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モバイルバッテリーはどこに捨てる?膨張・破損・リサイクルマークなし・メーカー不明まで整理

目次
  1. モバイルバッテリーの捨て方|膨張・破損・マークなし・メーカー不明はどこへ?
  2. 結論|まず「異常があるか」で分ける
  3. 30秒で分かる|状態別「結局どこへ持っていく?」早見表
  4. 正常なモバイルバッテリーなら、まずJBRCを確認する
  5. リサイクルマークがなくても、JBRCで回収できる場合がある
  6. メーカー不明ならどうする?
  7. JBRC非会員メーカーなら、メーカー独自回収か自治体を確認する
  8. 海外メーカー・海外通販品は「海外製だから不可」とは限らない
  9. 膨張・変形したモバイルバッテリーは回収ボックスへ入れない
  10. 破損・液漏れ・水濡れ・強い衝撃を受けた場合
  11. 家電量販店ならどこでも回収してくれる?
  12. 自治体によって捨て方はかなり違う
  13. 2026年4月1日から何が変わった?
  14. 捨てる前にやること|端子は絶縁、ただし異常品を無理に使い切らない
  15. 分解・穴開け・塩水放電はしない
  16. なぜ普通のごみに混ぜると火災になる?
  17. 火災事故は何件?「3万6760件」と「8935件」は数え方が違う
  18. PSEマークとリサイクルマークは別物
  19. 捨てる前にリコール対象か確認する
  20. ポータブル電源・スマホ・イヤホンも同じ捨て方?
  21. よくある疑問
  22. 最終フローチャート|あなたのモバイルバッテリーはどこへ?
  23. まとめ|「回収ボックスへ」の前に、状態と回収条件を確認する

モバイルバッテリーの捨て方|膨張・破損・マークなし・メーカー不明はどこへ?

正常・膨張・破損したモバイルバッテリーと回収先の違いを示したイラスト

使わなくなったモバイルバッテリーを捨てようとして、困るのは「何ごみなのか」だけではありません。

家電量販店へ持っていけばいいと思ったら断られた。リサイクルマークが見当たらない。メーカー名が読めない。海外通販で買った製品だった。あるいは、すでに本体が膨らんでいる――。

こうなると、「モバイルバッテリーは回収ボックスへ」という説明だけでは処分先を決められません。

しかも2026年4月1日には資源有効利用促進法と関係政令の改正が施行され、モバイルバッテリーそのものが指定再資源化製品に追加されました。一方で、家庭から出す方法が全国一律になったわけではなく、自治体によって回収方法はかなり違います。

この記事では2026年9月現在の環境省、経済産業省、消費者庁、NITE、一般社団法人JBRC、各自治体の案内を基に、正常品だけでなく、膨張・破損・液漏れ・メーカー不明・リサイクルマークなし・海外製まで含めて整理します。

結論|まず「異常があるか」で分ける

最初に見るべきなのは、リサイクルマークではありません。

膨張、変形、破損、液漏れ、水濡れ、異常発熱、異臭、強い衝撃などがあるかを確認してください。

異常のないモバイルバッテリーで、メーカーと電池種類を確認でき、JBRCの回収条件を満たすなら、JBRCの回収協力店・協力自治体が有力な処分先です。

一方、膨張・破損・水濡れなどがあるものは、通常のJBRC回収対象から外れます。メーカー独自の回収方法、または住んでいる自治体が用意する異常品向けの回収方法を確認します。

そして全国どこでも共通して避けたいのが、燃やすごみ、燃やせないごみ、プラスチックなどへほかの家庭ごみと混ぜて出すことです。ただし自治体が「電池類」として専用収集している地域はあります。その場合も普通のごみへ混ぜるのではなく、自治体が指定した分別方法に従います。

30秒で分かる|状態別「結局どこへ持っていく?」早見表

状態まず確認する先注意点
正常・メーカー判明・JBRC対象JBRC回収協力店・協力自治体協力店は店舗単位で事前確認
リサイクルマークなし・メーカー判明・JBRC会員・電池種判明・異常なしJBRC対象になり得るマークがないだけで即対象外ではない
充電できない・寿命と思われるが外観異常なしJBRC条件を確認故障確認のため無理に充電を繰り返さない
メーカー不明自治体JBRCではメーカー不明品は対象外
JBRC非会員メーカーメーカー独自回収→自治体2026年以降も回収方法はメーカーごとに異なる
海外メーカー・海外通販品メーカー・国内輸入元・JBRC会員状況→自治体「海外製=JBRC不可」とは限らない
膨張・変形メーカーまたは自治体の異常品ルート通常のJBRC回収対象外
破損・液漏れ・水濡れメーカーまたは自治体回収ボックスへ自己判断で投入しない
強い衝撃を受けた使用を中止しメーカー・自治体へ確認見た目が正常でも内部損傷の可能性がある
リコール対象メーカーのリコール窓口通常廃棄よりメーカー指示を優先

正常なモバイルバッテリーなら、まずJBRCを確認する

本体が膨らんでいない、割れていない、水に濡れていない。メーカー名も読める――。こうした通常の使用済みモバイルバッテリーなら、まず一般社団法人JBRCの回収対象になるか確認すると整理しやすくなります。

JBRCは、小型充電式電池メーカーや機器メーカー、輸入事業者などの会員企業による回収・再資源化を共同で行っている団体です。全国の「協力店」「協力自治体」などを通じて回収しています。

ただし、JBRCは「充電できる電池なら何でも回収する場所」ではありません。

JBRCで確認するポイントはこの5つ

  • JBRC会員企業が輸入・製造・販売した製品か
  • ニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池のいずれかと確認できるか
  • 破損・水濡れ・膨張・液漏れなどの異常がないか
  • モバイルバッテリーを自分で分解していないか
  • 適切に絶縁して出せる状態か

携帯電話やスマートフォンへの充電を主機能とする一般的なモバイルバッテリーは、本体のまま回収するのがJBRCの扱いです。中のセルを取り出す必要はありません。むしろ、分解すると回収対象外になります。

リサイクルマークがなくても、JBRCで回収できる場合がある

ここは特に誤解しやすいところです。

「リサイクルマークがない=JBRCでは絶対に回収できない」ではありません。

JBRCは、回収対象かどうかをリサイクルマークの有無だけでは判断していません。マークがなくても、JBRC会員メーカー名と、ニカド・ニッケル水素・リチウムイオンのいずれかの電池種類を確認でき、さらに破損や膨張などがないなどの条件を満たせば、回収対象になり得ます。

古い製品など、制度上の表示が始まる前に作られたものにはリサイクルマークが付いていないケースもあります。

したがって見る順番は、「マークがあるか」だけではなく、次のように考える方が正確です。

メーカーを特定できるか → JBRC会員か → 電池種類が分かるか → 膨張・破損などの異常がないか

一方、メーカー名も電池種類も確認できなければ、JBRCの対象品だと判断できません。この場合は自治体へ相談する方が確実です。

メーカー不明ならどうする?

文字が消えてメーカー名を読めない、ノベルティでもらったので出所が分からない、購入履歴も残っていない。

こうしたメーカー不明品はJBRCの回収対象外です。

まず本体の表裏、側面、底面、型番表示、購入履歴などからメーカーや輸入事業者を確認できないか調べます。それでも特定できなければ、居住自治体のモバイルバッテリー・小型充電式電池の処分方法を確認してください。

自治体によってはメーカー不明でも回収しています。たとえば東京都大田区は2026年5月から、膨張・破損・メーカー不明を含む小型充電式電池を専用回収ボックスで受け入れています。

つまり、「メーカー不明だから捨てられない」のではありません。JBRCという回収ルートから外れるので、別の回収先を探すと考えると分かりやすくなります。

JBRC非会員メーカーなら、メーカー独自回収か自治体を確認する

メーカー名が分かっていても、その企業がJBRC会員とは限りません。

JBRC非会員企業の製品は、原則としてJBRCの回収対象外です。

この場合はメーカー公式サイトなどで、使用済みモバイルバッテリーの独自回収を行っていないか確認します。回収制度が見つからなければ、自治体の案内へ進みます。

メーカーがすでに事業を終了している場合も同じです。ブランドや事業を別会社が引き継いでいるケースもあるため、承継先が確認できればその案内を確認し、回収元が見つからなければ自治体へ相談します。

海外メーカー・海外通販品は「海外製だから不可」とは限らない

海外ブランドのモバイルバッテリーも、国名だけで処分先を決めることはできません。

日本国内の輸入事業者などがJBRC会員で、電池種類や状態も条件を満たしていれば、回収対象になる可能性があります。

逆に、海外通販で個人輸入した製品など、日本国内のメーカー・輸入事業者・回収制度を確認できない場合はJBRCルートを利用できないことがあります。

海外品の場合も見る順番は変わりません。

  1. メーカー・ブランド・型番を確認
  2. 日本国内の輸入販売事業者を確認
  3. JBRC会員企業か確認
  4. メーカー独自回収があるか確認
  5. 利用できなければ自治体の回収方法を確認

大阪市の案内でも、輸入品など一部にはリサイクルマークが表示されていない場合があるとされています。マークだけを見て「海外製なので処分不能」と判断する必要はありません。

膨張・変形したモバイルバッテリーは回収ボックスへ入れない

本体のケースが浮いている、厚みが増している、合わせ目が開いている――。こうした膨張・変形が見られる場合は、正常品とは分けて考えます。

JBRCでは、外装が破損・変形・膨張したものを通常の回収対象外としています。

そのため、膨張したモバイルバッテリーを「とりあえず家電量販店の回収ボックスへ入れる」のは避けてください。

メーカーが異常品の回収を案内しているならその方法を確認し、なければ自治体の専用回収を探します。

膨らんだ本体を押して元の形に戻す、ケースへ無理に押し込むといったこともしません。NITEが紹介した事故には、膨張したモバイルバッテリーを押し戻そうとして外力が加わり、内部ショートから発火したと考えられる事例があります。

すぐ処分できないときは、高温や衝撃を避けて長期保管しない

膨張に気付いたら、使用と充電をやめます。残量をゼロにするために使い続ける必要はありません。

直射日光の当たる場所、高温になる車内、暖房器具の近くなどは避け、押しつぶしたり落としたりしないようにします。NITEは膨張したモバイルバッテリーについて、万一の延焼を抑える一時的な対策として金属製容器にふたをする方法も案内しています。

ただし「安全な容器に入れたから何か月も置いてよい」という意味ではありません。自治体やメーカーの受付方法を確認し、できるだけ早く適正な回収先へつなげることが大切です。

破損・液漏れ・水濡れ・強い衝撃を受けた場合

外装が割れている、変形している、液漏れしている、水没・水濡れしたものもJBRCの通常回収対象ではありません。

また、「落としたけれど外見は普通だから大丈夫」とも言い切れません。

NITEは、リチウムイオン電池搭載製品に強い衝撃や圧力を加えないよう注意喚起しています。2024年には、自転車走行中に持ち運んでいたモバイルバッテリーが発火し、調査で内蔵セルに外力が加わった可能性が考えられた事例も紹介されています。

強く落とした、踏んだ、挟んだなど心当たりがあり、その後に発熱、異臭、ケースの浮きなどの異常が出た場合は使用を中止してください。

液漏れ品の持ち込み方は自治体によって異なります。福岡市は、液漏れの恐れがある異常品についてビニール袋へ入れ、指定された有人の資源物回収ボックスへ持ち込むよう案内しています。こうした包装方法を全国共通ルールとはせず、必ず回収先の指示を確認します。

家電量販店ならどこでも回収してくれる?

家電量販店はモバイルバッテリーの有力な回収先ですが、「家電量販店なら全国どの店舗でも何でも引き取る」わけではありません。

同じチェーンでも、JBRC回収協力店として登録されている店舗とそうでない店舗があります。また、店頭に目立つ回収ボックスが置かれておらず、スタッフへ直接声を掛ける方式の店舗もあります。

行く前にJBRCの「協力店・協力自治体検索」で、その店舗が現在も登録されているか確認するのが確実です。

さらに重要なのが、店舗がJBRCルートで回収している場合です。膨張、破損、水濡れ、メーカー不明、JBRC非会員製などはJBRC対象外なので、店舗で断られることがあります。

つまり、店頭で断られても「日本では捨てられない」という意味ではありません。次にメーカー独自回収や自治体の回収方法を確認します。

自治体によって捨て方はかなり違う

家庭から出るリチウムイオン電池等について、国は自治体の分別ルールを確認するよう案内しています。

実際に主要都市を比較すると、回収方法は驚くほど違います。

自治体2026年時点の主な扱い異常品
札幌市モバイルバッテリーは通常のごみステーション不可。正常品はJBRC協力店などへ破損・膨張・液漏れ・マークなしも市指定拠点で回収
横浜市週2回の「電池類」。燃やすごみと同じ収集日だが別袋で排出膨張・破損品は集積場所に出さず、資源循環局事務所へ持込
大阪市環境事業センターでの拠点回収、または申込制の訪問回収膨張・変形品も市が回収
名古屋市「電池類」として週1回収集。リサイクルマークなしも対象最新の市区分を確認。端子の絶縁が必要
福岡市通常品は資源物回収ボックス・小型充電式電池回収ペール缶など膨張・液漏れ・破損品は指定の資源物回収ボックスのみ
東京都大田区2026年5月から専用回収ボックスを設置膨張・破損・メーカー不明も回収対象

この違いを見ると、「モバイルバッテリーは全国共通で○○ごみ」と書けない理由が分かります。

たとえば横浜市では、燃やすごみと同じ日に「電池類」を収集します。しかし、燃やすごみの袋へ混ぜてよいわけではありません。電池類だけを別の透明・半透明袋に入れて出します。

一方、札幌市ではモバイルバッテリー自体をごみステーションへ出せません。

札幌市は膨張・マークなしまで指定拠点で回収

札幌市は2026年9月17日更新の案内で、製品から取り外した電池やモバイルバッテリーについて、ごみステーションには出せないとしています。

リサイクルマークがあり、破損・膨張していないものはJBRC回収協力店へ。

一方で、リサイクルマークがないもの、破損・膨張・液漏れしたものについては、市役所本庁舎、清掃事務所、地区リサイクルセンターなどの指定拠点と、一部の回収協力店で受け入れています。

札幌市は、こうした指定拠点について「取り外した電池やモバイルバッテリーであれば、どのような状態でも回収」と案内しています。

ここで「JBRCはマークなしでも条件次第で回収できるのに、札幌市はマークなしを市の拠点へ案内している」と気付くかもしれません。

これは矛盾ではありません。JBRCの全国的な回収条件と、札幌市が市民向けに設けているローカルな回収導線が違うためです。実際に捨てる際は、その地域の最新案内を優先すると迷いにくくなります。

2026年4月1日から何が変わった?

2026年4月1日、改正資源有効利用促進法と関係政令が施行されました。

大きな変更点の一つが、リチウムイオン電池を容易に取り外せない一体型製品として、次の3品目が指定再資源化製品に追加されたことです。

  • 電源装置(モバイルバッテリー)
  • 携帯電話用装置(スマートフォンなど)
  • 加熱式たばこデバイス

改正では、製造・輸入事業者等による自主回収・再資源化を促進する仕組みが強化され、高い回収目標などを掲げて認定を受けた事業者には、一定の条件下で廃棄物処理法上の業許可を不要とする特例も設けられました。

モバイルバッテリーについては、事業者が自主回収を実効的に行うための基準や、回収目標、表示、市町村との連携なども制度上整理されています。

「メーカーが何でも必ず回収する制度」になったわけではない

ここは制度改正を伝えるニュースだけを見ると誤解しやすいところです。

2026年4月以降も、消費者が持ち込む場所や方法が全国一律になったわけではありません。

消費者庁も、モバイルバッテリーなどについてメーカーが実施する回収方法の利用を検討するよう案内する一方、「対応はメーカーなどによって異なる」としています。

したがって、制度改正後も実際の処分では、JBRC、メーカー独自回収、自治体回収を製品や状態に応じて使い分けます。

捨てる前にやること|端子は絶縁、ただし異常品を無理に使い切らない

モバイルバッテリーを出す前の処置も、「全部同じ」ではありません。

金属端子はテープで絶縁する

JBRCは、ショート防止のため金属端子部を絶縁テープで絶縁するよう案内しています。横浜市、名古屋市、福岡市なども、電池を出す際に端子部分への絶縁を求めています。

モバイルバッテリーは形状がさまざまなので、「どこをどう覆うか分からない」という場合は、回収先の案内を確認してください。少なくとも露出している導電部がほかの金属と接触して短絡しない状態にします。

正常品なら、可能な範囲で残量を減らす

環境省の自治体向け対策集では、完全放電されたリチウム蓄電池は電池単体での発火リスクが低い一方、最近の電池は自然放電しにくく、消費者が完全放電させるのは難しいと整理されています。

そのため、正常に動作する製品については「機器が動かなくなる程度まで使ってから出す」といった案内は合理的です。横浜市や札幌市なども、可能な範囲で使い切るよう案内しています。

ただし、膨張、異常発熱、異臭、破損などがあるものは別です。

残量を減らすために充電と放電を繰り返したり、異常な製品を使い続けたりしないでください。異常を感じた時点で使用を中止し、回収先を確認します。

分解・穴開け・塩水放電はしない

処分方法を検索すると、「中のセルだけ取り出す」「膨張した部分へ穴を開ける」「塩水へ浸して完全放電する」といった方法が見つかることがあります。

家庭で行う処分方法として、これらは採用しない方が安全です。

  • モバイルバッテリーを分解してセルを取り出さない
  • ケースを切ったり穴を開けたりしない
  • 膨張した本体を押しつぶさない
  • 曲げたり強い圧力をかけたりしない
  • 異常品を無理に放電させない
  • 水や塩水へ浸して放電しない

JBRCは、電池パックから解体された電池、水没・塩水浸漬した電池、液漏れ品などを回収対象外としています。

環境省の対策集でも、水に浸ける方法について、水の電気分解による水素の発生や、水がアルカリ性へ変化することがあるため、放電方法として推奨していません。

「自分で安全な状態にしてから捨てよう」と加工するより、そのままの状態で受け入れられる自治体やメーカーのルートを探す方が安全です。

なぜ普通のごみに混ぜると火災になる?

リチウムイオン電池は、小さく軽い一方で多くのエネルギーを蓄えられるため、スマートフォンやモバイルバッテリーなどに広く使われています。

問題は、捨てた後です。

普通の家庭ごみに混ざると、ごみ収集車で圧縮されたり、処理施設で破砕・選別されたりします。その際に電池へ強い圧力や衝撃が加わると、内部が損傷して正極と負極が短絡し、急激に発熱することがあります。

さらに、電池内部には可燃性の有機溶媒が使われています。電池自体が発火しなくても、損傷箇所などから可燃性物質が出て、破砕工程の火花などが着火源になる可能性もあります。

誤った分別 → 収集車で圧縮・処理施設で破砕 → 電池内部が損傷 → 内部短絡・発熱 → 発煙・発火 → 周囲のごみへ延焼

「燃やせないごみなら燃やさないから大丈夫」という話ではありません。処理工程で潰したり砕いたりすること自体が発火のきっかけになります。

火災事故は何件?「3万6760件」と「8935件」は数え方が違う

リチウムイオン電池のごみ処理事故については、非常に大きな数字が報じられることがあります。

ただし「火災件数」と一括りにすると、実態を誤解します。

環境省が2026年7月3日の関係省庁連絡会議で示した2025年度の暫定値では、廃棄物処理時にリチウムイオン電池等が原因と疑われる発煙・発火を含む発生件数が36,760件でした。

そのうち、「出火し、職員が手動で消火」と「出火し、消防隊が消火」を合計した件数は8,935件です。

しかも2025年度分は、2026年6月10日時点で調査回収率88.3%の暫定値。今後の精査で数字が変わる可能性があると明記されています。

数字期間・調査何を数えたものか
36,760件2025年度・環境省調査の暫定値火花・煙、発火、自動消火、手動消火などを含む広い「火災事故等」
8,935件同じ2025年度暫定調査職員が手動で消火したもの+消防隊が消火したもの
23,068件2024年度発煙・発火を含む広い発生件数
9,923件2024年度職員による手動消火+消防隊による消火
2,140件2021~2025年・NITEリチウムイオン電池搭載製品の製品事故。ごみ処理事故とは別集計

NITEの2,140件には、重大製品事故だけでなく非重大製品事故や、調査中・原因未特定でもリチウムイオン電池が関係した可能性がある事故が含まれます。NITEによると、この5年間では製品別でモバイルバッテリーの事故が最も多くなっています。

さらに消防庁が別に集計している「火災」では、暦年や消防機関が把握した火災など別の定義が使われます。

つまり、36,760件と2,140件などを同じ種類の事故件数として比べたり、足したりすることはできません。この記事で数字を分けているのはそのためです。

PSEマークとリサイクルマークは別物

モバイルバッテリーには、PSEマークとリサイクルマークが表示されていることがあります。

似たような「確認マーク」に見えますが、意味は別です。

PSEマークリサイクルマーク
主な意味電気用品安全法に基づく安全規制の表示充電式電池の種類や分別回収を識別する表示
捨て方を直接決める?決めない手掛かりにはなるが、JBRC回収可否の唯一の条件ではない
PSEがあればJBRCで回収?いいえ。JBRC会員、電池種類、状態などを別に確認する
リサイクルマークがないとJBRC不可?いいえ。メーカー名・電池種などの条件を満たせば対象になり得る

PSEマークは「どこへ捨てるか」を示すマークではありません。

また、PSE規制には対象範囲の条件もあるため、表示だけを見て個々の製品が違法品かどうかを即断するのも避けた方がよいでしょう。

今回の処分先を決めるうえで重要なのは、PSEの有無より、メーカー、JBRC会員状況、電池種類、製品状態、自治体の回収ルールです。

捨てる前にリコール対象か確認する

メーカー名と型番を確認できるなら、処分前にリコール情報も一度確認しておく価値があります。

モバイルバッテリーやリチウム電池内蔵充電器では、発火のおそれなどを理由にメーカーが回収、交換、返金などを行うケースがあります。

2026年にも、消費者庁の重大製品事故公表には、すでにリコールが行われているリチウム電池内蔵充電器による火災が複数掲載されています。

NITEも2025年の事故事例として、後から確認するとリコール対象だったモバイルバッテリーの火災を紹介しています。

リコール対象なら、通常のごみ処分を先に進めるのではなく、メーカーが指定している回収・交換・返金方法を確認してください。

ポータブル電源・スマホ・イヤホンも同じ捨て方?

リチウムイオン電池を使っていても、すべてがモバイルバッテリーと同じ回収区分になるわけではありません。

製品注意点
モバイルバッテリーJBRCでは条件を満たす製品を本体のまま回収
ポータブル電源AC100V出力付きはJBRC対象外。メーカー・自治体を確認
スマートフォン無理に分解して電池を取り出さず、メーカー・通信会社・自治体等の回収方法を確認
ワイヤレスイヤホン・ハンディファン内蔵電池を無理に外さず、自治体の小型家電等の区分を確認
電動アシスト自転車用バッテリー販売店・JBRC対象条件など別ルートを確認
乾電池・リチウム一次電池・ボタン電池・コイン電池JBRCの小型充電式電池回収とは別制度

特にポータブル電源は、「大きなモバイルバッテリー」と考えてJBRCの回収協力店へ持ち込むのは避けます。JBRCではAC100V出力付きのポータブル電源を対象外としています。

よくある疑問

充電できなくなったモバイルバッテリーも回収できる?

単に寿命で充電できなくなっただけで、膨張・破損・水濡れなどの異常がなければ、メーカーや電池種類などJBRCの条件を確認します。「充電できないこと」自体は、JBRCが示す破損・膨張等の除外条件とは別です。

リサイクルマークがないと捨てられない?

捨てられます。JBRCでも、会員メーカー名と電池種類が確認でき、状態などの条件を満たせば回収対象になり得ます。JBRC対象にならなくても、自治体が回収している地域があります。

メーカーが分からない場合は?

JBRCではメーカー不明品は対象外です。自治体の小型充電式電池・モバイルバッテリー回収を確認してください。大田区のようにメーカー不明を明示的に受け入れている自治体もあります。

膨張しているけれど、家電量販店へ持っていけばいい?

通常のJBRC回収には出せません。店舗独自または自治体独自の異常品回収を行っている場合はありますが、事前確認が必要です。自己判断で回収ボックスへ投入しないでください。

端子はテープで覆った方がいい?

JBRCや複数自治体は、短絡防止のため金属端子部の絶縁を求めています。具体的な処置は回収先の指示も確認してください。

完全に0%まで放電しないと捨てられない?

正常品は可能な範囲で残量を減らすことに意味がありますが、家庭で完全放電させるのは難しい場合があります。まして膨張・異常発熱・異臭などがある製品を、0%にする目的で使い続けたり充放電したりしないでください。

塩水につければ安全になる?

環境省は、水へ浸ける放電方法について、水素が発生するおそれや水がアルカリ性になることから推奨していません。JBRCでも水没・塩水浸漬した電池は通常回収の対象外です。

近所にJBRC協力店がない場合は?

JBRC協力自治体、メーカー独自回収、居住自治体の小型充電式電池回収を確認します。「近所に協力店がない=普通のごみへ出す」にはなりません。

最終フローチャート|あなたのモバイルバッテリーはどこへ?

モバイルバッテリーを処分したい

メーカー・型番が分かるならリコール対象か確認

膨張・変形・破損・液漏れ・水濡れ・異常発熱・異臭・強い衝撃がある?

├─ ある
→ 使用・充電を中止
→ 通常のJBRC回収には入れない
→ メーカーの異常品回収、または自治体の指定方法を確認

└─ ない

メーカーを特定できる?

├─ できない
→ 自治体の回収方法を確認

└─ できる

JBRC会員企業?

├─ 会員

電池種類を確認できる?
├─ できる → JBRC協力店・協力自治体を検索
└─ できない → メーカーまたは自治体へ確認

└─ 非会員

メーカー独自回収あり?
├─ ある → メーカー指定方法へ
└─ ない → 自治体の回収方法を確認

まとめ|「回収ボックスへ」の前に、状態と回収条件を確認する

モバイルバッテリーの捨て方で一番大切なのは、「燃やせないごみに出す」「近所の家電量販店へ持って行く」といった一つの方法を全国共通ルールだと思わないことです。

正常品なら、メーカー、JBRC会員状況、電池種類を確認し、JBRCの回収協力店や協力自治体を探すのが分かりやすい入口になります。

リサイクルマークがなくても、それだけでJBRC対象外とは限りません。

一方、膨張・破損・液漏れ・水濡れなどがあるものは、通常のJBRC回収へ持ち込まず、メーカーまたは自治体の異常品向け回収を確認します。メーカー不明やJBRC非会員製品も、自治体側で回収ルートが用意されている場合があります。

2026年4月からはモバイルバッテリーそのものが指定再資源化製品に追加され、メーカー等による自主回収・再資源化の制度も強化されました。ただし、消費者の処分方法が全国一律になったわけではありません。

迷ったときは、次の順で確認すれば判断しやすくなります。

異常の有無 → メーカーを特定 → JBRC会員か確認 → メーカー独自回収を確認 → 最後は居住自治体の最新ルールを確認

そして、膨張したものを押し戻す、分解する、穴を開ける、塩水につけるといった自己流の処理はしません。

普通のモバイルバッテリーより処分先を探すのが難しいのは、まさに「膨らんだ」「メーカーが分からない」「マークがない」「海外通販品だった」というケースです。そういうときほど、回収ボックスへ無理に入れるのではなく、状態に合った回収ルートを選ぶことが安全な処分につながります。

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