- ASTRO BOT忖度なしレビュー|GOTYは本当に9点台級?
- 『ASTRO BOT』とは
- 『ASTRO's PLAYROOM』をフルゲームへ広げた作品
- 最大の長所は、ひとつのアイデアを引っ張りすぎないこと
- 操作は簡単。それでも操作性が浅いわけではない
- DualSenseは「振動がすごい」で終わらない
- 通常ステージはかなり遊びやすい
- 高難度ステージは別物。現在は発売時よりかなり増えた
- 収集は「隠した後」の設計までうまい
- 集めたボットが「数字」で終わらない
- PlayStationを知らなくても面白いのか
- それでもノスタルジーによる上乗せは確実にある
- マリオ級なのか? 強い場所が少し違う
- 短いのは本当に欠点なのか
- 2026年現在は「90ステージ以上」。発売時レビューだけでは足りない
- 通常PS5でも60fpsは非常に安定。PS5 Proは解像度側を強化
- ロードとリトライの速さが、高難度と相性がいい
- 発売直後のセーブ問題は現在の減点材料にはしない
- GOTYを取るほど面白いのか
- では、本当に9点台のゲームなのか
- 2026年から遊んでも遅くない?
- 向いている人/少し注意したい人
- 総評|GOTYの理由は本物。ただし9点台とは分ける
- 『ASTRO BOT』忖度なしスコア
ASTRO BOT忖度なしレビュー|GOTYは本当に9点台級?

2024年を代表するゲームを挙げるなら、『ASTRO BOT(アストロボット)』は外せない一本になった。
The Game Awards 2024ではGame of the Yearを受賞。BAFTA Games Awards 2025でもBest Gameを含む複数部門を制し、国内外のレビューでも非常に高い評価が並んだ。
ただ、発売から約2年が経った今なら、もう「GOTYを取ったゲーム」という看板だけで見る必要はない。
知りたいのはもっと単純だ。
PlayStationへの思い入れや受賞歴を全部外しても、3Dアクションゲームとして本当にそこまで優れているのか。
結論から言えば、高評価の理由はかなり残る。
操作はシンプルだが極めて正確。ステージは同じ仕掛けを引っ張らず、次々と新しい遊びへ切り替わる。DualSenseの振動やトリガーも単なる演出ではなく、足元の素材やギミックを伝えるために使われている。
しかも2024年の発売後には無料ステージが追加され、発売当初に指摘されやすかった「短い」「熟練者には簡単」という部分も補強された。
それでも、つぶログの9点台へ置くには引っかかるところがある。基本アクションそのものの深さ、通常ルートの難易度、戦闘、コンプリート後のリプレイ性まで含めると、「完成度が非常に高い」と「ゲーム史でも極端に限られた一本」は分けて考えたい。
『ASTRO BOT』とは
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | ASTRO BOT(アストロボット) |
| 開発 | Team ASOBI |
| 発売元 | ソニー・インタラクティブエンタテインメント |
| 発売日 | 2024年9月6日 |
| 対応機種 | PlayStation 5 |
| ジャンル | アクション |
| プレイ人数 | 1人 |
| CERO | A(全年齢対象) |
| 通常版 | 7,980円(税込) |
PS5型の母船が襲撃され、アストロと仲間のボットたちが銀河中へ散り散りになったところから冒険が始まる。
目的は各地を巡りながら仲間や母船のパーツを取り戻すこと。物語は非常にシンプルで、長い会話や複雑な設定を読ませるタイプの作品ではない。
中心にあるのは、走る、跳ぶ、殴る、見つけるという3Dアクションそのものだ。
2026年9月30日時点でも正式に展開されているのはPS5版。PC版や他機種版は発表されていない。
『ASTRO's PLAYROOM』をフルゲームへ広げた作品
アストロの系譜は『THE PLAYROOM VR』『ASTRO BOT:RESCUE MISSION』を経て、PS5にプリインストールされた『ASTRO's PLAYROOM』へつながっている。
特に『ASTRO's PLAYROOM』はDualSenseの機能とPlayStationの歴史を見せるショーケースとして完成度が高く、「これをもっと遊びたい」という声が多かった作品だ。
『ASTRO BOT』は、その延長線上にある。
ただし「無料プリインストール作品を長くしただけ」ではない。発売時点から6つの銀河、80以上のステージ、15種類以上のパワーアップが用意され、ボス、隠しステージ、収集、ハブエリアまで一本のフルゲームとして組み直された。
操作の基本は受け継ぎながら、ステージごとの遊びを大幅に広げたのが本作だ。
最大の長所は、ひとつのアイデアを引っ張りすぎないこと
『ASTRO BOT』で特に強いのがステージデザインだ。
新しい仕掛けを見せた後、その仕掛けだけで長時間引っ張ることがほとんどない。
巨大化する、水を吸ってスポンジのように膨らむ、極端に小さくなる、ロケットのように突進する、長いグローブを飛ばす。新しい能力が登場すると、その能力に合わせて地形や敵、探索方法まで変わる。
そして十分に遊ばせたところで次へ進む。
開発を率いたニコラ・ドゥセ氏も、同じメカニクスを延々と繰り返すのではなく、短く使って次のアイデアへ移る設計を説明している。ゲーム全体を20~30時間へ引き伸ばすより、12~15時間ほどのテンポと密度を優先したという方向性だ。
この判断が本作にはよく合っている。
3Dアクションでは、最初は面白かったギミックでも何度も繰り返せば作業になる。『ASTRO BOT』はそこまで行く前に別の遊びへ切り替えるため、「次のステージでは何をやらせるのか」という期待が続きやすい。
ただし「アイデアを使い捨てる」弱点もある
逆に、気に入った能力ほど「もっと使わせてほしかった」と感じやすい。
パワーアップの多くは特定ステージや一部区間を中心に使うため、一つの能力を何時間も使い込み、プレイヤー自身が高度なテクニックを発見していく作りではない。
つまり本作は、ひとつのシステムを深く掘るよりも、遊びの幅と密度を優先している。
ここは『スーパーマリオ オデッセイ』のように、恒常的な基本アクションを組み合わせて移動そのものを突き詰める3Dアクションとは違うところだ。
操作は簡単。それでも操作性が浅いわけではない
アストロの基本操作は多くない。
移動、ジャンプ、ホバー、パンチ、スピンが中心で、複雑なコンボや何種類ものジャンプ技を組み合わせるゲームではない。
それでも評価できるのは、入力した通りに動く信頼性が高いことだ。
ジャンプ後の空中制御はしやすく、ホバーを使えば着地点も微調整できる。足場の端へ着地するような場面でも、自分が失敗したのかゲーム側の判定に負けたのか分からないような曖昧さが少ない。
通常ステージだけを遊んでいると、この精度は目立ちにくい。
しかし、高難度チャレンジへ進むと細かなジャンプや方向転換を連続で要求される。そこでも操作感が崩れにくいからこそ、難しいステージそのものが成立している。
誰でも動かしやすいことと、雑なアクションゲームであることはまったく別だ。
基本ムーブセットの豊富さでは上がある。それでも、レスポンスと精密さは3Dアクションとしてかなり高い水準にある。
DualSenseは「振動がすごい」で終わらない
『ASTRO BOT』をPS5で遊ぶ意味として、DualSenseは外せない。
ハプティックフィードバック、アダプティブトリガー、モーション操作、コントローラーのスピーカーまで幅広く使われている。
特に効果が大きいのは触覚だ。
足元が金属なのか、水なのか、砂なのかといった違いが振動へ細かく反映される。雨や細かな物体の動きまで手元へ伝わり、画面と音だけでは分かりにくい質感を補っている。
アダプティブトリガーも、パワーアップや乗り物などの抵抗感を表現するために使われる。
だからといって、「DualSenseの機能をたくさん使ったから高評価」ではない。
重要なのは、コントローラーから得られる情報が画面上の出来事ときちんと一致していることだ。ハード機能を見せるだけだった『ASTRO's PLAYROOM』から、今回はステージそのものへ溶け込ませるところまで進んでいる。
ジャイロや振動が苦手でも遊べる
特殊機能が多いため、「ジャイロ操作が苦手だと遊べないのでは?」と気になる人もいるだろう。
PlayStation公式サポートでは、モーションコントロールを使わない設定や、振動を使わずにプレイする設定が案内されている。コントローラーのボタン割り当て変更にも対応する。
DualSenseを活用したときに魅力が増すゲームではあるが、特殊操作を受け入れなければゲームを進められない設計ではない。
通常ステージはかなり遊びやすい
難易度については、メインルートだけを基準にすると低めだ。
敵の攻撃は比較的読みやすく、通常ステージにはチェックポイントも多い。落下や接触で失敗しても、長いロードを挟まずすぐ戻れる。
子どもや3Dアクションに慣れていない人までメインストーリーを進めやすくする作りで、難しくないこと自体を欠点にする必要はない。
問題になるのは、アクションゲームに慣れている人が通常ルートだけを進めた場合だ。
敵そのものは大きな脅威になりにくく、基本戦闘もパンチやスピンを中心にしたシンプルなもの。ボスは演出や専用ギミックに個性があるものの、戦闘システムの深さを追求するタイプではない。
そのため、歯応えだけを求めてメインルートを進めると物足りなさは出やすい。
高難度ステージは別物。現在は発売時よりかなり増えた
ただし、現在の『ASTRO BOT』を「簡単なゲーム」で終わらせるのも正確ではない。
発売時点でもメインルートとは別に高難度チャレンジが用意されていたが、その後の無料アップデートでさらに増えた。
| 時期 | 主な追加内容 |
|---|---|
| 2024年10~11月 | スピードラン5ステージ、スペシャルボット、オンラインランキング |
| 2024年12月 | 「わくわくスノータウン」 |
| 2025年2~3月 | 「暗黒星団ムズー」高難度ステージ5本 |
| 2025年7月 | 「暗黒星団ムズー」へさらに5ステージ追加 |
2025年2~3月に追加された5ステージは、PlayStation公式自身が「ジャンプの技術が試される高難易度」と説明している。
さらに7月にも5ステージが加わり、公式発表上、ゲーム全体は90ステージ以上になった。
2026年9月30日時点では、2025年7月より後に新しいステージを追加した公式発表は確認できない。現在評価すべきなのは、ここまでの無料コンテンツを含めた状態だ。
発売後だけで少なくとも16本の追加ステージが配信されたことになる。
これは発売時の「少し短い」「難しいステージがもっと欲しい」という弱点を、かなり直接的に補強したアップデートだった。
高難度で気になるのは、チェックポイントの少なさ
高難度チャレンジには、途中のチェックポイントをほとんど置かず、失敗すると序盤からやり直すタイプがある。
ステージ自体は短く、再挑戦も速いため致命的なストレスにはなりにくい。
それでも、後半の難所だけを練習したいのに、すでに安定して抜けられる前半を毎回やり直すことになる。
高難度にする方法としては少し古典的だ。
「難しいステージがある」ことは長所だが、「ノーミスで通し切ることを要求する」設計まで無条件に高く評価する必要はない。
収集は「隠した後」の設計までうまい
ステージでは救出ボット、パズルピース、Lost Galaxyへつながる入口などを探していく。
隠し方にも変化があり、明らかに怪しい場所へ行くだけでなく、背景を観察したり、別ルートを探したり、ギミックを普段と違う方法で使ったりする場面がある。
さらに評価したいのが、取り逃した後の救済だ。
再挑戦時には、コインを使って鳥型のヘルパーを利用できる。未取得の収集物へ近づくと反応してくれるため、最後の1個を探すためだけに攻略動画とステージを往復する必要が減る。
自力で探したい人は使わなければいい。
収集を難しくするのではなく、最初の発見は自力で楽しませ、コンプリート段階では無駄な時間を減らす。この切り分けはかなり上手い。
Lost Galaxyだけは少し素直ではない
一部ステージには、通常のゴールとは別にLost Galaxyへつながる隠しポータルがある。
問題は、ポータルへ入るとその時点で現在のステージが終了扱いになる場合があること。
通常ゴール側に残した収集物を取りたい場合、もう一度同じステージへ入り直さなければならない。
隠し道を発見したこと自体はうれしいのに、発見したせいで再プレイが必要になる。ゲーム全体を崩すほどではないが、探索のテンポを考えると惜しい仕様だ。
集めたボットが「数字」で終わらない
救出したボットは拠点となる墜落現場へ戻ってくる。
一定数が集まるとボットたちの力を借りて新しい場所を開けられ、PlayStation作品をモチーフにしたVIPボットには専用のリアクションやアイテムも用意されている。
ガチャラボで使うのはステージ中に拾うゲーム内コインで、リアルマネーを使うガチャではない。
景品を入手すると救出済みボットの周囲にオブジェクトが増え、元ネタに合わせた行動を見せるようになる。
「300体以上集めました」で終わらず、集めた結果が拠点の賑やかさとして返ってくる。この部分も収集を続けたくなる理由になっている。
なお、PlayStation公式は2025年2月27日時点で、ゲーム内で救出できるボットを320体と説明している。その後の無料ステージでも追加ボットが配信されたため現在はさらに増えているが、2026年9月30日時点の最終総数を公式が明示した一次資料は確認できなかった。本文では推測による総数は採用しない。
PlayStationを知らなくても面白いのか
十分に遊べる。
公式ではPlayStationを代表するヒーローが150体以上登場すると案内されており、過去30年のPlayStation作品を知っているほど気づけるネタは増える。
しかし、通常ステージの足場やパワーアップが面白い理由は、元ネタを知っているからではない。
ジャンプする場所、敵を避ける場所、能力を使う場所、その先に何を隠すか。3Dアクションとしての構造が先に成立している。
一部には特定のPlayStation作品を大胆に題材にした特別ステージもある。元作品を知っていれば「ここまでやるのか」と楽しめるが、知らなくても専用能力を使った独立したアクションステージとして遊べる。
この違いは大きい。
ファンサービスがゲームを成立させているのではなく、成立しているゲームの上へファンサービスを重ねている。
だから『サルゲッチュ』も『GRAVITY DAZE』も昔のPlayStationも知らないプレイヤーが、ゲームとして楽しめないわけではない。
それでもノスタルジーによる上乗せは確実にある
逆に、PlayStationを長く遊んできた人が感じる驚きを、純粋なゲームデザインだけの評価へ混ぜるのも違う。
懐かしいキャラクターを発見した、昔好きだった作品の演出が出てきた、過去のハードや周辺機器を見つけた。
そうした瞬間には、ゲームそのものとは別の思い出が加わる。
『ASTRO BOT』はそこを意図的に使っている。
だからPlayStationファンなら体験がさらに強くなる。しかし、その感情まで「3Dアクションの完成度」として点へ全部載せるべきではない。
今回の評価では、カメオの数そのものよりも、過去作の特徴をアクションや演出へ変換できている部分を評価した。
マリオ級なのか? 強い場所が少し違う
海外レビューでは『ASTRO BOT』を任天堂の3Dアクションと並べる評価も多かった。
ただ、「マリオと同じくらい面白い」「マリオより上」と一言で処理すると、本作の特徴が逆に見えにくくなる。
| 比較点 | ASTRO BOT | 『スーパーマリオ オデッセイ』型 |
|---|---|---|
| 基本移動 | シンプルで精密 | 組み合わせられる移動技が多い |
| 遊びの広げ方 | ステージ固有の能力を次々投入 | 基本技やキャプチャーを応用 |
| ステージ構造 | 短めで密度重視 | 大きな箱庭探索も重視 |
| 新鮮さ | 短い間隔で新ネタへ切り替える | 同じアクションの応用幅を広げる |
| ハード固有表現 | DualSenseとの統合が非常に強い | 基本操作そのものの自由度が中心 |
『ASTRO BOT』は基本アクションの奥深さで勝負するというより、次々と違う遊びを出すことで最後まで飽きさせない。
そこにDualSenseを組み合わせたところが独自性だ。
一方で、アストロ自身の移動アクションだけを何十時間も研究できるほどの深さはない。
この差が、完成度を非常に高く評価しながらも「3Dアクションの歴史を塗り替えた新発明」とまでは置かない理由でもある。
短いのは本当に欠点なのか
発売時から最も分かりやすい弱点として挙げられたのがボリュームだ。
開発側の想定はメインクリアでおよそ12~15時間。実際のレビューでも、メイン中心なら10~15時間前後、収集や発売時のやり込みまで含めて15~20時間前後という報告が多い。
80時間、100時間が当たり前になった近年の大作と比べれば明らかに短い。
ただし、『ASTRO BOT』の場合は「作れなかったから短い」と見るより、「同じ遊びで水増ししなかった結果として短い」と考えた方が内容に近い。
ステージごとのアイデア密度は高く、最後まで同じ任務を繰り返すような区間もほとんどない。
プレイ時間だけを伸ばすための収集ノルマや経験値稼ぎもない。
そのため、短さそのものを大きな減点にはしにくい。
しかも現在は発売後の無料ステージが増えているため、2024年発売時より商品としての内容量も厚くなった。
それでもリプレイ性は無限ではない
一方で、100%収集まで終えた後は性格が変わる。
追加されたスピードランや高難度ステージではオンラインランキングに挑戦できるため、タイムを詰めるプレイヤーなら長く遊べる。
ただし、ビルドを変える、物語が分岐する、ランダムでステージが変わるといったゲームではない。
収集を全部終えた時点で満足する人も多いだろう。
「無駄なく終われる」という長所と、「何百時間も遊び続けるゲームではない」という弱点は両立する。
2026年現在は「90ステージ以上」。発売時レビューだけでは足りない
2026年に『ASTRO BOT』を評価するうえで、2024年のレビューだけを読むとズレが出る。
発売当初は公式に「80以上のステージ」と案内されていた。
その後、スピードラン、季節ステージ、高難度チャレンジがすべて無料で追加され、2025年7月の公式発表では90ステージ以上まで増えている。
特に重要なのは、追加されたのが同じ難易度の通常ステージだけではないことだ。
タイムアタックとオンラインランキング、高難度、家族向けの季節ステージと役割が分かれており、発売時に足りなかった遊びを補う方向で追加されている。
現在購入するなら追加料金は必要ない。
発売時のボリュームと後から増えた内容は分けて考える必要があるが、2026年現在の商品としては正当に評価していい部分だ。
通常PS5でも60fpsは非常に安定。PS5 Proは解像度側を強化
技術面も本作の強みだ。
通常PS5の技術検証では、動的解像度はおおむね1440p~2160pの範囲で変動しながら、60fpsをほぼ安定して維持している。
大量の小物、草木、液体、粒子、破壊表現が同時に動く場面でも大きく崩れにくい。
『ASTRO BOT』はフォトリアルな人物を見せるゲームではない。
その代わり、画面内に大量のものを動かし、それに触れたときの反応まで作り込む方向へPS5の性能を使っている。
この選び方はゲーム内容と非常に相性がいい。
PS5 Proなら何が変わる?
2025年2月の無料アップデートでPS5 Proにも正式対応した。
PlayStation公式は、PS5 Proでは安定した60fpsを維持しながら、より高い解像度で楽しめるとしている。
ただし通常PS5版の完成度がすでに高い。
PS5 Proでなければフレームレートが不安定になるゲームではなく、通常PS5を基準に評価しても技術面はかなり強い。
ロードとリトライの速さが、高難度と相性がいい
失敗してからもう一度操作できるまでが速い。
通常ステージでも快適だが、何度も失敗する高難度ステージでは特に重要になる。
チェックポイントが少ないこと自体には不満が残るものの、そこへ長いロードまで重なっていたら印象は大きく変わっていただろう。
ステージ間の移動も速く、ロード画面を長く眺める時間は少ない。
ロードを隠す演出とDualSenseを組み合わせ、次の惑星へ飛び込んでいく流れまでゲームの一部にしている。
発売直後のセーブ問題は現在の減点材料にはしない
発売直後には、クラッシュ時などにセーブデータが巻き戻る、進行を失うといった報告があった。
その後の初期アップデートでセーブ関連の問題には修正が入り、2026年現在まで主要な継続問題として残っている状況は確認できない。
発売当時に問題が存在したことと、現在遊ぶ際の技術評価は分ける必要がある。
現時点の『ASTRO BOT』を評価するなら、発売初週の不具合を現在形で大きく減点する理由はない。
GOTYを取るほど面白いのか
The Game Awards 2024ではGame of the Yearだけでなく、Best Game Direction、Best Action/Adventure、Best Familyも受賞した。
BAFTA Games Awards 2025でもBest Game、Game Design、Animation、Audio Achievement、Familyの5部門を受賞している。
これほど賞が重なった理由をゲームの中身へ分解すると、評価された場所はかなりはっきりする。
- 入力へ素直に反応する操作
- 同じ仕掛けを引っ張らないステージ構成
- ステージごとに変わるパワーアップ
- DualSenseを含めた触覚・映像・音の統合
- 短いロードと速い再挑戦
- 発見すること自体が楽しい収集
- 子どもでも進める本編と、熟練者向けチャレンジの分離
つまり、「PlayStationのキャラクターが大量に出るお祭りゲームがGOTYになった」というだけではない。
3Dアクションとしての基礎部分がかなり強いからこそ、ファンサービスまで成立している。
では、本当に9点台のゲームなのか
ここはGOTY受賞とは別に考えたい。
つぶログで9点台は、単に「かなり面白かった」という作品へ付ける位置ではない。
『ASTRO BOT』には、ステージデザイン、技術的安定性、DualSenseとの統合など、9点台を付けてもおかしくない項目がいくつもある。
それでも一本のゲーム全体で見ると壁が残る。
基本操作は精密だが、恒常的なアクションの種類自体は比較的シンプル。通常戦闘も深くはない。メインルートは熟練者にはかなり易しく、パワーアップの多くは短時間で役目を終える。
100%収集後も遊び続けられる要素はスピードランやランキングが中心で、遊び方そのものが大きく変化するわけでもない。
そして3Dアクションというジャンルを新しく発明した作品でもない。
革新的であることと、既存ジャンルを極めて高い品質で仕上げることは別だ。
『ASTRO BOT』は後者として非常に強い。
だからこそ歴代上位級には入れたい。それでも、ゲーム史の中でごく限定した作品だけを置く9点台までは上げない、というのが今回の評価になる。
2026年から遊んでも遅くない?
むしろ発売時より遊びやすいタイミングだ。
無料アップデートが出揃い、スピードラン、高難度ステージ、追加ボット、オンラインランキングまで最初から利用できる。
通常PS5でも60fpsの安定性は高く、映像表現が古くなった印象も薄い。
オンライン協力や対戦が中心のゲームではないため、発売時の人口を逃したから楽しめないということもない。オンライン要素は主にタイムアタックのランキングだ。
PlayStationの過去作を知らなくても問題ない。
今から遊ぶ人ほど、2024年当時より増えた状態で最初から触れられる。
向いている人/少し注意したい人
3Dアクションで新しい仕掛けを次々触りたい人、探索や収集が好きな人、短い時間でも密度の高いゲームを遊びたい人とは特に相性がいい。
子どもと大人のどちらかだけを狙ったゲームでもない。通常ルートは遊びやすく、PlayStationファン向けのネタは大人ほど気づきやすい。高難度へ行けばアクションに慣れたプレイヤー向けの挑戦もある。
反対に、基本アクションを何十時間も習熟したい人、戦闘の深さを求める人、一本を100時間以上遊び続けたい人には物足りない可能性がある。
「難しい3Dアクション」を最初から最後まで求めている場合も、通常ルートの易しさは確認しておいた方がいい。
総評|GOTYの理由は本物。ただし9点台とは分ける
発売から約2年経って評価し直しても、『ASTRO BOT』の強さはほとんど崩れていない。
むしろ無料アップデートで高難度とタイムアタックが増えたぶん、現在の商品としては発売時より弱点が少なくなった。
一番評価したいのは、何かひとつの大発明ではない。
ジャンプの感触、短いロード、アニメーション、足元の振動、収集物の隠し方、新しいパワーアップ、次のステージへ進むテンポ。その小さな部分をほとんど雑に扱わず、一つの体験としてつなげている。
だから遊びの密度が高い。
PlayStationの歴史を知っていれば、そこへさらに懐かしさが加わる。しかし、その上乗せを外しても3Dアクションとして十分に強い。
弱点もある。
基本アクションそのものはシンプルで、戦闘には大きな深さがない。通常ルートも熟練者には易しい。お気に入りの能力をもっと使いたくても、そのステージが終われば出番も終わることが多い。コンプリート後のリプレイ性も、人によってはそこで一区切りになる。
それでも、こうした弱点を含めて8.5未満へ落とすのは厳しすぎる。
GOTYという看板を外しても歴代上位級。ただし、ゲーム史でも極めて限られた作品を置く9点台までは届かない。
それが、2026年現在の『ASTRO BOT』に対する評価だ。
『ASTRO BOT』忖度なしスコア
| 評価項目 | スコア | 評価 |
|---|---|---|
| 操作性/アクション | 8.7 | ジャンプ、ホバー、空中制御の反応が良く、高難度でも操作への信頼性が高い。基本ムーブセット自体は比較的シンプルで、恒常的な技の組み合わせには上がある。 |
| ステージデザイン/ギミック | 9.2 | 本作最大の強み。同じアイデアを引っ張らず、パワーアップや環境を短い間隔で切り替えながら終盤まで新鮮さを維持する。能力を深く使い込む前に終わる面はある。 |
| 探索/収集 | 8.6 | ボットや隠しルートの発見、拠点への還元、取り逃しを探すヘルパーまで導線が良い。Lost Galaxyで再入場が必要になる仕様など、小さな引っかかりは残る。 |
| グラフィック/サウンド・演出 | 9.2 | アニメーション、大量の物理表現、効果音、音楽、DualSenseの触覚まで一体化。写実性とは別の方向でPS5の性能をゲームらしい表現へ使えている。 |
| ボリューム/リプレイ性 | 7.8 | 本編は10~15時間前後と短めだが、水増しが少ない。無料追加ステージやランキングで発売時より改善した一方、100%後の継続性はプレイヤーを選ぶ。 |
| 快適性/技術面 | 9.3 | 通常PS5でもほぼ安定した60fps、高速ロード、短いリトライ、収集救済が強い。発売直後のセーブ問題は現在の主要な欠点ではない。高難度のノーチェックポイント設計は減点。 |
| 独自性/ゲームとしての完成度 | 8.6 | 3Dアクションを発明した作品ではないが、既存ジャンルの強みをDualSense、物理表現、PlayStation文化と高水準で統合した。革新性より完成度で評価すべき作品。 |
| 総合 | 8.6/10 | ステージデザインとPS5への最適化は歴代上位級。基本アクションの深さ、通常難易度、戦闘、コンプリート後の広がりまで見ると9点台には届かないが、GOTYの看板を外しても非常に強い一本。 |
発売時よりコンテンツが増えた現在は、これからPS5で3Dアクションを一本選びたい人にも勧めやすい。長大なゲームではなく、最後まで密度を落とさず駆け抜ける作品を求めるなら、2026年から遊んでも遅くない。
ほかの作品については、つぶログの「忖度なしゲームレビュー」一覧でまとめている。