
- 初代『ゼルダの伝説』FDS版レビュー|カセット版との違い・今遊ぶ方法も解説
- 初代『ゼルダの伝説』はどんなゲーム?
- 最初は剣すら持っていない
- 盾はボタンを押して構えるものではない
- 地上では、行き先を自分で決める
- ただし、地下迷宮を全部好きな順番で攻略できるわけではない
- 新しいアイテムを取ると、前に見た景色の意味が変わる
- 爆弾で壁を探す楽しさには、ちゃんとコストがある
- ロウソクも「怪しい木を全部燃やせばいい」とはいかない
- 地下迷宮にはちゃんと「マップ」がある
- 鍵をどこで使うかもプレイヤーの判断になる
- 敵によって、同じ剣の振り方では通用しない
- ボス戦も「剣で殴り続ければ終わり」ではない
- 「何も教えてくれないゲーム」ではない
- ディスクシステムだから、冒険を保存できた
- 起動時にはディスクをA面からB面へ裏返す
- クリア後には「裏ゼルダ」が待っている
- 『ゼルダ』は「宝探しの冒険」から始まった
- 実は『スーパーマリオブラザーズ』より先に開発が始まっていた
- 『THE HYRULE FANTASY』はシリーズ名になる可能性もあった
- オープニングでは、直前まで『ボレロ』が使われていた
- FDS版を「3音だけの音楽」と呼ぶと大事な部分が抜ける
- 日本FDS版と海外NES版は、言語以外にも違いがある
- 1994年のカセット版は『ゼルダの伝説1』
- Wii U版はFDS、3DS版はカセット版だった
- マイクで倒せるポルスボイスは、FDS版らしさが残る仕掛け
- 今遊んでも面白いところ
- 2026年に遊ぶと厳しいところ
- 2026年現在はNintendo Switch 2/Switchで遊べる
- まとめ|自由なのは「順番」より、何を試すか
初代『ゼルダの伝説』FDS版レビュー|カセット版との違い・今遊ぶ方法も解説
1986年2月21日。ファミリーコンピュータ ディスクシステムと同じ日に、『ゼルダの伝説』は発売されました。
ゲームを始めたリンクは、まだ剣さえ持っていません。
目の前には洞窟がある。その中へ入って剣を受け取り、外へ出れば、あとは自分で歩き始めます。
北へ行くのか。
東へ行くのか。
洞窟へ入ってみるのか。
敵が強すぎるなら引き返すのか。
地下迷宮を見つけても、今すぐ攻略できるとは限らない。
新しい道具を手に入れたら、以前通った場所へ戻って使ってみる。
『ゼルダの伝説』で長い時間を占めるのは、この繰り返しです。
任天堂が現在も説明している物語上の目的は、大魔王ガノンからゼルダ姫を救うこと。そのために8つへ分けられた「知恵のトライフォース」を集めます。けれども、プレイヤーが実際に考えるのは、もっと目の前の問題です。
この先へ行けるのか。
この壁には何かあるのか。
この道具はどこで使えるのか。
初代『ゼルダ』のおもしろさは、「好きなところへ行ける」という一言より、その試行錯誤の中にあります。
初代『ゼルダの伝説』はどんなゲーム?
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | ゼルダの伝説 |
| パッケージ表記 | THE HYRULE FANTASY ゼルダの伝説 |
| ハード | ファミリーコンピュータ ディスクシステム |
| 発売日 | 1986年2月21日 |
| 発売元 | 任天堂 |
| ジャンル | アクションアドベンチャー |
| プレイ人数 | 1人 |
| 主人公 | リンク |
| セーブ | ディスクカードへ記録 |
| 本編 | 知恵のトライフォース8片を集め、最終迷宮へ |
| クリア後 | 裏ゼルダ |
ディスクシステムは独立したゲーム機ではなく、ファミリーコンピュータへ接続する周辺機器です。『ゼルダの伝説』はその発売日に登場した同時発売タイトルであり、シリーズ第1作でもあります。
最初は剣すら持っていない
ゲーム開始時、リンクが持っているのは盾だけです。
スタート地点の近くにある洞窟へ入ると老人がいて、そこで最初の剣を手に入れます。
Aボタンで剣。
Bボタンにはサブ画面で選んだアイテム。
十字キーで4方向へ移動します。
操作自体はすぐ覚えられますが、剣にはひとつ大きな特徴があります。
LIFEが満タンなら、剣を振ったときに遠距離まで届く攻撃を飛ばせる。
敵に一度でも傷つけられれば使えなくなるため、体力を満タンに保つことがそのまま戦いやすさへつながります。
序盤ほどこの差は大きく、離れた位置から安全に倒せていた敵へ、ダメージを受けた途端に近づかなければならなくなります。
ハートは「あと何発耐えられるか」を示すだけではありません。
攻撃できる距離まで変えます。
盾はボタンを押して構えるものではない
現在の『ゼルダ』シリーズから入ると、盾の使い方にも違いを感じます。
初代では、盾専用のガードボタンはありません。
リンクが剣を振っていない状態で敵の飛び道具に正面を向いていれば、盾が自動的に防いでくれます。
後に手に入るマジカルシールドでは、防げる攻撃の種類が増えます。
つまり、防御するときに必要なのは「盾ボタンを押す」ことではなく、
敵へ向きを合わせること
と
攻撃を欲張らないこと
です。
シンプルな操作ですが、剣を振る瞬間には防御が外れるため、飛び道具を使う敵が増えるほど位置とタイミングが効いてきます。
地上では、行き先を自分で決める
地上は一画面ずつ区切られています。
画面の端まで歩くと、隣接する画面へ切り替わる方式です。
草原。
森。
岩山。
水辺。
墓地。
敵の種類や地形を見ながら、何画面も移動していきます。
現在の3Dゲームでいう「シームレスなオープンワールド」とはまったく違います。
それでも、ステージ1をクリアしたら自動的にステージ2へ送られるゲームでもありません。
分かれ道に来たら、自分で方向を決める。
道が塞がれていれば別方向へ回る。
洞窟を見つけたら入ってみる。
地下迷宮を見つけても、そのまま素通りすることもできます。
地上全体を表示する地図画面はありません。現在位置のおおまかな目安になるレーダーはありますが、どの画面に何があったかは自分で把握していくことになります。
この「覚える」行為が、探索のかなり大きな部分を占めています。
ただし、地下迷宮を全部好きな順番で攻略できるわけではない
初代『ゼルダ』は自由度の高いゲームですが、「8つの地下迷宮を完全に好きな順でクリアできる」とまで言うと実態から離れます。
各迷宮にはLEVELが設定されています。
付属ミニブックでもLEVEL 1の攻略が具体的に案内され、その次にLEVEL 2へ向かうための手掛かりが示されています。迷宮内でも、レベルが高すぎる場所へ早く来てしまったなら出直すことが勧められていました。
また、進行すると新しいアイテムが手に入り、そのアイテムがなければ通れない場所も出てきます。
早い段階からかなり広く歩ける。
いくつかの場所は想定された順序を崩して訪ねられる。
それでも、道具による依存関係や敵の強さがあるため、すべてが無制限というわけではありません。
初代の自由さは、
「順番が存在しない」より、「次に何を試すかをプレイヤーへかなり任せている」
と捉えた方が遊びに近いでしょう。
新しいアイテムを取ると、前に見た景色の意味が変わる
『ゼルダの伝説』では、新しい道具を手に入れるたびにリンク自身のできることが増えます。
爆弾。
ロウソク。
ラフト。
ハシゴ。
ブーメラン。
弓矢。
笛。
マジカルロッド。
それぞれ戦闘用、探索用と完全に分かれているわけでもありません。
たとえば爆弾は敵へダメージを与えられますが、壁へ使えば隠された洞窟や通路を見つけられる場合があります。
ロウソクは火を放つだけでなく、地上の木を燃やして秘密の階段を出現させることがある。
ラフトを入手すると、それまで渡れなかった特定の水辺から先へ進める。
ハシゴなら小さな水路を越えられる。
道具が増えるたび、以前通った画面に新しい使い道が生まれます。
これが地上を歩き直す理由になります。
爆弾で壁を探す楽しさには、ちゃんとコストがある
爆弾は無限には使えません。
初期状態では最大8個まで所持でき、拾ったときの補充数にも限りがあります。後に所持上限を増やす機会はありますが、好きな壁へ無制限に投げ続けられる道具ではありません。
それなのに、爆破できる壁には「ここを壊してください」と大きな印が付いているわけではない。
怪しいと思った場所へ使う。
外れれば爆弾だけ減る。
当たれば洞窟が現れる。
この仕組みは発見した瞬間を気持ちよくする一方で、2026年の感覚ではかなり厳しいところでもあります。
ヒントが少ない場所まで含めて探そうとすると、試行錯誤そのものに有限の資源を使うからです。
ロウソクも「怪しい木を全部燃やせばいい」とはいかない
ロウソクにも違いがあります。
青いロウソクは、一つの画面で一度しか炎を出せません。
赤いロウソクなら同じ画面でも繰り返し使えます。
だから青いロウソクしかない時期に、並んだ木を片っ端から調べようとすると、そのたびに一度隣の画面へ出て戻らなければなりません。
「秘密を見つける楽しさ」という言葉だけでは、この手間は見えません。
何も起きない場所へ何度も道具を試すことまで含めて、初代の探索です。
発見は気持ちいい。
見つからない時間は、かなり長くなることもあります。
地下迷宮にはちゃんと「マップ」がある
初代について「マップが一切存在しない」と説明されることがありますが、これは正しくありません。
地下迷宮にはマップとコンパスがあります。
マップを手に入れると、その迷宮のおおまかな全体形状を把握できるようになる。
コンパスを入手すれば、トライフォースの位置が分かります。
一方で、そこへ至る扉の開け方や隠された通路まですべて教えてくれるわけではありません。
鍵を使う扉。
敵を全滅させると開く扉。
爆弾で抜けられる壁。
暗い部屋。
押せるブロック。
迷宮ごとにそうした要素が組み合わされます。
地図はある。でも答えの地図ではない。
この距離感が初代のダンジョン探索にはよく合っています。
鍵をどこで使うかもプレイヤーの判断になる
通常の鍵は、鍵付き扉を開けると1個消費します。
迷宮内で手に入れた鍵を、目の前の扉へすぐ使うのか。
別ルートを先に確認するのか。
この判断も探索の一部です。
後には何度でも鍵付き扉を開けられるマジカルキーが存在しますが、それを手に入れるまでは鍵の在庫を気にしながら進みます。
一本道の通路を順番に進むだけなら問題になりません。
複数の扉があるからこそ、「どちらから調べるか」が生まれます。
敵によって、同じ剣の振り方では通用しない
操作は移動と剣が中心でも、敵の性質はかなり違います。
オクタロックは離れた位置から岩を飛ばしてくる。
ピーハットは飛行中に攻撃が通らない時間があります。
ゾーラは水面へ現れて弾を撃つ。
タートナックは正面からの剣を盾で防ぐため、横や背後へ回り込む必要があります。
ウォールマスターに捕まれば、ダメージだけでは済まず迷宮入口まで戻されます。
ここまで来ると、敵の攻撃力だけを見るゲームではありません。
誰を先に倒すか。
どこへ立つか。
剣で行くか、Bボタンの道具を使うか。
LIFE満タンの剣ビームを維持できるか。
敵の種類によって動き方を変えます。
ボス戦も「剣で殴り続ければ終わり」ではない
地下迷宮の奥ではボスが待っています。
序盤には剣だけでも理解しやすい相手が登場しますが、進行すると動きや弱点の違いが大きくなっていきます。
何を持っているか。
どこから攻撃するか。
飛んでくる攻撃をどう避けるか。
通常の部屋で集めたハートやルピー、爆弾などもそのまま持ち込むため、迷宮探索とボス戦は切り離されていません。
ボスを倒して知恵のトライフォースの欠片を手に入れるとLIFEが回復し、迷宮から地上へ戻ります。
そこでまた、次の場所を探すことになります。
「何も教えてくれないゲーム」ではない
現在から初代を見ると、説明不足に感じるところは確かにあります。
しかし「プレイヤーを完全に何の説明もなく放り出した」という理解も違います。
ディスクカードにはミニブックが付属していました。
宮本茂氏によれば、その中には操作方法だけでなく、世界を理解するためのストーリー、謎解きのヒント、こうしたアドベンチャーゲームを初めて遊ぶ人のための指南まで入れていました。
実際、LEVEL 1についてはかなり具体的な進め方まで掲載されています。
だからといって、答えを全部読ませる設計でもありません。
地下迷宮の場所。
隠し洞窟。
爆弾を使う壁。
燃やす木。
次に道具を試す場所。
そうした部分は自分で探す余地が大きい。
ヒントは渡す。でも、最後の発見までは渡さない。
初代の難しさを見るなら、この線引きが大切です。
ディスクシステムだから、冒険を保存できた
本作はディスクシステムの書き込み機能を使い、ゲームの進行を保存できます。
最大3人分のプレイヤーデータを作ることができ、アイテムや攻略状況を記録して後日続きを遊べました。
ゲームオーバー時にはそのまま続けることもでき、迷宮内で倒れた場合は迷宮入口から、地上ならスタート地点側から再開します。
途中で終了して保存するための操作も説明書に用意されています。
現在の感覚ではごく普通に見えるセーブですが、1986年の初出版を語るなら、これはFDS版をカセット版と一緒にしてはいけない理由の一つです。任天堂もディスクシステムを、標準的にセーブへ対応できる媒体として説明しています。
起動時にはディスクをA面からB面へ裏返す
FDS版ではディスクカードの両面も使います。
起動時はSIDE Aを読み込み、タイトル画面の後にディスクを取り出してSIDE Bへ裏返してゲームを始めます。
現在の復刻環境では当然この物理操作はありません。
ただし、これは「ディスクを裏返すこと自体が特別な冒険だった」といった思い出話にする必要はないでしょう。
1986年版を実機で遊ぶときに必要だった、ハードウェア上の操作です。
クリア後には「裏ゼルダ」が待っている
8つの知恵のトライフォースをそろえて最後まで到達しても、本作はそこで完全には終わりません。
クリア後には高難度の裏ゼルダを遊べます。
これは敵の攻撃力だけを引き上げたモードではありません。
地下迷宮の構造が変わり、表の世界で覚えた攻略ルートをそのままなぞれないようになっています。『ゲーム&ウオッチ ゼルダの伝説』の公式紹介でも、裏ゼルダではダンジョンが通常版と異なることが明記されています。
誕生の経緯も本人たちから明かされています。
手塚卓志氏が地下迷宮用データを作った際、用意された領域の半分しか使っていないことをプログラマーの中郷俊彦氏が発見。宮本茂氏が残った容量をそのまま生かす判断をし、もう一組の迷宮を作ったことが裏ゼルダにつながりました。
狙って最初から二周分を設計した、という話ではなかったわけです。
『ゼルダ』は「宝探しの冒険」から始まった
宮本茂氏は初代を作るきっかけとして、1980年代に人気だったアドベンチャー映画と、当時PCでRPGへ熱中していた人々の姿を挙げています。
育てたキャラクターについて語り、情報を交換している。
そこまで夢中になれる世界を面白いと感じた。
そこで剣と魔法の世界を舞台に、宝探しを基本にした冒険ゲームを作ることになったと本人が振り返っています。
『インディ・ジョーンズ』についても本人が触れていますが、「それをゲーム化しようとしてゼルダが生まれた」というほど直接的な説明ではありません。
いくつもの当時の興味が重なった中に、アドベンチャー映画もあった。
その程度に置いておくのが自然です。
実は『スーパーマリオブラザーズ』より先に開発が始まっていた
発売順を見ると、
『スーパーマリオブラザーズ』が1985年9月。
『ゼルダの伝説』が1986年2月。
なので『マリオ』の後に次の作品として『ゼルダ』を作ったように見えます。
実際の開発順は逆でした。
宮本氏は、まず『ゼルダ』の制作を始め、その後『スーパーマリオブラザーズ』にも取りかかり、両作を並行して開発したと説明しています。
『ゼルダ』はディスクシステム用だったため、『スーパーマリオ』を先に完成させたという経緯です。
初代の主要クレジットでは、宮本茂氏がプロデューサー/ディレクター、手塚卓志氏がディレクター/デザイナー、近藤浩治氏がサウンドコンポーザーとして参加しています。プログラムには中郷俊彦氏らが名を連ねます。
『THE HYRULE FANTASY』はシリーズ名になる可能性もあった
日本版のパッケージとタイトル画面には、
THE HYRULE FANTASY
という文字があります。
宮本氏によれば、剣と魔法の世界でハイラルを冒険するゲームだから付けた名称。
手塚氏はさらに、今後シリーズとして続けられたらという思いから、「THE HYRULE FANTASY」をシリーズ名にする考えもあったと振り返っています。
では、なぜ第2作以降で使われなくなったのか。
そこは本人たちも明確には覚えていません。
後年『ファイナルファンタジー』が登場したこととの類似もインタビュー中では話題になりますが、あくまでその場で挙がった可能性の一つです。
「FFと似ていたので廃止された」と確定させる話ではありません。
オープニングでは、直前まで『ボレロ』が使われていた
音楽は近藤浩治氏です。
完成直前まで、オープニングにはラヴェルの『ボレロ』をファミコン向けにアレンジしたものが仮使用されていました。
ところが発売直前になって、当時の日本ではまだ著作権保護期間が終わっていないことが判明します。
ディスクシステムの発売日は動かせない。
そこで近藤氏は徹夜でオープニング曲を作りました。
ただし、「有名なゼルダの音楽すべてを一晩でゼロから作った」という話ではありません。
近藤氏自身が、その曲はゲーム内ですでに使っていた音楽のアレンジだったと説明しています。
完成直前に差し替えたのは、オープニング用の曲です。
FDS版を「3音だけの音楽」と呼ぶと大事な部分が抜ける
FDS版の音を、通常のファミコンカセットと完全に同じ条件で説明することもできません。
ディスクシステムには追加音源があります。
近藤氏は後年、通常のファミコンでは3音だったところから、ディスクシステムでは新しい音源を加えて4音を扱えるようになり、その追加音源を主に効果音へ利用したと振り返っています。
任天堂による日本FDS版と海外NES版の直接比較でも、日本版は音源を1つ多く利用できるため、BGMを含むサウンドに違いがあると明記されています。
そのため、
ファミコンの3音だけでゼルダの世界を作った
というまとめ方では、今回対象にしているFDS版固有の音を落としてしまいます。
FDS追加音源は音楽だけでなく、攻撃時などの効果音にも使われました。
音楽と操作の手応え、両方に関係する違いです。
日本FDS版と海外NES版は、言語以外にも違いがある
海外ではFDSが展開されなかったため、『The Legend of Zelda』はNESカートリッジで発売されました。
違うのはメディアだけではありません。
任天堂自身が2021年に比較しており、
- 日本FDS版の方が使用できる音源が1つ多い
- BGM・効果音に違いがある
- フォントの太さが異なる
- 一部地下迷宮では敵配置が異なる
ことを紹介しています。
したがって、日本FDS版のレビューへ海外NES版の映像や仕様をそのまま持ち込むのは避ける必要があります。
1994年のカセット版は『ゼルダの伝説1』
日本でも後にROMカセット版が発売されました。
正式タイトルは、
『ゼルダの伝説1』
発売日は1994年2月19日です。
型番はHVC-ZL、当時価格は4,900円(税別)。
これは1986年FDS版とは別の商品です。
最大の分かりやすい違いはディスクシステム追加音源を使えないこと。
今回の記事で評価している1986年版の音を、そのままカセットで完全再現したものではありません。
後年の復刻でも、この二つが使い分けられたケースがあります。
Wii U版はFDS、3DS版はカセット版だった
過去のバーチャルコンソールも、すべて同じ初代ではありません。
Wii U用『ゼルダの伝説』では、任天堂がはっきり
ディスクシステム版を再現したもの
と説明しています。
一方、ニンテンドー3DSで配信されたのは『ゼルダの伝説1』で、こちらは1994年ファミコンカセット版の再現です。
タイトルが似ているため、中古情報や過去配信履歴だけを見ると混同しやすい部分です。
1986年FDS版を基準に記事を書くなら、区別しておいた方がいいでしょう。
マイクで倒せるポルスボイスは、FDS版らしさが残る仕掛け
大きな耳を持つ敵ポルスボイス。
日本版ではファミコンのコントローラーIIに付いているマイクへ声を出すことで、簡単に倒せます。
ただし、マイクを使わなければ絶対に倒せない敵ではありません。
普通に戦うこともできます。
海外NESでは同じマイクが存在しないため、この部分にも版差が生まれました。
おもしろいのは、Nintendo Switch向けの「ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online」でも、専用ファミコンコントローラーのマイク操作を使ったポルスボイス攻略が公式に再現されていることです。
古いハード固有の仕掛けまで、現在の公式環境に残されています。
今遊んでも面白いところ
初代を現在遊んで最も分かりやすいのは、新しい道具を取った後の変化です。
爆弾を手に入れた。
すると、それまでただの壁だった場所が「爆破できるかもしれない場所」に見えてくる。
ロウソクを取った。
今度は木が気になる。
ラフトを取った。
水辺を見る意味が変わる。
ハシゴを取れば、通れなかった小さな水路が道になる。
この変化が、メニュー上の能力値だけで完結しません。
画面を見る目が変わります。
一度歩いた場所まで再び候補に戻ってくる。
だから地上を探索する意味が続きます。
戦闘操作も複雑ではありません。
剣を振る。
敵の正面を避ける。
盾で飛び道具を受ける。
必要ならBボタンのアイテムを使う。
少ない操作の中で敵ごとの対処が変わります。
そして迷宮へ入れば、同じ戦闘に鍵、マップ、コンパス、隠し通路という別の問題が加わる。
初代の強さは、巨大なシステムを一つ持っていることではなく、歩く、戦う、拾う、覚える、試すという小さな行動が同じ冒険の中でつながっていることです。
2026年に遊ぶと厳しいところ
その探索には、現在ならかなり不親切に感じる部分もあります。
地上全体の地図をゲーム内で開けない。
隠し洞窟の手掛かりが薄い。
有限の爆弾を、何も起こらない壁へ使う場合がある。
青いロウソクでは同じ画面で一度しか炎を出せない。
迷宮でウォールマスターに捕まれば入口へ戻される。
LEVEL表示はあっても、次の目的地をナビゲーションしてはくれない。
ミニブックを前提にしたヒントもある。
どこへ行けばいいか分からなくなったとき、現在のゲームほど簡単に復帰できません。
だから「不親切さこそゼルダのおもしろさ」と美化する必要もありません。
発見したときは気持ちいい。
でも、見つからなければ本当に止まる。
その両方があります。
2026年現在はNintendo Switch 2/Switchで遊べる
現在、初代『ゼルダの伝説』はNintendo Classicsのファミリーコンピュータ向けラインで遊べます。
「ファミリーコンピュータ Nintendo Classics」は、通常のNintendo Switch Online加入で利用でき、Nintendo Switch 2とNintendo Switchの両方に対応しています。Nintendo Classics側には、原作にはなかったどこでもセーブや巻き戻しも用意されています。
日本向けに提供されている『ゼルダの伝説』は、FDS初出の日本版『ゼルダの伝説』を基礎にしたものです。
専用ファミコンコントローラーでは、FDS版由来のポルスボイスとマイクの仕掛けまで再現されています。
ただし任天堂自身も、Nintendo Classicsの各タイトルについて、原作を再現しつつ動作や表現などが異なる場合があると明記しています。
1986年のディスクカードを物理的に裏返すところまで再現する商品ではありません。
遊ぶゲーム内容は初代日本版。
現代側にはセーブステートや巻き戻しなどの補助機能がある。
この理解が一番分かりやすいでしょう。
2021年発売の『ゲーム&ウオッチ ゼルダの伝説』にも、日本FDS版の『ゼルダの伝説』が収録されています。こちらには日本語版と英語版が入り、両者を直接比較することもできます。
現在、新しく遊び始める方法としてはNintendo Classicsが最も手軽です。
まとめ|自由なのは「順番」より、何を試すか
初代『ゼルダの伝説』を「自由なゲーム」と呼ぶこと自体は間違っていません。
ただ、その自由を「全ダンジョンを完全に好きな順番で攻略できる」と考えると少し違います。
LEVELはある。
敵の強さも違う。
前に手に入れた道具が必要になる場所もある。
攻略にはゆるやかな流れがあります。
それでも、地上へ出れば進む方向を自分で決められる。
洞窟を見つける。
迷宮へ入ってみる。
強ければ戻る。
道具を取る。
以前見た壁や木、水辺を思い出す。
戻って試す。
何も起きなければ、また別の場所を探す。
この繰り返しに、初代『ゼルダ』の探索があります。
何も教えないから面白いわけでもありません。
ミニブックはかなり丁寧に入口を教えてくれます。
でも、その先まですべて答えてはくれない。
手掛かりを受け取り、最後は自分で歩いて確かめる。
1986年FDS版を2026年に遊んでも、この部分ははっきり残っています。