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初代『スーパーマリオブラザーズ』FC版レビュー|今遊んでも面白い?操作と32コースを徹底評価

目次
  1. 初代『スーパーマリオブラザーズ』FC版レビュー|今遊んでも面白い?
  2. 初代『スーパーマリオブラザーズ』はどんなゲーム?
  3. Bダッシュすると、ジャンプの届く場所まで変わる
  4. 小さいマリオから始まることには、開発上の理由があった
  5. スーパーキノコは「一度の失敗を許す」アイテムでもある
  6. ファイアフラワーを取ると、敵へ近づく必要が減る
  7. 1-1は「完璧なチュートリアル」だから評価する必要はない
  8. 32コースは、同じ右スクロールの繰り返しではない
  9. 地上では「前へ跳ぶ」、地下では「狭い場所へ収める」
  10. ブロックは進路ではない場所まで触らせる
  11. 土管には、入れるものと入れないものがある
  12. ただし、好きなだけ戻って探索できるゲームではない
  13. コインはスコアだけでなく残機につながる
  14. ワープゾーンが32コースを一本道ではなくする
  15. 城では「うまく跳べる」だけでは進めない場所もある
  16. クッパは、倒さなくても突破できる
  17. 残機を失っても、毎回コース最初からとは限らない
  18. そして1985年版にはセーブがない
  19. 2人プレイはマリオとルイージの交代制
  20. 「ファミコンカセットの集大成」を目指して作られた
  21. 初代の開発チームは7~8人ほど
  22. 近藤浩治は、実際にゲームを触りながら曲を作った
  23. 2026年に遊んでも面白いところ
  24. 2026年では厳しいところ
  25. Nintendo Classicsなら原作の厳しさをかなり軽くできる
  26. ゲーム&ウオッチ版には、さらに原作にない救済もあった
  27. 『スーパーマリオブラザーズ3』では何が変わった?
  28. まとめ|少ない操作だからこそ、走り方そのものが攻略になる

初代『スーパーマリオブラザーズ』FC版レビュー|今遊んでも面白い?

1985年9月13日にファミリーコンピュータで発売された『スーパーマリオブラザーズ』。

現在の2Dマリオと比べると、できることは驚くほど少なめです。十字キーで移動し、Bボタンを押しながら走り、Aボタンでジャンプする。敵を踏むのも、穴を越えるのも、ブロックを叩くのも、この限られた操作で進めていきます。

ところが、実際に触ると「ジャンプ」という一つの操作だけでも結果は一定ではありません。

立ち止まった状態から跳ぶのか、Bダッシュで速度を乗せてから跳ぶのか。Aボタンをどこまで押し続けるのか。空中で左右へどの程度修正するのか。それによって高さも着地点も変わります。

後年のシリーズのような壁キックやヒップドロップはなくても、走る速さとジャンプを組み合わせるだけで、同じ穴や足場に何通りかの越え方が生まれる。1985年版を現在遊んでも面白さが残っているかを見るなら、まずここから始めるのが一番分かりやすいでしょう。

初代『スーパーマリオブラザーズ』はどんなゲーム?

項目内容
タイトルスーパーマリオブラザーズ
ハードファミリーコンピュータ
発売日1985年9月13日
発売元任天堂
ジャンル横スクロールアクション
プレイ人数1~2人
型番HVC-SM
当時価格4,900円
ROMPRG 32KB+CHR 8KB
セーブなし
構成8ワールド・32コース
主な制作宮本茂、手塚卓志、中郷俊彦、近藤浩治ほか

任天堂の現行ファミコン年表でも、1985年9月13日発売、全8ワールド32コースの作品として掲載されています。日本版カートリッジは型番HVC-SM、プログラム32KBとキャラクター8KBを搭載した構成です。

物語では、クッパ一族に侵略されたキノコ王国を取り戻すため、マリオがさらわれたピーチ姫の救出へ向かいます。2人用ではルイージも登場しますが、同時に画面内を進む協力プレイではなく、マリオとルイージを交互に操作する方式です。

Bダッシュすると、ジャンプの届く場所まで変わる

操作説明だけなら、Bボタンはダッシュ、Aボタンはジャンプです。

しかし両者は独立していません。

Aボタンを短く押せば低めに跳び、長く押せば高く跳べます。さらにBボタンで走って速度を上げてからジャンプすると、より大きく飛べます。ジャンプしたあとも左右入力を受け付けるため、離陸した瞬間に着地点が完全固定されるわけでもありません。

このため、小さな穴なら歩いたままでも越えられる一方、幅のある穴では助走が欲しくなります。勢いをつけすぎれば、今度は狙った狭い足場を通り越すこともあります。

敵が近くにいる場面でも同じです。

ゆっくり進めば細かく位置を合わせやすいものの、ジャンプ距離は伸びない。速く進めば遠くまで届きますが、目の前へ現れた敵への対応時間は短くなる。

速さそのものが攻略手段であり、同時にリスクにもなるところが、FC版の操作を現在でも面白くしている部分です。原作操作でも「Bを押しながら移動してダッシュ」「Aを長く押すと高くジャンプ」「ダッシュ中のジャンプでさらに高く飛ぶ」とされています。

小さいマリオから始まることには、開発上の理由があった

ゲーム開始時のマリオは小さい姿です。

スーパーキノコを取るとスーパーマリオになり、体が大きくなる。現在では当たり前に見える仕組みですが、開発当初は逆で、最初から大きなマリオだけを操作するゲームが試作されていました。

宮本茂氏、手塚卓志氏、中郷俊彦氏がコースについて話し合う中で、大きなキャラクターでは先が見えにくいという問題が出ます。そこで小さなマリオを使う案が生まれ、大きな状態なら敵へ一度当たっても即ミスにはせず、小さい状態へ戻る仕組みも同時に決まりました。

一部で知られる「表示バグを見た宮本氏が小さいマリオを思いついた」という話については、宮本氏本人が明確に否定しています。

結果として、パワーアップには攻撃力とは別の価値が生まれました。

スーパーキノコは「一度の失敗を許す」アイテムでもある

通常の小さいマリオは敵へ接触するとミスになります。

スーパーキノコを取ってスーパーマリオになれば、敵や一部の攻撃へ触れてもすぐには残機を失わず、小さいマリオへ戻って続行できます。また、スーパーマリオならレンガブロックを下から壊せます。

同じコースでも、小さい状態と大きい状態では進むときの余裕が違います。

狭い場所で敵を避ける場面も、小さいマリオなら接触一回がそのままミス。スーパーマリオなら一度は立て直せます。

ただし体が大きくなるため、狭い場所での取り回しまで完全に同じではありません。

「キノコ=強くなる」というだけではなく、一回の操作ミスが即座に残機減少へつながるかどうかまで変えるアイテムです。

ファイアフラワーを取ると、敵へ近づく必要が減る

スーパーマリオの状態で条件を満たすと、ファイアフラワーからファイアマリオへ変身できます。

Bボタンでファイアボールを投げられ、同時に画面内へ出せるのは2発まで。ファイアボールは地面を跳ねながら前へ進み、踏みに行かなくても多くの敵を倒せるようになります。

これも単純な火力上昇だけではありません。

通常なら敵の頭上へジャンプして接触しなければならないところを、離れた位置から処理してそのまま走れる。敵の配置によっては、ジャンプを「攻撃」ではなく「穴や足場を越えること」だけへ使えるようになります。

一方、すべての敵をファイアボールで倒せるわけではなく、穴や溶岩へ落ちればパワーアップ状態に関係なくミスです。

スーパースターも一定時間敵への接触を無効にできますが、落下まで防いでくれるわけではありません。

パワーアップしても、コースそのものを無視して進めるようになるわけではない。この距離感が初代ではよく保たれています。

1-1は「完璧なチュートリアル」だから評価する必要はない

最初の1-1については、後世に大量のゲームデザイン解説が作られました。

そのすべてを開発意図として扱う必要はありませんが、任天堂側の証言として確認できる部分もあります。

序盤では右からクリボーが近づいてきます。避けようとしてジャンプすれば、偶然踏んだ場合も含めて「上からなら倒せる」と分かる。続いてスーパーキノコが出ますが、クリボーに似た動く物体なので、初見では危険なものにも見えます。

そこでキノコは右へ進んだあと土管にぶつかって戻ってきて、プレイヤーが接触しやすい配置になっています。宮本氏は、キノコがクリボーとは違う「取ってよいもの」だと理解してもらう意図があったと説明しています。

1-1は開発初期に最初から完成していた設計図でもありません。制作のかなり後まで調整され、初心者が遊びながら操作へ慣れるよう作り込まれていきました。

「史上最高のチュートリアル」といった称号を付けなくても、最初の数十秒で、敵、ジャンプ、踏みつけ、アイテム、パワーアップを実際に触らせるよう調整されていることだけで十分興味深いコースです。

32コースは、同じ右スクロールの繰り返しではない

全体は8ワールドで、各ワールドに4コース。合計32コースです。4番目は基本的に城となります。

序盤の地上コースでは、敵や穴を見ながら走ることが中心です。

地下へ入ると天井が低くなり、ジャンプできる空間が限られます。レンガブロックや土管が密集し、広い地上とは位置取りが変わります。

水中ではAボタンを繰り返して泳ぎ、高さを調整しながら敵を避けます。地上のように敵を踏み続けて進むゲームではなくなります。

雲の上へ出れば、通常ルートから外れた場所でコインを集められる。

城ではゴールポールへ走るコースから変わり、溶岩、ファイアバー、バブルなどを避けながらクッパのいる奥へ進みます。

操作ボタン自体はほとんど増えません。

同じ移動とジャンプを、場所を変えることで違う問題へ使わせています。

地上では「前へ跳ぶ」、地下では「狭い場所へ収める」

同じジャンプでも、地形が変われば欲しい動きも変わります。

地上の広い穴では、助走速度を上げて遠くへ届かせたい。

地下では頭上にブロックがあるため、高く跳べばいいとは限りません。狭い空間で敵を避けるなら、ジャンプを低めに抑えた方が扱いやすい場面もあります。

城では、溶岩から飛び出すバブルや回転するファイアバーを見て、前進するタイミングそのものを変える必要があります。

「ジャンプ」という一つの操作を覚えたあと、それをどこで、どれだけ強く使うかを32コースの中で変えていく構成です。

ブロックは進路ではない場所まで触らせる

ゴールへ向かうだけなら、すべてのブロックを叩く必要はありません。

それでもハテナブロックを見れば、下からジャンプしたくなります。

コイン。

スーパーキノコ。

ファイアフラワー。

スーパースター。

何が出るのかは場所によって違います。

さらに、一見普通に見える場所にも隠しブロックがあります。

そのため「ゴールまでの正しい床だけを見る」より、少し上にある空間や不自然な配置も気になるようになります。

ブロックを叩く行為は必須操作ではないのに、攻略を楽にするアイテムや残機につながる可能性があるため、前進以外の操作を試す理由になります。

土管には、入れるものと入れないものがある

土管も同じです。

すべての土管へ入れるわけではありません。

入れる土管からは地下のボーナスエリアなどへ移動できることがあり、そこには多くのコインが置かれています。

一方、土管からパックンフラワーが出てくる場合もある。

つまり「土管=出口か障害物」と固定されていません。

1画面を右へ走り抜けるだけなら見逃す場所に、別の空間への入口が入っています。

2023年の『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』開発者インタビューでも、初代を振り返る中で、土管から地下へ移動したり、ブロックからつるが現れて上空へ行けたりしたことが、当時の「秘密や不思議」の例として挙げられています。

ただし、好きなだけ戻って探索できるゲームではない

現在の2Dマリオとの違いとして大きいのがスクロールです。

マリオ自身は画面内で左へ動けますが、カメラは基本的に右へ進みます。一度画面の左外へ消えた場所まで、カメラを戻して取りに帰ることはできません。

さっき見逃したブロックが気になっても、もう画面外なら戻れない。

土管へ入るか迷ってそのまま先へ進めば、後から引き返せない。

さらに各コースにはTIMEがあり、時間切れもミスになります。ゴール時の残り時間はスコアにも加算されます。

隠し場所を探したい気持ちと、先へ進まなければならない条件が同時にあります。

この制約は探索を締める一方、現在の感覚では「ちょっと前へ戻りたいだけなのに戻れない」という不便さにもなります。

コインはスコアだけでなく残機につながる

コインを100枚集めるとマリオが1人増えます。1UPキノコも、見つければ残機を増やせます。

ここでコイン集めの意味が変わります。

コースクリアだけなら、すべて取る必要はありません。

しかし残機が少ない状況なら、寄り道してコインを取る価値が高くなります。

穴へ落ちる可能性がある場所で危険なコインを取りに行くか、そのまま安全に通過するか。隠しエリアへ寄るか。

スコアを無視して遊ぶ場合でも、コインは攻略資源として残ります。

ワープゾーンが32コースを一本道ではなくする

基本ルートはワールド1から8へ進む構成ですが、一部の隠しルートには先のワールドへ移動できるワープゾーンがあります。

全32コースを必ず順番にクリアしなければ最後へ行けないわけではありません。

ワープゾーンを知れば、序盤から中盤・終盤のワールドへ大きく移動できます。ファミコン版に実際にワープゾーンが存在することは、後年の『VS.スーパーマリオブラザーズ』との比較でも任天堂自身が説明しています。

ただし、現在のワールドマップのように好きなステージを一覧から選ぶ機能ではありません。

ワープ地点そのものを見つけ、そこまでたどり着く必要があります。

通常ルートを壊す選択肢は用意されているものの、その存在自体が隠されています。

城では「うまく跳べる」だけでは進めない場所もある

各ワールド最後の城では、地上コースとは別の厳しさがあります。

溶岩。

バブル。

ファイアバー。

狭い足場。

そして一部の城には、正しいルートを通らなければ同じ区間へ戻される構造があります。

ジャンプ操作がうまくても、道を間違えれば先へ進めません。

現在のゲームのように「間違った道です」と明確なメッセージが出るわけではないため、仕組みに気づくまでは同じ場所を何度か通る可能性があります。

ここは2026年に初見で遊ぶと、32コースの中でもかなり古さを感じやすい部分でしょう。

クッパは、倒さなくても突破できる

城の最後ではクッパと戦います。

ファイアマリオならファイアボールを当て続けて倒すことができますが、それだけが突破方法ではありません。

クッパの攻撃を避けて背後へ回り、橋の端にある斧へ触れれば、橋が落ちてクッパを溶岩へ落とせます。

つまり、ファイアフラワーを維持できなかったから詰むわけではありません。

小さいマリオでも、相手を直接倒すのではなく奥まで抜けることでクリアできます。

各ワールドの最終局面でも、パワーアップ状態によって選べる方法が変わります。

残機を失っても、毎回コース最初からとは限らない

敵へ接触する、穴へ落ちる、時間切れになるなどでミスになります。

ただし多くのコースでは、ある程度先まで進んでいれば中間地点から再開できます。城やワールド8など、入口からやり直す場所もあります。

この中間地点は大きいものの、残機そのものを失うことには変わりません。

全部なくなればGAME OVERです。

ノコノコと階段を利用して連続1UPを発生させる有名なテクニックもありますが、それを知っていることを通常攻略の前提にはできません。

原作の残機制を評価するときは、裏技なしで考えた方が実態に近いでしょう。

そして1985年版にはセーブがない

現在遊ぶうえで最も明確な古さの一つです。

FCカートリッジ版にはセーブ機能がありません。後に配信されたWii U版でも、原作のセーブデータ数は0として案内されています。

電源を切って、翌日にワールド6から続きを始めるような機能は原作にはありません。

隠し操作によるコンティニューは存在しますが、現在の「好きな場所で保存して後日再開」とは別物です。

32コースをまともに進める場合、この違いはかなり大きい。

1985年の原作そのものを遊ぶと、後半まで進んだプレイを失う重さも難易度の一部になっています。

2人プレイはマリオとルイージの交代制

「ブラザーズ」というタイトルですが、初代の2人プレイは2人が同じ画面へ同時に出る方式ではありません。

1Pがマリオ、2Pがルイージを担当し、交互にプレイします。後年の同時協力型2Dマリオとは別の仕組みです。

また、初代では『スーパーマリオブラザーズ2』で導入されたような、ルイージの高いジャンプ力や滑りやすさという性能差はありません。『2』では任天堂自身がマリオとルイージの性能差を新しい特徴として案内しています。

初代の2人用は、異なる能力のキャラクターを協力させるモードではなく、同じゲームへ交互に挑戦する仕組みです。

「ファミコンカセットの集大成」を目指して作られた

歴史的な評価を大量に付け足さなくても、開発者本人から具体的な制作背景が残っています。

宮本茂氏は、本作で「ファミコンカセットの集大成」を作りたかったと振り返っています。

その言葉は「ゲーム史すべての集大成」という意味ではありません。

『デビルワールド』では大きなキャラクターを動かす技術を扱い、『エキサイトバイク』ではスクロールやワープを実現していました。宮本氏は、そうしたファミコン開発で積み上げてきた技術を組み合わせ、長くスクロールするコースで大きなキャラクターを動かす作品にしようとしたと説明しています。

つまり、抽象的な「性能の限界突破」ではなく、それまでに実際に作ってきたゲームの経験を一つのカセットへまとめたという話です。

初代の開発チームは7~8人ほど

宮本氏の記憶では、初代の開発人数は「7、8人くらい」。

宮本茂氏がディレクションを担い、手塚卓志氏がアシスタントディレクター/デザイン、中郷俊彦氏らSRD側がプログラム、近藤浩治氏が音楽を担当しました。宮本氏自身もグラフィック制作へ参加しています。

後の『スーパーマリオブラザーズ3』では20~30人規模へ増えたと同じインタビューで振り返られており、初代と『3』では制作規模自体もかなり違います。

近藤浩治は、実際にゲームを触りながら曲を作った

音楽は近藤浩治氏。

近藤氏は後年、初代の音楽について、最初から「ラテン」「フュージョン」といったジャンルを決めて作ったのではなく、ゲームを実際に触りながら、それに合う曲を作ったと説明しています。

地上から地下へ入ればBGMが変わり、水中、城でも違う曲になります。

スーパースターを取れば通常BGMから短く速い無敵時の曲へ切り替わる。

音楽だけを切り離して評価するより、コースの状況が変わったことを音でも伝える仕組みとして見る方が、ゲームとの関係が分かりやすいでしょう。

効果音も同じです。

ジャンプしたこと。

コインを取ったこと。

キノコで大きくなったこと。

1UPしたこと。

ミスしたこと。

画面を見れば分かる情報にも短い固有音が付き、操作や状態変化をすぐ返してきます。

2026年に遊んでも面白いところ

現在でも一番強いのは、入力が少ないのに操作結果へ幅があることです。

ジャンプボタンが一つだから簡単、という意味ではありません。

走る速度を変えれば飛距離が変わり、Aボタンを押す時間で高さも変わる。空中でも着地点を調整できるため、同じ穴でも立ち止まった状態から慎重に越えるのと、Bダッシュの勢いを保ったまま飛び越えるのでは感覚が違います。

しかも、その動きを32コースで使い回して終わりません。

地上では距離。

地下では高さ。

水中では上下位置。

城ではタイミング。

同じ少数のボタンへ、地形側から違う課題を与えています。

パワーアップも、数字だけを増やしません。スーパーキノコは一度の接触を許し、ファイアフラワーは敵へ接近する必要を減らす。プレイヤーの失敗許容量と進み方そのものを変えます。

さらに、必須ルートから外れた土管や隠しブロック、ワープゾーンがあるため、ゴールだけを見て進む遊びと、画面のあちこちを試す遊びが同じコースに共存しています。

歴史的な知名度を抜きにしても、この部分は十分に遊びとして残っています。

2026年では厳しいところ

原作仕様には、現在なら明確に不便な部分もあります。

まずセーブがありません。

残機を使い切ればGAME OVERになり、長く進めたプレイを簡単に保存できない。

スクロールした左側へ戻れないため、見逃したものを取り直せない。

後半は穴や敵配置が厳しくなり、ミスが増えます。

一部の城では正しいルートを知らなければ同じ場所を繰り返す。

隠し要素も、現在のゲームのように収集率や未発見表示で教えてくれません。

2人プレイも同時協力ではなく交互制です。

これらを「不便だからこそ味がある」と言い換える必要はありません。

操作そのものは現在でもおもしろい一方、失敗した後のやり直し方には1985年らしい厳しさが残っている。その分け方が一番自然でしょう。

Nintendo Classicsなら原作の厳しさをかなり軽くできる

2026年8月現在、初代『スーパーマリオブラザーズ』はファミリーコンピュータ Nintendo Classicsで提供されています。Nintendo Switch Onlineの通常プランで利用でき、Nintendo Switch 2とNintendo Switchの両方に対応しています。『スーパーマリオブラザーズ』自体も現行のNintendo Classicsタイトルページが用意されています。

Nintendo Classicsには原作にはなかったどこでもセーブ巻き戻しがあります。

穴へ落ちた直前まで巻き戻す。

城のルートを試し直す。

ワールドの途中で保存して、翌日続きを遊ぶ。

こうしたことが可能になります。

もちろん、それを使った場合の失敗コストは1985年版とは大きく違います。

アクション部分をFC版のまま確かめたいけれど、セーブなし・残機制まで完全再現する必要はないという人には、現在もっとも入りやすい環境です。

ゲーム&ウオッチ版には、さらに原作にない救済もあった

2020年発売の『ゲーム&ウオッチ スーパーマリオブラザーズ』にもFC版が収録されました。

ただしこれは2021年3月までの期間限定生産商品で、現在の通常販売商品ではありません。

この版には、何度ミスしてもGAME OVERにならない「無限マリオ」や、一度到達したワールドから開始できる機能があります。任天堂自身が、これらは原作にはなかった機能だと明記しています。

そのため、現在さまざまな機器で遊べる「初代マリオ」をすべて1985年と同じ体験として扱うことはできません。

『スーパーマリオブラザーズ3』では何が変わった?

3年後の『スーパーマリオブラザーズ3』では、同じ走る・跳ぶという基本を残しながら、ゲームの外側まで大きく広がりました。

ワールドマップ。

分岐ルート。

マップ上で使用するストックアイテム。

しっぽマリオによる飛行。

カエル、タヌキ、ハンマーといった変身。

坂道の滑走。

甲羅を持つ操作。

初代では一本のコースへ入り、その中でパワーアップを拾うことが中心でした。『3』では「どのルートへ進み、どの状態でコースへ入るか」までプレイヤーの判断になります。任天堂の現行紹介でも、ワールドマップと複数の変身が『3』の大きな特徴として挙げられています。

初代を遊んだあとに『3』を見ると、シリーズが単純にコース数を増やしたのではなく、コースへ入る前の選択までゲームへ広げていったことが分かります。

つぶログでは、リライト済みの『スーパーマリオブラザーズ3』FC版レビューへここから接続するのが自然です。

まとめ|少ない操作だからこそ、走り方そのものが攻略になる

2026年にFC版へ戻ると、現在のマリオほど多くのアクションはありません。ジャンプとダッシュを中心にした操作系は小さく、ステージ選択や装備のカスタマイズもありません。

それでも、Bボタンで速度を乗せた状態からジャンプすると届く場所が変わり、Aボタンを押す長さや空中での左右入力によって着地点も動きます。スーパーキノコを取れば一度の接触に耐えられ、ファイアフラワーを維持できれば敵へ近づかずに進める。プレイヤーが持っている数少ない操作が、互いに独立せずつながっています。

32コース側も、その操作を同じ条件で繰り返させません。広い地上で助走距離を測ったあとに、地下では狭い空間へジャンプを収め、水中では上下方向を調整し、城では炎や溶岩のタイミングを読むことになります。土管やブロックの一部には本筋から外れた場所があり、ワープゾーンを知れば32コースを順番どおりに進まない遊び方まで可能です。

一方、セーブがなく、残機を使い切れば進行を失い、左へスクロールを戻せない原作仕様は現在では厳しく感じます。後半の城や隠されたルートも、ゲーム側が丁寧に答えを示してくれるわけではありません。

現在はNintendo Classicsのどこでもセーブや巻き戻しを使えるため、その古さをどこまで受け入れるかは自分で選べます。

『スーパーマリオブラザーズ』が現在も遊べる理由を、販売本数やシリーズの知名度だけに求める必要はないでしょう。Bダッシュの速度をそのままジャンプへ持ち込み、思った場所へ着地できたときの手応えは、1985年のゲーム画面の中に今も残っています。

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