- 『ドラゴンクエストXI S』忖度なしレビュー|Switch 2で再登場、2026年でも本当に名作なのか?
- まず結論|DQ11 Sは今から遊んでも面白い。ただし「欠点のない最高傑作」ではない
- 無印DQ11、DQ11 S、Switch 2版は何が違う?
- 物語の強さは今も健在|DQ11最大の武器は「長い旅を続けたくなること」
- 第三部はDQ11を完成させたのか、それまでのドラマを弱めたのか
- 仲間はシリーズでも屈指|100時間近い旅を支えられるパーティー
- 『XI S』の仲間追加ストーリーは嬉しいが、挿入位置には疑問も残る
- 戦闘は分かりやすく奥行きもある。ただ標準難易度では使い切らない
- スキルパネルとふしぎな鍛冶は、王道RPGにちょうどいい変化を加えた
- ロトゼタシアは魅力的。ただ「探索が濃いRPG」ではない
- サブクエストはメインストーリーほど強くない
- 2Dモードは豪華なおまけ以上。ただし3Dとの切り替えは気軽ではない
- 冒険の書の世界はシリーズ経験者ほど楽しい
- 最大の弱点は「長いこと」そのものではなく、100時間を支える密度にムラがあること
- 音楽はオーケストラ化で大きく改善。それでも曲の反復は気になる
- グラフィックは今でも見やすい。ただし「S=無印PS4版の完全上位互換」ではない
- Switch 2版は1080p/60fpsと1440p/30fpsに対応
- 旧Switch版をSwitch 2で遊ぶだけでも動く。では専用版は何が違う?
- Switch版所有者にはアップグレードなし、セーブデータも移行できない
- Switch 2版は誰に向いている?既存版ごとに判断すると違う
- Switch 2版が「DQ11 S最高画質版」とは限らない
- 2026年にDQ11 Sを遊ぶと、どこに古さを感じる?
- それでも今なお強いのは、「王道」を最後まで作り切ったこと
- 『ドラゴンクエストXI S』忖度なしスコア
- 総評|名作なのは間違いない。ただ「最高傑作」の一言では弱点まで消せない
『ドラゴンクエストXI S』忖度なしレビュー|Switch 2で再登場、2026年でも本当に名作なのか?
2017年に発売された『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』から約9年。2019年の『XI S』を経て、2026年9月24日にはNintendo Switch 2版が発売されました。
ただし、今回のSwitch 2版に新しい物語やキャラクターが追加されたわけではありません。ゲーム内容は従来の『XI S』と同じ。大きな変更点は、1080p/60fpsの「パフォーマンス優先モード」と1440p/30fpsの「画質優先モード」を選べるようになったことです。
そこで今回は、Switch 2版だけを採点するレビューにはしません。
長年「シリーズ最高傑作」の候補として語られてきた『ドラゴンクエストXI S』というゲームそのものを、2026年の基準で改めて評価します。
ストーリーと仲間は本当にそこまで優れているのか。100時間級の長さ、標準難易度の低さ、同じ地域への再訪、サブクエスト、そして評価の分かれる終盤まで含めても歴代上位級なのか。
そのうえで、旧Switch版を持っている人にSwitch 2版を買い直す理由があるのかも分けて見ていきます。
まず結論|DQ11 Sは今から遊んでも面白い。ただし「欠点のない最高傑作」ではない
先に大枠の評価を言えば、『ドラゴンクエストXI S』は2026年に初めて遊んでも十分に通用するRPGです。
特に強いのは、長い旅を最後まで支えられる仲間たちと、各地の小さな物語を積み重ねながら大きな本筋へつなげていく構成。古典的なコマンドRPGを巨大な作品としてまとめ上げた力は、発売から年月が経った現在でも失われていません。
ただ、「ドラクエの集大成」と「欠点の少ないRPG」は同じ意味ではありません。
標準難易度では戦闘システムを使い切らなくても進みやすく、サブクエストには古典的なおつかいが目立ちます。同じ地域を何度も訪れる構造もあり、真のエンディングまで追えば100時間前後に届くことも珍しくありません。
そして何より、物語終盤の大きな選択は今も評価が分かれる部分です。
名作と呼ばれてきた理由は分かる。それでも、つぶログで8.5以上を付ける「歴代でもかなり上位」の作品かと問われると、そこまでは届かない――これが今回の評価です。
無印DQ11、DQ11 S、Switch 2版は何が違う?
まず混同しやすい3つの世代を整理しておきます。
| 時期 | 作品 | 主な位置付け |
|---|---|---|
| 2017年 | 『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』 | PS4/ニンテンドー3DSで発売。両機種ではグラフィックや表現方法が大きく異なる |
| 2019年 | 『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S』 | Nintendo Switchで発売。ボイス、仲間の追加ストーリー、2Dモード、オーケストラ音源、各種快適化などを追加 |
| 2020年 | 『XI S』他機種版 | PS4、Xbox、PCなどへ展開。基本的なゲーム内容はSwitch版『XI S』と共通 |
| 2026年 | 『XI S』Nintendo Switch 2版 | ゲーム内容は従来版と同じ。1080p/60fps、1440p/30fpsの描画モードを追加 |
『XI S』で追加された内容はかなり多く、単なる移植ではありません。
キャラクターボイス、仲間それぞれを描く追加エピソード、3Dと2Dの両モード、オーケストラ音源、バトルスピード設定などが入り、無印版で気になったテンポや遊びやすさにも手が入っています。
一方、2026年のSwitch 2版は性格が違います。
新しいDQ11ではなく、従来の『XI S』をSwitch 2向けに描画面で最適化した商品と考えるのが正確です。
物語の強さは今も健在|DQ11最大の武器は「長い旅を続けたくなること」
『DQ11』の物語は、構造だけを見れば驚くほど王道です。
勇者の生まれ変わりである主人公が故郷を旅立ち、自分の使命を知ろうとする。ところが最初に訪れた大国で「悪魔の子」と呼ばれ、追われる立場になる。
そこから世界各地を巡り、仲間と出会い、その土地が抱える問題へ関わりながら物語が広がっていきます。
目新しい設定を次々と投入するタイプではありません。それでも長編RPGとして強いのは、大きな目的だけで100時間を引っ張ろうとせず、町や地域ごとにひとつの物語を置いているからです。
笑える話もあれば、かなり重い話もある。その積み重ねの中で仲間の過去や世界の事情が見えてくるため、「次の町へ行く」という昔ながらのRPGの進行そのものが物語になっています。
この部分は2026年に遊んでも古びていません。
中盤の大きな転換から、物語は一段強くなる
詳細は伏せますが、物語中盤では冒険の前提そのものが変わるほど大きな出来事が起こります。
ここから各キャラクターが背負うものが増え、それまで比較的明るかった冒険にも重さが出てきます。
特に優れているのは、主人公だけで世界を救う物語にしなかったこと。離れた仲間がそれぞれの場所で何を経験したのか、その経験によってどう変わったのかが、後半のドラマを支えています。
だからこそ、その後に待っている展開が本作最大の論点にもなります。
第三部はDQ11を完成させたのか、それまでのドラマを弱めたのか
ここからは物語の具体的な出来事を伏せたまま、終盤の構造について軽く触れます。
『DQ11』では一度エンディングを迎えたあとも、物語の核心へ関わる展開が続きます。便宜上「クリア後」「第三部」と呼ばれることが多い部分ですが、真のエンディングやタイトルの意味まで考えると、単なるおまけとして評価対象から外すことはできません。
ここで主人公は、それまで積み重ねてきた出来事に関わる非常に大きな選択をします。
タイトルである「過ぎ去りし時を求めて」と正面から結びつき、シリーズ全体を意識した終着点へ向かうという意味では、本作を完成させるために必要な展開です。
問題は、その代償です。
第二部までに仲間たちが経験した喪失や変化、人間関係の積み重ねが非常に強かったからこそ、第三部の構造によって「そこまでのドラマの重みが薄れた」と感じる余地があります。
ここは好みだけで片づけにくいところです。
第三部があるからこそ得られる救いとカタルシスがある。一方、その救いを成立させるために、それ以前のドラマが持っていた不可逆性まで弱くなってしまった。
今回、ストーリーを非常に高く評価しながら満点級にはしなかった最大の理由がここです。
仲間はシリーズでも屈指|100時間近い旅を支えられるパーティー
『DQ11』を長編RPGとして成立させている最大の存在は、カミュ、ベロニカ、セーニャ、シルビア、マルティナ、ロウ、そしてグレイグら仲間たちです。
単純にキャラクターが立っているだけではありません。
盗賊として探索にも戦闘にも独自の役割を持つカミュ。攻撃呪文へ大きく振ったベロニカ。回復・支援を担うセーニャ。攻撃から補助まで器用に立ち回るシルビアなど、戦闘上の個性と物語上の個性がきれいにつながっています。
シルビアのように、登場時の印象と物語を追った後の印象がかなり変わる人物もいます。
『XI S』ではキャラクターボイスが加わったことで、感情表現も無印版より分かりやすくなりました。長いイベントの多いゲームだけに、ボイスの恩恵は小さくありません。
主人公だけが喋らない違和感は残る
その反面、周囲のキャラクター表現が豊かになればなるほど、主人公の寡黙さは目立ちます。
主人公をプレイヤーの分身とするのはシリーズ伝統の設計ですが、映画的なカットシーンで仲間が強い感情をぶつける場面でも、主人公は表情やうなずき中心です。
昔ながらの主人公像として機能している場面はあります。ただ、演出が豪華になったDQ11では、伝統と映像表現の間に少しズレが生じたのも事実でしょう。
『XI S』の仲間追加ストーリーは嬉しいが、挿入位置には疑問も残る
『XI S』では、本編のある時期に仲間たちを個別に操作する追加エピソードが挿入されます。
これはキャラクター補完としては面白い要素です。本編では主人公が知り得なかった出来事を見られ、仲間が再登場した際の背景も分かりやすくなりました。
ただし、「追加されたから無条件にプラス」とは評価しません。
本編が大きく動いた直後、プレイヤーが先を急ぎたいところで複数の短編へ切り替わるため、物語の勢いを止めてしまう面があります。また、本編では後から明らかになるはずだった仲間の状況を、プレイヤーだけが先に知る構造にも変わっています。
個々のエピソードには価値がある。ただし、長編全体のテンポまで改善した追加要素とは言いにくいところです。
戦闘は分かりやすく奥行きもある。ただ標準難易度では使い切らない
戦闘は昔ながらのターン制コマンドバトルです。
通常攻撃、呪文、特技に加えて、キャラクターが強化状態へ入る「ゾーン」と、複数人の組み合わせで発動する「れんけい」があります。
キャラクターごとの役割もはっきりしており、武器種やスキルパネルを含めれば構成の幅は十分。ボス戦ではバフ、デバフ、状態異常対策、回復役の管理など、ドラクエらしい戦術も生きています。
問題は、それを標準設定でどこまで要求されるかです。
通常プレイは比較的易しく、雑魚戦では細かな戦術を組み立てなくても進みやすい。せっかく複数のシステムが用意されているのに、それらを理解しなくてもかなりの範囲を突破できてしまいます。
戦闘システムそのものが浅いわけではありません。しかし、標準難易度ではその深さを引き出す場面が少ない。ここは分けて考える必要があります。
「すべての敵が強い」で印象はかなり変わる
本作には複数の「しばりプレイ」があり、『XI S』では「すべての敵が強い」などを設定できます。
難度を上げると、装備更新や鍛冶、バフ・デバフ、状態異常への対応といった仕組みの意味が大きくなります。戦闘をしっかり考えたい人には有力な選択肢です。
ただし、自分で高難度設定を選べることと、標準難易度が物足りないことは別問題です。「縛れば難しくなるから標準難易度も問題なし」とは評価しません。
戦闘中に歩けるが、位置取りに戦術的な意味はない
3Dモードでは戦闘中にキャラクターを自由に動かせます。
ただし、敵の背後へ回れば威力が上がる、範囲攻撃から逃げられる、といった位置取りのゲーム性はありません。
見た目やカメラ位置を変えられる程度の機能なので、アクションRPG的な自由戦闘と誤解しない方がいいでしょう。
スキルパネルとふしぎな鍛冶は、王道RPGにちょうどいい変化を加えた
育成では、レベルアップだけでなく「スキルパネル」が大きな役割を持ちます。
得たスキルポイントを使ってパネルを開放し、武器スキルや固有能力を習得していく仕組みです。
完全自由型のビルドではありませんが、「今回はこの武器を伸ばす」「先にこの特技を取りたい」と考える余地があり、キャラクターごとの方向性も分かりやすい。振り直しもできるため、取り返しのつかない育成になりにくいのも良いところです。
「ふしぎな鍛冶」では、集めた素材とレシピから装備品を作り、出来によって+値が付くことがあります。
単に店で新しい武器を買うだけではなく、探索で素材やレシピを見つける意味を作った点はうまい。
もっとも、長時間プレイになるほど同じ工程の繰り返しも増えます。最後まで新鮮なミニゲームというより、装備更新にひと手間を加える仕組みとして見る方が近いでしょう。
ロトゼタシアは魅力的。ただ「探索が濃いRPG」ではない
世界そのものの作り分けは今見ても強みです。
町ごとに建築、文化、住民の話し方まで変わり、次の地域へ入った瞬間に空気が変わります。NPCの台詞も細かく更新され、壺やタンスを調べる昔ながらのドラクエらしさも残っています。
一方、探索そのものは現代の大規模RPGと比べると保守的です。
フィールドは広く見えても、未知の場所を自分で切り開いていくゲームではありません。採取ポイント、宝箱、モンスター乗りなどはありますが、基本的には物語に沿って目的地を巡ります。
後半には一度訪れた地域を再び巡る場面も多く、世界の変化を確認できる面白さと、既視感の両方があります。
世界観や町の作り込みは高く評価できますが、「探索だけで何十時間も遊べるほど発見密度が高い」というタイプではありません。
サブクエストはメインストーリーほど強くない
本編の各地域に用意された物語はかなり丁寧ですが、サブクエストまで同じ水準かというと、そこには差があります。
特定の敵を倒す、アイテムを探す、指定された「れんけい」を使うといった依頼が多く、メインストーリーのように人物や土地への理解を大きく深めるものばかりではありません。
報酬を目当てに寄り道する昔ながらのRPGとしては成立しています。
ただ、2026年に長編RPGとして評価するなら、ここは弱点として残ります。
2Dモードは豪華なおまけ以上。ただし3Dとの切り替えは気軽ではない
『XI S』では、3Dだけでなくドット絵による2Dモードでも冒険できます。
単に映像へレトロ風フィルターをかけたものではなく、フィールド、町、戦闘などが2D RPGとして作られています。戦闘もシンボルエンカウント中心の3Dとは感触が変わり、往年のドラゴンクエストに近い遊びになります。
かなり贅沢な要素ですが、ひとつ注意したいのが切り替え方法です。
3Dと2Dを現在位置のまま瞬時に切り替える仕組みではなく、教会などでモードを変更し、シナリオ上の区切りから再開する方式です。場合によっては少し前の進行地点へ戻ることになります。
そのため「今日はこのダンジョンだけ2Dで」と気軽に切り替えて遊ぶ用途には向きません。
2D版まで収録したこと自体は大きな魅力ですが、3D版と合わせて単純に「ゲーム2本分」と考えるのは違います。
冒険の書の世界はシリーズ経験者ほど楽しい
『XI S』には、歴代『ドラゴンクエスト』を題材にした「冒険の書の世界」も収録されています。
過去作の世界や人物を知っているほどニヤリとできる内容で、シリーズの集大成という『DQ11』の性格を強めています。
ただし、これは過去作を知らなければ楽しめないという意味ではありません。
本編のストーリーはDQ11から始めても理解できます。歴代作品の知識は必須条件ではなく、知っていれば拾えるものが増えるという位置付けです。
シリーズの原点を現在の形で確認したい場合は、つぶログの『ドラゴンクエストI&II HD-2D』忖度なしレビューもあわせてどうぞ。
最大の弱点は「長いこと」そのものではなく、100時間を支える密度にムラがあること
『DQ11 S』は非常に長いRPGです。
進め方による差は大きいものの、一度目のエンディングまで数十時間、第三部から真のエンディングまで追えば80~100時間以上に達するケースも珍しくありません。寄り道や冒険の書、やり込みまで含めればさらに伸びます。
重要なのは「100時間遊べるからお得」ではありません。
本当に見るべきなのは、その100時間が必要だったかです。
物語が大きく動く場面では一気に先へ進みたくなる力があります。仲間との旅にも愛着が湧くため、長編であること自体が冒険のスケールにつながっているのも確かです。
それでも、通常戦闘、素材集め、サブクエスト、同じ地域への再訪、第三部まで進んだ際の既視感などが重なると、中だるみは避けにくい。
『XI S』ではダッシュやバトルスピードなどが追加され、無印よりテンポは改善されています。それでもゲーム全体の構造そのものが短くなったわけではありません。
「長いけれど最後まで面白い」ではなく、「長い旅を完走させるだけの魅力はあるが、削れた部分もかなりある」というのが近い評価です。
音楽はオーケストラ化で大きく改善。それでも曲の反復は気になる
『XI S』ではオーケストラ音源が収録され、シンセサイザー音源との切り替えも可能です。
壮大なフィールドやイベントとの相性は良く、無印版から分かりやすく改善された部分です。
ただし、音源が豪華になったことと、100時間級のRPGとして楽曲の種類が十分かは別の話です。
長い時間をかけて同じ地域を再訪するゲームだけに、同じ曲を繰り返し聴く感覚はどうしても強くなります。歴代シリーズの楽曲が使われることもあり、ファンサービスとして嬉しい反面、新曲だけで全編を支えている作品ではありません。
すぎやまこういち氏の音楽だから高得点、という評価にはしません。曲そのものの力は強い一方、ゲーム全体での使われ方には弱点もあります。
グラフィックは今でも見やすい。ただし「S=無印PS4版の完全上位互換」ではない
鳥山明氏のキャラクターデザインと3D表現の相性は良く、発売から年月が経っても極端な古さは感じにくい作品です。
フォトリアルを目指していないことも大きく、色使いのはっきりした町やモンスター、キャラクターは現在でも見栄えします。
ただし、ここには少し複雑な事情があります。
『XI S』は2017年PS4版へ追加要素だけを載せたものではなく、Nintendo Switch版『XI S』を基礎として他機種にも展開されています。そのため、2017年のPS4無印版と比較すると、植生、影、背景の密度など一部のグラフィック表現で無印版の方が優れて見える場所があります。
つまり『XI S』は内容と快適性では決定版に近いものの、映像資産まで含めて無印PS4版のすべてを上回った「完全上位互換」ではありません。
Switch 2版は1080p/60fpsと1440p/30fpsに対応
ここからは2026年9月24日に発売されたNintendo Switch 2版についてです。
公式に確認されている描画モードは次の2種類です。
| モード | 解像度 | フレームレート | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| パフォーマンス優先 | 1080p | 60fps | 動きの滑らかさを重視 |
| 画質優先 | 1440p | 30fps | 解像感を重視 |
発売後の実機検証でも、パフォーマンス優先モードは60fpsで安定した動作が報告されています。
ターン制RPGなので60fpsになったことで戦術そのものが変わるわけではありません。それでもフィールドを走る、カメラを回す、戦闘演出を見るといった場面は明らかに滑らかになります。
画質優先とパフォーマンス優先で、描画距離や植生などに大きな差が確認されているわけでもありません。そのため、特別に解像度を優先したい理由がなければ、DQ11 Sでは60fpsのパフォーマンス優先モードを選びやすいでしょう。
旧Switch版をSwitch 2で遊ぶだけでも動く。では専用版は何が違う?
ここが既存ユーザーには重要です。
旧Nintendo Switch版『DQ11 S』を持っている場合、そのソフトをNintendo Switch 2の後方互換で遊ぶこともできます。
その場合でも本体性能によるロード時間の短縮などは期待できますが、Switch 2専用版のような1080p/60fpsモードが追加されるわけではありません。
発売後の比較では、専用版でテクスチャの解像感、影、一部オブジェクトの描画距離などにも改善が確認されています。
つまり専用版の意味はあります。
ただし、問題はここからです。
Switch版所有者にはアップグレードなし、セーブデータも移行できない
旧Switch版を持っている人が一番注意したいのが、この2点です。
| Switch版→Switch 2版アップグレード | なし |
|---|---|
| Switch版セーブデータの引き継ぎ | 不可 |
| Switch 2版の新ストーリー | なし |
| Switch 2版の新キャラクター | なし |
| 主な追加 | 描画モードとSwitch 2向けの技術的改善 |
希望小売価格はパッケージ版/ダウンロード版とも5,478円(税込)。旧Switch版所有者向けの安価なアップグレードパスは用意されていません。
さらにセーブデータを引き継げないため、旧Switch版で途中まで進めたデータを60fpsのSwitch 2版へ移して、そのまま続きを遊ぶこともできません。
これはゲーム本体の出来とは別問題です。
しかし、既存ユーザーが同じ『XI S』をもう一度購入するかという商品判断では、かなり大きな条件になります。
Switch 2版は誰に向いている?既存版ごとに判断すると違う
Switch 2版を一律に「買い」あるいは「不要」とするのは無理があります。
| 現在の状況 | Switch 2版の位置付け |
|---|---|
| DQ11未経験 | 有力。XI Sの追加要素をすべて含み、携帯できる環境で1080p/60fpsを選べる |
| 2017年無印だけ経験 | ボイス、2Dモード、仲間の追加ストーリー、オーケストラ音源、快適化など未体験要素が多い |
| 旧Switch版XI S所有 | 60fpsなどは魅力だが、内容追加なし・アップグレードなし・セーブ移行不可。最も慎重に考えたい |
| PS4/Xbox/PC版XI S所有 | ゲーム内容は同じ。携帯して遊びたいかが大きな判断材料 |
| 携帯モード中心 | Switch 2版の恩恵を感じやすい。旧Switch版より高解像度・60fpsを利用できる |
初めてDQ11を遊ぶならSwitch 2版はかなり分かりやすい選択肢
初プレイなら話はシンプルです。
『XI S』の追加要素をすべて含み、携帯でき、60fpsも選べる。Switch 2を主なゲーム機として使っているなら、現在かなり選びやすいバージョンです。
過去のドラゴンクエストを遊んでいる必要もありません。シリーズを知っているほど拾える要素は増えますが、DQ11の物語そのものは単独で成立しています。
旧Switch版所有者は「60fpsのために最初からやり直すか」が焦点
逆に悩ましいのが旧Switch版所有者です。
Switch 2専用版の方が滑らかで、映像面も改善しています。そこは間違いありません。
しかしゲーム内容は同じです。
しかもアップグレードではなく買い直しで、セーブデータも移せません。
「DQ11 Sをもう一度最初から遊びたい。その際に60fpsで遊びたい」という人には意味があります。
反対に、途中のセーブを引き継いで続きを快適に遊びたい人には、その用途を満たしてくれません。
Switch 2版が「DQ11 S最高画質版」とは限らない
もうひとつ誤解しやすいのが、「最新ハード版だから全機種で一番きれい」という考え方です。
Switch 2版は旧Switch版から明確に改善されていますが、PC版や他機種版まで含めてすべての描画項目で最高というわけではありません。
発売後の比較では、テクスチャフィルタリングや遠景の影など、他機種版が上回る部分も確認されています。
Switch 2版最大の強みは、純粋な最高画質というより、携帯できるゲーム機でDQ11 Sを高解像度・60fpsで遊べることにあります。
2026年にDQ11 Sを遊ぶと、どこに古さを感じる?
発売から約9年という数字だけで「古いゲーム」と評価する必要はありません。
実際、キャラクター表現、町ごとの作り込み、物語の見せ方、コマンド戦闘の操作性などは現在でも十分通用します。
古さを感じやすいのは別のところです。
- サブクエストがおつかい中心になりやすい
- フィールド探索の自由度や発見密度はそれほど高くない
- 標準難易度では戦闘が作業化しやすい
- 同じ地域へ何度も戻る
- 主人公の無言演出と豪華なカットシーンの相性
- 100時間級の作品として見ると楽曲の反復が目立つ
これらは「昔のゲームだから」というより、2026年に長編RPGとして遊んだときにも残る設計上の特徴です。
それでも今なお強いのは、「王道」を最後まで作り切ったこと
『DQ11』には、RPGの歴史を変えるような新システムがあるわけではありません。
ターン制戦闘、町で情報を集め、装備を整え、次の土地へ向かう。勇者と仲間が世界を巡り、大きな敵へ立ち向かう。
骨格だけなら非常に古典的です。
それでも現在まで評価が残っているのは、その王道を「懐かしいから許されるもの」として作らなかったからでしょう。
町を変え、仲間を増やし、小さな物語を積み重ね、中盤で冒険の意味をひっくり返す。スキル、鍛冶、乗り物、2Dモード、冒険の書なども加えながら、最後までドラゴンクエストとしてまとめています。
革新的ではない。しかし、保守的であることと完成度が低いことは同じではありません。
『DQ11 S』は、そのことを今でも示せる作品です。
『ドラゴンクエストXI S』忖度なしスコア
| 評価項目 | 点数 | 評価 |
|---|---|---|
| ストーリー/キャラクター | 8.5 | 仲間と各地域のドラマは現在でも強い。第三部の構造は明確な減点材料 |
| 戦闘/育成 | 7.8 | システムには幅があるが、標準難易度では使い切らずに進みやすい |
| 探索/ワールドデザイン | 7.5 | 町と地域の個性は魅力。探索密度と後半の再訪には弱さがある |
| グラフィック/サウンド・演出 | 8.1 | 美術は古びにくい。オーケストラ音源も良いが、楽曲の反復は気になる |
| ボリューム/テンポ | 7.2 | 大作感は十分。ただし100時間級を支える密度にはムラがある |
| 快適性/技術面 | 8.5 | XI Sの改善が大きい。Switch 2では1080p/60fpsも選択可能 |
| 独自性/RPGとしての完成度 | 8.2 | 革新性より、古典的JRPGを大規模作品としてまとめた総合力を評価 |
| 総合評価 | 8.0/10 | 2026年でも名作。ただし歴代最上位級へ置くには、長さ・第三部・戦闘・再訪などの弱点が重い |
8.0点。
つぶログの現在の基準では、8.5以上は歴代でもかなり上位に置ける作品だけに限定しています。
『DQ11 S』にはそこへ迫る部分があります。ストーリーとキャラクターだけを見れば、8.5以上でも不思議ではありません。
しかし一本のRPGとして見るなら、100時間級の長さ、通常戦闘の易しさ、サブクエスト、フィールド再訪、第三部の構造まで無視できません。
それらを含めても8点に残る。それ自体が、この作品の地力の高さだと思います。
そしてSwitch 2版は、この8.0点のRPGを現在のNintendoハードで快適に遊ぶための選択肢です。
初プレイなら有力。旧Switch版からの買い直しなら、60fpsと描画改善のために最初から冒険をやり直したいか――そこが判断の分かれ目になります。
『ドラゴンクエストXI S』をNintendo Switch 2向けに最適化したパッケージ版。1080p/60fpsの「パフォーマンス優先」と1440p/30fpsの「画質優先」を選択でき、これから初めて遊ぶ人はもちろん、Switch 2でより滑らかに遊び直したい人にも向く一本です。
価格・在庫・仕様や版の違いなどは変動します。購入の際は各ショップの商品ページで最新情報をご確認ください。
総評|名作なのは間違いない。ただ「最高傑作」の一言では弱点まで消せない

『ドラゴンクエストXI S』は、2026年から初めて遊んでも十分に面白いRPGです。
特に仲間と物語は強い。
長い時間を一緒に旅するキャラクターを好きになれること。それぞれの町へ到着するたびに新しい物語が始まること。そして中盤から、それまでの冒険が別の意味を帯びていくこと。
「昔ながらのドラクエを豪華にしただけ」では、この作品が長く評価されてきた理由を説明しきれません。
一方、100時間前後の長さまで含めて見ると粗もあります。
通常戦闘は標準難易度だと単調になりやすく、サブクエストはメインストーリーほど強くない。同じ地域への再訪も多く、第三部には、それまで積み重ねたドラマと引き換えにしたものがあります。
だから「シリーズ最高傑作と言われているから9点」にはしません。
逆に、2017年を起点とするゲームだからという理由で評価を落とす必要もありません。
現在でも名作。ただし、長年の評判を一度外して見れば、欠点もはっきりした名作です。
Switch 2版についても似ています。
1080p/60fpsで携帯できるDQ11 Sは魅力的で、初めて遊ぶ人には非常に分かりやすい選択肢になりました。
その反面、旧Switch版所有者にはアップグレードがなく、セーブも移せません。移植そのものの出来と、既存ユーザーにとっての商品価値は分けて考えるべきでしょう。