
- FC版『ドンキーコング』レビュー|3面構成・アーケード版との違い・今遊ぶ方法
- FC版『ドンキーコング』はどんなゲーム?
- FC版で操作するのは「ジャンプマン」ではなくマリオ
- レディはピーチ姫ではなく、後のポリーン
- 1面――短いジャンプで樽をかわし、上へ進む
- 落下にもかなり弱い
- ハンマーを取ると、樽から逃げるだけではなくなる
- 2面――FC版にもリフト面はちゃんと残っている
- 2面では、敵より足場の位置を見る時間が増える
- 3面――上へ着けば終わりではない
- 3面しかない。それでもクリア後は同じ3面ではない
- スコアを意識すると、進み方が変わる
- 3面というボリュームは、2026年にはやはり短い
- GAME AとGAME B、2人プレイもある
- 1981年アーケード版には4種類のステージがあった
- アーケード版より横に広く、色も減っている
- 宮本茂はFC版の移植そのものを担当していなかった
- FC移植を担った中郷俊彦とSRD
- アーケード版は、もともとポパイ企画から始まった
- 「ドンキーコング」という名前はどこから来た?
- 1983年のジャンプは、2年後のマリオとはかなり違う
- 今遊んでも面白いところ
- 現在では厳しいところ
- 2026年現在はNintendo Classicsで手軽に遊べる
- 2026年夏は「DKチャレンジ」でもFC版が使われている
- まとめ|3面の少なさを、周回とスコアでどこまで補えているか
FC版『ドンキーコング』レビュー|3面構成・アーケード版との違い・今遊ぶ方法
1983年7月15日、ファミリーコンピュータ本体と同じ日に発売された『ドンキーコング』。
収録されているステージは、わずか3面です。
1面では、斜めに組まれた鉄骨を進みながら、転がってくる樽を短いジャンプでかわして上を目指します。2面に入ると足場そのものが動き、3面ではレディのところへ一直線に向かうのではなく、画面内を回ってボルトをすべて抜かなければなりません。
3面を突破すると、そこでゲームが終わるわけでもありません。再び1面へ戻り、今度は敵が増え、動きも速くなった状態で次のループが始まります。
したがって、このFC版を現在評価するなら「3面しかないから短い」で終わることも、「マリオの初期作品だから重要」で持ち上げることも適切ではありません。
3つしかないステージで、避け方、移動の読み方、得点の狙い方をどこまで変え、もう一周する理由を作れているのか。
1983年版のおもしろさは、そこを見ると分かりやすくなります。
FC版『ドンキーコング』はどんなゲーム?
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | ドンキーコング |
| ハード | ファミリーコンピュータ |
| 発売日 | 1983年7月15日 |
| 発売元 | 任天堂 |
| ジャンル | アクション |
| プレイ人数 | 1~2人・交互プレイ |
| 型番 | HVC-DK |
| 発売時価格 | 3,800円 |
| ステージ | 3面 |
| セーブ | なし |
| 原作 | 1981年アーケード版『ドンキーコング』 |
ファミコン本体と同時に発売されたソフトは、『ドンキーコング』『ドンキーコングJR.』『ポパイ』の3本でした。任天堂は、当時のファミコンについて、アーケードで稼働していたゲームを家庭で遊べることと、カセット交換で別のゲームへ切り替えられることを大きな特徴として振り返っています。
発売時価格については、初期版が3,800円。その後の銀箱再販版では4,500円へ改定されたため、現在のデータベースには4,500円と記載するものもあります。初発売時点の記事では3,800円とするのが適切です。
FC版で操作するのは「ジャンプマン」ではなくマリオ
1981年のアーケード版では、プレイヤーキャラクターは「ジャンプマン」と呼ばれていました。
しかし今回扱う1983年FC版では、すでに正式名称がマリオになっています。
任天堂も2026年の公式記事で、1981年アーケード版では「ジャンプマン」、1983年FC版では正式に「マリオ」と名付けられていることを明確に区別しています。
したがって、FC版の記事で主人公をジャンプマンとして説明するのは誤りです。
ゲーム内でマリオがすることはシンプルで、鉄骨の上を歩き、ハシゴを上り下りし、障害物をジャンプでかわしながら上方へ進んでいきます。
ただし、後年のマリオと同じ感覚で動かせるわけではありません。
レディはピーチ姫ではなく、後のポリーン
もうひとつ旧記事から必ず直す必要があるのが、ヒロインです。
FC版でドンキーコングにさらわれる女性はレディ。
ピーチ姫ではありません。
このレディは、後にポリーンという名前が与えられたキャラクターです。任天堂の2026年公式記事でも、この関係が明記されています。
任天堂の過去の公式紹介では、レディをマリオの「恋人」と説明した例もあります。
FC版のストーリーそのものは非常に簡潔です。ドンキーコングがレディをさらって建築中のビルへ逃げ込み、マリオがその後を追う。3面のゲームを理解するには、この程度で十分です。
1面――短いジャンプで樽をかわし、上へ進む
1面でまず目につくのは、斜めに組まれた鉄骨とハシゴ。そして上から次々と転がってくる樽です。
マリオには敵を踏んで倒す能力がありません。
ここでのジャンプは、まず攻撃ではなく回避として使います。
任天堂の公式解説によれば、ジャンプできるのは左・上・右。届く横幅は鉄骨2個分ほどで、ハシゴの途中からジャンプしたり、ジャンプしてハシゴへ飛びついたりすることもできません。
後年の『スーパーマリオブラザーズ』のように、助走をつけて大きな穴を飛び越えるアクションではありません。
樽が近づく。
その軌道を見て、短いジャンプでかわす。
かわしたら次のハシゴへ向かう。
ジャンプの届く範囲が狭いからこそ、樽との距離を見て跳ぶタイミングそのものが重要になります。
落下にもかなり弱い
現在のマリオから戻ると、特に驚きやすいのが落下です。
任天堂のFC版解説では、鉄骨2個分ほどの高さからなら降りられるとされています。一方、宮本茂氏は後年、マリオの身長の約1.5倍ほどの高さから落ちるとミスになるよう作っていたと振り返っています。
つまり、下の鉄骨が見えているからといって気軽に飛び降りることはできません。
ハシゴを無視して落下でショートカットする。
高所から飛び降りて樽を避ける。
そうした後年のアクションゲームでは自然な操作が、ここでは危険になります。
横移動もジャンプも硬めで、落下許容範囲も狭い。宮本氏自身、現在のゲームと比較してFC版を「硬い」感触のゲームとして振り返っています。
古さはありますが、この硬さが何を要求しているかは明瞭です。派手に動くより、次の樽とハシゴの位置を見て一手ずつ進むゲームになっています。
ハンマーを取ると、樽から逃げるだけではなくなる
1面などに置かれているハンマーを取ると、それまで避けるしかなかった樽やおじゃま虫を叩いて倒せるようになります。
任天堂自身が「無敵のハンマー」と呼んでおり、敵を倒すと得点も加算されます。
ここでおもしろいのは、敵との関係が一時的に変わることです。
通常時には、樽が来たら避けることを考えます。ハンマーを持っている間は、むしろ接近して叩けば得点になる。
ただ安全に上へ進むだけなら、必ずしも敵を倒す必要はありません。それでもスコアを狙うなら、ハンマーのある場所まで行き、危険な障害物を得点源へ変えられます。
クリアを優先するか、それとも敵を叩いて点を伸ばすか。
短いステージの中で、目的を少し変えられる仕組みです。
2面――FC版にもリフト面はちゃんと残っている
旧記事では「アーケード版のエレベーター面がFC移植で削除された」としていましたが、これは誤りです。
FC版第2面には、上下に動くリフトを使うステージがきちんと収録されています。
アーケード版の一般的なステージ区分では、
- 25m
- 50m
- 75m
- 100m
の4種類。
FC版に収録されたのは25m、75m、100mに相当する3面で、削除されたのはベルトコンベアーやセメント工場を特徴とする50mです。
後に登場した『Donkey Kong Original Edition』が「オリジナルNES版には入っていなかったCement Factoryを復活させた版」と公式に説明されたことからも、この欠落を確認できます。
つまり、FC版で省かれたのはリフト面ではありません。
2面では、敵より足場の位置を見る時間が増える
第1面では、地面に近い鉄骨を歩きながら向かってくる樽をかわすことが中心でした。
第2面では上下するリフトへ乗り移り、高低差を読みながら先へ進む必要があります。
足場が自分の都合で止まってくれるわけではありません。
どの高さで乗るか。
次の場所へいつ移るか。
落下できる高さを超えていないか。
さらに跳ねるジャッキなども加わり、静止した鉄骨を進んだ1面とは判断の種類が変わります。
マリオ自身の操作は増えていないのに、動く側がマリオからステージへ移ることで別の難しさを作っています。
3面しかないゲームで、第2面を第1面と同じ樽避けの変形にしていない点は大きいでしょう。
3面――上へ着けば終わりではない
第3面では目的そのものが変わります。
1面と2面は、画面上部にいるレディのところまで到達すればクリア。
3面では鉄骨上に配置されたボルトをすべて抜かなければなりません。ボルトがなくなれば構造物が崩れ、ドンキーコングが落下します。
つまり最終面だけは、最短距離で上へ向かうゲームではありません。
画面内を移動しながら複数の場所を巡る必要があります。
しかもボルトを抜いた場所には隙間ができるため、通過したルートをそのまま自由に使い続けられるわけではありません。
どのボルトから処理するかによって、あとで歩きやすい場所も変わります。
1面で覚えた「上へ進めばいい」という感覚を最後に崩し、画面全体の移動順まで考えさせるステージです。
3面しかない。それでもクリア後は同じ3面ではない
3面目をクリアすると、1ループ終了です。
そのまま再び1面へ戻り、次のループが始まります。
任天堂の公式解説では、ループするたびに敵の数が増え、動きも速くなっていくとされています。スコアと残っているマリオも引き継がれます。
したがって本作は、3ステージを一度見れば内容が完全に終わる構造ではありません。
一周目はクリアすることが目標になります。
慣れてくると、樽をどこで跳ぶか、ハンマーをどう使うか、どの落とし物を取るかといった行動へ余裕が出る。
さらに次の周では、同じ配置を知っていても敵側が厳しくなります。
ステージ数を増やす代わりに、同じステージへ難度とスコアという別の目標を重ねるタイプのゲームです。
スコアを意識すると、進み方が変わる
ただレディを助けるだけなら、危険な行動はなるべく避けたいところです。
しかし本作では、
レディの落とし物であるパラソルやバッグを拾う。
樽をジャンプで越える。
ハンマーで樽やおじゃま虫を倒す。
クリア時の残りBONUSを多くする。
といった行動がスコアへ反映されます。
BONUSは時間経過とともに減っていくため、ゆっくり安全に進み続けるだけでは点が伸びません。
一方、得点物をすべて狙えば、余計な移動や危険も増えます。
早く上へ進んで残りBONUSを取るのか。
少し寄り道してアイテムを取るのか。
樽をかわすだけでなく、得点になる跳び越し方を狙うのか。
同じ3面でも、単なるクリアとハイスコア狙いではプレイの優先順位が変わります。
なお2万点を超えると控えのマリオが1人増えます。得点は数字だけの記録ではなく、プレイ継続にも一度だけ直接返ってきます。
3面というボリュームは、2026年にはやはり短い
ここは歴史でごまかす必要がありません。
新しいステージを次々見たいという感覚で遊べば、3面は明確に少ないです。
アーケード版にあった50mもないため、原作4ステージを完全収録した移植でもありません。
ストーリーを先へ進める長編アクションとして見れば、現在ならかなり小さいゲームです。
ただし一回のプレイが短いからこそ、ゲームオーバーになっても「また1面からやる」こと自体はそれほど重くありません。セーブがない点も、『スーパーマリオブラザーズ3』のような長いゲームとは意味が違います。
3面を覚えたあと、次はもっと安全に抜ける。
さらに慣れたら点を狙う。
敵が速くなった次のループへ挑む。
同じ場所を繰り返すことを前提にしたスコア型アクションとして見るかどうかで、3面という少なさの受け取り方は大きく変わります。
GAME AとGAME B、2人プレイもある
原作にはGAME AとGAME Bがあり、Bの方が難しい設定です。
また1人用だけでなく2人用にも対応しています。
ただし、2人が同じ画面で同時にマリオを操作するわけではありません。1Pと2Pが交互にプレイし、一方がミスすると操作が交代します。
後年の協力アクションとは違い、同じゲームでどちらが先へ進み、どれだけ得点できるかを交互に競う方式です。Nintendo 3DS版の公式案内でも、2人では1Pと2Pを切り替えて遊ぶ方式とされています。
1981年アーケード版には4種類のステージがあった
ここからはFC版との違いを整理しておきます。
1981年アーケード版は、一般に25m、50m、75m、100mと呼ばれる4種類の基本ステージで構成されています。
1983年FC版は、そのうち50mに相当するセメント工場/ベルトコンベアーのステージを収録していません。
したがって、
アーケード4面 → FC3面
です。
そして重要なのは、75mのリフト面は残っていること。
FC版を「アーケード版そのまま」と呼ぶことも、「エレベーター面を削った」と説明することも、どちらも正しくありません。
グラフィックやゲームの核はかなり近い一方で、明確なステージ欠落がある移植です。
アーケード版より横に広く、色も減っている
宮本茂氏自身、FC移植版を初めて見たとき、アーケード版より「横に伸びた」印象を受けたと振り返っています。
理由は画面そのものです。
アーケード版は縦長のモニター。
家庭のテレビで遊ぶFC版は横長です。
さらにドンキーコングの表示は、アーケード版で4色だった部分がFC版では3色になりました。宮本氏は、手が胸の前へ来る際に色が重なって見えづらくなることまで具体的に説明しています。
したがって、「アーケードの映像をそのまま家庭へ持ち込んだ」という移植ではありません。
画面比率。
色。
ステージ数。
一部の音表現。
そうした違いを持ちながら、3つのステージへFC用に落とし込まれています。
宮本茂はFC版の移植そのものを担当していなかった
『ドンキーコング』の開発秘話というと宮本茂氏の名前が必ず出ます。
ただし、ここも1981年と1983年を分けなければなりません。
宮本氏は1981年アーケード版の中心人物ですが、FC版への移植は別チームへ任せていたと本人が明言しています。1983年当時の宮本氏は、ファミコン立ち上げに向けたソフトラインナップの準備などを進めていました。
そのため、
「宮本茂がFC版の3面へ作り直した」
「宮本茂が50mを削除した」
といった形で移植判断を本人へ帰属させることはできません。
FC移植を担った中郷俊彦とSRD
FC移植史で重要なのが中郷俊彦氏とSRDです。
中郷氏は、ファミコンに採用された6502系CPUを扱えるプログラマーとして任天堂との仕事を始め、任天堂開発二部とともに『ドンキーコング』『ドンキーコングJR.』などのFC版を制作したと本人が語っています。
インタビューでは、岩田聡氏から「業務用ソフトをファミコンへ移植する仕事だったんですね」と確認され、中郷氏が「そうです」と答えています。
さらに驚くことに、中郷氏はFC版『ドンキーコング』を移植した当時、宮本氏を個人的には知らなかったとも振り返っています。
1981年アーケード版を作ったチームと、1983年にファミコンへ落とし込んだチームを分けるうえで、非常に分かりやすい証言です。
アーケード版は、もともとポパイ企画から始まった
1981年アーケード版の成立史も、本作を理解する補助としては面白いものです。
初期企画ではポパイのキャラクターを使用する構想がありました。
ところがその形では進められなくなり、オリジナルキャラクターで作る方向へ変更されます。
さらに最初から「ジャンプアクションを作ろう」と決まっていたわけでもありません。ゲームの構造を考えていく中で、障害物を飛び越えるジャンプが組み込まれていきました。
帽子やヒゲも、小さなドット数で人間の顔や髪を読み取りやすくするために採用された要素です。
ただし、これはあくまで1981年アーケード版が生まれた経緯です。
FC版の移植開発史とは別の章として扱う必要があります。
「ドンキーコング」という名前はどこから来た?
タイトルについても宮本氏本人の説明が残っています。
目指したのは「間抜けなゴリラ」をイメージする名前。
辞書で「donkey」に「とんま」に近い意味を見つけ、「Donkey Kong」としたものの、Nintendo of Americaからは意味が分からないと反対されたそうです。それでも語感などから名称を維持し、製品名になりました。
語源だけで長い章にする必要はありませんが、後世の推測ではなく本人から説明されている開発秘話として短く残せます。
1983年のジャンプは、2年後のマリオとはかなり違う
『ドンキーコング』のマリオはジャンプします。
しかし、そのジャンプを見て現在の2Dマリオと同じゲーム感覚を想像するとかなり違います。
助走して長く飛ぶわけではなく、ジャンプ幅は狭い。
高い場所から落ちることにも弱い。
ハシゴとジャンプを自由につなげられるわけでもない。
この2年後、1985年の『スーパーマリオブラザーズ』では、Bダッシュによる速度がジャンプ距離へつながり、Aボタンを押す長さや空中での入力まで着地点へ影響するようになります。
その違いは、すでに全面リライト済みの 第1回『スーパーマリオブラザーズ』FC版レビュー で詳しく扱っています。
『ドンキーコング』を「スーパーマリオになる前の未完成品」と見る必要はありません。
こちらは短いジャンプ、ハシゴ、スコア、周回を組み合わせた固定画面アクションとして成立しており、『スーパーマリオブラザーズ』では同じマリオを使いながらゲームの構造そのものが大きく変わっています。
今遊んでも面白いところ
2026年に戻って遊んでも分かりやすいのは、一つの判断に必要な情報が画面内へほぼ収まっていることです。
1面なら、次の樽、ハシゴ、自分の立ち位置を見る。
2面なら、リフトの高さと移動タイミングを見る。
3面なら、残っているボルトと、これから通る足場を考える。
大きなマップを覚えたり、多数の技を使い分けたりする必要はありません。
しかも3面で目的が少しずつ変わっています。1面では障害物をかわしながら上へ進み、2面では動く足場を読み、3面では画面全体を使ってボルトを抜く。
そこへハンマーとスコアが加わるため、慣れてくると単に安全なルートを通るだけではなくなります。
短時間で一周できることも、現在ではかえって扱いやすいところです。
10分、20分とまとまったストーリーを進める必要はなく、「もう一周だけ」と区切れます。
現在では厳しいところ
一方、動きには明らかに古さがあります。
ジャンプは短い。
落下できる高さも低い。
現在なら自然にできそうな空中操作やハシゴへの飛びつきもできません。
敵の動き次第で待つ場面もあります。
そして何より、ステージの種類は3つしかありません。
周回前提であることを理解しても、新しい景色や仕掛けを次々見たい人には物足りないでしょう。
アーケード版の50mが欠けているため、「オリジナルを家庭で完全再現したい」という観点でも不足があります。
その代わり、セーブがないこと自体は長編ゲームほど致命的ではありません。一周が短く、最初からスコアと周回を前提にしたゲームだからです。
古さの中心は保存方式よりも、動かせる範囲の狭さと3面というボリュームにあります。
2026年現在はNintendo Classicsで手軽に遊べる
2026年8月現在、FC版『ドンキーコング』はファミリーコンピュータ Nintendo Classicsで正式に提供されています。
通常のNintendo Switch Online加入で利用でき、Nintendo SwitchとNintendo Switch 2の両方で遊べます。同じニンテンドーアカウントなら、Switch 2でもNintendo Switch Onlineを追加料金なしで利用できます。
Nintendo Classicsには、1983年原作には存在しない現代向け機能もあります。
どこでもセーブ。
巻き戻し。
操作ボタンのカスタマイズ。
オンラインプレイ。
こうした補助機能を利用できます。
特に巻き戻しは、短いジャンプや落下ミスを練習するときに便利です。
失敗のたびに残機を減らして覚える原作と、数秒戻して同じ場所をすぐ試せるNintendo Classicsでは、難易度の感じ方はかなり変わります。
FC版のゲーム内容を知りたいだけなら、現在はこの方法が最も入りやすいでしょう。
なお過去にはGBAの「ファミコンミニ」、Wii/3DS/Wii Uのバーチャルコンソール、ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータにも公式収録されていますが、これらは現在の主要な新規購入ルートとは分けて考えた方がいいでしょう。任天堂の現行FCページでも過去の公式対応機種がまとめられています。
2026年夏は「DKチャレンジ」でもFC版が使われている
2026年8月23日現在、Nintendo Switch 2ではNintendo Switch Online加入者向けの「DKチャレンジ」が開催中です。
期間は2026年6月10日10時から9月1日16時59分まで。
Nintendo Classicsの歴代『ドンキーコング』作品を使ったチャレンジも含まれており、1983年FC版も現在の任天堂サービス内で改めて遊ばれています。
期間限定なので記事の中心には置きませんが、公開時点の補足としては入れて構いません。9月1日のイベント終了後は、この段落だけ削除すれば記事本体には影響しません。
まとめ|3面の少なさを、周回とスコアでどこまで補えているか
FC版『ドンキーコング』を2026年の長編アクションと比べれば、ボリュームは小さいままです。わずか3面で、アーケード版にあった50mも収録されていません。マリオの動きも硬く、短いジャンプや厳しい落下制限には、現在のシリーズとはかなり違う感触があります。
それでも一周してみると、3面を単純に使い回しているゲームではないことが分かります。
1面では、樽の位置を読みながら短いジャンプでかわし、ハシゴを使って高さを稼ぐ。2面では、こちらの操作よりも動くリフトの周期を読むことが中心になります。3面へ進むと、ゴールへ向かうだけだったルールが変わり、複数のボルトを抜く順番と、その後に残る足場まで考える必要が出てきます。
一周したあとには敵が増え、速度も上がります。クリアだけでなく、残りBONUSや落とし物、樽越え、ハンマーによる撃破を狙えば、同じ画面でも優先する行動は変わります。
その繰り返しを楽しめる人には、現在でも短時間のスコアアタックとして十分成立します。反対に、新しいステージを次々攻略することを期待すると、3面という少なさは隠しようがありません。
歴史的重要性を持ち出さなくても、このゲームの評価点と弱点はかなりはっきりしています。
狭い操作範囲の中で障害物を読むことと、同じ3面を少しずつ上手く回れるようになること。
1983年FC版『ドンキーコング』は、そこを楽しめるかどうかで現在の評価が決まるゲームです。