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関西で空飛ぶクルマ、早ければ2028年商用運航へ|どこを飛ぶ?料金・開始時期を整理

関西の空飛ぶクルマは2028年に乗れる?商用運航・ルート・料金を整理

関西で商用化が検討される空飛ぶクルマをイメージしたeVTOLのアイキャッチ

関西で「空飛ぶクルマ」の商用運航に向けた動きが、本格化しています。

SkyDriveと三菱UFJ銀行は2026年10月6日、交通、航空、インフラ、エネルギー、旅行・観光、金融・保険など複数の企業と連携し、関西圏で空飛ぶクルマの社会実装と将来的な商用運航を目指す共同検討を始めたと発表しました。

報道では、運航を担う共同企業体(JV)を2027年夏ごろまでに設立することも視野に、早ければ2028年の運航開始を目指すとされています。

ただし、ここは注意が必要です。

2028年に関西で商用運航が始まることが正式決定したわけではありません。

三菱UFJ銀行は10月6日の公式発表で、現時点では出資や事業開始時期などの具体的事項について「決定した事実はない」と明記しています。

では、なぜ「2028年」という数字が出ているのでしょうか。どこを飛ぶのか、誰でも乗れるのか、料金はいくらになるのか。現時点で分かっていることと、まだ決まっていないことを整理します。

関西で始まった「空の交通ネットワーク構想」とは

今回始まった共同検討は、「関西 空の交通ネットワーク構想」と呼ばれています。

SkyDriveと三菱UFJ銀行を中心に、複数業界の企業が連携し、空飛ぶクルマを単なる新しい乗り物ではなく、関西圏をつなぐ次世代の交通インフラとして成立させられるかを検討します。

公式に示されている主な検討項目は次の通りです。

検討項目内容
運航ネットワーク関西圏を中長期的にどう結ぶか、具体的なルートを検討
インフラ離着陸場や整備拠点などの整備
運航体制運航、整備、安全管理の仕組みづくり
サービス地域交通や観光と組み合わせた利用方法の検討
事業性継続できるビジネスモデルの構築
地域との調整国、自治体、地域社会との連携や対話

飛行機体だけを完成させれば終わり、という話ではありません。

実際に乗客を運ぶには、離着陸場、整備拠点、運航会社、安全管理、保険、需要、地域との調整など、多くの要素を同時に整える必要があります。

2028年に本当に商用運航が始まる?まだ正式決定ではない

今回のニュースで最も誤解しやすいのが「2028年」という時期です。

報道では、共同検討に参加する企業は約15社とされ、2027年夏ごろまでに運航を担うJVを設立することも視野に、早ければ2028年の運航実現を目指すと伝えられています。

一方、10月6日に公表されたSkyDriveの公式発表では、「2028年から運航開始」とは明記されていません。

さらに三菱UFJ銀行も、公式資料の最後で、「現時点において、出資、事業開始時期その他の具体的事項について決定した事実はありません」としています。

したがって、現時点での整理は次の通りです。

内容現在の状況
関西で商用化に向けた共同検討開始済み
2028年の運航開始報道上の目標時期。正式決定ではない
共同企業体(JV)の設立2027年夏ごろまでの設立が報道されているが、未決定
具体的な運航ルート未決定
料金未発表

「2028年に乗れることが決まった」というニュースではなく、2028年前後の商用化を視野に入れ、本格的な事業設計が始まったと見るのが正確です。

なぜ「2028年」が目標になるのか

2028年という時期は、今回の構想だけから出てきたものではありません。

国土交通省と経済産業省は2026年3月、「空の移動革命に向けたロードマップ」を改訂し、2027年または2028年から一部地域で商用運航を始めるという目標を明記しました。

時期国のロードマップ
2027~2028年一部地域で商用運航開始
2030年代前半運航地域拡大、遠隔操縦による旅客輸送
2030年代後半自動・自律運航の一部実現

SkyDriveも2028年の商用化を目標に機体開発を進めています。

つまり、今回報道されている「早ければ2028年」という時期は、国の社会実装ロードマップやSkyDrive自身の開発目標とも重なるタイミングです。

どこを飛ぶ?今回のルートはまだ決まっていない

では、関西のどこからどこまで飛ぶのでしょうか。

今回の「関西 空の交通ネットワーク構想」では、具体的な運航ルートはまだ決定していません。

今後、関西圏全体を対象に、運航ネットワークや離着陸場、整備拠点などを検討していく段階です。

そのため現時点で、「関西空港から大阪駅まで飛ぶ」「大阪から京都を結ぶ」といった具体的なルートが決まったわけではありません。

大阪では別に「ダイヤモンドルート構想」が進んでいる

一方、大阪ではすでに別の計画も進んでいます。

SkyDriveとOsaka Metroは2024年12月、「大阪ダイヤモンドルート構想」を発表しました。

重要エリアとして挙げられているのは、次の4地域です。

  • 新大阪・梅田
  • 森之宮
  • 天王寺・阿倍野
  • ベイエリア

この構想では、まず2028年を目途に森之宮エリアでサービス開始を目指し、2030年以降に順次拡大していく計画です。

ただし、これは今回発表された「関西 空の交通ネットワーク構想」とは別の取り組みです。

同じSkyDriveが関わっているため混同しやすいものの、今回の構想は大阪市内だけでなく、より広い関西圏で交通ネットワークを検討するものです。

上の映像は、SkyDriveとOsaka Metroが公表している「大阪ダイヤモンドルート構想」の公式イメージです。今回の関西全体の運航ルートを示すものではありませんが、空飛ぶクルマが都市交通としてどのように使われることを想定しているのかをイメージしやすい内容です。

使われる空飛ぶクルマはどんな機体?

SkyDriveが現在開発している機体は、「SKYDRIVE(SkyDrive式SD-05型)」です。

「空飛ぶクルマ」と呼ばれていますが、道路を走る自動車に翼が付いてそのまま飛ぶ乗り物ではありません。

実態は、電動モーターで垂直に離着陸できる小型航空機、いわゆるeVTOLに近いものです。

項目SKYDRIVEの基本仕様
最大搭乗人数3人(操縦士1人+乗客2人)
動力バッテリーによる100%電動
駆動方式12基のモーター・ローター
航続距離15~40km
最大離陸重量1,400kg

最大搭乗人数は3人ですが、そのうち1人は操縦士です。現行仕様では、乗客として乗れるのは2人となります。

少なくとも導入初期から、電車やバスのように大勢をまとめて運ぶ交通機関になるわけではありません。

自動運転で飛ぶの?2028年時点では操縦士ありを前提

「空飛ぶクルマ」という言葉から、無人で自動飛行するタクシーを想像する人もいるかもしれません。

しかし、SkyDriveが現在公表している機体は操縦士1人+乗客2人の3人乗りです。

国のロードマップでも、完全な自動・自律運航はもっと先に置かれています。

2030年代前半に遠隔操縦による旅客輸送、2030年代後半に自動・自律運航の一部実現を目指す流れです。

そのため、2028年前後に商用運航が始まったとしても、最初から無人機が都市上空を自由に飛び回るような形ではありません。

大阪・関西万博で飛んでいた機体とは何が違う?

空飛ぶクルマと聞いて、2025年の大阪・関西万博を思い出す人も多いでしょう。

万博ではSkyDriveのSD-05のほか、Joby AviationのJoby S4、LIFT AircraftのHEXAなどが飛行しました。

ただし、万博で行われたのは一般客を料金を取って運ぶ商用旅客サービスではなく、デモフライトです。

今回の動きは、その実証段階から一歩進み、実際に乗客を運ぶサービスをどう成立させるかを考える段階に移ったものといえます。

機体を飛ばせることと、日常の交通機関として運航できることは別の話です。

まだ型式証明は取得途中|2028年までに残る課題

SkyDriveの機体はすでに飛行試験を重ねていますが、商用運航に必要な準備がすべて終わったわけではありません。

航空機として乗客を運ぶためには、安全性を確認する型式証明をはじめ、さまざまな条件を満たす必要があります。

2026年時点のSkyDriveは、型式証明の取得に向けた審査や試験を進めている段階です。

さらに実際の商用化には、次のような準備も必要になります。

  • 機体の認証と安全性確認
  • 操縦士や運航会社の体制整備
  • 離着陸場「バーティポート」の整備
  • 充電設備や整備拠点の確保
  • 航空交通との調整
  • 安全管理や保険制度
  • 地域住民や自治体との調整
  • 料金設定や採算性の確保

今回、航空会社だけではなく、インフラ、エネルギー、観光、金融、保険など幅広い業界が参加しているのも、このためです。

なぜ関西で商用化を目指すのか

関西が空飛ぶクルマの社会実装候補として注目されている理由は、大阪・関西万博だけではありません。

三菱UFJ銀行は、関西圏について、国際空港や新幹線主要駅を含む広域交通網、観光資源、産業集積を持つ点を強みとして挙げています。

さらに万博をきっかけに、自治体や民間事業者による飛行実証や離着陸場整備の検討が進みました。

近畿経済産業局も、福井、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山の7府県と連携し、2020年代後半を目途に関西で国内初の商用運航を実現することを目指しています。

今回の構想だけが突然始まったのではなく、関西では数年前から複数のプロジェクトが並行して進んでいるわけです。

大阪港や市内の屋上も候補に|離着陸場の準備も進む

関西では、機体だけでなく「どこから飛ぶか」という地上側の準備も進み始めています。

大阪では、大阪港のバーティポートを活用した商用運航や、大阪市内にある既存ビルの屋上緊急離着陸場を空飛ぶクルマ向けに転用できないかという検討も行われています。

空飛ぶクルマはヘリコプターのように長い滑走路を必要としないことが強みですが、それでも安全に離着陸し、充電や乗降を行う場所は必要です。

都市の中心部にどこまで離着陸拠点を作れるかは、将来の使い勝手を大きく左右します。

料金はいくらになる?現時点では未発表

商用運航となれば、やはり気になるのが料金です。

しかし、今回の構想について具体的な運賃はまだ発表されていません。

大阪から関西空港までいくら、京都までいくらといった料金も決まっていません。

海外のeVTOL事業や過去の事業構想を参考に価格を予想することはできますが、今回の運航価格とは別物です。現段階では、具体的な金額を事実として扱うことはできません。

誰でも乗れる?最初は限定的なサービスになる可能性

商用運航が始まった場合、誰でもすぐ日常的に使えるようになるのでしょうか。

これについても、今回の構想ではまだ利用方法や予約方法は決まっていません。

国のロードマップを見ると、導入初期は一部地域での限定的な二地点間運航や遊覧飛行などから始め、徐々に利用エリアを広げていく考え方が示されています。

さらにSkyDriveの現行機は乗客2人です。

このため、少なくとも最初から「空を走る電車」のような大量輸送手段になるわけではありません。

空港アクセス、観光、遊覧、都市内の短距離移動など、限られた用途から実用化が始まる可能性がありますが、今回の関西構想で具体的な用途が正式決定したわけではありません。

2028年に何が実現すれば「商用運航」と呼べるのか

今回のニュースで注目したいのは、「機体が飛ぶかどうか」だけではありません。

大阪・関西万博ですでにデモフライトは実現しています。

次の壁は、乗客がお金を払って予約し、決められた場所から安全に移動できるサービスを継続的に運営できるかどうかです。

そのためには、機体の認証だけでなく、運航会社、離着陸場、整備、安全管理、保険、料金、利用者、地域理解までそろわなければなりません。

「2028年に飛ぶか」よりも、「2028年前後に実際の交通サービスとして成立するところまで進めるか」が今回の構想を見るうえで重要なポイントです。

まとめ|2028年は目標、商用運航開始はまだ決定していない

関西では、SkyDriveと三菱UFJ銀行を中心に、空飛ぶクルマの社会実装と商用運航に向けた「関西 空の交通ネットワーク構想」が始まりました。

報道では、約15社が参加し、早ければ2028年の運航開始を目指すとされています。

国も2027~2028年から一部地域で商用運航を始めるロードマップを示しており、SkyDriveも2028年の商用化を目標に開発を進めています。

ただし、今回の関西構想で2028年の運航開始が正式決定したわけではありません。

ルート、料金、運航会社、利用方法、事業開始日など、まだ決まっていない項目は多く残っています。

それでも、万博でのデモフライトから、運航網や離着陸場、事業モデルを具体的に考える段階へ進んだことは大きな変化です。

長く「未来の乗り物」として語られてきた空飛ぶクルマが、関西ではいよいよ「実際にどう運航するか」を考える段階に入りつつあります。

参考:公式情報

SkyDrive「関西圏での空飛ぶクルマ社会実装と商用運航実現に向けた共同検討を開始」

三菱UFJ銀行「関西圏における空飛ぶクルマの社会実装と商用運航実現に向けた共同検討の開始について」

国土交通省「空の移動革命に向けたロードマップを改訂しました」

Osaka Metro「大阪ダイヤモンドルート構想」

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