しており、任務の目的を見失わない。
敵を生かす・殺すの判断を冷静に下せる点は、ネテロやモラウに通じるプロフェッショナルの倫理である。
総合的には、派手な超能力を欠いても、あらゆる状況に即応できる万能性と任務遂行力によってA帯上位。
「戦闘と諜報のバランス」という現実的強さを体現する人物として、
ハンゾーは“戦場に生き残るための知恵と技術の集合体”と評するにふさわしい。
●総合評価(ハンゾー)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 修行由来の体術と合わせた基礎運用が安定(※詳細描写は少なめ)。 | S− |
応用技術 | 忍具・隠形・撹乱・拘束など“任務型”の手札が豊富。 | A+ |
戦闘能力 | 近接の初動制圧・尋問下の強度が高い。正面火力は上位怪物に劣る。 | A− |
情報把握・統率 | 尾行・諜報・現場裁量が堅実。単独任務適性が高い。 | A |
精神面 | 耐痛・忍耐・任務遂行意志が強固。感情で崩れにくい。 | S− |
総合 | 実務最適化の前衛/潜入要員としてA評価。 | A |
ツボネ【ランクA(任務評価S)】

戦闘よりも「任務成功率」で輝く、実務最強クラスの念能力者。
ツボネはゾルディック家の執事の中でも群を抜く実務能力を持ち、念能力「ライドオン能力(バイク形態)」によって輸送・追跡・撤収を単独で完結できる。
そのスピードと安定性は、神速で移動するキルアをも正確に補足するほどであり、機動力・観察力・判断力の総合値は作中でも上位に入る。
ただし純粋な戦闘描写は少なく、直接的な火力や支配力の証明は不足している。
それでも「任務を成功させる能力」という観点では、モラウやイルミと並ぶほどの実効性を誇る。
彼女の強さは“破壊”ではなく“遂行”。
任務全体を最短距離で完結させるプロフェッショナルの強さである。
●総合評価(ツボネ)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 出力・制御・持久が高水準。護衛任務での基礎運用が極めて安定。 | S− |
応用技術 | 自身の体を複数の移動形態へ変形し、搭乗者のオーラ供給で機動力・航続を強化(輸送・追跡・偵察特化)。 | S+ |
戦闘能力 | 直接火力は中〜上位。護衛・足止め・時間稼ぎに強く、撤退線の確保が得意。 | A |
情報把握・統率 | 執事頭としての現場裁量・連絡網運用が優秀。状況変化への切替が速い。 | S− |
精神面 | 冷静沈着・任務最優先。高い胆力と職業倫理でブレない。 | S |
総合 | 護衛・輸送・追跡の“任務価値”でS相当。殴り合い基準ではA上位、総合評価はA+。 | A+ |
📌メモ:長距離追跡・高速移動・安全搬送の三点で“作戦の可動域”を拡張するタイプ。直接殲滅より勝ち筋の創出に寄与。
ノブナガ=ハザマ【ランクA】

円と居合を融合させた戦闘哲学で、“殺意の反応速度”を極限まで研ぎ澄ます。
幻影旅団創設期から所属する古参メンバーの一人であり、近接戦闘の純粋進化型と呼べる存在。
ノブナガの念能力の核心は「円」と「剣」を融合させた居合術。
半径わずか数メートルの円の中に相手が踏み込んだ瞬間、反射的に斬撃を放つこの戦法は、攻防を極限まで一体化させた究極の構えといえる。
また、感情の起伏が少なく、戦場での冷静な判断力にも優れており、旅団内では“安定した戦闘職人”としての信頼が厚い。
ただし、能力の性質上、近距離限定の対応範囲であるため、広域戦闘やトリッキーな能力者との戦いでは弱点が生じる。
それでも、“念”そのものを極限まで磨き上げた型としての完成度は高く、旅団の中でも基礎戦闘能力は上位に位置する。
彼の強さは派手な能力ではなく、「基本を極めた者の殺気」そのもの。
●総合評価(ノブナガ)【ランクA】
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 近接特化の基礎運用が安定。纏・硬の即応が速い。 | S− |
応用技術 | 居合抜刀+短距離の円(約数メートル)で間合い管理・迎撃を最適化。 | A+ |
戦闘能力 | 初動制圧・至近距離の一撃必殺に強いが、遠距離・能力戦では対応幅が狭い。 | A |
情報把握・統率 | 追跡・連携の実務は堅実。独断先行でリスクを取る場面も。 | A− |
精神面 | 仲間への忠誠と短気が併存。戦意は高いが熱くなりやすい。 | A− |
総合 | 近接一点突破のエキスパート。舞台が噛み合えば上位撃破も狙えるが、総合対応力でA評価。 | A |
📌メモ
- 系統は作中で明言なし(近接型の運用から強化系寄りの傾向が示唆)。
- 短距離の円は“射程を絞って精度・反応を上げる型”で、閉所や乱戦の護りに強い。
シャルナーク【ランクA】

平時は参謀、必要時は短時間の殺戮装置へ転じる二面性。
シャルナークの核は、操作系能力“ブラックボイス”にある。対象へアンテナを刺し、携帯端末から行動を命令することで、偵察・拘束・陽動・脱出までを単独で設計できる。都市戦・潜入戦に強い“静かな制圧”が平時の強さであり、旅団では情報解析と戦術立案を担う理詰めの実務家でもある。
特筆すべきは自己操作のオートモードだ。アンテナを自らに刺すことで、身体制御を最適化アルゴリズムに委ね、瞬間的に筋出力・速度・反応を上限近くまで引き出す。代償は大きく、使用後は極端な疲弊と制御喪失が生じ、持続も短い。ゆえに常用はされないが、条件が噛み合えばA帯から一時的にS相当まで跳ね上がる“切り札”となる。
総合評価はA。参謀としての汎用性、対象支配の確実性、そしてオートモードという一撃必殺のカードが揃う一方、準備依存・持続の短さ・単独正面戦の脆さが上位帯との境界を作る。冨樫作品の文脈で言えば、彼は知性で暴力を最適化する使い手であり、必要最低限の殺傷で任務を完了させる“合理の強さ”を体現している。
●総合評価(シャルナーク)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 操作系の基礎が高精度。対象観察→即時支配の流れが滑らか。 | S− |
応用技術 | 携帯する他人の運命(ブラックボイス)で遠隔操作/オートモードで自己操作・性能上限化。 | SS− |
戦闘能力 | 平時は拘束・攪乱が主軸。オートモード発動時は短時間だけA→S相当まで跳ね上がる。 | A+(瞬間S) |
情報把握・統率 | 参謀適性が高く、追跡・分析・段取りで戦局を整える。 | A+ |
精神面 | 冷静・合理主義。消耗やリスクを読んで切り札を限定使用。 | A+ |
総合 | 参謀+切り札の二面運用でA評価(瞬間最大S)。 | A |
📌メモ:オートモードは持続短・反動大の代償設計。準備と環境が噛み合うほど真価が出るタイプ。
ゲンスルー【ランクA】

穏やかな表情のまま致死圏を作る、合理と冷徹の実戦家。
生粋のハンターではなく、グリードアイランドという閉鎖空間で形成された「生存戦略型の念使い」。
ゲンスルーの強さは“能力そのもの”よりも、“能力を使い切る冷徹さ”にある。
接触即爆破の念能力「リトルフラワー」は、極めてリスキーでありながら、使い手の胆力と経験があって初めて成立する。
冨樫義博はこの危険設計を通して、「戦闘とは即ち覚悟の等価交換である」という主題を描いている。
また、部下のサブ・バラとの連携による「カウントダウン」も、単なる爆破ではなく心理的支配の念として機能している。
相手に恐怖と制限を課し、冷静な計算で詰めていくその姿は、暴力よりも理性による殺意を象徴している。
ネテロやジンのように“強さの哲学”には踏み込まないが、
戦闘構築の完成度という点では、現実的かつ最適化された戦闘者である。
ゲンスルーは“神の領域”には届かない。
だが、人間としての限界効率を極めた戦士として、冨樫作品のリアルな“強さ”を体現している。
その意味で、彼の存在は冨樫世界の「SとAの境界」を示す指標とも言える。
●総合評価(ゲンスルー)【ランクA】
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 基礎操作が堅実で持久も良好。接触前提の間合い管理が巧み。 | S− |
応用技術 | “リトルフラワー”(掌接触の起爆)/“カウントダウン”(条件付き時限爆弾・解除手順あり)の二枚運用。 | S |
戦闘能力 | 接触成立後の確殺性能が高い。対多数は部下と連携で補完。上位怪物相手には決定打不足。 | A+ |
情報把握・統率 | GI環境での詐術・交渉・部下統制(サブ/バラ)に長け、任務完遂志向が強い。 | A+ |
精神面 | 冷徹・実利的。必要なら拷問・脅迫も辞さない一貫性。 | A+ |
総合 | 条件戦の達人。接触を作る設計力と二段構えの爆破でA評価(実務値はA+)。 | A |
📌メモ
- リトルフラワー:掌に凝集したオーラで“触れた瞬間に爆破”。近接圧と不意打ちで脅威。
- カウントダウン:対象に時限爆弾を“付与”。解除は特定条件(手順)必須で、心理戦・人質戦に強い。
梟【ランクA】

攻撃ではなく輸送・隠匿・撤収で戦場の意味を変える具現化系の職人。
梟の強さは、火力ではなく運用の幅にある。具現化した巨大な布は、接触して包み込んだ無生物を縮小・収納し、必要な時に取り出せる。これにより、武装・資金・車両といった重量物を一人で安全に移送でき、現場では証拠隠滅や物資の即時展開、退路の確保までを単独で賄うことが可能となる。要は「攻めて勝つ」ではなく、「生き残らせる/持ち帰らせる」ための念であり、マフィア直属の護衛部隊・陰獣の中でも作戦価値が突出している。
また、布で包む=遮断という性質は、即席のシールドや拘束、視界・導線の分断としても機能する。直接戦闘の打撃力は旅団上位に及ばないが、敵の追撃をいなす撤収力、戦場の痕跡を消す後処理力、重量物を瞬時に動かす兵站力はA帯でも屈指だ。冨樫作品が繰り返し描く「念=生存戦略」という視点に立てば、梟は暴力を支えるロジスティクスの到達者であり、部隊全体の生存率を上げる現実的最強圏の一角である。
総評として、梟は補助系Aランクの代表格。単独での殲滅は想定しないが、任務単位の成功可能性を最大化するという意味で、戦場の勝敗を静かに傾ける存在だ。
●総合評価(梟)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 具現化系の精度に長け、具現化物の縮小・格納を安定して行える。 | S− |
応用技術 | 能力名 不思議で便利な大風呂敷(ファンファンクロス) — 物体や人を包んで小型化・格納する具現化運用。応用範囲は極めて広い。 | S |
戦闘能力 | 直接殲滅力は標準的だが、拘束・隔離・奇襲的な勝ち筋を一手で作るため実戦での価値は高い。 | A+ |
情報把握・統率 | 密輸・運搬・隠匿という任務に特化。組織的な運用で戦局を補助できる。 | A |
精神面 | 冷静沈着な任務屋タイプ。危機対応の判断力に優れる一方、正面戦闘は好まない。 | A |
総合 | 具現化の“収納”というユニークかつ戦術的な能力で任務価値が非常に高いA帯(A+相当)。戦場での脅威度はA上位に位置する。 | A |
📌メモ(出典・補足)
- 能力「不思議で便利な大風呂敷(ファンファンクロス)」は、対象を包んで小さく格納できる具現化系の応用として作中描写があり、幻影旅団の車ごと包んでノブナガを捕縛したエピソードが代表例。
- 陰獣(陰の獣)グループの一員として輸送・隠匿任務を担う位置づけで、具現化の“入出力の安定性”が評価の根拠となる。
メレオロン【ランクA】

存在を消す力で仲間の攻撃を“無音の刃”に変える潜行の使徒。
メレオロンは、個としてよりも“協力”の象徴として描かれる能力者である。
その念能力「神の不在証明(パーフェクトプラン)」は、呼吸を止めている間、自身の存在を完全に消すというもの。
それは単なる透明化ではなく、五感と念感知を同時に遮断する“存在の無効化”に等しい。
だが、冨樫はこの力を単なるステルス技としてではなく、「他者との信頼によって初めて成立する能力」として設計している。
実際、ナックルやモラウとの連携時には、メレオロンの透明化がチームの戦術を決定的に支配する。
つまり、彼の強さは“個の力”ではなく、“他者と呼吸を合わせる力”に根差している。
この構造は、冨樫義博が長く描いてきた「強さ=孤高ではなく共鳴である」という哲学を象徴する。
戦闘単体で見れば、メレオロンはAランク中堅に相当する。
だが、“連携時にSランクへ跳ね上がる潜在能力”を秘める点で、Aの枠内でも特異な位置を占めている。
冨樫作品の中でも数少ない、“無傷のまま勝利を導く”タイプの強者であり、
暴力の中に倫理を見出す――まさに“静寂の戦士”と呼ぶにふさわしい存在である。
●総合評価(メレオロン)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 潜行・接触維持前提の制御が安定。持久は肺活量に依存。 | A |
応用技術 | 神の不在証明(パーフェクトプラン):自身(+接触相手)を完全不可視・不可感知化。円も突破し、気配・音・匂いを遮断。 | SS− |
戦闘能力 | 直接火力は低いが、同伴者の一撃を通す“決定打の介添え”で致命的優位を作る。 | A− |
情報把握・統率 | 潜入・偵察・位置取りで作戦の“最短手”を作る。連携前提の運用理解が高い。 | S− |
精神面 | 慎重だが任務意識は強く、恐怖の中でも役割を全うする粘り。 | A+ |
総合 | 隠密特化の切り札。単独殲滅は不得手だが、連携時の作戦価値はS級相当。 | A |
📌メモ
- 能力は息を止めている間のみ持続。呼吸再開で即解除。
- 接触者も一緒に隠せるため、強者の初撃を“ノーリスクで通す”盤面を作れる。
- 防御性能は上がらないため、見つかった後の脆さには要注意。
コルト【ランクA】

暴力ではなく知性と秩序で群れを導く“初代参謀”。
コルトは初期キメラ=アントの師団長級で、兵の統率・伝令・戦況整理を担った“規律の中枢”。序盤から人語・地図・作戦の概念を最も早く獲得し、女王直下の作戦参謀として群れの行軍と補給を整える。フィジカルは人間を凌駕し、弓兵や歩兵の指揮を取りつつ自らも前線で狩りをこなす安定感がある。女王の死に際ではオーラの覚醒兆候を示し(感知・威圧の表現が明瞭)、以後は人間側(モラウ/ノヴ)との交渉に主体的に関わり、王直下軍と人類の衝突を抑制する情報連絡役に転じた。
ただし、コルトは殲滅力の怪物ではない。同階層の師団長でもザザンのような変異系“前線アタッカー”と比べると決定力に欠け、念の練度・必殺の“発”も描かれない。強みは統率・状況判断・交渉であり、戦闘では堅実な中核要員にとどまる。
総評はAランク(下位・支援/統率型)。
群れを暴走から“秩序”へと導いた意思と判断が、冨樫的強さの核心——「力だけでなく、責任と選択で世界を動かす」——を体現している。
●総合評価(コルト)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 生得的オーラ総量は高く、出力・制御ともに安定。師団長級の持久運用を問題なくこなす。 | A |
応用技術 | 統率・補給・行軍管理に特化した実務的運用。索敵と兵站を連動させる運用設計力が高い。 | A+ |
戦闘能力 | 近〜中距離で堅実に戦える実戦力を有するが、単独殲滅力や超個体との決定打は限定的。 | A |
情報把握・統率 | 群れの編成・補給路の確保・作戦実行速度の最適化に優れ、護衛軍の実務上位層。 | S− |
精神面 | 責任感と冷静な判断力が核。部下の管理と被害最小化を優先する実務家精神。 | A+ |
総合 | 群れを“秩序化”する実務的強者。殲滅型ではないが、作戦成立の鍵を握るため総合A。 | A |
📌メモ
- 女王直属の師団長クラスとして早期に言語・戦術概念を獲得し、群れの運用を制度化した点が最大の評価根拠。
- 戦闘描写では高い実戦能力を示すが、王直属最上位や特殊能力者との一騎討ちでの優位性は保証されないため、A評価に据える。
チードル=ヨークシャー【ランクA】

理性とデータで戦う“十二支んの頭脳”。
チードルの強さは、火力や必殺技ではなく統治とオペレーションにある。感染症対応や情報整理を起点に、方針決定・人員配置・リスク管理を一気通貫で設計し、現場の動きを“最適化”へ収束させる。選挙編では対立軸となるパリストンの“遊戯”に対し、規範と証跡で対抗し、最終的に会長職へ就任するに至った。ここで示されたのは、暴力では動かせない領域を制度で動かす力である。
念能力の詳細は作中未公開だが、十二支ん最上層としての判断速度と交渉力、証拠に基づく意思決定は、任務成功率という観点でA帯に十分到達する。直接戦闘の描写が乏しいためSには置けないが、作戦立案と医療・法規の横断知で戦場の前段階そのものを制御できる点が特異だ。冨樫作品が問う「強さ=存在の運用」という視座で見れば、チードルは力の行使を個の技から社会的手続きへと拡張した人物であり、人間的現実の極致としてのAランクにふさわしい。
●総合評価(チードル=ヨークシャー)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 原作(1〜38巻)では念能力の詳細は未公開。念の系統・技体系は不明。 | 不明(念未公開) |
応用技術 | 医師・難病ハンターとしての知識と手際で医療支援/現場対応に長ける。場のルール設計や議事運営も得意。 | A+ |
戦闘能力 | 直接殲滅力は明確な描写なし。戦闘より実務・支援・調整で価値を出すタイプ。 | B〜A(戦闘は低め) |
情報把握・統率 | 十二支んの中でも手腕・事務処理に優れ、選挙・会議運営での実績あり。組織運営能力は高評価。 | S− |
精神面 | 冷静で現実主義。倫理観と職業的節度が強く、リーダーとしての安定感を発揮。 | A+ |
総合 | 念能力の詳細が不明なため戦闘ランクは保守的に置くが、医療・運営・統率面の貢献度から総合A(任務価値はより高い)。 | A |
📌メモ(根拠)
- チードルは難病ハンター/医師の肩書きを持ち、十二支ん(コードネーム「戌」)の主要メンバーとして会長選挙や協会運営に深く関与している。原作段階で念能力の詳細は明かされていないため、医療・運営面での貢献を重視した評価とした。
イカルゴ【ランクA】

“殺すための力”ではなく任務を完遂する知性と胆力で戦局を動かす。
イカルゴは、正面火力で押すタイプではない。強みは潜入・偽装・後方攪乱に特化した運用である。念能力は、死体に“自分の操縦装置”を仕込み遠隔操縦する類の死体操作(リモートパペット)で、通行認証や配置撹乱、情報奪取といった“任務の鍵穴”をこじ開ける。生体には効かず、死体の損耗や距離・視界の制約もあるが、条件さえ整えば単独で出入口を作ることができ、宮殿潜入戦では実際に戦況を前へ動かした。
もう一つの武器は射撃と判断だ。多腕を活かした銃火器運用と立体移動で、局地での援護射撃や脱出支援を確実にこなす。加えて、敵対者(例:師団長クラス)に対しても状況交渉を選び取り、無用な殺害を避けて任務達成に収束させる冷静さと倫理を併せ持つ。これは冨樫作品における「力=人格の外化」を体現するもので、彼の“優しさ”は決して弱さではなく選択の強さである。
総評はAランク(実戦支援型の完成度)。単独での殲滅力や対怪物級の押し合いでは劣るが、潜入・偽装・回収・救出といった現実の任務での貢献度は極めて高い。イカルゴは、暴力の只中で「仲間を生かす力」を確立した稀有なハンターであり、その実効性こそがA評価の根拠である。
●総合評価(イカルゴ)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 基礎操作は堅実。射撃・隠密と併用して崩れない。 | B+ |
応用技術 | 生きた兵隊(リビングデッド・ドールズ):死体を操る特化能力(音声・動作の再現可/元の念能力は不可)。潜入・偽装に最適。 | A |
戦闘能力 | 近接は脆いが、狙撃・待ち伏せ・罠で実戦的。単独殲滅力は中位。 | B |
情報把握・潜入 | 変装・死体操作・内部アクセスで諜報力が高い。連携時の価値が大。 | A |
精神面 | 仲間志向・胆力・自己犠牲意識が強く、任務完遂意志が揺れない。 | A+ |
総合 | 潜入・偵察のエース。正面火力は平凡だが任務価値は高くB評価(任務軸ではA相当)。 | B |
📌メモ
- 亡者操作は対象が“死亡済み”であることが前提。精密動作は可能だが、元の念能力の再現はできない。
- 直接対決より連携・内応づくりで真価を発揮するタイプ。
カストロ【ランクA】

理想の自己像を念で具現化した、“才能と破滅”の象徴。
カストロは、天空闘技場編において“才能が暴走した者”として登場する。
その念能力「分身(ダブル)」は、具現化系でありながら操作系・強化系の要素も併せ持つ複合技で、
瞬間的な位置入れ替えや同時攻撃を実現する高難度の応用能力である。
しかし、冨樫義博はこの能力を“成功例”としてではなく、
念の本質を誤解した悲劇として描いている。
カストロは自分の“分身”を外に作り出すことにより、
自らの精神的均衡を崩していく。
つまり彼は、念の核心である“自我の統合”を分裂させてしまった。
ヒソカとの戦いで敗北するのは、技術の差ではなく、
自己像を制御できなかった者の宿命として描かれる。
それでも、彼の戦闘能力そのものはAランクに匹敵する。
攻撃精度、スピード、体術、そしてオーラ量は明らかに一線級であり、
ヒソカからも「惜しい」と評されるほどの潜在能力を持っていた。
冨樫作品において“強さ”とは、力そのものよりも心の整合性を指す。
カストロはその真理を知らぬまま、自分の理想像と戦い続けた“もう一人の自分”であり、
敗北によって「強さの条件」を読者に突きつけた、象徴的Aランクである。
●総合評価(カストロ)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 体術と併せた基礎運用は高水準。切替・持久も良好だが“発”偏重の歪みが残る。 | S− |
応用技術 | 分身(ダブル):残像操作+具現化を併用した高難度トリックで視線と反応を誘導。 | S |
戦闘能力 | 近接の初動制圧と手数で上位クラス。長期戦や読み合いで崩れやすい。 | A |
情報把握・対人操作 | 罠・誘導は巧みだが、想定外対応力は中位。読み負けると立て直しが遅い。 | A− |
精神面 | 勝敗への執着が強く、思考硬直が出やすい。平常心の維持に課題。 | A− |
総合 | 高度な“見切り合い”で光る近接アタッカー。A評価(上位)が妥当。 | A |
📌メモ
- 分身(ダブル)は系統またぎの高コスト運用で、基礎の伸びを犠牲にしやすい構造。
- 読み合い特化の相手(例:対人最適化型)に対し、トリックの“賞味期限”が短いのが弱点。
【Bランク】――“実戦級だが上位に一歩届かず”
■ バショウ|言霊を現実化する詩人
俳句で条件を縛って発現する具現化系。制約は重いが、成立時の実効性が高い。
■ ズシ|基礎の完成度が光る新鋭
“纏・練・絶・発”の習熟度は年齢不相応。将来A候補だが、現時点はB帯。
■ ビノールト|毛刃の暗殺者
髪を刃にする変化系。持久と間合い管理は巧みだが、上位には決定力不足。
■ アベンガネ|呪念解除のプロフェッショナル
呪いの念を“除念獣”に食わせて剥がす、世界でも稀少な除念専門家。
■ ギド|回転体の制圧術
コマ型具現物で足場と視界を奪う。設置依存で読み合いに弱い。
■ サダソ|四肢拘束の操作系
非道な運用で実戦的だが、正面からの格上には通らない。
■ リールベルト|電撃拘束の装置化
感電と拘束の複合。装備依存が強く、可搬性に課題。
■ ヴェーゼ(Baise)|“一瞬の愛”の強制
接吻で服従させる操作系。発動条件が厳しく、対上位は通りにくいが対人制圧力は高い。
■ ダルツォルネ|実直な護衛隊長
基礎と統率に長けるバランサー。対怪物級には及ばずB評価。
■ スクワラ|犬使いの念獣師
使い魔の運用と索敵で優秀。直接戦闘の耐性が低い。
■ ヨークシンの殺し屋(“手刀を見逃さなかった男”)
クロロと遭遇し瞬時に要害を視認できるだけの反応・経験値を持つ。
■ ラモット(蟻)|序盤を荒らす猛進型
速度と攻撃性が高いが、鍛えた念使いには対応される。
■ ビホーン(蟻)|重火力の砲撃手
面制圧能力は評価できるが、機動と柔軟性に欠ける。
■ ヒナ(蟻)|“除念”に準ずる解除特化
付与系の解除・治療で作戦価値が高い。戦闘力は抑えめ。
■ ポックル|矢術の多系統運用
属性切替の射撃が多彩。瞬発火力はあるが、経験と耐久が課題。
ズシ【ランクB】

派手な必殺ではなく基礎それ自体を武器にする修行者。
ズシは、天空闘技場編でウイングに師事する少年拳士である。強さの核は、念を「技の上塗り」ではなく身体操作の内側に溶かす姿勢にある。姿勢・視線・歩幅・体幹の締め――いずれもが“纏い”の感覚と同期し、打撃の直線性と受けの粘りを底上げする。冨樫作品の文脈で言えば、彼は基礎=生存ラインを愚直に掘り下げるタイプであり、実戦で最も裏切らない強さを志向している。
試合では無理な見せ場を作らず、危険を察知すれば踏み込みを止める判断ができる。これは単なる臆病ではなく、体力配分と安全域の理解に根差した修行者の倫理である。結果、瞬間的な爆発力では同世代最上位に及ばないが、対人戦の安定感と再現性は高い。教導者ウイングの下で学ぶ“基礎四行の徹底と応用の節度”も、彼の強さを形づくる重要な文脈だ。
総合評価はB。理由は二つ。第一に、作中時点では必殺の“発”を用いた決定力が未確立であること。第二に、上位帯(S〜A)の怪物たちと比べると、戦況そのものを覆す構築力・領域支配の経験がまだ不足しているためである。ただし、基礎に投資した時間は将来の伸びしろに直結する。ズシは“強さの王道”を歩む数少ないキャラクターであり、長期的にはA帯に到達しうる正統派の有望株と言える。
●総合評価(ズシ)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 纏・絶・練・流を完全に習得。基礎力は年齢層を超えたレベル。 | A− |
応用技術 | 発は未公開ながら、流の練度が極めて高く、念操作の理解も深い。 | B+ |
戦闘能力 | 体術・反応速度・防御姿勢が整い、将来的には上位ハンターに匹敵。 | B |
情報把握・対人操作 | 相手の呼吸・念の流れを読む観察眼が鋭く、判断力も早い。 | B+ |
精神面 | 礼節・集中力・自己抑制に優れ、“修行型念使い”として理想的。 | A− |
総合 | 現時点で発こそ未開花だが、念操作技術・精神性ともに成熟度が高い。潜在的にはAランク候補。 | B |
📌メモ
- ズシは「念の王道教育を受けた数少ない若手」。戦闘描写は少ないものの、念の理解度・精神修養の高さからB評価が妥当。
- 発が実戦向けのものなら、A帯(ツボネ・ハンゾー級)に昇格も十分可能。
ポックル【ランクB】

“赤の弓”が象徴するのは、念能力の多様性と応用精神の体現者。
ポックルは、グリードアイランドに挑んだ中堅ハンターの一人であり、具現化系を中心に複数の系統を応用する汎用射撃型の念能力者である。「赤の弓」「白の矢」など属性別の能力を組み合わせ、状況に応じて戦術を切り替えるスタイルは、念の“多系統理論”を実践レベルで運用する数少ない例といえる。
彼の最大の特徴は、瞬間判断と切り替えの速さ。例えば、敵の防御系統を見抜いた際には、即座に属性を変えて矢の性質を変化させる柔軟さを持つ。しかし同時に、発の性質が多岐にわたるために一発の破壊力は限定的で、瞬発的な火力や硬度で上位層(A〜S)に劣る点が明確だ。
また、念の修練過程においても、彼は応用型ハンターの典型である。基礎は堅実だが、特化系のように一点突破できる能力ではなく、あくまで“汎用性”に価値を見いだしている。これは、実戦や探索・救出任務などでこそ真価を発揮するスタイルであり、純粋な戦闘力評価としては中位に留まる。
総合的に、ポックルはBランク上位。
制約と系統の複合運用という難易度の高い道を選びつつも、それを形にできた点で高く評価できる。一方で、強者との正面対決には耐えきれない脆さがあり、特に蟻編で描かれた“圧倒的格差”は念社会における現実を象徴している。彼の存在は、“念”という概念が持つ広がりと、才能格差の残酷さを同時に体現した重要キャラクターである。
●総合評価(ポックル)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 弓術に四大行を安定適用。放出系寄りの矢オーラ化が堅実。 | B+ |
応用技術 | 矢へ性質付与(貫通・足止め・マーキング等)で中距離制圧/追跡に対応。 | B+ |
戦闘能力 | 中距離での初撃・連射は有効だが、接近戦に弱く上位個体には決定打不足。 | B− |
情報把握・対人操作 | 野外索敵・追跡・待ち伏せの手順が良好。単独行動の段取りは整う。 | B |
精神面 | 任務志向で冷静だが、格上の“圧”に対しては脆さが出る。 | B− |
総合 | 中距離特化の実務派。護衛軍級には通じないが、汎用任務では機能するB−。 | B− |
📌メモ
- NGLでの実戦経験あり。上位個体(王直属護衛軍級)には一瞬で無力化される天井が明確。
- 強みは距離維持と初撃の通し方。護衛や連携前提で活きるタイプ。
ラモット【ランクB】

粗暴な気配と過剰なオーラ放出が示すのは、生得的な暴力の加速である。
ラモットは、王誕生前の序盤で突出した身体能力を誇った兵隊長格である。覚醒直後から“纏い”や“練”に相当する出力を本能的に扱い、跳躍・連打・噛みつきの近接連携で新人クラスの念使いを圧倒した。彼の強さは訓練や理論ではなく、捕食者としての衝動がそのまま力になる点にある。オーラを惜しみなく噴出し、恐怖や優越感を相手に浴びせて行動を乱す——この“気圧”こそが彼の武器であった。
しかし、その出力は同時に弱点でもある。守りの“硬”や“絶”の切替が拙く、攻防のリズムが単調なため、読み合いが始まると綻びが露わになる。決定的なのは、理性による制御が欠落していることだ。キルアとの再戦では、相手の恐怖をトリガーにしてきたやり口が逆に裏目となり、覚悟を決めた人間の集中に飲み込まれて瞬時に無力化された。
総評として、ラモットはBランクの象徴的存在である。常人や未熟な念使いには脅威だが、基礎と判断が整った上位陣には通じない。彼が物語にもたらした価値は、強さの誇示ではなく、“恐怖を越えた者が初めて到達する臨界”を可視化した触媒であった。上位帯との差を測るための“物差し”として、彼ほど明快なキャラクターは少ない。
●総合評価(ラモット)【ランクA】
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | キメラ=アントとして短期間で念を覚醒(強化系寄り)。出力の純度は高く急速習得の恩恵あり。 | A |
応用技術 | 羽や爪を用いた近接特化の攻撃運用(飛翔・斬撃の応用が主)。固有名義のHatsuは作中未命名だが身体強化で戦闘力を増幅。 | A− |
戦闘能力 | 野性味と凶暴性で局地的な殲滅力を発揮。ゴン/キルアとの初戦で一度は劣勢に回るも念覚醒後は部隊随一の脅威となった。 | A |
情報把握・統率 | 部隊長クラスとしての指揮経験ありだが、統率より個の暴走傾向が強く、長期的な統率力は限定的。 | B+ |
精神面 | 自尊と野心が強く、覚醒後に自己評価を過大にする面が見られる。威圧や忠誠心のブレが戦術判断に影響。 | B |
総合 | 一時的に同編内の上位レンジへ浮上した「短期覚醒型の強者」。持久戦や高度な策略には弱いが、瞬間火力と暴力性は高い。 | A |
📌メモ(出典・根拠)
- ラモット(Rammot/ラモット)はコルト隊の兵隊長の一人で、キメラ=アント編に登場するキャラクター。
- 作中でゴン&キルアとの遭遇を経て生存→念を覚醒し、短期間のうちに部隊内で高い戦闘力を示した描写がある。
- 念の属性は水見式の描写などから強化系寄りと推定されているが、固有名の能力は明確に命名されていない。
ビホーン【ランクB】

ビホーンは作中の登場は少ないが、同胞から「怪力No.1」と明言されるほどの純粋なフィジカルの持ち主である。角と腕力を活かした近接圧殺が主軸で、威圧と踏破力は並の念使いを凌駕する。兵隊長・師団長クラスの中でも“力”という単一指標では最上位圏に位置づく存在で、序盤の人間側にとっては対処困難な“重量級の壁”として機能した。
一方で、彼の描写は念の精度の低さをも同時に照らす。円・硬の切り替えや攻防移行の巧拙は示されず、環境操作や心理戦にも乏しい。象徴的なのが、旅団との交戦域で語られる「ビホーンでさえ切れなかった“糸”」の件だ。圧倒的な筋力を誇っても、条件と制約で強度を得た念の前では力任せが通用しない——という冨樫的な力学が端的に可視化される。
総評としてビホーンは、生得の暴力がそのまま戦力に換算された類型であり、未熟な相手には圧だが、上位帯(S〜A)の“技術化された念”には届かない。ゆえに評価はB。彼は単なるモブではなく、「筋力と念技の境界」を測るための物差しとして重要な役割を担ったキャラクターである。
●総合評価(ビホーン)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 師団長級の出力は確実/詳細描写は未公開。 | A− |
応用技術 | 固有の“発”不明。近接の怪力特化(投擲・押圧・拘束向き)。 | B+ |
戦闘能力 | 師団長中怪力最強と評される個体。正面圧で上位の人間を粉砕し得る。 | A |
情報把握・統率 | 女王直属の統率経験あり。実務・護衛志向で安定。 | A− |
精神面 | 女王救出を最優先に人類へ降伏できる判断力と忠誠。 | A− |
総合 | 怪力S級相当のAランク。念の詳細不明ゆえ上限は保守評価。 | A |
📌メモ
- 「牛型/師団長」「女王直参」は公式系プロフィールで確認可。
- 師団長中の怪力トップとの評価(パイク発言の言及)は二次資料に多数。一次描写は限定的。
アベンガネ【ランクB】

対象の念を“除念獣”に食わせて剥がす、危険と隣り合わせのプロ除念師。
アベンガネは“除念師(エクソシスト)”という希少職であり、戦闘よりも任務遂行(解除)で価値を発揮する。彼の術式は、対象に掛かった念(呪い・制約)を“除念獣”に食わせて剥離する方式で、剥がされた念は念獣として独立し、元能力者からの供給や意志が残る限り除念師を追い続ける。ゆえに解除後も隔離・逃避・封印のコストが発生し、案件によっては命懸けになる。グリードアイランドでは、自身に刻まれた「カウントダウン」を除念後、その念獣を抱えたまま島を離脱して危険を回避した描写がある。
強みは、①呪念の強度査定(念の“音”を聴く感応)、②異能を問わず解除できる汎用性、③交渉・撤退判断を含む実務的な慎重さ。一方で、正面戦闘の描写は乏しく、護身以上の火力・制圧力は確認できない。能力の性質上、成功しても新たなリスクを背負うため、常時前線に立つタイプでもない。
結論として、総合格付けはBランク。ただし「任務価値」の評価軸ではA相当に達する場面があり、特に呪念が横行する環境では代替不可能な専門職として機能する。冨樫世界における“強さ”を、暴力ではなくリスク管理と手続きで示す典型である。
●総合評価(アベンガネ)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 特質系資質。基礎操作は安定し、長時間の儀式運用に耐える。 | B+ |
応用技術 | 除念:対象の念(誓約・呪い系を含む)を“儀式”と具現化存在で外部化・除去。進行中は他能力の使用制限/行動制約が生じる。 | A+ |
戦闘能力 | 直接殲滅力は低い。護衛付き任務・時間稼ぎ前提。 | C+ |
情報把握・統率 | 対象念の性質把握・手順設計・依頼者との調整に長ける実務型。 | B+ |
精神面 | 冷静・慎重。高リスク儀式を粛々と遂行する胆力と節度。 | A− |
総合 | “呪い・拘束の相殺”という希少職で任務価値は高いが、戦闘は低めのため総合B。 | B |
📌メモ
- 除念は対象能力の情報・条件に強く依存し、儀式中はアベンガネ側に負荷/制限がかかる設計。
- 単独行動よりチーム運用(護衛・時間確保)で真価を発揮。
ヨークシンの殺し屋(“手刀を見逃さなかった男”)【ランクB−】

この男は、ヨークシン編で旅団首領と対峙した無名の殺し屋である。相手の一撃が急所を突く“決め手”であることを即座に理解できるだけの観察眼と反応速度を備え、素人ではない。クラピカが護衛候補を絞る際、ゾルディック家に対抗し得る“プロ中のプロ”を仮定していた文脈を踏まえると、彼もまた念の基礎を身につけた熟練者と見るのが妥当だ。
弱点は、防御の設計と想定外耐性の薄さにある。攻防移行(硬・絶の切替)やリスク分散の仕組みが描かれず、結果として“格段に上の相手”に対しては視認できても回避・受けが間に合わない。これは個人の未熟というより、クロロ級の対人最適化に対して標準的なプロの防御では足りないことの証左である。
総合評価はB−。裏社会の実戦では上位に入るが、超一流の念闘者に対しては決定打・生存設計ともに不足する。作品内では、熟練者であっても“技術化された念”の前では一瞬で線引きされるという現実を可視化する役割を担った。
●総合評価(ヨークシンの殺し屋/“手刀を見逃さなかった男”)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 念の有無は明示されないが、クラピカの選別対象に入る実力を持つことから念基礎またはそれに相当する実戦技能を有すると推定。 | B |
応用技術 | 観察眼・急所判断・暗殺技術に長ける。念を用いるなら応用は限定的で“急所特化”の設計が想定される。 | B− |
戦闘能力 | 反応速度・間合い把握は高水準だが、防御系念や継戦力の描写がなく、超上位相手には一撃で崩される脆さがある。 | B− |
情報把握・潜入 | 対人偵察・尾行・任務遂行能力は高く、護衛任務や暗殺任務で有用。 | B+ |
精神面 | 冷静さと職業的割り切りがあるが、極上の“圧”を前に行動が制限される描写あり。 | B− |
総合 | プロの暗殺者として上位圏に属するが、旅団長級(例:クロロ)との格差は明確。任務価値は高いが対最上位の耐久・念運用で不足が出るため総合は B−。 | B− |
📌メモ
- 登場はヨークシン編。クラピカが護衛選別で想定した“対ゾルディック家候補群”に含まれる描写が根拠。
- クロロ戦で瞬殺された事実は「本人の弱さ」より「相手(クロロ)の圧倒的差」を示すものであり、単純な低評価材料ではない。
【Cランク】――“実戦の裾野/支援と日常に根差す強さ”(1〜38巻ベース)
■ レオリオ=パラディナイト|放出の遠隔打撃を持つ医学生
“リモートパンチ”で長距離打撃が可能。総合戦闘は未熟だが、医療・交渉を含む任務価値は高い(将来B候補)。
■ センリツ(メロディ)|心音を聴く調律師
鼓動・呼吸から心理と嘘を見抜き、鎮静まで担う支援特化。情報・交渉の価値はA級だが、戦闘力は低め。
■ ネオン=ノストラード|“予知詩”の継承者
未来を詩で的確に示す稀少能力者(のち喪失)。戦闘外の支配力は作中屈指、直接戦闘は不可。
■ ポンズ|蜂使いの探索者
通信・毒・索敵で初期ハンター試験を突破。装備依存と耐久の低さでC評価。
■ アマネ(ゾルディック家執事)|連絡・随伴の実務職
運搬・護衛・伝令でツボネを補佐。任務遂行の安定要員(戦闘は控えめ)。
■ コアラ(キメラ=アント)|贖罪の狙撃手
射撃・尾行の実務は確かだが、念戦闘の描写は乏しい。倫理選択が物語価値。
■ ペギー(キメラ=アント)|参謀役の知性
情報整理・教育係として王直属軍の基盤を支えたが、戦闘性能は低い。
■ ビゼフ(東ゴルトー次長)|権力の運用者
戦闘力は皆無に近いが、政治・ロジの影響力で戦局に関与。
■ ジョネス(解体屋)|素手の殺傷特化
念なしの肉体派。恐怖で相手を縛るが、念の壁に阻まれる典型。
■ ボドロ|古流武術の拳士
基礎体術は堅実。念習熟前後での伸びしろは限定的。
■ ゲレタ|毒矢の狩人
遠距離の奇襲に長けるが、対念防御に弱い装備依存型。
■ ゼパイル|鑑定と偽造の職人
交渉・資金調達で作戦を後方支援。非戦闘の実務力が光る。
■ スクワラの愛犬(念獣群)|索敵と追跡の補助
念獣による聴取・追跡は有効だが、護身は脆い(スクワラ本人はBで別評価済)。
■ キキョウ=ゾルディック|監視と家中統制
戦闘描写は皆無に近いが、家族運用の支配力で一定の脅威。
■ アモリ三兄弟(アモリ/イモリ/ウモリ)|連携型の受験生
足場作り・連携タックルなど“試験向け”の実力。念社会では下位層。
■ モタリケ|尾行と張り込みに特化したGIプレイヤー
グリードアイランドに入れる時点で念の基礎(四大行レベル)は習得。市街地での追尾・張り込み・情報収集に長ける一方、対人戦闘・胆力・防御念が弱いため、上位念使いには通じない。
レオリオ=パラディナイト【ランクC】

医学生にして放出系寄りの“遠隔打撃”を披露し、政治と大衆の視線を一身に集めた瞬間。
レオリオの強さは、純戦闘ではなく医療・交渉・政治が結節する“公共性”にある。彼は医師を志す動機を核に据え、仲間の利益と多数の生命を優先して振る舞う。選挙編で見せた放出系寄りの遠隔打撃は、怒りの衝動を媒介に一挙に会場の空気を掌握し、行為そのものが政治的影響力として機能した。すなわちレオリオは、暴力の等式で勝つのではなく、倫理を可視化して状況を動かすタイプの念能力者である。
戦闘面は未成熟で、基礎運用や持久・硬度の水準はA帯に届かない。遠隔打撃も単発性が強く、継戦・対上位への再現性という点で不安が残る。ゆえに格付けはCとなる。しかし、医療技能・交渉力・大衆説得を含む任務価値は高く、支援・救護・仲裁の現場では代替不可能な役割を担い得る。
総じてレオリオは、冨樫作品における「力=人格の外化」を公益の側から体現する存在である。鍛錬が積み上がれば、遠隔打撃の安定化と医療運用の融合により、将来的なB帯への到達余地は十分にある。
●総合評価(レオリオ)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 念は会得済みだが実戦運用は限定的。 | C+ |
応用技術 | 放出系寄りの遠隔打撃(名称未公表)を確認。再現性・応用幅は未検証。 | C+ |
戦闘能力 | 近接の素地はあるが念戦の総合対応は中位未満。 | C |
身体能力(念外) | 試しの門“3の門”突破=基礎筋力は高水準。 | B+ |
情報把握・統率 | 医学・交渉・世論形成で後方支援に強み。 | B− |
精神面 | 仲間志向と胆力が核。情熱先行のムラあり。 | B− |
総合 | 戦闘はC帯だが、任務支援で価値上積み(C+寄り)。 | C |
📌メモ
- 1〜38巻基準。医学生としての専門性は治療・交渉・説得で戦局支援に直結。
- 念の“遠隔打撃”は演出上の見せ場は大きいが、戦術としての再現性は未確認。
ポンズ【ランクC】

索敵・連絡・毒針の三位一体で、戦場を情報網に変える使い手。
ポンズの強さは、蜂を媒介にした通信と制圧の複合運用にある。帽子や衣装に潜ませた蜂を放ち、接近者の感知、メッセージ運搬、毒針による牽制までを一人で担う。蜂の挙動が彼女の生体反応と連動する“自動防衛”が組み込まれている点も特徴で、護身と警戒のレイヤーが常時重なっている。キメラ=アント編では、蜂にカプセルを託すことで緊急通報の起点をつくり、情報の連鎖を前へ押し出した。
一方で、純戦闘の数値は低く、近接での打撃・防御は脆い。蜂は環境や耐性の影響を受けやすく、念で強化された相手に対しては決定力に欠ける。ゆえに総合格付けはCとなる。しかし、索敵・連絡・毒の三機能を束ねて任務の成功確率を底上げする実務価値は高く、前線を支える“見えない生命線”としての役割は明瞭である。冨樫作品が描く「強さ=暴力だけではない」という命題に照らせば、ポンズは情報と連携で戦場を動かすタイプの強者として、C帯の柱に位置づく。
●総合評価(ポンズ)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 未描写(不明)。念運用の確証はなし。 | C− |
応用技術 | trained蜂(毒針・催眠・伝令)と装備帽の運用/フェロモン管理・携行薬品。 | C+ |
戦闘能力 | 近接は脆弱。毒・催眠の初撃が通れば時間稼ぎ可。 | C− |
情報把握・潜入 | 野外行動・尾行・伝令に長け、チーム連携で有用。 | C+ |
精神面 | 危険域でも職務優先の胆力と迅速判断。 | B− |
総合 | 道具化+生物運用の実務型。念未確定ゆえC帯(C寄り)。 | C |
📌メモ
- 蜂は念生物でなく訓練個体+装備運用。
- NGLでは規制下でも伝令・警報役として機能したが、念戦の土俵では限界が明確。
ネオン=ノストラード【ランクC】

戦わずして組織の意思決定を動かした、情報支配型の異能者。
ネオンは戦闘力をほとんど持たないが、予知能力そのものが戦略資産である。対象の基本情報を受け取った上で自動筆記を行い、四連詩のかたちで“近未来の出来事”を暗示する。この詩は完全な指示書ではなく解釈の余地を残すが、ヨークシン編ではノストラード家の台頭を支え、さらには幻影旅団が行動計画の根拠として活用するほどの実効性を示した。すなわちネオンは、力ではなく予見による安全域の確保で戦局を変えるタイプである。
一方で、能力は後にクロロ=ルシルフルの「盗賊の極意」に奪取され、ネオン本人は予知を失う。以後は“影響力の源泉”を喪失し、戦闘面の弱さも相まって上位帯には届かない。ゆえに総合評価はCランクが妥当である。
ただし、彼女が物語にもたらした価値は大きい。予知の有無が組織の意思決定・生存確率を左右することを示し、冨樫作品における「強さ=暴力だけではない」という主題を体現した存在である。
●総合評価(ネオン)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 特質系。基礎操作の描写は乏しく、実戦運用は想定外。 | C |
応用技術 | 天使の自動書記(ラブリーゴーストライター):対象情報を条件に“予言詩”を具現化し、短期未来を高精度で示唆。 | A |
戦闘能力 | 直接戦闘力は事実上ゼロ。護衛前提。 | D |
情報把握・統率 | 予言が意思決定・資産運用に直結する高い情報価値。 | A− |
精神面 | 我儘で衝動的だが、恐怖耐性は平均的。 | C |
総合 | 非戦闘の特化型。戦闘評価は低いが、情報価値でC帯に位置。 | C |
📌メモ
- ヨークシン編終盤で能力はクロロに奪取され、以後は使用不可。
- 予言詩は比喩性が高く、解釈の巧拙が成果を左右する。
ゼパイル【ランクC】

偽作も見抜き、時に作れる職人として、金と信用の流れを設計する。
ゼパイルは戦闘者ではない。強さの核は、骨董・宝飾・美術の鑑定と流通の設計にある。闇市と正規市場の双方に通じ、真贋判定、適正価格の見立て、出品手続きの段取りまで一気通貫で組み立てる。ヨークシン編では、売り手として無名の少年たちをオークションの土俵に上げ、短期間で資金を作る経路を具体的に示した。ここで行われているのは力押しではなく、情報格差の反転だ。買い手の癖・相場・場の空気を読み、最も高く売れる瞬間へ導く。
過去に精巧な偽作を手掛けた経歴を持つため、偽物を見抜くだけでなく“作る側”の発想で市場を俯瞰できる点も特異である。ゼパイルにとっての武器は拳ではなく、信用と技術と時間である。冨樫作品が繰り返し描く「強さ=暴力だけではない」という命題の、経済圏における体現者と言える。
戦闘力は限定的だが、行動力・洞察・倫理観を併せ持つ点で、ハンター試験を再受験する姿勢そのものが彼の強さを象徴している。
総合評価はCランク。
暴力ではなく経験と誠実さで立ち向かう大人のハンター像として、冨樫作品でも異彩を放つ存在である。
●総合評価(ゼパイル)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 未描写(不明)。念の実戦運用は確認できず。 | C− |
応用技術 | 鑑定・交渉・加工(鍛冶/細工)に長け、装備・資産面で貢献。 | C+ |
戦闘能力 | 実戦描写なし。武闘家としての実績は不明。 | D+ |
情報把握・統率 | 市場・希少品の知識と折衝力で後方支援が可能。 | C |
精神面 | 現実的で粘り強い実務家。再挑戦志向が強い。 | C+ |
総合 | 非戦闘の職能型として最低限の価値。戦闘面の裏付けが乏しいためC−。 | C− |
📌メモ
- 第288期ハンター試験に受験者として登場(再挑戦)。
- 戦闘よりも鑑定・加工・交渉でパーティの実務を支えるタイプ。
コアラ【ランクC】

狙撃手としての過去と贖罪の現在を併せ持つ、倫理の岐路に立つ兵。
コアラは、人間時代の“請負殺し”としての記憶を保持したまま生まれたキメラ=アントである。尾行・張り込み・間合い管理に長け、拳銃/狙撃の運用や立ち回りは職業的に洗練されている。群れの暴力に埋没しない慎重さと観察眼は序盤から際立つが、作中で念戦の描写は皆無で、火力・防御とも上位念使いに対抗できる証拠は示されない。
真価は“倫理”にある。自らが殺した少女の転生体(カイトの新生体)に出会い、罪を言語化して生きて償う選択を取る。冨樫作品における「強さ=破壊ではなく、選択と責任」の体現であり、戦闘外の物語価値は高い。総合評価はCランク。銃と諜報では実務的に有能だが、念社会では裾野に位置する。今後、念を会得すればB帯に届く余地はあるが、現時点では“贖罪を生きる元殺し屋”という位置づけが核である。
●総合評価(コアラ)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 未描写(不明)。念戦の描写は確認できず。 | C− |
応用技術 | 銃火器運用/狙撃・尾行・張り込みなど職能は高水準。 | C+ |
戦闘能力 | 非念相手には脅威だが、念使い相手への決定力は乏しい。 | C− |
情報把握・潜入 | 観察・追尾・証跡管理に長け、偵察任務で実務価値。 | C+ |
精神面 | 贖罪志向で判断は安定。過去と向き合う持久力あり。 | B− |
総合 | “念外実務”に強い元殺し屋。戦闘面はC帯、任務価値でわずかに上振れ。 | C |
📌メモ
- 人間時代の職能(狙撃・尾行)を引き継いだキメラ=アント個体。
- 物語的価値は高いが、念戦の裏付けがないため戦闘評価は控えめに設定。
ジョネス【ランクC】

鍛えられた握力と解剖知識で肉体を“道具”として扱う職業的殺人者。
ジョネスの脅威は、念こそ使えないものの、長年の殺人経験で磨かれた実戦的な体さばきと間合いにある。対象の筋肉や関節の弱点を即座に見抜き、ナイフワークと握力で“分解”していくやり口は、一般の格闘家には致命的だ。相手の恐怖と緊張を利用して主導権を握る心理的圧も備え、非念環境ではトップクラスの殺傷力を発揮する。
ただし念社会の土俵に乗ると、評価は一変する。硬や凝で守られた相手に通る技はなく、応用力・対多人数・継戦力すべてが不足。実際、念の基礎を越えた存在(キルア)には一瞬で無力化された。これは彼個人の失策というより、冨樫作品が描く「念の有無が作る絶対的な壁」を示す装置でもある。
総合評価はCランク。市井では“怪物”だが、念の世界では裾野に位置する。ジョネスは、強さの序列が技術体系の差で決まることを初期段階で読者に突きつけた、指標的キャラクターである。
●総合評価(ジョネス)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 未習得(非念)。 | D |
応用技術 | 解体知識/急所把握/ナイフワークと強握力で“人間相手”の殺傷最適化。 | C+ |
戦闘能力 | 非念環境では脅威だが、念使い相手には決定打皆無。 | C |
情報把握・対人操作 | 恐怖誘導・威圧で主導権を握る実戦勘。 | C+ |
精神面 | 冷酷・動揺が少ない職業的残虐性。 | B− |
総合 | 市井では怪物、念社会では下位。序盤で“念という壁”を体現。 | C |
📌メモ
- 念使い(例:キルア)には瞬時に無力化される描写が基準。
- 「技術の高さ」と「体系の差(念)の前での無力」を対比させる象徴的キャラ。
モタリケ【ランクC】

念能力者として最低限の基礎は習得しているが、実戦では脆弱。
モタリケはグリードアイランド(GI)に入場していることから、念の基礎四大行を修得していると確定的に推定される。GI参加者はすべて“念を具現化したゲーム空間”に適応できる者に限られるため、非能力者(一般人)では入場できない。
ただし彼の念系統や発能力は一切不明で、戦闘型の描写も存在しない。念を戦いに使うよりも、情報収集・尾行・盗聴・観察といった支援的行動を専門としていると考えられる。
彼の強みは、尾行技術・間合いの取り方・相手の心理の読みである。
しかしこれはあくまで「一般社会レベルで優秀」な範囲にとどまり、プロハンター級や幻影旅団などの強者を相手にすれば通用しない。実際、登場シーンでも精神的に追い詰められ、冷静さを失っている。
念で自分の存在を隠す“絶”を限定的に使えた可能性はあるが、練や硬といった攻防強化の描写はない。よって戦闘力自体は低く、念能力者の最低ラインをわずかに上回る程度と考えられる。
モタリケは典型的な“下っ端念能力者”であり、自らの保身と報酬優先の現実主義者。
彼が所属する世界では念の力が社会的ステータスの一種であり、彼もその「資格」を得ている。しかし、ハンターや幻影旅団のように信念や目的で動くタイプではなく、損得勘定に基づいた行動が目立つ。
このため、戦闘面では弱いが、情報戦では一定の有用性を持つ。
●総合評価
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 念四大行(纏・練・絶・発)の最低限を修得 | B− |
応用技術 | 絶・隠などの制御が限定的に可能 | C+ |
戦闘能力 | 防御・攻撃・胆力すべて平均以下 | D+ |
情報収集・尾行 | 長時間監視に長けるが、尾行耐性は低い | C+ |
精神面 | 緊張・恐怖に弱く、詰められると崩れる | D |
総合 | 念使いの下位層。戦闘外任務では一応機能 | C− |
【Dランク】――“念の土俵外/象徴的モブ〜非戦闘の要員”
■ トンパ|試験荒らしの老練
攪乱・心理戦の経験は豊富。戦闘値は低いが“試験という場”では脅威。
■ ビーン|ハンター協会の事務局次長
事務・会計・選挙運営の要。戦闘描写なし(非戦闘職の象徴)。
■ ミト=フリークス|くじら島の保護者
交渉力と生活力は高いが、戦闘には関与せず。
■ ゼブロ|ゾルディック家の門番執事
試しの門の案内役。体力はあるが念未習得。
■ シークアント|ゾルディック家・執事補
情報管理・連絡の実務担当。戦闘力は描写なし。
■ ニコル|ハンター試験のPC少年
解析力は高いが体力不足で一次試験脱落。
■ ベンドット|トリックタワーの囚人(格闘家)
近接は強いが念なし。念使い相手では通用せず。
■ セドカン|トリックタワーの囚人(巨漢)
膂力頼みの肉弾戦タイプ。対念では無力。
■ レルート|トリックタワーの囚人(ギャンブラー)
駆け引きは巧みだが、戦闘性能は最下層。
■ バッテラ|G.I.スポンサー
組織運用・資金力は作戦に寄与するが非戦闘。
■ ノストラード家・一般護衛(名なし)|銃火器依存
念未習得で旅団戦では歯が立たず、被害多数。
■ ヨークシンの雑兵・マフィア構成員|局地戦力
銃・人数で圧をかけるも、念の前では瞬時に崩壊。
トンパ【ランクD】

戦わずに他者を脱落へ導く、試験という“場”の支配者。
トンパの強さは、拳ではなく経験と攪乱にある。長年の受験履歴で試験官の癖やコースの地理、脱落が生まれやすい局面を把握し、胃腸薬や飲料の差し入れ、情報の切り取り、集団の空気操作など“合法的な非道”で他者の判断を狂わせる。彼は体力や機動に優れた若手より、疲労・不安・同調圧力が交錯する瞬間を待ち、最小の労力で最大の効果を得ることに徹する。これは冨樫世界の「強さ=暴力だけではない」という命題を、初期段階で体現したケースである。
一方で、純戦闘力は低く、念の資質や修練も示されない。試験という限定環境を離れれば影響力は急減し、上位の実力者に対しては抑止力を持たない。ゆえに総合評価はCランク。ただし、環境・規則・心理という社会的条件を武器化する彼の在り方は、強さの多様性を可視化する装置でもある。トンパは“勝者”ではないが、場の設計が結果を左右することを教える、物語の重要な参照点である。
●総合評価(トンパ)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 原作描写では念未習得。能力的優位は情報操作・心理戦に依存。 | D |
応用技術 | ハンター試験における心理操作/トリック運用が核心。規則と人間の弱点を突く実務スキル。 | C |
戦闘能力 | 直接戦闘力はほぼ皆無。格闘や念戦では即敗北する水準。 | D |
情報把握・対人操作 | 長年の試験経験で得た場の読み・誘導技術は高く、局面操作力は侮れない。 | B− |
精神面 | 臆病さと利己性が強く、自身の安全を最優先に行動するタイプ。 | C− |
総合 | 戦闘では最下位だが、“場”を操ることで結果に影響を与える特殊役割者。総合評価はD(非戦闘特化)。 | D |
📌メモ
- トンパは“ハンター試験における場の攪乱者”としての役回りが明確。戦闘ランクは低いが、試験環境では最も厄介なタイプの一人であり、物語序盤での強さの多様性を提示する存在。
ビーンズ【ランクD】

戦闘ではなく制度と秩序を操る“もう一つの力”を象徴する存在。
ビーンズはハンター協会の事務的中枢を担う人物で、ネテロ会長の右腕として試験・選挙・書類管理を完遂する知識と調整のハンターである。
戦闘描写は一切なく、念の習得も不明だが、各ハンター試験官を取りまとめ、十二支んとも直接的に折衝できる唯一の“非戦闘型ブレーン”。
その存在は、力ではなく制度と運営を維持する知の強さを体現しており、冨樫作品における「支える者の価値」を象徴する立ち位置にある。
しかし、純戦闘力・防御力ともにゼロに等しく、念能力者の戦闘には到底関われない。
ゆえにランクはD(非戦闘特化)。
ただし、“誰もが戦えるわけではない世界”を成立させている根幹的存在であり、冨樫流のリアリズムを担う一人といえる。
●総合評価(ビーンズ)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 不明(描写なし)。非戦闘職。 | D |
応用技術 | 試験運営・選挙事務・会計/手続きの実務遂行。 | C+ |
戦闘能力 | 直接戦闘描写なし。実質ゼロ評価。 | D |
情報把握・統率 | 協会事務中枢として各部門と折衝・調整。 | B− |
精神面 | 冷静・誠実・粘り強い事務遂行。 | C+ |
総合 | 非戦闘特化の運営要。戦闘基準では最下層。 | D |
📌メモ:ハンター協会の試験・選挙・会議運営を実務面で支える“裏方の要”。戦闘評価とは別軸で物語のリアリティを担保する存在。
ニコル【ランクD】

知識と計算には長けるが、実地耐久が伴わず一次試験で脱落。
ニコルはハンター試験・一次試験に参加した解析系の受験者である。携帯端末で受験者数や合格率、移動速度などを計算し、状況をロジックで読み解こうとする姿勢は“情報戦”の素養を示す。初見の場でもトンパの手口を把握するなど、観察と推論の速さは確かだ。
しかし彼の限界は明白で、持久力・機動力・現場適応が著しく不足している。長距離移動を強いられる一次試験の段階で体力が尽き、解析が戦闘力に転化しないまま脱落。念の素養や訓練描写もないため、念社会の土俵に立てていない。
総評はDランク。頭脳労働としての価値はあるが、現場で生き残るための“身体の強さ”が欠落している。冨樫作品が示す「強さ=知と体の統合」という前提を、序盤で読者に突きつけた象徴的受験者である。
●総合評価(ニコル)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 未習得(描写なし)。 | D |
応用技術 | 端末解析・統計推論・情報整理は高水準。 | C+ |
戦闘能力 | 体力・持久・対人実戦ともに不足。一次試験で脱落。 | D |
情報把握・対人操作 | 噂・手口の早期把握など観察と推論は良好。 | C |
精神面 | 緊張・疲労に弱く崩れやすい。現場耐性が課題。 | C− |
総合 | 非戦闘の情報屋候補。念未習得ゆえ戦闘基準では最下層。 | D |
📌メモ:一次試験時点での“理詰めの把握力”は光るが、念の土俵に立っていないため評価はDに据置き。
ミト【ランクD】

“戦う力”ではなく育て、守り、選ばせる力で物語を動かした保護者。
ミトは〈くじら島〉でゴンを育て上げた養育者であり、法的な保護者として学校・役所・航路手配まで背負う“生活のインフラ”である。初期の彼女はハンターという生き方に現実的な警戒心を示し、ゴンの安全を最優先に判断する。しかし、ゴンの意思と資質を見極めると、禁止ではなく条件付きの容認へ舵を切る。ここには、冨樫作品に通底する「守ることと、手放すこと」の倫理がある。
純粋な戦闘描写や念の素養は示されず、前線では無力——ゆえに総合ランクはD。ただし、彼女の“強さ”は別の次元にある。島での採集・航海の段取り、役人との折衝、親族内の継承問題の処理など、生活と法務の現実知でゴンの出立を支えたこと自体が、物語の基盤を形成している。ミトは暴力ではなく責任と愛で世界を動かす側の人間であり、強さの定義を広げる装置として欠かせない存在である。
●総合評価(ミト)
評価項目 | 内容 | 評価 |
---|---|---|
念の基礎習得 | 不明(描写なし)。非戦闘。 | D |
応用技術 | 生活・法的手続・航路手配など後方実務の遂行。 | C+ |
戦闘能力 | 戦闘描写なし。 | D |
情報把握・統率 | 島内での折衝・保護者としての判断は安定。 | C+ |
精神面 | 責任感が強く、守るための現実的判断ができる。 | B− |
総合 | 非戦闘の支柱。物語上の役割は大だが戦闘基準では最下層。 | D |
📌メモ:原作では姓の明示がなく、表記は「ミト」で統一。
🧩 総括:冨樫義博が描いた「強さの本質」
本稿で扱った【SSS〜Dランク】までの全キャラクター評価は、単なる戦闘力の序列ではなく、冨樫義博が『HUNTER×HUNTER』を通して描いた「強さの構造」の写し鏡である。
冨樫作品における強者とは、念能力の数値的優劣を超えて、「覚悟」「理性」「執念」「他者との関係性」によって生まれる。メルエムやネテロのような“存在概念としての強さ”から、クラピカ・キルア・モラウのような“意志と理性の狭間で揺れる強さ”、さらにレオリオ・ミト・ビーンズといった“支える者の強さ”まで——冨樫はあらゆる階層に人間の多層的な力を配置している。
また、作中では「強さ=勝敗」ではなく、強さ=選択の結果として描かれる。
ジョネスやトンパのような“弱者”も、己の目的に忠実であった点では別種の強さを体現している。
逆に、圧倒的な力を持ちながらも“壊れていく”キャラ(ピトー、カイト、ユピーなど)は、冨樫が提示する「力の代償」そのものである。
最終的に、冨樫義博の世界観では——
「強さとは、己の信念を貫き通すための意志の密度」
その密度こそが、念能力を超えて個の存在を際立たせる真の“力”となる。
次章では、シリーズごと(例:ハンター試験編・ヨークシンシティ編・キメラアント編)に焦点を移し、各時代における“強さの構図”の変化をさらに細密に分析していきます。
どの瞬間に誰が“最強”であったのか──そしてその“強さ”が何を意味していたのかを、物語ごとに掘り下げていきましょう。
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