- 『Order of the Sinking Star』評価・レビュー|1000問超の面白さと難易度
- 『Order of the Sinking Star』忖度なしレビュー|総合評価7.9点
- 基本情報|発売日・対応機種・日本語対応
- どんなゲーム? 4つの世界を探索する巨大なパズルアドベンチャー
- 最大の魅力は、4つの世界が融合することで生まれる新しい問題
- 1000問以上は水増しなのか? 長大なボリュームを検証
- 難易度は高い|自分でルールを発見する面白さと、ヒント不足の問題
- 巻き戻しは快適。しかし解法の自由度には制約がある
- 探索の自由度は高い|行き詰まったら別の世界へ進める
- クリア時間は? 500時間遊ばないとエンディングを見られない?
- ストーリーは面白い? 長いパズル攻略を支えるには弱い部分も
- 『The Witness』『Braid』とは何が違う?
- Jonathan Blow一人の作品ではない|元になった4つのパズルゲーム
- アート・サウンドは良好。ただしアクセシビリティには課題
- Switch 2・PS5・PC版の違い|どの機種で遊ぶべき?
- 海外レビューはなぜ10点から4点まで分かれたのか
- どんな人におすすめ? パズル好きでも合わない人はいる
- 購入前によくある疑問
- 忖度なしレビュー|7項目評価まとめ
- 総評|1000問以上のパズルは必要だったのか
- 参考資料・公式情報
『Order of the Sinking Star』評価・レビュー|1000問超の面白さと難易度

1000問を超える手作りのパズルに、約10年の開発期間。『Braid』『The Witness』を手掛けたJonathan Blowの新作『Order of the Sinking Star』は、その規模だけでも普通のパズルゲームとは一線を画しています。
ただし、パズルが1000問もあることは、本当に長所なのでしょうか。
一問を解くたびに新しい発見が待っているなら、この物量には大きな価値があります。反対に、似たような問題を何度も繰り返すだけなら、どれほど丁寧に作られていても、途中で疲れてしまうでしょう。
『Order of the Sinking Star』には、まさにその両面があります。
異なるパズルの仕組みを組み合わせる設計は見事です。一方、膨大な問題数を最後まで楽しませるテンポや、難問に行き詰まったときの救済には課題が残ります。
パズルそのものの完成度は非常に高い。しかし、1000問以上を収録したことが、一本のゲームとしての完成度を必ずしも高めているわけではありません。
今回は4つの世界の特徴、難易度、ヒントの有無、クリア時間、Switch 2版の動作、海外レビューで評価が大きく割れた理由まで検証します。
※2026年10月8日時点の公式発表、開発者インタビュー、製品版レビュー、技術検証を基にした編集評価です。全1000問以上を実機で攻略した記録ではありません。エンディングの内容や具体的なパズルの解法は伏せています。
『Order of the Sinking Star』忖度なしレビュー|総合評価7.9点
つぶログ|忖度なしゲームレビュー
7.9 / 10点
個々のパズルは優秀。世界融合も面白い。しかし、巨大な構成がゲームの勢いを削いでいる。
ジャンル:パズルアドベンチャー
難易度:高い
最大の長所:異なるパズルシステムの融合
最大の弱点:反復性と行き詰まりへの救済不足
このゲームを評価するうえで最も重要なのは、一問ごとの面白さと、長時間遊び続けたときの面白さを分けて考えることです。
個々の問題は非常によく考えられています。単純なルールを覚えた後、別の状況で応用させ、やがて複数の仕組みを同時に扱わせる。その積み重ねによって、以前は気づかなかった解法が見えてくる設計には、確かな魅力があります。
ところが、すべての問題が同じ密度で新鮮な発見を与えてくれるわけではありません。新しい仕組みへたどり着くまでの時間が長く、途中から反復作業のように感じるという批判もあります。
実際、海外では10点満点を付けた媒体がある一方、4点という厳しい評価も出ました。しかも、低評価の理由は単に「難しすぎる」からではありません。
一問を解くこと自体を楽しめる人には最高級の遊び場。しかし、物語の進展や新しい展開を求める人には、あまりにも大きすぎる。
総合7.9点という評価は、この長所と弱点を一本のゲームとして見た結果です。
基本情報|発売日・対応機種・日本語対応
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式タイトル | Order of the Sinking Star |
| 開発 | Thekla, Inc. |
| ゲームディレクター | Jonathan Blow |
| Steam版発売元 | Arc Games/Gamirror Games |
| 国内コンソール版販売 | PLAYISM |
| 世界向け発売日 | 2026年10月8日(地域によって10月9日) |
| 国内コンソール版発売日 | 2026年予定(10月8日時点のPLAYISM表記) |
| 対応機種 | PC(Steam)/PlayStation 5/Nintendo Switch 2 |
| ジャンル | パズルアドベンチャー |
| プレイ人数 | 1人 |
| 日本語UI・字幕 | 対応 |
| 日本語音声 | 非対応(Steam掲載情報) |
| パズル数 | 1000問超(公式公称) |
タイトルは日本向け公式サイトでも『Order of the Sinking Star』と表記されています。正式な邦題が別に設定されているわけではありません。
発売日については注意が必要です。海外向けには2026年10月8日発売が案内されていますが、日本のPLAYISM公式ページでは、PS5・Nintendo Switch 2版について「2026年予定」、価格は未定という記載になっています。
海外で製品版レビューが公開されていることと、日本のストアで同じ日に購入できることは別です。国内コンソール版の正式な販売状況は、PLAYISMの公式製品ページで確認してください。
なお、Xbox Series X|Sや初代Nintendo Switchについて、一部媒体に記載がありますが、今回確認できた正式な対応機種には含まれていません。
どんなゲーム? 4つの世界を探索する巨大なパズルアドベンチャー
プレイヤーは謎めいた世界へ迷い込んだ女王となり、広大なオーバーワールドを探索します。
世界には数え切れないほどのパズルが配置されており、それらを解くことで新たな道が開かれ、登場人物や世界の秘密が少しずつ明らかになっていきます。
見下ろし視点でマス目に沿ってキャラクターを動かし、障害物を押したり、位置を交換したりしながら進むのが基本です。いわゆる『倉庫番』型のパズルに近い部分があります。
ただし、箱を目的の場所へ運ぶだけのゲームではありません。
本作には異なる能力を持つキャラクターが登場します。ブロックを押す戦士、引く盗賊、位置を交換できる魔法使い。さらに鏡、水流、飛び石、宝石、色付きの光線など、世界ごとに異なる仕組みが用意されています。
パズルを解くための知識そのものが、冒険とともに増えていく構造です。
実際のゲーム画面と基本的な仕組みは、Nintendo of Americaが公開した公式概要トレーラーでも確認できます。
『Order of the Sinking Star』公式概要トレーラー(Nintendo of America)
4つの世界には、それぞれ独立したルールがある
ゲーム開始後に向かえる4つの方向には、それぞれ違うパズルシステムが存在します。
| 世界 | 中心となる仕組み | 考えること |
|---|---|---|
| 北:The Hearty Heroes of Hauling | 能力の異なる複数キャラクター | 押す、引く、位置交換などを組み合わせ、仲間同士で連携する |
| 東:The Mirror Isles | 鏡による位置交換 | 鏡に映る位置や距離を利用して、新たな移動経路を作る |
| 南:Skipping Stones to Lonely Homes | 飛び石、水流、ユリの葉 | 水上の移動経路を予測し、進める場所を増やす |
| 西:Vault of the Beamcasters | 宝石と色付きの光線 | 光線の性質や組み合わせを利用して障害物を突破する |
北の世界では、複数のキャラクターの能力を連携させることが中心になります。ある人物が動かした障害物を別の人物が利用する、といった問題が登場し、単純なブロック押しから少しずつ複雑な操作へ発展します。
東の鏡の世界では、物の位置を直接動かすだけでなく、反射によって別の場所へ移動する仕組みが重要です。どこに鏡を置き、どこから利用するかによって、移動できる距離や場所が変わります。
南の世界は水上の経路作りが中心。飛び石を動かすことでユリの葉や水流にも影響が生まれ、最終的にどの道を通れるようになるのかを考えなければなりません。
西の世界では宝石を使って光線を作動させます。光線ごとに違う性質があり、その効果を使い分けることが攻略の鍵になります。
どの世界から始めるかはプレイヤー次第。公式も自由な進行を特徴としており、4つの世界を決められた順番で攻略する必要はありません。
最大の魅力は、4つの世界が融合することで生まれる新しい問題
本作を普通のパズルゲームから一段引き上げているのが、別々に存在していた仕組みの融合です。
序盤は各世界で異なるルールを学びますが、ゲームが進むと、そのルール同士が一つの問題の中で交わり始めます。
例えば鏡の位置交換とキャラクターの特殊能力。それぞれ単独なら理解できていた操作が、同時に存在するだけでまったく違う問題になります。
ある仕組みでは動かせなかった物が、別の世界の能力を利用すると動かせる。以前は不可能だと思っていた行動が、別のルールを加えることで成立するわけです。
単に使える道具が増えるだけではありません。それまで覚えてきたルールの意味そのものが変わることが面白いのです。
Gold Roomsが世界を結びつける
公式が紹介している重要な仕組みに「Gold Rooms」があります。
この領域を攻略することで別々の世界が結びつき、異なるパズルシステムを組み合わせた新しい領域が開かれます。
公式は、2つの世界を組み合わせる6つの大規模な領域を紹介しています。光線と鏡、キャラクターの能力と飛び石など、仕組みの異なる世界が接続される構造です。
一つの仕組みを使いこなせるようになっても、それだけでは終わりません。
別の仕組みが加わると、以前の知識を使いながら新しい考え方を探す必要が生まれます。初めて解いたときは単純に思えた問題も、後になって重要な学習だったと分かることがあるでしょう。
この段階的な学習と発展こそ、本作の最も優れた部分です。
ただし、融合の仕組みに到達するまでの時間や、次の大きな変化までの間隔については意見が分かれています。発想自体は見事でも、その魅力をゲーム全体で途切れずに味わえるとは限りません。
1000問以上は水増しなのか? 長大なボリュームを検証
公式が掲げる収録数は「1000問超」。発売前には約1400問という数字も紹介されましたが、製品版の厳密な総数として確定できる公式発表は確認できません。
それでも、これだけ大規模なパズルゲームが珍しいことは確かです。
問題は、そのすべてに十分な価値があるかどうかでしょう。
一問ごとに意味のある学習を積み重ねる構造
本作のパズルは、基本的な操作を教える簡単な問題から始まり、少しずつ複雑な仕組みへ進んでいきます。
例えば、最初はブロックを押すだけの問題でも、後には押す順番や位置が重要になり、さらに別のキャラクターとの連携まで要求されるようになります。
その過程で解法への理解が深まるため、簡単な問題にも役割があります。
同じ仕組みを繰り返し使うこと自体は、必ずしも悪い設計ではありません。前の問題で学んだ知識を別の条件で試すことが、パズルの面白さにつながるからです。
世界融合を成立させるには、各システムを個別に理解する段階も欠かせません。
その意味で、1000問以上という物量には一定の理由があります。
問題は、新しい発見が訪れるまでの長さ
それでも、ゲームを進めるうちに反復感が強くなるという批判は無視できません。
海外のCGMagazineは、最初に触れたときは創意工夫に感心したものの、長時間遊ぶにつれて似た操作が繰り返されるように感じたと評価しています。
ブロックを動かし、うまくいかなければ巻き戻し、別の場所へ動かす。その試行錯誤から新しい発見を得られるなら楽しいものですが、同じような操作の繰り返しに感じられた時点で、楽しさは薄れてしまいます。
Push Squareも、個々の問題が丁寧に作られていることは認めながら、巨大な構成によってゲームの勢いが失われると批判しました。
一方、Shacknewsは、初回エンディング後にも新しい仕組みや発見が続く点を絶賛しています。
つまり、問題の多さに対する評価は真っ二つです。
1000問以上あることは、少なくとも単純な数合わせではありません。しかし、1000問以上必要だったかと聞かれれば、すべてのプレイヤーにとって最適な規模だったとも言えないのです。
もっと少ない問題数でも、世界融合の面白さを十分に伝えられた可能性はあります。その一方、ここまで大量の問題を積み重ねたからこそ生まれる発見も存在します。
どちらを重く見るかによって、一本のゲームとしての評価は大きく変わります。
難易度は高い|自分でルールを発見する面白さと、ヒント不足の問題
本作は、パズルゲームに慣れている人でも長時間考え込むような問題が数多く用意されています。
ただ、序盤から複雑な説明を大量に読ませるゲームではありません。
比較的簡単な盤面を通して新しい能力を覚え、その後の問題で応用を要求する作りです。文章で細かく説明されるより、実際に操作して理解していく場面が多くなっています。
これは『The Witness』にも通じる設計思想でしょう。
解けた瞬間の納得感は非常に強い
優れたパズルは、解ける前と解けた後で、盤面の見え方が変わります。
最初は邪魔だと思っていたブロックが、実は必要な場所に置かれている。遠回りに見えた行動が、後の操作に欠かせない準備になっている。
こうした仕掛けを自分で理解できたとき、難問を解いた達成感が生まれます。
GamingTrendやShacknewsが特に評価しているのも、この発見の積み重ねです。単純な仕組みに見えても、少し条件が変わるだけで新しい考え方が必要になるため、理解が深まるほど解法を考える楽しさが増していきます。
ただし、難しい問題がすべて優れた問題とは限りません。
解法を論理的に組み立てるよりも、さまざまな操作を試し続けることが中心になる問題もあり、その部分に反復感を覚えたというレビューもあります。
問題を見た瞬間に正解が分からないことと、何を考えればよいのか分からないことは別です。
ヒントがないと、考え方そのものが分からなくなる
発売レビューで目立つ批判が、行き詰まったときの補助が少ないことです。
GamingTrendは、製品レビュー版にゲーム内ヒントや問題を回避する直接的な救済がないと指摘しています。
実際、複数の場所で同時に行き詰まり、何時間も進めなくなった経験を報告しています。
解けない問題を後回しにできる非線形構造はありますが、それで必ず解決するとは限りません。
別の場所でも同じように止まってしまえば、結局は難問のどれかを自力で突破する必要があります。
自力で解くことに価値を置く設計は理解できます。それでも、数百時間規模のゲームで、考え方をつかめないプレイヤーへの補助が乏しいのは厳しいところです。
難問に挑戦する自由は十分にあるものの、難問から抜け出すための助けは少ない。
パズル初心者だけでなく、特定の仕組みが苦手な人にとっても、大きな壁になるでしょう。
巻き戻しは快適。しかし解法の自由度には制約がある
難しいパズルを繰り返し解くうえで、操作の快適さは重要です。
本作には一手戻す機能があり、操作を続けて巻き戻すこともできます。ブロックを間違った場所へ動かした場合でも、すぐにやり直せます。
一度のミスで長い手順を最初から再現させられるゲームと比べれば、試行錯誤はかなり快適です。
複数のレビューでも、巻き戻しやリセットの素早さは評価されています。
ただし、別の問題があります。
独自の方法で解けても、正解として扱われない場合がある
Nintendo Lifeは、鏡を利用した独自の方法でゴールへ到達したものの、ゲーム側がその解法を認めなかった事例を紹介しています。
パズルゲームには、大きく分けて二つの楽しみ方があります。
設計者が用意した解法を見つける楽しさと、ルールを応用して自分なりの解法を考える楽しさです。
本作は前者の魅力が強い作品と言えます。
盤面が厳密に設計されているからこそ、正しい手順へ気づいた瞬間に強い納得感が生まれる。一方、プレイヤーが考えた別の方法が認められない場合、せっかくの発見が無駄になったように感じられます。
すべての問題が唯一解だと確認されているわけではありませんが、自由な実験が必ずしも報われない点には注意が必要です。
『Baba Is You』のようにルールの解釈や応用を楽しむ作品と、本作のように精密な解法を発見させる作品では、求められる面白さが少し違います。
探索の自由度は高い|行き詰まったら別の世界へ進める
『Order of the Sinking Star』は、1000問を決められた順番で解いていくゲームではありません。
女王が探索するオーバーワールドには複数の進路があり、ある問題が解けなくなったら、別の世界へ向かうことができます。
これは本作の規模を考えると、非常に重要な仕組みです。
一本道のゲームなら、一つの難問を突破できないだけで先へ進めなくなります。しかし本作では、別の仕組みを使う問題へ移り、気分を変えながら攻略を続けられます。
後になって戻ると、以前は理解できなかった問題を違う視点から見られることもあるでしょう。
探索を進めることで世界が広がり、新しい場所が開かれる点も単なる問題集とは異なります。
ただし、どんな問題でも自由に飛ばせるわけではありません。先へ進むために特定の攻略が必要な場面もあり、複数の地域で行き詰まれば選択肢が狭くなります。
非線形構造によって息抜きはできますが、難易度そのものが下がるわけではないのです。
クリア時間は? 500時間遊ばないとエンディングを見られない?
500時間という数字は、通常クリアに必ず必要な時間ではありません。
公式は本作を数百時間規模のパズルアドベンチャーとして紹介しています。
2026年10月6日に公開された4Gamerの開発者インタビューでは、通常クリア約250時間、全パズル攻略なら500時間超という規模が紹介されました。
ただし、これは発売後の一般プレイヤーの実測平均ではありません。難問で何時間も止まる人もいれば、順調に解いていく人もいるため、プレイ時間には大きな個人差があります。
| 遊び方 | 所要時間の考え方 |
|---|---|
| 最初のエンディングを目指す | 全パズルの攻略は不要。確かな平均時間は未確定 |
| 主要な要素を広く攻略する | 長期間の攻略を前提とした膨大な内容 |
| 全パズルを攻略する | 500時間超という規模が事前に紹介されている |
海外レビューでも、最初のエンディングを迎えた時点でゲームが終わるわけではないと報告されています。
つまり、ゲーム全体を完全に攻略することと、一度エンディングへ到達することは別です。
完全攻略まで進めたい人には相当な覚悟が必要ですが、1000問すべてを解くことが初回エンディングの必須条件ではありません。
複数のエンディングが存在することもレビューで確認されています。ただし、その条件や終盤の仕掛けは、本作の発見する楽しさに直接関わるため、ここでは触れません。
ストーリーは面白い? 長いパズル攻略を支えるには弱い部分も
本作には、女王を中心とした物語があります。
さまざまな世界の英雄たちと出会い、会話や音声記録を通して世界の謎を知っていく構造です。
『The Witness』と比較しても登場人物や会話が前面に出ており、開発側が物語を重視していることが分かります。
謎めいた世界観や個性的なキャラクターは、次のパズルへ進みたいと思わせる動機になります。GamingTrendはボイス演技や登場人物の掛け合いを高く評価しました。
一方、Push Squareは会話が長く、キャラクターに強い関心を持てなかったと批判しています。
この違いは、本作のプレイ時間とも関係しているでしょう。
一つの問題で数時間止まれば、その間は物語も進みません。何日もかけて遊んでいるうちに、以前の会話や登場人物の目的を忘れてしまうこともあります。
GamingTrendは、会話の履歴や用語を確認できる機能の不足も指摘しています。
パズルを解くこと自体が目的なら、物語の進行が遅くても問題ないかもしれません。しかし、結末を知りたいという気持ちを中心に遊ぶ人には、長い間隔が負担になります。
本作の物語はパズルを包み込む世界観として魅力がありますが、巨大なゲーム全体を引っ張り続ける力については意見が分かれます。
『The Witness』『Braid』とは何が違う?
Jonathan Blowの作品ということで、『Braid』『The Witness』のような体験を期待する人もいるでしょう。
実際、自分でルールを理解し、その理解によって次の問題を解く設計思想には共通点があります。
しかし、本作はどちらの直接的な続編でもありません。
『Braid』との違い
『Braid』は時間操作という中心的なアイデアを掘り下げ、少数の仕組みから多様な問題を生み出した作品です。
比較的凝縮された構成の中で、パズルと物語が結びついていました。
『Order of the Sinking Star』は反対に、最初から複数のパズルシステムを持ち、それぞれを発展させた後に組み合わせていきます。
一つの能力を深く掘り下げるのではなく、異なる能力同士の関係を発見していくことが中心です。
『The Witness』との違い
『The Witness』では島を探索しながら、説明されないルールを自分で理解することが重要でした。
本作も自力で仕組みを学ぶ設計ですが、盤面の中でキャラクターやオブジェクトを直接操作する場面が多くなっています。
また、異なる世界のパズルシステムを組み合わせる点も大きな違いです。
『The Witness』のように何時間も考え、突然ルールの意味を理解する瞬間が好きだった人なら、本作にも引き込まれる可能性があります。
ただし、島の風景を観察しながら解法を発見する体験と、マス目上で物体を操作する本作の遊び方は異なります。同じ感覚を期待して購入するのは避けた方がよいでしょう。
Jonathan Blow一人の作品ではない|元になった4つのパズルゲーム
本作の成り立ちも興味深いところです。
Jonathan Blow率いるTheklaは、複数の独立したパズル作品を土台に、それぞれのルールを一つの巨大な作品へ統合しました。
公式Steamページでは、次の4作品と原案のデザイナーが明記されています。
| 元作品 | 制作者 |
|---|---|
| Skipping Stones to Lonely Homes | Alan Hazelden |
| Mirror Isles | Alan Hazelden |
| Promesst 1–3 | Sean Barrett |
| Heroes of Sokoban 1–3 | Jonah Ostroff |
ほかにもZach Polansky、Patrick Traynor、Marc ten Boschなど、多くのデザイナーが制作へ貢献しています。
つまり、1000問以上のパズルをJonathan Blow一人が考案した作品ではありません。
本作の独自性は、すべての仕組みをゼロから発明したことではなく、別々のゲームに存在していたルールを同じ作品で共存させたことにあります。
それぞれのゲームを単に並べるだけなら、パズル作品集で終わるでしょう。しかし、本作は異なる仕組みを交差させることで、新しい問題を作り出そうとしています。
この点には大きな価値があります。
一方、批判的なレビューでは、元になった作品の簡潔さや魅力が、大規模なゲームへ再構成される過程で失われたという意見もあります。
原案の仕組みが優れていることと、それを巨大な作品へ統合した結果が優れていることは別です。
この違いを理解すると、本作の評価が大きく割れる理由も見えてきます。
なお、本作が発表されたのは2025年12月のThe Game Awardsでした。発表当時の情報は、つぶログのThe Game Awards 2025新作発表まとめでも紹介しています。リンク先の発売予定情報は当時のものです。
アート・サウンドは良好。ただしアクセシビリティには課題
本作の映像表現は、派手なグラフィックを見せるためのものではありません。
色彩豊かな幻想世界を描きながら、パズルに必要なオブジェクトや移動経路を比較的読み取りやすくしています。
パズルゲームでは、画面の豪華さよりも、何を動かせるのか、どこへ進めるのかを理解しやすいことが重要です。
Push Squareは画面の明快さとサウンドを評価し、Nintendo Lifeも、長時間考え続ける際に集中しやすい表現を長所として挙げています。
操作音や効果音にも配慮があり、ボイス演技についても好意的な評価が見られます。
色の識別が必要な仕組みには注意
一方、色付きの光線を利用するパズルでは、色覚特性によって判別が難しくなる可能性があります。
SmashPadはこの点を指摘しており、光線には色以外の細かな違いも見られるものの、それが十分な補助になるとは限らないとしています。
発売版に専用の色覚モードやコントラスト設定がどこまで用意されているかについては、公式情報だけで十分に確認できませんでした。
ヒントの少なさも含め、アクセシビリティには改善の余地があります。
巻き戻し機能が快適でも、必要なルールを理解できない人や、画面上の情報を判別しづらい人への補助まで十分とは言えません。
Switch 2・PS5・PC版の違い|どの機種で遊ぶべき?
本作は、一問ずつ時間をかけて考えるゲームです。そのため、携帯して少しずつ遊べる機種との相性は良さそうに思えます。
ただし、海外の製品版レビューでは、機種によって動作上の違いが報告されています。
Nintendo Switch 2版|携帯性は魅力だが、処理落ちの報告あり
Switch 2版は、携帯モードで好きな時間にパズルを解ける点が大きな魅力です。
ところが、技術面には注意が必要です。
CGMagazineは、携帯モードとTVモードの両方で、広いエリアなどにおけるフレームレート低下を報告しています。
WayTooManyGamesは、さらに強い処理落ちやクラッシュ、TV接続時の表示不具合を経験したとしています。
特に後者では、TVモードで画面の一部しか表示されず、正常に遊べなかったという報告があります。
ただし、すべての媒体が同じ問題を経験したわけではありません。Nintendo Lifeは8点を付けており、深刻な動作不良を主な欠点として挙げていません。
複数媒体で処理落ちが報告されていることは事実ですが、一部レビューで発生した極端な不具合まで、すべてのSwitch 2で再現すると断定することはできません。
携帯性を重視する人には魅力的な選択肢ですが、動作の安定性を優先するなら、発売後の改善状況を確認してから選びたいところです。
PC版|最低スペックと動作環境を確認
Steam版の最低動作環境は以下のとおりです。
| 項目 | 最低動作環境 |
|---|---|
| OS | Windows 10以降(64bit) |
| CPU | Intel Core i5-6600K/AMD Ryzen 5 1600 |
| メモリ | 8GB |
| GPU | GeForce GTX 1050 Ti/Radeon RX 580/Intel Arc A380 |
| DirectX | Version 12 |
| 空き容量 | 14GB |
Steamではコントローラーへの対応も確認できます。
ただし、最低スペックを満たしていれば、すべての場面で安定した60fps動作が保証されるわけではありません。
広いエリアや特定の仕組みでは負荷が増える場合があり、実際の快適さはPCの性能や設定によって変わります。
本作の開発には独自エンジンやプログラミング言語「Jai」が使用されていますが、それ自体が動作上の問題を引き起こしていると確認されたわけではありません。
Steam Deck|Verifiedだが常時60fpsではない
本作はSteam Deck Verifiedを取得しています。
Steam Deck HQが2026年10月7日に公開した製品版の検証では、低い描画設定を使うことで、多くの場面で60fps動作を確認できたと報告されています。
一方、オーバーワールドでは負荷が上がり、鏡を利用する場面などではスタッターが発生することもあります。
同レビューの測定値では、消費電力は約12~15W、バッテリー駆動時間は約3~3.5時間でした。
いずれも特定のレビュー環境での結果であり、すべてのSteam Deckで同じ数値になるとは限りません。
携帯機で遊ぶパズルゲームとして十分に魅力がありますが、Verifiedを取得しているからといって、すべての場面で完璧に動作するわけではないことは覚えておきたいところです。
PS5版|大きな技術的不具合の報告は比較的少ない
PS5版はPush SquareやGamingTrendなどがレビューしています。
GamingTrendは大きな技術的問題を経験しなかったと報告しています。一方、標準PS5とPS5 Proの細かなフレームレートや解像度を直接比較した信頼できる実測資料は十分ではありません。
Switch 2版と比べると、発売レビューで深刻な動作不良が繰り返し報告されている状況ではありません。
動作の安定性を重視するならPS5版や十分な性能を持つPC版を検討したいところですが、日本国内のPS5版については、正式な販売状況を確認してから判断する必要があります。
海外レビューはなぜ10点から4点まで分かれたのか
発売直後の海外レビューを比較すると、本作に対する評価が大きく割れていることが分かります。
| 媒体 | 評価 | 主な評価内容 |
|---|---|---|
| Shacknews | 10/10 | 世界融合、問題の完成度、初回エンディング後の発見を絶賛 |
| GamingTrend | 9/10 | 論理パズルとして非常に優秀。ただしヒント不足が難点 |
| Nintendo Life | 8/10 | 仕組みの発展を評価。別解の自由度には制約 |
| CGMagazine | 7/10 | 創意工夫はあるが、反復感が強い。Switch 2版の処理落ちも指摘 |
| WayTooManyGames | 7/10 | パズルは高評価。Switch 2版の技術面を批判 |
| Push Square | 6/10 | 個別問題は優秀だが、規模が大きすぎて勢いを失う |
| The Wand Report | 4/10 | 元作品の魅力を十分に高められておらず、冗長で反復的と批判 |
特に注目したいのは、6点を付けたPush Squareも、個々のパズルの設計を高く評価していることです。
問題そのものが悪いわけではない。それでも巨大な構成の中では、新しい驚きが訪れるまでの時間が長く、ゲーム全体の勢いが失われるというのです。
Shacknewsの10点評価とは対照的ですが、両者が重視しているものは違います。
Shacknewsは、複数の仕組みが結びつき、初回エンディング後にも新しい発見が続くことを高く評価しています。
Push Squareは、その発見を得るまでに必要な時間の長さを問題にしています。
さらにThe Wand Reportは、基礎となった独立作品の方が簡潔で優れており、大規模な作品へまとめた結果、元の魅力が弱まったと批判しています。
この対立は、単なる好みだけでは片付けられません。
同じ仕組みを使い続けることで理解が深まるのか。それとも、似た操作の繰り返しになってしまうのか。
前者を強く感じた人は本作を傑作と評価し、後者を強く感じた人は長すぎるゲームと評価しています。
どちらの視点にも、パズルゲームを評価するうえで重要な意味があります。
一問が面白いことと、その面白い問題を数百問続けて解きたいことは、同じではありません。
本作の評価が極端に割れた理由は、まさにそこにあるのでしょう。
なお、2026年10月8日の調査時点ではSteam製品版のユーザーレビューはまだ十分に形成されていませんでした。体験版にはレビューがありますが、製品版全体の評価とは分けて考える必要があります。
どんな人におすすめ? パズル好きでも合わない人はいる
| プレイスタイル | 相性 |
|---|---|
| 一問に何時間も考え続けることが好き | 非常に良い |
| 『倉庫番』型の論理パズルが好き | 非常に良い |
| ルールの応用や組み合わせを楽しみたい | 非常に良い |
| 『The Witness』の発見する楽しさが好き | 良い。ただし操作や構造は異なる |
| ヒントを見ながら気軽に進みたい | あまり向かない |
| 自由な別解を考えるのが好き | 想定解への制約に注意 |
| 短時間でエンディングを見たい | 向かない |
| ストーリーを中心に楽しみたい | 優先度は低い |
| すべての要素をコンプリートしたい | 相当な長期戦を覚悟する必要あり |
特におすすめできるのは、問題の答えが分からない時間まで楽しめる人です。
一問に何時間かけても構わず、少しずつ考えを整理しながら答えを見つけることに満足感を得られるなら、本作には非常に多くの楽しみが用意されています。
逆に、次の展開を見るためにパズルを解く人には、厳しい場面があるでしょう。
本作では、先へ進むこと以上に、目の前の問題を理解することが重視されています。
パズルゲームが好きな人でも、その楽しみ方が合うかどうかは慎重に判断したいところです。
購入前によくある疑問
1000問すべて解かないとクリアできない?
すべてのパズルを解く必要はありません。海外の製品版レビューでは、初回エンディングへ到達した後にも多くの内容が残ると報告されています。完全攻略と最初のエンディングは別です。
500時間必要というのは本当?
500時間超は、すべてのパズルを攻略する場合の想定規模として紹介されている数字です。初回クリアに必ず500時間必要という意味ではありません。一般プレイヤーの平均クリア時間は、発売直後のため確定していません。
ヒント機能はある?
発売レビューでは、解法を教える段階的なヒント機能がないことが指摘されています。別の問題へ移動して後回しにすることはできますが、分からない問題を簡単に突破できる救済は乏しい設計です。
パズル初心者でも遊べる?
基本操作は比較的簡単ですが、難易度は高めです。パズルの考え方を自力で学び、難問を長時間考えることが苦手な人にはおすすめしにくい作品です。
ストーリーだけを楽しむことはできる?
物語はありますが、進行の中心はパズル攻略です。問題を飛ばしてストーリーだけを短時間で楽しむゲームではありません。
日本語音声はある?
Steam版は日本語UI・字幕に対応していますが、日本語音声には対応していません。
Switch 2版は快適に動く?
海外レビューでは広いエリアなどで処理落ちが報告されています。一部媒体はクラッシュやTV接続時の表示不具合も報告していますが、全ユーザー共通の問題とは確認されていません。発売後の改善状況にも注意が必要です。
『The Witness』を遊んでいなくても大丈夫?
問題ありません。独立した新作なので、過去作品の知識やクリア経験は必要ありません。
今すぐ買うべき?
長時間の論理パズルが好きで、難問を自力で解くこと自体に魅力を感じるなら、有力な購入候補です。ヒントの充実やテンポの良さを重視する人は慎重に選んだ方がよいでしょう。また、日本国内のコンソール版については正式な販売状況を確認してください。
忖度なしレビュー|7項目評価まとめ
最後に、個々のパズル設計だけでなく、世界融合の完成度、難易度、探索、物語、テンポ、技術面まで含めて評価を整理します。
| 評価項目 | 点数 | 評価内容 |
|---|---|---|
| パズル設計 | 8.7 | 一問ごとの作り込みは高水準。単純なルールから多くの発見を生む一方、反復感のある問題も存在する。 |
| メカニクスの発展・融合 | 9.0 | 異なるパズルシステムを組み合わせ、新しい思考を要求する構造が最大の長所。 |
| 難易度・学習曲線 | 7.2 | ルールの導入は比較的丁寧。ただし難問で行き詰まったプレイヤーへの補助が弱い。 |
| 探索・非線形構造 | 8.4 | 別の地域へ移れる自由度と世界の広がりを評価。複数の進路で同時に詰まる可能性は残る。 |
| 物語・世界観・キャラクター | 6.6 | 世界の謎やボイスは魅力的だが、長時間の攻略に対して物語の進行が遅く、関心が途切れやすい。 |
| ボリューム・テンポ・継続性 | 6.9 | 圧倒的な物量には意味があるものの、新しい発見までの間隔が長く、反復による疲労も大きい。 |
| 操作性・視認性・技術面 | 7.0 | 巻き戻しやリセットは快適。色識別への配慮やヒント不足、Switch 2版の動作報告は気になる。 |
| 総合評価 | 7.9 | 卓越したパズル設計と世界融合。しかし巨大な構成が、長所であると同時に大きな弱点にもなっている。 |
総評|1000問以上のパズルは必要だったのか
『Order of the Sinking Star』には、ほかのパズルゲームではなかなか味わえない面白さがあります。
一つの仕組みを理解し、別の問題で応用し、やがて異なるルールが交わることで新しい解法が生まれる。
その発見を積み重ねる構造は、本作の大きな魅力です。
複数の独立したパズル作品を土台にしながら、それらの仕組みを一つの巨大な世界へ統合した発想も高く評価できます。
ただし、ゲームが大きくなるほど、問題を解き続けること自体が負担になる場合があります。
新しい仕組みに出会うまでの時間が長く、難問で行き詰まったときの補助も少ない。物語も、その膨大な攻略時間を支えるほど強いとは言い切れません。
1000問以上ものパズルを作る必要が、本当にあったのか。
その答えは、単純な「必要だった」「多すぎた」のどちらでもありません。
異なるルールを深く学び、組み合わせるために、この規模には確かな意味があります。しかし、その規模を最後まで楽しませる工夫まで十分だったかと聞かれると、疑問が残ります。
一問を解くこと自体が楽しい人には、長い時間を費やすだけの魅力があります。一方、適度な区切りや次々と変わる展開を求める人には、途中で疲れてしまう可能性が高いでしょう。
巨大なパズルゲームであることと、最高のパズルゲームであることは違う。
本作は、その違いを考えさせられる作品です。
つぶログ総合評価は7.9点。個々のパズルと世界融合の完成度は非常に高いものの、長大な構成と遊びやすさに課題を残した、強く人を選ぶ良作と評価します。
参考資料・公式情報
本記事は2026年10月8日時点の情報を基に制作しています。国内発売日、機種別の動作状況、更新内容などは変更される場合があります。