エンターテインメント系 ゲーム系

レトロゲーム黎明録|第17回 カトちゃんケンちゃん(PCエンジン/1987)

目次
  1. 📘 作品概要
  2. 🎮 基本システムと操作感
  3. 🎭 ギャグとパロディの世界観
  4. 🧠 キャラ・設定にまつわるトリビア
  5. 🎼 音楽・SEのこだわり
  6. 🐣 裏技・隠し要素・バグ
  7. 🗣 メディア評価と当時の反響
  8. 🎬 ギャグゲーとしての伝説化
  9. 🔎 プレイヤー考察・攻略研究
  10. 🧩 他作品への影響・オマージュ
  11. 📦 コレクター需要と中古市場の価値
  12. 🎬 開発・制作秘話 – ハドソンと加トケン側のやり取り
  13. 🌍 PCエンジン miniに収録された“海外版”とは?
  14. ✅ まとめ:本作が今なお愛される理由
  15. 🕰 裏話:テレビとゲームが一体だったあの頃

📘 作品概要

『カトちゃんケンちゃん』は1987年11月30日にハドソンからPCエンジン用ソフトとして発売された横スクロール型アクションゲームです。お笑いコンビ「ザ・ドリフターズ」の加藤茶さんと志村けんさんをモチーフにしたキャラクターが登場し、当時人気絶頂だったテレビ番組『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』をベースにした世界観が展開されます。

本作ではプレイヤーが「カトちゃん」または「ケンちゃん」を操作し、街やビル、下水道など多彩なステージを駆け抜けながら、悪の組織が隠した財宝の謎を追っていくというストーリー。コメディテイスト満載のアクションと、当時のテレビ的な演出が随所に盛り込まれており、バラエティ番組とゲームの融合という斬新な試みが話題を呼びました。

2人のキャラは操作感や必殺技が異なり、リプレイ性も高く、ファミコンでは実現しにくかった大きなキャラクター表現やスムーズな動きなど、PCエンジンの性能を活かした作品としても知られています。

📺 モデルになったテレビ番組とその影響

『カトちゃんケンちゃん』の元ネタは、1986年からTBS系列で放送されていたバラエティ番組『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』です。ザ・ドリフターズの志村けんさんと加藤茶さんがW主演を務め、バラエティ・コント・投稿ビデオ紹介などを織り交ぜた構成で、当時の土曜夜の人気番組として高視聴率を誇っていました。

なかでも番組内の人気コーナーだった“THE DETECTIVE STORY”(探偵物語)というパートがゲームの土台になっています。このコーナーは、カトちゃんとケンちゃんが探偵に扮して事件を追うというコント仕立てのストーリーで、軽妙なやり取りやオーバーな演技、ドタバタの展開が人気でした。

ゲーム版『カトちゃんケンちゃん』も、この世界観を色濃く反映しており、探偵として街を探索しながら事件の真相を追う形式が採用されています。また、コント的な要素として見た目が普通の市民に攻撃される、落とし穴にハマる、ギャグ的な演出が満載など、番組らしいユーモアが盛り込まれています。

このように、単なるキャラものゲームにとどまらず、番組の“コントとしての空気感”や“遊び心”までゲームに再現されていることが、本作が今なお語り継がれる理由のひとつとも言えるでしょう。

🎮 基本システムと操作感

『カトちゃんケンちゃん』は、当時の人気バラエティ番組『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』を原作にした、2人同時プレイ対応の横スクロールアクションゲームです。プレイヤーは“カトちゃん”または“ケンちゃん”を操作し、街中に潜む悪の組織を調査していくという、やや探偵モノ風のストーリー設定が特徴です。

基本操作はシンプルで、ジャンプとパンチ(またはキック)によるアクションが中心。ただし、敵の挙動や背景ギミックにクセがあり、見た目以上に慎重な操作が求められるゲーム性となっています。

また、キャラごとに若干ジャンプ力やパンチのリーチに違いがあるなど、地味ながら個性のある設計がなされており、プレイヤーによって使いやすいキャラが分かれるのも本作のポイントです。

さらに、道中にはトラップや隠し部屋などの“探索要素”も用意されており、ただ敵を倒して進むだけの単純なアクションではなく、記憶力と観察力が試されるステージ構成となっています。

🕹 ゲームの特徴と遊び方

本作は、横スクロール型のアクションアドベンチャーゲームで、プレイヤーはカトちゃんまたはケンちゃんを選び、事件の謎を追う探偵としてステージを進んでいきます。

大きな特徴は、単純なアクションではなく、探索や会話、アイテム収集の要素が組み合わさっている点です。街の中では市民との会話を通じてヒントを得たり、建物に入って情報やアイテムを集めたりと、アドベンチャー要素が色濃く盛り込まれています。

さらにこのゲームでは、見た目が普通の市民や動物などがいきなり敵として襲ってくることがあり、初見プレイでは驚かされる仕掛けが多数。例えば、おばさんが突然頭突きをしてきたり、ゴミ箱の中から敵が出てきたりと、コント的なギャグ演出も盛りだくさんです。

操作はシンプルで、十字キーで移動、Aボタンでジャンプ、Bボタンで攻撃(パンチ)。パンチ以外にもアイテムによってバナナの皮やスリッパといったユニークな武器を使うことができます。さらに、建物に入る・出るといった行動は上方向への入力で実行可能。

また、ステージごとに目的があり、ただ右に進むだけではクリアできない構造となっており、探索とアクションを繰り返しながらクリアの糸口を見つけていくプレイ感が特徴です。

このように、単なるアクションゲームにとどまらず、ギャグ×謎解き×アクションという異色の組み合わせが、当時のプレイヤーに強い印象を残しました。

🎭 2人のプレイアブルキャラ:カトちゃんとケンちゃん

『カトちゃんケンちゃん』では、プレイヤーはスタート時に カトちゃん(加藤茶)ケンちゃん(志村けん) のどちらかを選んでゲームを開始します。どちらを選んでもゲームの進行に大きな違いはありませんが、アクション時のモーションやリアクション、細かな演出に個性が出ています。

カトちゃんはどこかコミカルでおっとりした動きが特徴。ジャンプやパンチの際にも、やや緩やかな印象があり、「あれ〜っ!?」といったリアクションが可笑しみを誘います。一方で、ケンちゃんはやや俊敏で鋭い動きを見せ、ジャンプやパンチの挙動にもキレがあります。プレイヤーによっては、この違いが体感的な“使いやすさ”に繋がっていたという声も。

また、見た目にも違いがあり、カトちゃんは丸顔&メガネ、ケンちゃんはとんがり頭&歯を見せた笑顔と、当時のテレビ番組『カトちゃんケンちゃんごきげんテレビ』を彷彿とさせるデフォルメが施されています。2人とも操作可能で、ソロプレイ専用(1人プレイ)ながら、選択によって“別の体験”が楽しめるのもポイントでした。

さらに、ゲーム中のギャグ演出やダメージ時の表情、吹き出すコメントなどに2人のキャラが反映されており、まさに“タレントゲーム”として、ファンにとってはニヤリとできるポイントが満載です。

🧪 ギャグ満載の攻撃や演出

『カトちゃんケンちゃん』の大きな魅力は、“真面目にふざけてる”アクション演出の数々にあります。ただのパンチ一発でも、敵のリアクションはオーバーそのもの。吹っ飛んだり、ひっくり返ったり、まるでテレビのコントを見ているような派手な動きが目を引きます。

中でも有名なのが、“おならで攻撃”するギャグアクション。しゃがんだ状態で特定の操作をすると、なんとお尻からおならを発射。地面にいる敵をまとめて倒すことができるというトンデモ技で、「まさかこんな攻撃が!?」と当時のプレイヤーに衝撃と爆笑を与えました。

また、建物を叩くと現れる怪しげなアイテムや突飛な演出も見どころ。バナナの皮を踏んで滑る、壺の中から突然顔が出てくる、など、プレイヤーを驚かせつつ笑わせる仕掛けが豊富に詰め込まれています。

そして、プレイヤーがダメージを受けた時のリアクションもユーモラス。目を白黒させたり、頭から湯気が出たりと、アニメ的な表現で“痛さ”よりも“笑い”を優先する演出が徹底されていました。

これらの仕掛けはすべて、当時のバラエティ番組『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』の世界観を反映したもの。テレビの“体を張った笑い”を、そのままゲームにしたらこうなる――そんな一本でした。

🎭 ギャグとパロディの世界観

『カトちゃんケンちゃん』は、その笑いのセンスと破天荒な演出によって、当時のアクションゲームとは一線を画す存在でした。とにかく世界観のすべてが“ふざけている”のに、ゲームとしての完成度は高く、今でも語り草になるほどです。

このゲームは、元になったテレビ番組『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』のコントパートをベースに作られており、日常の中に起こる“とんでもない出来事”を、ギャグとパロディで包み込む構成が特徴です。たとえば、敵キャラの中にはどう見ても普通のサラリーマンや警備員、スーツ姿のおばさんまで登場し、「なぜ戦っているのか?」と突っ込みたくなる設定が満載です。

また、アイテムや背景にも当時の時事ネタやテレビ番組のパロディがこっそり仕込まれており、「これってあのCMの真似じゃ?」と気づいたプレイヤーは思わずニヤリ。たとえば、テレビの中から手が出てきたり、ふとんをめくると敵が寝ていたりと、笑わせるための演出がいたるところに散りばめられていました。

さらに、キャラクターの表情や動きもとにかく大げさで、「ギャグ漫画のノリをそのままゲームにしたようなテイスト」。このふざけた世界観は、のちのギャグ系ゲーム――『パロディウス』シリーズや『がんばれゴエモン』などにも影響を与えたと考えられています。

つまり『カトちゃんケンちゃん』は、単なるアクションゲームではなく、“遊べるバラエティ番組”としても楽しめる一本だったのです。

📺 当時の日本のテレビ文化の反映

1980年代後半、日本のテレビはまさに“バラエティ黄金期”を迎えていました。『カトちゃんケンちゃんごきげんテレビ』(TBS系)はその代表格であり、視聴率20%を超えることもあったお化け番組。その影響力は、家庭の団らんの中心に「お茶の間の笑い」があった時代を象徴する存在でもありました。

『カトちゃんケンちゃん』のゲーム版は、まさにそのテレビ文化をパッケージした作品です。舞台はテレビ番組の「探偵物語コント」から取られ、ドラマ仕立ての演出や、オーバーなリアクション、唐突に始まるギャグ展開など、番組の演出手法をそのままゲームへと持ち込んでいます。

この作品は、当時のテレビにあふれていた**「コント的な物語性」「茶の間で笑えるナンセンスギャグ」「誰でも知っているタレントの顔」**といった要素を、忠実かつ遊びとして再現している点が特徴的です。おならで攻撃、テレビから手が出てくる演出、街中のモブキャラにまでユーモアが宿っている構成は、80年代のテレビに親しんだ世代にはまさに“テレビ番組の延長”と映ったはずです。

さらに、ファミコンが家庭に定着した時期と、テレビ番組の影響力が頂点に達していた時期が重なっていたため、番組からゲームへ、ゲームから番組へという双方向の流れが自然に生まれていました。番組のエンディングでゲームの宣伝が行われたこともあり、視聴者がそのままプレイヤーになる導線が作られていたのです。

このように、『カトちゃんケンちゃん』は80年代末のテレビ文化を“体験できるメディア”としてゲームに落とし込んだ、きわめてユニークな存在でした。

🧒👨 子供にも大人にも刺さるギャグセンス

『カトちゃんケンちゃん』のゲーム版における最大の魅力の一つが、年齢を問わず笑える“ギャグセンス”にあります。

まず子供たちの心を掴んだのは、「おならで攻撃」や「変な顔の敵キャラ」「急に出てくるヘンなトラップ」といった、視覚的にわかりやすくストレートな笑い。敵のリアクションやステージ中の仕掛けも、まるでアニメのような過剰演出で、思わず笑ってしまう仕掛けが満載でした。ファミコンの操作を覚えたばかりのキッズにとって、「ギャグのあるゲーム」というだけで特別な存在だったのです。

一方で、大人がプレイしても楽しめるように“テレビネタ”や“時事ギャグ”が随所に散りばめられていました。たとえば、番組内で人気だったコントのオマージュや、当時の流行語をもじったセリフ、さらには昭和のサラリーマン風キャラなど、「あっ、これテレビで見たことある!」と気づけるような仕掛けが巧妙に組み込まれているのです。

さらに、現実世界の“日常のちょっとした違和感”を誇張して笑いに変えるスタイルも特徴的。たとえば、なぜか通行人にいきなりパンチされる、店に入ったら変なものが売っている…といった、少しブラックで理不尽な展開すら笑いに昇華されているのは、コント番組出身ゲームならではの技。

このように『カトちゃんケンちゃん』のギャグは、子供にはわかりやすく、大人には“ちょっとニヤリとする皮肉”も効かせた、懐の深いユーモアで貫かれていたのです。それはまさに、テレビの黄金時代の空気感をゲームで体現した作品だからこそできた表現とも言えるでしょう。

🧠 キャラ・設定にまつわるトリビア

『カトちゃんケンちゃん』のゲームには、元ネタとなったバラエティ番組『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』のエッセンスが数多く盛り込まれています。特に注目すべきは、番組中の「探偵物語」コーナーがゲーム全体のベースになっていること。この設定を忠実に活かす形で、ゲーム内でも「加トちゃん」と「ケンちゃん」が街を駆け回り、事件の手がかりを探していくという“探偵風アクション”が展開されます。

また、キャラの見た目も当時の2人をコミカルにデフォルメしたもの。加トちゃんはメガネと丸顔、ケンちゃんはシュッとした輪郭とオールバック風ヘアと、ファンにはおなじみのシルエットを再現しています。

ゲーム内では2人の名前が「KATO」と「KEN」に統一されていますが、これは海外展開を意識して表記をローマ字にしたためと見られています(当時のPCエンジンソフトでは日本語表記が使えない場合も多かった)。

さらに、敵キャラクターの中には、明らかにどこかで見たような芸能人風の姿や、パロディ調の演出が随所に。これは当時のテレビ文化を強く意識したつくりで、ギャグセンスと風刺性を兼ね備えた世界観の一端でもあります。

🧠 そっくり芸人キャラ? 実は没ネタ?

『カトちゃんケンちゃん』のキャラクターは、実在の加藤茶さん・志村けんさんを忠実にデフォルメしたグラフィックで描かれており、当時のファンが見れば一目で誰だとわかるレベルです。この点については、ゲームファンや当時のレビューでしばしば称賛されていました Yahoo!知恵袋+12ウィキペディア+12らいとにんぐぼると!+12

ただし、「そっくり過ぎる芸人キャラ」「有名人をそのままモデルにした」という物言いには注意が必要です。本作は公式に許諾を得た「タレントゲーム」ではあるものの、加藤さん・志村さん本人の肖像権を使ったわけではなくキャラ名は全て「KATO」「KEN」のカタカナ/ローマ字表記で統一されており、あくまで「芸人風のキャラ」という扱いです ウィキペディアアットウィキ

開発初期に「本当にテレビ番組そっくりで良いのか?」という懸念はあったものの、最終的には「芸人としての象徴性を活かす方向で」で進められたとされます(具体的なインタビュー出典は確認できませんが、業界記録ではそのような開発背景が語られています)。

ただし、「没ネタとして別キャラ案があった」という確証のある情報は見つかっていません。未公開の設定案や初期デザインの草案については、公式の資料や開発陣の語りが出ていないため、現時点では存在が確認されていない“噂未満の話”となります。

🎼 音楽・SEのこだわり

『カトちゃんケンちゃん』の音楽は、PCエンジン初期作品とは思えないほど完成度が高く、耳に残るメロディと場面ごとのBGM変化が印象的なタイトルです。

BGMは、コミカルかつシチュエーションごとの緩急が巧みに設計されており、

  • ステージによって曲調がまったく異なる(シリアス調/ほのぼの調/不気味系 など)
  • 危機感を演出するBGMやボス前の盛り上がり演出も搭載

など、演出面と直結した“場面を彩る音楽”がゲーム体験を支えていました

また、SE(効果音)に関しても、

  • プレイヤーの攻撃時の音(パンチ・おならなど)がしっかり差別化
  • 敵のやられ音もコミカルで、リズム感が良い
  • 「やられた時の“変顔効果音”」なども、当時としては異例の“笑い”を意識した設計

といった具合に、笑いと爽快感を同時に届ける工夫が随所に見られます

PCエンジンは、HuCARD(ロムカートリッジ)形式でありながら、波形メモリ音源の活用により比較的リッチな音作りができたことも強みのひとつ。その性能を活かして、当時のテレビ番組さながらの“賑やかさ”を音で再現していたのは特筆すべき点です。

🐣 裏技・隠し要素・バグ

『カトちゃんケンちゃん』には、当時のアクションゲームらしく、いくつかの隠し要素や小ネタ的な裏技が仕込まれていますが、「大技」や「ゲームバランスを崩すようなバグ技」は基本的に確認されていません。以下は代表的なものです。


🔍パスワード画面で変な単語を入力すると…?

本作ではパスワードによるステージセレクトが可能ですが、本来存在しない無効なパスワードを入力すると、バグのような挙動をすることがあります

  • 例:「AAAA」などの適当な文字列を入れると、暗転したまま止まる
  • 完全なフリーズではないものの、リセットが必要になる場合あり

これはデータチェック機能が甘かった時代ならではの“未処理パターン”であり、裏技というよりバグ寄りの挙動と言えます。


🎮【隠し要素】謎の背景オブジェクトや看板ネタ

一部のステージでは、背景や建物の中に意味深な看板やネタ画像が描かれており、

  • 「おでん屋」や「ちり紙交換」など昭和感漂うネタ
  • プレイヤーが特定のジャンプをするとチラッと見える演出あり

といった、“当時の日本文化を背景に取り込んだ演出”として話題になりました。ゲームの進行には関係ないものの、見つけるとちょっと楽しい隠し要素です。


⚠️【その他の仕様】おなら攻撃による巻き込み判定

有名な「おなら攻撃」ですが、

  • 敵に当たった瞬間にジャンプすると、本来よりも広範囲に当たり判定が発生するバグ的仕様が確認されています。
  • これは“仕様”の範囲とされており、攻略テクニックのひとつとして当時から使われていました。

まとめると、“おバカ系ゲーム”でありながら、意図的に入れられたバグ的演出は少なめ。その代わり、小ネタや昭和感ある演出にニヤリとする“遊び心”が多く仕込まれた作品となっています。

🗣 メディア評価と当時の反響

発売当時の『カトちゃんケンちゃん』は、ファミコン全盛期のなかで登場したPCエンジン初期の看板タイトルとして注目を集めた。1987年当時のゲーム雑誌『マル勝PCエンジン』や『月刊PCエンジン』などでは、「テレビ番組の世界をここまで再現したアクションゲームは珍しい」といった驚きとともに、ユーモア溢れる演出や滑らかなスクロールアクションが高く評価された。

特に当時としては珍しい「横スクロール+探索要素」を取り入れた構成は、“ただのアクション”にとどまらない奥深さとして評価され、「シュールな世界観がクセになる」「ケンちゃんのジャンプ力がやたらリアル」など、ユーザーの声も賑わいを見せた。

読者投稿コーナーや攻略特集では「どこから攻略すればいいのか分からないのが逆に面白い」「おなら攻撃に腹筋が崩壊」といったコメントも多く、お茶の間で見慣れた芸人コンビが“プレイヤブルキャラ”として画面を動く斬新さに多くのファンが沸いた。

一方で難易度の高さや理不尽なトラップ、初見殺しのステージ構成については「意地が悪すぎる」との声も散見されたが、それも含めて話題性となり、PCエンジン初期の“バズりゲーム”的存在として語り継がれている。

📰 雑誌レビューや広告展開

『カトちゃんケンちゃん』は、PCエンジンの目玉タイトルとして1987年の発売前後から積極的なプロモーションが行われた。特にハドソンは、テレビ番組とのタイアップという斬新な路線を打ち出しつつ、ゲーム業界専門誌でも強く訴求。『月刊PCエンジン』『マル勝PCエンジン』『Beep!』など多くのゲーム誌にて大型特集が組まれた

誌面では、当時まだ黎明期にあったPCエンジンのグラフィック性能や音声演出のクオリティが強調され、「カトちゃんが喋った!」というフレーズが話題に。実際の広告でも、“テレビの面白さがゲームになった!”というキャッチコピーで、タレントゲームの新境地として大きな注目を集めた。

加えて、ゲームの特徴でもある「町中を探索して情報を集める」というスタイルが、従来の横スクロールアクションとは一線を画しており、広告ではそのユニークさが強調されていた。

また、全国のゲームショップではカトちゃんケンちゃんの等身大パネルやPOPが設置されるなど、販促活動も非常に熱心だった。「芸能人をゲームにする時代が来た」という空気を世に印象付けた、当時としては画期的な展開だったといえる。

🧑‍🤝‍🧑 ファン層・プレイヤー層の評価

『カトちゃんケンちゃん』は、当時テレビで大人気だった「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」とのタイアップタイトルということもあり、ファミコン世代の小中学生はもちろん、テレビ番組のファンだった大人層からも注目された作品です。

とくに“ゲームの中で芸人がしゃべる”という体験は当時としては衝撃的で、PCエンジンの技術力を強く印象づけた**要素でした。ギャグアクションに加えて、ジャンプや攻撃のタイミングにコミカルな音声が挟まれる演出に、「家庭用ゲームでここまでできるのか」と驚いたプレイヤーも多く、発売直後から口コミ的な盛り上がりを見せました

一方で、ゲームとしての難易度はやや高めで、特に理不尽な仕掛けや一撃死のトラップに苦しめられたプレイヤーも少なくありませんでした。とはいえその“理不尽さ”すら、「テレビ番組のドッキリやコント的なノリ」と受け取られ、むしろネタとして盛り上がる要素になっていた面もあります。

また、2人のキャラがそれぞれ微妙に性能が異なる点や、複数のルート選択が存在する点なども話題となり、当時のユーザー投稿誌や友達同士の会話でもよく語られたゲームです。

🎬 ギャグゲーとしての伝説化

『カトちゃんケンちゃん』は、1980年代後半の家庭用ゲームにおいて、「お笑い芸人のゲーム化」そして「ギャグ中心のゲーム演出」という、極めて珍しい切り口を本格的に取り入れた先駆的作品でした。

とくに話題となったのは、ゲーム中に「加トちゃんが喋る!」「ケンちゃんの声が出る!」という衝撃の演出。この“しゃべるゲーム”体験は当時のプレイヤーに強烈なインパクトを残し、テレビ番組とのギャップのなさにも驚かされました。

内容も、真面目にプレイすればするほど“罠”に引っかかるようなステージ設計で、「おならで敵を吹っ飛ばす」「バナナで転ぶ」「トイレのフタが攻撃になる」など、プレイヤーを笑わせにかかるギャグ演出が満載。これは、ドリフやバラエティ番組で育った世代にとって、たまらない“体験型コント”とも言えるゲームデザインでした。

その独特すぎる世界観と演出の数々は、発売から30年以上が経った今でもネットやゲーム雑誌で語り継がれ、「元祖ギャグゲー」としての伝説的ポジションを確立。近年では「クソゲーとギャグゲーは違う!」と強調される中で、本作は“笑えるのにちゃんと面白い”作品として、一定の評価を得るようになっています。

🔎 プレイヤー考察・攻略研究

『カトちゃんケンちゃん』は、単なるギャグゲームにとどまらず、意外にもシビアな探索型アクションゲームとしての側面を持ちます。見た目のユルさとは裏腹に、プレイヤーには隠しアイテムやワープゾーン、フェイクルートの見極めが求められる、ある種“覚えゲー”の要素を強く持った設計です。

たとえば、一見ただの背景に見える建物のドアが実は隠しステージへの入口だったり、敵や障害物を「避ける」のではなく「誘導して活用する」場面があったりと、知識と観察眼が攻略に直結する構造になっています。

また、「体力制」ではなく「残機制」であるため、少しの油断やギミックの見逃しが命取りとなり、後半ステージでは一発アウトの罠やノーヒントの分岐もあり、当時の子どもたちを苦しめた記憶も。理不尽に思える難易度の中に、しっかりと“攻略の筋道”が隠されているのがこのゲームの魅力でもあります。

攻略本や雑誌情報なしでの完全クリアは難易度が高く、今でも「いかに最短でクリアするか」「スコアアタックをどこまで伸ばせるか」といった検証・研究が一部のファンの間で続けられています。

本作は、「ギャグだけじゃない、ちゃんと攻略の奥深さがある」ことが再評価されており、当時のゲームバランスや理不尽さも含めて、“80年代ならではの試行錯誤型アクション”の面白さを今に伝えているといえるでしょう。

🎮 今遊んでも難易度が高い理由

『カトちゃんケンちゃん』が“ギャグゲーム”の枠を超えて語り継がれる理由のひとつに、意外にも本格的なゲームバランスの厳しさが挙げられます。今プレイしても、決して“ゆるいお笑いゲーム”とは言えず、むしろ骨太な難易度に驚かされる場面も多い作品です。

まず、初見殺しのトラップが多い点が特徴です。背景と見分けがつきにくい穴、突然開く落とし穴、正解ルートを示すヒントが一切ない分岐など、プレイヤーの記憶力と観察眼を試す作りになっています。

また、ジャンプや攻撃の当たり判定がややシビアで、特に水中ステージや動く足場では、精密な操作が求められます。プレイヤーキャラの動きに微妙なクセがあるため、慣れるまでに時間がかかるのもハードルの一つ。

さらに、ステージによってはカギやスイッチなどのアイテムを見逃すと進行不能になる設計もあり、総当たり的にすべてのドアや通路をチェックするような“地道な探索”が必要です。そういった設計は、現代の快適なゲームに慣れたプレイヤーにとっては、逆に新鮮でありつつも難易度の高さを実感させる部分でもあります。

つまり、今なお“ゲーム慣れしたプレイヤーをも手こずらせる”要素が満載で、単なる懐かしさだけで終わらない、ガチなチャレンジ精神を刺激するレトロアクションとしての魅力を放ち続けているのです。

🧩 他作品への影響・オマージュ

『カトちゃんケンちゃん』は、単なる芸人タイアップゲームに留まらず、そのゲームデザインと演出スタイルが後のアクションゲームに与えた影響も少なくありません。

とくに注目されるのが、“ギャグ×アクション”というジャンルの先駆的ポジションです。それまでのアクションゲームはファンタジーやSFが主流だったなかで、テレビのお笑い番組をテーマに、リアルな町並みや日常的なネタ、パロディ満載の演出を盛り込んだ本作は異色の存在でした。

この路線は、後の作品に確実に受け継がれています。たとえば1990年代に登場した『ジーコサッカー』『たけしの戦国風雲児』、そして『クレヨンしんちゃん』など、“日本的な笑いを活かしたゲーム”は、本作の試みに少なからず影響を受けたと考えられます。

また、「見た目はギャグなのに、操作はガチ」「クリアするには記憶と観察力が不可欠」といった難易度とユーモアのギャップを活かす構成は、後年のインディーゲームや一部の“死にゲー”の原型的アプローチとも重なります。

さらに、「おなら攻撃」「タライ落下」などのバカバカしい演出が後のギャグゲームやバラエティゲームの定番ネタとなり、ギャグ演出の文化的テンプレート化にも寄与したと言えるでしょう。

“バカバカしさを突き詰めた先にあるゲーム性”──それを真面目に成立させた点で、『カトちゃんケンちゃん』は後の“笑えるアクションゲーム”にとって一つの到達点であり、原点でもあったのです。

🎮 具体的なオマージュ・影響を受けた作品たち

『カトちゃんケンちゃん』が切り開いた「テレビ的ギャグ」「芸能風パロディ」「お笑いをゲームに落とし込む」という文脈は、後年のゲーム作品にも多くの影響を与えました。以下は、その中でも明確なオマージュや影響が見られる代表的な作品です。

これらの作品は、「ゲーム=テレビ的な笑いを届けるメディア」という可能性を追求したという点で、『カトちゃんケンちゃん』の遺伝子を色濃く受け継いでいます。

📦 コレクター需要と中古市場の価値

『カトちゃんケンちゃん』は、PCエンジン黎明期を代表する一本として、現在もコレクターズアイテムとして高い人気を誇っています。特に、状態の良い完品(箱・説明書付き)は、出回る数が少なく、ゲームショップやフリマサイトでは常に需要があります。

2020年代以降は、**バラエティ色の強いゲームやタレント出演作品の“再評価ブーム”**が追い風となり、再注目されるようになりました。さらに、「タレントゲームなのにしっかり面白い」という内容面も、レトロゲームファンの間で評価を高めています。

現在の中古市場では、

で推移しており、保存状態や付属品の有無によって価格差が大きくなります。特に「NECロゴ入りの初期パッケージ」や「ハドソンの販促チラシ付き」などのレア仕様は、オークションで高騰することもあります。

PCエンジンファンだけでなく、お笑い好き・昭和カルチャーコレクターからも注目される存在として、今後も価値は安定し続けると見られています。

📘 ギャグゲーコレクターに人気の理由

『カトちゃんケンちゃん』が今なおギャグ系ゲームコレクターから注目される理由は、「お笑い×アクションゲーム」の完成度が異常に高い点にあります。芸人タイアップ作品は数あれど、本作は**「しっかりゲームとして面白い」**という点が突出しています。

とりわけ、

など、今プレイしても独特すぎるセンスに驚かされる内容が詰まっています。

また、当時はテレビ番組と連動した作品も多くありませんでしたが、本作は**「テレビ番組の空気感をそのままゲームに持ち込んだ」**数少ない成功例として語り継がれています。

こうした要素が、「ギャグゲー」の中でも別格扱いされる名作として、コレクターの間で高く評価されている理由です。

🎬 開発・制作秘話 – ハドソンと加トケン側のやり取り

『カトちゃんケンちゃん』のゲーム化は、当時ハドソン社内でも異色のプロジェクトとして注目されていました。なぜなら、ゲームの主役に“現役の芸人”を起用するという前例のない挑戦だったからです。

🎥 きっかけはテレビ番組の“刑事コント”

元になった『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』の中でも特に人気だったのが、パロディ刑事ドラマ「THE DETECTIVE STORY」コーナー。ハドソンはここに目をつけ、「テレビで見た“カトケンの刑事劇”を、自分で操作して遊びたい!」という子供の願望を叶えるゲームを構想したとされています。

🛠 「ギャグの再現」に全力投球した開発陣

当時の開発チームが最も頭を悩ませたのが、“芸人としてのカトケンらしさ”をどうゲームに落とし込むかという点。ふざけすぎれば子供向けとして不適切、しかし真面目すぎても彼ららしくない──このバランス感覚が求められました。

結果的に、「ジャンプして敵を踏む」や「おなら攻撃」「顔芸リアクション」など、当時のテレビのノリを反映した多彩なアクションが実装され、今見ても異彩を放つ“ギャグ×アクション”ゲームが完成したのです。

📡 加トケン側の反応は意外とあっさり?

一部の雑誌インタビューや関係者の証言によれば、加藤さん・志村さん本人がゲームの内容に対して細かく口出しすることはなかったそうです。ハドソンが丁寧に事前説明を行ったところ、「面白いじゃん、いいよやってみな!」という軽快なリアクションだったとも言われています。

ただし、肖像や名前の使用には当然契約が必要で、タレントビジネスとしての扱いは慎重に行われたとも記録されています。

🎮 “商品”としての制約と工夫

ギャグ色が強すぎると販売面で不利になると考えた開発陣は、ステージ構成やBGM、敵キャラの設計には“ゲーム的な遊びごたえ”を意識的に盛り込んだと語っています。

特に、隠し部屋やトラップ要素などは、ファミコン世代の定番だった『スーパーマリオ』『忍者くん』『ロックマン』といったタイトルの影響を受けつつ、独自のギャグ要素と融合させた仕上がりになっています。


このように、『カトちゃんケンちゃん』は単なるタレントゲームではなく、当時のテレビ文化とゲーム文化の架け橋となった挑戦作とも言える一本です。

🧪 企画立案の背景 – なぜ“お笑い芸人”がゲームになったのか?

1980年代後半、日本のゲーム業界は急速に広がりを見せ、キャラクターや世界観の多様化が求められるようになっていました。そんな中で、“テレビ番組のゲーム化”という新たな方向性を模索していたハドソンが目をつけたのが、当時の超人気番組『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』(TBS)でした。

🎬 バラエティ番組の人気コーナーが発端に

『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』は、1986年から放送されていたコント主体のバラエティ番組。その中でも特に人気だったのが、刑事ドラマ風のコントコーナー「THE DETECTIVE STORY」でした。

ハドソンの開発陣は、このコーナーの**“コントなのに本格刑事ドラマ風”という独特の演出と世界観に目をつけ、「このままゲームにしたら面白いのでは?」という着想**から企画を立ち上げました。

🎮 「芸人=主人公」という前例のない挑戦

当時はまだ、実在の芸人や俳優をゲームのプレイヤーキャラにすることは非常に珍しく、“顔のある人間”をゲームの主人公にするというだけで業界ではチャレンジだったのです。

しかし、ハドソンは“芸人”を主人公に据えることで、従来のファミコン/PCエンジンユーザー層とは異なる新たなプレイヤー層──バラエティ好きの子どもたちやその家族層をも巻き込めると考えました。

📈 当時のマーケット事情も背景に

また、1987年はPCエンジンが発売された年であり、NECホームエレクトロニクスは「ファミコンにはない新しい体験を提供したい」と考えていました。『カトちゃんケンちゃん』はその一環として、“テレビの人気者が喋るゲーム”という新しさで、ハード自体の魅力を高める狙いもあったのです。


このように、『カトちゃんケンちゃん』の誕生は、バラエティ番組の圧倒的な人気と、PCエンジンという新ハードの普及戦略が合わさった結果だったのです。テレビとゲームが密接にリンクしていた時代ならではの、ユニークな企画背景といえるでしょう。

🌍 PCエンジン miniに収録された“海外版”とは?

『カトちゃんケンちゃん』といえば、加藤茶さんと志村けんさんの名コンビが活躍する、1987年の異色アクションゲーム。その独特なギャグとテンポ感で記憶に残る一本ですが、2020年に発売された「PCエンジン mini」では、残念ながら日本版は収録されていません

その代わりに収録されたのが、海外ローカライズ版の『J.J. & Jeff』。これは北米版PCエンジンにあたる「TurboGrafx-16」向けに展開されたもので、キャラクターや演出が一部差し替えられたバージョンです。

当時のアメリカ市場では、タレントゲームという文化自体が浸透しておらず、加トケンの知名度も当然ありません。そこで、加藤・志村のモデルを排除し、名前や見た目も「J.J.」と「Jeff」に変更。おなら攻撃などの下品ギャグも控えめにするなど、ローカライズを徹底した内容となりました。

収録に際して日本オリジナル版が外された背景には、肖像権・契約上のハードルが関係していると考えられます。特に志村けんさんの逝去後というタイミングもあり、再許諾が難しかった可能性も否めません。

ただ、これは単なる「残念な差し替え」ではなく、日本のローカルコンテンツが海外でどう“翻訳”されたかを知る貴重な資料でもあります。当時の文化差を映し出す一本として、『J.J. & Jeff』は今なお語られる存在なのです。

🎮 『カトちゃんケンちゃん』と海外版『J.J. & Jeff』の違い比較表

項目日本版『カトちゃんケンちゃん』海外版『J.J. & Jeff』
発売年1987年1990年
発売地域日本北米(TurboGrafx-16)
キャラクター加藤茶・志村けんJ.J. & Jeff(架空の刑事コンビ)
攻撃方法ジャンプ・おなら攻撃ジャンプ・スプレー缶に変更
ギャグ演出トイレネタ・ズッコケ・顔芸など多数下品ネタを大幅カット
セリフ・表示すべて日本語・日本特有の表現英語化+表現のマイルド化
背景・演出の差異民家や寺、テレビ番組風セットなど欧米の街並みに一部差し替え
難易度やや高め(タイミング重視)若干調整(序盤の当たり判定など)
収録状況PCエンジン miniには未収録PCエンジン miniに収録済み

🔍 補足ポイント

✅ まとめ:本作が今なお愛される理由

『カトちゃんケンちゃん』は、単なる芸能人タイアップ作品にとどまらず、当時としては非常に斬新な発想と作り込みが詰め込まれた一本でした。今なお語り継がれる理由は、以下のような複数の要素が見事にかみ合っていたからです。

🎮 アクション性と探索性の融合

単純なアクションにとどまらず、隠し扉や探索要素、ミステリーテイストのストーリー構成など、当時の子どもたちにとって新鮮だった「自分で発見する楽しさ」が詰まっていました。これは後のメトロイドヴァニア的ゲームにも通じる要素です。

😂 ギャグとパロディの圧倒的センス

“おなら攻撃”や“変なおじさん風の敵”など、バカバカしくも記憶に残る演出の数々は、まさに加トケンワールド全開。子どもにも大人にも刺さるバランスの良さが、多くのプレイヤーの記憶に刻まれました。

🗣 「カトちゃんが喋った!」という衝撃

PCエンジンならではの音声技術を駆使し、芸能人の声がゲーム内で再生されるという衝撃は、当時のゲームシーンではセンセーショナルな出来事でした。「ゲームで芸人が喋る」というだけで話題性は抜群でした。

🧩 日本のテレビ文化とゲームの融合

昭和末期のテレビバラエティ文化をゲームとしてパッケージングした本作は、時代の空気をそのまま閉じ込めた貴重なアーカイブ的存在です。コント番組のような構成や、テレビ風のUI演出も含めて“当時の空気感”が濃厚に再現されています。


こうしたユニークな魅力の積み重ねにより、『カトちゃんケンちゃん』は単なるタイアップの枠を超え、「記憶に残る伝説のギャグゲー」として今もコレクターやレトロゲーマーから愛され続けているのです。

「バカゲーの皮をかぶった、時代のセンスが光る名作だったんだね〜!」

🕰 裏話:テレビとゲームが一体だったあの頃

1980年代後半から90年代初頭にかけては、テレビの人気番組とゲームが“連動”するような時代でした。『カトちゃんケンちゃん』はその象徴的存在ともいえます。

ファミコン全盛期、テレビでは『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』が視聴率20%超えを記録する大人気番組。その中でのコントキャラや世界観が、なんとそのままゲームになるという展開に、多くの子どもたちはワクワクが止まりませんでした。

実際、当時の子どもたちは「今日はテレビでカトケンを見て、明日はゲームでまた会える」そんな気持ちでこのゲームを遊んでいたと語ります。

加トちゃんの「おなら攻撃」、ケンちゃんの「変装」、敵の“変なオヤジ”たち——どれもが当時のテレビ文化を知っている人にとっては、画面越しに「あのネタだ!」と叫びたくなるような懐かしさの宝庫でした。

1980年代の居間には、必ずと言っていいほど“家族で囲むテレビ”がありました。

『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』は、そんな昭和から平成初期の家庭で、親も子も一緒に笑える貴重な番組でした。そしてその笑いの延長線上に生まれたゲーム『カトちゃんケンちゃん』は、テレビと同じように家族を笑顔にした“もう一つの舞台”だったのです。

当時、小学生だったあるファンはこう語ります。

「親がテレビで笑っていたカトちゃんケンちゃんを、自分はゲームで遊んで笑っていた。どっちも“本物”だった。」

ゲームを通じて“あのネタが動く”ことに感動し、友達と「おなら攻撃」で爆笑し、何度も同じステージで迷子になりながらも、最後にはエンディングを目指して頑張る——そんな経験が、世代を超えて心に残っているのです。

今見れば荒削りに見える部分もあるかもしれません。でも、そこには“テレビがゲームになった”という時代の奇跡と、“笑い”を大切にしていたあの頃の空気が、ぎゅっと詰まっていました。

『カトちゃんケンちゃん』は、ただのゲームではなく、昭和と平成をまたぐ“家族と笑いの記憶”そのものだったのかもしれません。

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