- 47都道府県で一番「黒い」名前は?全47件の文字面積を実測
- 今回は「プリンターのインク消費量」を測ったわけではない
- 47都道府県をどうやって測ったのか
- 結果発表 一番黒かったのは「鹿児島県」
- 47都道府県の実測ランキングを全部見る
- 一番面白かったのは「新潟県が20位」だったこと
- とはいえ「画数と黒さ」はかなり関係している
- なぜ37画の新潟県が20位になるのか
- 「4文字だから鹿児島県が勝っただけ」なのか?
- 反対に、一番“白かった”のは大分県
- 画数ランキングの1位は鹿児島県と新潟県
- フォントを変えたら鹿児島県は負けるのか
- 本当に数ピクセル差で決まっていないか、サイズも変えて再測定した
- 結局、都道府県名で一番“黒い”のはどこだったのか
- 検証に使用した主な資料
47都道府県で一番「黒い」名前は?全47件の文字面積を実測

「新潟県」って、なんだかインクをたくさん使いそうではないだろうか。
13画の「新」に、15画の「潟」。そこへ「県」まで付く。書くだけでも大変そうだし、字面を見てもかなり黒い。
では、47都道府県の正式名称を全部まったく同じ条件で書いたら、本当に新潟県が一番“黒く”なるのか。
気になったので、北海道から沖縄県まで47件を同じフォント、同じ文字サイズで実際に画像化し、文字が覆っている面積を機械的に測った。
先に結果
一番“黒かった”都道府県名は「鹿児島県」だった。
しかも、総画数では鹿児島県と新潟県が37画で同率1位。それなのに黒色面積では鹿児島県が1位、新潟県は20位まで下がった。
つまり今回の検証、「画数の多い県を並べただけ」では終わらなかった。
今回は「プリンターのインク消費量」を測ったわけではない
最初に、今回の「インク」の意味をはっきりさせておきたい。
実際のプリンターで何文字か印刷して、カートリッジから何mgのインクが減ったかを測ったわけではない。
プリンターの実消費量は、機種、インクジェットかレーザーか、印刷品質、用紙、ドライバー、節約モード、ラスタライズ方法などによって変わる。これでは「都道府県名そのものの黒さ」を公平に比べられない。
そこで今回は、
同じフォント・同じサイズで文字を描画したとき、その文字が実際に覆っている黒色面積
を、「インクを使いそうな量」の代理指標として比較した。
したがって、この記事でいう「一番黒い」「一番インクを使いそう」は、あくまで今回固定した描画条件における文字の黒色被覆量の話である。
47都道府県をどうやって測ったのか
対象は「神奈川」「鹿児島」のような省略形ではなく、都・道・府・県まで含めた正式名称。J-LIS(地方公共団体情報システム機構)の都道府県庁一覧と照合し、北海道から沖縄県まで47件をそろえた。
今回の測定手順
47都道府県の
正式名称を用意
同じフォント
同じ1000px
透明背景相当へ
横書き描画
各ピクセルの
Alpha被覆量を積算
47件を
ランキング
黒いピクセルを単純に数えたわけではない
アンチエイリアスが入った文字の縁には、「真っ黒ではないが半分ほど文字に覆われている」というピクセルが生まれる。
そこで「一定以上黒ければ1、そうでなければ0」と切り捨てるのではなく、Pillowで生成した文字マスクから各ピクセルの値を読み取り、
黒色被覆量 = Σ(Alpha / 255)
として合計した。
完全に文字で覆われた1ピクセルは1。半分だけ覆われた境界部分なら0.5として扱う。
県名ごとにキャンバスの横幅は変わるが、比較しているのはあくまで文字そのものの被覆量。背景の余白は一切得点にならない。
測定条件は結果を見る前に固定した
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 対象 | 47都道府県の正式名称。都・道・府・県を含む |
| 主フォント | Noto Sans CJK JP Regular |
| フォントバージョン | Version 2.004 |
| フォントファイル | NotoSansCJK-Regular.ttc / TTC index 0 |
| 文字サイズ | 1000px |
| 方向 | 横書き |
| 文字間隔 | フォント既定。追加の文字間調整なし |
| 描画 | Pillow 12.3.0 / FreeType 2.14.3 |
| 比較値 | 文字マスクのAlpha被覆量の合計 |
| 余白 | 評価対象外 |
さらに再現性を気にする人向け:フォントのSHA256
b76b0433203017ca80401b2ee0dd69350349871c4b19d504c34dbdd80541690a
1000pxという大きなサイズにしたのは、小さな文字画像を作って数ピクセルの違いで順位が入れ替わるのを避けるためだ。
結果発表 一番黒かったのは「鹿児島県」
47件をすべて測定した結果、1位は鹿児島県。
黒色被覆量は約127万3742px相当だった。
2位は和歌山県、3位は神奈川県。新潟県は、ここには入ってこない。
黒色被覆量 TOP10
1位の鹿児島県を100とした「黒さ指数」。100点満点の評価ではなく、単なる相対値である。
鹿児島県は4文字、和歌山県と神奈川県も4文字だ。大半の都道府県名が3文字なので、総量勝負では4文字組が有利なのは確かである。
ただ、文字数だけで決まるわけでもない。
4文字の和歌山県と神奈川県の間にもかなり差があるし、3文字の愛媛県は4位まで食い込んだ。
47都道府県の実測ランキングを全部見る
以下が47件すべての結果。黒さ指数は鹿児島県=100として換算した値で、被覆量は表示上は四捨五入している。順位判定そのものには丸める前の値を使った。
| 順位 | 都道府県名 | 黒さ指数 | 被覆量 (px相当) | 総画数 | 画数順位 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 鹿児島県 | 100.0 | 1,273,742 | 37 | 1 |
| 2 | 和歌山県 | 91.8 | 1,169,167 | 34 | 3 |
| 3 | 神奈川県 | 85.9 | 1,094,735 | 29 | 14 |
| 4 | 愛媛県 | 80.2 | 1,021,949 | 34 | 3 |
| 5 | 静岡県 | 79.3 | 1,010,166 | 31 | 9 |
| 6 | 福岡県 | 78.9 | 1,004,513 | 30 | 11 |
| 7 | 福島県 | 77.9 | 991,932 | 32 | 7 |
| 8 | 群馬県 | 76.5 | 974,022 | 32 | 7 |
| 9 | 島根県 | 76.1 | 969,872 | 29 | 14 |
| 10 | 長野県 | 76.0 | 968,093 | 28 | 17 |
| 11 | 徳島県 | 75.8 | 964,913 | 33 | 5 |
| 12 | 沖縄県 | 75.6 | 963,384 | 31 | 9 |
| 13 | 滋賀県 | 74.9 | 954,658 | 33 | 5 |
| 14 | 愛知県 | 74.9 | 953,884 | 30 | 11 |
| 15 | 青森県 | 74.7 | 951,339 | 29 | 14 |
| 16 | 東京都 | 74.7 | 951,044 | 27 | 23 |
| 17 | 鳥取県 | 74.3 | 946,131 | 28 | 17 |
| 18 | 長崎県 | 74.1 | 943,635 | 28 | 17 |
| 19 | 宮城県 | 74.0 | 942,417 | 28 | 17 |
| 20 | 新潟県 | 73.8 | 939,674 | 37 | 1 |
| 21 | 宮崎県 | 73.5 | 935,830 | 30 | 11 |
| 22 | 福井県 | 73.0 | 929,930 | 26 | 27 |
| 23 | 茨城県 | 72.9 | 927,994 | 27 | 23 |
| 24 | 高知県 | 72.8 | 927,413 | 27 | 23 |
| 25 | 佐賀県 | 72.8 | 926,791 | 28 | 17 |
| 26 | 兵庫県 | 72.1 | 918,913 | 26 | 27 |
| 27 | 秋田県 | 71.6 | 912,389 | 23 | 36 |
| 28 | 京都府 | 71.4 | 909,680 | 27 | 23 |
| 29 | 岐阜県 | 70.2 | 893,740 | 24 | 31 |
| 30 | 熊本県 | 69.5 | 885,713 | 28 | 17 |
| 31 | 奈良県 | 69.4 | 884,558 | 24 | 31 |
| 32 | 北海道 | 69.3 | 883,234 | 26 | 27 |
| 33 | 広島県 | 68.5 | 873,093 | 24 | 31 |
| 34 | 埼玉県 | 68.0 | 866,169 | 25 | 30 |
| 35 | 富山県 | 67.6 | 861,668 | 24 | 31 |
| 36 | 栃木県 | 67.6 | 860,692 | 22 | 38 |
| 37 | 岡山県 | 66.9 | 851,595 | 20 | 42 |
| 38 | 岩手県 | 66.8 | 850,352 | 21 | 39 |
| 39 | 千葉県 | 66.7 | 849,514 | 24 | 31 |
| 40 | 三重県 | 66.6 | 847,851 | 21 | 39 |
| 41 | 山梨県 | 66.5 | 847,131 | 23 | 36 |
| 42 | 香川県 | 65.6 | 836,062 | 21 | 39 |
| 43 | 大阪府 | 64.2 | 817,143 | 18 | 44 |
| 44 | 山形県 | 62.2 | 791,787 | 19 | 43 |
| 45 | 石川県 | 59.9 | 762,382 | 17 | 45 |
| 46 | 山口県 | 57.9 | 736,988 | 15 | 47 |
| 47 | 大分県 | 57.8 | 736,547 | 16 | 46 |
一番面白かったのは「新潟県が20位」だったこと
今回の検証で一番意外だったのは、1位が鹿児島県だったこと以上に新潟県が20位まで落ちたことかもしれない。
画数を数えると、
| 都道府県 | 総画数 | 画数順位 | 黒さ順位 |
|---|---|---|---|
| 鹿児島県 | 37画 | 1位 | 1位 |
| 新潟県 | 37画 | 1位 | 20位 |
| 神奈川県 | 29画 | 14位 | 3位 |
鹿児島県と新潟県は同じ37画なのに、黒色面積では1位と20位。
画数順位と黒さ順位の差が最も大きかったのも新潟県で、19順位差だった。
逆方向で目立ったのは神奈川県だ。画数は29画で14位なのに、黒さは3位まで上がった。
「画数が多い字ほど、同じ量のインクを使う」と考えると説明できない結果である。
とはいえ「画数と黒さ」はかなり関係している
では、画数はまったく当てにならないのか。
そうでもない。
47都道府県について、総画数順位と黒色被覆量の関係をSpearman順位相関で調べると、相関係数は0.921だった。
かなり強い正の関係で、全体としては画数が多い都道府県名ほど黒くなりやすい。
鹿児島県
神奈川県
愛媛県
新潟県
大分県
15画
20画
25画
30画
35画
37画
60
70
80
90
100
散布すると全体は右上がりになる。その一方で、新潟県は右端にいるのに大きく下へ外れ、神奈川県は画数の割にかなり上へ来る。
このズレこそ、今回わざわざ画像化して測った意味があるところだ。
なぜ37画の新潟県が20位になるのか
理由のひとつは分かりやすい。
鹿児島県は4文字、新潟県は3文字だ。
総量ランキングなので、同じくらい複雑な字なら1文字多い方が有利になる。
ただし、それだけでも説明しきれない。
1文字ずつ同じ条件で測ると、主フォントではおおよそ次の被覆量になった。
| 文字 | 画数 | 黒色被覆量 |
|---|---|---|
| 鹿 | 11 | 約370,940 |
| 児 | 7 | 約271,595 |
| 島 | 10 | 約316,403 |
| 新 | 13 | 約320,302 |
| 潟 | 15 | 約304,569 |
| 県 | 9 | 約314,804 |
ここで面白いのが「潟」だ。
15画もあるのに、同じフォントで描いた「鹿」11画より黒色被覆量が小さい。
考えてみれば当然で、1画は面積の単位ではない。短い点も1画、長い横線も1画。払いも1画なら、文字を横断する線も1画だ。
さらに、線の長さ、曲がり方、払い、囲み、線同士の位置関係、そしてフォント設計によって、同じ1画でも実際に塗られる面積は変わる。
つまり、
画数は「線が何本あるか」に近い指標であって、「線を合計すると何平方ピクセルになるか」ではない。
だから画数と黒さはかなり連動する一方、完全には一致しない。
「4文字だから鹿児島県が勝っただけ」なのか?
ここで気になるのが、文字数の差だ。
鹿児島県は4文字。他の多くの都道府県は3文字なので、「そりゃ4文字の方が黒くなるだろう」と思うのも自然だ。
そこで副検証として、黒色被覆量を正式名称の文字数で割り、1文字あたり平均も計算した。
こちらの1位は鹿児島県ではない。
| 順位 | 都道府県 | 1文字平均被覆量 |
|---|---|---|
| 1 | 愛媛県 | 約340,650 |
| 2 | 静岡県 | 約336,722 |
| 3 | 福岡県 | 約334,838 |
| 4 | 福島県 | 約330,644 |
| 5 | 群馬県 | 約324,674 |
1文字平均王者は愛媛県。
鹿児島県は1文字平均では10位だった。
ただし、今回の主題はあくまで「正式名称を1回書いたときの総量」である。したがって総合王者は鹿児島県のまま。1文字平均は「4文字だから有利だっただけなのか」を見るための副検証として扱う。
反対に、一番“白かった”のは大分県
47位、つまり今回最も黒色被覆量が小さかったのは大分県だった。
下位5件は次の通り。
| 順位 | 都道府県 | 黒さ指数 |
|---|---|---|
| 43 | 大阪府 | 64.2 |
| 44 | 山形県 | 62.2 |
| 45 | 石川県 | 59.9 |
| 46 | 山口県 | 57.9 |
| 47 | 大分県 | 57.8 |
鹿児島県の黒色被覆量は、大分県の約1.73倍。
言い換えると、今回の条件では鹿児島県の方が大分県より約72.9%多く文字面を黒で覆ったことになる。
もちろん「実際のプリンターでもインクを72.9%多く消費する」という意味ではない。比較しているのは画像上の被覆量である。
画数ランキングの1位は鹿児島県と新潟県
画数はEDRDGのKANJIDIC2で使われる標準的な画数を基準に統一した。複数の数え方が生じやすい字については、漢字ペディアの画数表示も照合した。
同画数は同順位として集計すると、上位はこうなる。
| 画数順位 | 都道府県 | 総画数 |
|---|---|---|
| 1位 | 鹿児島県、新潟県 | 37画 |
| 3位 | 和歌山県、愛媛県 | 34画 |
| 5位 | 徳島県、滋賀県 | 33画 |
画数だけを見れば、新潟県を「一番インクを使いそう」と予想するのはかなり筋がいい。
ただし実測すると20位だった。今回の検証は、まさにその差を見るためのものだった。
フォントを変えたら鹿児島県は負けるのか
ここも重要だ。
文字の形はフォントによって違う。今回Noto Sans CJK JP Regularで鹿児島県が1位だったからといって、「どんな書体でも永久に鹿児島県が日本一」と言ってしまうのは危ない。
そこで主ランキングを確定したあと、条件を変えない補助検証としてNoto Serif CJK JP Regularでも47件をすべて測り直した。
結果は、
1位 鹿児島県
2位 和歌山県
3位 神奈川県
4位 愛媛県
5位 静岡県
となり、なんとTOP5まで主検証と同じだった。
一方、中位以下では順位が動いている。新潟県もゴシック体では20位だったが、明朝体では10位まで上昇した。
つまり、フォントは確実に結果へ影響する。それでも今回確認したゴシック体と明朝体では、1位の鹿児島県は変わらなかった。
Noto Sans Mono CJK JP Regularでも確認したが、今回使った47名称については主フォントと黒色被覆量が全件一致した。CJK部分の字形が同じだったためで、これは「まったく別の字体でも同じ結果だった」という意味ではない。
したがって、今回言えるのはここまでだ。
Noto Sans CJK JP Regularでは鹿児島県が1位。さらに今回確認したNoto Serif CJK JP Regularでも鹿児島県が1位だった。
すべての日本語フォントで1位だとは断定しない。
本当に数ピクセル差で決まっていないか、サイズも変えて再測定した
こういうランキングは、測定方法が雑だと簡単に順位が変わる。
特にアンチエイリアスされた文字を小さな画像で測ると、境界の数ピクセルが結果へ効きやすい。
そこで本集計の1000pxとは別に、500pxと2000pxでも47件を再レンダリングした。
その結果、
- TOP10の順番は500px・1000px・2000pxですべて同じ
- BOTTOM5の順番も3サイズすべて同じ
- 主フォント内に必要な75種類の文字をすべて収録
- 欠落グリフは0
- 47都道府県の重複・欠落なし
- 黒色被覆量の同率なし
を確認した。
少なくとも今回の1位が「1000pxでたまたま境界ピクセルが数個増えたから鹿児島県になった」という状態ではない。
結局、都道府県名で一番“黒い”のはどこだったのか
47都道府県の正式名称を、Noto Sans CJK JP Regular、1000px、横書きという同じ条件で描画し、文字そのものの黒色被覆量を測った結果、1位は鹿児島県だった。
2位は和歌山県、3位は神奈川県。
そして、この検証でいちばん面白かったのは、最初から怪しそうだった新潟県である。
鹿児島県と新潟県は、ともに37画で総画数1位。
それなのに黒色面積では、
鹿児島県 1位
新潟県 20位
まで離れた。
画数と黒さにはかなり強い関係がある。ただし、一画一画の長さや形まで同じではない。だから「画数が多い=そのまま黒い」にはならない。
そして1文字平均なら愛媛県、最も黒色被覆量が小さかったのは大分県。明朝体へ変えても、今回試した範囲では1位は鹿児島県のままだった。
「どの県名が一番インクを使いそうか」。
答えを知らなくても、生活にはたぶん何の支障もない。
でも47個全部測ってみると、画数を数えるだけでは見えなかった差がちゃんと出た。
どうでもいい疑問でも、同じ条件で全部測れば、答えは数字になる。
検証に使用した主な資料
都道府県の正式名称は、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)の「都道府県庁」「地方公共団体コード住所」を基準に確認した。
総画数はEDRDGのKANJIDIC2を統一基準として使用。KANJIDIC2で複数の画数が収録されている場合は、仕様上「accepted count」とされる最初の画数を採用した。画数差が生じやすい文字については、日本漢字能力検定協会の漢字ペディアでも照合している。
※本記事の「黒色被覆量」は、実際のプリンターカートリッジやトナーの消費量を測定したものではありません。フォント、印刷機、用紙、印刷設定などが変われば実際の消費量も変わります。