ゲーム系 レトロゲーム系

ニンテンドウ64全タイトル完全網羅(日本)|発売日順リスト・名作解説・年別トリビアまとめ

ニンテンドウ64全タイトル(日本)|発売日順でたどる3Dゲーム黎明期の軌跡

1996年、スーパーファミコンの後継機として登場したニンテンドウ64は、家庭用ゲームにおける本格的な3D時代の幕開けを告げた存在でした。
カートリッジ媒体を維持しつつも、高速読み込み・アナログスティック・4人同時プレイといった革新をもたらし、以後のゲームデザインの基礎を築き上げます。

ここでは、日本国内で発売されたすべてのN64タイトルを発売日順に正確に整理し、各年ごとに“その年の特徴と評価”、そして時代を彩った名作トリビアを交えて紹介します。
『スーパーマリオ64』『ゼルダの伝説 時のオカリナ』『マリオカート64』など、伝説的タイトルを生んだ激動の1990年代後半を、いま一度振り返ってみましょう。

1996年|発売タイトルリスト(発売日順)

  • 1996-06-23 スーパーマリオ64(任天堂)
     箱庭3Dの基礎を確立。アナログ操作とカメラ設計の教科書。
  • 1996-06-23 パイロットウイングス64(任天堂)
     “飛ぶ・滑空する”3D基礎体験。物理と視界の読みを学べる。
  • 1996-06-23 最強羽生将棋(セタ)
     羽生善治監修。ローンチを支えた本格将棋。
  • 1996-09-27 ウエーブレース64 カワサキジェットスキー(任天堂)
     波の抵抗とブイ通過が核心。水面物理×操作の基準点。
  • 1996-11-22 ワンダープロジェクトJ2 コルロの森のジョゼット(エニックス)
     “育てて見守る”生活シム。N64ならではの温かい表現。
  • 1996-11-29 栄光のセントアンドリュース(セタ)
     名門コースを舞台にした正統派ゴルフ。風読みとライ攻略が要。
  • 1996-12-14 マリオカート64(任天堂)
     4人対戦と立体コースでパーティレースを決定版へ。
  • 1996-12-20 超空間ナイター プロ野球キング(イマジニア)
     元気開発の野球。豪快演出と4人対戦で年末を盛り上げる。
  • 1996-12-20 実況Jリーグ パーフェクトストライカー(コナミ)
     実名Jリーグ収録。スピーディな展開と臨場感が売り。
  • 1996-12-20 麻雀MASTER(コナミ)
     ポリゴン卓上の本格4人打ち。多彩なモードで腕を磨ける。

1996年の特徴と評価

1996年――家庭用ゲームが2Dから3Dへと本格的に舵を切った年
ニンテンドウ64の登場は、まるで「遊びの物理法則」が変わる瞬間を見ているかのようでした。

『スーパーマリオ64』が示したのは、ただの3Dではなく“触れる世界”。
プレイヤーの指先とマリオの動きが完全にシンクロし、カメラを操るという新しい概念を教えてくれた。
この一本で、「ゲームの未来はここにある」と多くの人が確信したのです。

秋には『ウエーブレース64』が登場し、水面の揺らぎや波の抵抗までもが手の中に伝わる感覚を実現。
年末の『マリオカート64』では、初の4人同時対戦で“リビングの熱狂”を作り出しました。
その光景は、かつてのファミコンの団らんを3Dの世界に置き換えたようでもありました。

一方、サードパーティも動き始めます。
『ワンダープロジェクトJ2』のように心を育てるシミュレーションや、『栄光のセントアンドリュース』のように現実感を追求したゴルフが登場し、
N64が「派手なポリゴンだけのハードではない」ことを証明します。

こうして1996年は、“技術の衝撃”と“温もりある遊び”が同居した特別な年となりました。
誰もがまだ未知の3D世界に足を踏み入れた、あの独特の“手探りのワクワク”――
それがニンテンドウ64最初の年を象徴する感覚だったのです。

1996年 注目作ランキング(ベスト10)

1位|スーパーマリオ64(任天堂)
 “箱庭3D”を確立した歴史的転換点。アナログ操作とカメラ設計の基準を作り、以後の3Dゲームの文法を刷新。

2位|マリオカート64(任天堂)
 4人同時プレイと立体コースでパーティレースを決定版へ。対戦の盛り上がりと見通しの良いコース設計が光る。

3位|ウエーブレース64 カワサキジェットスキー(任天堂)
 水面物理×ブイ通過の手応えが見事。波の抵抗や滑走感を“操作感の快楽”に落とし込んだ到達点。

4位|パイロットウイングス64(任天堂)
 滑空・ロケットベルト・ジャイロなど多彩な飛行で、3D空間の読み方と“気流の遊び”を教えてくれる名作。

5位|ワンダープロジェクトJ2 コルロの森のジョゼット(エニックス)
 “育てて見守る”生活シムをN64表現で温かく再構築。行動学習の設計と情緒のバランスが秀逸。

6位|実況Jリーグ パーフェクトストライカー(コナミ)
 実名Jリーグのスピーディな展開と臨場感。操作レスポンス重視の設計で“試合の気持ちよさ”を底上げ。

7位|超空間ナイター プロ野球キング(イマジニア)
 派手目の演出とキビキビした操作で“年末の4人対戦”を盛り上げた快作。野球ゲームの入り口として優秀。

8位|栄光のセントアンドリュース(セタ)
 名門コースを舞台にした正統派ゴルフ。風・ライ・起伏の読みを丁寧に作り、落ち着いて遊べる一本。

9位|最強羽生将棋(セタ)
 羽生善治監修の本格将棋。思考時間と読みの深さが程よく、ローンチを支えた“知の定番”。

10位|麻雀MASTER(コナミ)
 ポリゴン卓上の4人打ちを多モードで。対戦前提の気軽さとUIの分かりやすさで末席を確保。

【1996年|N64トリビア】

  • “ウルトラ64”から“ニンテンドウ64”へ
     発売年の雑誌・店頭では旧呼称がまだ混在。名称変更の過渡期感がローンチ年ならでは。
  • アナログスティックが“標準”になった瞬間
     コントローラーにスティックを標準搭載した据置機として本格普及。『スーパーマリオ64』で“歩く/走る/にじむ”が指先に直結する体験を作った。
  • 『スーパーマリオ64』の“カメラマンはジュゲム”
     画面右下のカメラアイコンは、雲に乗ったジュゲムが“撮っている”という世界内設定。カメラ=ゲーム内存在という発想で3Dの違和感を減らした。
  • 『パイロットウイングス64』のラシュモア山イタズラ
     作中のマウントラシュモアはマリオの顔。ある方法でいじるとワリオの顔に変わる小ネタが仕込まれている。
  • 『ウエーブレース64』は実名“カワサキ”表記
     日本版タイトルに「カワサキジェットスキー」と明記。任天堂タイトルとしては珍しい実名ブランド前面押しで、水上レースの“本物感”を演出。
  • 『マリオカート64』のゴースト保存はコントローラパック
     レコード自体はカートリッジに残るが、ゴーストデータの保存は別売メモリ(コントローラパック)が必要。年末の“みんなでタイム短縮”遊びと相性抜群。
  • “育てて見守る”をN64で:『ワンダープロジェクトJ2』
     3D全盛のなかで手描き調×育成ADVという異色作。生活感あるアニメ表現で、N64の“派手さ以外の顔”を示した。
  • 将棋界の“七冠”とローンチが同時代
     『最強羽生将棋』の監修・羽生善治が1996年に七冠制覇。N64発売年の時勢とリンクし、ボードゲーム枠の話題性を底上げした。
  • “読み込みほぼゼロ”という快感
     カートリッジ採用で即起動・即リトライが当たり前に。3D時代でもテンポが途切れず、家族対戦の回転率が高かったのがN64らしさ。
  • ローンチ3作の“役割分担”が秀逸
     触る楽しさ=マリオ64/空間を感じる=PW64/知で遊ぶ=羽生将棋。最初の3本で“指・目・頭”の三方向から新世代を体験させた設計が見事。

1997年 発売タイトル一覧(日本)|発売日順

  • 1997-03-14 実況パワフルプロ野球4(コナミ)
     N64初の「パワプロ」。アナログ操作で打投走の手触りが向上。
  • 1997-03-21 ドラえもん のび太と3つの精霊石(エポック社)
     箱庭風3Dで冒険。4人対戦も備えたシリーズ初のN64作。
  • 1997-03-21 ブラストドーザー(任天堂)
     重機で障害物を破壊し道を切り開く。物理破壊アクションの快作。
  • 1997-03-28 ヒューマングランプリ ザ・ニュージェネレーション(ヒューマン)
     F1題材のリアル指向レース。天候・ピット戦略も再現。
  • 1997-03-28 JリーグLIVE64(エレクトロニック・アーツ・ビクター)
     実名Jリーグを収録した3Dサッカー。ライブ感重視の作り。
  • 1997-04-04 麻雀64(光栄)
     段階学習で腕前を磨く本格派。操作系がシンプルで遊びやすい。
  • 1997-04-27 スターフォックス64(任天堂)
     振動パック同梱で話題。分岐ルートと名セリフが彩る3Dシューティング。
  • 1997-05-30 時空戦士テュロック(アクレイムジャパン)
     恐竜と古代兵器が交錯するFPS。重量感ある操作が特徴。
  • 1997-06-14 スター・ウォーズ 帝国の影(任天堂)
     TPS/フライトなど章で遊びが変化。映画外伝を体感。
  • 1997-06-27 ゆけゆけ!!トラブルメーカーズ(エニックス)
     “掴む・振る・投げる”がキモの2Dアクション。トレジャー制作。
  • 1997-07-18 スーパーマリオ64 振動パック対応バージョン(任天堂)
     振動対応と調整を施した改良版。操作感もブラッシュアップ。
  • 1997-07-18 ウエーブレース64 振動パック対応バージョン(任天堂)
     波の手応えがさらに鮮明に。名作水上レースの対応版。
  • 1997-07-18 マルチレーシングチャンピオンシップ(MRC)(イマジニア)
     分岐ルートと路面差で戦う戦略型レース。改造要素も楽しい。
  • 1997-07-25 雀豪シミュレーション 麻雀道64(ビデオシステム)
     CPU戦を重ねて段位を狙う硬派設計。思考バランスが良好。
  • 1997-08-01 麻雀放浪記CLASSIC(イマジニア)
     名作原作を題材にした物語付き麻雀。旅打ちの空気を演出。
  • 1997-08-01 DOOM64(ゲームバンク)
     N64独自アセットで再構成したDOOM。重厚な光源と新マップ群。
  • 1997-08-07 がんばれゴエモン 〜ネオ桃山幕府のおどり〜(コナミ)
     和風コメディ×3Dアクション。城下町探索とバトルが楽しい。
  • 1997-08-08 パワーリーグ64(ハドソン)
     野球シリーズのフルポリゴン化。モーションで臨場感を演出。
  • 1997-08-23 ゴールデンアイ 007(任天堂)
     日本にFPS旋風を起こした金字塔。4人対戦で大ブームに。
  • 1997-09-05 Jリーグダイナマイトサッカー64(イマジニア)
     軽快さを重視したプレイ感。演出もN64向けに最適化。
  • 1997-09-18 実況ワールドサッカー3(コナミ)
     スピーディな展開と個性付け。“世界版実況”の完成度が高い。
  • 1997-09-26 爆ボンバーマン(ハドソン)
     3Dアクション化で新生。謎解きとボムアクションが融合。
  • 1997-10-24 Jリーグ イレブンビート1997(ハドソン)
     デフォルメ調で直感操作。対戦の間口が広い一作。
  • 1997-10-31 ぷよぷよSUN64(コンパイル)
     “太陽ぷよ”搭載の第3作をN64向けに最適化。対戦が白熱。
  • 1997-11-21 プロ麻雀 極64(アテナ)
     「極」ブランドの本格派。読み合い重視の思考が持ち味。
  • 1997-11-21 ディディーコングレーシング(任天堂)
     カート/ホバー/飛行機の三位一体。アドベンチャー要素が秀逸。
  • 1997-11-28 HEIWA パチンコワールド64(アムテックス)
     平和機種を収録。演出研究や実機理解に向く作り。
  • 1997-11-28 ワイルドチョッパーズ(セタ)
     攻撃・救出をこなすヘリアクション。ミッション型の作り。
  • 1997-11-28 ファミスタ64(ナムコ)
     ナムコ唯一のN64用。実名対応と自然なモーションが魅力。
  • 1997-11-28 64大相撲(ボトムアップ)
     四股名や取り口を作り込める角力シム。稽古〜本場所を網羅。
  • 1997-12-05 トップギア・ラリー(コトブキシステム)
     ダート走行の挙動とチューニングが楽しい本格派ラリー。
  • 1997-12-05 デュアルヒーローズ(ハドソン)
     多段変身と派手演出の3D対戦格闘。年末対戦の華。
  • 1997-12-12 スノボキッズ(アトラス)
     トリックとアイテム戦が熱い雪上レース。対戦の盛り上がり◎。
  • 1997-12-12 カメレオンツイスト(日本システムサプライ)
     伸びる舌で掴んで移動・攻撃。クセになる操作の3Dアクション。
  • 1997-12-18 飛龍の拳ツイン(カルチャーブレーン)
     “飛龍の拳”のN64作(海外名Flying Dragon)。育成要素も搭載。
  • 1997-12-18 ハイパーオリンピック イン ナガノ64(コナミ)
     長野五輪公式。氷上・雪上の競技をパーティ感覚で楽しめる。
  • 1997-12-18 ヘクセン(ゲームバンク)
     魔術と近接が絡むダークFPS。多クラス制で攻略幅が広い。
  • 1997-12-19 エアロゲイジ(アスキー)
     浮遊マシンで超高速レース。空中走行でブーストという独自性。
  • 1997-12-19 バーチャル・プロレスリング64(アスミック)
     技の“重さ”と間合いを重視した本格派プロレス。
  • 1997-12-19 ウッチャンナンチャンの炎のチャレンジャー 電流イライラ棒(ハドソン)
     TV番組の人気企画をゲーム化。スティック精密操作が肝。
  • 1997-12-19 64で発見!! たまごっち みんなでたまごっちワールド(バンダイ)
     すごろく×育成のパーティ作。家族・友人でワイワイ遊べる。
  • 1997-12-21 ヨッシーストーリー(任天堂)
     フルーツを食べて進む独自ルール。絵本調ビジュアルと音楽が光る。
  • 1997-12-26 遙かなるオーガスタ MASTERS’98(ティーアンドイーソフト)
     名門オーガスタを舞台にした本格ゴルフ。ショットの再現性が高い。

1997年の特徴と評価

1997年のニンテンドウ64は、“実験から自信へ”一段ギアを上げた年でした。
年明けは静かでも、3月以降に一気に供給が走り、春の『スターフォックス64』が振動パック同梱で“触感のあるゲーム”を家庭に定着させる。以後、レースやアクションを中心に4人対戦+アナログ操作が標準装備となり、リビングの熱量はSFC時代の再現を超えていきます。

前半は『ブラストドーザー』や『MRC』で3D空間の使い方を身体で覚えさせる設計が目立ち、夏には『ゴールデンアイ 007』が国内FPSの扉を本格的に開ける。画づくりや操作応答の工夫で“64でもここまでできる”を実証し、以後のタイトルが照準・視点・フレームの気持ちよさを揃えてくる転換点になりました。

一方で、3D一色に振り切らないジャンルの厚みも1997年の特色。
トレジャーの『ゆけゆけ!!トラブルメーカーズ』が2Dの芯を64流に磨き、『ぷよぷよSUN64』や麻雀・パチンコ系が長く遊べる“いつもの一本”として棚を支える。スポーツは野球・サッカーが年末まで連弾し、対戦前提のテンポと見通しのよい画面がしっかり標準化された年でもあります。

年末の『ディディーコングレーシング』はアドベンチャー+レースの混血で“遊び場そのものがメニュー”という発想を提示し、『ヨッシーストーリー』は絵本的演出と“食べて進む”設計で賛否を呼びつつも、N64が表現の幅を試す舞台であることを示しました。

総じて1997年は、アナログ+振動+4人対戦という64の三種の神器が生活に溶け込み、レース/シューティング/パーティ/知的ゲームがそれぞれの最適解を探り当てた一年。
読み込みの短さと入力のダイレクト感を武器に、N64は“次の常識”を静かに、でも確実に形にした――そんな成熟の手応えが、年末の充実ラインアップからも伝わってきます。

1997年 注目作ランキング(ベスト10)

1位|ゴールデンアイ 007(任天堂)
 家庭用FPSの扉を本格的に開いた金字塔。4人対戦の熱狂とミッション設計の妙で“遊び方”そのものを更新。

2位|スターフォックス64(任天堂)
 振動パック同梱で“手応えのある3D”を定着。分岐ルート×名セリフ×操作応答の三拍子が揃う快作。

3位|ディディーコングレーシング(任天堂)
 カート/ホバー/飛行機+アドベンチャー要素。“遊び場そのものがメニュー”という発想が秀逸。

4位|がんばれゴエモン 〜ネオ桃山幕府のおどり〜(コナミ)
 和風コメディと3Dアクションの幸福な融合。城下町探索とボス戦のメリハリが心地よい。

5位|スノボキッズ(アトラス)
 雪上アイテムレースの決定版。トリック×ショートカットの読み合いで対戦が盛り上がる。

6位|トップギア・ラリー(コトブキシステム)
 路面差・チューニング・天候の三要素で“走りの説得力”を演出。64レースの本格派。

7位|ブラストドーザー(任天堂)
 “破壊して道を拓く”明快設計。制限時間管理と重機操作の快感がクセになる。

8位|ゆけゆけ!!トラブルメーカーズ(エニックス)
 掴む・振る・投げる――トレジャー流2Dアクションを64解像度で。手触りの個性が際立つ。

9位|爆ボンバーマン(ハドソン)
 ボム×謎解きで3Dに再発明。シリーズ文脈を崩さず、探索と手応えを両立。

10位|バーチャル・プロレスリング64(アスミック)
 技の重さ・間合い・崩しが生む“読み合い”。プロレス表現の完成度でコア層の支持厚し。

【1997年|N64トリビア】

  • 1〜2月は“完全に空白”の珍しい年
     年始に新作ゼロ。これは64全時代でも唯一。理由は3月14日の本体値下げに合わせ、各社が発売を遅らせたため。
  • “振動パック同梱”は世界初の標準化
     『スターフォックス64』に付属したパックが家庭用で初めて「振動を前提に設計された」ケース。海外では“Rumble Pak Revolution”と呼ばれた。
  • 『ゴールデンアイ007』は任天堂販売だがレア社開発
     元は『スーパードンキーコング』を作った英国チーム。完成まで2年以上かかり、開発初期は「映画の販促用短期企画」だった。
  • 『ブラストドーザー』は“破壊エンジン”の先駆け
     Real-time Destructionを組み込んだ珍しいタイトル。後の『バーンアウト』『レッドファクション』などの設計思想にも影響を与えたと語られる。
  • 『ゆけゆけ!!トラブルメーカーズ』=“トレジャーの自由研究”
     『ガンスターヒーローズ』の開発者が再集結。「掴んで投げる」だけのシンプル操作を極限まで磨くという社内チャレンジ企画から生まれた。
  • 『ディディーコングレーシング』は“マリオカートより先に完成”していた
     もともとは新IP『Pro-Am 64』として進行中。マリオカート64の発売延期を受け、ディディーを主役に差し替えて緊急リリースされた。
  • 『ヨッシーストーリー』の“泣き声”は坂本千夏さんの新録
     ヨッシーの声優がここで初めて正式収録。以降、スマブラ・マリオシリーズに共通して使われる基礎音源となった。
  • 『スノボキッズ』のキャラ年齢は全員“12歳前後”
     海外では高校生設定に改変。北米版パッケージはアニメ調から写実寄りに変更され、国ごとに雰囲気が全く違う
  • 『爆ボンバーマン』のエンディング演出が北米版と別物
     海外ではカットシーンの音楽・表現が差し替えられており、国内版よりダークトーンに。
  • 『64で発見!!たまごっち』は史上初の“64対応すごろく”
     ボード進行中に本体のコントローラを“揺らす”ギミックが存在し、当時は振動パック対応未発表の実験仕様だったとされる。

1998年発売タイトル一覧(日本)|発売日順

  • 1998-01-04 新日本プロレスリング 闘魂炎導 BRAVE SPIRITS(ハドソン)
     実名レスラーで闘う3Dプロレス。技の重さと間合い管理が肝。
  • 1998-01-29 NBA IN THE ZONE’98(コナミ)
     実況系バスケのN64版。テンポ良い攻守切替で遊びやすい。
  • 1998-01-30 シムシティ2000(イマジニア)
     箱庭都市を設計・運営。パッド操作に最適化した遊び心地。
  • 1998-02-28 ウェイン・グレツキー 3Dホッケー(ゲームバンク)
     アーケード調の痛快ホッケー。派手な当たりと爽快ゴール。
  • 1998-02-28 1080° スノーボーディング(テン・エイティ)(任天堂)
     雪質とエッジ感が快感。トリックとライン取りで極まる一本。
  • 1998-03-19 ソニックウイングス アサルト(ビデオシステム)
     “対空・対地”で展開が切り替わる3D空戦シューティング。
  • 1998-03-26 G.A.S.P!! Fighters’ NEXTream(コナミ)
     投げ・位置取り重視の3D格闘。読み合いの手触りが濃い。
  • 1998-03-26 実況パワフルプロ野球5(コナミ)
     手応えと応答性を磨いた“N64第2作”のパワプロ。
  • 1998-03-26 進め!!対戦ぱずるだま 闘魂!!まるたま町(コナミ)
     落ちもの連鎖の定番を64向けに調整。対戦が盛り上がる。
  • 1998-03-27 エアーボーダー64(ヒューマン)
     エアボードで高速レース。トリックとコースどりで差が出る。
  • 1998-03-27 スペースダイナマイツ(ビック東海)
     海外版“Dark Rift”の和題。個性派キャラがぶつかる3D格闘。
  • 1998-04-03 森田将棋64(セタ)
     本格思考の将棋。段位挑戦や多彩な対局設定で長く遊べる。
  • 1998-04-24 FIFA Road to WORLD CUP 98 ワールドカップへの道(EAビクター)
     代表戦中心のFIFA系。スピーディな展開と演出で魅せる。
  • 1998-04-30 ボンバーマンヒーロー ミリアン王女を救え!(ハドソン)
     1人用アクション特化。“走って爆破”に徹した軽快設計。
  • 1998-05-29 エクストリームG(アクレイムジャパン)
     超高速バイクのSFレース。スリル重視のコース設計。
  • 1998-05-29 スーパースピードレース64(タイトー)
     扱いやすい操作で間口広めのレース。対戦も手軽に楽しめる。
  • 1998-06-04 実況ワールドサッカー ワールドカップ フランス’98(コナミ)
     “世界版実況”。機敏なレスポンスと個性付けで爽快。
  • 1998-06-26 デザエモン3D(アテナ)
     “自作STG”を作って遊べる3Dシューティング制作ツール。

1998年7〜12月 発売タイトル一覧(日本)|発売日順・1行解説

  • 1998-07-10 スターソルジャー バニシングアース(ハドソン)
     縦スクロールSTGの老舗が64に参戦。ボス戦の密度が高い一本。
  • 1998-07-14 F-ZERO X(任天堂)
     常時60fpsの超高速レース。密集隊列のスリルが癖になる。
  • 1998-07-16 オリンピックホッケー ナガノ’98(コナミ)
     長野五輪題材のアイスホッケー。体当たりの手応えが爽快。
  • 1998-07-17 チョロQ64(タカラ)
     改造と収集が楽しい玩具レース。ショートカット攻略も熱い。
  • 1998-07-17 スーパーロボットスピリッツ(バンプレスト)
     人気機体で戦う3D対戦格闘。見せ場の必殺演出が気持ちいい。
  • 1998-07-23 らくがきっず RAKUGAKIDS(コナミ)
     手描きアニメ調の2D格闘。操作感のキレと遊び心が魅力。
  • 1998-07-24 スーパービーダマン バトルフェニックス64(ハドソン)
     玩具連動の対戦アクション。ギミックで盛り上がるパーティ枠。
  • 1998-08-01 ポケモンスタジアム(任天堂)
     64GBパック同梱。育てたポケモンを3Dの迫力で対戦。
  • 1998-08-07 64トランプコレクション アリスのわくわくトランプワールド(ボトムアップ)
     定番トランプを多数収録。家族・友人と手軽に遊べる。
  • 1998-08-28 イギーくんのぶら²ぽよん(アクレイムジャパン)
     弾む身体で塔を登る変則レース。重力感のクセが楽しい。
  • 1998-10-09 Let’s スマッシュ(ハドソン)
     わかりやすさ重視のテニス。ダブルス対戦が熱い定番枠。
  • 1998-10-23 キラッと解決! 64探偵団(イマジニア)
     事件を追うアドベンチャー。推理とミニゲームで進行。
  • 1998-10-30 CITY TOUR GRANDPRIX 全日本GT選手権(イマジニア)
     市街地+GTカーの本格レース。ライン取りの妙を味わう。
  • 1998-11-13 テトリス64(セタ)
     脈拍計“バイオセンサー”対応の異色作。難度が変動する遊び。
  • 1998-11-20 マジカルテトリスチャレンジ featuring ミッキー(カプコン)
     ディズニー×テトリス。演出と回転法則で差別化。
  • 1998-11-21 ゼルダの伝説 時のオカリナ(任天堂)
     3DアクションADVの金字塔。Z注目と迷宮設計が歴史を更新。
  • 1998-11-27 ウェットリス(イマジニア)
     地形を盛り上げて水を制御する“落ちもの”。新感覚のパズル。
  • 1998-11-27 ナイフエッジ ノーズガンナー(コトブキシステム)
     前方視点のガンシップSTG。連携撃破の爽快感が売り。
  • 1998-11-27 ぬし釣り64(ビクターインタラクティブ)
     釣り×スローライフ。手応えある釣り味と収集要素が楽しい。
  • 1998-12-02 マリオのふぉとぴー(東京エレクトロン デバイス)
     写真・クリップアートでカード制作。家庭用DTP的ツール。
  • 1998-12-04 ゲッターラブ!! ちょー恋愛パーティーゲーム(ハドソン)
     “恋愛×ボード”の名作。駆け引きとイベントで盛り上がる。
  • 1998-12-06 バンジョーとカズーイの大冒険(任天堂)
     探索型3Dアクションの傑作。収集と仕掛けの密度が高い。
  • 1998-12-11 ファイティングカップ(イマジニア)
     ポイント制の3D格闘。投げ・崩しの駆け引きが独特。
  • 1998-12-11 ドラえもん2 のび太と光の神殿(エポック社)
     アクションADV第2弾。仕掛けと世界観を拡張。
  • 1998-12-12 ピカチュウげんきでちゅう(任天堂)
     専用マイクで“話しかける”体験。音声認識遊びの先駆け。
  • 1998-12-18 AI将棋3(アスキー・サムシンググッド)
     本格思考の将棋。多段階の思考レベルで腕前に合わせて遊べる。
  • 1998-12-18 キングヒル64 エクストリームスノーボーディング(ケムコ)
     自然地形を滑り降りる過酷レース。ライン取りと度胸が勝負。
  • 1998-12-18 マリオパーティ(任天堂)
     すごろく×ミニゲームの決定版。4人対戦の“新しい定番”。
  • 1998-12-18 F-1ワールドグランプリ(任天堂)
     実名F1を再現した本格レース。天候変化や無線演出も搭載。
  • 1998-12-18 バックバンブル(ユービーアイソフト)
     サイボーグ蜂で戦う3Dシューティング。独特の飛行操作が新鮮。
  • 1998-12-24 爆笑人生64 めざせ! リゾート王(タイトー)
     資産運用と交渉が肝の人生ゲーム系ボード。4人対戦に最適。
  • 1998-12-25 カメレオンツイスト2(日本システムサプライ)
     舌アクションが進化した続編。ギミック攻略が気持ちいい。
  • 1998-12-26 SNOW SPEEDER(スノースピーダー)(イマジニア)
     スキー&スノボの二本立て。分岐豊富なコースで爽快滑走。

1998年の特徴と評価

1998年のニンテンドウ64は、「3D表現の最適解」を現実にした年だ。
春の『テン・エイティ』で雪質とエッジ感を“指先の感触”に落とし込み、夏の『F-ZERO X』は常時60fpsで“速さの説得力”を作り直す。体感のキレ――それが64の強みであることが、誰の目にも明らかになった。

一方で、遊びの幅はさらに広がる。『ボンバーマンヒーロー』は1人用アクションに振り切り、『デザエモン3D』は“つくって遊ぶ”を3Dで成立させる。『ポケモンスタジアム』は64GBパックで携帯機と据置をつなぎ、リビングに“自分の育成データが大画面で動く”驚きを持ち込んだ。
そして年末、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』がZ注目と立体ダンジョンの手触りでアクションADVの新基準を提示し、『バンジョーとカズーイの大冒険』が収集と仕掛けの密度で“箱庭探索”を刷新。さらに『マリオパーティ』がすごろく×ミニゲームの“4人定番”を発明し、64は技術の気持ちよさと、みんなで笑う楽しさの両輪を手に入れた。

総じて1998年は、速さ・手応え・遊びの設計が一段と噛み合い、
「64でやる意味」が明確な形になった一年――そう総括できる。

1998年 注目作ランキング(ベスト10)

1位|ゼルダの伝説 時のオカリナ(任天堂)
 “Z注目”で3Dアクションの文法を確立。迷宮設計・演出・音の三拍子で、以後のスタンダードを更新。

2位|F-ZERO X(任天堂)
 常時60fps×30台の群走が生む“速度の説得力”。コース設計とマシン差のチューニングも極まった到達点。

3位|バンジョーとカズーイの大冒険(任天堂)
 箱庭探索×仕掛け密度の黄金比。収集導線の気持ちよさと、音・掛け合いの遊び心が抜群。

4位|1080° スノーボーディング(任天堂)
 雪質・エッジの掛かり・重心移動まで“手に伝わる”。テクニックを積み上げる快感で冬の定番に。

5位|マリオパーティ(任天堂)
 “すごろく×ミニゲーム”の定番を創出。4人対戦の導線が秀逸で、以後のリビング文化を作った功労者。

6位|ポケモンスタジアム(任天堂)
 育てた手持ちを大画面で対戦する喜び。64GBパック連動が“携帯機×据置”の橋渡しを実現。

7位|ボンバーマンヒーロー ミリアン王女を救え!(ハドソン)
 1人用アクションに振り切った設計が新鮮。移動・爆破・スコアアタックのテンポが心地よい。

8位|ゲッターラブ!! ちょー恋愛パーティーゲーム(ハドソン)
 “恋愛×ボード”という唯一無二の混血。読み合いとイベントの噛み合いで、集まってこそ輝く一本。

9位|F-1ワールドグランプリ(任天堂)
 実名マシン×本格挙動の手応え。天候・ピット戦略の再現でN64レースの厚みを底上げ。

10位|スターソルジャー バニシングアース(ハドソン)
 縦STGの王道を64流に最適化。テンポの良さとボス戦の“段取り”で気持ちよく遊べる。

1998年|N64トリビア

  • “42匹だけ”の『ポケモンスタジアム』
     日本の初代『ポケモンスタジアム』(1998年)は、登場ポケモンがわずか42匹。さらに64GBパック(Transfer Pak)同梱で、ゲームボーイの育成データを読み込ませる設計が早期に完成していた。
  • 『マリオのふぉとぴー』は“写真読み込みカートリッジ”
     SmartMediaカードスロットを2基内蔵した前代未聞のN64カート。写真を取り込んで名刺・はがき・スライドまで作れる、“家庭のDTP”を目指した異色作。
  • 『テトリス64』ד耳たぶセンサー”
     SET A製「バイオセンサー」(耳たぶクリップ)対応。心拍数で落ち方や難度が変わる実験的テトリスで、日本限定展開。のちのWii「バイタリティセンサー」の系譜として語られることも。
  • 『F-ZERO X』は“30台×60fps”の暴挙
     常時60fpsを死守しつつ最大30台が同時走行。背景やテクスチャを敢えて削ってでもフレームレート優先という哲学で、N64レースの基準を塗り替えた。
  • 『ゲッターラブ!!』は“恋愛×4人パーティ”の国産珍種
     恋愛シミュ×ボードゲーム×4人対戦という唯一無二の設計。日本国内専売(1998/12/04)で、今なお“知る人ぞ知る名作”として語り継がれる。

1999年発売タイトル一覧|発売日順

  • 1999-01-15 Jリーグ タクティクスサッカー(アスキー)
     フォーメーションと采配で戦う戦術シミュレーション。
  • 1999-01-21 ニンテンドウオールスター! 大乱闘スマッシュブラザーズ(任天堂)
     64印の対戦アクション誕生。最大4人の乱闘が一気に定番化。
  • 1999-01-29 SD飛龍の拳伝説(カルチャーブレーン)
     “飛龍の拳”をSD化した対戦+アクションの外伝的1本。
  • 1999-01-29 Parlor! PRO64 パチンコ実機シミュレーションゲーム(日本テレネット)
     実機シミュレータ系を64向けに最適化。
  • 1999-02-05 牧場物語2(ビクターインタラクティブ)
     畑・家畜・人間関係——のんびり生活が魅力の続編。
  • 1999-02-19 超スノボキッズ(アトラス)
     “雪上×アイテム”が進化。トリックとコース攻略で差が出る。
  • 1999-03-05 パズルボブル64(タイトー)
     定番バブル連鎖。対戦の駆け引きが熱い64版。
  • 1999-03-11 悪魔城ドラキュラ 黙示録(コナミ)
     3D化した“悪魔城”。探索とボス戦を64流に再構成。
  • 1999-03-19 人生ゲーム64(タカラ)
     進路と資産運用で勝負するボード定番の64版。
  • 1999-03-19 KING OF PRO BASEBALL 2 超空間ナイター プロ野球キング2(イマジニア)
     元気開発のリアル志向。操作感と演出が前作より向上。
  • 1999-03-19 トップギア・オーバードライブ(コトブキシステム)
     直感的な操作とスピード感で押すアーケードレース。
  • 1999-03-19 64大相撲2(ボトムアップ)
     四股名・技を磨いて番付を上げる角力シム続編。
  • 1999-03-21 ポケモンスナップ(任天堂)
     “撮る”楽しさで世界観を再発見するカメラアクション。
  • 1999-03-25 実況パワフルプロ野球6(コナミ)
     手応えと打球感を磨いた定番野球の年次作。
  • 1999-03-26 スーパーボウリング(アテナ)
     ライン取りと回転で攻める。パーティにも最適。
  • 1999-04-09 おねがいモンスター(ボトムアップ)
     “お願い”で行動が変わる育成RPG。素朴な世界観が魅力。
  • 1999-04-28 実況GIステイブル(コナミ)
     育成とレース運びに踏み込む“厩舎運営”寄り競馬作。
  • 1999-04-30 ポケモンスタジアム2(任天堂)
     GB連動を拡張。3D対戦とミニゲームで長く遊べる。
  • 1999-05-28 ラストレジオンUX(ハドソン)
     ロボを操る3Dアクション。ロックオンと高低差攻略が肝。
  • 1999-06-03 NBA IN THE ZONE 2(コナミ)
     テンポの良い攻守切替。演出強化のバスケ続編。
  • 1999-06-11 ズール 〜魔獣使い伝説〜(イマジニア)
     “魔獣使い”となって世界を巡るRPG。64のRPG路線を開拓。
  • 1999-06-11 マリオゴルフ64(任天堂)
     打感と風読みが心地よい本格派。対戦も定番に。
  • 1999-06-18 バイオレンスキラー 〜TUROK NEW GENERATION〜(アクレイムジャパン)
     海外名“Turok 2”。重厚なFPSを日本向けローカライズ。
  • 1999-06-25 新世紀エヴァンゲリオン(バンダイ)
     名作アニメを題材にしたアクション。名場面を追体験。

1999年7〜12月 発売タイトル一覧(日本)|発売日順・1行解説

  • 1999-07-09 エルテイル モンスターズ(イマジニア)
     “精霊×魔法”の王道RPG。N64では貴重な純RPG枠。
  • 1999-07-14 オウガバトル64 人間たちの軌跡(任天堂)
     部隊運用と物語分岐が核のSRPG大型作。
  • 1999-07-16 PDウルトラマンバトルコレクション64(バンダイ)
     育成×対戦の“ウルトラ”育成RPG。GBパック対応。
  • 1999-07-21 スター・ウォーズ エピソード1 レーサー(ルーカスアーツ)
     ポッドレースを高速再現したレース作。
  • 1999-07-30 電車でGO!64(タイトー)
     本格運転シムをN64最適化。専用パック同梱版も話題。
  • 1999-07-30 ロードランナー3-D(バンプレスト)
     名作“掘る・奪う”を3D化。立体ステージ攻略が肝。
  • 1999-08-05 ハイブリッドヘブン(コナミ)
     探索+プロレス風コマンドバトルの異色ARPG。
  • 1999-08-06 Rally ’99(イマジニア)
     ダート志向のレース。滑走感とコース攻略で魅せる。
  • 1999-08-13 シャドウゲイト64 TRIALS OF THE FOUR TOWERS(コトブキシステム)
     名作ADVの流れを汲む3D探索謎解き。
  • 1999-08-27 格闘伝承 F-Cup Maniax(イマジニア)
     個性派キャラで魅せる3D格闘。投げと崩しが鍵。
  • 1999-08-27 スター・ウォーズ 出撃!ローグ中隊(任天堂)
     名場面を空戦で再現するミッション型STG。
  • 1999-09-03 爆裂無敵 バンガイオー(ESP)
     トレジャー流・弾幕と破壊の快感STG。
  • 1999-09-10 エクストリームG2(アクレイムジャパン)
     超高速バイクの続編。ライン取りとブースト管理が肝。
  • 1999-09-23 WIN BACK(コーエー)
     “カバーアクション”先駆の三人称TPS。通信対戦も搭載。
  • 1999-10-01 トランスフォーマー ビーストウォーズメタルス64(タカラ)
     変形アクション×対戦のキャラゲー。
  • 1999-10-14 V-RALLY EDITION 99(スパイク)
     本格挙動を志向したラリー。多彩な車種とコース。
  • 1999-10-22 夜光虫II 〜殺人航路〜(アテナ)
     ホラーアドベンチャー続編。船上で進む怪異譚。
  • 1999-10-29 スーパーロボット大戦64(バンプレスト)
     オリジナル色濃い64独自編成のSRPG。
  • 1999-11-05 64花札 天使の約束(アルトロン)
     和札×イベント要素で長く遊べる定番系。
  • 1999-11-26 ビートルアドベンチャーレーシング(EAビクター)
     ビートルで駆ける爽快レース。ショートカット満載。
  • 1999-12-01 スターツインズ(任天堂)
     “相棒×三人視点”で進む3Dアクションシューティング。
  • 1999-12-03 ぷよぷよ〜ん パーティー(コンパイル)
     “よ〜ん”ルール+多人数で盛れるパーティ版。
  • 1999-12-03 爆ボンバーマン2(ハドソン)
     探索寄り3Dアクション続編。ボムギミックが拡張。
  • 1999-12-08 カスタムロボ(任天堂)
     “組み替え×対戦”の名作。通信対戦の沼に落ちる一本。
  • 1999-12-10 ドンキーコング64(任天堂)
     広大な箱庭探索と収集の3Dアクション。
  • 1999-12-17 マリオパーティ2(任天堂)
     すごろく×ミニゲームが深化。シリーズの“定番化”を決定づける。
  • 1999-12-24 チョロQ64 2 ハチャメチャグランプリレース(タカラ)
     改造と収集の玩具レース続編。コースギミック多彩。
  • 1999-12-24 ロボットポンコッツ64 七つの海のカラメル(ハドソン)
     収集・育成×ボード進行の派生作。通信要素で深掘り。
  • 1999-12-25 悪魔城ドラキュラ黙示録外伝 〜レジェンド オブ コーネル〜(コナミ)
     “狼化”を軸に据えた外伝的3Dアクション。
  • 1999-12-25 ゴエモン もののけ双六(コナミ)
     和風ボードで事件解決。シリーズのパーティ寄り変化球。

1999年の特徴と評価

1999年のNINTENDO64は、シリーズの“後期らしさ”がはっきり輪郭を持った一年だった。年頭の『ニンテンドウオールスター!大乱闘スマッシュブラザーズ』が新しい遊び方=“キャラIP横断×対戦パーティ”を提示し、友人同士のローカル対戦文化を一気に押し上げる。以後の64は「皆で集まって遊ぶ強さ」を武器に、タイトルの存在感を保ち続けることになる。

春から夏にかけては、ポケモン派生作とスポーツの充実で“幅”が出た。『ポケモンスナップ』はカメラという行為のゲーム化に挑み、当時はローソン店頭で写真をシール出力できる体験までセットで話題化。キャラクターを“撮る・持ち帰る”というメディア横断の楽しさは、のちの再評価まで含めて1999年ならではの出来事だ。『マリオゴルフ64』も対戦・回しプレイに最適な設計で、64=みんなで遊ぶ機械という印象をさらに強めた。

年末商戦はレア社の大型弾『ドンキーコング64』が牽引。N64本体のメモリを8MBへ拡張する「エクスパンションパック」必須の“重量級”で、64後期の技術的ピークを象徴する一本になった。高解像度化や表示量の向上を狙った拡張ハードの活用は、その後の『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』(2000)などへ継承されていく。

そして同年12月、長らく“幻”とされた周辺機器「64DD」がついに始動。月額サービス「Randnet」込みの会員向け展開という限定的なスタートではあったが、ユーザー生成やネット接続といった次世代的コンセプトを、家庭用で具体化しようとした実験性は特筆に値する。結果として普及は伸び悩んだものの、2000年以降の『Mario Artist』群や『ぼく、ジョバンニ(巨人のドシン)』など、創作/共有を主題にした試みはゲーム文化の先触れでもあった。

総じて1999年は、“ローカル対戦の黄金期”と“実験の萌芽”が並走した年。数では爆発しないが、ジャンルの多彩さと体験の新規性で、64の強み――その場の盛り上がりとアイデア勝負――を最後まで証明してみせた一年だった。『マリオパーティ2』の年末投入でパーティ路線は盤石となり、2000年へとバトンが渡される。

1999年 注目作ランキング(ベスト10)

  1. ニンテンドウオールスター!大乱闘スマッシュブラザーズ(1999-01-21)
    対戦×お祭りIPの新機軸。4人対戦の間口と“撃墜”ルールのわかりやすさでローカル対戦文化を一気に押し上げた象徴作。
  2. ポケモンスナップ(1999-03-21)
    “撮る”を遊びにした発明。被写体の反応を引き出してベストショットを狙う体験は、当時のシール出力施策も含め話題を独占。
  3. ドンキーコング64(1999-12-10)
    エクスパンションパック必須の重量級3Dアクション。表示量とボリュームで後期N64の技術的ピークを示したレア社の看板。
  4. マリオパーティ2(1999-12-17)
    ミニゲームと“すごろく”の完成度が大幅進化。家族・友人での“集まって遊ぶ”路線を年末に盤石化させた続編。
  5. スターツインズ(Jet Force Gemini)(1999-12-01)
    3主人公切替と広域ステージを横断するアクションシューティング。レア流の作り込みと手応えでコア層を魅了。
  6. マリオゴルフ64(1999-06-11)
    キャメロット制作の手触りと対戦映えが秀逸。回しプレイが成立し、“64=みんなでスポーツ”の代表格に。
  7. 牧場物語2(1999-02-05)
    “生活×人間関係”を丁寧に積み上げた国産スローライフの定番。イベント量の充実でシリーズの方向性を確立。
  8. カスタムロボ(1999-12-08)
    収集×改造×対戦の三位一体。小型ロボの高速バトルが独自の熱狂を生み、以後のシリーズ展開の礎に。
  9. 爆裂無敵バンガイオー(1999-09-03)
    トレジャー節が爆ぜる弾幕2Dシューティング。独特のセンスと設計で根強い再評価を得るカルト的人気作。
  10. WIN BACK(1999-09-23)
    遮蔽物越しの射撃や構えの工夫など、後世のTPSに通じる“カバー”感覚をN64で提示した意欲作。

1999年 トリビア

  • 『ポケモンスナップ』写真を“ローソンでシール化”できた
    当時はカセットを店頭に預け、後日シールにして受け取る公式サービスが存在。のちに『New ポケモンスナップ』でもローソン連携が復刻し、当時の施策が公式に言及された。
  • 『スマブラ64』の出自は“格闘ゲーム竜王”
    HAL研の社内試作「格闘ゲーム竜王」が原型。「ふっとばし」や蓄積ダメージの考え方はこの段階で固まっていたことが、任天堂公式インタビューで語られている。
  • 『ドンキーコング64』は“エクスパンションパック必須”の象徴作
    任天堂の公式商品ページに“同梱のメモリー拡張パックが必要です”と明記。64後期のハード拡張を前提に作られた大型タイトルだった。
  • しかも“レトロ2本”を内蔵
    1983年作『JETPAC』(レア社の前身作品)と、アーケード版『ドンキーコング』がゲーム内で遊べる。N64版の“本編に旧作まるごと”はインパクト大。
  • 『マリオパーティ2』は“コスチューム&アイテム”で世界観を強化
    各ボードに合わせてキャラが衣装替え、さらにアイテムシステムが導入されシリーズの遊びが一段深くなった。CMにはビビアン・スーも出演。
  • 『WIN BACK』は“カバーアクション”の先駆け
    物陰に身を隠して撃つTPSの基礎をN64で提示。後年のカバーシステム定着に与えた影響がしばしば語られる。
  • 『ポケモンスタジアム』は“日本と海外でナンバリングがズレる”
    日本の『ポケモンスタジアム2』(1999)は“151匹対応版”で、海外ではタイトルが『Pokémon Stadium』として展開。後の“金銀対応”は海外で『Stadium 2』に。
  • 『マリオゴルフ64』は“GBC版とトランスファー連携”
    ゲームボーイ版『マリオゴルフGB』と64GBパックで相互連動。育てたゴルファーをN64版へ持ち込み可能というクロス体験が当時の魅力。
  • 『バンガイオー』はUIの“言い回し”までトレジャー節
    メニュー表記からゲーム内メッセージまで独特の比喩とユーモアで貫かれ、N64末期のカルト的人気作に。

2000年発売タイトル一覧|発売日順

  • 2000-01-28|カプコン|バイオハザード2
     N64最終盤に到達した大容量移植。高圧縮でフル音声&シナリオを収めた技術ショーケース。
  • 2000-01-28|アスミック・エース エンタテインメント|バーチャルプロレス2 〜王道継承〜
     モーションの重さと駆け引きに磨きをかけた“実録系”プロレスの決定版。
  • 2000-02-04|ケムコ|トップギア・ラリー2
     天候や路面の表現を強化した続編。シリーズの集大成的チューニング。
  • 2000-02-23|任天堂|シムシティー64【64DD】
     街づくりを“歩いて眺める”立体視点が特徴の64DD版シム。
  • 2000-02-23|任天堂|マリオアーティスト タレントスタジオ【64DD】
     マイク&キャプチャ同梱で“出演・編集”遊びを家庭用に。
  • 2000-02-23|ランドネットDD|ランドネットディスク【64DD】
     オンラインサービスRandnetのアクセス用ディスク。
  • 2000-03-17|ケムコ|トップギア・ハイパーバイク
     オフロード×高速挙動の爽快感。タイムアタックが熱い一本。
  • 2000-03-24|任天堂|星のカービィ64
     “能力ミックス”で組み合わせの驚きを前面に出した3D表現のカービィ。
  • 2000-03-31|任天堂|糸井重里のバス釣りNo.1 決定版!
     名作釣りの要素を整理した決定版。手触り重視の遊び。
  • 2000-04-07|エポック社|ガントレットレジェンド
     4人共闘が楽しいアーケード型アクションRPG移植。
  • 2000-04-07|ケムコ|大刀 DAIKATANA
     話題作のN64版。近接と射撃が交錯するステージ攻略。
  • 2000-04-21|任天堂|F-ZERO X エクスパンションキット【64DD】
     コース作成など“拡張遊び”を実現したF-ZERO X向け追加ディスク。
  • 2000-04-21|セタ|井出洋介の麻雀塾
     実戦派向けの講座・対局を収録した入門兼実践ソフト。
  • 2000-04-21|カルチャーブレーン|忍たま乱太郎64 ゲームギャラリー
     『忍たま』の世界観で多彩なミニゲームを詰め込んだパーティ作。
  • 2000-04-27|任天堂|ゼルダの伝説 ムジュラの仮面
     “3日間ループ”と仮面要素で濃密に攻めた実験的ゼルダ。エクスパンションパック対応。
  • 2000-04-28|ビスコ|バスラッシュ 〜ECOGEAR PowerWorm Championship〜
     本格派タックル監修で“バス釣り競技”の再現に挑む。
  • 2000-04-29|コナミ|実況パワフルプロ野球2000
     育成&シーズンで長く遊べる、N64期パワプロの到達点。
  • 2000-05-02|メディアファクトリー|日本プロゴルフツアー64(英語版)【64DD】
     国内配信の英語版ディスク。プロツアーをDD上で網羅。
  • 2000-05-17|ランドネットDD|巨人のドシン解放戦線チビッコチッコ大集合【64DD】
     『巨人のドシン』の補助ディスク。限定的頒布が話題。
  • 2000-05-26|ビクターインタラクティブソフトウェア|ぬし釣り64 -潮風にのって-
     のどかな生活感と釣りを融合した“64版ぬし釣り”。
  • 2000-06-23|任天堂|エキサイトバイク64
     本格的なジャンプ&着地管理が楽しい“3Dモトクロス”の決定版。
  • 2000-06-29|ランドネットDD|マリオアーティスト コミュニケーションキット【64DD】
     Randnet連携強化。掲示板・メール・画像共有のハブ。
  • 2000-07-13|コナミ|がんばれ!ニッポン!オリンピック2000
     競技ミニゲームを多数収録。みんなで盛り上がる“夏”の一本。
  • 2000-07-21|任天堂|マリオテニス64
     読み合いとリズムが冴える4人対戦スポーツの定番化。
  • 2000-07-28|エポック社|ドラえもん3 のび太の町SOS!
     原作の温度感で街を駆ける、アクション仕立ての“町救出”。
  • 2000-08-11|任天堂|マリオストーリー
     紙芝居演出×JRPGの遊びやすさで独自の“ペラペラ世界”を確立。
  • 2000-08-29|ランドネットDD|マリオアーティスト ポリゴンスタジオ【64DD】
     3Dモデルを“作って動かす”創作ツール群の要。
  • 2000-09-15|アスミック・エース エンタテインメント|WWFレッスルマニア2000
     海外人気ブランドの手堅い作り。日本版は秋投入。
  • 2000-09-27|チュンソフト|不思議のダンジョン 風来のシレン2 鬼襲来!シレン城!
     “城づくり×冒険”の二層構造でローグライクを拡張。
  • 2000-10-21|任天堂|パーフェクトダーク
     拡張メモリ必須の“全部入り”FPS。協力・対戦・Botの充実が圧巻。
  • 2000-11-10|任天堂|カスタムロボV2
     機体・パーツの幅と対戦調整が進化したシリーズ拡張版。
  • 2000-11-21|任天堂|罪と罰 〜地球の継承者〜
     トレジャー製“ハイスピード射撃×レールアクション”の尖鋭。
  • 2000-11-22|カプコン|ロックマンDASH 鋼の冒険心
     探索×会話のRPGアクション。64版は描画最適化で遊びやすく。
  • 2000-11-27|任天堂|バンジョーとカズーイの大冒険2
     大型箱庭と仕掛けの密度で“収集系3D”を極めた後期レア社作。
  • 2000-11-30|コナミ|DANCE DANCE REVOLUTION ディズニーダンシングミュージアム
     DDR×ディズニー曲の異色コラボ。家族で踊れるパーティ寄り。
  • 2000-12-07|任天堂|マリオパーティ3
     アイテムやデュエルで駆け引き増。年末の“みんなでボード”。
  • 2000-12-14|任天堂|ポケモンスタジアム金銀
     金銀世代対応。ミニゲームや連動で“据置×携帯”体験が完成形に。

2000年の特徴と評価

2000年のNINTENDO64は、“拡張と完成”が同居した一年だった。
拡張とはハード面のこと。エクスパンションパック前提の大作が並び、年央の『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』(2000-04-27)と、秋の『パーフェクトダーク』(2000-10-21)は、その象徴だ。どちらも64後期の描画量・表現の天井を押し上げ、カートリッジ機の限界に挑んだ。ムジュラは“3日間ループ”の濃密設計で、ダークで閉じた世界観を成立させた野心作。パーフェクトダークは拡張メモリ必須の仕様で、ソロ/協力/対戦を一台で抱え込む“全部入り”を実現している。

完成とはソフトの作り口のこと。『星のカービィ64』(2000-03-24)はシリーズ初の3D表現で能力ミックスを中核に収め、軽やかに64らしいビジュアルへ着地。夏の『マリオテニス64』(2000-07-21)は4人対戦の“読み合い”をスポーツに凝縮し、据置マルチの楽しさをストレートに押し上げた。さらに『マリオストーリー』(2000-08-11)は紙芝居的な演出とJRPGの遊びやすさを両立。――この3本で、家族・友人と遊ぶ間口一人で味わう物語の両輪が、64の文脈で綺麗に仕上がっていく。

年末が近づくと、“硬派”の充実が顔を出す。『不思議のダンジョン 風来のシレン2 鬼襲来!シレン城!』(2000-09-27)はN64ならではのスケールでローグライクを磨き、箱庭づくり×冒険の二層構造で骨太に。トレジャーの『罪と罰 ~地球の継承者~』(2000-11-21)はハイスピード射撃×レールアクションを家庭用で極限まで詰めた一作で、N64末期の“尖り”の代表格になった。そしてシリーズの土台を拡げる『カスタムロボV2』(2000-11-10)や、年末の『マリオパーティ3』(2000-12-07)で、対戦・パーティ路線も盤石に継承される。

一方で、周辺機器64DDの“創作”路線は2000年に具体化する。Randnet本サービス開始(2000年2月)とともに『マリオアーティスト タレントスタジオ』(2000-02-23)、夏の『ポリゴンスタジオ』(2000-08-29)など“作って見せる”体験が整備された。普及こそ限定的だが、UGC(ユーザー生成)やネット連携を家庭用へ落とし込む試みは、のちの時代感へ確かな影を落とす。

そして8月のSpace World 2000。ここで任天堂はニンテンドーゲームキューブゲームボーイアドバンスを大々的に披露する。会場の熱気は“次世代”に移り、64と64DDは一線を退く。つまり2000年は、N64の技術的ピークを刻みつつ、次世代への橋が架かった節目だった――そう総括できる。

要するにこの年のN64は、

  • エクスパンションパック活用の“重厚大作”が前面に出て、
  • 任天堂本流の“遊びやすい完成形”が並び、
  • ニッチだが鋭い“尖り”(シレン2/罪と罰)が評価の幅を広げ、
  • 背後では64DDが“創作と接続”を模索し、
  • 表舞台では次世代機の号砲が鳴った。

量で勝負する世代ではなかったが、体験の密度ではなお強く、NINTENDO64の“らしさ”を最後まで更新し続けた一年だった。

2000年 注目作ランキング(ベスト10)

  1. ゼルダの伝説 ムジュラの仮面(2000-04-27)
    “3日間ループ”で物語と遊びを凝縮。拡張パック活用で密度を極めた、64後期の象徴作。
  2. パーフェクトダーク(2000-10-21)
    拡張パック必須の“全部入り”FPS。協力・対戦・Botまで抱えた設計で家庭用シューターの標準を更新。
  3. マリオストーリー(2000-08-11)
    紙芝居風の演出と遊びやすいJRPGを融合。64らしい軽快さで“物語の入口”を広げた快作。
  4. マリオテニス64(2000-07-21)
    読み合い×リズムが冴える4人対戦の定番。“集まって遊ぶ64”の強みを夏に決定づけた一本。
  5. 星のカービィ64(2000-03-24)
    能力ミックスで“組み合わせの驚き”を提示。シリーズ初の3D表現を気持ちよく落とし込んだ。
  6. 不思議のダンジョン 風来のシレン2 鬼襲来!シレン城!(2000-09-27)
    “城づくり×冒険”の二層構造でローグライクを拡張。腰を据えて遊ぶN64の硬派代表。
  7. 罪と罰 〜地球の継承者〜(2000-11-21)
    ハイスピード射撃×レールアクションの極北。末期64の“尖り”を体現するトレジャー印。
  8. バンジョーとカズーイの大冒険2(2000-11-27)
    広大な箱庭とギミック密度で収集系3Dを深化。レア社の技術と遊び心が噴出。
  9. カスタムロボV2(2000-11-10)
    収集・改造・対戦の三位一体を磨き上げ、ロボ対戦の遊び場を拡張。大会・交換で“コミュニティ遊び”も加速。
  10. ポケモンスタジアム金銀(2000-12-14)
    金銀世代対応で“据置×携帯”連動が完成形に。64GBパックでデータの行き来もスムーズ。

2000年 トリビア

  • “拡張パック前提の年”を決定づけた2本
     『ムジュラの仮面』は起動に拡張パック必須。『パーフェクトダーク』は拡張パックがないとキャンペーン等の“大半”に触れられず、1~2人デスマッチ等のみ利用可という制限モードで動作。拡張パックありきの設計が前面に出た年でした。
  • 『マリオテニス64』=ワルイージ誕生の瞬間
     ワルイージの初登場作は本作。任天堂公式の紹介文にも「『マリオテニス64』でデビュー」と明記。以後、スポーツ系やパーティで定番に。
  • 『カービィ64』の“能力ミックス”は28ミックス+単体7=計35種
     コピー能力は7種。同じ能力同士を含めた2つ組み合わせの“ミックス”が28通り存在し、単体7と合わせ合計35の“できること”がある設計(説明書の文言と後年の整理で整合)。
  • 『罪と罰』は当時“日本専売”——英語音声なのに
     N64版(2000年11月)は日本のみで発売。のちにWiiのバーチャルコンソール(2007年)で初の海外配信が実現し、英語ボイス&英語メニューで再評価の波が広がりました。
  • 『バイオハザード2(N64)』は“64MBカートにCD2枚分”を収めた怪物移植
     開発元Angel Studiosの公式ポストモーテムが残る稀有な事例。動画や音声を含む大容量データを圧縮技術と独自実装で押し込み、追加要素(Ex Files等)まで盛り込んだ“技術ショーケース”でした。
  • 『パーフェクトダーク』の“制限なし完全版”への鍵=拡張パック
     任天堂公式ページに「ソロ任務と3~4人対戦は拡張パック必須」と明記。本体のみだとチャレンジ1~2人対戦の一部に絞られるという、当時としてもかなり踏み込んだメモリ設計。
  • 『紙のマリオ』の始まりは“64DD向けの『マリオRPG2』計画
     のちの『マリオストーリー』(海外名Paper Mario)は、64DD向け“『マリオRPG2』”として企画が動き、方向転換して紙芝居表現×コマンドRPGの独自路線に結実した——という開発史が資料化されています。
  • 『F-ZERO X エクスパンションキット』(64DD, 2000-04-21)は“公式級コースエディタ”を解放
     64DD専用ディスクで12コース追加に加え、コース作成マシンエディタを搭載。開発陣が用いたツールに近いエディタが一般プレイヤーに開放された、当時として特異な試み。
  • 『シレン2』は“ローグ×築城”の二層構造
     ダンジョンで資材を集め自分の城(シレン城)を築く——シリーズでも異色のコンセプトを公式がコア要素として説明。N64の和風3D世界と“硬派ローグ”の融合が際立ちました。
  • N64で“足で遊ぶ”正統派——『DDR ディズニーダンシングミュージアム』
     専用ダンスマット対応の日本限定リズム作。同梱マット版も流通し、コントローラでも遊べるが“推奨はマット”という設計がマニュアルにきっちり書かれている“お行儀のよいDDR”。

2001年発売タイトル

  • 2001-01-21|任天堂|ミッキーのレーシングチャレンジUSA
     ディズニーキャラのカートレース。国内N64では年初の新作として投入。
  • 2001-03-29|コナミ|実況パワフルプロ野球Basic版2001
     『パワプロ2000』を土台にデータ更新・モード簡素化のシーズン版。コナミのN64最終作。
  • 2001-04-06|カルチャーブレーン|ハムスター物語64
     ハムスター育成SLGのN64版。飼育・繁殖のサイクルを家庭向けに落とし込む。
  • 2001-04-14|任天堂|どうぶつの森
     コミュニケーション×リアルタイム暦の“生活ゲーム”第1作。N64の最終期を象徴する新規IP。
  • 2001-08-10|メディアファクトリー|ダービースタリオン64
     “ダビスタ”のN64版。完全3D化と新配合理論「ゼル」導入が話題に。
  • 2001-12-20|ハドソン|ボンバーマン64
     日本独占発売の最終期ボンバーマン。日本で発売されたN64の最終タイトルでもある。

2001年の特徴と評価

2001年のNINTENDO64は、“静かな最終章”。発売本数はぐっと絞られた一方で、のちの任天堂を方向づける一手――『どうぶつの森』(2001-04-14)――がこの年に生まれた。N64版は64DD向け企画の転用から生まれた“リアルタイムの暮らし”をカートリッジでも成立させ、コントローラパック同梱版/同梱なし版の2形態で展開。ここから“生活×交流”という任天堂の長い柱が立ち上がっていく。

同時に、64DDの終幕が年頭で確定する。ネット接続サービスRandnetは2001年2月28日に公式にサービス終了が告知・実施され、DDの新規ソフトは2000年で打ち止めに。N64後期に見えた“UGCやネット連携の実験”はここで一区切りとなる。

年央から年末にかけては、軽快な新作と国内向け最終弾が点で並ぶ。春の『ハムスター物語64』(2001-04-06)は飼育SLGの路線、夏の『ダービースタリオン64』(2001-08-10)は完全3D化の競走馬育成で“遊びの厚み”を保つ。そして年末には『ボンバーマン64』(2001-12-20)日本国内におけるN64最終発売タイトルとして着地する(※1997年の『爆ボンバーマン』とは別作品)。

一方で据置の世代交代ははっきり進む。任天堂はゲームボーイアドバンスを2001年3月に発売し、同年9月14日にはニンテンドーゲームキューブを日本で発売。N64は“新機種の号砲”の中で、役割を穏やかに譲っていった。

総じて2001年は、少数精鋭+世代交代の年。発売点数は最小規模ながら、『どうぶつの森』という新しい生活系IPの誕生64DDとRandnetの幕引き国内最終タイトル『ボンバーマン64』の締めが、NINTENDO64の“終章”に明確な章立てを与えた一年だった。

2001年 トリビア

  • 『どうぶつの森(N64)』は“カートリッジに実時間時計(RTC)を内蔵”
    基板左下に RTCK-NUS と刻まれた時計チップが載り、これで村の時間が進む設計。電池が切れると電源OFFのたびに2001年1月1日へ戻る仕様も記録されています。
  • セーブは“コントローラパック”が基本(同梱版あり)
    N64版は通常セーブをコントローラパックに保存(カート内電池は主に時計用)。発売時にコントローラパック同梱版/なし版の2形態が用意されました。
  • おでかけ(他の村へ)はコントローラパックに“旅行データ”を書き出して実現
    メインの村とは別に「おでかけ用データ」をパックへコピーして訪問する運用が当時のユーザー資料でも説明されています。
  • N64の“国内最終タイトル”は『ボンバーマン64』(2001-12-20)
    同名の1997年作(日本名『爆ボンバーマン』)とは別物。2001年版『ボンバーマン64』が日本のN64最後の新作として位置づけられています。
  • 『どうぶつの森+』(GC)は“わずか8か月後(2001-12-14)”に登場
    N64版の拡張移植がゲームキューブ向けに年内リリース。シリーズが据置の次世代機へ即座に橋渡しされた事例です。
  • 『実況パワフルプロ野球Basic版2001』は“コナミ最後のN64 ROM作品”
    2001年3月29日発売。『パワプロ2000』をベースにデータ更新・調整を施した“最終年のシーズン版”という立ち位置。
  • 『ミッキーのレーシングチャレンジUSA』は“任天堂発売”のディズニー×レア社作
    日本版は任天堂発売で2001年1月21日発売。タイトル名も海外の“Mickey’s Speedway USA”から日本独自の表記に。
  • 64DDのネットサービス“Randnet”は2001年2月28日に正式終了
    64DDの新作供給は2000年で打ち止め、2001年はサービス終了と清算手続きへ。N64の“創作×ネット”路線はここで幕を閉じます。
  • 『どうぶつの森』の企画は“システム起点→64DD構想”からの転身
    岩田聡氏らの回想では、当初は“暮らすゲーム”の完成像よりシステム/仕組みから発想が始まり、64DD構想を経てN64版→GC版へと拡張していった経緯が語られています。

NINTENDO64の歴史

――未来を先取りしすぎた、挑戦の記録。

1990年代の半ば、家庭用ゲーム機が2Dから3Dへと移り変わろうとしていたころ。
任天堂は、シリコングラフィックス社(SGI)との提携を発表し、「Project Reality」と呼ばれる開発計画を立ち上げた。
のちに“ウルトラ64”の名でアーケードに登場したそのテクノロジーは、やがて家庭用として形を変え、1996年6月23日――NINTENDO64として世に出る。

スーパーファミコンから一気に進化したその世界は、まさに“3Dの驚き”。
『スーパーマリオ64』が見せた自由な操作と奥行きあるステージは、それまでの“横スクロール”の常識を完全に塗り替えた。
3本の持ち手を持つコントローラには、業界初のアナログスティック
そして“Zトリガー”という名の引き金が、ゲームの感覚そのものを新しくした。
――この一本のスティックが、3Dゲームの未来を決定づけたと言っても過言ではない。

その後、NINTENDO64は“みんなで遊ぶ”楽しさを広げていく。
4つのコントローラ端子を最初から備えた設計は、友人や家族が集まって遊ぶ文化を作り出した。
『マリオカート64』『大乱闘スマッシュブラザーズ』『マリオパーティ』――
画面の前で笑い合う光景は、90年代後半のリビングの象徴だった。

一方で、時代はすでにCD-ROMの大容量時代。
カートリッジにこだわったN64は読み込みの速さや耐久性では優れていたが、
コストや容量の制約が大きく、サードパーティの離脱を招いた。
それでも、任天堂と一部の開発会社は“限られた容量で最高の体験”を追い求めた。
その結晶が『ゼルダの伝説 時のオカリナ』(1998年)。
カートリッジという枠を超えて、ゲームの物語性と没入感を極限まで高めた傑作だった。

1999年末、任天堂は新しい実験に踏み出す。
64DD(ディスクドライブ)と、ネットワークサービスRandnet
プレイヤーが絵を描いたり、モデルを作ったり、他人と共有したり――
“遊ぶだけでなく、作るゲーム”を目指した挑戦だ。
『マリオアーティスト』シリーズや『F-ZERO X エクスパンションキット』など、
未来の「UGC(ユーザー生成コンテンツ)」を先取りするような試みが静かに動いていた。
だが、時代はまだその革新を受け止めるには早すぎた。
Randnetは2001年2月に終了し、64DDは歴史の裏側に消えていく。

そして2000年。
『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』『パーフェクトダーク』『マリオストーリー』――
重厚で、完成された大作たちが並ぶ。
同時に、“64という時代が終わりに近づいている”空気も漂っていた。
翌2001年、N64最後の春に登場したのが『どうぶつの森』。
プレイヤーが現実の時間と共に暮らすという、
まったく新しいタイプのゲームは、後の任天堂を象徴する存在となる。
それは、ハイスピードな3Dの時代を駆け抜けたN64が、
最後に残した“やさしい革命”だった。

同年の夏、後継機「ニンテンドーゲームキューブ」が姿を現す。
そして12月、『ボンバーマン64』(ハドソン)が発売され、
日本でのNINTENDO64の歴史は静かに幕を下ろした。

2002年――本体の生産終了が公式に発表される。
全世界でおよそ3,293万台。
それは“少数派のハード”だったかもしれない。
しかし、N64が生み出したものは数では語れない。
アナログスティック、振動、4人対戦、そして3Dの自由。
それらは今もすべてのゲームの中に息づいている。


NINTENDO64とは、未来を先取りしすぎたハードだった。
けれど、その“先取り”が、今日のゲーム文化の礎を築いた。
3Dの喜びを教え、遊びの形を変え、
「ゲームは、まだこんなにも広がれる」と示した存在。

――1996年から2002年。
たった6年の命の中で、N64は確かに“次の時代”を生んだ。

-ゲーム系, レトロゲーム系
-, , , ,