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『ブリガンダイン アビス』忖度なしレビュー|9,020円の価値は?前作ファンは注意

『ブリガンダイン アビス』レビュー|低評価の理由と9,020円で買う価値

2026年8月27日に発売された『ブリガンダイン アビス』は、かなり評価の割れているゲームだ。

発売直後のSteamでは「やや不評」。2026年8月29日夜の表示では132件のユーザーレビュー中、好評は31%まで低下している。PS Storeでも299件・5点満点中3.07で、星5が37%ある一方、星1も31%を占める。単純に「普通」というより、好きな人と合わなかった人が大きく分かれている状態だ。

では、『ブリガンダイン アビス』は本当に出来の悪いゲームなのか。

そこまで単純ではない。

国を育てる。リーダーとモンスターで部隊を組む。どの領地を攻めるか考え、HEXで区切られた戦場で敵軍とぶつかる。勝って領土を広げれば、次の戦争へ向けてさらに自軍を強くできる。

『ブリガンダイン』の面白さを支えてきたこの循環は、今作にも残っている。

しかも、モンスターを1体戦場から外す代わりにリーダーへ能力を与える「支援&展開」、拠点開発、探索、そして24か国それぞれに異なる目標が用意されたミッションモードなど、『アビス』独自の遊びも加わった。

問題は、その面白さを素直に薦めにくくする弱点もかなり目立つことだ。

ストーリーモードでは物語を成立させるために侵攻できない勢力が存在する。敵AIには甘さがあり、長く遊ぶほど同じ戦場を往復する反復も気になる。キャラクターの戦場表現にも弱さがあり、機種によって映像やパフォーマンスの差も小さくない。

そして通常版は9,020円。

安いゲームではない。

面白い部分は確かにある。しかし、「ブリガンダインだから買って大丈夫」と無条件に薦められるところまでは届いていない。

『ブリガンダイン アビス』忖度なしレビュー・先に結論

総合評価は7.4/10。B評価。

国取り、部隊編成、モンスター育成、HEX戦闘というゲームの中心部分は面白い。

特に評価したいのが、戦闘だけではなく「次の戦争までにどう準備するか」までゲームになっていることだ。

戦力を前線へ集めるのか。探索へ人員を回すのか。新しいリーダーやモンスターと契約するのか。拠点へ資材を使うのか。

戦闘が始まる前から判断が続く。

さらにストーリーモードとは別に、24か国から選べるミッションモードがある。ここでは大陸統一だけでなく、拠点強化、アイテム収集、モンスター収集、仲間集め、借金返済、拠点防衛など国ごとに目標そのものが変わる。『アビス』を長く遊ぶなら、このモードはかなり大きな存在だ。

一方で、シリーズ経験者ほど気になる変更もある。

特に前作『ブリガンダイン ルーナジア戦記』までの「勢力図を見ながら、自分の判断で次の戦争を決めていくこと」が好きだった人は注意したほうがいい。

ストーリーモードには国取りの自由が残されているものの、特定勢力へ直接侵攻できず、物語上のイベントに決着を委ねるケースがあることが完成版レビューで確認されている。

だから評価が難しい。

シリーズを遊びやすくした部分が、ある人には長所になり、別の人には『ブリガンダイン』らしさを薄めた変更に見える。

シリーズファンだから買い、とは言えない。

むしろシリーズファンほど、無料体験版を先に遊んで判断したほうがいい。

『ブリガンダイン アビス』とは

『ブリガンダイン アビス』は、Adglobeが開発し、ハピネットから2026年8月27日に発売されたファンタジーウォーシミュレーション。

対応機種はNintendo Switch 2、PlayStation 5、Xbox Series X|S、Steam。1人用で、通常版の希望小売価格はパッケージ版、ダウンロード版ともに9,020円。Limited Editionは18,480円となっている。

舞台となるメルティーテ大陸には25か国が存在する。

そのうち、メインとなるストーリーモードでは新生アビスローア帝国に抗う6つの国から主人公勢力を選択する。一方、ミッションモードでは大陸に存在する24か国から1国を選べる。つまり「25か国存在する」と「ミッションモードで24か国を選べる」は矛盾しない。

ゲームは大きく、自軍を整える段階と他国へ侵攻する段階に分かれている。

リーダーとモンスターを育て、装備を整え、必要に応じて探索へ送り、支配した拠点を発展させる。その準備を終えたら隣国へ侵攻し、HEXフィールド上で部隊同士を戦わせる。

勝って領地が増えれば、使える資源や戦力も広がっていく。

この「育てる→攻める→さらに国を強くする」という循環が、本作の土台だ。

良かった点|戦闘が始まる前から戦略は始まっている

『ブリガンダイン アビス』で一番強いのは、戦闘だけを切り取ったゲームではないことだ。

どのリーダーをどこへ置くか。

誰を探索へ出すか。

どの部隊を攻撃に使い、どこを守るか。

新しいモンスターと契約するか。

資材を拠点開発へ回すか。

ひとつひとつの判断は地味だが、すべて次の戦争につながっている。

公式では、戦闘へ参加しないリーダーを探索へ送り、資源や資金、経験値を得られるほか、拠点開発によって部隊や探索へプラス効果を与えられる仕組みが用意されている。新たなリーダーやモンスターとの契約、装備品を売買する行商もあり、「戦場へ出る前にどこまで国を整えられるか」が重要になる。

編成も好きな強キャラだけを並べれば終わりではない。

1人のリーダーにつけられるモンスターは最大5体。ただし、リーダーごとに設定された統率コストを超える編成はできない。

強力なモンスターほどコストも重い。

強い5体を並べるのではなく、「このリーダーの統率力でどんな部隊を作るか」を考える必要がある。

ここは素直に面白い。

育成した結果、単純に数字が上がるだけではなく、部隊全体の組み方まで変わっていく。

戦争シミュレーションと育成RPGがきちんとつながっている部分だ。

「支援&展開」は『アビス』ならではの面白さ

今作で特に面白いのが「支援&展開」だ。

リーダーは配下のモンスター1体を「支援」に回し、そのモンスターが持つ支援特性を自分へ付与できる。

公式が紹介している例では、ドラゴンなら移動力+1、ピクシーならターン開始時にMPを5%回復。デーモンには自軍全体の属性を黒へ変える代わりに魔法防御力が下がるという、使い方を考えさせる特性もある。

重要なのは、タダで能力が増えるわけではないこと。

支援に使っている間、そのモンスターは通常の1ユニットとして盤上へ出せない。

リーダーを強化する代わりに戦場の頭数を減らす。

そのまま強化状態で戦うか、状況が変わったら展開してモンスターを戦場へ戻すか。

この判断が加わったことで、「強いモンスターをどう育てるか」だけではなく「そのモンスターを今、1ユニットとして使うべきなのか」まで考えることになる。

過去作から変わった部分への賛否はあるとしても、『アビス』が昔のシステムを削っただけの作品ではない。

今作なりの新しい戦術はちゃんとある。

HEX戦闘は位置取りと部隊の役割が面白い

戦闘は六角形のHEXで区切られたマップを使うターン制。

攻撃、回復、補助、遠距離攻撃、範囲魔法、状態異常などユニットごとに役割があり、高低差や地形効果、障害物も戦況へ影響する。

敵リーダーを倒せば、そのリーダーに属する部隊を撤退させられる。そのため、敵を一体ずつ全滅させる以外にも「どこから崩すか」という狙い方が生まれる。

今作では城門や柵だけでなく、一定範囲へ近づくと攻撃する櫓、ターン経過で出現する壁なども用意されている。単純な平地で毎回ぶつかるわけではない。

前線をどこへ作るか。

回復役をどこへ置くか。

敵リーダーを一気に狙うか。

支援状態を維持するか、モンスターを展開するか。

ルールそのものには考える余地がある。

それだけに、後述する敵AIの甘さが惜しい。

システム側に戦術を考えられるだけの材料が揃っているのに、相手がそれを十分に使いこなしてこない場面があるからだ。

ミッションモードは『アビス』最大の強み

『ブリガンダイン アビス』をストーリーモードだけで判断すると、かなりもったいない。

ミッションモードでは24か国から1国を選び、それぞれ設定された目標へ挑戦する。

目標は大陸統一だけではない。

拠点強化、指定アイテム収集、モンスター収集、仲間集め、借金返済、拠点防衛など、そもそも「何をすれば勝ちなのか」が国によって変わる。さらに各国にはショートストーリーも用意されている。

これは単なる水増しではない。

たとえば借金返済なら、領土を広げれば終わりではなく、どう資金を確保するかが重要になる。

モンスター収集なら、戦争とは別のところへ資源や時間を振り向けなければならない。

厳しい期限の中で大陸統一を目指すなら、慎重に国を育て続けるだけでは間に合わない。

同じルールを使いながら、考え方そのものを変えてくる。

RPGFanもミッションモードを、本作の基本システムを異なる方法で使わせる実験的な戦略サンドボックスとして高く評価している。

個人的な実体験を装うつもりはないが、仕様と完成版レビューを横断して見ても、ここは本作の評価を大きく持ち直させる要素だ。

ストーリーモードで「自由が足りない」と感じた人ほど、ミッションモードまで見てから判断したほうがいい。

気になった点|ストーリーモードは自由な国取りと物語を両立し切れていない

『アビス』で最も意見が割れやすいのが、ストーリーモードだ。

自由が完全になくなったわけではない。

自軍を育て、侵攻可能な領地から攻める場所を選び、勢力を拡大していく『ブリガンダイン』の基本は残っている。

ただし、何でも自由に攻められるわけでもない。

完成版を検証したRPG Siteでは、本来敵対している相手でも直接侵攻できない勢力が存在し、その決着を一定期間後のストーリーイベントに委ねるケースが報告されている。

ここはかなり大きい。

『ブリガンダイン』の国取りが面白いのは、「次にどこを攻めるのか」をプレイヤー自身が考えるからだ。

敵国が弱っている。

ここを今叩けば一気に領土を奪えそうだ。

しかし別の国境が薄くなる。

そんな状況を見ながら自分で戦争を決めることが楽しい。

ところが、物語上の都合で「ここにはまだ行けない」と止められると、その魅力と正面からぶつかる。

ストーリーをしっかり描きたいという狙いは分かる。

シリーズ初見なら、「次に何をすればいいか分からない」という状態を減らすメリットもあるだろう。

それでも、自由な国取りを最優先するシリーズ経験者にとっては、かなり重要な変更だ。

遊びやすくなった一方、損失の緊張感は薄くなった

今作は過去作経験者だけを向いた設計ではない。

失敗から立て直しやすくなった部分があり、シリーズへ初めて触れる人でも入りやすい方向へ寄せられている。

その代表例として複数の完成版レビューで挙げられているのが、モンスターを失った後の復活だ。

RPG Siteでは、復活に必要なアイテムを以前より確保しやすくなり、ストーリー上重要なユニットについても敗北時の扱いが緩和されていると報告している。RPGamerも、失ったモンスターを戦闘後に資金で復活させられる仕組みを確認している。

これは初心者には明確なメリットだ。

何十ターンも育てた部隊を一度の敗北で失い、その後の戦争まで立て直せなくなるような厳しさは減る。

反面、「このモンスターだけは絶対に失えない」という怖さも薄くなる。

遊びやすさと緊張感は、常に同じ方向へ伸びるものではない。

『アビス』は前者へ寄せた。

そこを親切と感じるか、物足りないと感じるかで評価は変わる。

敵AIは、戦術システムの面白さを十分に引き出せていない

戦闘で最も明確な弱点はAIだ。

これはひとつのレビューだけの話ではない。

RPG Siteは、敵が攻撃範囲へ入るまで動かない場面や、不自然な行動を指摘。RPGFanも「敵AIがゲームの仕組みを十分に活用しない」ことを短所に挙げ、Noisy Pixelは予測しやすいAI、RPGamerはリーダーや回復役が危険な位置へ突っ込む場合があると評価している。

もちろん、毎回敵が無抵抗という意味ではない。

複数の部隊がまとまれば数の圧力はあるし、地形や敵戦力によって簡単には崩せない状況も生まれる。

問題は、こちらに「支援&展開」「属性」「位置取り」「高低差」「障害物」「リーダー狙い」といった面白い判断材料があるのに、敵側が同じレベルでそれを使ってくるとは限らないことだ。

戦術ゲームでは、システムが複雑なだけでは足りない。

そのシステムを使いこなす相手がいて初めて、考える面白さが最大になる。

『アビス』はその部分でもう一段欲しかった。

長く遊べるほど、戦闘の反復も見えてくる

本作にはかなりのボリュームがある。

しかし、ボリュームの大きさと、最後まで新鮮に遊べることは別だ。

国取りゲームである以上、同じ領地を奪われ、再び攻め返すこともある。

戦闘マップは領地にひも付くため、同じ場所をめぐって戦争が続けば、以前と同じ戦場へ戻ってくることになる。RPG SiteやRPGFan、Noisy Pixelでも、長時間遊んだときの反復性は弱点として挙げられている。

ここでAIの弱さも重なる。

毎回違う相手が高度な戦術を使ってくるなら、同じマップでも展開は変わりやすい。

ところが相手の動きが読みやすいと、効率のいい勝ち方が固まってくる。

「国を大きくする」というマクロな面白さは続くのに、1回ごとの戦闘は徐々に作業へ近づく。

200時間級を掲げる作品だからこそ、この反復は軽く扱えない。

ストーリーは「弱い」と一括りにしないほうがいい

物語については、評価がかなり割れている。

公式はストーリーモードに6か国それぞれの物語を用意し、主人公や主要キャラクターには固有スキルも設定している。前作よりイベントやキャラクター同士のやり取りが増えたことを肯定的に見る完成版レビューもある。Game8も、勢力ごとに視点が変わるストーリーを本作の長所として評価している。

一方、RPG Siteはスカーレットウィルの後半や敵側人物の描写をかなり厳しく評価している。

ただし、そのレビュアー自身が全6ルートをクリアしていないことも明記している。

だから、

「6ルートすべてストーリーが悪い」

とは言えない。

逆に、

「6勢力あるから物語が充実している」

とも言い切れない。

今回の評価では、ストーリーの量そのものよりも、国取りシミュレーションとの噛み合わせを重く見る。

物語を強くしたことで侵攻へ制約が生まれている以上、「ストーリーが増えた」というだけでは加点しにくい。

キャラクターは多いが、戦場での個性は弱くなりやすい

キャラクター表現にも気になる部分がある。

公式ではストーリーモードの主人公や主要キャラクターにオリジナルスキルが用意されている。能力面では、それぞれの役割を感じられるようになっている。

一方、戦場での見た目については完成版レビューから不満が出ている。

RPG Siteでは、勢力の主要リーダー以外にクラス共通の戦場モデルが多く、固有の立ち絵を持つキャラクターでも戦場では汎用的な見た目になるケースを指摘している。

大軍を扱うシミュレーションとして考えれば、全員へ専用3Dモデルを用意しないこと自体がおかしいわけではない。

ただ、『ブリガンダイン』は単なる駒を動かすゲームでもない。

誰をどの国境へ置くか考え、育て、モンスターを預け、長い戦争を一緒に戦わせる。

そうして人材に愛着が生まれていくゲームだからこそ、戦場上での個別表現が弱いのは惜しい。

Steam31%・PS Store3.07をどう見るべきか

発売直後のユーザー評価はかなり厳しい。

2026年8月29日夜の確認では、Steamは132件中31%好評で「やや不評」。PS Storeは299件・3.07/5となっている。

特にPS Storeは、星5が37%ある一方で星1も31%。

中間評価へ集まったというより、高評価と低評価の両方へ大きく分かれている。

ただし、この数字をそのままゲームの点数にはしない。

発売から数日しか経っておらず、レビュー数もまだ多くない。Steamの好評率も短時間で変動している。

さらにSteamレビューが低い理由を、こちらでひとつに決めつけることもできない。

PC固有の性能問題。

シリーズ経験者が感じる方向性の違い。

ストーリーモードの制約。

AI。

表現。

価格。

不満の理由は購入者によって違う。

それでも、PS5側でも評価が割れている以上、「PC版の最適化だけが原因でSteam評価が荒れている」という説明では足りない。

このゲームそのものが、かなり人を選んでいると見るべきだろう。

興味深いのは、専門媒体の評価も割れていることだ。

RPG Siteは6/10、Noisy Pixelは6.5/10、RPGFanは70/100、Game8は75/100。一方、RPGamerは4/5としている。

点数は違っても、共通して評価されているのは国取り、編成、育成といったゲームの核。

逆にAI、反復、表現、ストーリー周辺は弱点として繰り返し挙がっている。

だから今回の74点とも矛盾しない。

公式は200時間以上を掲げる。ただし物量=高コスパではない

公式は、6勢力のストーリーモードと24か国のミッションモードを合わせて、200時間以上のプレイボリュームを掲げている。

これはかなり大きい。

ミッションモードは国を変えるだけではなく、勝利条件まで変わるため、同じキャンペーンをそのまま繰り返すだけではない。

国取りと育成が刺さる人なら、9,020円で何十時間、場合によっては100時間以上遊ぶ可能性もある。

しかし、「200時間あるからコスパがいい」という計算はしない。

100時間入っていても、30時間で飽きれば意味がない。

逆に20時間しかなくても、その20時間が濃ければ価格に納得できるゲームもある。

『アビス』の場合、長く遊ぼうとすると戦闘の反復やAIの弱さも同時に大きくなる。

だから重要なのは「何時間入っているか」ではない。

国を育て、部隊を組み、次の侵攻を考える。この基本ループを何度でも繰り返したいと思えるか。

そこが9,020円の価値を決める。

PS5・Xbox Series X・PC・Switch 2、どの機種を選ぶ?

機種による違いは、購入前にかなり重要だ。

発売版をNintendo Switch 2、PS5、PS5 Pro、Xbox Series X、PCなどで比較したRPG Siteの検証では、PS5とXbox Series Xには画質優先設定があり、画質優先をオフにすると60fpsをターゲットとする。一方、Switch 2版は単一モードで30fpsターゲットとなり、映像設定もPS5/Xbox Series Xより大きく削られている。

PS5版

テレビで遊ぶなら、かなり無難な選択肢。

60fpsターゲットの設定があり、同条件の比較では大きなパフォーマンス問題は確認されていない。ロード時間も比較された機種の中では最速だった。

携帯性が不要なら有力。

Xbox Series X版

動作面ではPS5版にかなり近い。

こちらも60fpsターゲットを選べ、実機比較では良好なパフォーマンスが報告されている。Quick Resumeへ対応しているため、編成や国取りを少しずつ進めるゲームとの相性もいい。

Xbox Series X|S版はダウンロード専用となる。

PC版

性能に余裕があるなら、映像とフレームレートの上限は最も高い。

公式はSteam製品版に30/60/120/144fps/無制限のフレームレート設定とV-Sync切り替えを実装している。初期体験版で問題になった「30fpsから変更できない」という状態は、現在の製品版には当てはまらない。

実機比較でもPC版は60fpsを超えて動かせる唯一のバージョンで、画質設定も細かい。

ただし負荷は軽くない。

RPG Siteの本編レビューでは、別のレビュアーが自身のPC環境で負荷や最適化へ不満を示している。一方、全機種比較を担当したライターは設定の豊富さやスケーラビリティを評価し、「良いPC版」としている。

したがって「PC版は最適化不足だから避ける」とまでは言えない。

高性能環境なら最有力。ただし要求負荷と自分のPC構成は確認したほうがいい。

この整理が妥当だ。

Nintendo Switch 2版

最大のメリットは携帯性。

国の編成を少し進める、探索を決める、1戦だけ終わらせる、といった遊び方は携帯機と相性がいい。

しかし性能面では明確な妥協がある。

実機比較では30fpsターゲットで、ドック時にも完全固定ではなく、PS5/Xbox Series Xより映像設定がかなり削られている。特にドック時にはカメラやカーソルを速く動かした際のパフォーマンス低下も報告されている。

そのため、

携帯して遊びたいからSwitch 2を選ぶ

なら理解できる。

しかし、

一番快適だからSwitch 2を選ぶ

という状況ではない。

また、日本のNintendo Switch 2パッケージ版はゲームキーカード。

初回プレイ時には本編データのダウンロードが必要で、公式は8GB以上の空き容量を案内している。

パッケージ内へゲームデータがすべて収録されたカードを期待している人は注意したい。

前作『ルーナジア戦記』が好きなら買い?

これは、前作の何が好きだったかで変わる。

前作で好きだった部分『アビス』との相性
リーダーとモンスターの部隊編成相性はかなり良い。統率コストと支援&展開で考える余地がある
HEX戦闘と位置取りしっかり残っている。高低差や障害物も加わった
国を育てて勢力を大きくする感覚今作でも大きな魅力
好きな国へ自由に攻め込むことStory Modeでは注意。物語上の侵攻制限がある
ユニット喪失の緊張感今作は立て直しやすい方向へ寄っている
自由な条件で何周も国取りを楽しむことMission Modeまで遊ぶなら相性が良い

前作で一番好きだったものが「勢力図を見ながら、次にどこへ攻めるか全部自分で決めること」なら、ストーリーモードだけを目当てに買うのは慎重になったほうがいい。

逆に、部隊編成、モンスター育成、国を大きくしていく感覚が好きなら、核となる面白さは残っている。

そして自由な国取りを求めるなら、ミッションモードまで含めて評価したい。

シリーズ初見なら、意外と入りやすい

過去作経験者には不満になり得る変更が、初見にはメリットになることもある。

物語上の目的が示され、失敗から立て直しやすく、ストーリーを追いながら国取りの基本を覚えられる。

PS5版のアクセシビリティ情報でも、難易度調整、チュートリアルの再確認、手動セーブなどが用意されている。

もちろん、簡単なゲームという意味ではない。

リーダー、モンスター、統率コスト、クラス、装備、探索、資源、拠点、侵攻、防衛、属性、地形。

覚えることは多い。

それでも過去作との比較をせずに触れるなら、「前はできたのに」という違和感がない。

『ブリガンダイン』を一度も遊んだことがない人が、戦争シミュレーション+育成RPGとして入る余地は十分にある。

迷っているなら体験版を先に遊ぶべき

本作には無料体験版がある。

Nintendo Switch 2、PS5、Xbox Series X|S、Steamで配信されており、ストーリーモード6勢力のうち「グラン・ドラグニカ」と「スカーレットウィル」を第2節までプレイできる。

部隊編成と実際の戦闘まで触れられるため、このゲームの基本ループが自分に合うかを見るには十分な材料になる。

ただし、体験版のセーブデータは製品版へ引き継げない。

これは残念だが、9,020円という価格を考えれば、それでも触っておく価値は大きい。

体験版で、

部隊を組んでいる時間が楽しい。

次はどこを攻めようか考えたくなる。

育てたモンスターをもう一度戦わせたくなる。

そう感じるなら、製品版と相性がいい可能性は高い。

逆に序盤から「戦闘が長い」「国の管理が面倒」「もっと自由に動きたい」と感じるなら、9,020円を払ったからといって根本部分が別のゲームになるわけではない。

今回は体験版を飛ばして購入する必要はない。

『ブリガンダイン アビス』忖度なしレビュー評価

評価項目点数評価
国取り・戦略システム8.2拠点、人材、探索、侵攻が次の戦争へつながる循環は強い
HEX戦闘・戦術性7.7支援、高低差、地形、障害物など考える材料は多いがAIが惜しい
部隊編成・育成8.2統率コストと支援&展開によって編成そのものが面白い
モード・リプレイ性8.56勢力のStory Mode+24か国のMission Modeは本作最大の武器
ストーリー・キャラクター6.4多視点化は魅力だが、物語と自由な国取りの噛み合わせに課題
表現・技術的完成度6.7PS5・Xboxは良好だが、Switch 2の削減やPCの負荷など機種差が大きい
価格に対する納得感6.5物量は非常に多いが、9,020円で万人へ薦められる完成度ではない
総合評価7.4 / 10B評価

※総合評価は各項目の単純平均ではなく、2026年8月時点の価格、完成度、機種差、購入後に得られる体験まで含めて「現在9,020円で一本のゲームとして薦められるか」を基準に算出。

総評|面白さの核はある。でも9,020円で誰にでも薦められる一本ではない

『ブリガンダイン アビス』は、Steamの好評率だけを見て「失敗作」と片付けるには惜しい。

国を育てる。

部隊を組む。

モンスターを育てる。

戦力を国境へ振り分ける。

どこへ攻めるか考える。

HEXの戦場で敵軍とぶつかり、勝った領土を使ってさらに軍を強くする。

この循環には、今でもしっかり面白さがある。

「支援&展開」も、単なる追加要素ではない。

戦場の頭数を減らしてリーダーを強くするか、モンスター自身を出すかという、新しい判断を作っている。

24か国のミッションモードも強い。

国を変えるだけでなく、勝利条件まで変えることで、同じシステムを違う考え方で遊ばせてくる。

ここまで見ると、Steam31%という数字から想像するほど、中身のないゲームではない。

それでも74点に留めた。

理由は明確だ。

ストーリーモードでは、物語を成立させるために『ブリガンダイン』の魅力でもある自由な侵攻を自ら制限している。

戦術を考えられるだけのシステムを作りながら、敵AIがその面白さを十分に引き出せていない。

膨大なボリュームを用意しながら、長時間プレイでは同じ戦場や戦闘展開の反復も見えてくる。

キャラクターは多いのに、戦場上では一人ひとりの個性を感じにくい。

さらに機種差が大きく、Nintendo Switch 2版は携帯性と引き換えに映像とフレームレートで明確な妥協がある。

そして価格は9,020円だ。

もしこれがもっと安価なタイトルなら、「国取りと編成が好きなら試してみていい」とかなり気軽に薦められた。

しかし9,020円なら話は違う。

買った後に「自分には合わなかった」で済ませるには高い。

だからこそ体験版が重要になる。

国取り、部隊編成、モンスター育成そのものが好きなら、低評価だけを理由に候補から外す必要はない。

前作の自由な侵攻を何より愛していたなら、ストーリーモードの変更は必ず確認したほうがいい。

映像と滑らかさを優先するならPS5/Xbox Series X、PC性能に余裕があり高フレームレートを求めるならPC、携帯性を最優先するならNintendo Switch 2。

そして、どの機種を選ぶとしても、迷っているなら先に無料体験版を触る。

そこで「もう少しこの国を強くしたい」「次の領地を取りたい」と思えたなら、『ブリガンダイン アビス』は長く遊べる一本になり得る。

そう思えなかったなら、9,020円を払ってから判断する必要はない。

総合評価7.4/10、B評価。

面白さの核は失っていない。

ただし、シリーズの魅力を広げようとした変更が、同時にシリーズの魅力そのものと衝突してしまった部分もある。

そこまで含めて、『ブリガンダイン アビス』という作品だ。

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