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『カトちゃんケンちゃん』PCエンジン版レビュー|なぜ難しい?70点・B Tierの理由

『カトちゃんケンちゃん』レビュー|なぜ難しい?70点の理由

1987年11月30日にハドソンから発売された、PCエンジン用横スクロールアクション『カトちゃんケンちゃん』。

テレビ番組『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』で知られる加藤茶と志村けんをモデルにした二人が、探偵となって誘拐事件を追います。

見た目はとにかくコミカルです。

大きく描かれた顔。大げさなリアクション。おなら。妙な敵。道中へ突然現れて邪魔をしたり、手助けしたりする相方。

ところが、実際に遊ぶと印象はかなり違います。

走ったあとにすぐ止まれない。ジャンプの着地点を早めに決めなければならない。短いキックで敵へ近づく必要がある。穴や罠が多く、隠された鍵まで探さなければ先へ進めない。

笑える外見の中に入っているのは、かなりシビアなアクションゲームです。

つぶログのPCエンジン全ソフトTier表では、70点・B Tier・総合390位

全24エリアのボリューム、隠し要素、表情豊かなキャラクター表現には見るべきものがあります。一方、強い慣性と高難度が最後まで付きまといます。

なぜ70点なのか。

その理由は、この「楽しさ」と「動かしにくさ」がかなり近い場所にあります。

『カトちゃんケンちゃん』はどんなゲーム?

項目内容
発売日1987年11月30日
対応機種PCエンジン
メディアHuCARD
発売ハドソン
ジャンル横スクロールアクション
プレイ人数1人
ステージ構成6フィールド×4エリア
操作キャラクターカトちゃん/ケンちゃん

ゲーム開始時に、カトちゃんかケンちゃんのどちらか一人を選びます。

2人同時プレイではありません。

選ばなかった方はゲームから消えるのではなく、道中のさまざまな場所へ登場します。

邪魔をすることもあれば、隠し部屋でヒントを教えてくれることもある。

二人組という題材を、一方をプレイヤー、もう一方をステージ中の仕掛けへ回す形で使っています。

目的は、二人のもとへ舞い込んだ誘拐事件を解決すること

街で住民から情報を集めたり、建物を自由に探索したりするアドベンチャーゲームではありません。

横へ進み、敵と罠をかわし、必要なものを探してゴールを目指すアクションゲームです。

基本攻撃は「キック」と「おなら」

操作もかなり変わっています。

Iボタンでジャンプ。

IIボタンでキック。

そして下を入力してしゃがむと、おならを出します。

冗談のようですが、これもゲーム上の攻撃手段です。

前方の敵へはキック。

後方へのおならも使いながら進む。

単にテレビ番組の下ネタを画面へ入れただけではなく、実際の操作へ組み込んでいます。

ただし、キックのリーチは短めです。

敵を倒すには近づかなければならず、そのぶん接触する危険も大きい。

しかもキャラクターは止まりたい場所で即座に止まってくれません。

ここから本作の難しさが始まります。

難しい理由は、まず「止まりにくい」こと

『カトちゃんケンちゃん』を現在遊んだとき、最初に戸惑いやすいのが移動です。

左右へ走り、方向入力を離す。

それでも慣性が残り、少し先まで滑るように移動します。

敵がいる。

穴がある。

足場の端が迫っている。

そこで「ここで止まろう」と思ってから入力を変えても、すでに遅いことがあります。

つまり、

障害物を見てから止まる

のではなく、

この先で止まりたいから、その手前から減速する

という操作が必要になります。

ジャンプでも同じです。

狭い足場へ着地するなら、空中だけで帳尻を合わせるのではなく、踏み切る位置から考えなければなりません。

この先読みが、本作のアクションを難しくしています。

カトちゃんとケンちゃんは操作感が少し違う

二人は外見だけを変えたキャラクターではありません。

説明書でも「少し動きがちがう」とされています。

特に分かりやすいのが滑り方です。

ケンちゃん側はより滑りやすく、勢いをつけて移動したあとに位置を合わせる難度が高くなります。

カトちゃん側は比較的止めやすいため、最初にゲームの操作感を覚えるなら扱いやすい方です。

ただし、二人へまったく別の必殺技体系が用意されているわけではありません。

基本となる、

走る
跳ぶ
蹴る
おならを出す

というルールは共通しています。

違うのは、その基本操作を行ったときの感触です。

だからキャラクター選択は、RPGの職業を選ぶようなものではなく、同じコースをどの操作感で攻略するかを変える選択に近くなっています。

体力は敵に当たらなくても減っていく

画面にはバイタリティがあります。

敵からダメージを受ければ減りますが、それだけではありません。

時間の経過でも少しずつ減っていきます。

道中で食べ物を取れば回復できます。

この仕組みがあるため、延々と安全な場所で様子を見ることはできません。

先へ進まなければならない。

けれど急ぎすぎると、滑って穴へ落ちたり敵へぶつかったりする。

慎重に進みたい操作性と、前へ急がせるバイタリティが同居しているわけです。

ここも難度を上げています。

全6フィールド×4エリア、全部で24エリア

ゲームは6フィールド×4エリア=全24エリアで構成されています。

1987年のHuCARD作品としては、かなりしっかりした量があります。

ひたすら同じ道路を24回走るわけでもありません。

地上。

街。

地下。

水辺。

高所。

狭い足場が続く場所。

進むにつれて地形や敵配置が変わっていきます。

各フィールドのエリア4にはボスが待っています。

ただし、そのまま右へ進むだけではボスへたどり着けないことがあります。

必要になるのが、隠されたです。

ボスへ行くための鍵まで隠されている

各フィールドでは、ボスへ進むために鍵を探します。

鍵は道の真ん中へ分かりやすく置かれているわけではありません。

ステージの中へ隠されています。

鍵を取らないまま先へ進めば、ボスへの道を開けない。

前のエリアへ戻って探し直すことになります。

ここで効いてくるのが、本作のもう一つの仕組みです。

背景や何もなさそうな場所を蹴る。

すると、アイテムが出る。

隠し部屋への入口が現れる。

ワープが見つかる。

ヒントにつながる。

普通の横スクロールアクションなら無視する場所まで、試しに蹴ってみる意味があります。

隠し要素が、ステージを見る理由を作っている

隠し部屋には、攻略のヒントやボーナスなどが用意されています。

コインを使うスロットが置かれている場所もあります。

さらに、選ばなかったカトちゃん/ケンちゃんが現れ、ヒントを出すこともあります。

これによって、

敵を倒して右へ進む

だけではない見方が生まれます。

この壁は怪しくないか。

この場所を蹴ったら何か出ないか。

あの扉には入れないか。

鍵はどこへ隠されているのか。

ステージそのものを調べる面白さがあります。

現行Tierで隠し要素を長所にしているのは、この部分です。

ただし、「見つける楽しさ」と「分かりにくさ」は表裏一体

問題は、隠し場所がいつも親切に示されているわけではないことです。

見るだけでは分かりにくい場所を蹴る。

何度も試す。

場所を覚える。

ヒントを見つける。

そうして先へ進みます。

自力で見つけたときはうれしい。

一方で、ボスへ行くための鍵まで見つからなければ進行が止まるため、秘密を無視してクリアすることもできません。

ボーナスを探す探索と、必須アイテム探しが同じ仕組みへ乗っています。

だから発見する楽しさがある一方、場所が分からないと同じエリアをやり直す負担にもなります。

70点という評価では、ここも両方見ています。

見た目の楽しさは、音声ではなく動きで作っている

キャラクターのサイズは比較的大きく、表情もよく変わります。

攻撃する。

転ぶ。

驚く。

変なポーズを取る。

選ばなかった相方が突然現れる。

テレビの二人を題材にした作品らしく、キャラクターを動かして笑わせる演出が多く入っています。

旧来の記事で語られることがある「本人の声がゲームで流れる」というタイプの作品ではありません。

HuCARD上で豪華な音声イベントを見せるのではなく、グラフィックとアニメーションでカトちゃん・ケンちゃんらしいドタバタを表現するゲームです。

ここは現在見ても分かりやすい長所です。

コミカルなのに、ミスの許容はかなり狭い

後半へ進むほど、ゲームは表情豊かなキャラクターを眺める余裕をなくしてきます。

穴。

細い足場。

敵。

罠。

短い攻撃リーチ。

滑りやすい移動。

そこへバイタリティの減少まで加わります。

特に厳しいのは、

失敗したあとに空中で立て直しにくい場面

です。

踏み切り位置が少しずれる。

着地点を越える。

敵に触れる。

そのまま次の足場へ届かない。

こうした場面では、「ジャンプボタンを押すタイミング」だけでなく、その前の移動速度まで結果へ響きます。

高難度なのは、敵の体力が異常に多いからではありません。

滑る移動と、正確さを要求するステージ配置の組み合わせが難しいのです。

難しさを覚えるほど進みやすくなる部分もある

理不尽に見える場面のすべてが、運任せというわけではありません。

どこで減速するか。

どこからジャンプするか。

どの敵を先に蹴るか。

どこに隠しアイテムがあるか。

鍵はどこか。

危険な場所を覚えるほど、次の挑戦では進みやすくなります。

その意味では、反射神経だけで突破するゲームではありません。

操作とステージの両方を覚えるゲームです。

ただし、この学習量が大きい。

しかもコンティニューも通常メニューから分かりやすく選ぶ方式ではありません。

何度も失敗して覚えるゲームなのに、現在のアクションゲームほど再挑戦を前提にした親切な導線ではない。

ここが現在遊んだときの負担になります。

海外版『J.J. & JEFF』は何が違う?

『カトちゃんケンちゃん』には、1990年にTurboGrafx-16向けとして発売された海外版があります。

タイトルは、

『J.J. & JEFF』

です。

加藤茶・志村けんをモデルにした主人公は、J.J.とJEFFという架空の探偵へ変更されました。

物語の基本も、誘拐事件を追う二人の探偵という形を引き継いでいます。

ゲームの骨格も同じです。

横スクロールで進む。

ジャンプする。

キックする。

24エリアを攻略する。

滑りやすいキャラクターを制御する。

隠されたものを探す。

日本版から完全に別ゲームへ作り直されたわけではありません。

一方、表現面には変更があります。

特に分かりやすいのが「おなら」。

日本版ではしゃがむとおならを出しますが、『J.J. & JEFF』ではスプレー攻撃へ変更されています。

二人の外見や、日本版にあった一部の下ネタ系表現も海外向けに置き換えられました。

ゲームの中身を共有しつつ、カトちゃん・ケンちゃん本人を知らなくても成立する形へローカライズされた版です。

PCエンジン miniに入っているのは日本版ではない

ここは現在遊ぶときに間違えやすいところです。

PCエンジン miniには、

『J.J. & JEFF』

が収録されています。

日本版『カトちゃんケンちゃん』そのものではありません。

そのためPCエンジン miniで体験できるのは、

同じゲーム設計を持つ海外ローカライズ版

です。

カトちゃん・ケンちゃん本人をモデルにしたキャラクターや、日本版のおなら表現まで含めて遊びたい場合は、オリジナル版とは区別する必要があります。

2026年現在、日本版を遊ぶ方法

日本版『カトちゃんケンちゃん』そのものを遊ぶなら、オリジナルのHuCARDを使う方法があります。

PCエンジン実機のほか、PCエンジン用カートリッジに対応した互換機でも扱えます。

レトロフリークもPCエンジンカートリッジに対応しており、『カトちゃんケンちゃん』自体の対応情報もあります。

一方、PCエンジン miniで遊べるのは前述した『J.J. & JEFF』です。

Nintendo Switch、Nintendo Switch 2、PlayStation、Xbox、Steamなどで、日本版『カトちゃんケンちゃん』を新規購入できる現行デジタル配信はありません。

過去には『J.J. & JEFF』がWiiのバーチャルコンソールでも配信されましたが、現在の購入手段ではありません。

なぜ70点・B Tierなのか

『カトちゃんケンちゃん』には、現在でも面白いところがあります。

全24エリア。

大量の隠しポイント。

鍵探し。

隠し部屋。

ワープ。

表情豊かなキャラクター。

キックとおならという妙な攻撃方法。

時間で減るバイタリティ。

ただ右へ走るだけでは済まない仕掛けが、かなり詰め込まれています。

その一方で、

止まりにくい。
滑る。
攻撃リーチが短い。
狭い足場で正確なジャンプを要求される。
隠された必須アイテムを見つけられないと先へ進めない。

という厳しさも最後まで付きまといます。

企画やボリュームだけなら70点以上を狙える作品です。

しかし、遊んでいる時間のかなりの部分で操作の慣性と付き合わなければならない。

やりたいことが分かっているのに、キャラクターをその場所へ正確に止めること自体が難しい。

ここが上位Tierへ届かなかった最大の理由です。

なぜA Tierではないのか

難しいからB Tierなのではありません。

高難度でも、操作と結果が明快なら高く評価できる作品はあります。

『カトちゃんケンちゃん』の場合は、

ゲームが要求する精密さ

キャラクターの滑りやすさ

が衝突します。

細い足場へ乗りたい。

でも止まりにくい。

敵へキックを当てたい。

でもリーチが短い。

急いで先へ進みたい。

でも穴や隠し要素がある。

慎重に調べたい。

でもバイタリティは時間で減る。

個々の仕組みがお互いを厳しくする方向へ働く場面が多いのです。

もちろん、それを覚えて突破する面白さもあります。

だから70点。

遊びの密度は十分ある。

ただし、その密度を快適に味わえるゲームではありません。

まとめ|笑える見た目の中に、かなり厳しいアクションが入っている

『カトちゃんケンちゃん』は、人気芸人をゲームに出したというだけの作品ではありません。

全24エリアを用意し、鍵、隠し部屋、ワープ、隠しアイテムを大量に配置し、背景を蹴って調べる遊びまで入れています。

キャラクターもよく動き、二人を題材にしたドタバタは画面を見ているだけでも分かりやすい。

その一方、操作はかなり手強い。

走り出すと滑る。

止まるには先を読む。

ジャンプは踏み切り位置から考える。

敵へ近づかなければキックが届かない。

後半では一度の位置ずれがそのままミスになる場面もあります。

つぶログのPCエンジン全ソフトTier表では、

70点・B Tier・総合390位。

コミカルな見た目とシビアな操作。

隠し要素を探す楽しさと、それを知らなければ進みにくい不親切さ。

その両方を抱えた作品です。

簡単だから誰でも笑って遊べるゲームではない。
難しいから価値があるゲームでもない。

アクションとして詰め込まれた遊びには魅力があり、その面白さへ到達するまでの操作負荷も大きい。

そこまで含めて、『カトちゃんケンちゃん』は70点という評価になっています。

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