- 『装甲騎兵ボトムズ 灰色の魔女』はキリコの続編?時系列・主人公アッシュ・旧作との関係を整理
- 『灰色の魔女』はキリコの続編なのか?
- 時系列はいつ?舞台は「百年戦争末期」
- 実は1983年TV版も「百年戦争末期」から始まる
- 『野望のルーツ』『ペールゼン・ファイルズ』とはどうつながる?
- キリコ・キュービィーは登場する?
- アッシュは「異能生存体」なのか?
- マキはアッシュを追う女性士官
- なぜ「灰色の魔女(ヘクセ)」?
- 押井守が監督、髙橋良輔も監修として参加
- スコープドッグも新作に登場する
- 「15年ぶりの完全新作」は何から15年?
- 旧作を見ていなくても『灰色の魔女』から入れる?
- 予習するなら何を見る?
- 9月から公式YouTubeでも旧シリーズを追える
- 『灰色の魔女』は全2部作|第1作は11月20日公開
- まとめ|キリコの15年後ではなく「百年戦争末期の新しい戦場」
『装甲騎兵ボトムズ 灰色の魔女』はキリコの続編?時系列・主人公アッシュ・旧作との関係を整理

2026年11月20日に第1作が公開される『装甲騎兵ボトムズ 灰色の魔女(ヘクセ)』。
シリーズ約15年ぶりの完全新作と聞けば、「キリコ・キュービィーのその後を描く続編なのか」と思う人もいるでしょう。
ところが、今回の物語の中心にいるのはキリコではありません。
過酷な作戦からただ一人生還し続けることから“魔女”と呼ばれる兵士アッシュ・ヴァンプスと、彼女の謎を調べる密命を帯びた女性士官マキ・シュタウフェンベルク。舞台も『幻影篇』などより後の時代ではなく、ギルガメスとバララントが戦い続けていた**「百年戦争末期」**です。
ただし、ここで「1983年TVシリーズより前の前日譚」と決めてしまうのも正確ではありません。
実はTV版の第1話「終戦」も、キリコが百年戦争末期の作戦へ参加するところから始まっています。『灰色の魔女』とTV第1話の細かな前後関係は、2026年8月22日時点では明らかになっていません。
つまり今回の新作は、キリコの後日談をそのまま続ける作品ではなく、キリコが戦っていた時代と重なる「百年戦争末期」に、新しい人物と新しい戦場を置いた物語と考えるのが現在は一番分かりやすいでしょう。
『灰色の魔女』はキリコの続編なのか?
少なくとも、『幻影篇』『孤影再び』の続きをキリコ主人公で描く作品として発表されてはいません。
公式サイトが物語の軸として紹介しているのは、アッシュとマキの2人です。
アッシュはAT(アーマードトルーパー)のパイロット。
寄せ集めの兵士で構成された懲罰部隊に所属し、どんな過酷な作戦でもただ一人生還することから“魔女”として畏怖されています。
一方のマキは、アッシュを調査する任務を密かに受けて前線基地へ赴任した女性士官。さらに自らATパイロットとして、アッシュの部隊に命じられた敵陣への強行降下作戦へ参加します。
| 項目 | 1983年TV『装甲騎兵ボトムズ』 | 『灰色の魔女』 |
|---|---|---|
| 物語の軸 | キリコ・キュービィー | アッシュ・ヴァンプス/マキ・シュタウフェンベルク |
| 開始時代 | 百年戦争末期 | 百年戦争末期 |
| その後 | 終戦後のウドへ | 詳細未発表 |
| 主な舞台 | リド、ウド、クメンほか | ヴァルキュリアII |
| 形式 | TV全52話 | 劇場全2部作 |
| 新作第1作 | ― | 2026年11月20日公開 |
| 監督 | 髙橋良輔 | 押井守 |
| 髙橋良輔 | 原作・監督・構成 | 原作・監修 |
| キリコ | 主人公 | 登場は未発表 |
「続編か?」という疑問に対しては、シリーズの世界と歴史を引き継ぐ完全新作ではあるものの、キリコの旅を時系列順にそのまま継続する後日談ではない、という答えになります。
時系列はいつ?舞台は「百年戦争末期」
『ボトムズ』の世界では、アストラギウス銀河を二分するギルガメス連合とバララント同盟が、およそ100年にわたって戦争を続けていました。
これが「百年戦争」です。
公式設定ではアストラギウス暦7213年に休戦しています。
『灰色の魔女』が描くのは、その終結が迫った百年戦争末期。
舞台は、
アスガルズ星系第二惑星ヴァルキュリアII
です。
その前線基地へ赴任してきたマキがアッシュと出会うところから、新しい物語が動き始めます。
ここまで聞くと、
「それなら1983年のTV版より前では?」
と思うかもしれません。
ところが、そう単純ではありません。
実は1983年TV版も「百年戦争末期」から始まる
TVシリーズ全52話を「百年戦争が終わった後の話」と覚えている人も多いでしょう。
確かに、ウド篇以降のキリコは終戦後の世界を歩いています。
しかし物語そのものの出発点は終戦前です。
TV第1話「終戦」でキリコは、百年戦争末期に行われた小惑星リド襲撃作戦へ参加します。
そこで軍の最高機密である「素体」を目撃したことをきっかけに、自軍から追われる立場になり、その後に百年戦争が終結。終戦後のウドへ流れ着きます。
つまり、
TVシリーズ
百年戦争末期のリド襲撃 → 終戦 → ウド
という流れです。
『灰色の魔女』も百年戦争末期ですが、ヴァルキュリアIIで起きる事件が、
- リド襲撃より前なのか
- 同じ頃なのか
- リド襲撃より後、休戦より前なのか
までは発表されていません。
そのため、
「灰色の魔女はTV版より前の前日譚」
と現段階で固定することはできません。
『野望のルーツ』『ペールゼン・ファイルズ』とはどうつながる?
百年戦争末期を描いた『ボトムズ』作品は、今回が初めてではありません。
キリコの過去を描いた代表的な作品が、
『レッドショルダードキュメント 野望のルーツ』
と、
『装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ』
です。
『野望のルーツ』は、キリコがレッドショルダーへ入隊していく時期を扱った、明確にTVシリーズ以前の物語です。ボトムズ公式も「テレビシリーズ以前を描くOVA」と位置づけています。
『ペールゼン・ファイルズ』も百年戦争末期。
キリコとバーコフ、ゴダン、ザキ、コチャックらが集められ、「異能生存体」の有用性を確かめるため、過酷な戦場へ送り込まれていきます。
大まかに整理すると、
| 作品 | 大まかな時代 | 中心人物 |
|---|---|---|
| 『野望のルーツ』 | 百年戦争中/TV以前 | キリコ |
| 『ペールゼン・ファイルズ』 | 百年戦争末期 | キリコほか |
| 『灰色の魔女』 | 百年戦争末期 | アッシュ/マキ |
| TV『装甲騎兵ボトムズ』第1話 | 百年戦争末期 | キリコ |
| TV版ウド篇以降 | 百年戦争終結後 | キリコ |
注意したいのは、この表の上から順番にすべての出来事が起きるという意味ではないことです。
特に『灰色の魔女』については、『ペールゼン・ファイルズ』のモナド攻略作戦やTV版のリド襲撃との正確な年代差が示されていません。
共通しているのは、同じ戦争の「末期」を描いているというところまでです。
キリコ・キュービィーは登場する?
キリコの登場はまだ発表されていません。
2026年8月21日にメインキャストが公開されましたが、役名まで明かされているのは、
アッシュ・ヴァンプス:沢城みゆき
マキ・シュタウフェンベルク:安藤麻吹
です。
そのほか三木眞一郎さん、梶裕貴さん、中村悠一さん、鶴岡聡さん、杉田智和さん、三宅健太さん、茶風林さん、大塚芳忠さん、小野大輔さん、菅生隆之さん、櫻井孝宏さん、上坂すみれさんの出演も発表されていますが、現時点では役名が公表されていません。
これだけを根拠に既存キャラクターを割り当てることはできません。
同様に、
「新主人公だからキリコは絶対に出ない」
とも言えません。
今の段階で分かっているのは、キリコが主人公ではなく、登場の有無も発表されていないということだけです。
アッシュは「異能生存体」なのか?
『ボトムズ』を知っている人なら、アッシュの紹介を読んで真っ先に連想する設定があります。
異能生存体です。
公式用語集では、極めて高い生存率を持つ個体をペールゼンが「異能生存体」と呼び、キリコがその存在であると説明されています。
そしてアッシュは、
どんな過酷な作戦でもただ一人生還する
兵士です。
似た要素を持っているのは確かです。
しかし、アッシュが異能生存体だとは発表されていません。
「生還能力が高い」という一点だけで、キリコと同じ存在だと決めることはできません。
公式ストーリー自体が「アッシュに秘められた真実」を物語上の謎として残している以上、この部分は映画を見るまで答えが伏せられている可能性があります。
少なくとも公開前の段階で、
女性版キリコ
キリコと同じ異能生存体
と設定を確定させるのは早いでしょう。
マキはアッシュを追う女性士官
もう一人の中心人物が、マキ・シュタウフェンベルクです。
公式紹介では、アッシュの秘密を調べる密命を帯びた女性士官。
さらに独立宣伝中隊に所属し、アッシュを調査するだけでなく、自らATへ乗って強行降下作戦へ同行します。
旧シリーズを知っている人なら、「謎めいた兵士を追跡・調査する人物」という役割からロッチナを思い出すかもしれません。
ただし、それは構図上の連想にすぎません。
マキが「新作版ロッチナ」のような立場だとは発表されておらず、人物の目的や最終的な役割まで同じとは限りません。
アッシュだけでなく、彼女を調べるマキも自ら戦場の中へ入っていくことが、今回の設定の特徴です。
なぜ「灰色の魔女(ヘクセ)」?
作品の正式な読みは、
『ソウコウキヘイボトムズ ハイイロノヘクセ』
です。
初回発表時のバンダイナムコグループ公式資料でも、この読みが明記されています。海外表記には**「DIE GRAUE HEXE」**が使われています。
「Hexe」はドイツ語で「魔女」。
そして作中ではアッシュ自身が“魔女”と呼ばれています。
ただし、なぜタイトル全体をこの表現にしたのか、あるいは「灰色」がアッシュのどんな秘密を示しているのかまでは説明されていません。
タイトルだけから物語の真相を先回りして決めることはできません。
押井守が監督、髙橋良輔も監修として参加
『灰色の魔女』で監督を務めるのは押井守氏です。
一方、1983年TVシリーズで原作・監督・構成を務めた髙橋良輔氏も、原作・監修として新作へ参加しています。
つまり、
「髙橋良輔のボトムズから、押井守へ完全に交代した」
という関係ではありません。
押井氏は『ボトムズ』について以前から好きだった作品だと語り、今回についても戦争アクションを真面目に作っているとコメントしています。
髙橋氏も、押井氏ならではの演出が『ボトムズ』でどう発揮されるのかを楽しみにしているとしています。
脚本は押井守・山邑圭。
キャラクターデザイン原案に黄瀬和哉、キャラクターデザインに西尾鉄也・小島崇史・小木曽伸吾。
オリジナルメカニカルデザインはシリーズでおなじみの大河原邦男、メカニカルデザインには常木志伸・曽野由大・石口十・稲田航が参加します。
音楽は川井憲次。
企画・制作はサンライズ、制作協力がProduction I.Gです。
Production I.G単独制作の作品ではありません。
スコープドッグも新作に登場する
主人公がキリコから変わっても、ATそのものが別物になるわけではありません。
公式サイトではすでにスコープドッグがメカとして紹介され、本予告にもAT戦が登場しています。
初めて『ボトムズ』を見る人向けに整理すると、「ボトムズ」という名前の巨大ロボットが存在するわけではありません。
兵士が乗る人型兵器の総称が、
AT(アーマードトルーパー)
です。
その代表的な機体がスコープドッグ。
ボトムズ公式の用語集では、ATは百年戦争末期に登場した兵器として説明されています。
『灰色の魔女』は、新しい主人公と戦場を描きながら、このATが大量に投入された百年戦争末期へ戻る作品でもあります。
「15年ぶりの完全新作」は何から15年?
『灰色の魔女』は各社から**「シリーズ15年ぶりの完全新作」**として紹介されています。
ボトムズ公式の映像作品史を見ると、2010年に『幻影篇』、2011年には「ボトムズフェスティバル」として『ボトムズファインダー』『孤影再び』などが展開されました。
『孤影再び』のOVA発売は2011年4月26日です。
そこから2026年まで約15年。
したがって今回の「15年ぶり」は、1983年TVシリーズから15年という意味ではなく、2011年前後の新作映像展開以来という意味です。
なお『灰色の魔女』は、サンライズ50周年記念作品として制作されています。
旧作を見ていなくても『灰色の魔女』から入れる?
『灰色の魔女』は、新主人公、新しい惑星、新しい作戦から始まります。
そのため、キリコの後日談の途中へ突然放り込まれる構成ではありません。
一方で世界そのものは共通しています。
最低限、
- ギルガメスとバララントが長く戦争している
- その終結間近が「百年戦争末期」
- 兵士たちはATと呼ばれる人型兵器に乗る
- スコープドッグは代表的なAT
というところを知っていれば、現在発表されている導入は理解しやすいでしょう。
ただし旧シリーズを見ている人なら、アッシュの異常な生還能力やスコープドッグ、百年戦争末期という時代そのものから、過去作品との接点をいくつも連想できます。
新作から入れない作品ではなさそうですが、旧作を知っているほど設定の意味が増えるタイプの作品とは言えそうです。
予習するなら何を見る?
映画公開までにTV全52話を必ず見る必要があるとは言えません。
時間に合わせるなら、次の見方が現実的です。
最低限ならTV第1話「終戦」
百年戦争末期から、終戦後の物語へ切り替わる構造が分かります。
「灰色の魔女も百年戦争末期」という情報を理解するには、一番短い入口です。
キリコの過去を知るなら『野望のルーツ』
TV版以前のキリコと、レッドショルダー、異常な生存性に関わる物語です。
『灰色の魔女』と近い時代を深く知るなら『ペールゼン・ファイルズ』
同じ百年戦争末期を舞台にしており、AT兵士が過酷な作戦を転戦する世界をより深く理解できます。
ただし、これらが『灰色の魔女』の公式指定予習作品というわけではありません。
あくまで、どこまで旧作を知りたいかで選べば十分です。
9月から公式YouTubeでも旧シリーズを追える
2026年9月1日から、公式YouTube「サンライズチャンネル」に有料メンバーシップが導入されます。
9月のピックアップ作品には『装甲騎兵ボトムズ』シリーズが選ばれ、OVAや劇場版を含む期間限定の全話配信が予定されています。
さらに『灰色の魔女』のメイキング映像もメンバー限定で公開予定です。
ここは通常の無料配信とは別です。
サンライズチャンネル自体には無料配信がありますが、今回発表されたシリーズ全話配信とメイキングはメンバーシップ施策として案内されています。
映画公開前に旧作をまとめて見たい人には、選択肢の一つになります。
『灰色の魔女』は全2部作|第1作は11月20日公開
『装甲騎兵ボトムズ 灰色の魔女』は劇場全2部作です。
第1作:2026年11月20日(金)
第2作:公開時期は後日発表
となっています。
したがって、11月20日に公開される1本だけでシリーズ全体が完結するとは限りません。
公式も「前編・後編」ではなく、現在は**「第1作」「第2作」**という表記を使用しています。
第2作の時期や、第1作が物語のどの地点まで描くのかは、まだ明らかになっていません。
まとめ|キリコの15年後ではなく「百年戦争末期の新しい戦場」
『装甲騎兵ボトムズ 灰色の魔女』は、キリコ・キュービィーの後年の旅をそのまま続ける新作ではありません。
中心となるのは、
“魔女”と呼ばれる兵士アッシュ・ヴァンプス
と、
その謎を追う女性士官マキ・シュタウフェンベルク
です。
時代は百年戦争末期。
ただし、1983年TVシリーズも第1話は同じ百年戦争末期から始まるため、『灰色の魔女』を単純に「TV版以前の前日譚」と呼ぶことはできません。
TV第1話のリド襲撃、『ペールゼン・ファイルズ』、そしてヴァルキュリアIIで起きる今回の事件が、日付単位でどう並ぶのかはまだ発表されていません。
キリコが登場するかも未発表。
アッシュが異能生存体なのかも未発表です。
だからこそ現時点で確実に言えるのは、
「キリコの続き」ではなく、「キリコも戦っていた百年戦争末期に、新しい兵士たちを置いたボトムズ」
というところまでです。
押井守監督、髙橋良輔監修のもとで、その同じ戦争が別の戦場からどう見えるのか。
旧シリーズを知る人にも、ここから初めてATの戦場へ入る人にも、『灰色の魔女』の位置づけを理解する鍵はそこにあります。