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SpotifyがAI・スパム楽曲5000万曲以上をおすすめから除外|聴けなくなる?AI音楽は禁止?

目次
  1. Spotifyが5000万曲以上をおすすめから除外|AI音楽は禁止?曲は消える?
  2. Spotifyが5000万曲以上をおすすめから除外|何が起きた?
  3. おすすめから除外された曲は聴けなくなる?保存した曲は消える?
  4. 5000万曲と7500万曲は何が違う?削除数を混同しないことが重要
  5. SpotifyはAI音楽を全面禁止した?どこまで許されるのか
  6. AIで作られた音楽を見分ける方法|AIクレジットとは?
  7. AIペルソナとは?AIアーティストの楽曲も聴ける?
  8. Spotify認証バッジとの違い|AI不使用を証明するものではない
  9. SpotifyはどうやってAI・スパム楽曲を見つけている?
  10. AI音楽でもSpotifyで収益化できる?年間1000回再生の条件
  11. 有名歌手のAIカバーや声の無断複製はどうなる?
  12. アーティストページの保護とは?勝手な楽曲登録を防ぐ仕組み
  13. SpotifyでAI音楽をすべて非表示にできる?
  14. 今後SpotifyのAI音楽はどうなる?全面禁止の予定はある?
  15. まとめ|Spotifyが禁止したのはAI音楽そのものではない

Spotifyが5000万曲以上をおすすめから除外|AI音楽は禁止?曲は消える?

SpotifyがAI・スパム楽曲5000万曲以上をおすすめから除外。AI音楽の全面禁止や配信削除との違い、楽曲の再生可否を解説するアイキャッチ。

Spotifyが、2026年に入ってから5,000万曲以上のスパム・低品質コンテンツを、おすすめ機能から除外したと発表しました。

5,000万曲という規模も驚きですが、気になるのはその中身です。AIで作られた音楽は今後聴けなくなるのでしょうか。お気に入りに保存した曲や、自分のプレイリストに入れている楽曲まで消えてしまうのでしょうか。

結論からいうと、今回の発表はAI音楽の全面禁止ではありません。また、5,000万曲以上が一斉にSpotifyから削除されたわけでもありません。

Spotifyが強化したのは、スパムや低品質コンテンツをおすすめから除外し、なりすましなどの問題からアーティストとリスナーを守る仕組みです。AIを音楽制作に利用すること自体は、引き続き一律禁止されていません。

ただし、Spotifyは深刻な規約違反について、楽曲そのものを削除する対策も行っています。「おすすめに表示されない」と「配信が終了する」では、意味が大きく異なります。

2026年10月20日のSpotify日本語公式発表と関連する公式ヘルプをもとに、今回何が変わったのか、AI音楽はどこまで認められるのか、一般利用者と音楽制作者にどのような影響があるのかを整理します。

※本記事は2026年10月25日時点の情報に基づいています。SpotifyのAI関連機能にはベータ版や段階的に提供されているものがあり、利用できる環境や表示内容が異なる場合があります。

Spotifyが5000万曲以上をおすすめから除外|何が起きた?

Spotifyは2026年10月20日、AI時代におけるアーティストとリスナーの保護について、過去1年間の取り組みをまとめた発表を行いました。

その中心となるのが、スパムや「AIスロップ」と呼ばれる低品質コンテンツへの対策です。

Spotifyによると、2026年に入ってから5,000万曲以上のスパム・スロップをレコメンド(おすすめ)から除外しました。

この5,000万曲以上という数字は、AIで生成された音楽だけを数えたものではありません。スパムと低品質コンテンツを合わせたものであり、AI生成楽曲が具体的に何曲含まれていたかは公表されていません。

Spotifyは2026年初め、利用者がスキップした楽曲、無視した楽曲、不快だと報告した楽曲などの傾向を分析しました。その結果、利用者からの反応が悪い楽曲の中に、スパムや低品質コンテンツと判断されるものが多く含まれていたと説明しています。

そこで、おすすめ機能を複数回更新。編集者が選曲する公式プレイリストでも、スパムやスロップと判断された楽曲を採用しない方針を取っています。

Spotifyは対策後、こうしたコンテンツがおすすめに表示されることへの利用者の懸念が目立って減少したと報告しています。ただし、具体的な減少率までは公表していません。

「AIスロップ」とは何を指す?

AIスロップとは、生成AIによって大量に制作された、低品質あるいは価値の乏しいコンテンツを指すときに使われる言葉です。

音楽の場合、AIを使って短時間で大量の楽曲を生成し、十分な選別や創作上の工夫を行わないまま配信するようなケースが問題になり得ます。

ただし、AIを使用した楽曲がすべて低品質という意味ではありません。人間が作った楽曲でも、重複投稿や不正な再生数操作などがあればスパム対策の対象になります。

今回の発表で重要なのは、AIを使ったかどうかだけではなく、コンテンツの性質や配信方法、利用者への影響も判断材料になっていることです。

おすすめから除外された曲は聴けなくなる?保存した曲は消える?

今回のニュースで、一般利用者が最も気になるのはここでしょう。

Spotifyのお気に入りやプレイリストに保存した曲が、今回の対策によって突然聴けなくなるのではないか。

おすすめから除外されただけなら、楽曲がSpotify上から削除されたことにはなりません。

例えば、ある楽曲がアルゴリズムによるおすすめに表示されなくなっても、配信自体が継続していれば、検索結果やアーティストページ、保存済みプレイリストなどから再生できる場合があります。

一方、Spotifyから楽曲そのものが削除された場合は、原則としてSpotify上で再生できなくなります。

Spotifyの公式規定でも、コンテンツの削除、リーチの制限、収益化の制限は異なる措置として扱われています。

措置何が変わる?楽曲は聴ける?
おすすめから除外自動的な推薦や紹介の対象から外れる配信が継続していれば再生可能
リーチ制限検索結果での順位やプロモーションなどが制限される場合がある原則として再生可能
配信から削除Spotify上で楽曲の提供が終了する原則として再生不可
収益化の制限収益分配の対象から外れるなどの措置配信が続いていれば再生可能

なお、一つのコンテンツに複数の措置が適用される場合もあります。

今回の5,000万曲以上について、対象楽曲の全リストや、現在も再生可能な楽曲の割合は公表されていません。そのため「5,000万曲すべてが検索すれば見つかる」とまでは断定できません。

Spotifyで以前保存した曲が再生できなくなっていた場合も、今回のおすすめ除外だけが原因とは限りません。権利関係や配信契約、個別の削除措置など、別の事情によって提供が終了することもあります。

Spotifyの措置の違いは、公式の「コンテンツに対して講じられる措置」でも確認できます。

5000万曲と7500万曲は何が違う?削除数を混同しないことが重要

SpotifyのAI・スパム対策では、今回の5,000万曲以上とは別に、7,500万曲以上という大きな数字も登場します。

しかし、この2つは同じ種類の措置を数えたものではありません。

数字発表時期対象期間内容
5,000万曲以上2026年10月20日2026年に入ってからおすすめから除外
7,500万曲以上2025年9月25日同発表までの過去12か月Spotify上から削除

2025年9月25日、Spotifyは過去12か月で7,500万曲以上のスパム楽曲をサービスから削除したと発表しました。

この数字は2026年10月20日の英語版公式発表にも登場しますが、2026年に新たに7,500万曲を削除したという意味ではありません。

音楽業界専門メディアのMusic Business Worldwideは、Spotifyの担当者に直接確認し、この7,500万曲が2025年に公表済みの数字であると報じています。

Spotifyはその後も重大または繰り返しの規約違反に対して削除を続けていますが、2026年10月時点で更新された削除件数は公表していません。

つまり「5,000万曲と7,500万曲を合わせて1億2,500万曲が新たに削除された」という説明は不正確です。

おすすめから除外した曲数と、配信自体を削除した曲数は分けて理解する必要があります。

SpotifyはAI音楽を全面禁止した?どこまで許されるのか

Spotifyの方針は、AIを使った音楽をすべて排除するものではありません。

2025年9月25日のAI対策に関する公式発表では、アーティストが制作工程にAIを取り入れるかどうかは、アーティスト自身が決めるべきだという考えを示しています。

音楽制作では以前から、電子楽器、サンプリング、デジタル編集、ボーカル補正など、さまざまな技術が使われてきました。生成AIもその延長として創作を支援する可能性がある一方、無断の声の複製や大量投稿による不正など、新しい問題も生み出しています。

Spotifyが問題視しているのは、主に後者のような行為です。

具体例Spotifyの方針
AIで歌詞の一部を制作するAI使用だけを理由とした一律禁止ではない
AIで楽器やボーカルの一部を生成する権利関係などの条件による
AIで楽曲全体を生成する一律禁止ではないが、規約や配信条件の対象
本人の許可なく有名歌手の声を複製するなりすまし対策による削除対象になり得る
大量の楽曲を不正に投稿・拡散するスパム対策の対象
再生数を不正に操作する不正利用として対策対象

例えば、人間が作曲した楽曲でも、不正な再生数操作を行えば問題になります。反対に、AIで生成した音声を利用していても、適切な権利処理を行い、規約に違反していないからという理由で一律に排除されるわけではありません。

ただし、SpotifyがAI音楽を全面禁止していないことは、すべてのAI生成楽曲について配信を保証しているという意味ではありません。利用する生成AIサービスの条件、素材や音源の権利、配信事業者の審査なども関係します。

SpotifyはAIを活用した音楽サービス自体も開発している

AI音楽を全面禁止する方針ではないことは、Spotify自身の別の発表からも分かります。

Spotifyは2026年10月20日、音楽企業Believeとの提携を発表しました。権利者が許可した楽曲について、ファンがAIを利用したリミックスやカバーを制作できる仕組みを開発する計画です。

この取り組みでは、対象アーティストの参加を任意とし、権利者へのロイヤリティ分配も想定しています。Spotify Premium加入者向けの有料追加機能として提供する構想ですが、発表時点では今後提供する予定の機能であり、一般利用者がすでに使えるという意味ではありません。

つまりSpotifyは、AIを使った音楽表現そのものを否定するのではなく、権利者の同意や対価の支払い、制作内容の透明性を重視する方向を示しています。

AIで作られた音楽を見分ける方法|AIクレジットとは?

楽曲を聴いているときに、「これは人間が演奏しているのか、それともAIで作られた音なのか」と疑問に感じることもあるでしょう。

Spotifyは2026年4月、音楽制作におけるAIの使用状況を確認できる「AIクレジット」を導入しました。

これは楽曲のどの部分にAIが利用されたかを示す仕組みです。

  • 歌詞
  • ボーカル
  • 楽器演奏・インストゥルメンタル
  • 音楽制作・プロダクション

例えば、作詞と作曲は人間が担当し、ボーカルの一部だけをAIで生成した場合、その関与をクレジットで説明できます。

「AIを使用した」という一つの表示だけでなく、どの工程に関わったのかを確認できる点が特徴です。

SpotifyでAIクレジットを確認する手順

2026年10月25日時点では、AIクレジットはベータ版としてモバイルアプリで提供されています。

  1. Spotifyアプリで確認したい楽曲を開く
  2. 楽曲のメニュー(縦の3点)をタップする
  3. 「楽曲クレジットを表示」を選択する
  4. AIの使用が申告されている場合は、その役割や内容を確認する

再生中画面を下へスクロールし、「クレジット」から確認する方法もあります。

ただし、AIクレジットには注意点があります。

現時点では、AIクレジットの申告は任意です。

アーティストが情報を提出するかどうか選択でき、ベータ版のため対応しているディストリビューターも一部に限られています。

そのため、クレジットにAIの使用が記載されていなくても、AIを使用していない証拠にはなりません。また、AIクレジットが表示されていても、楽曲全体がAIによって生成されたとは限りません。

SpotifyもAIクレジットの公式ヘルプで、これらの制約を明記しています。

AIペルソナとは?AIアーティストの楽曲も聴ける?

AIクレジットとは別に、Spotifyは2026年に「AIペルソナ」というバッジも導入しました。

2026年8月に発表され、9月から表示が始まった機能で、10月20日時点では数千のアーティストプロフィールに適用されています。

ここで重要なのが、AIペルソナは楽曲そのものではなく、アーティストの人物像に関する表示だという点です。

例えば、実在する人間のように見えるアーティスト写真をAIで生成し、その架空の人物をアーティストとして紹介している場合などが対象となります。

AIペルソナのバッジが付いているからといって、そのアーティストの楽曲までAI生成とは限りません。

Spotifyの公式説明によると、AIペルソナのアーティストが、人間だけで制作した音楽を発表している場合もあれば、AI生成楽曲を発表している場合もあります。

AIペルソナのバッジはどこに表示される?

Spotifyでは、以下の場所で確認できます。

  • アーティストプロフィールの上部
  • アーティストの詳細情報
  • 検索結果に表示されるアーティストカード

バッジを選択すると、アーティスト自身がAIペルソナであると申告したのか、それともSpotifyが審査に基づいて判断したのかも確認できます。

プレイリスト内の楽曲欄への表示は、2026年10月時点では今後の対応予定とされています。

AIペルソナの曲はおすすめから消える?

Spotifyは、AIペルソナの楽曲について、原則として編集プレイリストやアルゴリズムによるおすすめに含めない方針を示しています。

ただし、リスナーがそのアーティストをフォローするなど、能動的に関わった場合は例外があります。

これは「フォローすれば必ずおすすめに表示される」という意味ではありません。自分で興味を示したアーティストについては、おすすめ対象外という原則の例外になり得るということです。

AIペルソナの楽曲そのものが配信停止になるわけではなく、Spotifyは再生やフォローも引き続き可能と説明しています。

詳しい条件はSpotify公式「AIペルソナのバッジ表示」で確認できます。

Spotify認証バッジとの違い|AI不使用を証明するものではない

もう一つ新しく導入されたのが「Verified by Spotify」、日本語で「Spotify認証済み」と呼ばれるバッジです。

2026年4月に導入され、同年10月20日時点で30万人以上のアーティストが認証されています。そのうち70%以上がインディペンデントアーティストです。

Spotifyは、認証済みアーティストによって、リスナーがSpotify上で検索するアーティストの99%以上をカバーしていると説明しています。

ただし、これは全登録アーティストの99%が認証を取得したという意味ではありません。

認証では、リスナーからの継続的な関心、コミュニティ規定の遵守、プロフィールの実在性などを確認します。

AI生成アーティストやAIペルソナを主体とするプロフィールは、現時点では原則として認証対象外です。一方、実在するアーティストが制作の一部にAIツールを利用している場合でも、責任を持って活動していれば認証対象になり得ます。

つまり、Spotify認証バッジは、そのアーティストの楽曲がすべてAI不使用であることを保証するものではありません。

3つの機能の違いを整理すると、次のようになります。

機能確認できること注意点
AIクレジット制作工程でAIを使った部分任意申告のため、表示がなくてもAI不使用とは限らない
AIペルソナ人物像やビジュアルのAI生成楽曲そのもののAI生成を意味しない
Spotify認証アーティストの実在性や活動状況などAIを使用していない証明ではない

この違いを知っておけば、バッジの有無だけで楽曲の制作方法を決めつけてしまうことを避けられます。

SpotifyはどうやってAI・スパム楽曲を見つけている?

5,000万曲以上ものコンテンツを、Spotifyはどのように見分けているのでしょうか。

公式発表によると、スパムやスロップの検出では、複数の情報を組み合わせています。

  • リスナーによるスキップ、無視、フィードバックなどの反応
  • 楽曲のアップロード頻度や投稿パターン
  • タイトルやクレジットなどのメタデータ
  • 複数の外部AI検知ツールから得られる情報
  • 大量投稿、重複コンテンツ、検索操作、不自然な短尺楽曲、スパム目的のプレイリストネットワークなどの兆候

重要なのは、スキップ率やAI判定結果など、一つの情報だけでスパムを正確に識別できるわけではないことです。

人気が出なかった楽曲や、再生数が少ない楽曲が自動的にスパム認定されるという仕組みではありません。

Spotify自身も、AI検知技術には限界があることを認めています。生成AIが進化すれば、人間が制作した音楽とAI生成音楽を区別することは、さらに難しくなると説明しています。

そのため、音源をAIで作ったかどうかだけではなく、アップロードの仕方や利用者への影響、楽曲情報などを合わせて判断しているのです。

なお、誤って除外された正規楽曲の件数や、その割合は公表されていません。無名アーティストの楽曲が大量に誤判定されたといった話についても、確認できない数字を前提に結論づけることはできません。

AI音楽でもSpotifyで収益化できる?年間1000回再生の条件

AIで楽曲を制作している人にとっては、配信できるかどうかだけでなく、収益を受け取れるかどうかも重要でしょう。

Spotifyは2024年4月から、録音された音楽のロイヤリティ計算について、新しい収益化条件を適用しています。

その中心となるのが、過去12か月間で1,000回以上の再生数に達していることです。

さらに、所定のユニークリスナー数を満たす必要があります。必要な最低人数は、不正な操作を防ぐ目的で公表されていません。

このルールはAI楽曲だけに適用されるものではなく、すべてのアーティストを対象としています。

また、対象となるのは録音された音楽のロイヤリティプールの計算であり、作詞・作曲などに関する権利の扱いと、そのまま同一視することはできません。

AI楽曲は1000回再生に届きにくい?

Spotifyは2026年10月20日の発表で、AI生成の可能性が高い特徴を持つ楽曲について、通常の楽曲と比べ、年間1,000回再生の基準を下回る割合が約10倍高いと説明しています。

ただし、これは「AI楽曲の収益は人間が作った曲の10分の1になる」という意味ではありません。

あくまで、収益化条件に達しない楽曲の割合を比較した数字です。

また、1,000回未満だからといって楽曲がSpotifyから削除されるわけでもありません。収益化の条件と配信の可否は別の問題です。

Spotifyの詳しい条件は「収益化の対象になる楽曲」公式ヘルプで確認できます。

なぜ少額の再生収益まで対策するのか?

理由の一つは、ストリーミングサービス特有の収益分配構造にあります。

CDのように商品を1枚販売する方式とは異なり、ストリーミングでは利用状況などに応じてロイヤリティが分配されます。

仮に、わずかな収益しか生まない楽曲でも、極めて大量に投稿されれば、全体として無視できない規模になる可能性があります。

Spotifyは、こうした少額の収益が大量の楽曲に分散する問題や、不正な再生数操作などへの対策として収益化条件を設けています。

音楽がCDから配信へ移り、再生回数が重要な指標になっていった歴史については、つぶログの日本人は音楽をどう買い、どう聴いてきたのか|レコード・CD・配信の歴史でも詳しく整理しています。

有名歌手のAIカバーや声の無断複製はどうなる?

AI音楽の問題では、楽曲の品質とは別に、アーティスト本人の権利も重要です。

近年は生成AIを使って、特定の歌手によく似た歌声を作り出すことも可能になっています。しかし、技術的に再現できるからといって、本人の許可なく自由に利用できるわけではありません。

Spotifyは、AIによる音声クローン技術などを使い、本人の許可なく別のアーティストの声を複製した楽曲を削除対象としています。

例えば、有名歌手の声を無断で再現し、本人が歌ったかのように公開するケースです。

また、曲名やクレジットにその歌手の名前を記載していなくても、明らかに本人の声を複製したと認識できる場合は、対策の対象になり得ます。

ただし、Spotifyの規定には一部のパロディなどの例外もあります。通常の歌唱表現、本人が許可したコラボレーション、無断の音声複製などをすべて同じものとして扱うわけではありません。

Spotifyは、許可された利用なのかどうかを判断するため、原則としてアーティスト本人または代理人からの申し立てに基づいて審査すると説明しています。

本人の声が無断使用されたと考えられる場合は、Spotify公式「別のアーティストの声を模倣した音楽」で申し立て方法を確認できます。

AI音楽とは別に、本人を装った無断配信も問題になる

AIで生成した音楽でなくても、他人の名義や楽曲を無断で使用して配信することは問題になります。

実際、2026年3月にはSMAPの一部楽曲が音楽配信サービスに登場し、ビクターエンタテインメントが正規の配信ではないと発表した事例もありました。

音楽配信サービスで曲が見つかったからといって、それだけで権利者が正式に配信しているものとは限りません。

この問題については、つぶログのSMAPの曲はサブスクで聴ける?配信状況と正規音源の探し方でも具体的な事例を紹介しています。

アーティストページの保護とは?勝手な楽曲登録を防ぐ仕組み

Spotifyは、アーティスト本人の名前が無断で使われたり、別人の楽曲が誤って本人のページに表示されたりする問題への対策も進めています。

そのための新機能が「アーティストページの保護」です。

2026年3月にベータ版として発表され、同年10月20日時点では数千人のアーティストが利用しています。

自分の名前が記載された新しいリリースがSpotifyに納品された際に通知を受け取り、正しい楽曲かどうかを確認するための機能です。

ただし、すべてのアーティストが新曲を公開するたびに本人の事前承認を求められるわけではありません。

Spotifyの公式ヘルプでは、通常の「リリースのレビュー」と、一部対象者向けの「リリースをブロック」という設定が区別されています。

設定仕組み
リリースのレビュー通知を受け取り、誤ったリリースから自分を除外できる。何も対応しなければ通常どおり公開される
リリースをブロック公開にアーティスト本人の承認が必要。一部対象者向けの詳細設定

通常のレビューモードでは、公開後28日以内であれば、誤ったリリースから自分を除外することもできます。

Spotifyは2026年末までに、この機能をすべてのアーティストへ提供する方針を示しています。ただし、2026年10月25日時点ではまだベータ版であり、すべてのアーティストが利用できるわけではありません。

利用可能かどうかは、Spotify for Artistsのメニューに「アーティストページの保護」が表示されているかで確認できます。

詳しい操作はSpotify公式「アーティストページの保護」で案内されています。

SpotifyでAI音楽をすべて非表示にできる?

AI音楽をできるだけ聴きたくないという人にとっては、おすすめから除外する仕組みがどこまで対応しているのかも気になるところです。

今回のSpotifyの発表は、AIで制作した楽曲すべてを一律に非表示にするというものではありません。

対策の中心は、スパム・スロップと判定されたコンテンツや、AIペルソナに関するおすすめ表示の制限です。

また、AIクレジットも任意申告であるため、Spotify上の全楽曲についてAIの使用状況が完全に把握できるわけではありません。

2026年10月20日の公式発表には、すべてのAI生成音楽をまとめて非表示にする共通設定を新たに提供するという案内はありません。

AIを一部に使った作品も含めて完全に排除できるかどうかと、スパムや低品質コンテンツをおすすめから減らすことは、分けて考える必要があります。

今後SpotifyのAI音楽はどうなる?全面禁止の予定はある?

SpotifyがAI音楽をどこまで認めるかは、今後も変化していく可能性があります。

ただし、2026年10月25日時点で、AI生成音楽を全面禁止する日付や、既存のAI楽曲をすべて配信停止にする計画は公式に発表されていません。

現在の方針を整理すると、AIによる創作を一律に禁止するのではなく、スパム、なりすまし、欺瞞的な行為を抑制しながら、制作過程の透明性を高める方向にあります。

今後の注目点は、AIクレジットの普及、AIペルソナの識別、アーティストページ保護機能の全体展開などです。

一方、AI検知技術には限界があり、今後すべてのAI音楽を正確に識別できるようになるとは限りません。誤判定された楽曲の件数や、判定に対する異議申し立ての割合なども公表されていません。

また、今回おすすめから除外された5,000万曲以上について、AI生成音楽だけの内訳や、楽曲名の一覧も公表されていません。

Spotifyが目指しているのは、AIを使ったという理由だけで音楽を排除することではなく、リスナーが聴きたい音楽を見つけやすくし、アーティストの権利や収益を保護することだと読み取れます。

ただし、その方針が実際にどれだけ成果を上げるかについては、今後のデータや運用状況を見て判断する必要があります。

まとめ|Spotifyが禁止したのはAI音楽そのものではない

Spotifyは2026年10月20日、今年に入ってから5,000万曲以上のスパム・低品質コンテンツをおすすめから除外したと発表しました。

ただし、これは5,000万曲以上を一斉に配信停止にしたという意味ではありません。配信が続いていれば、検索や保存済みプレイリストなどから再生できる場合があります。

また、SpotifyはAI音楽を全面禁止しているわけではありません。楽曲制作へのAI利用は一律に禁止せず、無断の声の複製、なりすまし、スパム、不正な収益獲得などへの対策を強化しています。

2026年にはAIクレジット、AIペルソナ、Spotify認証などの仕組みも導入されました。ただし、それぞれが示す内容は異なり、バッジの有無だけで楽曲全体の制作方法を判断することはできません。

今回のニュースで特に重要なのは、「AIを使った音楽」「スパムと判断された音楽」「Spotifyから削除された音楽」は同じものではないという点でしょう。

音楽制作に新しい技術が入ってくることと、それを悪用する行為への対策は、本来別々に考える必要があります。

AIで作ったか、人間が作ったかという二択だけではなく、誰がどのように制作し、必要な権利を守り、リスナーに届けているのか。Spotifyの今回の変更は、そうした問題を改めて浮き彫りにしたものといえそうです。

主な確認資料

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