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震度とマグニチュードは何が違う?同じ地震でも場所によって震度が変わる理由

目次
  1. 震度とマグニチュードは何が違う?場所によって震度が変わる理由も解説
  2. 結論|マグニチュードは地震全体、震度は場所ごとの揺れ
  3. なぜ同じ地震なのに場所によって震度が違う?
  4. 「震源」と「震央」は同じ場所ではない
  5. 同じ市町村でも震度が違うことはある
  6. 自宅ではものすごく揺れたのに、発表震度が小さいのはなぜ?
  7. 震度は人が「このくらい揺れた」と決めているわけではない
  8. なぜ震度5と6だけ「弱」「強」がある?
  9. なぜ震度7より上はない?
  10. マグニチュードが1違うと地震の規模はどのくらい違う?
  11. マグニチュードが大きければ、必ず震度も大きくなる?
  12. 「最大震度6弱」とは地震全体の震度ではない
  13. マグニチュードには「Mj」と「Mw」がある
  14. マグニチュードがニュースの途中で変わるのはなぜ?
  15. マグニチュードに上限はある?
  16. 震度0は「地震が起きていない」という意味ではない
  17. 震度が同じなら、建物被害も同じになる?
  18. 高層マンションでは「長周期地震動」も見る
  19. 緊急地震速報の「予想震度」と地震後の震度は別
  20. 日本の「震度」は世界共通ではない
  21. 震度が小さければ津波は来ない?
  22. 地震ニュースの数字をこう読むと分かりやすい
  23. まとめ|Mが大きいから震度も大きい、ではない

震度とマグニチュードは何が違う?場所によって震度が変わる理由も解説

震度とマグニチュードの違いを、M7.0の地震と場所ごとに異なる震度で表したアイキャッチ画像

地震のニュースでは、「マグニチュード7.1、最大震度6弱」「震源の深さ50km」といった数字が一度に並びます。

見慣れた言葉ではありますが、よく考えると少し不思議です。

同じ一つの地震なのに、ある街では震度5弱、少し離れた街では震度3になる。マグニチュード7より8の方が大きいのは分かっても、実際にどのくらい違うのかは直感的には分かりません。

「マグニチュードが大きければ、震度も必ず大きくなる?」

「震度7が最大なら、それ以上強い揺れは存在しない?」

「同じ市内なのに震度が違うことはある?」

こうした疑問は、震度とマグニチュードを別々の数字として理解すると整理できます。

最も大きな違いは、

マグニチュードは地震そのものの規模。

震度は、その地震によってある地点がどのくらい揺れたか。

という点です。

ただし実際には、これだけ覚えても「なぜ場所によって震度が変わるのか」までは分かりません。

この記事では2026年9月時点の気象庁などの公的資料をもとに、震度とマグニチュードの違いから、震度7より上がない理由、マグニチュードが1違うとどのくらい規模が変わるのか、高層マンションで発表震度以上に揺れを感じる理由までまとめます。

結論|マグニチュードは地震全体、震度は場所ごとの揺れ

最初に全体像を整理しておきます。

項目震度マグニチュード
表すものある地点での揺れの強さ地震そのものの規模
対象観測地点一つの地震
一つの地震で場所ごとに多数ある地震規模を表す値を求める
場所によって変わるか変わる場所によっては変わらない
日本での表記例震度4、5弱、6強M6.5、M7.1
現在の最大階級震度7震度のような固定上限はない
注意点地盤や建物でも体感が変わるMj、Mwなど複数の算出方式がある

気象庁も、震度を「ある場所における地震による揺れの強さ」、マグニチュードを地震そのものの規模を表すものとして区別しています。

たとえるなら、一つの電球そのものの明るさがマグニチュード、その電球から離れた場所で感じる明るさが震度、というイメージです。

ただし実際の地震では、距離だけでなく地盤や震源の深さ、地下構造なども関係するため、「遠くなるほど一定の割合で震度が下がる」という単純な話ではありません。

震度とマグニチュードの違いを、1つの地震と場所ごとに異なる震度で示した図解

なぜ同じ地震なのに場所によって震度が違う?

一つの地震についてマグニチュードは同じでも、東京で震度3、大阪では震度1、震源に近い地域では震度6弱ということがあります。

最大の理由は、地震波が震源から各地点まで届くまでの条件が場所ごとに違うからです。

震源から離れるほど、基本的には揺れは弱くなる

地震による揺れは、一般には震源から遠ざかるほど弱くなります。

地震調査研究推進本部では、これを「距離減衰」と呼んでいます。震源から離れるにつれて地震波のエネルギーが広がり、揺れが小さくなっていくためです。

そのため、

同じ条件なら、震源に近い地域ほど強く揺れやすい

という基本的な傾向があります。

しかし「近ければ必ず最大震度」というわけではありません。

震源の深さでも変わる

地震には地表近くで起きるものもあれば、地下数百kmという非常に深い場所で発生するものもあります。

浅い場所で起きた地震では、震源周辺に強い揺れが集中することがあります。

一方、非常に深い地震では、地震波が広い範囲へ伝わる場合があります。

代表例が2015年5月30日の小笠原諸島西方沖の地震です。

この地震は、

項目内容
マグニチュードM8.1
深さ682km
最大震度5強

という非常に深い地震でした。

最大震度5強を観測しながら、47都道府県すべてで震度1以上が観測されています。気象庁によると、全国47都道府県すべてで震度1以上を観測したのは、震度観測開始以来初めてでした。

地盤が違えば、同じように届いた地震波でも揺れ方が変わる

同じ地震で、震源からほぼ同じ距離にある地域でも震度が違うことがあります。

その大きな理由の一つが地盤です。

地下深くの比較的硬い地盤から地表へ地震波が伝わるとき、表層の地盤によって揺れが増幅されることがあります。

防災科学技術研究所のJ-SHISでは、地表から深さ30mまでの地盤条件などをもとに「表層地盤増幅率」を示しています。増幅率が1.2の地点と2.4の地点に、他の条件が同じ地震波が入ったと仮定すると、後者では最大速度が前者の約2倍になるという考え方です。

一般には軟らかい地盤で揺れが増幅されやすい傾向があります。

ただし、

「軟弱地盤なら必ず震度が1上がる」

というような固定ルールがあるわけではありません。

地震波にはさまざまな周期が含まれており、地下構造や地震そのものの性質によって揺れ方は変わります。

地震波が通ってくる地下の経路も違う

地震波は地下をまっすぐ均一に伝わってくるわけではありません。

地下には性質の異なる地層やプレートがあります。

特に深い地震では、沈み込んだ海洋プレートの内部を地震波が比較的弱まりにくい状態で伝わり、震央から遠い地域の方が強く揺れることがあります。

これが異常震域です。

気象庁も、深さ100km程度より深い地震では、沈み込むプレートに沿って地震波が伝わりやすく、震源の真上より離れた場所で揺れが大きくなる場合があると説明しています。

つまり、

震源から100kmの街より、200km離れた街の震度が大きい

ということも実際に起こります。

「震源」と「震央」は同じ場所ではない

ここも地震ニュースで混同されやすい言葉です。

震源は、地下で地震の断層破壊が始まった場所。

震央は、その震源の真上にあたる地表上の地点です。

たとえば震源の深さが100kmなら、地図上で震央の位置に立っていても、実際の震源までは約100km離れています。

さらに大きな地震では、断層の破壊は一点で終わりません。

震源はあくまで破壊が始まった場所で、そこから広い断層面へ破壊が進んでいきます。

そのため巨大地震では、

「震央から何km離れているか」

だけでなく、

実際に破壊した断層のどの部分に近かったか

も揺れに影響します。

同じ市町村でも震度が違うことはある

あります。

ニュースで、

「○○市 震度5弱」

と表示されると、市内全域が一様に震度5弱だったように感じます。

実際にはそうではありません。

震度は、市役所などが市全体をまとめて判定する数字ではなく、各地に設置された震度計の観測値です。

気象庁、地方公共団体、防災科学技術研究所が全国各地に震度観測点を設けています。気象庁の資料では2025年1月時点で合計4,368地点が使われており、現在も全国4,000地点以上の観測網によって震度が把握されています。

気象庁自身も、地盤や地形の違いによって同じ市町村でも場所ごとに震度が異なることがあると明記しています。

たとえば同じ市の中でも、

観測点震度
A地区5弱
B地区4
C地区3

ということはあり得ます。

ニュースなどで市町村単位の震度が表示される場合は、その市町村内で観測された最大震度が使われることがあります。

したがって、

「○○市 震度5弱」=○○市のどこでも震度5弱だった

とは限りません。

自宅ではものすごく揺れたのに、発表震度が小さいのはなぜ?

地震が起きたあと、

「どう考えても震度4とは思えなかった」

「マンションの高層階では立っているのが怖いくらい揺れた」

と感じることがあります。

これも不思議ではありません。

気象庁が発表する震度は、原則として地表または低層建物の1階などに設置された震度計の観測値です。

あなたの自宅そのものに震度計が置かれているわけではありません。

さらに中高層建物では、上層階の方が地表より大きく揺れる場合があります。気象庁も、同じ建物でも階や場所によって揺れ方が異なると説明しています。

建物には、それぞれ揺れやすい周期があります。

地震動の周期と建物の特性が合うと、地表で観測された震度以上に、建物の上の階で大きく長く揺れているように感じることがあります。

だからといって、

「20階なら震度が必ず1階級上がる」

というものでもありません。

建物の高さや構造、地盤、地震波の周期などによって変わります。

震度は人が「このくらい揺れた」と決めているわけではない

現在の日本では、震度は機械によって自動観測されています。

かつては人の体感や周囲の状況をもとに震度を決めていましたが、1996年4月以降は計測震度計による自動観測へ完全に移行しました。

計測震度計では、東西、南北、上下方向の加速度を観測します。

ただし、

一瞬だけ最大何galになったか

だけを見て震度を決めるわけではありません。

地震波の周期を考慮した処理を行い、一定以上の揺れがどの程度の時間続いたかも反映したうえで「計測震度」が算出されます。

その計測震度を、普段ニュースで見る震度階級へ変換します。

震度計測震度
00.5未満
10.5以上1.5未満
21.5以上2.5未満
32.5以上3.5未満
43.5以上4.5未満
5弱4.5以上5.0未満
5強5.0以上5.5未満
6弱5.5以上6.0未満
6強6.0以上6.5未満
76.5以上

つまり「震度6弱」という数字の裏には、5.5以上6.0未満という連続した計測震度があります。

なぜ震度5と6だけ「弱」「強」がある?

現在の気象庁震度階級は、

0、1、2、3、4、5弱、5強、6弱、6強、7

の10階級です。

昔からこの形だったわけではありません。

1995年の兵庫県南部地震、いわゆる阪神・淡路大震災の発生当時は、0から7までの8階級でした。

当時の震度5、6は、それぞれの階級の中で実際に起こる現象の幅が大きく、防災対応に利用するには区分が粗いという問題がありました。

そこで1996年10月から、

震度5 → 5弱・5強

震度6 → 6弱・6強

へ細分化されました。

兵庫県南部地震当時は、震度0~6を体感などで観測し、震度7は現地調査によって判定する仕組みでした。

実際、1995年の地震では発生後の調査によって、神戸市や淡路島の一部が震度7だったと判定されています。

その後、震度7も計測震度計で自動的に速報できる現在の方式へ変わりました。

なぜ震度7より上はない?

「震度7が最大」という言い方から、

震度7より強い揺れは物理的に存在しない

と思われることがあります。

そうではありません。

気象庁の仕組みでは、

計測震度6.5以上をすべて「震度7」

としています。

つまり計測震度が、

6.5でも、

6.6でも、

それ以上でも、

発表する震度階級は「7」です。

震度7は揺れの物理的限界ではなく、現在の気象庁震度階級で最上位に設定されている区分ということです。

2026年7月28日の令和8年熊本地震では、熊本県宇城市豊野町で計測震度6.6、氷川町島地で6.5を観測し、どちらも震度7となりました。

同じ震度7でも揺れ方は同じではない

この2026年の地震には、さらに興味深いデータがあります。

観測地点計測震度最大3成分合成加速度
宇城市豊野町6.62437.8gal
氷川町島地6.5747.5gal

どちらも「震度7」ですが、最大加速度には3倍以上の差があります。

これを見ると、

震度=最大加速度そのもの

ではないことも分かります。

短時間だけ非常に大きな加速度が出る揺れと、一定の強い揺れが続く場合では、計測震度が単純に同じ比例関係にはなりません。

気象庁も「震度7は何gal」と一つの数字に置き換えることはできないと説明しています。

マグニチュードが1違うと地震の規模はどのくらい違う?

マグニチュードは、震度のように1ずつ等間隔に強さが増える数字ではありません。

対数尺度です。

気象庁によると、マグニチュードが1大きくなると、地震波として放出されるエネルギーは約32倍

2大きくなると約1,000倍になります。

比較エネルギーの差
M5 → M6約32倍
M6 → M7約32倍
M7 → M8約32倍
M6 → M8約1,000倍
M7 → M9約1,000倍
M4 → M8約100万倍

そのため、

M8はM4の2倍

ではありません。

地震波として放出されるエネルギーで比べれば、およそ100万倍という非常に大きな差になります。

「数字が1しか違わない」ように見えるM7とM8でも、地震規模としては大きな差があります。

マグニチュードが1増えると地震波エネルギーが約32倍になり、M6とM8では約1000倍になることを示した図解

マグニチュードが大きければ、必ず震度も大きくなる?

なりません。

震度は場所ごとの揺れなので、

マグニチュードの大きさだけでは決められない

からです。

実際の地震を比べるとよく分かります。

M6.5でも震度7になることがある

2016年4月14日に熊本県熊本地方で発生した地震は、

M6.5、深さ11km

でした。

熊本県益城町宮園で計測震度6.6、震度7を観測しています。

M6.5でも、浅い地震が近い場所で起きれば、局地的に非常に強く揺れることがあります。

M7.1でも最大震度4だった地震がある

一方、2013年10月26日の福島県沖の地震は、

M7.1、最大震度4

でした。

マグニチュードだけを比べれば、先ほどの熊本県のM6.5より大きい地震です。

それでも最大震度は小さくなっています。

M8.1でも最大震度5強

先ほど紹介した2015年の小笠原諸島西方沖の地震はM8.1でしたが、震源が682kmと非常に深く、最大震度は5強でした。

この3つだけでも、

マグニチュードと最大震度を単純に対応させることはできない

と分かります。

「最大震度6弱」とは地震全体の震度ではない

ニュースで、

「M7.0、最大震度6弱」

といった表記を見ることがあります。

二つは別々の情報です。

M7.0は地震そのものの規模。

最大震度6弱は、その地震で観測された震度の中で最も大きかった階級です。

気象庁も最大震度を「同一の地震により観測された各震度観測点の震度のうち最大のもの」と定義しています。

したがって、一つの地震そのものに「震度6弱」という数字が付いているわけではありません。

最大震度が6弱でも、その周辺には、

5強、

5弱、

4、

3、

といった多数の震度観測点があります。

マグニチュードには「Mj」と「Mw」がある

ここも意外に知られていません。

「マグニチュード」と一言で呼びますが、計算方法は一種類ではありません。

気象庁は主に、

気象庁マグニチュード(Mj)

と、

モーメントマグニチュード(Mw)

を使っています。

気象庁マグニチュード(Mj)

Mjは地震計で観測した地震波の最大振幅などを使い、距離による減衰を補正して求めます。

比較的早く計算できるため、地震直後の情報などに向いています。

また、長期間にわたって同じ考え方で算出されているので、日本の過去の地震活動と比較しやすいという利点があります。

ただし非常に巨大な地震では、実際の規模に対して数字が頭打ちになる「マグニチュード飽和」が起きる場合があります。

モーメントマグニチュード(Mw)

Mwは、断層がどれだけ広い範囲で、どのくらいずれたかなど、地震そのものの断層運動をより物理的に反映する指標です。

巨大地震の規模を表すのに適しています。

一方で、広帯域の地震波形全体を詳しく解析する必要があるため、地震直後に瞬時に決める用途には向きません。

つまり、

MjとMwは、どちらか一方が常に正しく、もう一方が間違っているわけではありません。

目的や地震の規模に応じて使い分けられています。

マグニチュードがニュースの途中で変わるのはなぜ?

地震発生直後に、

「M6.8」

と発表されたあと、

「M7.1に修正」

ということがあります。

これは最初の発表が単純な「誤報」だったという意味ではありません。

地震発生直後に利用できるのは、最初に地震波が到着した限られた観測点のデータです。

時間がたつにつれて、より多くの観測点の波形を利用できるようになります。

震源位置も再計算され、マグニチュードもより適切な値へ更新されます。

2011年の東北地方太平洋沖地震では、気象庁のマグニチュードは、

7.9(Mj)

から始まり、

8.4(Mj)

8.8(Mw)

を経て、

9.0(Mw)

へ更新されました。

巨大地震では特に、地震全体の断層破壊を把握するまで時間が必要です。

マグニチュードに上限はある?

震度には「7」という最上位階級がありますが、マグニチュードには同じ意味での固定上限はありません。

マグニチュードの尺度自体は、震度7のように「ここで打ち止め」と区切られているわけではありません。

ただし、現実の地球には大きさがあります。

地震の規模は、破壊する断層の面積やすべり量などに関係するため、地球上で発生できる地震にも物理的な限界があります。

米国地質調査所(USGS)は現在、M10以上の地震は地球上では発生しないと説明しています。M10を生み出すには地球規模の非常に長い断層が必要になるためです。

観測史上最大の地震は、1960年のチリ地震のMw9.5です。

したがって、

「マグニチュードは数字の上では無限に書ける」

ことと、

「実際の地球でどこまで巨大地震が起こり得るか」

は別の話です。

震度0は「地震が起きていない」という意味ではない

震度0も正式な震度階級です。

計測震度0.5未満が震度0となります。

これは、

地震がなかった

という意味ではありません。

人が感じないほど小さな揺れでも、地震計では記録されることがあります。

一般の地震情報では震度1以上が中心になるため、「震度0」という言葉をニュースで見かける機会が少ないだけです。

震度が同じなら、建物被害も同じになる?

なりません。

気象庁の震度階級関連解説表には、震度ごとに人の体感や建物の状態などが示されています。

しかしこれは、

「震度6弱なら必ずこの被害になる」

という確定表ではありません。

同じ震度でも、

建物の耐震性能、

築年数、

地盤、

地震動の周期、

揺れの継続時間、

家具の固定状況などによって被害は変わります。

気象庁も、震度が同じでも地震動の振幅・周期・継続時間や、建物・地盤の状態によって被害が異なると注意しています。

震度は被害そのものではなく、あくまでその地点で観測した地震動の強さを表す指標です。

高層マンションでは「長周期地震動」も見る

高層ビルでは、通常の震度だけでは揺れを十分に表せない場合があります。

そこで気象庁は、震度とは別に長周期地震動階級を設けています。

階級は1~4です。

通常の震度が比較的短い周期の揺れを中心に評価するのに対して、長周期地震動階級では、高層ビルが大きくゆっくり揺れるような長い周期の地震動を評価します。気象庁は周期1.6秒から7.8秒までの絶対速度応答スペクトルを使って階級を決めています。

2026年7月28日の令和8年熊本地震では、熊本県熊本で長周期地震動階級4が観測されました。

そのため、

「地域の震度は4だったのに、高層階では長く大きく揺れた」

ということもあり得ます。

震度だけですべての建物内の揺れ方を表しているわけではありません。

緊急地震速報の「予想震度」と地震後の震度は別

スマートフォンなどで緊急地震速報が届いた時点では、まだ地震全体の観測は終わっていません。

緊急地震速報は、地震波を最初に検知した少数の観測点から、震源やマグニチュードを急いで推定し、これから各地でどの程度揺れるかを予測します。

そのため予想震度です。

一方、揺れが到達したあとに発表される震度は、震度計が実際に観測した値です。

気象庁は、緊急地震速報の予想震度には±1階級程度の誤差が生じる場合があると説明しています。

つまり、

緊急地震速報の予想震度

実際に観測された震度

その地震の最大震度

は、それぞれ意味が違います。

なお、緊急地震速報そのものの仕組みとは別に、「なぜスマートフォンやテレビの警報音はあれほど緊張する音なのか」については、つぶログの関連記事でも詳しく整理しています。

緊急地震速報の音は、なぜあんなに怖い?「わざと怖く作った」は本当なのか

日本の「震度」は世界共通ではない

マグニチュードは世界の地震研究で広く使われていますが、震度階級は世界で一つに統一されているわけではありません。

日本では気象庁震度階級を使います。

一方、米国などではModified Mercalli Intensity、いわゆるMM震度階が使われることがあります。

MM震度階はI~XIIまであります。

そのため海外ニュースで、

「Intensity VIII」

という表示を見ても、

日本の「震度8」が存在するという意味ではありません。

そもそも日本の気象庁震度階級に震度8はありません。

気象庁も、MM震度階と日本の震度階級は評価方法が異なり、単純な一対一対応は難しいと説明しています。

震度が小さければ津波は来ない?

これも危険な誤解です。

津波は主に海底下の地震によって海底が上下し、それに伴って海水が動かされることで発生します。

そのため津波の有無や規模には、

地震の規模、

震源の場所、

深さ、

断層の動き、

海底がどの程度上下したか

などが関係します。

自分のいる場所の震度だけを見て、津波の有無を判断することはできません。

震度が小さいから津波は来ない

とも、

震度7だから必ず大津波になる

とも言えません。

海の近くで地震が起きた場合は、震度の数字だけではなく、気象庁が発表する津波警報・注意報などを確認する必要があります。

地震ニュースの数字をこう読むと分かりやすい

最後に、地震ニュースで、

「熊本県熊本地方でM7.1、深さ16km、最大震度7」

と表示されたとします。

2026年7月28日の令和8年熊本地震が、実際にこのケースです。

この一文だけでも、数字はそれぞれ違う意味を持っています。

表示意味
熊本県熊本地方震央がある地域
深さ16km地下の震源の深さ
M7.1地震そのものの規模
最大震度7観測地点の中で最も大きかった震度
○○市震度5強その市内の観測点で観測された震度情報
長周期地震動階級4高層ビルなどで問題になる長い周期の揺れの指標

すべて同じ「地震の強さ」を別の言い方で表しているのではありません。

それぞれ、地震の違う側面を見ています。

まとめ|Mが大きいから震度も大きい、ではない

震度とマグニチュードの違いを一言で表すなら、

マグニチュードは地震そのものの規模、震度は場所ごとの揺れの強さ

です。

一つの地震には一つの震央や震源がありますが、震度は観測地点ごとに変わります。

震源からの距離だけでなく、震源の深さ、地盤、地下構造、断層の破壊の広がりなどが違うため、同じ地震でも場所によって震度が変わります。

同じ市町村の中でも、観測地点によって震度が違うことがあります。

また、

震度7は揺れの物理的な上限ではなく、計測震度6.5以上をまとめた最上位階級。

マグニチュードは1増えるだけで、地震波のエネルギーが約32倍。

Mが大きくても震源が深かったり遠かったりすれば、最大震度がそれほど大きくならない場合がある。

逆にM6クラスでも、浅い地震が近くで起きれば震度7になることがある。

この違いが分かると、地震ニュースに出てくる「M7.1」「最大震度6弱」「深さ50km」といった数字を、一つの強さランキングとしてではなく、それぞれ別の情報として読めるようになります。

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