有線イヤホンが再流行する理由は?若者の人気と販売データを検証

ワイヤレスイヤホンが当たり前になった今、街中で白いコードを垂らした有線イヤホンを見かける機会が増えています。かつては「コードが邪魔」「絡まるのが面倒」と敬遠されたものが、若い世代の間ではファッションアイテムとしても注目されているのです。
2025年には、SHIBUYA109 lab.の男性ファッショントレンド大賞で有線イヤホンが1位に選ばれました。2026年11月4日放送のTBS『THE TIME,』でも、イヤホンのコードを毛糸で飾る若者や、新しい有線イヤホンを扱う店舗が紹介されています。
ただ、今回の再流行は、単純に昔のイヤホンへ戻っているという話ではありません。
有線イヤホンが再び注目される理由は、Y2Kファッションとの相性、充電不要の手軽さ、紛失しにくさ、接続の安定性など、複数の魅力が見直されているためです。
一方、日本全国で有線イヤホンの販売数量が急増していると断定できる統計は確認できていません。ファッションとしての人気と、実際の販売動向を分けながら、なぜ今コード付きが選ばれているのかを詳しく見ていきます。
有線イヤホンが再流行している5つの理由
現在の有線イヤホン人気には、見た目を楽しむ人と、日常の使いやすさを求める人が混在しています。両者は必ずしも同じ理由で使っているわけではありません。
① Y2Kファッションとの相性がいい
再流行の背景として、まず挙げられるのがY2Kファッションです。
Y2Kとは、主に2000年前後の文化やデザインを指す言葉。ファッションでは、当時の服装やアクセサリーを現代風に取り入れるスタイルとして親しまれています。
スマートフォンにワイヤレスイヤホンを接続することが自然になった世代にとって、耳から白いコードが伸びている姿は、かえって新鮮に映ります。
SHIBUYA109 lab.が2024年12月5日に発表した「2025年トレンド予測」では、有線イヤホンを首からネクタイのように垂らす着こなしや、古着系ファッションとの組み合わせが紹介されていました。
さらに、2025年11月11日発表の「メンズトレンド大賞2025」では、有線イヤホンがファッション部門の1位に選ばれています。
この調査は15〜24歳の男性646人を対象としたもので、あらかじめ選ばれた候補について回答を集めたランキングです。日本の若者全員が最も好むファッション用品という意味ではありませんが、音響機器がファッション部門のトップになったことは興味深い結果です。
参考:SHIBUYA109 lab. メンズトレンド大賞2025
② コードを飾る「デコ文化」が広がっている
以前の有線イヤホンは、コードをできるだけ目立たせないことが一般的でした。ところが現在は、そのコードをあえて飾る楽しみ方が生まれています。
2026年11月4日放送の『THE TIME,』では、コードに毛糸や刺しゅう糸を編み込んだり、ビーズやストーン、チャームを取り付けたりする若者が取材されました。
アパレルショップのSPINNSではイヤホン用のチャームが紹介され、雑貨店のLatticeでも装飾用アイテムが販売されています。
注目したいのは、もともと自宅にある安価な有線イヤホンでも、工夫次第で自分だけのアクセサリーに変えられることです。
服装に合わせて色を変えることも、好きなキャラクターを連想させる配色にすることもできます。高価なイヤホンを購入しなくても個性を表現できる点は、ワイヤレスとは違った楽しみ方でしょう。
かつて取り除きたかったコードが、今では見せたい部分になっている。 ここに、今回の再流行を象徴する変化があります。
ただし、装飾によって操作ボタンやマイクを覆ったり、コードに強い力を加えたりすると、使い勝手の悪化や断線につながる可能性があります。音楽を聴くためにも使うなら、見た目と実用性の両立が大切です。
③ イヤホン本体を充電する必要がない
ファッションとは別に、有線イヤホンならではの実用的な魅力もあります。その代表が充電の手間を減らせることです。
完全ワイヤレスイヤホンの場合、左右のイヤホンと充電ケースのバッテリー残量を管理する必要があります。使おうとしたときに充電が切れていたり、ケースを充電し忘れていたりすると、すぐに音楽を聴けません。
一般的な有線イヤホンは、対応する端子に接続すれば使用できます。Bluetoothのペアリングも必要ありません。
2026年5月に実施されたワカモノリサーチの調査でも、有線を選ぶ若者から、充電の面倒さやバッテリー切れを避けたいという回答が寄せられています。
ただし、充電不要と電力不要は別です。USB-C接続でデジタル音声処理やノイズキャンセリングを行う製品には、スマートフォンなどの接続機器から給電されるものがあります。
イヤホン自体を充電しなくてよいことが利点であり、接続機器のバッテリーを一切消費しないという意味ではありません。
④ 片方だけ失くしにくく、接続も分かりやすい
完全ワイヤレスイヤホンを使っていて、片方が耳から外れたり、ケースの中に見当たらなくなったりした経験がある人もいるでしょう。
有線イヤホンは左右がコードでつながっているため、片方だけを落として気づかないという心配を減らせます。もちろん、イヤホン全体を失くす可能性はありますが、左右が独立した製品とは紛失の仕方が異なります。
また、Bluetooth接続では、電波環境や機器の状態によって音が途切れたり、別の機器に接続されてしまったりすることがあります。
有線の場合、物理的につながっていることが見えるため、接続状態が分かりやすいという安心感があります。ただし、端子の接触不良やコードの断線が起きないわけではありません。
便利さの基準は人によって違います。コードがないことを快適と感じる人もいれば、コードがつながっていることに安心する人もいるのです。
⑤ ゲームなどで音声の遅延を抑えやすい
有線イヤホンの実用的な利点として、音声遅延の少なさも挙げられます。
Bluetooth接続では、音声データの伝送や処理に時間がかかる場合があります。普段の音楽鑑賞では気にならなくても、音楽ゲームやタイミングが重要なゲームでは、操作と音のずれが問題になることがあります。
有線接続は一般にその遅延を抑えやすく、2026年の若者調査でも、音楽ゲームを遊ぶ際の遅延を理由に有線を選ぶ回答が確認されました。
ただし、有線なら音声遅延が完全にゼロになるわけではありません。 ゲーム機やスマートフォン内部の処理、イヤホン側のデジタル処理などによる遅延は残り得ます。
また、最近のワイヤレス製品にも低遅延を重視した機種があります。どちらが適しているかは、接続方式だけでなく、使用する機器やゲームによって判断する必要があります。
有線イヤホンの再流行はいつから?実は2021年にも話題になっていた
有線イヤホンの人気を2026年に始まった新しい流行だと思っている人もいるかもしれません。しかし、ファッションとしての再評価は数年前から報じられていました。
2019年には海外のファッションメディアが注目
早い事例として確認できるのが、2019年12月の米国版Vogueによる記事です。
モデルのベラ・ハディッドが有線のApple EarPodsを着用していた姿を取り上げ、最新のワイヤレス製品ではなく、あえて昔ながらのコード付きイヤホンを選ぶスタイルに注目しました。
2021年にはVogueやTeen Vogueが、モデルや俳優の有線イヤホン姿をファッションの文脈で紹介しています。
日本でも2021年12月11日、ギズモード・ジャパンが若者の有線イヤホン回帰を取り上げました。
つまり、日本で2024年に初めて流行が生まれたわけでも、2026年になって突然人気が出たわけでもありません。
ただし、2019年を世界的ブームの発祥年と断定する根拠はありません。海外での再評価が日本にどう伝わったのか、また数年間にわたって人気が一貫して拡大したのかも確認できていません。
2024〜2026年には日本の若者文化として定着の動き
2024年12月のSHIBUYA109 lab.のトレンド予測では、有線イヤホンが翌年の注目アイテムとして選ばれました。2025年11月には、若い男性を対象としたファッション部門で1位になっています。
さらに2026年には、デザイン性や機能を重視した有線イヤホンがメーカーから投入され、11月にはテレビでも特集されました。
こうして時系列で見ると、最近の再流行は一度きりのニュースではなく、以前からあった再評価の動きが、ファッションや商品展開の面で再び注目されている現象と捉えられます。
若者の4人に1人は有線派?実際の調査結果
2026年10月28日、ワカモノリサーチは若者のイヤホン利用に関する調査結果を公表しました。
調査対象は全国の15〜20歳の男女310人。調査期間は2026年5月8日から25日までです。
音楽を聴くときに有線と無線のどちらを使用するかという質問に対して、有線イヤホンを選んだ人は25.2%、無線イヤホンを選んだ人は74.8%でした。
およそ4人に1人が有線を選んだ一方、無線が多数派であることも明らかになっています。
ただし、これは2026年5月時点の310人に対するインターネット調査です。日本の若者全体の正確な利用率でも、ワイヤレスから有線へ乗り換えた割合でもありません。
注目したいのは、選択理由として「レトロでかわいい」「ファッションに合う」といった見た目の評価だけでなく、充電や紛失を気にする声、音質や遅延を重視する回答も寄せられていたことです。
なお、理由ごとの回答割合は公開されていません。そのため、ファッションが最大の理由なのか、充電不要が最も重視されているのかまでは分かりません。
有線イヤホンは本当に売れている?日本と米国の販売データを比較
若者の間で注目されていると聞くと、販売数量も大幅に増えているように感じるかもしれません。
しかし、ここは慎重に判断する必要があります。ファッションとして話題になっていることと、全国の販売市場が成長していることは別だからです。
| 国・集計期間 | 有線製品の動向 | 指標 |
|---|---|---|
| 日本・2024年通年 | 前年比8%減 | 販売数量 |
| 日本・2025年上半期 | 前年同期比横ばい | 販売数量 |
| 米国・2025年通年 | 前年比3%増 | 売上金額 |
| 米国・2026年最初の6週間 | 前年同期比20%増 | 売上金額 |
国内データはNIQ/GfK Japan、米国データはCircanaの発表によるものです。両調査にはイヤホン以外のヘッドホンなども含まれ、集計方法や対象市場も異なります。
日本では2025年上半期まで販売数量の急増を確認できない
NIQ/GfK Japanによると、日本国内の有線ヘッドホン・ヘッドセット販売数量は2024年に前年比8%減でした。
2025年上半期は前年同期並みとなり、減少は下げ止まっています。一方、完全ワイヤレスイヤホンは同期間に7%増加しました。
2025年上半期のヘッドホン・ヘッドセット市場全体では920万本が販売され、有線タイプは販売数量の4割以上を占めています。
ここから分かるのは、有線製品が決して消えた市場ではなく、一定の需要を維持しているということです。
ただし、この4割以上という数字はヘッドホンやマイク付きヘッドセットも含めた販売数量の構成比であり、日本人の4割が有線イヤホンを使っているという意味ではありません。
2026年10月のBCN月間売れ筋ランキングでも、マイク付きヘッドホン・イヤホン部門でApple EarPodsの3.5mm版が4位、USB-C版が8位に入っています。従来型の有線イヤホンが引き続き購入されていることは確認できますが、ランキングだけでは前年からの販売増加率は分かりません。
2026年11月8日時点で、国内の有線イヤホン市場全体がどれほど伸びているかを示す比較可能な全国販売統計は確認できませんでした。
資料:NIQ/GfK Japan 2024年市場動向、2025年上半期市場動向
米国では2025年に5年ぶりの売上回復
日本とは異なり、米国では有線製品の売上回復が数字で確認されています。
米国の市場調査会社Circanaによると、有線ヘッドホン市場は5年間の売上減少を経て、2025年に前年比3%増加しました。売上金額では約1,500万ドルの増加です。
2025年7〜12月は前年同期比10%増、2026年最初の6週間は20%増となり、回復の動きが強まったことが報告されています。
ただし、2024年には売上金額が前年から約4,200万ドル減少していました。2025年に増加へ転じたからといって、以前の市場規模をすべて取り戻したわけではありません。
Circanaは低価格製品への需要や懐かしい商品への関心を背景として挙げていますが、各要因が売上増加にどの程度影響したかまでは明らかになっていません。
資料:Circana「Wired Headphones Growth Is a Throwback to 2016」
実は「古臭い」と感じる人もいる|有線イヤホンの印象は人によって違う
若者のファッショントレンドで1位になった有線イヤホンですが、誰もがおしゃれだと感じているわけではありません。
株式会社スコープが2024年7月に行った調査では、週1回以上イヤホン・ヘッドホンを利用する20〜69歳の男女671人に対して、見た目の印象を尋ねています。
| 印象 | 有線 | ワイヤレス |
|---|---|---|
| 安心感 | 26.2% | 10.3% |
| レトロ | 15.9% | 4.8% |
| 古臭い | 12.8% | 0.9% |
| ファッショナブル | 4.8% | 13.4% |
| かっこいい | 5.5% | 31.1% |
出典:株式会社スコープ「イヤホンの選ばれ方から学ぶ、効果的な商品戦略とマーケティングコミュニケーションのヒント」(2024年9月18日公表)
有線イヤホンに安心感を抱く人は26.2%、レトロと感じる人は15.9%でした。一方、古臭いと感じる人も12.8%います。
さらに、ファッショナブルという印象では有線4.8%、ワイヤレス13.4%と、ワイヤレスの方が高い結果でした。
この調査は2025年のSHIBUYA109 lab.とは対象年齢も質問方法も違うため、両者を直接比較して人気の増減を計算することはできません。
それでも、一つ興味深いことが見えてきます。
ある人には時代遅れに見えるコードが、別の人には懐かしくて魅力的に映る。 同じ製品でも、世代やファッションの好みによって価値が変わるのです。
また、スコープの調査では有線とワイヤレスの両方を使用する人が約3割いることも報告されています。有線か無線かを一つに決めるのではなく、場所や用途で使い分ける方法も以前から存在していました。
昔の有線イヤホンとは何が違う?2026年の新製品にも注目
有線イヤホンの再評価は、昔ながらの安価な製品だけに起きているわけではありません。
2026年には、現代的なノイズキャンセリング機能や装飾性を備えた製品が登場しています。メーカーによって、目指している方向が違うのも面白いところです。
BOSE|充電不要でもノイズキャンセリングを使える
BOSEは2026年10月8日、「Bose Noise Cancelling Wired Earbuds」を日本で発表しました。
国内発売日は10月23日、発表価格は税込16,500円です。
この製品はUSB-C接続に対応し、QuietControlノイズキャンセリングを搭載しています。周囲の騒音を低減するモードだけでなく、外部の音を取り込むモードも利用できます。
特徴的なのは、イヤホン本体に内蔵バッテリーを持たず、接続機器から給電することです。ノイズキャンセリングを使用するために、イヤホン自体を充電する必要がありません。
USB Audio Class 2に対応し、再生出力は24bit/48kHz固定。デジタル音声処理や低遅延性能など、現在の音響技術も採用しています。
有線イヤホンと聞くと、安価で機能の少ない製品を想像しがちですが、BOSEの新製品は、有線の手軽さと高機能を組み合わせた例といえます。
資料:BOSE公式「新しいノイズキャンセリング有線イヤホンを発表」
DIESEL|コードそのものをファッションにする
イタリア発のファッションブランドDIESELは、2026年5月に有線イヤホン「WIRED EARBUDS」を日本公式サイトで紹介しました。
シルバーモデルの発表価格は税込19,800円です。
特徴は、シルバー仕上げの本体にチェーンやチャームを組み合わせたデザイン。音を聴く道具であることに加えて、耳元から伸びる装飾そのものをファッションの一部にしています。
一方、見た目だけの商品ではありません。メーカーの公式紹介では、内蔵マイクやアクティブノイズキャンセリングへの対応も案内されています。
2026年9月にはピンクとブラックの新色も紹介されました。
BOSEが音響機能を前面に打ち出しているのに対して、DIESELは装飾性を強く意識した製品です。同じ有線イヤホンでも、メーカーが着目している魅力は異なります。
資料:DIESEL公式「ディーゼルらしいエッジが効いたワイヤーイヤホンが登場」
LIFEEAR Nova|好きな色やデザインに着せ替えられる
日本のオーディオブランドLIFEEARが展開する「Nova」は、着せ替えを楽しめる有線イヤホンです。
2025年12月に予約販売が始まり、2026年4月には全国のハンズ36店舗で順次販売することが発表されました。通常モデルの発表価格は税込12,800円です。
高透明度のレジン素材を採用した本体と、交換できるフェイスプレートが特徴です。好きな色を選んだり、その日の服装に合わせて見た目を変えたりできます。
さらに、『おジャ魔女どれみ』『魔法の天使クリィミーマミ』『初音ミク×シナモロール』など、キャラクターの世界観を取り入れたコラボモデルも発表されています。
こちらは、単にレトロな雰囲気を楽しむだけでなく、好きなキャラクターや推し色を身に着けるという方向に有線イヤホンの楽しみ方を広げています。
なお、Novaの通常モデルは3.5mm接続の有線イヤホンです。BOSEのUSB-Cモデルとは接続方式が異なるため、使用するスマートフォンによっては変換アダプターが必要になります。
有線とワイヤレスはどちらが便利?音質や使い勝手を比較
ここまで再流行の理由を見てきましたが、実際に使うなら有線とワイヤレスのどちらがよいのでしょうか。
結論からいえば、すべての場面で一方が優れているわけではありません。
| 比較項目 | 有線イヤホン | ワイヤレスイヤホン |
|---|---|---|
| 充電 | 本体の充電が不要な製品が多い | イヤホン・ケースの充電が必要 |
| 接続 | 対応端子に接続する | 主にBluetoothで接続する |
| 移動時 | コードが引っ掛かる場合がある | コードを気にせず動きやすい |
| 紛失 | 左右がつながっており片方だけ落としにくい | 左右独立型は片方だけ落とす場合がある |
| 音声遅延 | 一般に抑えやすい | 接続規格や製品によって異なる |
| 耐久性 | コード・端子の断線や劣化に注意 | バッテリーの経年劣化に注意 |
| ファッション | コードを見せたり装飾できる | すっきりした見た目にしやすい |
音質は有線の方がいいとは限らない
有線イヤホンは高音質だといわれることがあります。Bluetoothによる伝送では音声圧縮が行われる場合があるため、有線接続が有利になる条件は確かに存在します。
しかし、実際の音の良し悪しはイヤホン本体の性能、装着状態、音源、再生機器などにも大きく左右されます。
たとえば、安価な有線イヤホンが高価格帯のワイヤレスイヤホンより必ず高音質とはいえません。逆に、音楽鑑賞を重視した高性能な有線イヤホンなら、その良さを生かせる環境もあります。
接続が有線か無線かだけで、音質の優劣を決めないことが重要です。
運動や通勤ではワイヤレスが便利な場面もある
有線イヤホンのコードは、歩行中に衣服や荷物へ引っ掛かったり、バッグの中で絡まったりすることがあります。
身体を大きく動かす運動中や、頻繁にスマートフォンを取り出す場面では、ワイヤレスの方が扱いやすい場合があります。
一方、自宅でじっくり音楽を聴くとき、長時間ゲームをするとき、イヤホンの充電状態を気にせず使いたいときには、有線を選ぶ理由があります。
2024年のスコープ調査でも、通勤時はワイヤレス、自宅では有線が選ばれやすいという傾向が報告されていました。
有線と無線は対立する選択肢ではなく、利用場面によって併用することもできるのです。
iPhoneやAndroidでも有線イヤホンは使える?接続端子に注意
有線イヤホンに興味を持っても、現在使っているスマートフォンにイヤホンジャックがないため、使用できないと思っている人もいるかもしれません。
しかし、3.5mmのイヤホンジャックがなくても、適切な接続方式のイヤホンや変換アダプターを使えば有線接続できる機種があります。
iPhone 15以降はUSB-C接続に対応
AppleはiPhone 15シリーズからUSB-Cコネクタを採用しています。
USB-C対応のEarPodsなど、有線のオーディオアクセサリーを接続して使用できることを公式に案内しています。
それ以前のLightning端子を採用したiPhoneでは、対応するLightning接続のイヤホンや変換アダプターが必要です。
また、3.5mm端子のイヤホンを使う場合は、端末にイヤホンジャックがなければ対応する変換アダプターを用意する必要があります。
参考:Apple公式「iPhoneのUSB-Cコネクタで充電および接続する」
USB-C端子があっても、すべての機器で使えるわけではない
注意したいのは、USB-C端子を搭載する機器が、必ずしもUSB音声出力に対応しているわけではないことです。
BOSEも公式サポートで、一部のAndroidスマートフォンやタブレット、ゲーム機などでは、USB-C接続の有線イヤホンが動作しない場合があると説明しています。
さらに、USB-Cイヤホンを3.5mm端子に変換する場合も注意が必要です。一般的なUSB-Cデジタル音声機器は、単純な端子形状の変換だけでは動作しないことがあります。
購入する際はイヤホンの端子形状だけでなく、使用するスマートフォンやゲーム機の音声出力方式との互換性も確認しましょう。
有線イヤホンの再流行は一過性?今後も人気は続くのか
今回の再流行がいつまで続くのかは、現段階では分かりません。
ファッションとしての人気は、服装やアクセサリーの流行によって変化する可能性があります。今はコードを見せる着こなしが注目されていても、数年後に同じ人気が続くとは限りません。
ただし、有線イヤホンの価値はファッションだけではありません。
イヤホン本体の充電が不要であること、左右がつながっていて片方だけ紛失しにくいこと、音声遅延を抑えやすいことなどは、流行に左右されにくい特徴です。
また、BOSEのように最新の音響技術を取り入れるメーカーもあれば、DIESELやLIFEEARのように、デザインや着せ替えを楽しむ製品も登場しています。
今後、ファッションとしての人気が落ち着いたとしても、実用品としての有線イヤホンがすぐになくなるとは考えにくいでしょう。ただし、市場の長期的な成長を裏付ける予測データがあるわけではありません。
むしろ、今回の話題で面白いのは、ワイヤレスが普及した後も、有線イヤホンが別の価値を持ち続けていたことです。
かつては便利さを追求した結果、取り除かれていったコード。それが今では、安心感や使いやすさだけでなく、自分らしいファッションを表現するためにも利用されています。
有線イヤホンの再流行は、昔の製品に戻る現象というより、使い慣れた道具の魅力を別の角度から発見している現象といえそうです。
ワイヤレスにはコードのない自由さがあり、有線には充電管理の少なさや、コードを生かした楽しみ方があります。どちらか一方が時代遅れになるのではなく、それぞれの特徴を理解して選べることが、利用者にとって一番のメリットなのかもしれません。