- ダンジョンエクスプローラーIIとは?PCエンジンの5人協力アクションRPGをレビュー
- 先に結論|初代の5人協力を、その場限りの遊びから“育てる冒険”へ広げた
- 『ダンジョンエクスプローラーII』とは
- 舞台は初代から半世紀後
- 8職業は「誰で撃つか」だけでなく、一人で何を背負うかを決める
- 武器を拾って持ち替えるRPGではない
- 戦闘は「動きながら撃ち続ける」のではなく、避けて、止まって、撃つ
- 魔法はMPではなく、白と黒の「回数」を管理する
- 普通の「経験値稼ぎ」で強くなるRPGではない
- RPGの成長だけでなく、自分で避ける余地も残っている
- クラスチェンジで初期8人をさらに育てられる
- 最大5人になると、職業の「弱点」が役割へ変わる
- 同じ画面で戦うから、人数そのものが戦闘パターンを増やす
- だから「最大5人だから楽しい」では足りない
- 育てたキャラクターをパスワードで持ち寄れる
- バックアップRAMとパスワードは役割が違う
- 死神とのカードゲームは「死んだ後の復活ゲーム」ではない
- 広い世界は探索を増やした
- ただし、すべてのダンジョンが最初から巨大なわけではない
- 敵を生む発生源を壊す基本ループは初代から大きく変わらない
- オートマップがないことも、後半の迷路では効いてくる
- 多人数では、同じ反復へ別の判断が入り込む
- それでも一人用として十分に完成している
- ソロでは「長編化したこと」の負担も一人で受け取る
- SUPER CD-ROM²化は「音が豪華」だけではない
- 初代の音を残しながら、続編として世界を広げている
- なぜA Tier・89点なのか
- なぜS Tier・90点ではなく89点なのか
- 「5人集まれば名作」ではない
- PCエンジン miniで遊べるのは初代
- Wiiバーチャルコンソール版は過去の配信
- ゲームアーカイブス版は2010年配信
- 2026年現在、『II』を新規購入できるか
- 2026年現在どう遊ぶ?
- 総評|「一人で育てる」と「5人で冒険する」を同じRPGにつないだ89点
ダンジョンエクスプローラーIIとは?PCエンジンの5人協力アクションRPGをレビュー
1993年3月26日にハドソンから発売されたPCエンジン SUPER CD-ROM²用『ダンジョンエクスプローラーII』には、「最大5人同時プレイ」という非常に分かりやすい特徴がある。
ただし、それだけを本作の売りとして語ると、続編で何が変わったのかが見えなくなる。
1989年の初代『ダンジョンエクスプローラー』も、すでに8つの職業からキャラクターを選び、最大5人で同時プレイできるアクションRPGだった。現在のPCエンジン mini公式サイトにも、初代について8職業と最大5人同時プレイが明記されている。
『II』が広げたのは人数ではなく、5人協力を受け止めるRPG側の厚みだった。
町を巡り、広いフィールドを渡り、迷宮や城へ入り、敵を生み出す発生源を破壊しながら奥へ進む。キャラクターには異なる能力と白・黒の魔法があり、ボス攻略や探索で手に入れたクリスタルによって成長する。クラスチェンジや追加キャラクターも用意され、SUPER CD-ROM²ならではの音楽、音声、ビジュアル演出によって物語も長編化した。
そして特に大きいのが、自分で育てたキャラクターをパスワードで多人数プレイへ持ち込めることである。KONAMI公式も、「それぞれが育てたキャラクターを持ち寄って、多人数プレイを始める」機能として明確に紹介している。
一人で遊んだ時間と、複数人で遊ぶ時間が分断されていない。
一方、世界と迷宮を大きくしたことによって、移動、敵処理、迷路、戻りといった初代からの反復も長くなった。複数人なら職業差や別々の位置取りによって変化する戦闘が、一人では一つのキャラクターによる同じ操作へ集約されやすい。
つぶログのPCエンジン全669作品Tier表では、『ダンジョンエクスプローラーII』を89点・A Tier・総合13位としている。現行Tier表でも、S Tier下限の90点にあと1点まで迫る位置だ。
その1点は、「5人集めにくいから」ではない。
長編アクションRPGへの拡張に成功した一方、その長さを最後まで支えるほど通常戦闘そのものの幅は増えていない。
ここが89点の核心になる。
先に結論|初代の5人協力を、その場限りの遊びから“育てる冒険”へ広げた
『ダンジョンエクスプローラーII』の進化を考えるとき、CDになって映像や音楽が豪華になったという説明だけでは足りない。
初代にも、能力の異なるキャラクター、ショット、魔法、クリスタルによる成長、最大5人協力があった。続編はその骨格を残しながら、町とフィールド、寄り道、イベント、追加キャラクター、クラスチェンジ、セーブ機能を加え、数回のダンジョン攻略では終わらない長い旅へ組み替えている。KONAMI公式も本作について、8職業、武器と魔法、広大なフィールドとダンジョン、新しい仲間、死神とのカードゲームを特徴として挙げている。
しかも長くなった冒険を一人用RPGとして保存できるだけでなく、そこで育てたキャラクターをパスワードで持ち出せる。
この設計によって、
一人で育てることと集まって協力すること
が同じゲームの延長線上に置かれた。
最大5人という数字より、こちらの方が『II』を評価するうえでは重要だ。
『ダンジョンエクスプローラーII』とは
今回評価するのは、1993年3月26日に日本国内で発売されたPCエンジン SUPER CD-ROM²版『ダンジョンエクスプローラーII』である。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発売日 | 1993年3月26日 |
| 発売元 | ハドソン |
| ジャンル | アクションRPG |
| 発売時価格 | 6,800円 |
| 型番 | HCD3034 |
| メディア | SUPER CD-ROM² |
| プレイ人数 | 1~5人 |
| 初期選択 | 8キャラクター/8職業 |
| Tier | A Tier |
| スコア | 89 / 100 |
| PCエンジン全作品中 | 13位 |
発売日、価格、型番HCD3034、SUPER CD-ROM²という基本情報は当時の発売記録をまとめた複数資料で一致している。KONAMIのゲームアーカイブス版公式ページでも、オリジナルハードをPCエンジン、プレイ人数を1~5人と確認できる。
なおKONAMIの旧Wiiバーチャルコンソール商品ページには「オリジナルハード:ファミリーコンピュータ」と表示されているが、これは同社のゲームアーカイブスページや各種発売記録と矛盾する。今回の対象がPCエンジン版であることに疑いはない。
舞台は初代から半世紀後
日本向けKONAMI公式では、物語の舞台を前作から半世紀後としている。
再び危機に襲われたコーネリアで、8人の勇者が「魔王ブレード」と「闇の魔導師」に挑む。英語圏の資料では年代や国名、人物名に異なる記述も見られるが、本記事では1993年日本国内版を対象としているため、KONAMI日本公式の設定を基準とする。
ストーリーそのものを複雑な選択型RPGへ変えた作品ではない。
それでも町、NPC、寄り道、ビジュアルシーン、追加キャラクターを増やしたことで、初代より「次のダンジョンへ向かう理由」が見えやすくなった。アクションの合間に冒険の節目を置き、長いゲームを一本の旅として見せる方向へ進んでいる。
8職業は「誰で撃つか」だけでなく、一人で何を背負うかを決める
ゲーム開始時には8人からキャラクターを選択する。
日本版で確認できる初期メンバーは、バード、ハンター、シーフ、プリースト、ドワーフ、エルフ、ウィザード、ファイターの8職業。それぞれ攻撃力、素早さ、耐久力、魔法能力などに違いがあり、白魔法と黒魔法の内容も異なる。日本版プレイ記録ではリオット、アルダン、セピア、ソーン、ドゥーゼ、フィーナ、エフレイム、アレックスという名前も確認できる。
ただ、重要なのは8人分のステータス表を暗記することではない。
高い通常火力を持つキャラクター。
魔法や回復へ比重を置いたキャラクター。
移動能力を生かしやすいキャラクター。
頑丈だが機動力に弱点を抱えるキャラクター。
こうした違いがあるため、一人と多人数では同じ職業の意味まで変わる。
ソロなら、回復能力が低いことも、移動が遅いことも、攻撃力が足りないことも自分一人で補わなければならない。
複数人なら、その弱点を別職業の仲間へ任せられる。
本作の職業選択は、キャラクターの見た目を選ぶ画面ではなく、これからの冒険で「自分が何を得意とし、何を他人へ任せたいか」を決める入口になっている。
武器を拾って持ち替えるRPGではない
KONAMI公式は「それぞれの武器と魔法を駆使」と説明しているが、本作は剣、弓、杖を大量に拾い、装備欄から交換していくタイプのRPGではない。
キャラクターごとに基本となる通常攻撃が決まっており、その性能と魔法を含めて職業の個性が作られている。詳細な検証でも、通常武器を次々に交換するシステムはなく、初期8人はクラスチェンジによって攻撃表現や能力が強化される構造とされている。
つまりソロでファイターを選んだあと、「必要だから回復役の杖へ持ち替える」といった解決はできない。
キャラクターを選んだ時点で、その長所と不足をある程度引き受けることになる。
逆に多人数では、キャラクターを持ち替える代わりに、別のキャラクターが横にいる。
この違いが最大5人設計ときれいにつながっている。
戦闘は「動きながら撃ち続ける」のではなく、避けて、止まって、撃つ
基本戦闘は見下ろし視点のリアルタイムアクションだ。
敵や弾を避けながら位置を調整し、攻撃して敵や発生源を破壊する。攻撃ボタンを押し続ければ、その場に立った状態で8方向へ向きを変えて狙える。
ただし、攻撃している短い間は移動できない。 また、移動方向とは別の方向へ射撃しながら走り続けるストレイフのような操作もない。
そのため一人での戦闘には、
敵から離れるために移動する。
安全な場所で一度止まり、攻撃する。
敵が迫ったら再び位置を変える。
という呼吸が生まれる。
この仕様は多人数になると別の意味を持つ。一人が回避のため射撃を止めている間にも、別の仲間は違う方向から攻撃できるからだ。
人数が増える価値は、火力の合計だけではない。
一人では交互にしかできない「攻撃」と「退避」を、パーティ全体では同時に行える。
ここに協力プレイの強さがある。
魔法はMPではなく、白と黒の「回数」を管理する
魔法は白魔法と黒魔法に分かれている。
白には回復、防御、状態回復、拘束、帰還などがあり、黒には攻撃力強化、全体攻撃、反射などが用意されている。どの魔法を使えるかは職業によって決まり、自由に魔法リストから付け替える仕組みではない。
使用にはMPゲージではなく、白ポーションと黒ポーションを消費する。
白ポーションを取得すれば白魔法の使用回数が増え、黒ポーションなら黒魔法を使える回数が増える。詳細資料ではそれぞれ最大9回まで保持できる。
このため、強い魔法をいつ切るかには迷いがある。
通常敵が密集した場所で使って被害を抑えるか、ボスまで残すか。ソロなら回復魔法を使える職業かどうかが生存力へ直結し、多人数なら「誰が魔法を使うか」というパーティ全体の判断へ変わる。
職業差がステータスの大小で終わらず、戦闘中に使える選択肢そのものを変えている。
普通の「経験値稼ぎ」で強くなるRPGではない
成長方式にも特徴がある。
通常敵を大量に倒して経験値をため、一定値に達するとレベルアップする一般的な方式ではない。
詳細攻略では、大きなクリスタルがレベル上昇、小さなクリスタルが能力上昇に対応する。さらに攻撃力、素早さ、最大HP側、魔法能力などを伸ばすアイテムも存在する。
これによって、成長と攻略が直接結び付く。
ダンジョンを抜ける。
ボスを倒す。
重要なクリスタルを手に入れる。
探索によって能力強化を見つける。
そうしてキャラクターが強くなっていく。
反面、この方式は本作の長さを考えるうえで弱点にもなる。
長い通路で何度も通常敵を倒しても、一般的な経験値制RPGほど「戦っただけ確実に経験値が積み上がる」という感覚にはなりにくい。
通常戦の数は増えたのに、通常戦一回ごとの成長報酬が同じ割合で濃くなったわけではない。
長編化による反復がソロで見えやすい理由の一つである。
RPGの成長だけでなく、自分で避ける余地も残っている
数値を伸ばせば攻略は楽になる。
素早さを上げれば敵弾や接近へ対応しやすくなり、攻撃力を伸ばせば発生源や敵を早く処理できる。耐久面を強くすればミスへの余裕が増し、魔法能力も強化できる。
しかし、キャラクターを育てれば敵弾を無視して進めるゲームではない。
攻撃中には一度足を止める必要があるため、どこで撃つのかを考えなければならず、敵の接近や弾を避ける操作も最後まで残る。
RPG側の成長はアクションを消すのではなく、アクションで失敗できる余裕を増やす方向に働く。
このため一人でも「キャラクターを育てるRPG」と「自分で敵を避けるアクション」が両立している。
5人協力を抜きにしても、一本のゲームとして成立している理由だ。
クラスチェンジで初期8人をさらに育てられる
初期8人にはクラスチェンジも用意されている。
当時のPCエンジンカタログ資料でも、ジョブチェンジとキャラクターチェンジが続編の追加要素として紹介されており、登場キャラクターは14人、最初から使用できるのは8人と記録されている。
後年の詳細検証でも、初期8人は一度上位クラスへ変化でき、攻撃やグラフィック、能力が強化される一方、途中で出会う追加キャラクターには別の強化方法を持つ者がいることが確認されている。
長いRPGになったことで、開始時に選んだキャラクターをそのまま使い続けるだけではなく、
育てる。
上位クラスへ変える。
別の仲間を見つける。
必要なら使用キャラクターを変える。
という成長の幅が増えた。
ただし、複数のキャラクターを成長させようとすれば、クラスチェンジなどのために以前の地域へ戻る手間も発生する。長編化によって増えた自由度と移動負荷は、ここでも表裏になっている。
最大5人になると、職業の「弱点」が役割へ変わる
ソロで攻撃力が低いことは、そのまま戦闘時間の長さになる。
回復手段が乏しければ、自分一人でその不足を引き受ける。
足の遅いキャラクターなら、敵弾を避ける難しさも自分に返ってくる。
複数人になると、この関係が変わる。
火力のある仲間が攻撃する横で、別のキャラクターが魔法を使える。誰かが敵を引き付けて移動している間にも、別方向から攻撃を続けられる。回復能力を持つ職業がいるなら、攻撃へ特化した職業の弱点を補える。
現代的なオンラインRPGのように厳密な「タンク・ヒーラー・DPS」を要求する設計ではない。
それでも、ソロでは欠点だった能力差が、多人数では仕事の違いになる。
8職業という仕組みが一番よく機能するのはここだ。
同じ画面で戦うから、人数そのものが戦闘パターンを増やす
本作の協力プレイは画面分割ではなく、同じフィールド上で複数人が戦う。
人数が増えれば、同じ敵発生源に対して別々の方向から攻撃できる。狭い場所へ全員が集まれば状況は見づらくなり、敵と味方と弾が同じ画面へ集中するため、ソロとは別の忙しさも生まれる。
ここで重要なのは、「5人なら敵も5人分に増える」といった人数連動型の難度調整を評価することではない。人数に応じて敵数やHPが自動的に変化すると断定できる強い資料は確認できない。
本作で確実に変わるのは、同じ敵配置へ複数のプレイヤーが同時に関与できることだ。
一人なら一方向ずつ処理するしかない場面でも、複数人なら同時に別方向へ対応できる。さらに職業と魔法が違えば、戦闘の処理方法も増える。
同じ基本戦闘でも、多人数時には「人」がゲーム内容へ変化を加える。
だから「最大5人だから楽しい」では足りない
最大5人という数字だけなら初代にもあった。
『II』で高く評価したいのは、その5人を長編RPGの中へ置いても意味のある存在にしたことである。
フィールドを移動する。
キャラクターを成長させる。
魔法回数を管理する。
寄り道で別の仲間を探す。
クラスチェンジする。
そしてその育成状態を、別の多人数プレイへ持ち込める。
これによって協力プレイが、一回きりのパーティーゲームではなくなる。
自分の冒険と、別のプレイヤーの冒険がつながる。
その仕組みを成立させたのがパスワードだ。
育てたキャラクターをパスワードで持ち寄れる
KONAMI公式が現在も明記している本作の特徴が、
「それぞれが育てたキャラクターを持ち寄って、多人数プレイを始める」
パスワード機能である。
この仕様は非常に重要だ。
あるプレイヤーが一人でキャラクターを育てる。
別のプレイヤーも、自分の環境で別職業を育てる。
集まったときには、その育成状態をパスワードによって参加させられる。
本体ごとのセーブデータそのものを移動する必要はない。
オンラインRPGの原型などと歴史的な意味を膨らませる必要はないが、1993年のローカル多人数ゲームとして見ると、ソロの育成を協力プレイの準備へ変えた設計はかなり魅力的だ。
「一人用」と「多人数用」を別々のモードへ分けなかったことが、本作の89点を支えている。
バックアップRAMとパスワードは役割が違う
SUPER CD-ROM²版ではセーブにも対応している。
PCエンジンの実バックアップデータを調べた資料では、本作が「DUNGEON2」の名称で632バイト、4箇所分のバックアップデータを使用することが確認されている。
つまり、本作には長編RPGを続けるための通常セーブと、キャラクターを別の遊びへ持ち出せるパスワードが共存している。
この二つは重複ではない。
セーブは長い自分の冒険を継続し、パスワードは育てたキャラクターを共有する。
初代より大幅に長くなったRPGと、シリーズの5人同時プレイを両方残すための仕組みとして筋が通っている。
なお、パスワード内部に職業、能力値、所持品、進行状況などのどこまでが記録されているかについては、日本版一次資料で全項目を確定できないため、ここでは公式が保証する「育てたキャラクターを持ち寄れる」という範囲に留める。
死神とのカードゲームは「死んだ後の復活ゲーム」ではない
KONAMI公式が商品紹介の中でわざわざ挙げているのが、死神とのカードゲームだ。
これはキャラクター死亡直後に発生して復活の可否を決めるイベントではない。
町の一部で遊べるブラックジャックで、賭けるのは残機。詳細攻略では通常勝利で残機が増え、ブラックジャックならさらに多く増加し、負ければ逆に残機を失う仕組みとして記録されている。
長い冒険の途中で、戦闘以外の方法から残機を増やせる。
しかし負ければ安全余裕を減らす。
攻略の中心になるシステムではないものの、初代の基本アクションを長くしただけではなく、フィールドと町に別種の遊びを加えた一例として印象に残る。
広い世界は探索を増やした
続編では町、フィールド、森、洞窟、城などが増え、行ける場所の規模も初代から大きく拡張されている。
KONAMI公式も「広大なフィールドやダンジョン」と表現しており、詳細なプレイ検証では途中から複数地域への分岐、寄り道、簡単なスイッチ系の仕掛け、隠された追加キャラクターなども確認されている。
本筋だけを追う。
別の道へ行く。
隠された仲間を探す。
強化アイテムを探す。
こうした選択があることで、初代より「探索」という言葉がタイトルに似合う作品になった。
世界を大きくしたこと自体は、明確な進化と評価できる。
ただし、すべてのダンジョンが最初から巨大なわけではない
「広大なダンジョン」といっても、序盤から全エリアが巨大迷路になっているわけではない。
詳細検証では、最初の数ダンジョンは比較的短く、進行に伴って迷路やテレポーター、複雑なエリアが増えていくことが確認されている。最終盤には大規模なテレポート迷路も存在する。
したがって、本作の弱点を「ダンジョンが全部広すぎる」とするのは正確ではない。
問題になるのは、一本のゲームとして探索量が大きく増え、その長さの中で同じ基本戦闘を繰り返す回数も増えたことである。
敵を生む発生源を壊す基本ループは初代から大きく変わらない
フィールドやダンジョンでは、敵を生み出す発生源が置かれている。
敵を避けたり倒したりしながら近づき、発生源そのものを破壊して先へ進む。これは初代から受け継いだ『ダンジョンエクスプローラー』の基本構造であり、『II』でも多くの場所で繰り返される。
問題は、世界の拡張幅と戦闘アクションの拡張幅が同じではないことだ。
町は増えた。
イベントも増えた。
キャラクターも増えた。
成長要素も厚くなった。
しかし通常戦で行うことは基本的に、
位置を変える。
足を止めて攻撃する。
敵を処理する。
発生源を壊す。
という流れへ戻ってくる。
この基本が悪いわけではない。
むしろ分かりやすく、複数人でも破綻しにくい。
ただ、長編化したぶんだけ同じ操作へ戻る回数も増えている。
オートマップがないことも、後半の迷路では効いてくる
詳細検証では、ダンジョン内部を自動的に記録してくれるエリアマップは用意されていない。
一方、訪問済みの町へ移動する手段はあり、一部の町では白ポーションを渡すことで過去に訪れた場所へ転送してもらえる。転送時には基本的な世界地図も表示される。
そのため、
「広大な世界をすべて徒歩で往復させられる」
というわけではない。
世界規模の移動には救済がある。
問題はダンジョン内部だ。
分岐やテレポーターを自分で把握する必要があり、エリアを離れて戻ると敵が再出現する場所もある。道を間違えれば、すでに処理した区間を再び進むことになる。
探索の楽しさと反復負荷は、ここでも同じ仕組みから生まれている。
多人数では、同じ反復へ別の判断が入り込む
一人なら、一つの発生源へ近づき、自分が敵を避け、自分が射撃し、自分が魔法を使う。
別の場所へ行っても操作主体は同じだ。
複数人なら、同じ場所でも展開が変わる。
誰かが敵を引き付けている間に別のプレイヤーが発生源を狙える。攻撃力の高い職業が正面を担当し、魔法系のキャラクターが別方向を処理することもできる。
人数に応じて敵HPや敵数が自動調整されるという確かな根拠は確認できないため、そこを協力プレイの価値にはしない。
価値があるのは、同じシンプルなルールへ複数の判断を重ねられることだ。
そのため、長い迷宮の受け止め方も一人と多人数で変わる。
多人数なら「次に誰が何をするか」が変化になる場面でも、ソロでは同じキャラクターで一連の作業を繰り返すことになる。
それでも一人用として十分に完成している
ここは89点を考えるうえで重要だ。
『ダンジョンエクスプローラーII』は、5人集めなければストーリーを進められないゲームではない。
ソロでもフィールドを探索できる。
ダンジョンを攻略できる。
クリスタルで成長できる。
魔法を管理できる。
クラスチェンジできる。
追加キャラクターを探せる。
ボスを倒して最後まで進める。
戦闘も自分で位置を変えて敵を避けるアクションとして成立している。
一人では不完全だからA Tierなのではない。
むしろ、一人でも長編アクションRPGとして成立するほど内容を増やしたから89点まで届いている。
ただし、多人数になったときに初めて現れる強みが多い。
そこが90点との差につながる。
ソロでは「長編化したこと」の負担も一人で受け取る
世界を広げたことは加点だ。
迷宮を複雑にしたことも、探索の幅として評価できる。
キャラクターと成長要素を増やしたことも続編として強い。
しかし一人の場合、その広がった世界を進むあいだの通常戦もすべて一人で処理する。
発生源を壊す。
敵を撃つ。
道を探す。
戻る。
別のエリアへ進む。
再出現した敵をもう一度処理する。
多人数なら職業や位置取りによって変化が生まれる場面が、ソロでは同じ攻撃と回避の往復へ戻りやすい。
しかも通常敵を倒し続けることが、そのまま経験値稼ぎとして大きな成長報酬へ変換されるゲームでもない。
RPGの世界は長くなったが、通常アクションの語彙まで同じ割合で増えなかった。
A Tier・89点からS Tier・90点へ届かなかった理由を一つに絞るなら、ここになる。
SUPER CD-ROM²化は「音が豪華」だけではない
初代はHuCARDだったが、『II』はSUPER CD-ROM²へ移った。
その恩恵として、CD音源、音声、ビジュアルシーンが使われ、ボスや物語の区切りを演出する場面も増えている。詳細検証でも多数のボイスやカットシーンが確認されている。
ただし、CD-ROMになったこと自体を加点するわけではない。
大切なのは、初代より長くなった冒険へ「節目」を作ることに使われている点だ。
町を回り、長い迷宮を抜け、ボスへたどり着く。その先で映像や音声によって物語が動けば、次の地域へ向かう意味も見えやすくなる。
一方、通常戦のたびに別画面へ切り替わってロードするRPGではない。戦闘は探索中のフィールド上でそのまま始まるため、本作のテンポ上の弱点を「CDだからロードが長い」と説明するのは適切ではない。
負担になるのは読み込みより、実際に歩いて戦う区間そのものの長さである。
初代の音を残しながら、続編として世界を広げている
音楽にも前作とのつながりがある。
後年整理された楽曲資料では、初代のダンジョン曲や魔王ブレード戦をアレンジした曲が『II』にも使われていることが確認できる。
続編だからすべてを新しくするのではなく、初代の音楽的な記憶を残しつつ、CD音源を使った新しい曲を加える。
これによって「まったく別の世界へ移ったゲーム」ではなく、前作から半世紀後のコーネリアという連続性を音でも支えている。
演出の豪華さだけで89点になったわけではないが、長編化したRPGを一本の続編としてまとめるうえでは確実に効いている。
なぜA Tier・89点なのか
『ダンジョンエクスプローラーII』の89点は、最大5人という数字だけで決まったものではない。
| 評価軸 | 89点を支える理由 |
|---|---|
| 8職業 | 通常攻撃・能力・白黒魔法が異なり、ソロと多人数で価値が変化する |
| リアルタイム戦闘 | 位置取り、停止しての射撃、回避というアクションが最後まで残る |
| 魔法 | MPではなく限られた白・黒ポーションをいつ使うか判断する |
| 成長 | ボスや探索から得るクリスタルをレベル・能力強化へ結び付ける |
| クラスチェンジ | 初期8人をさらに育てられる |
| 追加キャラクター | 探索とキャラクター選択を広げる |
| フィールド・迷宮 | 初代より大幅に長編化し、町・寄り道・分岐を増やした |
| 最大5人 | 一人では順番に行う攻撃・退避をパーティでは同時化できる |
| 職業分担 | ソロでの弱点を、多人数では他職業との補完へ変えられる |
| パスワード | 個別に育てたキャラクターを協力プレイへ持ち寄れる |
| セーブ | 長編RPGとして冒険を継続しやすくなった |
| CD演出 | 音楽・音声・ビジュアルで長い旅の節目を作る |
| 主な弱点 | 長編化に伴う移動、敵発生源の処理、迷路、再戦闘の反復 |
| S Tierへの壁 | 多人数では変化する基本戦闘が、ソロでは長時間同じ操作へ収束しやすい |
強いのは、追加された要素が別々に置かれていないことだ。
キャラクターを育てる。
パスワードでその状態を持ち出す。
別の職業を育てたプレイヤーと合流する。
一人では不足していた部分を仲間が補う。
多人数で長いダンジョンへ入る。
ソロの成長が多人数へつながり、多人数の職業差が長いRPGを支える。
続編としてかなりよくできている。
なぜS Tier・90点ではなく89点なのか
あと1点を失った理由は、多人数環境を現在用意しにくいからではない。
1993年のゲーム設計だけを見ても理由はある。
世界は大きくなった。
イベントも増えた。
キャラクターも増えた。
クラスチェンジもある。
セーブも追加された。
音声や映像も増えた。
ところが、通常戦闘の中心は初代から引き継いだ比較的シンプルなものだ。
移動して敵を避け、短く足を止めて射撃し、発生源を破壊して進む。
多人数ならそこへ別方向からの攻撃、違う魔法、仲間の判断が入り、同じ基本ルールでも展開が変わる。
一人では、その変化をすべて一つのキャラクターへ戻して遊ぶことになる。
ダンジョンが短ければ問題になりにくい。
しかし『II』は、その基本を長いRPGへ拡張した作品である。
拡張した世界の広さに対して、通常戦闘そのものの変化量が最後まで追いつき切らなかった。
89点と90点の差はここにある。
「5人集まれば名作」ではない
現在オリジナル環境で最大5人を実現する場合、対応するPCエンジン環境だけでなく、マルチタップと人数分のコントローラーを用意する必要があり、2026年に気軽に再現できる遊び方とは言いにくい。
しかし、その事情を1993年版のTier点へ直接入れるべきではない。
ゲーム自体は一人でも成立している。
むしろソロでも長いRPGとして成立させ、さらにそこで育てたキャラクターを多人数側へ接続したことが本作の強さだ。
したがって、
「友人が5人いなければ本領を味わえない」
とまで言う必要はない。
より正確なのは、
一人でも十分に遊べるが、複数人になると職業差とシンプルな戦闘ルールが別の形で生き始める
という評価だ。
PCエンジン miniで遊べるのは初代
現在の遊び方では作品の混同に注意したい。
PCエンジン miniには『ダンジョンエクスプローラー』が収録されており、公式ラインナップでも8職業・最大5人同時プレイと紹介されている。
しかし、収録されているのは1989年の初代である。
今回レビューしている1993年の『ダンジョンエクスプローラーII』はPCエンジン miniの日本版ラインナップに入っていない。
「シリーズをminiで遊べる」と「IIをminiで遊べる」は別の話だ。
Wiiバーチャルコンソール版は過去の配信
『ダンジョンエクスプローラーII』は2008年2月5日にWiiバーチャルコンソールでも配信された。
KONAMIには現在も商品ページが残っており、1~5人対応として紹介されている。
ただしWiiショッピングチャンネルによる新規購入はすでに終了している。
したがって、2026年現在の新規購入方法としてWii VCを案内することはできない。
これは過去に存在した復刻版として分離して扱う。
ゲームアーカイブス版は2010年配信
2010年9月15日にはゲームアーカイブス版も配信された。
KONAMI公式には現在も商品ページが残っており、PS3、PS Vita、PSP対応、プレイ人数1~5人として案内されている。
そして2026年9月現在、日本のPS3/PS Vita向けPlayStation Storeそのものはまだ終了していない。
ソニーは、日本を含む該当地域について2027年7月にPS3/PS Vita向けPlayStation Storeを終了すると正式発表しており、それまではStore自体が継続する。終了後も購入済みコンテンツは当面の間再ダウンロードできる予定だ。
2026年現在、『II』を新規購入できるか
ここはStore全体とソフト個別を分ける必要がある。
KONAMIのゲームアーカイブス商品ページが現在も存在すること、PS3/PS Vita Storeそのものが2027年7月まで継続予定であることは確認できる。
しかし、商品ページが残っているだけでは、2026年9月に『ダンジョンエクスプローラーII』そのものを新規購入できる証明にはならない。
現在のWeb版PlayStation Storeから旧ゲームアーカイブス商品の販売状態を直接確認することもできない。
そのため新規購入を考えている場合は、PS3またはPS Vita実機のPlayStation Storeで『ダンジョンエクスプローラーII』の商品表示を確認するのが確実だ。
販売状態を確認できないまま「現在も購入できます」と断定することは避けたい。
2026年現在どう遊ぶ?
1993年の日本国内版をそのまま遊ぶなら、SUPER CD-ROM²版ディスクと対応するPCエンジン実機環境を用意するのが確実だ。
多人数で遊ぶ場合には、人数に応じたコントローラーとマルチタップ環境も必要になる。
デジタル版ではゲームアーカイブス版が存在し、PS3/PS Vita Store自体も日本では2027年7月まで継続予定だが、本作個別の新規販売状態は実機Storeで確認したい。
Wiiバーチャルコンソール版は新規購入終了。
PCエンジン miniに収録されているのは初代のみ。
現在の導線が非常に豊富な作品とは言いにくく、ここは『ガイアレス』のように現行機で容易に購入できる作品とは事情が異なる。
総評|「一人で育てる」と「5人で冒険する」を同じRPGにつないだ89点
『ダンジョンエクスプローラーII』には最大5人という分かりやすい数字がある。
しかし、その数字だけなら初代ですでに実現していた。
『II』が優れているのは、その5人同時プレイを残したまま、ゲーム全体を長編RPGへ広げたことである。
職業を選ぶと、通常攻撃と魔法、能力の方向性が決まる。一人なら、その職業の強さも弱さも自分で背負って迷宮へ入る。
敵を避けるために動き、一度足を止めて攻撃し、白と黒の魔法回数を管理する。ボスや探索を通してクリスタルを手に入れ、キャラクターを育て、クラスチェンジする。さらに別の仲間も探せる。
それだけでも、一人用アクションRPGとして十分に成立している。
ところが人数が増えると、同じルールの意味が変わる。
自分が敵から離れている間にも、仲間は攻撃できる。
自分にない魔法を、別職業が使える。
一人では欠点だった低火力や回復不足も、パーティ全体では担当の違いになる。
そして、ソロで育てたキャラクターはパスワードによって多人数側へ持ち込める。
一人で過ごした育成時間が、あとから協力プレイの内容になる。
ここまでつながっているから、本作の最大5人はただの人数表示ではない。
一方、その長編化は別の問題も生んだ。
町も増えた。
フィールドも広くなった。
ダンジョンも複雑になった。
キャラクターとイベントも増えた。
しかし、通常戦で繰り返す基本行動は比較的シンプルなままだ。
敵を避ける。
立ち止まって撃つ。
発生源を壊す。
次の区間へ進む。
多人数なら、この単純さへ別のプレイヤーの位置と判断が重なり、同じ場所でも展開が変わる。
ソロでは、その長い冒険の反復を一人で受け取ることになる。
一人で成立しないから89点なのではない。一人でも成立するほど優れた続編にしたうえで、その長編化が通常戦の反復まで拡大したから89点なのである。
90点へ届かなかった差は小さい。
初代の協力アクションを壊さず、成長、探索、クラスチェンジ、追加キャラクター、セーブ、CD演出を重ね、さらに育てたキャラクターを別のプレイヤーと持ち寄れるところまで広げた。
その設計はPCエンジン全体でもかなり上位に置ける。
ただ、世界を広げた量と同じだけ、通常戦の遊びまで変化させられていれば、S Tierへ踏み込めた可能性がある。
A Tier・89点、総合13位。
『ダンジョンエクスプローラーII』は「最大5人で遊べるアクションRPG」では終わらない。
一人で育てた冒険の続きを、別の誰かが育てたキャラクターと同じ迷宮へ持ち込める長編アクションRPGである。
その拡張に成功した強さと、拡張したぶんだけ露出した反復。その両方が、89点という評価に最もよく表れている。