- 日銀利上げなのになぜ日経平均は882円高?TOPIX下落の理由
- 日銀が利上げしたのに日経平均は882円高、でも「全面高」ではなかった
- 882円高のすべてが「日銀利上げ後」に起きたわけではない
- 朝から500円高だった理由は前日の米国株と半導体株
- 日銀発表後になぜさらに上がった?利上げは「予想通り」だった
- 利上げ後に円安へ動いたことも日経平均を支えた
- 日経平均を押し上げたのは一部のAI・半導体株だった
- なぜ少数の銘柄だけで日経平均が大きく動く?
- ではTOPIXはなぜ下がった?日経平均とは仕組みが違う
- 値下がり1003銘柄なのに日経平均が上がるのはおかしくない
- 「日経平均が上がったのに自分の株は下がった」のも不思議ではない
- 利上げなのに銀行株も下がったのはなぜ?
- 「利上げ=株安」は間違い?長期的な影響と当日の値動きは別
- 植田総裁会見は「882円高の理由」には入れられない
- 今後の株価はどうなる?見るべき材料は一つではない
- まとめ|882円高でも「日本株全体が上がった」わけではない
日銀利上げなのになぜ日経平均は882円高?TOPIX下落の理由

日銀が政策金利を引き上げた2026年9月18日、日経平均株価は前日比882円70銭高の6万5018円95銭で取引を終えました。
「金利が上がれば企業の負担が増えるのだから、普通は株安になるのでは?」と感じるところですが、この日はむしろ大幅高です。
ところが、もう一つ数字を見ると印象が変わります。TOPIXは0.07%安。東証プライムでは大引け後の集計で値上がり511銘柄に対し、値下がりは1003銘柄でした。
つまり、9月18日は「日本株全体が大きく上がった日」ではありません。
朝から米国のAI・半導体株高を受けて一部の大型株が強く、日銀発表後には予想通りの利上げで重要イベントを通過した安心感や円安も加わりました。さらに、日経平均への影響が大きいアドバンテストや東京エレクトロンなどが急伸。その結果、多数の銘柄が下がっているのに日経平均だけが大きく上昇するという、かなり偏った相場になりました。
9月18日のポイントを先に整理
・日経平均:6万5018円95銭、前日比+882円70銭(+1.38%)
・TOPIX:4091.14、前日比-3.05ポイント(-0.07%)
・東証プライム:値上がり511/値下がり1003/変わらず40
・前場ですでに日経平均は+525円86銭
・日銀発表後、一時+1300円32銭まで上昇
・日経平均のプラス寄与上位5銘柄だけで約889円を押し上げた
日銀が利上げしたのに日経平均は882円高、でも「全面高」ではなかった
まず、9月18日の終値を並べてみます。
| 項目 | 9月18日 | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 6万5018円95銭 | +882円70銭(+1.38%) |
| TOPIX | 4091.14 | -3.05ポイント(-0.07%) |
| 東証プライム値上がり | 511銘柄 | 全体の約3分の1 |
| 東証プライム値下がり | 1003銘柄 | 値上がりのほぼ2倍 |
日経平均だけを見るとかなり強い相場です。しかしTOPIXは小幅ながら下落し、個別株では値下がりが圧倒的に多くなりました。
「ニュースでは株価が882円も上がったと言っているのに、自分が持っている株は下がった」という人がいても、まったく不思議ではない一日だったわけです。
882円高のすべてが「日銀利上げ後」に起きたわけではない
まず切り分けたいのが時間です。
日銀の金融政策が発表されたのは午前の取引が終わった後ですが、日経平均はその前からすでに大きく上昇していました。
| 時間 | 日経平均 | 主な動き |
|---|---|---|
| 9:00 | 6万4681円55銭 | 前日比+545円30銭でスタート。前夜の米国株・半導体株高を引き継ぐ |
| 11:30 | 6万4662円11銭 | 前場ですでに+525円86銭 |
| 11:54ごろ | ― | 日銀が政策金利を1.00%程度から1.25%程度へ引き上げ |
| 後場 | 上げ幅1000円超へ | 予想通りの利上げ、イベント通過、円安などを材料に上げ幅拡大 |
| 12:49 | 6万5436円57銭 | 日中高値、+1300円32銭 |
| 15:30 | 6万5018円95銭 | +882円70銭で大引け。高値からは上げ幅縮小 |
| 15:30~ | 現物市場は終了 | 植田和男総裁の記者会見が開始 |
この時系列を見ると、日経平均の882円高をすべて「日銀が利上げしたから」と説明できないことが分かります。
前場だけで500円以上上がっていたためです。
朝から500円高だった理由は前日の米国株と半導体株
東京市場が始まる前から株高の土台を作っていたのが、前日の米国市場でした。
9月17日の米国株は、NYダウが0.62%高、S&P500が1.14%高、NASDAQ総合指数が1.69%高。特にテクノロジー株が強く、半導体株で構成されるSOX指数も3%を超えて上昇しました。
米長期金利が前日の高水準から低下し、原油価格も上昇が一服。金利やインフレへの警戒がやや和らいだことも、米国のハイテク株を支えました。
その流れを受け、東京市場でも朝からアドバンテストや東京エレクトロンなどAI・半導体関連に買いが入りました。
つまり9月18日の株高は、日銀の結果が出る前から始まっていたのです。
日銀発表後になぜさらに上がった?利上げは「予想通り」だった
日銀は9月18日、政策金利を1.00%程度から1.25%程度へ0.25ポイント引き上げました。
一般論では金利上昇は株価の重荷になり得ます。企業の借入コストが増え、債券など金利商品の魅力が高まり、将来利益を現在の価値へ割り引く際にも株式の評価を押し下げやすくなるためです。
それでも今回は、0.25ポイントの利上げが事前にかなり予想されていました。
金融市場でいう「織り込み済み」とは、正式発表の前から多くの投資家がその結果を予想し、すでに株や為替などの価格に反映している状態です。
そのため、予想通り1.25%になっても「突然、新しい悪材料が出た」という反応にはなりにくくなります。
むしろ今回、市場が警戒していたほど急速な金融引き締めではないとの見方が広がりました。
採決は賛成7、反対2。しかも反対した2人は「もっと大幅に上げるべき」と主張したのではなく、今回の利上げ自体に慎重な立場でした。
大幅利上げなど想定以上に厳しい結果ではなかったこともあり、後場には「重要イベントを無難に通過した」と受け止める買いが入り、日経平均は一時1300円超高まで上げ幅を広げました。
利上げ後に円安へ動いたことも日経平均を支えた
もう一つ株式市場で意識されたのが為替です。
日銀が利上げを決めたにもかかわらず、外国為替市場では円が売られ、ドル円は157円台まで円安方向へ動きました。
円安は海外で稼ぐ企業の円換算利益を押し上げる方向に働くことがあり、輸出企業や海外売上比率の高い企業には株価の支援材料として意識されます。
ただし、円安なら日本株が全部上がるわけではありません。9月18日も自動車や商社を含め、下落した大型株は多数ありました。
なぜ「利上げ=円高」にならず157円台まで円安が進んだのかは、つぶログの「日銀が利上げしたのになぜ円安?政策金利1.25%でも一時1ドル157円台へ動いた理由」で詳しく整理しています。
日経平均を押し上げたのは一部のAI・半導体株だった
この日の「日経平均882円高」を理解するうえで最も分かりやすいのが、銘柄ごとの指数寄与度です。
大引け時点のプラス寄与上位を見ると、かなり極端な偏りがありました。
| 銘柄 | 日経平均へのプラス寄与度 |
|---|---|
| アドバンテスト | +436.86円 |
| 東京エレクトロン | +215.21円 |
| キオクシアホールディングス | +110.05円 |
| イビデン | +72.41円 |
| ソフトバンクグループ | +54.71円 |
| 上位5銘柄合計 | 約+889円 |
日経平均全体の上昇は882円70銭です。
つまり、プラス寄与上位5銘柄だけで、その日の上昇幅全体を上回る約889円を押し上げていたことになります。
中でもアドバンテストだけで約437円。日経平均が大幅高になったからといって、225銘柄がそろって大きく上昇したわけではありません。
なぜ少数の銘柄だけで日経平均が大きく動く?
理由は日経平均の作り方にあります。
日経平均株価は、東京証券取引所プライム市場から選ばれた225銘柄の株価を使って計算する株価平均型の指数です。
単純に「会社の大きさに比例して指数への影響が決まる」仕組みではありません。採用株価や株価換算係数などによってウエートが決まり、指数への影響が大きい銘柄があります。
そのためアドバンテストや東京エレクトロンのような影響力の大きい銘柄が一日に数%動けば、ほかの多くの銘柄が下がっていても日経平均全体を強く押し上げることがあります。
9月18日は、まさにその特徴が極端な形で表れた日でした。
ではTOPIXはなぜ下がった?日経平均とは仕組みが違う
一方、TOPIXは日本株市場を広くカバーする浮動株時価総額加重型の指数です。
市場で実際に流通する株式をもとにした時価総額の大きさを反映するため、日経平均とは銘柄ごとの影響の出方が違います。
| 指数 | 特徴 | 9月18日の見え方 |
|---|---|---|
| 日経平均 | 225銘柄の株価平均型。一部のウエートの高い銘柄から大きな影響を受ける | 半導体・AI関連の急伸で+1.38% |
| TOPIX | 日本株を広範にカバーする浮動株時価総額加重型 | 幅広い銘柄の下落を反映し-0.07% |
9月18日の東証33業種を見ると、上昇したのはわずか7業種。残る26業種は下落しました。
上昇率上位には非鉄金属、電気機器、金属製品などが並んだ一方、電気・ガス、石油・石炭、水産・農林、海運、不動産など幅広い業種が下落しています。
つまり「一部の半導体・AI関連は非常に強いが、市場全体では売られている銘柄の方が多い」という中身が、TOPIXの小幅安にも表れています。
値下がり1003銘柄なのに日経平均が上がるのはおかしくない
ここまでを一本につなげると、9月18日の市場はかなり分かりやすくなります。
① 前夜の米国半導体株が大幅高
② 東京でもアドバンテストなどへ買いが集中
③ 日銀の利上げは予想通りで、発表後も一部大型株の買いが続く
④ 日経平均への寄与上位5銘柄だけで約889円押し上げ
⑤ 一方、市場全体では値下がり1003銘柄、33業種中26業種安
→ 日経平均は+882円でも、TOPIXは下落
日経平均は「上がった銘柄数」と「下がった銘柄数」を投票のように数えて決める指数ではありません。
そのため、1000銘柄以上が値下がりしていても、一部の影響力が大きい銘柄が強く上昇すれば、日経平均は大幅高になることがあります。
「日経平均が上がったのに自分の株は下がった」のも不思議ではない
ニュースで「日経平均882円高」と聞くと、日本株がほぼ全面高だったように感じるかもしれません。
しかし9月18日は正反対に近く、値下がり銘柄数が値上がりの約2倍でした。
トヨタ自動車、任天堂、ソニーグループ、KDDI、日本郵船なども軟調。日経平均を大きく押し上げた半導体株を持っていなければ、「指数のニュースと自分の保有株の感覚が全然違う」ということは十分に起こり得ます。
市場全体の広がりを見るときは、日経平均だけでなくTOPIX、値上がり・値下がり銘柄数、業種別の騰落も合わせて見ると、その日の相場の中身が分かりやすくなります。
利上げなのに銀行株も下がったのはなぜ?
もう一つ不思議に見えるのが銀行株です。
一般に金利上昇は銀行の貸出金利や利ざや改善につながる可能性があるため、「日銀が利上げしたなら銀行株は上がるのでは」と考えたくなります。
しかし9月18日は三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループがいずれも下落しました。
市場では、今回の利上げ観測を先回りして銀行株が買われていた反動から利益確定売りが出たとの分析や、今後の金利の上がり方が想定ほど急ではないとの見方などが挙げられています。
銀行株も「利上げの日なら必ず上がる」わけではありません。ここでも重要なのは、発表された事実そのものだけでなく、それが事前予想と比べてどうだったかです。
「利上げ=株安」は間違い?長期的な影響と当日の値動きは別
金利上昇が株式市場の重荷になり得る、という一般論が間違っているわけではありません。
利上げが続けば、企業の借入コストが増えたり、債券などの利回りが高くなって株式の相対的な魅力が下がったりする可能性があります。将来の利益への期待で評価されやすい成長株ほど、金利上昇の影響を受けやすいとされることもあります。
それでも「利上げを発表した日は必ず株安」ではありません。
株価は同時に、利上げ幅、事前予想、今後の金利見通し、為替、企業業績、海外株、原油価格、投資家の持ち高など多くの材料を織り込んで動きます。
9月18日は、金利上昇という株価の重荷になり得る材料よりも、前夜の米ハイテク株高、半導体株への買い、予想通りの日銀決定、円安などの影響が日経平均では強く表れました。
植田総裁会見は「882円高の理由」には入れられない
9月18日は15時30分から植田和男総裁の記者会見も行われました。
ただし、東京証券取引所の現物市場も15時30分で終了しています。
そのため、植田総裁の会見内容を「この日の日経平均が882円上がった理由」として後から加えることはできません。
ロイターの会見速報によると、植田総裁は今後の物価動向によっては大幅な利上げや連続した利上げを含め柔軟に判断する考えを示す一方、中立金利や最終的な政策金利の水準には不確実性があるとの認識も示しました。
これらの発言は、18日の日中相場の理由ではなく、現物市場終了後に新しく加わった次の取引日の材料として分けて見る必要があります。
今後の株価はどうなる?見るべき材料は一つではない
日経平均が6万5000円台へ上昇したからといって、ここから上昇が続くと決まったわけではありません。逆に、追加利上げがあるから次は下落すると決まっているわけでもありません。
今後は日銀の次の利上げ時期だけでなく、ドル円、米国の金利とハイテク株、AI・半導体関連企業の業績、原油価格など複数の材料が影響します。
今回のように一部の銘柄だけが指数を強く押し上げている場合は、日経平均の数字だけで市場全体の強さを判断しないこともポイントです。
まとめ|882円高でも「日本株全体が上がった」わけではない
2026年9月18日、日銀は政策金利を1.00%程度から1.25%程度へ引き上げましたが、日経平均は前日比882円70銭高の6万5018円95銭まで上昇しました。
ただし、この日の上昇を「日銀が利上げしたから株高になった」と一言で説明することはできません。
朝から前日の米国株・半導体株高を受けて500円以上上昇し、日銀発表後は予想通りの利上げによるイベント通過の安心感や円安も加わりました。
そして何より大きかったのが、アドバンテスト、東京エレクトロンなど日経平均への影響が大きい一部銘柄の急伸です。プラス寄与上位5銘柄だけで約889円を押し上げ、日経平均全体の上昇幅を上回りました。
その裏側では、TOPIXは0.07%安、東証プライムの値下がりは1003銘柄、33業種中26業種が下落しています。
つまり9月18日は、「日本株全体が大幅高」ではなく、「一部のAI・半導体株が日経平均を強烈に押し上げた一方、幅広い銘柄はむしろ弱かった日」と見る方が実態に近い相場でした。
「日経平均が上がったのに自分の株はなぜ下がった?」と感じたときは、日経平均の数字だけでなくTOPIXや騰落銘柄数まで確認すると、その日の市場で本当に何が起きていたのかが見えやすくなります。
主な確認先:日本経済新聞社「日経平均プロフィル」 / 日本取引所グループ「TOPIX」 / 日本銀行「金融市場調節方針の変更について」 / 株探・みんかぶ「日経平均18日大引け」 / みんかぶ「東京株式(大引け)」
※東証プライムの騰落銘柄数は集計時刻によって速報値に差がありました。本記事では16時02分公表の大引け総括に掲載された「値上がり511、値下がり1003、変わらず40」を使用しています。本記事は2026年9月18日の市場の動きを解説するもので、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。