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乾電池はなぜ「単1・単2・単3・単4」?数字が小さいほど大きい理由

乾電池はなぜ単1・単2・単3・単4?「単」と数字の意味・AAとの違い

単1・単2・単3・単4の乾電池を大きさ順に並べ、なぜ単1が一番大きいのかを表したアイキャッチ

乾電池を並べてみると、単1が大きく、単2、単3、単4と数字が増えるにつれて小さくなっていきます。

普通なら「4」のほうが「1」より大きそうなのに、乾電池では反対です。

しかも、単1と単3では見た目がかなり違うのに、一般的なアルカリ乾電池なら1本の公称電圧はどちらも1.5V。「1」や「3」は電圧を表しているわけでもありません。

では、「単」と数字には何の意味があるのでしょうか。

先に結論|「単」は単位電池、数字は大きさを区別する番号

電池工業会では、単1・単2の「単」を「単位電池」の単と説明しています。

かつては複数の電池をあらかじめ組み合わせた製品も多く使われていました。それに対して、複数をまとめたものではない一つの電池を「単位電池」と呼び、その「単」が現在の単1・単2といった呼び方につながっています。

後ろの数字は、電圧や容量、性能を示す数値ではありません。

大きさを区別するため、大きいものから1、2、3、4、5と番号を付けたものです。

そのため、数字だけを見ると逆に感じますが、単1が大きく、単4が小さいという並びになっています。

「単1」の1は1Vという意味でも、「一番性能が高い」という意味でもありません。

大きさを見分けるための名前です。

なぜ数字が小さいほど大きいのか

現在の感覚では、数字が増えるほど大型になる製品も多いため、「単4のほうが単1より大きそう」と感じるのは自然です。

ただ、乾電池の場合は大きいほうから順番に番号を振ったため、並びが逆に見えます。

これは最近決められた呼び方ではありません。

戦前の乾電池規格をたどると、1934年に制定された国家規格JES第257号には、すでに「小型1号」から「小型4号」という区分があり、数字は大きさの順に付けられていました。

その後、1942年の規格改定で「単一」「単二」「単三」という現在につながる名称が登場しています。

つまり、「最初に単1を発明し、次に小さい電池を作ったので単2になった」と単純に考えるより、昔から使われていた大きさ順の番号が、現在の単1・単2という呼び方へつながっていると考えたほうが実態に近いでしょう。

単1・単2・単3・単4はどれくらい大きさが違う?

現在の規格を比べると、違いはかなりはっきりしています。

一般的なアルカリ乾電池を例にすると、対応関係は次のようになります。

日本の呼び方米国で一般的な呼び方形式例直径高さ公称電圧
単1形DLR2034.2mm61.5mm1.5V
単2形CLR1426.2mm50.0mm1.5V
単3形AALR614.5mm50.5mm1.5V
単4形AAALR0310.5mm44.5mm1.5V
単1・単2・単3・単4乾電池の大きさ・寸法・D・C・AA・AAA表記を比較した図解

※寸法は電池工業会が示す規格上の値。寸法については最大値として定められています。

直径を見ると、単1は34.2mm、単4は10.5mm。単1はかなり太いことが分かります。

ところが、この表には少し面白いところがあります。

「数字が増えるほど全部小さくなる」わけではない

単1から単4までをざっくり見れば、数字が増えるほど小型になっていきます。

ただし、直径も高さもすべてきれいな順番になっているわけではありません。

単2形の高さは50.0mmですが、単3形は50.5mm。

つまり、細い単3のほうが単2より0.5mmだけ長くなっています。

さらに単5形まで見ると、もっと分かりやすい例があります。

単4形の直径は10.5mmなのに対し、単5形は12.0mm。単5のほうが番号は大きいのに、直径だけなら単4より太いのです。単5形の高さは30.2mmで、米国では一般に「N」と呼ばれます。

そのため、

「単1→単5の順に、高さも直径も必ず小さくなる」

という説明は正確ではありません。

あくまで大きさを区別する系列として1、2、3……という番号が使われているのであって、すべての寸法を番号順に並べたものではないわけです。

単1も単4も、一般的なアルカリ乾電池なら1.5V

単1と単4を実際に手に取ると、あまりにも大きさが違うため、

「単1のほうが電圧も高いのでは?」

と思うかもしれません。

ところが、一般的なマンガン乾電池とアルカリ乾電池では、単1、単2、単3、単4の公称電圧はいずれも1.5Vです。

単1アルカリ乾電池も1.5V。

単3アルカリ乾電池も1.5V。

単4アルカリ乾電池も1.5Vです。

機器によって乾電池を2本や4本使うことがあるのは、必要な電圧などを得るためです。たとえば1.5Vの電池を2本直列につなげば約3V、4本なら約6Vになります。

つまり、単1という名前の「1」は1Vという意味ではありません。

では、大きな単1は何が違うのか

電圧が同じなら、「わざわざ大きな単1を使う意味は何だろう」と思うところです。

大きな違いは、ケースの中に入れられる材料の量です。

電池工業会では、同じ種類の乾電池なら、大きな単1形ほど使われている材料の量が多く、容量などの面で有利になると説明しています。

そのため、同じ化学系・同じような条件で比べれば、大型の電池は長時間使う用途や、大きな電流を必要とする用途に向いています。

昔の大型ラジオや懐中電灯などで単1形がよく使われてきたのも、機器が求める使用時間や電力と、大きな電池の特性が合っていたからです。

一方、リモコンや小型機器なら、大きな単1を入れるより単3や単4で機器自体を小さく、軽くできます。

電池の種類がいくつもあるのは、どれか一つが優れているからではなく、使う機器や用途が違うからです。

「単1のほうがパワーが強い」は少し注意が必要

単1を「単3より強い電池」と表現することがあります。

日常会話なら意味は伝わりますが、電圧まで高いように受け取ると正確ではありません。

一般的なアルカリ乾電池なら、単1も単3も公称電圧は1.5Vです。

違うのは、主に内部に使える材料量や容量、電流を取り出すときの特性、使用できる時間などです。

そのため、

単1=電圧が強い

ではなく、

同じ種類なら、大型の単1は容量や負荷への対応で有利

と考えるほうが分かりやすいでしょう。

また、「単1は単3の何倍長持ちする」と一つの数字で決めることもできません。

乾電池から実際に取り出せる容量や使用時間は、機器の消費電流、温度、どこまで電圧が下がったら機器が停止するかといった条件によって変わります。

「単3形=1.5V」と覚えるのも少し違う

ここでも、大きさと電圧は分けて考える必要があります。

「単3」という呼び方は主に形や大きさを表すものなので、単3サイズなら中身がすべて同じとは限りません。

たとえば、

  • マンガン乾電池
  • アルカリ乾電池
  • ニッケル水素充電池

などに単3形があります。

一般的なマンガン・アルカリ乾電池は公称1.5Vですが、ニッケル水素充電池は公称1.2Vです。

Panasonicも、ニッケル水素充電池の公称電圧は1.2V、乾電池は1.5Vと説明しています。

同じ大きさだから、電圧や化学的な仕組みまで同じというわけではありません。

単3は海外では「AA」、単4は「AAA」

「単1」「単2」「単3」という呼び方は、日本で一般的に使われているものです。

同じ大きさの電池そのものが日本にしかないわけではありません。

電池工業会が示す対応では、

  • 単1形=D
  • 単2形=C
  • 単3形=AA
  • 単4形=AAA
  • 単5形=N

となっています。

海外製の製品に、

“2 × AA batteries”

などと書かれていれば、日本でいう単3形を2本使うという意味です。

“AAA”なら単4形です。

海外旅行中に乾電池を買う場合や、海外製品の説明書を読むときには、この対応を覚えておくと役立ちます。

ただし、AAやAAAを「IECの正式な形式番号」と考えるのは少し違います。

電池工業会ではD、C、AA、AAAなどを米国で一般的な呼び方として示し、IECやJISではR6、R03といった形式が使われています。

電池に書いてある「LR6」は何を意味する?

単3形のアルカリ乾電池を見ると、パッケージや本体に小さく「LR6」と書かれていることがあります。

これは単3の別名というだけではなく、電池の種類や形、大きさを表す形式です。

単3形の場合、

R6=マンガン乾電池

LR6=アルカリ乾電池

という違いがあります。

電池工業会の説明では、「L」はアルカリ乾電池の電池系を表す記号、「R」は丸い形状を表す記号で、後ろの数字が寸法を表します。

単4なら、

R03=マンガン単4形

LR03=アルカリ単4形

です。

普段はほとんど意識しませんが、乾電池の側面に印刷された小さな文字にも、種類を見分けるための情報が入っています。

単5はある。では「単6」は?

単1から単4まではよく見かけますが、単5形も実在します。

電池工業会の現在の規格表にも掲載されており、マンガン乾電池の形式ではR1、米国で一般的な呼び方はNです。高さ30.2mm、直径12.0mmで、単3・単4より短い電池です。

一方、電池工業会が一般的な国内名称として示している円筒形乾電池は単1~単5までです。

「では、なぜ単6がないのか」という疑問も出てきますが、一般名称として単6が作られなかった明確な理由を示す資料は確認できません。

そのため、「需要がなかったから」「9V電池が代わりになったから」と推測で理由を付けることはできません。

9Vの四角い電池は、単1~単5とは少し違う

単5の隣に「単6」があるのではなく、乾電池売り場では四角い9V形を見かけることがあります。

ここで面白いのは、単1や単3の数字とは違い、「9V」の9は実際に電圧を表していることです。

一般的な9V形乾電池は、内部に1.5Vのセルを6個組み合わせて約9Vを作っています。

電池工業会によると、マンガン9V形では平たいセルを重ねた構造、アルカリ9V形では細い円筒形セルを使うものや平たいセルを使うものがあります。

つまり、

「単3」の3=電圧ではない

のに対して、

「9V形」の9V=電圧

です。

名前の付け方そのものが違います。

なぜ「単」という名前が必要だったのか

ここまで分かると、最後に残るのが、

「そもそも、なぜ単位電池だとわざわざ言う必要があったのか」

という疑問です。

現在は単3乾電池を4本買い、機器の電池ボックスへ自分で入れるのが普通です。

ところが昔は、複数のセルをあらかじめ直列につなぎ、一つの製品としてまとめた電池が広く使われていました。

ラジオなどでは高い電圧が必要だったため、複数の素電池を組み合わせたものが使われています。

そうした「いくつかをまとめた電池」に対して、一つずつ独立した電池を区別する必要がありました。

その「単位電池」という考え方が、現在も「単1」「単3」という名前の中に残っています。

「単1」という名前はいつからある?

この呼び方の歴史は、少しだけ複雑です。

現在の電池工業会の一般向け説明だけを見ると、1942年に「JIS規格」で単1・単2が決まったという記述があります。

しかし、現在のJIS制度が始まるのは戦後です。

乾電池の詳細な規格史をたどると、1934年に国家規格JES第257号が制定され、「小型1号」から「小型4号」という名称が定められました。

そして1941年に制定された臨時日本標準規格が翌1942年に改定され、この段階で「単一」「単二」「単三」という名称が確認できます。

戦後、1949年の工業標準化法を経て規格体系がJISへ移行し、乾電池では1951年にJIS C 8501が制定。1952年には大型乾電池も加わり、全品種がJISへ切り替えられていきました。国立科学博物館の技術史調査でも、この流れが確認できます。

つまり、1942年の「単一」を現在のJISが決めたと書くのは正確ではありません。

今も使われている「単1・単2」という名前は、戦前の日本の乾電池規格から戦後のJISへと整理されていく過程をくぐり抜けて残った呼び方なのです。

普段の「単3」という名前には、昔の規格の名残がある

単3乾電池を買うとき、その名前の由来まで考えることはほとんどありません。

けれど、「単」と「3」を分けて見ると意味が分かります。

「単」は、複数をまとめたものではない単位電池に由来する呼び名。

「3」は、電圧でも容量でもなく、大きさを区別するために付けられた番号です。

だから単1のほうが単4より大きくても、おかしなことではありません。

そして、大きい単1と小さい単4でも、一般的なアルカリ乾電池なら公称電圧は同じ1.5V。大きさの違いは、内部に使える材料量や容量、用途の違いにつながっています。

海外では単3がAA、単4がAAAと呼ばれ、規格上の形式を見れば単3形マンガンはR6、アルカリならLR6。

普段何気なく使っている一本の乾電池にも、日本独自の呼び名、国際的な規格、そして80年以上前から続く標準化の歴史が残っています。

次に乾電池のパッケージを見るときは、「単3」という大きな文字だけでなく、その近くにある「LR6」という小さな表示も少し違って見えるかもしれません。

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