忖度なしゲームレビュー

『ウィッチャー3 ワイルドハント』忖度なしレビュー|リマスターで今でも本当に面白い?

『ウィッチャー3 ワイルドハント』が最初に発売されたのは2015年。世界では5月19日、日本では5月21日に登場しました。

それから11年後の2026年9月29日、『ウィッチャー3 ワイルドハント リマスター』がPC、PlayStation 5、Xbox Series X|S、Nintendo Switch 2向けに配信されました。

今回のリマスターは、映像を高解像度化しただけの更新ではありません。戦闘、スキル成長、ゲラルトとローチの操作、UI、アクセシビリティ、MOD環境まで幅広く手が入り、2015年版から残っていた弱点にも改めて調整が加えられています。

ただし、ここで評価するのは「昔の名作がさらに豪華になった」という話ではありません。

2015年当時の評価や受賞歴をいったん横へ置き、2026年に初めて遊んでも本当に高く評価できるRPGなのか。

クエストや人物描写が今でも強い一方で、戦闘、痕跡追跡、大量の「?」マーカー、長時間プレイ時の作業感といった弱点はどこまで改善されたのか。

現在遊べるRemasteredを基準に、『ウィッチャー3』そのものを改めて評価します。

目次
  1. 『ウィッチャー3 ワイルドハント リマスター』とは
  2. まず確認|2026年に新しいPS5パッケージが発売されたわけではない
  3. Remasteredで何が変わった? 2022年版との違い
  4. 2026年でも面白い? 古びていない部分と古さが残る部分
  5. ストーリー|完成された主人公なのにプレイヤーの判断が残る
  6. 選択と結果|「正解」が見えないから悩める
  7. サイドクエスト|2026年でも本作最大の長所
  8. オープンワールド|広さよりも「土地の違い」が強い
  9. 戦闘|Remasteredで改善したが、最大の長所にはならない
  10. スキルツリー刷新|育成は以前より整理された
  11. 怪物を調べ、準備して戦う「ウィッチャーらしさ」
  12. ローチと移動|長年のストレスはかなり減った
  13. UI・アクセシビリティ|面倒な部分を外せるようになった
  14. グウェント|本編から離れた寄り道として今でも強い
  15. 『無情なる心』『血塗られた美酒』まで含めると非常に厚い
  16. ボリューム|長さより「どこまで質を保てるか」を見る
  17. グラフィック|大きく若返ったが、全面リメイクではない
  18. PC版|Path Tracingは通常設定とは分けて考えたい
  19. PS5・PS5 Pro|ハード性能は評価と切り分ける
  20. Nintendo Switch 2版|初代Switch版からは大幅に強化
  21. 家庭用ゲーム機でもMODが利用可能に
  22. 既存プレイヤーはもう一周する価値がある?
  23. 2026年から初めても大丈夫?
  24. 向いている人・注意したい人
  25. 『ウィッチャー3 ワイルドハント リマスター』忖度なしスコア
  26. 総評|昔の名作だからではなく、今遊んでも強い

『ウィッチャー3 ワイルドハント リマスター』とは

『ウィッチャー3 ワイルドハント』は、怪物退治を生業とするウィッチャー、リヴィアのゲラルトを主人公としたオープンワールドRPGです。

戦争によって荒れた北方諸国を旅しながら、ゲラルトの養女であるシリの行方を追うことが物語の大きな軸となります。

項目内容
原作発売2015年5月
Remastered配信2026年9月29日
開発CD PROJEKT RED
対応機種PC/PlayStation 5/Xbox Series X|S/Nintendo Switch 2
ジャンルオープンワールドRPG
収録拡張『無情なる心』『血塗られた美酒』

Remasteredは世界や物語を一から作り直したリメイクではありません。

2015年版のストーリー、クエスト、マップ、人物を土台としながら、現在のハードやプレイ環境に合わせて広範囲を更新したバージョンです。

まず確認|2026年に新しいPS5パッケージが発売されたわけではない

ここは少し分かりにくいところです。

2026年9月29日に『ウィッチャー3 ワイルドハント リマスター』が配信されましたが、PlayStation 5、Xbox Series X|S、PCでは、新しいパッケージ商品が一斉発売されたわけではありません。

対象となる既存所有者へ、同一ゲームをRemasteredへ更新する大型アップグレードとして提供されています。

そのため、PS5版を通販サイトなどで探すと、2026年9月29日発売の商品ではなく、2023年2月9日発売のPS5『ウィッチャー3 ワイルドハント コンプリートエディション』が表示されます。

これは間違った商品が表示されているわけではありません。

PS5版『コンプリートエディション』を含む対象版を所有していれば、現在はRemasteredへ更新して遊べます。

現在は本編に『無情なる心』『血塗られた美酒』も統合され、これから購入する場合も基本的にはコンプリートエディションとして扱われます。

つまり「2026年の新しいPS5パッケージを買う」のではなく、「現在販売されている『ウィッチャー3』をRemasteredの状態で遊ぶ」と考える方が正確です。

Nintendo SwitchからSwitch 2への国内アップグレードは100円

Nintendo Switch版所有者もNintendo Switch 2版Remasteredへ移行できます。

ただし日本国内では、Nintendo Switch 2版へのアップグレードに100円(税込)が必要です。

購入方法やSwitch 2版への移行条件については、『ウィッチャー3』Switch版の価格改定とSwitch 2版アップグレードを整理した記事で詳しくまとめています。

2027年には新拡張『追憶の調べ』も予定

『ウィッチャー3 ワイルドハント 追憶の調べ』は2027年配信予定です。

新地域や新たなクエスト、キャラクターを追加する完全新規の拡張ですが、現時点では未発売です。

そのため、本記事のスコアには含めていません。

Remasteredで何が変わった? 2022年版との違い

『ウィッチャー3』には、2022年12月にも大規模な新世代機向けアップデートが行われています。

そのため、現在使える機能をすべて「2026年Remasteredで追加されたもの」と考えるのは正確ではありません。

時期主な内容
2015年版物語、クエスト、選択、戦闘、オープンワールド、グウェントなどゲームの基本部分
2022年 新世代機向けアップデート60fps対応、レイトレーシング、フォトモード、近接カメラ、印のクイック発動、クロスプログレッション、マップフィルター、一部MOD統合など
2026年 Remastered戦闘・怪物挙動改善、スキルツリー刷新、装備外見変更、移動・ローチ改善、新フィニッシュ、戦闘カメラ、アクセシビリティ、クロスプラットフォームMOD、さらなる映像強化など

2026年版で大きいのは、単なるグラフィック向上だけで終わらなかったことです。

戦闘、育成、移動といった、数十時間にわたって何度も触れる部分へ改めて手を入れています。

既存セーブは利用可能。ただしスキルは振り直し

既存の『ウィッチャー3』セーブデータはRemasteredでも利用できます。

ただしスキルシステムが刷新されたため、習得済みスキルはリセットされ、保有ポイントを新しいシステムへ振り直します。

本編だけでなく、『無情なる心』『血塗られた美酒』で取得した実績・トロフィーも維持されます。

2026年でも面白い? 古びていない部分と古さが残る部分

11年前のゲームなので、Remasteredになったからといってすべてが2026年の新作と同じ感触になったわけではありません。

戦闘の基礎、人物モーション、マーカー中心の探索、ウィッチャーの感覚を使った痕跡追跡などには、元作品の年代が残っています。

一方で、『ウィッチャー3』の評価を支えてきた中心部分はそこではありません。

人物、選択、クエスト、そして地域ごとの世界作り。

この部分は2026年に初めて触れても明確に強いです。

脇道で受けた一件の依頼にも、その土地で生きる人間の事情がある。

単純な「敵を倒して報酬を受け取る」だけでは終わらせないクエスト設計こそ、本作が今でも通用する最大の理由です。

ストーリー|完成された主人公なのにプレイヤーの判断が残る

ゲラルトは、プレイヤーが一から人格を作る主人公ではありません。

すでに長い人生を送り、家族、友人、恋人、敵との関係を持った人物です。

シリ、イェネファー、トリス、ヴェセミル、ダンディリオン。物語が始まる前から、彼らとの間には歴史があります。

それでもRPGとして選択する楽しさが残るのは、ゲラルトの人格そのものを自由に作り替えるのではなく、「この状況でゲラルトをどう行動させるか」をプレイヤーへ委ねているからです。

報酬を取るのか。誰かを助けるのか。政治へ関わるのか。怪物を本当に殺すのか。

既定主人公とロールプレイを両立させた設計は、現在でもよくできています。

『ウィッチャー』『ウィッチャー2』未経験でも遊べる?

『3』から始めても、物語の大筋は追えます。

人物辞典や会話による補足もあり、前2作を遊ばなければ内容を理解できない構成ではありません。

ただし、イェネファー、トリス、シリ、ヴェセミルなどとの関係には、それ以前から続いてきた歴史があります。

『3』からでも十分遊べるが、過去作や原作を知っているほど人間関係の重さまで理解しやすい。

このくらいに考えるのが適切です。

選択と結果|「正解」が見えないから悩める

『ウィッチャー3』の選択肢が優れている理由は、単純に数が多いからではありません。

選んだ瞬間には、何が正解なのか分からない場面が多いからです。

誰かを助ければ別の誰かが傷つく。

怪物だと思っていた相手にも事情がある。

合理的だと思った判断が、数時間後に思わぬ結果として返ってくる。

ゲーム側も、そのたびに大げさな演出で「世界が変わりました」と知らせるわけではありません。

しばらく経ってから以前の判断の結果に気付く。

この距離感は現在でも強いです。

ただし、すべての分岐が理想的ではありません。

一部には「この短い会話が、そこまで大きな結末条件だったのか」と感じる分岐もあります。

先が読めない面白さと、条件の見えにくさは同じものではありません。

サイドクエスト|2026年でも本作最大の長所

『ウィッチャー3』でもっとも高く評価できるのがクエストです。

ゲーム上の操作だけを抜き出せば、怪物を探し、戦い、依頼人へ報告するだけの仕事もあります。

しかし、その前後に人間の事情が挟まります。

依頼人は本当のことを話しているのか。

討伐対象は本当に殺すべき存在なのか。

被害者に見えた人物にも責任があるのではないか。

単純な怪物退治だった依頼が、途中から人間同士の問題へ姿を変えることも珍しくありません。

こうした密度が、メインクエストだけではなく多数のサイドクエストまで続きます。

「経験値と報酬を受け取るための脇道」を、それ自体で読み応えのある物語へ変えた設計は、11年経った現在でも高水準です。

ただし調査パートは繰り返しが多い

物語が毎回違うことと、操作まで毎回違うことは別です。

ウィッチャーの感覚を使い、赤く表示された痕跡を調べ、足跡や匂いを追う。

この流れはかなり頻繁に使われます。

脚本が変化するため単調さは抑えられていますが、ゲームプレイとして見れば明確な反復です。

クエストの書き方は今でも最高峰候補。

一方、調査そのものが同じ水準にあるわけではありません。

オープンワールド|広さよりも「土地の違い」が強い

ヴェレン、ノヴィグラド、スケリッジ、ケィア・モルヘン。そして『血塗られた美酒』で訪れるトゥサン。

『ウィッチャー3』の地域差は、地面や空の色を変えただけではありません。

戦争に疲弊したヴェレン、大都市ノヴィグラド、独自の文化を持つスケリッジ、華やかなトゥサン。

建築、住民、音楽、政治、怪物、そこで起こる事件まで変化します。

マップ面積以上に、場所を移動すると物語や文化まで変わることが本作の強みです。

「?」マーカーは今でも弱い

一方、マップ上に用意された探索地点がすべて同じ密度を持つわけではありません。

盗賊、怪物の巣、財宝、密輸品など、似た内容が繰り返されます。

特にスケリッジ海域の「?」をすべて回収しようとすると、かなり作業的です。

2022年のアップデートから、一部の「?」を隠すマップフィルターが用意されました。

ただし、表示を減らせることと、探索コンテンツ自体が多様化したことは別です。

Remasteredでもこの根本部分は変わっていません。

シリを探す物語と自由な寄り道は少し噛み合わない

物語上のゲラルトには、シリを急いで探す理由があります。

その一方で、プレイヤーはグウェント大会へ出たり、怪物退治を何十件も請け負ったり、宝探しへ出掛けたりできます。

オープンワールドRPGとしては自由度ですが、物語の緊迫感とはズレます。

メインストーリーの質と、オープンワールド構造との接続は分けて評価した方がいい部分です。

戦闘|Remasteredで改善したが、最大の長所にはならない

鋼の剣と銀の剣、速攻、強攻撃、回避、ローリング、パリィ、印、爆薬、オイル、霊薬、石弓。

戦闘に用意された要素そのものは多彩です。

ただ、従来版は回避しながら通常攻撃を繰り返すだけでもかなり進められ、ロックオンや複数戦のカメラにも癖がありました。

Remasteredでは怪物の攻撃・反撃・移動・飛行挙動を調整し、ゲラルトの距離詰め、新フィニッシュ、ロックオン対象の切り替え、戦闘離脱、ダイナミック戦闘カメラなどにも手が入っています。

以前より明らかに扱いやすくなりました。

ただし、戦闘の根本を別作品へ置き換えたわけではありません。

弱点だった戦闘は大きく改善した。しかし、戦闘そのものを主役にした2026年のアクションRPGと比べて最高水準になったわけではない。

ここは総合点を8点台後半へ上げない大きな理由です。

スキルツリー刷新|育成は以前より整理された

Remasteredではスキルシステムも再構築されています。

従来の能力群は、前提スキルから枝分かれする分かりやすいツリーへ整理され、スキルのランクや数値、組み合わせにも調整が入りました。

近接、印、錬金術のどこへ伸ばすのかが視覚的に把握しやすくなっています。

既存プレイヤーでも、改めてビルドを組み直す意味があります。

ただし、取得した能力をすべて常時有効化できるわけではありません。

限られた枠へ使用スキルを組み込む基本思想は残っています。

何でも使える方向へ簡略化したのではなく、育成の流れを整理した変更です。

怪物を調べ、準備して戦う「ウィッチャーらしさ」

怪物図鑑で弱点を確認し、オイル、霊薬、ポーション、爆薬、印を準備する。

怪物退治の専門家という設定と、ゲームシステムが自然につながっている部分です。

一方、本当にすべてを駆使しなければ勝てないわけではありません。

低~標準難易度では、細かな準備を省いても回避と通常攻撃で突破できる場面が多くあります。

高難度、とくにデスマーチでは準備やビルドの重要性が上がりますが、通常プレイでは一部システムをほとんど使わずに進めることもできます。

システムの数が多いことと、戦闘の深さは同じではありません。

ローチと移動|長年のストレスはかなり減った

ローチの扱いづらさは、従来版でよく指摘されてきた部分です。

障害物へ引っかかる。狭い場所で方向を変えづらい。乗り降りでもたつく。

Remasteredではコリジョン回避、入力感度、乗降、駆け足や全力疾走などが見直されました。

さらに騎乗したままアイテムを拾えるようになっています。

一見すると細かな修正ですが、広い世界を何十時間も移動するゲームだけに効果は大きめです。

ゲラルト側も段差、梯子、ジャンプ、乗り越えなどが改善されています。

完全に現代作品の操作へ置き換わったわけではありませんが、以前よりストレスは確実に減っています。

UI・アクセシビリティ|面倒な部分を外せるようになった

Remasteredではクエスト追跡、マップ、アイテム取得、取得内容の表示など、細かなUIも更新されています。

長時間遊ぶ作品では、一回ごとの差は小さくても積み重ねが効きます。

性能を保ったまま装備の外見を変更

新しい見た目変更機能では、武器や防具の性能を維持したまま外観を変えられます。

強い装備を選んだ結果、ゲラルトの見た目がバラバラになる問題を避けられるようになりました。

重量制限や耐久度を無効化する設定もある

アクセシビリティ設定も拡張されています。

「吟遊詩人のバラッド」プリセットでは、体力自然回復、無限息止め、アイテム耐久無限、重量制限無視など、負担を軽減する設定を利用できます。

標準ゲームから重量や耐久度そのものを削除したのではありません。

元の仕組みを残しながら、必要ないと感じる人は外せるようにした形です。

こうした調整はRemasteredの方向性とよく合っています。

グウェント|本編から離れた寄り道として今でも強い

カードゲーム「グウェント」も本作を象徴する寄り道の一つです。

各地のNPCと対戦し、カードを集め、大会や専用クエストへ挑めます。

単なるミニゲームではなく、戦闘とは別の理由で町や村を回る動機を作っています。

もちろんカードゲームに興味がなければ、深く遊ばなくても本編は進められます。

本編とは別に成立した、質の高いサブコンテンツと考えるのが適切です。

『無情なる心』『血塗られた美酒』まで含めると非常に厚い

現在の『ウィッチャー3』には、大型拡張『無情なる心』『血塗られた美酒』が含まれています。

『無情なる心』

『無情なる心』は巨大な新大陸を追加するタイプではなく、一つの物語と登場人物へ深く焦点を当てた拡張です。

本編よりコンパクトなぶん展開が締まり、人物や敵役については本編以上に印象へ残る場面もあります。

ただしゲームプレイ自体は本編の基本を使うため、戦闘や移動の弱点まで別物になるわけではありません。

『血塗られた美酒』

『血塗られた美酒』では新地域トゥサンが追加されます。

建築、色彩、音楽、文化が本編の地域とは大きく異なり、変異システムや自宅などの要素も追加されます。

一本の大型拡張としては非常に規模が大きく、もう一つのRPGに近い内容です。

どちらも現在版の商品価値を高めていますが、拡張の完成度だけで本編側の弱点を帳消しにはしていません。

ボリューム|長さより「どこまで質を保てるか」を見る

メインストーリーだけを追うか、サイドクエスト、怪物退治、探索、拡張まで広く遊ぶかによって、プレイ時間は大きく変わります。

拡張2本まで含めて遊べば、100時間を超えるプレイも珍しくありません。

ただし、長いから高評価というわけではありません。

本作の強みは、その長さの中でも人物クエストや地域ごとの物語が比較的高い品質を保っていることです。

反対に、すべての「?」を埋め、海上の財宝まで回収するような遊び方では作業量が一気に増えます。

興味のある物語を追う人と、マップを100%埋めたい人では印象がかなり変わります。

グラフィック|大きく若返ったが、全面リメイクではない

Remasteredでは環境、NPC、怪物のテクスチャやモデル、植生、ライティング、シェーディング、レンダリングなどが強化されています。

PCではさらに高度なレイトレーシングやPath Tracingにも対応します。

ヴェレンの陰鬱な沼地、スケリッジの自然、トゥサンの鮮やかな景観は、現在でも十分に見応えがあります。

ただし、2015年のゲームを一から作り直した作品ではありません。

一部の顔、会話中の身振り、NPCモーションなどには、元作品の時代を感じるところがあります。

技術面は大きく新しくなりましたが、2026年の完全新作と同じ映像表現ではありません。

音楽は今でも明確な長所

ヴェレン、ノヴィグラド、スケリッジ、トゥサン。

地域が変わるたび音楽も変化し、その土地の文化や空気を作ります。

非常に長いゲームでありながら、それぞれの地域の印象が混ざりにくい。

映像技術とは別に、現在でも古びていない部分です。

PC版|Path Tracingは通常設定とは分けて考えたい

PC版では通常描画、レイトレーシング、さらにPath Tracingまで選択できます。

Path Tracingは非常に負荷が高く、相応のGPU環境が必要です。

そのため、最高設定のPath Tracingが重いことだけを根拠に「PC版全体が重い」と判断するのは正確ではありません。

選択する描画方式によって要求性能は大きく変わります。

発売直後のPC問題はすでに一部修正

Remastered配信直後には、セーブ、HairWorks、音声、ライティングなど複数の問題が報告されました。

10月1日にはPC向けHotfix 5.00cが配信され、特殊文字を含むドキュメントフォルダーでセーブ/ロードできない問題、HairWorksのパフォーマンス・表示問題、音声、Path Tracingを含む一部映像表現などが修正されています。

同日にはPlayStation 5、Xbox Series X|Sなどへパッチ5.00bも配信され、ライティングを中心とした修正が行われました。

したがって、発売初日の不具合を現在もそのまま残る問題として扱うべきではありません。

一方、CD PROJEKT REDは報告された問題の調査を続けているため、技術面が完全に固定された段階とも言い切れません。

PS5・PS5 Pro|ハード性能は評価と切り分ける

通常PS5でもRemasteredの映像・ゲームプレイ改善を利用できます。

PS5 ProではPSSR、VRR、フレームレート上限の拡張など、さらに高い映像品質やパフォーマンスを狙う機能が用意されています。

ただし、高性能なハードで綺麗に動くことを『ウィッチャー3』本編のゲーム評価へ大きく加点する必要はありません。

ゲームそのものの質と、特定機種での映像性能は別に見ています。

Nintendo Switch 2版|初代Switch版からは大幅に強化

Nintendo Switch 2版は、初代Nintendo Switch版をそのまま後方互換で動かすものではなく、Switch 2へ対応したRemasteredです。

初代Switch版は「携帯機で『ウィッチャー3』を最後まで遊べる」こと自体が大きな特徴でしたが、その代わり映像面にはかなり大きな妥協がありました。

Switch 2版では描画環境が強化され、ジャイロ操作、モーション操作、Joy-Con 2のマウスセンサー、タッチスクリーン、HD振動2、VRR、HDRなどSwitch 2固有の機能にも対応しています。

ただし、PS5や高性能PCと完全に同じ映像品質を目指した版ではありません。

携帯性やSwitch 2独自操作まで含めて選ぶバージョンです。

家庭用ゲーム機でもMODが利用可能に

Remasteredではmod.ioを利用したクロスプラットフォームMODサポートが追加されました。

PCだけでなく、PlayStation 5、Xbox Series X|S、Nintendo Switch 2でも対応MODを導入できます。

ただし、PC用MODを無条件ですべて家庭用ゲーム機で使えるわけではありません。

プラットフォームごとの対応条件があり、家庭用機ではMODを使用したセーブデータでトロフィーや実績が無効になる点にも注意が必要です。

MOD対応は大きな追加要素ですが、「ユーザーMODで直せるから公式側の欠点を減点しない」という評価にはしていません。

既存プレイヤーはもう一周する価値がある?

2015年版以来ほとんど触れておらず、2022年の新世代機向けアップデートも遊んでいないなら、現在版との差はかなり大きく感じやすいでしょう。

戦闘、スキル、ローチ、移動、UI、アクセシビリティ、映像、MODまで広範囲に変わっています。

一方、2022年版を最近遊んだ人は、60fps、近接カメラ、クイック印発動、フォトモード、クロスプログレッションなどをすでに体験しています。

その場合、「完全に別のゲームになった」と期待すると違います。

戦闘やスキルの刷新、操作改善、MOD環境、新しい映像表現にどこまで魅力を感じるかが再プレイの判断材料になります。

2026年から初めても大丈夫?

問題ありません。

むしろ現在は、大型拡張2本を含み、操作やUIも改善された状態から始められます。

ただし、「11年前なのに何一つ古く感じないゲーム」ではありません。

戦闘だけなら、現在はさらに洗練されたアクションRPGがあります。

人物モーションや探索テンポにも年代は残ります。

それでも、人物とクエストを追い、自分の選択を積み重ねながら一つの世界へ長く滞在するRPGを求めるなら、2026年でも有力な一本です。

向いている人・注意したい人

向いている人注意したい人
人物とストーリーを重視するRPGが好き戦闘そのものを最優先したい
サイドクエストにも濃い物語を求める痕跡追跡などの反復が苦手
善悪を簡単に決められない選択を楽しみたい選択結果を明確に予測したい
一つの世界を長時間じっくり遊びたい短時間でテンポよくクリアしたい
現在の環境で名作RPGを遊び直したい全面リメイク級の別ゲーム化を期待している

『ウィッチャー3 ワイルドハント リマスター』忖度なしスコア

評価項目スコア評価
ストーリー/キャラクター9.0すでに歴史を持つゲラルトと周囲の人物を、プレイヤーの選択へ自然につなげる。終盤には長さもあるが、現在でも明確な長所。
戦闘/育成・ビルド7.8怪物挙動、操作、カメラ、スキルツリーまでRemasteredで改善。ただし回避主体の基本構造など、2015年版由来の弱さは残る。
オープンワールド/探索8.2地域ごとの文化、景観、物語密度は現在でも強い。一方、「?」マーカー、スケリッジ海域、痕跡追跡には明確な反復がある。
クエスト/選択・ロールプレイ9.3本作最大の長所。サイドクエストまで人物の事情を持たせ、善悪を簡単に決めさせない。2026年でも歴代上位級。
グラフィック/音楽・演出8.7Remasteredで映像表現は大幅強化。美術と音楽は今も強いが、人物モーションや会話演出には元作品の年代が残る。
ボリューム/テンポ8.2本編+大型拡張2本は非常に厚い。ただし終盤やコンプリートを目指す遊び方では、冗長さと作業感も目立つ。
快適性/Remasteredとしての完成度8.1戦闘、移動、ローチ、UI、アクセシビリティ、MODまで改善幅は大きい。全面リメイクではなく、配信直後には技術問題も発生した。
総合評価8.4 / 10人物、クエスト、選択、世界構築は2026年でも歴代上位級。一方、戦闘、痕跡追跡、マーカー探索、テンポといった2015年由来の弱点はRemasteredでも完全には消えていない。現在の一本のRPGとして8.4。

クエストや選択だけを切り取れば、9点台でも不自然ではありません。

ただし一本のゲームとして見ると、戦闘、探索の反復、操作の古さ、長時間プレイ時のテンポまで評価対象になります。

Remasteredで弱点は大きく軽減されましたが、ゲームデザインそのものがすべて作り直されたわけではありません。

そのため、現在のつぶログ基準では8.5以上の領域には置かず、総合8.4としました。

総評|昔の名作だからではなく、今遊んでも強い

『ウィッチャー3 ワイルドハント』がゲーム史で高く評価されてきたことと、2026年に遊んでも優れていることは同じ意味ではありません。

今回現在の基準へ置き直してみると、その両方が成立します。

人物、選択、サイドクエスト、地域ごとの世界作り。

この部分は11年経っても古びていません。

怪物退治の依頼にまで人間の事情を持ち込み、「敵を倒したから解決」で終わらせない。

善悪を簡単に決められない状況を作り、その判断を後からプレイヤーへ返してくる。

このクエスト設計はいまでも本作を選ぶ理由になります。

Remasteredも単なる映像強化ではありません。

戦闘、スキルツリー、ゲラルト、ローチ、UI、アクセシビリティ、MODまで触り直したことで、従来版で感じやすかったストレスはかなり減っています。

それでも戦闘は現在最高峰のアクションではなく、ウィッチャーの感覚による痕跡追跡は繰り返す。

「?」探索やスケリッジ海域の作業感、メインストーリーと寄り道の緊急性のズレも残っています。

だから9点台には置きません。

そして現在のつぶログ基準では、8.5以上へも一歩届かないと判断しました。

昔から名作と呼ばれているから8.4なのではありません。現在遊んでも、クエスト、人物、選択、世界作りに明確な強さがあり、それと同時に残っている弱点まで含めた結果が8.4です。

Remasteredは『ウィッチャー3』を別作品へ作り替えたものではありません。

11年前から強かった部分を残し、弱かった部分を現在の水準へ近づけた更新です。

その結果、2026年から初めて遊ぶ人にも「昔の名作だから一度触ってほしい」ではなく、今でも一本のRPGとして薦められる作品になっています。

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