忖度なしゲームレビュー

『Phantom Blade Zero』忖度なしレビュー|戦闘は面白い?難易度・PS5 Pro・買う価値を検証

目次
  1. Phantom Blade Zero 忖度なしレビュー|戦闘・難易度・PS5 Proの評価と欠点
  2. 『Phantom Blade Zero』の基本情報|発売日・価格・対応機種
  3. 最大の魅力は戦闘|なぜこれほど気持ちよく戦えるのか
  4. ボス戦は傑作級?見た目の迫力だけでは終わらない
  5. 『Phantom Blade Zero』はソウルライクなのか?
  6. 探索と育成は面白い?寄り道が戦闘の幅を広げる
  7. ストーリーは面白い?世界観は魅力的だが、語り方には弱点がある
  8. PS5 Proで快適に動く?グラフィックとフレームレートを検証
  9. SEKIRO・仁王・Devil May Cryとの違いは?
  10. クリアまで何時間?長く楽しめるゲームなのか
  11. 通常版8,580円を払う価値はある?デラックス版との違い
  12. 忖度なし評価|長所と欠点を踏まえた総合85点
  13. なぜ90点ではないのか?85点とした理由
  14. おすすめできる人・おすすめしにくい人
  15. 総評|武侠アクションとして非常に優秀。だが、欠点も隠せない

Phantom Blade Zero 忖度なしレビュー|戦闘・難易度・PS5 Proの評価と欠点

刀を抜き、敵の連撃を受け流し、一瞬の隙に反撃を叩き込む。倒した強敵の武器を奪えば、今度は自分がその技を使えるようになる。

『Phantom Blade Zero(ファントムブレイド ゼロ)』が目指したのは、単に派手なアクションを見せることではない。カンフー映画でしか見られなかったような殺陣を、プレイヤー自身の操作で成立させることだ。

2026年10月29日発売の本作は、中国のS-GAMEが手がける暗黒武侠アクションRPG。発売前に公開された完成版レビューでも、戦闘の気持ちよさと武器の多彩さ、ボス戦の完成度が高く評価されている。

しかし、高評価というだけで飛びつくのは早い。

物語の分かりにくさ、通常敵との戦闘の反復性、探索の制約、PS5 Proでも報告されている処理落ちなど、見過ごせない問題もある。

結論から言えば、戦闘を目的に購入するなら非常に有力な一本。ただし、アクションの素晴らしさに作品全体の完成度が完全には追いついていない。

つぶログの総合評価は85点/100点。なぜ90点ではないのか、逆に80点前後にとどめるほどの欠点なのか。ゲームの仕組み、戦闘以外の出来、難易度、PS5 Proの動作、8,580円という価格まで掘り下げて判断する。

※本記事は2026年10月28日時点の公式仕様と、製品版を最後までプレイした複数のレビューによる検証結果を基に構成した独立評価です。発売日のアップデート適用後の動作を保証するものではありません。

『Phantom Blade Zero』の基本情報|発売日・価格・対応機種

正式タイトルPhantom Blade Zero
開発S-GAME Studio
販売S-GAME Publishing
発売日2026年10月29日(木)
日本での解禁予定10月29日午前11時
対応機種PS5/PS5 Pro/PC(Steam・Epic Games Store)
PS5通常版8,580円(税込)
PS5デジタルデラックス版9,980円(税込)
ジャンル暗黒武侠アクションRPG
プレイ人数1人
レーティングCERO Z(18歳以上のみ対象)
日本語対応字幕・画面表示対応/日本語音声なし
オンライン接続PS5版はオフラインプレイ対応
PS5 ProPS5 Pro Enhanced対応

当初は9月9日発売予定だったが、開発の仕上げを理由に10月29日へ延期された。日本向けのPlayStation Storeでは10月29日午前11時の発売予定となっている。

Steamでは地域によって10月28日と表示されるが、日本での発売案内とは時差がある。国内向けの記事では10月29日を基準にするのが適切だ。

2026年10月の発売時点ではダウンロード版が対象。PS5のパッケージ版は2027年に発売予定で、通常版、デラックス版、アルティメット版の3種類が発表されている。パッケージ版を希望する場合は、発売時期の違いに注意したい。

なお、本作は血しぶきや残虐なフィニッシュ演出を含むCERO Z作品。PS Storeでの購入にはクレジットカード決済が必要となる。

最大の魅力は戦闘|なぜこれほど気持ちよく戦えるのか

『Phantom Blade Zero』の戦闘は、通常攻撃、強攻撃、防御、パリィ、回避、武器切り替えを中心に構成されている。

これだけ並べると、既存のアクションRPGと大きな違いはない。しかし、実際の仕組みを追っていくと、本作が何を重視しているかが見えてくる。

特徴的なのは、攻撃から防御、防御から反撃へ移る流れを、極力止めない設計だ。

通常攻撃や回避、パリィではスタミナを消費せず、強攻撃や防御を続ける場合にリソース管理が必要になる。

多くの高難度アクションでは、攻撃を一度控えてスタミナの回復を待つことが重要になる。本作では、そうした待ち時間に縛られにくい。

敵の連撃をさばいた瞬間、そのまま反撃へ移る。攻撃がつながれば別の武器へ切り替え、さらに大技を叩き込む。

この連続性が、本作のアクションを特別なものにしている。

パリィは守るためだけの行動ではない

戦闘を理解するうえで欠かせないのが「殺気ゲージ」だ。

敵には体力とは別に、攻防の均衡を表すゲージがある。攻撃を加えたり、敵の攻撃をタイミングよく弾いたりすることでゲージを削り、ゼロにするとガードブレイクが発生する。

その間に強力なコンボや絶技を叩き込み、体力を一気に削るのが基本的な流れになる。

敵の攻撃を待つ時間も、反撃へつなげるための準備になっているわけだ。

また、攻撃の種類によって対応方法が異なる。

  • 青く光る攻撃:パリィで対処する。
  • 赤く光る攻撃:回避を中心に対応する。
  • 黒い閃光を伴う攻撃:通常の受け流しに頼らず、距離や位置取りを意識する。

敵の動きが非常に速いゲームだが、色による予告があることで、何をすべきか判断しやすくなっている。

ただし、この仕組みには弱点もある。

連続攻撃があまりに激しい場面では、一撃ずつ正確に見切るよりも、パリィを連打しているうちに切り抜けられてしまうことがある。

見事な殺陣が展開されていても、プレイヤー自身が敵の攻撃を完全に読み切ったという感覚が弱くなる。ここは戦闘の完成度を考えるうえで、見逃せない問題だ。

2本のメイン武器とファントムエッジが戦闘を変える

本作ではメイン武器と副武器をそれぞれ2つまで装備でき、状況に合わせて切り替えながら戦う。

公式情報では30種類を超えるメイン武器と、25種類のファントムエッジが案内されている。

注目したいのは、武器の数そのものではない。それぞれに固有の技、攻撃範囲、コンボ、特殊効果が用意されていることだ。

たとえば、酒を飲むことで攻撃の性質が変化する剣が登場する。通常の近接武器だったものが、飲酒による状態変化で剣を飛ばすような攻撃へ発展する。

ほかにも、敵の盾を破壊する副武器、遠距離から攻撃する武器、仲間のような存在を呼び出す装備など、戦い方を変えるものが用意されている。

メイン武器の切り替えにはクールタイムがあり、好きなタイミングで無制限につなげられるわけではない。その一方で、切り替えに伴うゲージの回復や連携攻撃を利用することで、新しい攻め方が生まれる。

つまり、本作の武器切り替えは単なる演出ではない。いつ武器を替えるか、何で相手を崩すかが戦術そのものになる。

しかも、武器や能力の強化に使った資源を戻し、別の装備へ振り直すことができる。

高難度アクションで新しい装備を試す際、育成素材を無駄にしてしまう不安は意外と大きい。それを抑えることで、武器を入手した喜びがそのまま試行錯誤につながる。

これは戦闘を長く楽しむうえで、非常に合理的な設計だ。

実際の武器アクションやボス戦の演出は、公式ローンチトレーラーでも確認できる。

ボス戦は傑作級?見た目の迫力だけでは終わらない

本作が特に力を入れているのが、ボス戦のバリエーションだ。

武術の達人だけでなく、獅子舞を思わせる異形の敵、巨大な武器を扱う相手、幻術や特殊な仕掛けを利用する敵など、さまざまなボスが登場する。

しかも、外見や演出だけを変えた敵ばかりではない。攻撃の間合い、予備動作、複数形態への移行、攻撃機会の作り方まで異なっている。

武器の種類が豊富であることも、ボス戦の面白さを支えている。

盾を使う敵に対応する武器を持ち込む。素早く接近してくる相手には攻撃範囲を重視する。敵の隙が小さければ、短いコンボを中心に攻める。

戦闘前の装備選択と、実際の操作の両方が意味を持つ構造だ。

そのため、単に敵の攻撃を覚えて回避するだけではなく、どの武器を使えば戦いやすいかを考える余地がある。

一方で、すべてのボス戦が理想的なバランスとは言い切れない。

大量の連撃をパリィでしのぐ場面では、攻撃のリズムを掴む楽しさがある半面、敵の動きが激しすぎて個々の攻撃を判別しにくいこともある。

さらに、一部の敵では体力を削るのに時間がかかり、通常戦闘で感じられるテンポのよさが失われるという問題も指摘されている。

それでも、ボスごとの個性が強く、新しい武器や攻略法を試す動機が途切れにくいことは大きな長所だ。

ボスの演出は極めて高水準。駆け引きの精密さには改善の余地がある。この両方を認めるのが妥当だろう。

『Phantom Blade Zero』はソウルライクなのか?

見た目だけなら『SEKIRO』やソウルライク作品を連想するかもしれない。

強力なボス、パリィ、回避、敵の攻撃パターンの習得。確かに共通点は多い。

しかし、ゲーム全体の構造は典型的なソウルライクとは異なっている。

まず、通常の敵は一度倒すと基本的に再出現しない。休息ポイントへ戻るたびに同じ敵が復活する仕組みではないため、進んだ道を何度も戦い直す負担が抑えられている。

死亡時に経験値を落とすような一般的なソウルライク型のペナルティもない。

一方で、敵が復活しない以上、同じ場所で繰り返し敵を倒して経験値を稼ぐこともできない。育成を進めるには探索やサイドクエスト、強敵との戦闘が重要になる。

そして、戦闘自体はスタミナ管理よりも、攻撃の連携や武器の使い分けに重心がある。

つまり、本作はソウルライクの特徴を部分的に持ちながらも、より高速で攻撃的なアクションRPGを目指した作品だ。

難易度は4種類。初心者でも遊べる?

製品版では、次の難易度が確認されている。

難易度特徴
初陣者アクション初心者向け
窮地を切り抜けし者標準的な難易度
逆天者高難度の戦闘を求める人向け
六十六日2周目限定。死亡66回でゲームオーバーとなる特殊モード

通常の3難易度は途中変更が可能。どうしても勝てないボスに遭遇した場合、難易度を下げて先へ進む選択肢がある。

また、複数形態を持つボスでは、第二形態で死亡した場合にその段階から再挑戦できる仕組みが確認されている。

最初の形態を毎回やり直さなくてもよい点は快適だ。反面、すべての形態を一度に突破する高揚感を求める人には、物足りなさが残る可能性もある。

標準難易度でもパリィや回避の判断が重要になるため、初心者向けに設定できるからといって、ボタンを押しているだけで進められる作品ではない。

しかし、難易度を選べること、死亡時の損失が少ないこと、再挑戦の負担が軽いことを考えると、厳しいソウルライク作品よりは入りやすい設計だ。

探索と育成は面白い?寄り道が戦闘の幅を広げる

『Phantom Blade Zero』は完全なオープンワールドではなく、複数のエリアを探索しながら進む構造を採用している。

メインルートには一定の方向性があるが、そこから分かれる道、隠された場所、サイドクエスト、追加のボス戦なども用意されている。

本作の探索が優れているのは、寄り道の報酬が戦闘に直結しやすいところだ。

倒した強敵から新しい武器を入手し、素材を集めて強化する。手に入れた装備がこれまでの戦闘スタイルを変えれば、次のボス戦も違う感覚で楽しめるようになる。

探索、育成、戦闘が別々の要素として存在するのではなく、互いに新しい楽しさを生み出している。

また、ファントムエッジの中には、戦闘以外の場面で新しい経路を開くために使用するものもある。

そのため、以前通った場所へ戻ることにも意味がある。初回では入れなかった場所を見つけたり、後から新しい発見が生まれたりする仕組みだ。

ただし、ここでも手放しには褒められない。

メインルートは比較的直線的で、探索できる範囲が広く感じられる場面と、進行方向が限定される場面の差がある。

また、すべてのサイドクエストに同じだけの魅力があるわけではない。報酬を得るための作業に近く感じられるものや、目的地への移動が面倒になる場面もある。

隠しボスや新しい装備を発見する楽しさは強いが、世界そのものを自由に旅する開放感を求めると、期待とは少し異なるだろう。

探索の価値は、広さよりも戦闘への見返りにある。これが本作の構造を最も分かりやすく表している。

ストーリーは面白い?世界観は魅力的だが、語り方には弱点がある

主人公は、組織の主君を殺害したという濡れ衣を着せられた剣士「ソウル」。

致命的な傷を負った彼は、特殊な心臓によって生き延びるものの、残された命は66日しかない。

自らの無実を証明し、背後にある陰謀を暴くため、追っ手との戦いに身を投じていく。

この導入は非常に分かりやすい。裏切り、復讐、余命、謎に包まれた組織。主人公がなぜ戦うのかという動機は、序盤から十分に提示されている。

世界観も魅力的だ。

中国の武侠物語を下敷きにしながら、機械の義肢、奇怪な武器、異様な建造物、超人的な武術が混ざり合う。

開発側が「カンフーパンク」と呼ぶその表現には、ほかのファンタジー作品では味わいにくい独特の迫力がある。

問題は、魅力的な設定をプレイヤーへどう伝えるかだ。

物語では過去の出来事や人物関係が複数の形で語られ、回想や説明の分量も多い。すべてを追いかけながら理解するには、相応の集中力が求められる。

戦闘のテンポが極めて速いゲームだからこそ、物語の説明に入ったときの落差も大きく感じられやすい。

日本語版では、武侠の世界観に由来する固有名詞や難読漢字も多い。字幕が日本語に対応していても、人物名や組織名を一度で覚えられるとは限らない。

さらに、物語の掘り下げには探索や追加要素が関係しており、メインルートを追うだけでは分かりにくい部分もある。

この構成を、世界を深く知る楽しみと受け止める人もいるだろう。反対に、重要な情報が分散していることで物語への没入感が薄れると感じる人もいるはずだ。

だからこそ、世界観とストーリーを同じ評価にはできない。

世界の見せ方には強烈な個性がある。しかし、物語を理解させる巧みさまで一級品とは言い切れない。

今回の総合スコアで、戦闘に比べて物語の得点を大きく下げた理由はここにある。

なお、主人公の余命66日は物語上の設定であり、通常のゲーム進行が現実時間の66日で終了するという意味ではない。死亡回数が制限される「六十六日」モードとも区別する必要がある。

PS5 Proで快適に動く?グラフィックとフレームレートを検証

『Phantom Blade Zero』はUnreal Engine 5で制作されており、PS5 Pro Enhancedにも対応している。

映像の見どころは、人物や建造物の精細さだけではない。素早い剣戟、雨や炎などのエフェクト、奇怪な敵の動きが重なることで、武侠映画のような画面を作り出している。

ただし、映像の迫力と動作の安定性は別問題だ。

PS5 Proでも処理落ちが報告されている

PS5 Proを使用した製品版レビューでは、パフォーマンス優先設定で60fpsを目標とした動作が報告されている。

通常の戦闘や探索ではおおむね滑らかに動くという評価がある一方、ボス戦やエフェクトが集中する場面ではフレームレートが低下するという指摘もある。

また、一部のレビューでは効果音が不自然に大きくなる、台詞がBGMに埋もれるなど、音響バランスの問題も報告されている。

本作のようにパリィのタイミングが重要なゲームでは、フレームレートの不安定さが操作感に与える影響も無視できない。

攻撃の予備動作を見てから反応する場面で映像が乱れれば、敵の攻撃を読み切る楽しさを損なう可能性がある。

グラフィック優先、バランス、パフォーマンス優先といった設定の違いも製品版レビューで報告されている。バランス設定では40fps動作への言及があるが、すべてのモードについて同じ条件で測定した詳細な比較結果が揃っているわけではない。

したがって、PS5 Pro Enhanced対応という表示だけで「常時60fpsを維持する」と判断するべきではない。

また、発売日前のレビューで報告された不具合が、発売時のアップデートで改善される可能性もある。反対に、改善内容が確認されていない問題を、すでに解消されたものとして評価することもできない。

現時点の評価としては、PS5 Proでも迫力ある映像と高速戦闘を楽しめる一方、動作の安定性には減点が必要という判断になる。

PS5通常版とPC版の違い

通常PS5でも、パフォーマンス重視の設定で60fpsを目標とした動作が報告されている。ただし、画質設定や高負荷時の挙動をPS5 Proと完全に同じ条件で比較した定量資料は十分ではない。

PC版ではDLSS、FSR、XeSSなどのアップスケーリング技術に対応している。

公式の最低・推奨動作環境は次のとおりだ。

項目最低動作環境推奨動作環境
OSWindows 10/11 64bitWindows 10/11 64bit
CPUCore i7-8700K/Ryzen 5 3600Core i5-10600K/Ryzen 5 5600X
GPUGTX 1660 6GB/RX 5500 XT 8GBRTX 3060 Ti 8GB/RX 6700 XT 12GB
メモリ16GB16GB
想定動作1080p/30fps1440p/60fps
ストレージSSD必須SSD必須

※解像度とフレームレートは、アップスケーリング有効時の公式想定値。すべての場面での維持を保証する数値ではありません。

レイトレーシングを利用する場合にはRTX 5060、4KパストレーシングではRTX 5080を推奨するなど、最高画質設定の要求は高い。

PCでプレイするなら、まずはフレームレートを優先した設定から調整した方がよいだろう。

なお、Steam版にはDenuvoが導入されている。PC版の購入を検討する場合は、動作環境だけでなく、この点も確認しておきたい。

最新の動作環境は『Phantom Blade Zero』公式PCシステム要件で確認できる。

SEKIRO・仁王・Devil May Cryとの違いは?

『Phantom Blade Zero』の面白さを理解するには、ほかのアクションゲームとの比較が役に立つ。

まず『SEKIRO』に近いのは、敵の攻撃を受け流し、体勢を崩して反撃する駆け引きだ。

ただし、『SEKIRO』が弾きの精度と敵の攻撃を読む技術に強い比重を置くのに対し、本作は武器切り替えや特殊技、育成によって戦い方を変える余地が大きい。

『仁王』に近いのは、装備や能力構築を通じて攻略方法を変えられる部分だ。ただし、本作は武侠映画の殺陣を成立させることに強い個性があり、装備を試す楽しさも攻撃モーションの変化と結びついている。

『Devil May Cry』や『NINJA GAIDEN』と共通するのは、高速なコンボとアクションの迫力。しかし、本作では敵のゲージを削って大きな攻撃機会を作ることが重要であり、攻め続ければよいという単純な構造ではない。

『黒神話:悟空』とは、中国文化に由来する世界観や、独特の美術、ボス戦の密度などで比較しやすい。ただし、本作はより武侠的な対人剣戟と、武器による戦術の変化を前面に押し出している。

ここから分かるのは、『Phantom Blade Zero』がまったく新しい戦闘ジャンルを発明した作品ではないということだ。

パリィも、武器切り替えも、ゲージを削る戦闘も、それぞれ既存作品に前例がある。

しかし、それらを組み合わせ、カンフー映画のような超人的な動きをプレイヤー自身が操作できる戦闘へまとめ上げたことに、本作ならではの価値がある。

クリアまで何時間?長く楽しめるゲームなのか

製品版レビューでは、メインストーリーのクリアに25〜30時間程度、探索や追加のボス戦を含めると40〜45時間程度という報告がある。

別のレビューでは約40時間を費やしており、寄り道の量や難易度、アクションへの習熟度によってプレイ時間に差が出ることが分かる。

ゲーム内には複数のエンディングに関係する追加条件や、2周目向けの高難度モードも用意されている。

ただし、長時間遊べること自体が高評価の理由になるわけではない。

通常敵との戦闘が反復的になる場面もあり、すべての寄り道が最後まで新鮮というわけではない。

それでも、新しい武器を入手して戦い方を試すことが好きな人なら、メインストーリーだけで終わらせるのは惜しい作品だ。

目安としてはメイン中心で25〜30時間、寄り道も楽しむなら40時間以上。本作のプレイ時間は、戦闘システムをどこまで楽しめるかによって価値が変わる。

通常版8,580円を払う価値はある?デラックス版との違い

PS5通常版の価格は8,580円(税込)。デジタルデラックス版は9,980円(税込)で、差額は1,400円となっている。

デラックス版では、限定スキン「武林伝説」「血鉄の魔躯」に加えて、デジタルアートブックとサウンドトラックが付属する。

一方、ゲーム本編の内容は共通だ。

予約特典のアクセサリー「聚宝盆」と衣装「伝承」は、ゲームを進めることでも入手できる早期解除特典であり、予約しなければ永久に入手できないアイテムではない。

そのため、ゲームとしての購入価値だけを考えるなら通常版で十分だろう。

問題は、8,580円という価格に作品の完成度が見合っているかだ。

戦闘を中心に考えれば、かなり魅力的な価格設定だと思う。25〜30時間の本編に加え、隠しボスや新しい武器の収集、追加の挑戦まで楽しめる。

とりわけ、コンボや武器の組み合わせを自分で研究することが好きな人なら、長く遊べる余地がある。

しかし、物語を重視する人や、探索型RPGとして広大な世界を自由に歩きたい人にとって、同じ価格が十分に満足できるものになるとは限らない。

また、PS5 Proでの安定した動作を最優先する場合は、発売後のアップデート情報も購入判断に関係する。

結局、本作の価格に納得できるかどうかは、アクションへの期待の大きさで決まる。

武器を切り替え、敵の攻撃を受け流し、新たな強敵に挑むこと自体を楽しめるなら、8,580円を支払う価値は十分にある。

購入前にはPlayStation Storeの公式商品ページで、価格やエディションの内容を確認できる。

忖度なし評価|長所と欠点を踏まえた総合85点

ここまで確認してきた内容を踏まえ、つぶログの総合評価を85点とする。

戦闘を中心とした作品であるため、操作感と戦闘システム、ボス戦に大きく配点した。一方で、物語や探索、技術面の問題も作品全体の満足度に関わるため、明確に減点している。

評価項目配点得点
戦闘・操作感3029
ボス戦・バランス2018
探索・成長要素1512
ストーリー・人物描写106
映像・演出・音楽109
快適性・技術的完成度107
独自性・満足感・価格54
総合スコア10085

戦闘・操作感:29/30点

本作最大の強み。防御と攻撃の自然な連携、武器によるコンボの変化、殺気ゲージを利用した反撃、特殊武器の個性が非常に高い水準でまとまっている。

戦闘システムそのものの発明というより、既存の要素を独自の高速アクションへまとめ上げた点を評価した。

ボス戦・バランス:18/20点

ボスの種類、攻撃パターン、複数形態の演出は優秀。武器の使い分けも攻略に意味を持つ。

ただし、パリィ連打で対処できてしまう攻撃や、一部の戦闘でテンポが落ちる点は減点。すべての攻防が理想的というわけではない。

探索・成長要素:12/15点

隠しボス、新しい武器、強化素材など、寄り道の報酬が戦闘に還元される構造は魅力的。

一方で、メインルートの直線性やサイドクエストの内容には弱さがある。探索型アクションとして高水準だが、世界の自由度そのものを評価するなら満点には遠い。

ストーリー・人物描写:6/10点

余命66日、濡れ衣、復讐、武林の陰謀という導入は魅力的だが、時系列の扱いや説明の多さ、人物関係の分かりにくさが足を引っ張る。

物語への評価は分かれるものの、戦闘ほど安定して高い完成度とは判断できなかった。

映像・演出・音楽:9/10点

武侠と機械文明を融合した世界観、独特の敵デザイン、殺陣の迫力は非常に高い完成度。

音楽も作品の個性を強めている一方、音響バランスの問題が報告されているため、無条件の満点とはしない。

快適性・技術的完成度:7/10点

死亡時の損失が少なく、難易度変更や武器育成の振り直しもできるなど、ゲームシステム上の快適性は優秀だ。

しかし、PS5 Proでの処理落ちや音響問題など、技術面には改善の余地がある。高速戦闘を中心とした作品だけに、この減点は小さくない。

独自性・満足感・価格:4/5点

8,580円で25〜30時間程度の本編に加え、豊富な隠しボスや武器の試行錯誤まで楽しめる。アクション好きには十分な購入価値がある。

ただし、物語や探索を重視する人には好みが分かれるため、万人向けの高コストパフォーマンス作品とまでは評価しない。

なぜ90点ではないのか?85点とした理由

『Phantom Blade Zero』の戦闘だけを見れば、90点以上の評価を与えたくなるだけの魅力がある。

しかし、作品全体を評価するなら、それだけで十分とは言えない。

戦闘が素晴らしいからこそ、物語の説明でテンポが落ちる場面や、探索の単調さ、動作の不安定さが目立つ。

とりわけ、作品の主役である戦闘そのものにも、敵の攻撃を見切る実感が弱くなる場面があることは重要だ。

90点級の作品には、中心となるゲーム体験の完成度に加え、その魅力を支える周辺要素にも高い水準を求めたい。

一方、80点前後まで下げるほど全体の完成度が低いわけでもない。

武器の個性、攻防のつながり、ボス戦のバリエーション、育成の柔軟さなど、本作の中心部分には明確な強みがある。長時間のプレイを通して戦闘を高く評価する完成版レビューが複数存在することも、その判断を支えている。

つぶログで評価した同じ2026年の高難度アクション作品『SAROS』の忖度なしレビューでは、弾幕を見切る戦闘の魅力を評価しながら、繰り返しや疲労感も踏まえて81点とした。

『Phantom Blade Zero』は、武器ごとに戦い方が変わる幅広さやボス戦の個性が強く、戦闘を長時間楽しむ仕組みではさらに高く評価できる。

ただし、両者は戦闘ジャンルもゲーム構造も異なるため、単純な優劣ではない。

最高級の戦闘体験を備えているが、物語と技術的な完成度に明確な課題が残る。この評価を最もよく表すのが85点だ。

おすすめできる人・おすすめしにくい人

強くおすすめできる人

  • パリィや回避から反撃へつなぐアクションが好きな人
  • 武器ごとのコンボや特殊技を研究するのが好きな人
  • 印象に残る強敵とのボス戦を重視する人
  • 中国武侠映画のような高速の殺陣に魅力を感じる人
  • 高難度に挑戦したいが、死亡時の大きなペナルティは避けたい人

おすすめしにくい人

  • 複雑な人物関係や難読漢字の多い物語が苦手な人
  • 戦闘よりも、広大な世界の自由な探索を優先する人
  • 通常敵との反復戦闘に飽きやすい人
  • アクションの難易度やタイミング操作そのものが苦手な人
  • 発売直後からPS5 Proで完全に安定した動作を求める人

本作は難易度を変更できるため、高難度アクションが得意な人だけの作品ではない。

しかし、何を楽しむゲームなのかは明確だ。

主人公の技を使いこなし、敵の攻撃を受け流し、新しい武器を試す。その繰り返しに楽しさを感じられるかどうかが、購入後の満足度を大きく左右するだろう。

総評|武侠アクションとして非常に優秀。だが、欠点も隠せない

『Phantom Blade Zero』の長髪の剣士が、雪の舞う中で紫色に光る機械仕掛けの心臓を手にするシーン

『Phantom Blade Zero』の魅力は、何よりも戦うこと自体の気持ちよさにある。

敵の連撃を受け流し、殺気ゲージを崩し、武器を切り替えて反撃する。倒した強敵から新しい技を手に入れれば、今度はその技を自分のものにできる。

こうした仕組みが組み合わさり、武侠映画のような戦闘を自分の操作で成立させるという魅力を生み出している。

ボス戦にも強烈な個性があり、新しい武器を手に入れる楽しさも大きい。アクションRPGとしての中心部分は、非常によく作り込まれている。

一方、物語の語り方には分かりにくさがあり、探索の構造にも制約がある。PS5 Proでも処理落ちや音響面の問題が報告されており、技術的な完成度を無条件に高く評価することはできない。

だからこそ、総合85点という評価になった。

2026年を代表するアクション作品の有力候補であることは間違いない。しかし、年間最高傑作と呼ぶには、戦闘以外の完成度にも厳しい目を向ける必要がある。

『Phantom Blade Zero』は、すべてが完璧なゲームではない。それでも、この戦闘を楽しむために購入したいと思わせるだけの力がある。

武器を振るうことそのものが楽しいアクションゲームを探しているなら、有力な選択肢になる一本だ。

※価格・仕様・発売情報は2026年10月28日時点。発売後のアップデートや技術的な改善によって、動作状況が変わる可能性があります。

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