
- 『スーパーマリオブラザーズ3』FC版レビュー|変身・マップ・現在の遊び方を解説
- 『スーパーマリオブラザーズ3』はどんなゲーム?
- 7本の魔法の杖を取り戻しながら8つのワールドを進む
- ワールドマップで「次にどこへ行くか」を選ぶ
- コースへ入る前から攻略は始まっている
- しっぽマリオは攻撃・落下・飛行を一つにまとめる
- しっぽは最初から「飛ぶため」に考えられたわけではなかった
- カエル・タヌキ・ハンマー――変身ごとに得意な場所が違う
- 坂を滑り、甲羅を持ち、走る速さまで攻略に使う
- 8つのワールドが、同じ操作を別の遊びに変える
- 原作はセーブできない
- 最初は横スクロールですらなかった
- 開発チームは20~30人規模まで増えた
- 近藤浩治は地上BGMを2曲作って迷っていた
- 今遊んでも面白いところ
- 変身を失ったとき、同じコースの難しさが変わる
- 現在では厳しいところ
- SFC『スーパーマリオコレクション』ではグラフィックとセーブが変わる
- GBA『スーパーマリオアドバンス4』はさらに追加要素が多い
- 2026年現在、FC版を遊ぶならNintendo Classicsが分かりやすい
- まとめ|『3』ではコースへ入る前からマリオをどう動かすか考える
『スーパーマリオブラザーズ3』FC版レビュー|変身・マップ・現在の遊び方を解説
1988年10月23日にファミリーコンピュータで発売された『スーパーマリオブラザーズ3』。
走って、ジャンプして、敵を踏む。
『スーパーマリオブラザーズ』から続く基本操作はそのままですが、『3』では考えることがかなり増えました。
坂道なら滑る。
甲羅を持って運ぶ。
スーパーこのはを取れば、しっぽで敵を攻撃する。
助走を続ければ空へ飛び、ジャンプ後の落下速度まで変えられる。
水中コースへ入るならカエルスーツを使う手もある。
さらにコースを出るとワールドマップへ戻り、次に進む道を選び、ストックしてあるアイテムを使ってから次のコースへ挑めます。
つまり『3』で増えたのは、アクションの種類だけではありません。
コースへ入る前から、次をどう攻略するか考えられるようになった。
これが、1988年のFC版を今遊んでも感じられる大きな変化です。
『スーパーマリオブラザーズ3』はどんなゲーム?
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | スーパーマリオブラザーズ3 |
| ハード | ファミリーコンピュータ |
| 発売日 | 1988年10月23日 |
| 発売元 | 任天堂 |
| ジャンル | アクション |
| プレイ人数 | 1~2人 |
| 型番 | HVC-UM |
| 当時価格 | 6,500円 |
| ROM | PRG 256KB+CHR 128KB |
| セーブ | なし |
| 主な開発 | 宮本茂、手塚卓志、中郷俊彦、近藤浩治ほか |
ROMはPRG 256KBとCHR 128KBの合計384KB。カートリッジにはMMC3系のマッパーが使われていますが、これは『マリオ3』だけの「専用チップ」ではありません。バッテリーバックアップも搭載されておらず、原作には通常のセーブ機能がありません。
実際のFC版がどんな画面で、マップとアクションステージをどう行き来するのかは、任天堂公式のプレイ映像でも確認できます。
7本の魔法の杖を取り戻しながら8つのワールドを進む
物語の始まりでは、大魔王クッパとコクッパたちがキノコワールドへ侵攻し、7つの国から魔法の杖を奪っています。
杖を奪われた王たちは姿を変えられてしまい、マリオとルイージは7本の杖を取り戻すために旅へ出ます。
舞台は全部で8ワールド。
最初から「ピーチ姫を救出するための旅」とだけ説明すると、本作の導入とは少し違います。ゲーム序盤では、各国を巡ってコクッパたちから魔法の杖を奪い返すことが目的として示されています。
各ワールドは一本の長いステージではなく、複数のコースや砦、キノピオの家などが並んだワールドマップとして表現されています。
ワールドマップで「次にどこへ行くか」を選ぶ
『3』では、アクションステージの外にワールドマップがあります。
マップには、
- アクションゲームパネル
- 砦
- キノピオの家
- ハンマーブロス
- 城
- 分岐する道
などが配置されています。
プレイヤーはマリオをマップ上で動かし、次に入る場所を選びます。
ただし、好きなコースを何でも自由に選択できるわけではありません。
道がつながっていなければ進めず、アクションゲームパネルをクリアしないと先へ通れない場所もあります。砦を攻略すると閉ざされていた扉が開き、新しいルートが通れるようになる場合もあります。
分岐地点では複数の道から選べる。
一部のコースは避けられる。
でも、マップ全体を無条件に飛び回れるわけではない。
『3』のルート選択は、そのくらいの自由さです。
コースへ入る前から攻略は始まっている
ワールドマップを歩くだけなら、それまでの横スクロールアクションにステージ選択画面を付けただけにも見えます。
ところが『3』では、マップ上でストックしたアイテムを使用できます。
キノコ。
ファイアフラワー。
スーパーこのは。
カエルスーツ。
タヌキスーツ。
さらにPパタの羽根やジュゲムの雲などもあります。所持アイテムは最大28個です。
これによって、コースを始めてからパワーアップを探すだけではなくなりました。
「次は水中が多いからカエルスーツを使うか」
「飛べればかなり楽になるのでPパタの羽根を使うか」
「このアイテムはもっと厳しい場所まで残しておくか」
といった判断が、スタート前に生まれます。
ジュゲムの雲なら未クリアのアクションゲームパネルを一つ越えられます。
ハンマーならマップ上の岩を壊せる。
笛を使えば別のワールドへ移動できます。
コース攻略とワールドマップが、それぞれ独立した画面では終わっていません。
マップでどう準備したかが、そのまま次のアクションへ返ってきます。
しっぽマリオは攻撃・落下・飛行を一つにまとめる
『3』を象徴する変身が、スーパーこのはで変身する「しっぽマリオ」です。
Bボタンを押せば、しっぽを回転させて近くの敵を攻撃できます。
ジャンプ後にAボタンを連打すれば落下速度を抑えられます。
さらに地上を走り続けてパワーメーターを最大まで上げれば、助走から空へ飛び上がれます。
この飛行がおもしろいのは、ジャンプボタンだけで好きな場所から離陸できる能力ではないことです。
まず地上で速度を上げなければならない。
助走できるだけの場所がいる。
敵や穴を避けながら速度を維持する必要がある。
飛んだあとも天井や足場を見なければならない。
つまり「空を飛ぶ」という行動にも、その前の地上での走り方が必要です。
飛行によって高い場所へ行けるようになるだけでなく、飛ぶためにコースの地形を見る目まで変わります。
しっぽは最初から「飛ぶため」に考えられたわけではなかった
手塚卓志氏によれば、しっぽマリオの最初の発想は、マリオ自身が回転してしっぽで敵を蹴散らすアクションでした。
一方、「マリオを空へ飛ばしたい」という案は初代『スーパーマリオブラザーズ』の頃から存在していました。
『3』の制作中、この二つが組み合わされ、しっぽ攻撃と飛行を同じ変身へ持たせる形になりました。
製品版を見ると、
攻撃する
落下を緩やかにする
助走から飛ぶ
という3つの行動が、スーパーこのは一つで追加されます。
新しい攻撃手段を得るだけの変身ではありません。
カエル・タヌキ・ハンマー――変身ごとに得意な場所が違う
任天堂が「パワーアップ全7種類」として紹介しているのは、
- スーパーマリオ
- ファイアマリオ
- しっぽマリオ
- 無敵マリオ
- タヌキマリオ
- カエルマリオ
- ハンマーマリオ
です。
なかでもカエルマリオは分かりやすい特化型です。
水中では十字ボタンだけで上下左右へ自在に泳ぎ、Aボタンを押せば速度を上げられます。反対に地上では普段のマリオと同じ感覚では動けません。
タヌキマリオはしっぽマリオの能力に加え、地蔵へ変身できます。地蔵になっている間は敵の攻撃を受けません。
ハンマーマリオなら、ハンマーを投げる独自の攻撃が使えます。
どれを取っても「前の変身より全部強い」という作りではありません。
水中ならカエル。
飛行や探索ならしっぽやタヌキ。
攻撃ならハンマーが役立つ場面がある。
そしてマップ上にストックしておけば、どこで使うか自分で決められます。
坂を滑り、甲羅を持ち、走る速さまで攻略に使う
目立つのは変身ですが、通常時の操作も増えています。
Bボタンを押しながら移動すればダッシュ。
Aボタンを長く押せば高くジャンプ。
坂道でしゃがめば、そのまま滑り降りて敵を倒せます。
ノコノコなどの甲羅は持ったまま移動し、好きなところで蹴ったり投げたりできます。
これらが別々の小技として置かれているわけではありません。
長い平地なら加速して飛行へつなげる。
坂なら滑る。
甲羅があれば、直接踏みに行かず離れた敵やブロックへ使える。
水中なら泳ぎ方そのものが変わる。
同じ「右へ進む」コースでも、地形によってマリオへ要求される動きが変わります。
8つのワールドが、同じ操作を別の遊びに変える
ワールドごとの差も、背景の色だけではありません。
最初の草原では坂道が登場し、滑る動きを覚えます。
砂漠には流砂やピラミッド。
海の国では水中で動く時間が増える。
巨大の国では敵やブロックまで大きくなり、普段と距離感が変わる。
空の国では高所の足場やリフト。
氷の国では床が滑る。
土管の国では、土管を出入りしながら進む構造が前面へ出てきます。
マリオの基本操作をワールドごとに全部変更するのではなく、同じ操作のどこを強く使わせるかを変えているのが分かります。
カエルマリオの価値が急に上がる場所もあれば、しっぽで空中へ逃げる選択が強い場所もあります。
だからマップ上のアイテム選びにも意味が出ます。
原作はセーブできない
2026年にFC版を遊ぶうえで、かなり大きい違いです。
1988年の原作には通常セーブがありません。
ゲームオーバーになった場合はコンティニューを選べますが、現在いるワールドの最初から再開します。
それまでに入手していたストックアイテムや開けた扉の状態は残りますが、アクションコースをクリアした記録はリセットされます。
そして電源を切れば、冒険そのものを後日その地点から再開することはできません。
宮本茂氏も後年、『3』についてセーブできないことがプレイヤーのストレスになっていたと振り返っています。電源を入れたままにしていたという話をプレイヤーから聞いたことも明かしています。
後半のワールドまで進むほど、この仕様は重くなります。
笛を使えば途中を飛ばす方法はありますが、それはセーブの代わりではありません。
原作を現在そのまま遊ぶなら、最も分かりやすい弱点の一つです。
最初は横スクロールですらなかった
『3』の開発は、『スーパーマリオブラザーズ2』を終えた1986年春ごろに始まりました。
発売まで約2年半かかっています。
興味深いのは、最初から完成版と同じ横視点だったわけではないことです。
初期には、斜め上からマリオを見下ろすような画面を試していました。
ところがジャンプしたとき、マリオと地面との距離を判断しづらい。
アクションゲームとして遊びにくいため、最終的には従来の横視点へ戻されました。
製品版にある白黒のチェック模様の床などには、その時期の名残が残っていると手塚氏らが説明しています。
完成したゲームだけを見ると当然に思える横スクロールも、制作過程では一度崩してから戻した結果でした。
開発チームは20~30人規模まで増えた
初代『スーパーマリオブラザーズ』は7~8人ほどで開発されました。
『3』では最終的に20~30人ほどまで増えています。
大量のコースを完成させる終盤には「マップ部屋」と呼ばれる場所が設けられ、紙に描かれたマップデータをプログラムへ入力する人員が並んで作業したと、宮本氏らが振り返っています。
だからといって「当時最大級のゲーム開発だった」とまで広げる必要はありません。
分かるのは、初代より明確に人数が増え、8ワールド分の大量のコースを仕上げるため、最後は多数のスタッフがマップ入力まで分担していたことです。
近藤浩治は地上BGMを2曲作って迷っていた
サウンドは近藤浩治氏が担当しています。
近藤氏は『3』の地上BGMについて、なかなか決められず、2曲を候補として作りました。
完成間近になっても決めきれず、宮本氏と手塚氏に2曲を聴いてもらい、どちらを使うか相談したと振り返っています。
音色面でも変化があります。
近藤氏によれば、ファミコンにはメモリーを多く使うサンプル音源があり、以前は容量上なかなか使えませんでした。
『3』ではカートリッジ容量が増えたことで、それをパーカッションやティンパニなどへ活用できるようになりました。
「ファミコン音源の限界を超えた」と持ち上げるより、こうして以前使いにくかった音色を実際に追加できるようになったと見る方が具体的です。
今遊んでも面白いところ
現在でも分かりやすく強いのは、選択肢が増えたのに基本操作が崩れていないところです。
走る。
跳ぶ。
敵を踏む。
これだけなら初代から分かります。
そこへ、
坂を滑る。
甲羅を持つ。
しっぽで攻撃する。
助走して飛ぶ。
落下を遅くする。
水中向けの姿になる。
マップで次の道を選ぶ。
ストックしたアイテムを使ってからコースへ入る。
という行動が加わります。
覚えなければならない巨大なコマンド表が増えるのではなく、今まで使っていたボタンに新しい意味が重なっています。
そしてコースごとに、その中のどれを使うかが変わる。
短いステージを次々クリアするテンポと、変身やマップで攻略方法を変えられる余地がよく噛み合っています。
変身を失ったとき、同じコースの難しさが変わる
パワーアップが攻略方法に強く関わるため、ダメージを受けて変身を失う影響も大きめです。
しっぽマリオなら上空を通れた場所でも、通常のマリオでは地上を進まなければならない。
水中でカエルマリオを失えば、泳ぎの感覚が元に戻る。
ストックアイテムを使えば次の挑戦を有利にできますが、その在庫にも限りがあります。
同じコースでも、
どの状態で入ったか
途中でその状態を維持できたか
によって、難しさと進み方が変わります。
この仕組みが、ワールドマップのアイテム管理とコース内アクションをつないでいます。
現在では厳しいところ
原作で最も大きいのは、やはりセーブです。
8ワールドを進むゲームなのに、電源を切って途中から再開できません。
ゲームオーバー時のコンティニューはあっても、各コースのクリア状態まで完全に保存してくれるわけではない。
後半ではコースそのものも難しくなり、変身を失った状態では苦しくなる場所も増えます。
また、笛などの隠し要素はゲーム内ですべて丁寧に案内されるわけではありません。
隠し場所を自分で探す楽しさはありますが、知らなければ気づきにくい要素もあります。
このあたりまで全部「昔のゲームだから味がある」と処理する必要はないでしょう。
アクションそのものは現在でも扱いやすい。
一方、長時間の進行を保存できないことは明確に古い。
ここは分けて評価できます。
SFC『スーパーマリオコレクション』ではグラフィックとセーブが変わる
1993年にはスーパーファミコンで『スーパーマリオコレクション』が発売されました。
『スーパーマリオブラザーズ』『2』『3』『USA』の4作品を、SFC向けにアレンジして収録したタイトルです。
『3』もFC版をそのまま動かしたものではありません。
グラフィックとサウンドがSFC向けに作り直され、セーブも可能になっています。任天堂の開発者インタビューでも、SFC版ではセーブできるようになったことが振り返られています。
現在はこちらも「スーパーファミコン Nintendo Classics」で遊べます。
原作のFC表現を見たいならFC版。
見た目やセーブを含めてSFC向けに整えられた版を遊びたいなら『スーパーマリオコレクション』。
目的によって選べます。
GBA『スーパーマリオアドバンス4』はさらに追加要素が多い
2003年にはゲームボーイアドバンスで『スーパーマリオアドバンス4』が登場しました。
こちらも『スーパーマリオブラザーズ3』をベースにしたアレンジ版です。
GBA版ではグラフィックやインターフェースなどが変更され、当時はカードeリーダー+を利用した追加コースも展開されました。
現在「ゲームボーイアドバンス Nintendo Classics」で配信されている版では、38の追加コースをすべて遊べます。
そのため、収録内容の多さを重視するなら現在かなり魅力的です。
ただしこれは1988年FC版そのものではありません。
原作を知りたい人と、追加要素までまとめて遊びたい人では選択肢が変わります。
2026年現在、FC版を遊ぶならNintendo Classicsが分かりやすい
2026年8月現在、FC版『スーパーマリオブラザーズ3』は「ファミリーコンピュータ Nintendo Classics」で提供されています。
Nintendo Switch 2とNintendo Switchの両方に対応し、通常のNintendo Switch Online加入で利用できます。
ここで遊べるのはFC版を再現したものです。
さらにNintendo Classics側の機能として、
- どこでもセーブ
- 巻き戻し
- ボタン設定
などを利用できます。
1988年原作には存在しなかった機能ですが、『3』で特に大きかった「電源を切ると進行を保存できない」という問題を大幅に軽くできます。
現在なら、
1988年FC版そのものを遊びたい
→ ファミリーコンピュータ Nintendo Classics
SFC向けに作り直した版を遊びたい
→ スーパーファミコン Nintendo Classicsの『スーパーマリオコレクション』
追加コースまで遊びたい
→ ゲームボーイアドバンス Nintendo Classicsの『スーパーマリオアドバンス4』
という選び方が分かりやすいでしょう。
なおGBA版のNintendo Classicsには「Nintendo Switch Online + 追加パック」が必要です。
まとめ|『3』ではコースへ入る前からマリオをどう動かすか考える
『スーパーマリオブラザーズ3』で、マリオができることは大幅に増えました。
でも、操作が増えたことだけを見ていると、このゲームのおもしろさの半分しか見えません。
しっぽで攻撃する。
走って飛ぶ。
ゆっくり落ちる。
カエルになって泳ぐ。
坂を滑る。
甲羅を持つ。
そのうえでワールドマップへ戻る。
次のルートを見る。
ストックしてあるアイテムを見る。
どれを今使うか考える。
そして、選んだ状態で次のコースへ入る。
「ステージの中をどう攻略するか」に加えて、「そのステージへどういう準備で入るか」までプレイヤーの判断になった。
FC版『スーパーマリオブラザーズ3』を今遊んでも面白く感じる理由は、そこにあります。
セーブできない原作仕様には明確な古さがあります。
それでも現在はNintendo Classicsのどこでもセーブや巻き戻しを利用でき、アクション部分はFC版のまま遊べます。
「歴史的名作だから」ではなく、自分で走り、変身し、ルートとアイテムを選んでみれば、『3』がどんなゲームだったのかは十分に伝わってきます。