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ヤマトの貨物機終了で宅急便は遅くなる?2027年6月終了後の配送はどうなる

ヤマト貨物機終了で宅急便は遅くなる?2027年6月以降どうなる

ヤマト貨物機が2027年6月めどに終了し宅急便は遅くなるのかを解説するアイキャッチ

クロネコヤマトの荷物を運んできた貨物専用機が、約3年で運航を終えることになりました。

ヤマトホールディングス、日本航空(JAL)、スプリング・ジャパンは2026年9月3日、現在運航している国内線貨物専用機を2027年6月までをめどに終了すると発表しました。2024年4月に「物流の2024年問題」への対応策の一つとして始まった取り組みだけに、「宅急便も遅くなるのでは?」と気になった人もいるかもしれません。

ただし、今回終了するのは貨物専用機の運航です。

ヤマトが飛行機で荷物を運ばなくなるわけではなく、今回の発表で通常の宅急便の配達日数を変更するとも案内されていません。

2027年6月以降は、JALグループの旅客便にある貨物スペースなどを含む別の輸送手段へ順次切り替えます。北海道や九州についても航空輸送を引き続き活用し、これまでの輸送品質と利便性を維持する方針です。

ヤマトの貨物機終了で宅急便は遅くなる?

2026年9月3日時点では、貨物専用機の終了に伴って通常の宅急便の配達日数を遅らせるという発表は出ていません。

ヤマトとJALは、現在貨物専用機を利用している顧客について、旅客便の貨物スペースなどを含む両グループの輸送ネットワークへ移行させ、引き続き安定した輸送サービスを提供するとしています。

そのため、「2027年6月から全国の宅急便が一斉に遅くなる」と受け取る必要はありません。

そもそもヤマトの荷物は、すべてが今回の貨物専用機で運ばれているわけではありません。トラックを中心に、航空、鉄道、船舶などを組み合わせながら全国の物流網を構成しています。貨物専用機は、その中の長距離・高速輸送を担う手段の一つでした。

一方で、将来にわたってすべての地域・サービスで現在とまったく同じ配達日数が保証された、とまで言うこともできません。

貨物専用機は路線ごとに終了時期が異なる可能性があり、具体的な日程は今後発表されます。特定の商品やサービスについて変更が生じる場合は、別途案内される可能性があります。

今の段階で分かっているのは、「宅急便を遅くするための終了ではなく、別の輸送手段へ切り替える」ということです。

終了するのは「貨物専用機」|飛行機での輸送は続く

ニュースの見出しだけを見ると、「ヤマトが航空輸送をやめる」とも読めますが、実際の発表内容とは違います。

2027年6月までをめどに終了するのは、ヤマトグループが導入した国内線の貨物専用機(フレイター)です。

終了後は、JALグループの旅客便ネットワークをこれまで以上に活用します。

旅客機には乗客が座る客室だけでなく、その下にスーツケースや貨物を積むスペースがあります。航空業界では「ベリー」と呼ばれる部分で、今回の発表に出てくる「旅客便ベリー」とは、この旅客機の床下にある貨物スペースのことです。

つまり、

これまで:貨物だけを積む専用機も利用

から、

今後:すでに運航している旅客便の貨物スペースなどをより活用

へ輸送方法を変えていくことになります。

JALも今後、旅客便の貨物スペースなどの経営資源や両社のノウハウを活用し、ヤマトとの物流分野での連携を続けるとしています。

ヤマト×JALの貨物専用機はなぜ終了する?

大きな理由は、航空輸送にかかるコストが想定以上に高くなったことです。

貨物専用機を導入した当初、トラック輸送はドライバー不足などによって今後さらに高コストになると見込まれていました。

実際、現在もトラック輸送は人手不足や燃料高の影響を受けています。

ところが航空輸送でも、円安と燃油高が続きました。

その結果、ヤマトとJALによると、トラック輸送と航空輸送の価格差が当初の想定とは反対に拡大してしまったといいます。

「トラック輸送が安くなったので、飛行機が必要なくなった」という話ではありません。

トラックも高くなった。しかし航空輸送も円安や燃油高でコストが上がり、貨物専用機を維持する経済性が当初考えていたほど高まらなかった、というのが実情に近いでしょう。

ヤマトとJALは運航を続けるため、費用の効率化だけでなく、路線の見直し、需要と供給の調整、貨物専用機の特徴を生かした高付加価値サービスの開拓なども進めてきました。

それでも現在の環境では、貨物専用機を維持するより、既存の旅客便ネットワークなどを活用する方が安定した輸送サービスを持続しやすいと判断しました。

2024年問題への対策だったのに、なぜ約3年で終わる?

貨物専用機の運航が始まったのは2024年4月11日です。

ヤマトグループが貨物専用機を導入し、実際の運航をJALグループのスプリング・ジャパンが担当しました。

背景にあったのが「物流の2024年問題」です。

2024年4月からトラックドライバーの時間外労働に上限が設けられ、長距離輸送を中心に従来と同じ輸送力を維持することが難しくなると懸念されていました。

ヤマトとJALはトラックだけに頼らない長距離輸送手段を確保するため、貨物専用機の導入を計画。災害などで物流網が寸断された際の代替手段を持ち、物流ネットワークを強くする狙いもありました。

では、約3年で終了するということは、2024年問題が解決したのでしょうか。

そうではありません。

9月3日の発表でも、トラック輸送は人手不足や燃料高によるコスト上昇を避けられない状況だと説明されています。

変わったのは、航空輸送を取り巻く条件です。

トラック輸送力の不足に備えるという考え方そのものが不要になったのではなく、専用の飛行機を運航し続けるより、JALの既存旅客便などを組み合わせた方が現在の環境に合うと判断されたわけです。

いきなり貨物機を諦めたわけではない

2024年4月の運航開始後も、貨物専用機の使い方は変化してきました。

当初は成田、新千歳、北九州、那覇を中心としたネットワークでしたが、2024年8月には羽田―新千歳、羽田―北九州にも就航。深夜から早朝に飛ばすことで、日中に生産・収穫された工業製品や農水産物を遠方へ速く運ぶ仕組みも作られました。

一方、ヤマトHDは過去の決算資料で、貨物専用機を使った新たな需要の獲得には時間がかかっていることも説明していました。

路線の見直しや需要開拓を続けながら運航したものの、最終的には円安や燃油高を含めた現在のコスト環境を踏まえ、専用機から既存ネットワーク中心へ切り替える判断に至っています。

そのため、「2024年問題対策として始めたものの何もせず3年でやめた」という単純な経緯でもありません。

2027年6月以降はどうやって荷物を運ぶ?

中心になるのは、JALグループ旅客便の貨物スペースなどを使った航空輸送です。

現在貨物専用機で運ばれている荷物については、ヤマトとJAL双方の輸送ネットワークを使いながら代替手段へ移します。

貨物専用機なら、飛行機一機を貨物だけのために飛ばす必要があります。

旅客便の場合は、人を運ぶためにすでに飛んでいる便の床下スペースに貨物を積めます。

もちろん、旅客便なら何でも同じ量・同じ時間帯で運べるわけではありません。そのため、すべてを単純に置き換えるのではなく、トラックを含む他の輸送手段と組み合わせながら全体を組み直すことになります。

公式発表でも、単に「旅客便へ変更」とするのではなく、「旅客便ベリーを含む両グループの輸送ネットワーク」を活用するとしています。

北海道・九州への宅急便はどうなる?

北海道や九州への荷物についても、現時点で配達日数を遅らせるという発表はありません。

むしろ今回の発表では、九州と北海道が今後も航空輸送を活用する地域として具体的に挙げられています。

半導体や自動車などの工業製品、農水産品の輸送需要が増えると見込まれる両地域では、北九州空港と新千歳空港を中心に、旅客便の貨物スペースを含む航空輸送を引き続き活用します。

ヤマトとJALは、これによって「これまでの輸送品質と利便性を維持」する方針を示しています。

ただし、これは北海道・九州のすべての宅急便について、現在とまったく同じ翌日配達が永久に保証されたという意味ではありません。

今回の貨物専用機終了によって北海道・九州への宅急便を一律に遅くする発表はなく、航空輸送自体も続く。

現在はそこまで押さえておけば十分です。

沖縄はどうなる?

現在の貨物専用機は那覇にも就航しています。

ただ、9月3日の将来の輸送体制についての説明では、北海道・九州ほど沖縄について具体的な地域別方針は示されていません。

貨物専用機を利用している荷物を代替輸送へ移すという全体方針には含まれますが、沖縄について「従来とまったく同じ配送条件を維持する」とまで今回の発表から広げるのは避けた方がよさそうです。

そもそもヤマトの貨物専用機とは?

ヤマトが導入したのは、エアバスA321-200P2F型の貨物専用機です。

もともと旅客機として使われていたA321を、座席などを撤去して貨物専用機へ改修した機体で、計3機を導入しました。

1機あたりの最大搭載重量は約28トン。ヤマトは10トントラック約5~6台分に相当すると説明しています。

見た目はヤマトグループのデザインですが、実際に飛行機を運航しているのはJALグループのスプリング・ジャパンです。

なお、計画初期の2022年資料ではジェットスター・ジャパンが運航会社として記載されていましたが、その後計画が変更されています。実際に2024年4月から運航を担ってきたのはスプリング・ジャパンです。

一般の宅急便も貨物専用機で運んでいた?

貨物専用機というと、工場から出る大型部品や大量の生鮮品だけを運ぶ飛行機に見えますが、一般的な宅急便とも無関係ではありません。

ヤマトHDは貨物専用機の空きスペースを活用して宅急便を搭載する取り組みも進めていました。

一方、貨物専用機の強みを特に生かしていたのは、スピードが求められる農水産品、工業製品、機械類などの輸送です。北海道・九州方面ではEC事業者向けの翌日配送モデルなどにも活用されてきました。

そのため、

「宅急便にはまったく使っていなかった」

も、

「全国の宅急便がこの3機で運ばれていた」

も、どちらも実態とは違います。

ヤマトの巨大な物流網を構成する一つの輸送手段として使われていた、と考えるのが分かりやすいでしょう。

ヤマトとJALの提携も終わる?

終わりません。

貨物専用機の運航は終了しますが、ヤマトとJALは今後も連携を続けます。

JAL側も、旅客便の貨物スペースを含む経営資源の活用やノウハウの共有を通じて、持続可能な物流ネットワークの構築に取り組むと発表しています。

言い換えれば、

「ヤマト専用の貨物機を飛ばす協業」から、「JALがすでに持っている旅客便ネットワークなどをより活用する協業」へ変わる

という方が近いでしょう。

貨物専用機終了を「ヤマトとJALの提携解消」と受け取る必要はありません。

貨物専用機終了後も、ヤマトの航空輸送は続く

2024年問題への備えとして始まったヤマトとJALの貨物専用機は、2027年6月までをめどに約3年で役目を終えることになりました。

理由は、2024年問題が解決したからではありません。

トラック輸送が人手不足や燃料高に直面する一方、航空輸送でも円安や燃油高によってコストが上昇し、両者の価格差が当初の想定とは反対に広がったためです。

そして何より、今回終了するのは貨物専用機です。

通常の宅急便を一律に遅らせるという発表はなく、飛行機を使った輸送もJALとの協業も続きます。

2027年6月以降は旅客便の貨物スペースなどへ切り替え、北海道・九州についても航空輸送を活用しながら輸送品質と利便性を維持する方針です。

今後、各路線の具体的な終了日や特定サービスの変更が発表される可能性はありますが、9月3日時点では、貨物機がなくなる=クロネコヤマトの荷物が一律に遅くなる、という発表ではありません。

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