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ニコニコ市場とは何だったのか? “誰が買うんだよ”まで文化になった伝説のAmazon商品欄

動画の下に並ぶ商品まで、ネタになっていた時代

かつてニコニコ動画には、「ニコニコ市場」という独特な機能がありました。

動画の下にAmazonなどの商品が並び、視聴者がそこに商品を登録できる仕組みです。

普通に考えれば、動画に関連するCDや本、ゲームなどを紹介するための機能です。

しかし、ニコニコ市場はそれだけでは終わりませんでした。

動画の内容に引っかけた商品。
コメント欄の流れに乗ったネタ商品。
空耳やツッコミとして貼られた謎の商品。
そして、思わず「誰が買うんだよ」と言いたくなるカオスな商品欄。

ニコニコ市場は、単なるショッピング機能ではなく、コメントやタグと同じように“視聴者が遊ぶ場所”でもありました。

今の動画サービスでは、商品リンクは広告や収益導線として扱われることが多いです。

しかし、ニコニコ市場では、商品リンクそのものが笑いになり、動画体験の一部になっていました。

この記事では、ニコニコ市場とは何だったのか、なぜあれほど独特だったのか、そしてなぜ今振り返ると特別な文化に見えるのかを、軽めにわかりやすく整理していきます。

ニコニコ市場とは何だったのか?

ニコニコ市場とは、ニコニコ動画の視聴ページ下部に、Amazon.co.jpの商品などをユーザーが登録できた機能です。

開始は2007年7月。
当初は「ニコニコ市場(仮)」として始まり、動画に関連する商品をユーザーが検索・登録できる仕組みでした。登録できる商品は1動画につき最大10個までで、クリック数や購入数が多い商品ほど優先的に表示される仕様もありました。

普通に考えれば、これは動画とショッピングをつなぐ機能です。

たとえば、アニメ関連動画ならDVDやCD。
ゲーム動画なら攻略本やゲームソフト。
音楽動画なら関連CDや楽器。
そうした商品を動画の下に並べることで、視聴者がそのまま購入できる。

ここまでは、わりと分かりやすい仕組みです。

しかし、ニコニコ市場は単なる関連商品欄では終わりませんでした。

なぜなら、商品を登録するのが運営や投稿者だけではなく、ユーザーだったからです。

視聴者が動画を見て、
「この商品を貼ったら面白い」
「この場面にはこれだろ」
「この空耳ならこの商品だろ」
と考えながら、市場に商品を並べていく。

つまりニコニコ市場は、商品紹介でありながら、同時に視聴者参加型のネタ欄でもありました。

コメントが動画の上を流れ、タグが動画の意味を補足し、市場が商品でボケる。

この三層構造が、ニコニコ動画らしい独特の空気を作っていたのです。

なぜ「誰が買うんだよ」が面白かったのか

ニコニコ市場の面白さは、商品そのものよりも「なぜこの動画にこの商品が貼られているのか」という文脈にありました。

普通の商品リンクなら、動画内容と商品がきれいにつながっている方が自然です。

アニメ動画なら関連DVD。
ゲーム動画ならゲームソフトや攻略本。
音楽動画ならCDや楽器。

こうした商品であれば、視聴者もすぐに意味を理解できます。

しかしニコニコ市場では、ときどき意味が分かるようで分からない商品が貼られていました。

動画内の一言に反応した商品。
空耳に引っかけた商品。
コメント欄の流れから生まれた商品。
登場人物へのツッコミとして置かれた商品。
ほとんど勢いだけで貼られたようなネタ商品。

その結果、視聴者は商品を見て、

「なんでこれがあるんだよ」
「たしかに必要かもしれない」
「誰が買うんだよ」

と笑うことになります。

この“ズレ”こそが、ニコニコ市場らしさでした。

しかもニコニコ市場では、クリック数や購入数も見える仕組みでした。商品を選ぶのも買うのもユーザーであり、その行動が可視化される点も特徴として報じられていました。

つまり、ただネタとして貼られただけの商品が、実際にクリックされ、場合によっては買われていた可能性まで見えてしまう。

ここが面白かったのです。

冗談で貼られた商品なのに、誰かが本当に買っているかもしれない。
ツッコミとして置かれた商品が、数字として反応されている。
その半分本気、半分ネタの空気が、ニコニコ市場を独特なものにしていました。

ニコニコ市場は、商品を売るためだけの場所ではありませんでした。

商品を使って、視聴者が動画にツッコミを入れる場所でもあったのです。

商品リンクがコメントやタグの延長になっていた

ニコニコ市場が独特だったのは、商品欄が単なる広告スペースではなく、コメントやタグの延長のように使われていたことです。

ニコニコ動画では、動画上を流れるコメントがその場のリアクションを作りました。

「www」
「ここ好き」
「来るぞ」
「弾幕薄いよ」

といったコメントが、動画の空気をリアルタイムで盛り上げていたわけです。

一方、タグは動画全体への一言コメントのような役割を持っていました。

「もっと評価されるべき」
「才能の無駄遣い」
「謎の感動」
「公式が病気」

こうしたタグは、検索補助でありながら、同時に視聴者の評価やツッコミでもありました。

そしてニコニコ市場は、そこにもうひとつ加わる“商品を使ったコメント欄”のような存在でした。

文字でツッコむならコメント。
動画全体に一言添えるならタグ。
商品画像と商品名でボケるなら市場。

この役割分担が自然に成立していたのが、ニコニコ動画らしいところです。

しかも商品リンクは、文字コメントよりも妙な存在感がありました。

動画の下に、真面目な商品写真が並んでいる。
でも貼られた理由は、たぶんくだらない。
そのギャップが笑いになる。

この「真面目な商品画像をネタとして使う」感覚は、今の動画サービスではなかなか見られません。

現在の商品リンクは、基本的に広告、案件、紹介、収益導線として見られます。

しかしニコニコ市場では、商品リンクそのものが動画体験の一部でした。

動画を見る。
コメントで笑う。
タグでさらに笑う。
最後に市場を見て「それ貼るな」と笑う。

この流れまで含めて、ニコニコ動画のページはひとつの遊び場になっていたのです。

なぜニコニコ市場は終了したのか

ニコニコ市場は、2023年11月30日12時に機能提供を終了しました。

理由として大きかったのは、PC版ニコニコ動画の視聴ページをリニューアルする流れです。

ニコニコ側は、当時の動画視聴ページについて、より視聴しやすく、クリエイターを応援しやすい形に見直す方針を示していました。その中で、ニコニコ市場についてはシステムが古く、新しい動画視聴ページでの利用が難しいため、機能提供を終了すると説明されています。

つまり、ニコニコ市場の終了は、単に「誰も使わなくなったから終わった」というより、動画ページそのものを現代向けに整理する流れの中で決まったものです。

これは少し寂しくもあります。

ニコニコ市場は、良くも悪くも昔のPC時代のニコニコ動画らしい機能でした。

動画を見る。
コメントを見る。
タグを見る。
市場まで見る。

そうやって、動画ページ全体を眺めながら楽しむ文化がありました。

しかし、今の動画サービスでは、まず動画そのものの見やすさが重視されます。

スマホで快適に見られること。
プレーヤーが使いやすいこと。
余計な情報が多すぎないこと。
クリエイターへの応援導線が分かりやすいこと。

こうした方向へ進む中で、ニコニコ市場のような“余白で遊ぶ機能”は、だんだん時代に合いにくくなっていったのだと思います。

だからこそ、ニコニコ市場は「昔のニコニコらしさ」を強く感じさせる機能でもありました。

便利で整った機能というより、ユーザーが勝手に遊び方を作っていく機能。

その雑さと自由さが、ニコニコ市場の魅力だったのです。

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「なんでこれ貼ってあるんだよ」と笑いながら、なぜか妙に印象に残る――そんな“ニコニコ市場っぽさ”を感じる駄菓子セット。深夜のネット巡回感まで思い出せる、懐かしさ重視の一品です。

価格・在庫・仕様や版の違いなどは変動します。購入の際は各ショップの商品ページで最新情報をご確認ください。

まとめ ニコニコ市場は、商品リンクで遊べた時代の象徴だった

ニコニコ市場は、単なるAmazon商品欄ではありませんでした。

動画の下に商品を並べる機能でありながら、実際にはコメントやタグと同じように、視聴者が動画に参加するための場所でもありました。

普通なら、商品リンクは広告や購入導線です。

しかしニコニコ市場では、

「なぜこれが貼ってあるんだよ」
「たしかにこの動画ならこれかもしれない」
「誰が買うんだよ」

という笑いが生まれていました。

商品そのものよりも、貼られた理由や文脈が面白かったのです。

ニコニコ市場は2007年7月に始まり、2023年11月30日に終了しました。終了理由としては、PC版動画視聴ページのリニューアルに向けて、古いシステムの継続利用が難しくなったことが説明されています。

今の動画サービスでは、商品リンクはきちんと整理された広告や収益導線として扱われることがほとんどです。

それ自体は自然な進化です。

けれど、ニコニコ市場には、広告欄すら遊び場にしてしまうような、昔のネットならではの自由さがありました。

動画を見る。
コメントで笑う。
タグでさらに笑う。
最後に市場を見て、また笑う。

その流れまで含めて、ニコニコ動画の視聴体験だったのだと思います。

ニコニコ市場は、便利で洗練された機能だったというより、ユーザーが勝手に面白がり、勝手に文化にしていった機能でした。

だからこそ、今振り返ると強く印象に残ります。

ニコニコ市場とは、商品リンクがまだ“ネタ”になれた時代の象徴だったのです。

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