
- 『鋼の錬金術師 翔べない天使』は原作のどこ?アルモニ・錬成・ゲーム内容を解説
- 『鋼の錬金術師 翔べない天使』とは?
- 原作のどこに入る物語?第9話→ゲーム→第10話
- 物語はトレインジャックから始まる
- アルモニとは?『翔べない天使』を代表するオリジナル少女
- ヴィルヘルム、ガンツ、ネムダ、カミラ――本当に登場するゲーム独自人物
- 「賢者の触媒」とキメラが事件の中心にある
- どんなゲーム?エドを操作する3DアクションRPG
- 「錬金術」をどうアクションゲームにした?50種類以上の錬成
- 武器を作るだけではない|壁を防御にも足場にも使う
- アルはAIで戦う|CALL・TACKLE・GUARDで指示できる
- アルにもHPがある|倒れたら救護が必要
- RPGとしてレベル・装備・アクセサリーもある
- 2周目では敵が強化され、マテリアル収集が始まる
- BONESがゲーム用アニメーションを制作
- TVアニメ版キャストは参加するが、ゲーム全編フルボイスではない
- 「消せない罪」もゲームに使われている
- 2003年TVアニメとはどういう関係?
- 2009年『FULLMETAL ALCHEMIST』とは別の展開
- 原作者・荒川弘はどこまで関わった?
- ゲーム開発はラクジン
- 公式ノベライズ版『翔べない天使』も存在する
- 公式コンプリートガイドも同時期に発売
- 『赤きエリクシルの悪魔』『神を継ぐ少女』との違い
- 2026年現在『翔べない天使』を遊ぶ方法は?
- まとめ|原作本編の「隙間」を、錬金術アクションで描いたゲーム
『鋼の錬金術師 翔べない天使』は原作のどこ?アルモニ・錬成・ゲーム内容を解説
『鋼の錬金術師 翔べない天使』の物語は、原作漫画と無関係なパラレルワールドではありません。
舞台となる時期は、原作第9話「家族の待つ家」と第10話「賢者の石」のちょうど間です。
機械鎧の修理を終えてリゼンブールを発ち、アレックス・ルイ・アームストロングの護衛を受けながらセントラルへ向かうエドワードとアルフォンス。その移動中に起こった事件を、ゲームだけの物語として差し込んだのが2003年のPlayStation 2用アクションRPG『鋼の錬金術師 翔べない天使』でした。発売当時のスクウェア・エニックス発表でも「第9話」と「第10話」の間と明記されています。
しかもゲーム独自なのは物語だけではありません。
周囲にある物体を武器や兵器へ錬成し、何もない地面から壁を作り、それを防御だけでなく高所へ上る足場にも使う。プレイヤーが操作するのはエドですが、アルはAIで同行し、呼び寄せる、突撃させる、防御させるといった指示も出せます。
原作の「錬金術」をムービーで見せるだけではなく、ステージそのものを書き換えるアクションへ変えたことが、このゲーム最大の特徴です。
『鋼の錬金術師 翔べない天使』とは?
『鋼の錬金術師 翔べない天使』は、2003年12月25日にスクウェア・エニックスから発売されたPlayStation 2用アクションRPGです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式タイトル | 鋼の錬金術師 翔べない天使 |
| 発売日 | 2003年12月25日 |
| 対応機種 | PlayStation 2 |
| 発売元 | スクウェア・エニックス |
| 開発 | ラクジン(RACJIN) |
| ジャンル | アクションRPG |
| プレイ人数 | 1人 |
| 型番 | SLPM-65473 |
| JAN | 4988601003933 |
| 希望小売価格 | 6,800円 |
| 当時税込価格 | 7,140円(消費税5%) |
| メディア | DVD-ROM 1枚 |
| 付属説明書 | 24ページ |
| 原作 | 荒川弘 |
発売日・価格・ジャンルは発売直前のGAME Watchでも確認でき、国立国会図書館の所蔵情報には「DVD-ROM 1枚」「解説書24ページ」「6,800円」と記録されています。開発会社ラクジンも現在の公式開発実績ページで、本作を2003年12月25日発売のアクションRPGとして掲載しています。
型番はSLPM-65473、JANは4988601003933です。現在の中古データベースに「定価7,480円」と表示される場合がありますが、これは現在の税率を当てはめた表示で、2003年当時の税込価格ではありません。当時の記事で発表された本体価格は6,800円でした。
原作のどこに入る物語?第9話→ゲーム→第10話
位置関係を先に整理すると、非常に分かりやすくなります。
| 順番 | 内容 |
|---|---|
| 原作第9話 | 「家族の待つ家」 |
| ↓ | リゼンブールを出発 |
| PS2『翔べない天使』 | ヒースガルドで起こるゲーム独自事件 |
| ↓ | セントラルへ |
| 原作第10話 | 「賢者の石」 |
2003年10月29日の発売発表時点でスクウェア・エニックスは、本作を「原作第9話『家族の待つ家』と第10話『賢者の石』の間のエピソード」と説明しています。
つまり「オリジナルシナリオ」という言葉は、
原作本編と関係のない別世界
という意味ではありません。
原作の時間軸そのものへ、ゲームのために新しく作った事件を差し込んだ作品です。
2004年にスクウェア・エニックスから刊行された公式ノベライズも、アームストロングの護衛を受けてセントラルへ向かうエドとアルが途中でトレインジャックに遭い、ヒースガルドへ立ち寄るところから物語を説明しています。
物語はトレインジャックから始まる
エドとアルはリゼンブールで機械鎧の調整を終え、アームストロングに護衛されてセントラルへ戻る途中でした。
しかし乗っていた列車が襲撃され、兄弟はトレインジャック事件へ巻き込まれます。事件を処理したものの、そのまま順調にセントラルまで走れる状況ではなくなり、近くにあるヒースガルドへ向かうことになります。
ここで旧記事にあった「ヒーゼガルド」という表記は修正が必要です。
スクウェア・エニックス公式ノベライズで使われている表記は、
ヒースガルド
です。
ヒースガルドはエドにとって完全に初めて訪れる土地というわけでもありません。かつて訪れた土地であり、そこには「十賢」と呼ばれた錬金術師とその娘がいる――という過去が、今回の事件へつながっていきます。
アルモニとは?『翔べない天使』を代表するオリジナル少女
本作のゲームオリジナル人物で最も重要なのが、アルモニ・エイゼルシュタインです。
声を担当するのは水樹奈々。
錬金術を学ぶ少女で、ヒースガルドでエドたちと出会い、やがて今回の事件そのものと深く関係していきます。
アニプレックスも本作のサウンドトラックを紹介する際、
「空から舞い降りた少女、アルモニとの出会い」
を物語の最初に挙げています。つまりアルモニは、後年の資料が勝手に目立たせた人物ではなく、当時からこのゲームを象徴するオリジナルキャラクターでした。
旧記事に登場していた「アーシェ」という少女ではありません。
また「翔べない天使」というタイトルが具体的に何を意味するのかは、アルモニを巡る終盤の設定に直結します。初めて物語を知る読者向けの記事では、ここを最初から説明し切らないほうがよいでしょう。
ヴィルヘルム、ガンツ、ネムダ、カミラ――本当に登場するゲーム独自人物
アルモニ以外にも、ヒースガルド編のために作られた人物が登場します。
ヴィルヘルム・エイゼルシュタイン
アルモニの父である錬金術師。
スクウェア・エニックス公式ノベライズでは、ヒースガルドで研究を続ける「十賢と謳われた錬金術師とその娘」の存在が物語の入口になっています。
声は石井康嗣。
研究している「賢者の触媒」が終盤の核心へつながりますが、その詳細はアルモニの秘密と同様にネタバレへ直結します。
ガンツ・ブレスロー
ヒースガルドで何度もエドの前へ立ちはだかる軍人で、左腕に機械鎧を持つ戦闘要員です。
声は江川央生。
アニプレックスもサウンドトラックの商品紹介で「ガンツとの戦い」を本作の代表的な出来事として挙げています。
後年資料では「徹甲の錬金術師」を自称する人物として整理されていますが、原作にそのまま登場する主要キャラクターとして扱うのではなく、本作側の人物として見るのが安全です。
ムーディ・ネムダ
ヒースガルド側の軍を率いる人物で、声は西村知道。
アニプレックスの商品紹介にも「ネムダの野望」という言葉が使われています。
旧記事に登場した「カーディアス大佐」をここへ置き換えるわけではありません。そもそもカーディアス大佐という人物を本作の正式キャラクターとして確認できないため、旧人物設定そのものを削除する必要があります。
カミラ
声は沢海陽子。
物語後半のキメラや「賢者の触媒」を巡る事件へ関係する人物で、アニプレックスも「カミラとの激闘」を終盤の出来事として紹介しています。
この4人とアルモニを軸にすると、本作が実際に誰を中心として作られたゲームなのかが見えてきます。
旧記事にあった、
アーシェ
カーディアス大佐
クロム
という人物一覧を残す必要はありません。
「賢者の触媒」とキメラが事件の中心にある
本作の事件を貫く重要な言葉の一つが「賢者の触媒」です。
エドとアルが原作本編で探している「賢者の石」とは同じ名称ではありません。
ヒースガルドで続けられてきた研究、その過去、アルモニ、そして複数のキメラを巡る事件が次第につながっていきます。
アニプレックスもサウンドトラックの商品紹介で、
- アルモニとの出会い
- ガンツとの戦い
- ネムダの野望
- 究極のキメラ
- カミラとの激闘
という順に本作の出来事を紹介しています。
旧記事のように「地方勢力と軍の政治的対立」を中心とする物語として一般化するより、錬金術研究、キメラ、賢者の触媒、アルモニの存在が一つの事件へつながっていく話として説明するほうが、実際の内容に近くなります。
どんなゲーム?エドを操作する3DアクションRPG
ゲーム部分では、プレイヤーが直接操作するのはエドワード・エルリックです。
3Dステージを移動し、通常攻撃、ジャンプ、回避、錬金術を使って敵と戦います。
アルフォンスはプレイヤー2が直接動かすキャラクターではありません。
基本的にはAIで行動し、エド側から必要に応じて指示を出します。
この点は、2005年の第3作『鋼の錬金術師3 神を継ぐ少女』で初めて「2人同時プレイ」が実現したと公式に紹介されていることからも明確です。
『翔べない天使』は1人用です。
「錬金術」をどうアクションゲームにした?50種類以上の錬成
『翔べない天使』の中心システムが錬成です。
後年の商品資料と攻略資料では、錬成は大きく、
装備型
設置型
特殊型
の3系統に分かれ、合計50種類以上が用意されていたとされています。
重要なのは、「50種類の武器リストから好きなものを自由にクラフトするゲーム」ではないことです。
フィールド上には錬成可能な物体が置かれており、対象へ近づくと錬成可能であることが表示されます。その物体に錬金術を使うことで、対象に応じた武器や兵器などへ変化させます。
街灯から槍を作る。
ベンチを射撃武器へ変える。
大型の物体を大砲などへ変える。
何もない場所では地面そのものへ錬金術を使う。
このように、周囲の環境から何を作れるかを見極めながら戦う仕組みです。
武器を作るだけではない|壁を防御にも足場にも使う
錬金術が面白いのは、敵へダメージを与える手段だけではないところです。
何もない地面へ錬金術を使うと、エドは壁を作ることができます。
この壁は敵の攻撃を遮る障害物として使えますが、それだけではありません。
エド自身が壁の上へ乗ることができ、高い場所へ移動するための足場としても機能します。
つまり、
「錬金術=必殺技」
ではありません。
敵を攻撃する。
敵の攻撃を遮る。
移動ルートを作る。
ステージ内の仕掛けを動かす。
こうした複数の目的を、一つの「錬成」というルールで処理します。
発売前のGAME Watchも、本作の見せ場を「3D空間内で錬金術を駆使しながら戦うバトル」と紹介していました。
アルはAIで戦う|CALL・TACKLE・GUARDで指示できる
アルフォンスは自動で敵と戦いますが、完全に放置するNPCではありません。
エドとの位置関係や操作によって、アルへ複数の指示を出せます。
代表的なのは、
CALL
離れているアルをエドの近くへ呼ぶ。
TACKLE
近くにいるアルへ突撃を指示する。
GUARD
アルをエドの前へ立たせて防御させる。
といった行動です。
さらに条件を満たせば、エドの錬金術とアルを組み合わせたスペシャルアタックも使えます。
「兄弟タッグ」という曖昧な一言ではなく、エドを直接操作しながらAIのアルへ状況別コマンドを送るゲームと理解すると、実際の操作構造が分かりやすくなります。
アルにもHPがある|倒れたら救護が必要
アルは無敵でもありません。
エドと同じようにHPを持ち、HPが0になるとその場でダウンします。
一定時間などで復帰する方法もありますが、エドの錬金術によって救護することもできます。アルが倒れた状況では一時的にサポートを失うため、エド自身だけでなくアルの状態も見ながら戦う必要があります。
エドのHPが0になればゲームオーバーですが、アルのHPが0になった瞬間にゲームそのものが終了するわけではありません。
この違いも、本作における兄弟の役割分担を理解するポイントです。
RPGとしてレベル・装備・アクセサリーもある
タイトルが「アクションRPG」である通り、アクションだけで進むゲームではありません。
敵を倒して経験値を得ることでレベルが上がり、エドとアルの能力が成長します。
さらにアクセサリーを装備して能力を変えたり、獲得したボーナスポイントを使ってステータスを強化したりする仕組みもあります。
ステータスには体力、攻撃力、防御力などがあり、エドには錬成力も設定されています。
錬金術という独自アクションを中心にしながら、キャラクター成長や装備を組み込んだ3DアクションRPGというのが本作の基本形です。
2周目では敵が強化され、マテリアル収集が始まる
エンディング後にクリアデータを保存し、そのデータから始めると2周目へ進めます。
2周目では敵が強化される一方、1周目で取得したアイテムやアクセサリー、ボーナスポイントを引き継ぐことができます。エドとアルのレベル自体は初期状態へ戻ります。
さらに2周目には、
画像マテリアル
映像マテリアル
という収集物が追加されます。
映像マテリアルは17個が確認され、取得するとタイトル画面のギャラリーからアニメーションなどを閲覧できるようになります。
本編を一度クリアした後にも、映像・設定資料を集めるためにステージを回る仕組みが用意されていました。
BONESがゲーム用アニメーションを制作
イベントで使われるアニメーションも本作の重要な要素です。
発売当時のGAME Watchは、
現在放送中のアニメ版を制作したスタッフがイベントアニメを担当
していると紹介しています。アニプレックスも本作を「BONES制作によるアニメーション」を備えたPS2作品として公式に扱っています。
つまり、アニメ風の静止画をゲーム会社だけで作ったものではありません。
2003年TVアニメ『鋼の錬金術師』を手掛けていたBONES側が、ゲーム映像の制作にも参加しています。
一方、旧記事にあった「約30分の完全新作アニメ」という具体的な尺については、今回確認できたスクウェア・エニックス、GAME Watch、アニプレックスの一次性が高い資料では明記を確認できませんでした。
そのため本文では数字を固定せず、「複数のゲーム用アニメーションを収録」までに留めるのが安全です。
TVアニメ版キャストは参加するが、ゲーム全編フルボイスではない
主要キャラクターには、2003年TVアニメと同じキャストが参加しています。
- エドワード・エルリック:朴璐美
- アルフォンス・エルリック:釘宮理恵
- ロイ・マスタング:大川透
- リザ・ホークアイ:根谷美智子
- アレックス・ルイ・アームストロング:内海賢二
- アルモニ・エイゼルシュタイン:水樹奈々
- ヴィルヘルム・エイゼルシュタイン:石井康嗣
- ガンツ・ブレスロー:江川央生
- ムーディ・ネムダ:西村知道
- カミラ:沢海陽子
などです。商品データでもこれらの出演者を確認できます。
ただし、TVアニメ声優が参加している=フルボイスではありません。
通常のテキスト会話は基本的に音声なしで進み、アニメーションや一部イベントなどに声が入ります。
そして翌年の『鋼の錬金術師2 赤きエリクシルの悪魔』では、GAME Watchが「前作でユーザーから要望の多かったキャラクタのフルボイス化」を新要素として紹介しています。つまり第2作でフルボイス化されたという事実からも、第1作『翔べない天使』を「フルボイスRPG」と説明することはできません。
「消せない罪」もゲームに使われている
音楽面では、2003年TVアニメ第1期エンディングテーマだった北出菜奈「消せない罪」とのつながりがあります。
2004年2月18日に発売された『PS2ゲーム「鋼の錬金術師」オリジナル・サウンドトラック』には、
「消せない罪~raw "breath" track~」80秒ver.
を収録。
アニプレックスは、このCDにゲーム本編で流れたヴォーカル曲2曲も収録していると説明しています。
サントラの曲目では、
motoko「心の花」
山田沙織「Emotionally」
の2曲がヴォーカル曲として確認できます。
TVアニメの曲をそのままBGM全集のように使用したゲームではありませんが、アニメ展開と音楽面でも接点を持っていました。
2003年TVアニメとはどういう関係?
ここは「原作」と「アニメ」を分けて考える必要があります。
公式年表によれば、2003年版TVアニメ『鋼の錬金術師』は2003年10月4日に放送開始。
PS2『翔べない天使』は同年12月25日発売です。
つまりアニメ放送開始から約3か月後にゲームが登場しています。
しかし物語の位置づけについてスクウェア・エニックスが指定した基準は、
原作第9話と第10話の間
です。
一方、映像はBONES、主要キャストは2003年TVアニメ版と共通しています。
そのため本作を最も正確に表現するなら、
原作初期の時間軸にゲーム独自事件を置き、それを2003年TVアニメと共通する映像・キャスト体制で制作したゲーム
となります。
「2003年アニメの正史外伝」とまで断定する必要はありません。
2009年『FULLMETAL ALCHEMIST』とは別の展開
『鋼の錬金術師』は2009年に再びTVアニメ化され、『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』が放送されています。
しかし『翔べない天使』は2003年発売です。
キャストや映像制作の接続先も2003年版TVアニメであり、2009年版の設定・キャストを基準に作られたゲームではありません。
2009~2010年には『FULLMETAL ALCHEMIST』名義のWii・PSP作品も別に展開されているため、検索時には区別が必要です。
原作者・荒川弘はどこまで関わった?
本作については、荒川弘がシナリオ監修とゲームオリジナルキャラクターデザインを担当したとする当時の商品情報が残っています。
ここで注意したいのは、
荒川弘本人がゲーム脚本を最初から最後まで執筆した
という意味ではないことです。
監修と脚本執筆は別です。
本作について「荒川弘が書き下ろした完全新作ストーリー」とまで広げるのではなく、
原作者がシナリオを監修し、オリジナルキャラクターデザインにも関わった
とするのが適切です。
ゲーム開発はラクジン
ゲーム部分の開発には大阪のゲーム開発会社ラクジン(RACJIN)が参加しています。
ラクジン自身の現在の公式開発実績にも、
鋼の錬金術師 ~翔べない天使~
ジャンル:アクションRPG
リリース:2003.12.25
株式会社スクウェア・エニックス
と掲載されています。
製品の著作権表記にも当時、
©2003 RACJIN / SQUARE ENIX
が使用されていました。
つまり、
- 原作:荒川弘
- 発売:スクウェア・エニックス
- ゲーム開発:ラクジン
- イベントアニメーション:BONES
というように役割を分けて見ると、本作の制作体制が分かりやすくなります。
公式ノベライズ版『翔べない天使』も存在する
ゲーム発売から約7か月後の2004年7月30日には、スクウェア・エニックスから、
『GAME NOVELS 鋼の錬金術師 翔べない天使』
が発売されています。
著者は井上真。336ページ、ISBNは9784757512474です。
スクウェア・エニックス自身が「PS2ソフト『翔べない天使』の完全ノベライズ版」と明記しており、トレインジャックからヒースガルドへ向かうゲームの導入を現在も公式サイトで確認できます。
ゲーム画面だけでは追いにくい人物の心情や物語を、別メディアから補える公式関連作品です。
ただし「完全ノベライズ」という名称であっても、ゲームの操作・ボス戦・ステージ構造まで小説と同一になるわけではありません。ゲームシステムを確認するときはゲーム側を基準にする必要があります。
公式コンプリートガイドも同時期に発売
スクウェア・エニックスからは、
『鋼の錬金術師 翔べない天使 公式コンプリートガイド』
も発売されています。
ISBNは9784757511163。商品データでは2003年12月25日発売と記録されています。
錬成武器、アクセサリー、ステージ、2周目などを細かく確認したい場合は、ゲーム本体と直接対応する資料です。
『赤きエリクシルの悪魔』『神を継ぐ少女』との違い
『翔べない天使』の後にも、スクウェア・エニックスは同じPS2でアクションRPGを展開しました。
| 作品 | 発売日 | 主な位置づけ |
|---|---|---|
| 翔べない天使 | 2003年12月25日 | PS2アクションRPG第1作 |
| 鋼の錬金術師2 赤きエリクシルの悪魔 | 2004年9月22日 | 第2作 |
| 鋼の錬金術師3 神を継ぐ少女 | 2005年7月21日 | 第3作 |
公式年表でも第2作『赤きエリクシルの悪魔』は2004年9月22日発売と記録されています。
第2作ではセルシェーディングや操作系の改良だけでなく、先ほど触れたフルボイス化が行われました。
第3作『神を継ぐ少女』ではさらに、シリーズで初めて2人同時プレイを搭載しています。
そのため、
「『翔べない天使』はフルボイス」
「エドとアルを2人で同時操作できる」
とすると、後続作の仕様が混ざってしまいます。
2026年現在『翔べない天使』を遊ぶ方法は?
2026年8月現在、スクウェア・エニックスの公式サイトには『鋼の錬金術師 翔べない天使』の作品ページ自体が残っています。
一方、PlayStation Store、PS Plusクラシックス、Nintendo Switch/Nintendo Switch 2、Steam、Xboxなどについて確認した範囲では、2003年版『翔べない天使』を現行機向けに購入できる公式デジタル版は確認できません。
したがって現在ゲーム本編を正規に遊ぶ基本手段は、PS2版の中古ディスクを入手し、
PlayStation 2実機
でプレイする方法です。
PS3は「どの本体でも」遊べるわけではない
PS3については特に注意が必要です。
ソニー公式サポートでは、日本向けの初期モデルCECH-A00/CECH-B00は「PlayStation 2規格DVD」に対応しています。
それ以外のPS3シリーズでは、PS2規格ソフトは動作しないと明記されています。
つまり、
PS3なら全部PS2ソフトが動く
わけではありません。
PS4・PS5へPS2ディスクを入れても遊べない
PS4/PS5には、PS2パッケージソフトのディスク互換機能はありません。
PS5は対応するPS4ゲームを動かす互換性を持ちますが、2003年のPS2用『翔べない天使』をディスクからインストールして遊ぶことはできません。ソニーの現行サポートもPS5のゲームディスク互換をPS4対応タイトルとして案内しています。
したがって、2026年現在は、
PS2版ディスク+PS2実機
または、
PS2互換を持つ初期型PS3+PS2版ディスク
が現実的な正規プレイ環境です。
まとめ|原作本編の「隙間」を、錬金術アクションで描いたゲーム
『鋼の錬金術師 翔べない天使』は、原作とは無関係な完全パラレル外伝ではありません。
原作第9話「家族の待つ家」と第10話「賢者の石」の間。
リゼンブールで機械鎧の整備を終え、セントラルへ戻るエドとアルが、トレインジャックをきっかけにヒースガルドへ立ち寄ったことで始まるゲームオリジナル事件です。
そこで出会うのがアルモニ・エイゼルシュタイン。
さらにヴィルヘルム、ガンツ・ブレスロー、ムーディ・ネムダ、カミラといった、この作品のために用意された人物たちが、「賢者の触媒」とキメラを巡る事件へ関わっていきます。
ゲーム部分では、プレイヤーがエドを操作し、周囲の物体を武器や兵器へ錬成するだけでなく、地面から作った壁を防御や足場にも利用します。アルはAIで同行し、CALL、TACKLE、GUARDなどの指示を出しながら兄弟で戦う構造です。
イベントアニメーションにはBONESが参加し、2003年TVアニメ版のキャストも出演。一方で全編フルボイスではなく、2人同時プレイもまだありません。それらは後続作で追加された要素でした。
つまり『翔べない天使』の特徴は、「ハガレンらしい雰囲気」という抽象的なところにあるのではありません。
原作本編の第9話と第10話の間へ新しい事件を差し込み、原作の錬金術を“周囲の環境そのものを武器・防御・足場へ変える操作”としてゲーム化したこと。
そこに、2003年に作られた最初のPS2版『鋼の錬金術師』アクションRPGとしての具体的な姿があります。