
- 『ときめきメモリアル』はなぜ名作?PCエンジン版91点の理由・Switch版まで解説
- 『ときめきメモリアル』とは?1994年にPCエンジンから始まった
- 恋愛ゲームなのに、まず「自分」を育てる
- パラメータを上げることに意味がある
- デートだけではない「高校生活3年間」がゲームになる
- 「ときめき度」「友好度」「傷心度」が人間関係を複雑にする
- 爆弾システムが「本命だけ見ていればいい」を許さない
- 女の子を増やすほど難しくなる逆転したゲーム設計
- 藤崎詩織が「高嶺の花」であることにもゲーム上の意味がある
- 13人規模のヒロインが「2周目」を別のゲームにする
- PCエンジン SUPER CD-ROM²だからこそ「声」がゲームに入った
- ただし「名前を声で呼んでくれた」はPCエンジン版ではない
- 発売直後から大ヒットした作品ではなかった
- 「恋愛シミュレーションの元祖」と言い切る必要はない
- PCエンジンTierで91点・S Tierにした理由
- PCエンジンらしさという点でも非常に強い
- では、なぜ92点の総合1位には届かなかったのか
- 2025年、初代『ときメモ』はNintendo Switchで帰ってきた
- 31年後に追加されたEVS
- PCエンジン版を遊ぶ意味は、現在でも残っている
- 今遊んでも面白いところ
- 一方で、現在では古さを感じるところもある
- 『ときめきメモリアル』はこんな人におすすめ
- まとめ|『ときメモ』のすごさは「恋愛」より3年間をゲームにしたこと
『ときめきメモリアル』はなぜ名作?PCエンジン版91点の理由・Switch版まで解説
1994年5月27日、PCエンジン SUPER CD-ROM²で『ときめきメモリアル』が発売されました。
プレイヤーは私立きらめき高校に入学し、卒業までの3年間を過ごします。
勉強する。運動する。部活動に打ち込む。休日には女の子をデートに誘う。文化祭や体育祭、修学旅行を迎え、少しずつ人間関係が変わっていく。
そして卒業式の日、校庭にある「伝説の樹」の下で意中の女の子から告白されることを目指します。
こう書くと、現在では珍しくない恋愛ゲームのようにも見えます。
ところが『ときめきメモリアル』のおもしろさは、単に好きな女の子を選んで会話を重ねるところにはありません。
恋愛を成功させるために、まずプレイヤー自身を3年間かけて育てなければならない。
ここが重要です。
つぶログの「PCエンジン全ソフトTier表|669作品を網羅した評価・ランキング」では、『ときめきメモリアル』を91点・S Tier・総合4位タイと評価しています。
通常Tier644作品の中でS Tierに入ったのは12作品。本作より上に位置するのは、92点で同率1位となった『イースI・II』『ゲート オブ サンダー』『ウィンズ オブ サンダー』の3作品だけです。
では、なぜ恋愛シミュレーションである『ときめきメモリアル』が、PCエンジンを代表する作品群と肩を並べる91点まで届いたのでしょうか。
その理由を、1994年のPCエンジン版から現在のNintendo Switch版まで振り返りながら見ていきます。
『ときめきメモリアル』とは?1994年にPCエンジンから始まった

『ときめきメモリアル』シリーズの第1作は、1994年5月27日にPCエンジン向けの恋愛シミュレーションゲームとして登場しました。
舞台は私立きらめき高校。
この学校には、
「卒業式の日、伝説の樹の下で女の子から告白されて生まれたカップルは永遠に幸せになれる」
という伝説があります。
主人公は高校生活3年間を過ごしながら自分自身を磨き、幼なじみの藤崎詩織をはじめとする女の子たちと出会います。
最終的な目標は、卒業式の日に女の子から告白されることです。
ただし、誰か一人を選択してストーリーを読み進めるゲームではありません。
どのような高校生活を送るか。
何を勉強するか。
どんな能力を伸ばすか。
誰と出会うか。
休日をどう過ごすか。
そうした3年間の積み重ねによって、人間関係そのものが変化していきます。
恋愛の結果を選ぶのではなく、結果へ至る3年間を作る。
『ときめきメモリアル』の魅力は、ここから始まります。
恋愛ゲームなのに、まず「自分」を育てる

『ときめきメモリアル』で平日に行うことは驚くほどシンプルです。
基本的には一週間ごとに、
文系学習
理系学習
芸術系学習
運動
部活
遊び
おしゃれ
休養
などから行動を選びます。
コマンドを実行すると主人公の能力が変化します。
文系を勉強すれば文系能力が伸び、運動すれば運動能力が伸びる。何でも好きなだけ上げられるわけではなく、行動によっては別の能力が下がったり、疲労との兼ね合いも生まれます。
ここがおもしろい。
普通の恋愛アドベンチャーなら、攻略したい女の子に会い、正しい選択肢を選べば関係は進んでいきます。
『ときメモ』では、それだけではありません。
女の子ごとに注目する主人公の能力が違い、一定のパラメータを満たすことで新しい出会いが発生する場合もあります。
つまり、
どんな自分になるかによって、誰と出会い、誰から興味を持たれるかまで変わる。
この仕組みによって「自分磨き」が恋愛とは別の育成要素ではなく、恋愛そのものへつながっています。
パラメータを上げることに意味がある
この仕組みが優れているのは、能力値が単なる攻略用数字ではないことです。
勉強を続ければ、学力の高い主人公になる。
運動を続ければ、スポーツのできる主人公になる。
芸術や流行を意識した生活を送れば、それに興味を持つ女の子との接点が増えていく。
だからプレイヤーは、
「この数値をあと20上げなければ」
と考える一方で、
「彼女にふさわしい高校生になるには何をすればいいのか」
とも考えます。
ゲーム上では数字を操作しているのに、その数字が主人公の高校生活として意味を持っている。
数値育成と恋愛の目的が離れていない。
30年以上経った現在でも、『ときめモ』のシステムを評価できる大きな理由のひとつです。
デートだけではない「高校生活3年間」がゲームになる
もちろん、勉強だけを続けていても恋愛は進みません。
休日には知り合った女の子へ電話をかけ、デートに誘うことができます。
相手が了承すれば、約束した日にデート。
公園やショッピングといった定番だけでなく、ボウリング場、水族館、プラネタリウムなどさまざまな場所が登場します。
夏なら海やプール。
冬ならスキーやスケート。
季節によって行ける場所まで変わります。
しかも、誰をどこへ連れていっても同じ結果になるわけではありません。
女の子によって好みが異なるため、相手に合わせて場所を考える必要があります。
ゲームを進めることで新しいデートスポットが増える点も、3年間という時間の流れを感じさせます。
さらに、学校生活には文化祭、体育祭、修学旅行、受験などの行事があります。
バレンタインやクリスマスといった季節イベントもある。
体育祭では普段とは異なるミニゲーム的な遊びが入り、修学旅行では意外な展開が待っていることもあります。
『ときメモ』が描こうとしているのは、デート場面だけではありません。
高校へ入学してから卒業するまでの3年間そのものです。
だから、一周プレイしたときに残る印象も「誰々を攻略した」だけではなく、「この3年間をこう過ごした」になります。
「ときめき度」「友好度」「傷心度」が人間関係を複雑にする
女の子との関係も、一本の単純な好感度だけで管理されているわけではありません。
ゲームの内部では、
ときめき度
友好度
傷心度
などが関係しています。
デートを重ねれば距離は縮まっていく。
学校帰りに一緒に帰れるようになる。
最初はこちらから声をかけても断られていた相手が、親しくなれば向こうから誘ってくれるようになることもあります。
こうした小さな変化があるため、「数字が50から60になった」というより、
本当に関係性が変わってきた
ように感じられます。
そして、この人間関係をさらに面白くしているのが、後に『ときメモ』の代名詞のひとつとなった「爆弾」です。
爆弾システムが「本命だけ見ていればいい」を許さない
『ときめきメモリアル』の非常におもしろいところが、知り合った女の子を放置すると問題が起きることです。
一度出会った女の子への対応をおろそかにして傷心度が高まっていくと、その女の子に「爆弾」が付くことがあります。
そして放置し続けて爆発すると、その相手だけではなくほかの女の子との関係にも悪影響が及びます。
これによってゲームは一気に忙しくなります。
普通なら、本命だけに会い続けるのが最も効率的でしょう。
ところが『ときメモ』では、
本命とデートしたい。
でも別の女の子の爆弾も危ない。
能力も上げたい。
学校行事も迫っている。
休日は限られている。
という状態になります。
つまり攻略対象が増えるほど、恋愛のチャンスだけでなく管理すべき人間関係まで増えるのです。
この発想が秀逸です。
爆弾は単なる意地悪な妨害要素ではありません。
「複数の人と知り合った以上、その関係を完全に無視することはできない」というルールによって、恋愛ゲームを人間関係のシミュレーションへ広げています。
女の子を増やすほど難しくなる逆転したゲーム設計
もう一つおもしろいのは、新しいヒロインとの出会いが必ずしもプレイヤーにとって得ではないことです。
主人公の能力が上がることで、新しい女の子が登場する場合があります。
普通なら、
新キャラクターが出た=得をした
と考えます。
しかし『ときメモ』の場合、出会った瞬間からその女の子も人間関係の一員になります。
放置すれば爆弾の危険も生まれる。
すると攻略を突き詰めたプレイヤーには、
必要以上に女の子と出会わない
という発想まで生まれます。
主人公を強くすれば無条件に有利になるわけではない。
能力を伸ばすことにも、人間関係を広げることにも副作用がある。
恋愛ゲームでありながら、リソース管理型のシミュレーションとしてしっかり成立しています。
藤崎詩織が「高嶺の花」であることにもゲーム上の意味がある
初代『ときめきメモリアル』を象徴するヒロインといえば、藤崎詩織です。
主人公の家の隣に住む幼なじみで、頭脳明晰、スポーツ万能。きらめき高校でも憧れの存在として描かれています。
物語だけを考えれば、
「幼なじみなら最初から最も攻略しやすいのでは?」
と思うところでしょう。
しかし実際はそう簡単ではありません。
藤崎詩織が求める主人公の水準は高く、彼女から告白されるには3年間を通したかなりの自分磨きが必要になります。
ここでもキャラクター設定とゲームシステムが一致しています。
設定上は完璧に近い学校のアイドルなのに、ゲームでは簡単に落とせる。
それでは説得力がありません。
憧れの存在だからこそ、主人公もそれに見合う高校生にならなければならない。
藤崎詩織がシリーズの象徴となった背景には、見た目や有名なセリフだけではなく、このゲーム上の立ち位置も大きかったと考えます。
13人規模のヒロインが「2周目」を別のゲームにする
PCエンジン版には多数の女の子が登場し、告白を目指せる相手は13人規模に及びます。
幼なじみの藤崎詩織。
努力と根性を大切にする虹野沙希。
芸術に関心を持つ片桐彩子。
流行に敏感な朝日奈夕子。
文学を愛する如月未緒。
研究に熱中する紐緒結奈。
運動能力の高い清川望。
お嬢様の古式ゆかり。
そして通常とは異なる形で関わってくるキャラクターまで存在します。
重要なのは、単に人数が多いことではありません。
女の子によって求められる主人公像が違うため、攻略する相手を変えると、3年間の育成方針まで変わります。
前回は学力を優先した。
次は運動中心で過ごす。
今度は別の部活に入る。
前回行かなかったデート場所へ行く。
同じ高校、同じ3年間なのに、選んだ相手によって違う高校生活になる。
これが周回性につながっています。
エンディングだけを変えるマルチルートではありません。
エンディングへ向かう途中の3年間そのものが変わる。
ここが強いのです。
PCエンジン SUPER CD-ROM²だからこそ「声」がゲームに入った
『ときめきメモリアル』はPCエンジン SUPER CD-ROM²用ソフトです。
このCD-ROM媒体を生かした音声や音楽も、本作を語るうえで欠かせません。
藤崎詩織役の金月真美さんをはじめ、各キャラクターには声が用意されました。
イベントで絵を見る。
文章を読む。
そして声が聞こえる。
現在では当たり前に思える構成ですが、1994年の家庭用ゲームで、多数のヒロインを相手に長期間の学園生活を描くうえでは非常に大きな武器でした。
しかも、音声が単独の豪華演出として置かれているだけではありません。
下校、デート、学校行事といったプレイヤーが積み重ねてきた人間関係の中で使われるからこそ、キャラクターとの距離が縮まった感覚を強めます。
つぶログのPCエンジンTierでも、本作は「映像・音楽・演出」で14点満点を評価しました。
CD-ROMの容量を“たくさん声を入れました”で終わらせず、恋愛シミュレーションの体験へ組み込んだ。
ここはPCエンジン版ならではの大きな評価点です。
ただし「名前を声で呼んでくれた」はPCエンジン版ではない
ここは初代を振り返る際に混同されやすいポイントなので、明確に分けておきます。
PCエンジン版でも主人公には名前やあだ名を設定できます。
関係が深くなれば、表示される呼び方も名字から名前、あだ名へと変化していきます。
しかし、プレイヤーが入力した任意の名前をキャラクターが音声で発音する機能は、初代PCエンジン版にはありません。
その機能がEVS(Emotional Voice System)として初めて実装されたのは、1999年発売の『ときめきメモリアル2』です。
そして30周年を記念して発売されたNintendo Switch『ときめきメモリアル~forever with you~ エモーショナル』では、初代の世界にもEVSが導入されました。
つまり、
1994年には表示上の呼び方が変わった。
2025年には、その名前を実際に「声」で呼んでもらえるようになった。
ここには31年分の技術とシリーズの歴史があります。
発売直後から大ヒットした作品ではなかった
現在では「恋愛シミュレーションの名作」として知られる『ときめきメモリアル』ですが、1994年5月の発売時点から巨大タイトルとして扱われていたわけではありません。
当時はPCエンジン市場自体が後期に入り、SUPER CD-ROM²専用ソフトという条件もありました。
ところが専門誌で取り上げられ、実際に遊んだ人たちの間で評判が広がっていきます。
その後、多数の機種へ移植されるシリーズへ成長しました。
特に大きな転機となったのが、1995年10月13日に発売されたPlayStation版『ときめきメモリアル~forever with you~』です。
KONAMIも現在、PlayStation版について、1994年のPCエンジン版からグラフィックやサウンドなどを強化した作品と説明しています。
つまり、後から有名な作品がPCエンジンへ移植されたのではありません。
すべての出発点がPCエンジンです。
この事実は、PCエンジンというハードの歴史を振り返るうえでもかなり重要です。
「恋愛シミュレーションの元祖」と言い切る必要はない
『ときめきメモリアル』を語るとき、「すべての恋愛ゲームの元祖」「最初の恋愛シミュレーション」と表現されることがあります。
しかし、ゲーム史を正確に考えるなら、この言い方は避けた方がいいでしょう。
『ときメモ』以前にも恋愛を扱ったゲームは存在しています。
だから、本作の価値は「世界で最初だった」といった単純な肩書きに求める必要がありません。
KONAMI自身は、PCエンジン miniで本作を恋愛シミュレーションゲームというジャンルの先駆けとなった名作と位置付けています。
そして実際に本作が優れていたのは、
自分自身の育成
恋愛
学校生活
年間行事
人間関係の管理
多数のキャラクター
音声・音楽
を「高校3年間」というひとつの時間軸へまとめたことです。
これだけで、ゲーム史上の重要性を十分に説明できます。
「最初だったから偉い」のではありません。
恋愛をシミュレーションゲームとして遊べる形に、高い完成度でまとめたから重要なのです。
同じ1990年代前半の育成シミュレーションを見比べるなら、1993年にPC-98で登場した『プリンセスメーカー2』との違いも興味深いところです。
『プリンセスメーカー2』では10歳から18歳までの8年間をかけて娘を育てますが、『ときめきメモリアル』で育てるのは高校生活を送る主人公自身です。能力を伸ばすことで出会いや恋愛の可能性が変わっていくため、どちらも「数値を育てること」とその先の人生や人間関係が結び付いています。
両作品に直接的な影響関係があったと断定するのではなく、ほぼ同時代に登場した二つの作品を比べることで、育成シミュレーションという仕組みがまったく異なる遊びへ広がっていたことが見えてきます。
関連記事:『プリンセスメーカー2』徹底レビュー|PC-98版の魅力とPCエンジン版89点の理由
PCエンジンTierで91点・S Tierにした理由

つぶログの「PCエンジン全ソフトTier表」では、『ときめきメモリアル』を91点・S Tier・総合4位タイと評価しました。
通常Tier644作品のうち、S Tierは12作品だけです。
本作の評価で特に高かったのが、
ゲームとしての完成度:19/20
独自性・企画性:14/14
映像・音楽・演出:14/14
でした。
なぜここまで高くなるのか。
まず、企画とゲームシステムがほとんど離れていません。
「高校3年間で恋愛する」という企画に対して、
主人公を育てる。
女の子と出会う。
休日にデートする。
学校行事が起きる。
人間関係が悪化すれば爆弾が発生する。
卒業式に結果が出る。
すべてが同じ目的へつながっています。
何か一つだけを取り出せば、複雑なゲームではありません。
それなのに組み合わせると、3年間の高校生活になる。
これが完成度19点の大きな理由です。
そして1994年のPCエンジンで、恋愛と長期育成、人間関係管理、大量のイベント、音声表現まで結び付けた企画性は満点評価に値します。
PCエンジンらしさという点でも非常に強い
『ときめきメモリアル』を単に「有名な恋愛ゲームだから高評価」にしているわけではありません。
PCエンジンTierで重要なのは、
その作品がPCエンジンというハードで何を実現したか
です。
本作は、SUPER CD-ROM²の容量を音声・楽曲・多数のイベント表現に使い、その演出を恋愛シミュレーションへ結び付けました。
これはCD-ROMをムービー再生機として使うのとは少し違います。
声を聞く相手との関係は、プレイヤーがそれまで何週間、何か月もかけて作ってきたものです。
そのため演出がゲーム進行から独立していません。
だからこそ、『イースI・II』『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』『天外魔境II 卍MARU』などと同じように、
「CD-ROMをゲーム体験そのものへ取り込んだPCエンジン作品」
として評価できます。
ジャンルはまったく違っても、PCエンジンの強みを生かしているという点では共通しています。
では、なぜ92点の総合1位には届かなかったのか
91点はほぼ最高評価です。
それでもTier首位の92点には1点届いていません。
本作にも弱点はあります。
3年間という長期育成では、一週間ごとのコマンド選択を何度も繰り返すことになります。
初めて遊ぶ場合、どの能力がどの出会いや攻略条件につながるのかも分かりにくい。
イベント発生条件には気付きにくいものもあり、特定の思い出をすべて回収しようとすると攻略情報が欲しくなります。
また爆弾は本作をおもしろくする重要なシステムである一方、攻略が進むほど「本命ではない相手への対応」に時間を使わされるため、人によっては管理作業の負担にも感じるでしょう。
さらに、後発のPlayStation版ではグラフィックやサウンドが強化され、操作面にも違いがあります。
つまりPCエンジン版は、
ゲームデザインの原点として非常に強い一方、現在の遊びやすさまで含めて一切の摩擦がない作品ではありません。
決定的な欠点があるから91点なのではなく、最高峰の92点組と比較したときに、年代相応の不便さや反復がわずかに残る。
それでもS Tier。
その位置が91点です。
2025年、初代『ときメモ』はNintendo Switchで帰ってきた

現在『ときめきメモリアル』を遊ぶなら、重要な選択肢があります。
2025年5月8日にNintendo Switch向けとして発売された、
『ときめきメモリアル~forever with you~ エモーショナル』
です。
これは1994年のPCエンジン版をそのまま移植した作品ではありません。
ベースになっているのは、1995年のPlayStation版『ときめきメモリアル~forever with you~』です。
KONAMIは「当時と変わらない手触り・遊び心地を大切に残す」ことをコンセプトに掲げています。
キャラクターボイスにはPlayStation版の音声を高音質化して使用。
さらに、
オリジナルグラフィック
新グラフィック
オリジナルフォント
高解像度フォント
を組み合わせて表示方法を選択できます。
昔の雰囲気をできるだけ残して遊ぶことも、新しい見た目で遊ぶこともできます。
31年後に追加されたEVS
『エモーショナル』を象徴する追加要素がEVSです。
EVSは、任意に設定したプレイヤーの名前をキャラクターが音声で呼んでくれる仕組み。
先ほど触れた通り、この機能がシリーズで初めて実装されたのは1999年の『ときめきメモリアル2』でした。
それが2025年、初代をベースとした『エモーショナル』にも搭載されています。
初代発売時には存在しなかった機能ですが、作品の根幹との相性は抜群です。
なぜなら『ときメモ』はもともと、
画面の向こうにいる主人公ではなく、プレイヤー自身が3年間を過ごす
ことを重視したゲームだからです。
そこへ実際に自分の名前を声で呼ぶ機能が加わる。
新機能でありながら、30年前からあったコンセプトを壊すのではなく、むしろ完成させる方向に働いています。
PCエンジン版を遊ぶ意味は、現在でも残っている
Nintendo Switchで遊べるなら、わざわざPCエンジン版を見る意味はないのでしょうか。
そんなことはありません。
『エモーショナル』はPlayStation版をベースにしています。
一方、PCエンジン版はシリーズが最初に世へ出たオリジナルです。
1994年当時にどの程度の表現が可能だったのか。
どのシステムが最初から存在していたのか。
後の移植で何が変更されたのか。
そうしたゲーム史を見るなら、PCエンジン版にしかない価値があります。
2020年発売の「PCエンジン mini」には、PCエンジン版『ときめきメモリアル』も収録されました。
現在のNintendo Switch版と見比べれば、
1994年の原点
↓
1995年のPlayStation版
↓
2025年の『エモーショナル』
という作品の変化もよく分かります。
今遊んでも面白いところ

30年以上前の作品を現在遊ぶとき、一番重要なのは「歴史的に重要だった」ではありません。
今でもゲームとして面白いのか。
『ときめきメモリアル』の場合、この問いにはかなり強く「はい」と答えられます。
一週間単位の行動選択はシンプル。
しかし、能力を上げれば出会いが変わる。
出会いが増えれば人間関係の管理が増える。
休日をデートに使えば、その日は自分磨きに使えない。
学校行事は時間とともに訪れる。
最終期限は卒業式。
この構造は今でも分かりやすく、ゲームとして成立しています。
攻略対象が変われば育成方針も変わるので、周回性も高い。
古いゲームだから我慢して遊ぶタイプの名作ではありません。
中心にあるルール自体に、今でも遊べる強さがあります。
一方で、現在では古さを感じるところもある

もちろん、30年以上前の作品です。
現代のゲームと比較すれば、不親切に感じる部分もあります。
イベント条件をゲーム内だけですべて把握するのは難しい。
同じコマンドを長期間繰り返す場面もある。
目当てではない女の子の爆弾を処理することが、面倒に感じる場合もあります。
また、1990年代の高校生活や恋愛観を背景にした作品なので、現在とは感覚の違う表現もあります。
だからこそ2025年の『エモーショナル』は、根本的なゲームルールを別物にするのではなく、表示や音声などを現代の環境に合わせる方向を選びました。
何でも現代風に作り変えるのではなく、
古い部分も含めて『ときメモ』のゲーム性として残す。
この判断は、本作の復刻方法としてかなり理にかなっています。
『ときめきメモリアル』はこんな人におすすめ
高校生活を自由に組み立てるゲームが好きな人。
パラメータ育成が好きな人。
一周で終わらず、違う方針で何度も遊びたい人。
キャラクターとの関係が数字だけではなく、イベントや態度の変化として返ってくるゲームが好きな人。
そして、
ゲーム史上有名だからではなく、現在でも本当に遊べるレトロゲームを探している人
には特におすすめできます。
反対に、ストーリーをテンポよく読み進めたい人や、一周ですべてのイベントを見たい人には少し合わないかもしれません。
『ときメモ』は、最短距離で物語を読むゲームではありません。
遠回りを含めた3年間を楽しむゲームです。
まとめ|『ときメモ』のすごさは「恋愛」より3年間をゲームにしたこと

『ときめきメモリアル』を「女の子と恋愛するゲーム」と説明するだけなら簡単です。
でも、それだけではこの作品が30年以上語られている理由を説明できません。
本当にすごかったのは、
高校3年間をゲームシステムにしたこと。
勉強する。
運動する。
部活動をする。
新しい女の子と出会う。
電話をかける。
デートする。
学校行事を迎える。
人間関係に悩む。
そして卒業する。
ひとつひとつの仕組みは分かりやすい。
それらを3年間という時間の中へ置くことで、「恋愛シミュレーション」というひとつの体験へまとめました。
だから、好きな女の子が変われば高校生活も変わります。
能力の伸ばし方が変わる。
休日の使い方が変わる。
出会う人が変わる。
同じきらめき高校なのに、別の思い出ができる。
つぶログのPCエンジン全ソフトTier表では91点・S Tier・総合4位タイ。
1994年という時代性や知名度だけで点を上げたわけではありません。
完成度の高い育成シミュレーションとして現在でも成立し、その仕組みにCD-ROMの音声・音楽・キャラクター表現まで結び付いている。
だから91点です。
そして2025年には『ときめきメモリアル~forever with you~ エモーショナル』として、Nintendo Switchでも新たな3年間を始められるようになりました。
1994年にPCエンジンから始まった伝説は、昔話になっていません。
初めて遊ぶ人にとっては、これから始まる高校生活。
かつて遊んだ人にとっては、もう一度やり直せる高校生活。
卒業してから30年以上が経っても、きらめき高校の入学式は何度でもやってきます