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Echoes of Aincrad 忖度なしレビュー|SAO最新作は面白い?自分自身で生きるアインクラッドを評価

キリトではなく“自分自身”で挑む、アインクラッド再構築の新作RPG

2026年7月9日、PS5とXbox Series X|S向けに『Echoes of Aincrad』が発売されました。Steam版は翌7月10日に配信されています。

本作は、『ソードアート・オンライン』の原点となる浮遊城《アインクラッド》を舞台にした新作アクションRPGです。

これまでのSAOゲームでは、キリトを中心とした物語が描かれることが多くありました。

しかし、『Echoes of Aincrad』で操作するのは、自分好みに作成した主人公アバターです。

デスゲームと化した《ソードアート・オンライン》へ閉じ込められた一人のプレイヤーとして、パートナーと力を合わせながら、未踏のエリアや迷宮区の攻略へ挑みます。

戦闘は、フィールド上の敵とそのまま戦いへ移行するリアルタイムアクション形式。

片手剣や両手斧などの武器によって戦い方が変わり、入手した装備の強化や合成、特殊効果の組み合わせによって、自分に合ったビルドを作れます。

ただし、本作はアインクラッド全体を自由に歩き回るオープンワールドではありません。

クエストを受注してエリアへ向かい、探索や戦闘を進めながら新たな場所と物語を解放していく、クエスト形式のアクションRPGです。

また、見た目から高難度のソウルライク作品を想像する人もいるかもしれませんが、公式にはリトライを前提とした高難度アクションRPGではないと説明されています。

難易度は物語を重視したストーリーから、十分な準備と立ち回りを求められるベリーハードまで用意されており、アクションが苦手な人でも始めやすい設計です。

一方で、SAOらしい世界への没入感が強いほど、クエストの構成、フィールドの密度、パートナーAI、装備変更を含む利便性など、RPGとしての完成度も重要になります。

アインクラッドを自分自身の物語として体験できる点は、シリーズファンにとって大きな魅力です。

しかし、SAOの世界観を再現しているだけで、ゲームとしての不便さや単調さが目立つのであれば、手放しでは評価できません。

本記事では、アインクラッドの探索、リアルタイムバトル、武器収集と育成、主人公アバターによる没入感、気になった部分まで確認しながら、『Echoes of Aincrad』がSAOファン以外にもおすすめできる作品なのか、忖度なしで評価していきます。

基本情報

  • タイトル:Echoes of Aincrad
  • 読み方:エコーズ オブ アインクラッド
  • ジャンル:アクションRPG
  • 発売日:2026年7月9日
  • Steam版発売日:2026年7月10日
  • 対応機種:PS5/Xbox Series X|S/PC(Steam)
  • メーカー:バンダイナムコエンターテインメント
  • プレイ人数:1人
  • オンライン対応:オフライン専用
  • CERO:C(15才以上対象)
  • 通常版価格:8,910円(税込)
  • 必要容量:30GB以上
  • 最大フレームレート:PS5・Xbox Series X|S版は最大60fps
  • セーブデータ:最大3スロット/オートセーブ対応
  • 体験版:あり。序盤のベータテスト編を収録し、同一プラットフォームの製品版へセーブデータを引き継ぎ可能
  • 特徴:作成した主人公アバターでデスゲームとなった《アインクラッド》を生き抜き、パートナーや仲間と共に第一層・第二層の攻略へ挑む

結論|SAOファンには強く刺さるが、アクションRPGとしては単調さが残る

『Echoes of Aincrad』は、これまでのSAOゲームとは違い、キリトではなく自分で作成した主人公を通して《アインクラッド》を体験できることに大きな価値があります。

デスゲームが始まる前の期待感から、ログアウトできない事実を突きつけられる恐怖までを一人のプレイヤーとして味わえるため、SAOの世界へ入り込む感覚はシリーズ作品の中でもかなり強いです。

武器ごとに攻撃方法や立ち回りが変わるリアルタイムバトルも、最初の手触りは悪くありません。

攻撃、回避、特殊技、パートナーとの連携を使い分けながら戦う仕組みは分かりやすく、難易度も複数用意されているため、アクションが得意でない人でも始めやすくなっています。公式でも、片手剣や両手斧など、装備する武器によってプレイスタイルが変化すると案内されています。

一方で、ゲームを進めるほど目立ってくるのが、クエスト構成と敵の種類の少なさです。

街で依頼を受け、エリアへ移動し、似た敵を倒して素材を集め、装備を強化して戻る。

この流れが長時間ほとんど変わらず続くため、アインクラッドを攻略している高揚感より、同じ作業を繰り返している感覚が強くなる場面があります。複数の海外レビューでも、クエストや敵の反復、フィールドの密度不足が共通する弱点として指摘されています。

装備の変更場所が限られていることや、一人用ゲームでありながら自由に一時停止できないことなど、MMORPGらしさを再現するための仕様が、遊びやすさを損ねている部分もあります。世界観へのこだわりとして理解できる一方、現代のアクションRPGとしては不便に感じやすい設計です。

また、《アインクラッド》には本来100の階層がありますが、本作で中心的に描かれる範囲は第一層と第二層に限られます。

一つひとつのエリアを丁寧に描く方針は伝わるものの、浮遊城を少しずつ上へ登っていく壮大な攻略を期待すると、収録範囲の狭さは物足りなく感じるでしょう。

忖度なしで結論を出すなら、本作は「SAOの世界に自分自身で入り込める」という魅力に対して、ゲーム部分の単調さが最後まで付きまとう作品です。

SAOが好きで、原作とは異なる視点からアインクラッド編を体験したい人にはおすすめできます。

反対に、SAOをほとんど知らず、純粋に完成度の高いアクションRPGを求めている人は、フルプライスで購入する前に無料体験版を試したほうがよいでしょう。

世界観への没入感は高い。

しかし、その魅力だけで反復的なゲーム進行を最後まで楽しめるか。

ここが『Echoes of Aincrad』に対する評価の分かれ目になります。

良かった点

キリトの物語を追うのではなく、自分自身のSAOを体験できる

『Echoes of Aincrad』で最も魅力的なのは、原作主人公のキリトを操作するのではなく、自分で作成したアバターを通して《アインクラッド》を生きられることです。

過去の家庭用SAOゲームでは、キリトを中心に原作キャラクターとの関係や新たな事件が描かれる作品が多くありました。

一方、本作の主人公は、名前や外見を設定した一人のプレイヤーです。

特別な英雄として最初から扱われるのではなく、デスゲームに巻き込まれた大勢の参加者の一人として「はじまりの街」から冒険を始めます。公式サイトでも、プレイヤー自身の分身となるアバターを作成し、《アインクラッド》を生きる冒険者になることが本作の中心として紹介されています。

この視点によって、原作で知っている出来事にも新鮮さが生まれています。

キリトやアスナは物語の中心人物ではありますが、主人公の代わりにすべてを解決する存在ではありません。

プレイヤーは自分の仲間を探し、自分の装備を整え、自分が生き残るために攻略へ参加します。

原作キャラクターの活躍を外側から眺めるだけではなく、同じ世界に存在する別のプレイヤーとして関われるため、《SAO》というゲームへログインした感覚を作りやすくなっています。

レベルアップ時にはステータスへポイントを振り分けられ、武器や装備を含めて自分なりのビルドを組めます。

見た目だけを変えるキャラクタークリエイトではなく、どの能力を伸ばし、どの武器で生き残るかまでプレイヤーが選べることも、主人公への愛着につながっています。

また、本作ではキリトたちだけでなく、主人公と同じ立場で《アインクラッド》を生きるオリジナルキャラクターも登場します。

βテスト時代から主人公とパーティーを組んでいたワイズマンや、攻略戦へ参加するために仲間を探すザッシュなど、それぞれがゲーム内で生き残ろうとする理由を持っています。

原作キャラクターだけで物語を進めず、名もないプレイヤーたちの生活や不安にも目を向けていることで、デスゲームとしての《アインクラッド》に厚みが出ています。

主人公が無言のアバターであるため、感情表現や会話の主導権が弱く感じる場面はあります。

それでも、「キリトになって原作を追体験する」のではなく、「自分ならこの世界でどう生きるか」を考えながら進められることは、本作ならではの強みです。

SAOの世界へ自分自身で入りたいというファンの願いに対して、これまでのシリーズとは異なる形で応えた作品になっています。

6種類の武器とパートナー指示で、自分なりの戦い方を作れる

『Echoes of Aincrad』の戦闘は、単純に攻撃ボタンを連打するだけではありません。

プレイヤーが使用できる武器は、片手剣、短剣、細剣、片手棍、両手剣、両手斧の6種類。それぞれ攻撃速度、リーチ、盾の有無、ガード崩し、カウンター性能などが異なり、同じ敵と戦っても選んだ武器によって立ち回りが変わります。

攻守のバランスが良く、盾も使える片手剣。

素早い連続攻撃と投剣を使える短剣。

相手の攻撃へ対応しやすい細剣。

一撃の重さや広い攻撃範囲を重視した両手斧。

武器ごとの役割が分かりやすいため、最初に触った段階でも、自分に合う戦い方を見つけやすくなっています。

武器を使い続けると熟練度が上がり、新たなソードスキルを習得できます。

敵や宝箱から入手する武器には固有MODや特殊効果のEX-MODが付与される場合があり、鍛冶屋での強化や合成、効果の付け替えによって性能を調整できます。同じ武器種でも付与効果が異なるため、より自分のビルドに合う一本を探す収集要素も用意されています。

単純に攻撃力の高い新武器へ交換するだけではありません。

愛用している武器を強化し、必要なEX-MODを移しながら使い続けることもできるため、気に入った武器種を育てる楽しさがあります。

さらに、クエストには十数名の候補から一人のパートナーを同行させられます。

各パートナーはサポートスキルとコンビネーションスキルを持っており、攻撃型、補助型など、それぞれ役割が異なります。好きなキャラクターを選ぶだけでなく、自分の武器や挑戦する相手に合わせて組み合わせを考えられる仕組みです。

戦闘中のパートナーには、「スイッチモード」と「フリーモード」の2種類をリアルタイムで指示できます。

スイッチモードでは、プレイヤーとパートナーが攻撃役を交代しながら、同じ敵を狙います。敵の注意を分散したい場面や、自分が回避した隙に攻撃を続けてもらいたい場面で有効です。

フリーモードでは、パートナーが別の敵を優先して攻撃するため、複数の敵に囲まれたときの分担や、一体の敵へ同時に攻撃したい場合に役立ちます。ただし、フリーモードを続けるとパートナーの集中力が低下し、回避やガードの成功率も下がっていきます。状況を見ながら二つのモードを切り替える必要があります。

このパートナーシステムによって、NPCと一緒に戦っているだけではなく、二人で敵を攻略している感覚が生まれています。

強敵を前にしたときも、主人公だけを強化すれば終わりではありません。

武器の特性、EX-MOD、パートナーの能力、戦闘中の指示を組み合わせ、準備と立ち回りの両方で対応していくことになります。

アクションRPGとしてまったく新しい仕組みではありませんが、武器ごとの違いは分かりやすく、育成と共闘の要素も一つの流れとしてまとまっています。

《ソードアート・オンライン》らしい「仲間と背中を預けて戦う」という感覚を、物語だけでなくゲームシステムでも表現できている点は、本作の良かった部分です。

一度の敗北で冒険が終わる「デスゲームモード」がSAOらしい

『Echoes of Aincrad』には、通常の難易度設定とは別に「デスゲームモード」が用意されています。

このモードでは、戦闘で敗北すると、そのセーブデータを再び使用できません。

積み上げてきたレベル、集めた武器、進めたクエストを失い、冒険そのものが終了します。

単に敵の攻撃力を上げる高難度モードではなく、「ゲーム内での敗北が取り返しのつかない結果につながる」という『ソードアート・オンライン』の根幹を、そのままゲームルールへ落とし込んだモードです。

通常のプレイでは、強敵に負けても装備や立ち回りを見直して再挑戦できます。

しかし、デスゲームモードでは、何気なく受注したクエストや、普段なら強引に突破する雑魚戦にも大きな意味が生まれます。

回復アイテムを十分に用意する。

敵の攻撃パターンを確認する。

自分の武器とパートナーの組み合わせを見直す。

危険を感じたら無理に先へ進まない。

一つひとつの判断がセーブデータの存続に直結するため、通常モードとは異なる慎重さが求められます。

特に、ステータスの振り分けや武器選びを適当に済ませられなくなる点は、本作の育成システムとよく合っています。

攻撃力だけを伸ばして一気に押し切るのか。

防御力や体力を重視し、確実に生き残る構成を選ぶのか。

パートナーに攻撃を任せ、自分は回避や支援へ回るのか。

通常モードでは好みで選んでいた要素が、デスゲームモードでは生存戦略として意味を持ちます。

また、敵との戦闘だけでなく、探索中の緊張感も大きく変わります。

未知のエリアへ進むことや、強そうな敵へ挑むこと自体が危険な選択になるため、《アインクラッド》を攻略する怖さを感じやすくなっています。

原作でプレイヤーたちが安全圏から出ることをためらい、攻略組が命を懸けて迷宮区へ向かった理由も、ゲームを通して理解しやすくなります。

一方で、初回プレイから誰にでもおすすめできるモードではありません。

本作は装備やステータス、敵の特徴を理解してからのほうが戦略を立てやすく、物語を最後まで確認したい人にとって、セーブデータ消失の負担はあまりにも大きいです。

通常版では、基本的にストーリークリア後、新しいセーブデータを作成するときにデスゲームモードを選べます。

デラックスエディションまたはアルティメットエディションには早期アンロック権が含まれており、最初から選択できますが、体験版から引き継いだセーブデータをデスゲームモードへ変更することはできません。

まずは通常モードで戦闘や育成を理解し、2周目以降に挑戦するのが現実的です。

ゲーム全体の単調さを解消するモードではありませんが、一つの戦闘、一つの装備、一つの判断に重みを与える仕組みとしては非常に面白いです。

原作のデスゲーム設定を物語で見せるだけでなく、プレイヤー自身に「本当に失いたくない」と思わせる。

『Echoes of Aincrad』ならではの緊張感を最も強く味わえるモードです。

気になった点

クエストの目的と敵の変化が少なく、攻略が作業になりやすい

『Echoes of Aincrad』で最も気になったのは、物語を進めるほどクエストの反復感が強くなることです。

本作は、街などでクエストを受注し、指定されたエリアへ向かい、条件を達成すると新たな場所や物語が解放される構成です。

オープンワールドを自由に歩いて偶然の出来事を発見するゲームではなく、一つずつ依頼をこなしながら攻略範囲を広げていきます。

クエスト形式そのものが問題なのではありません。

目的や道中の展開に十分な変化があれば、次の依頼へ進む動機になります。

しかし本作では、指定された敵を倒す、目的地へ向かう、素材やアイテムを集めるといった流れが繰り返されやすく、依頼ごとの違いを感じにくい場面があります。

街で準備を整える。

エリアへ移動して敵を倒す。

目的を達成して戻る。

この基本サイクルが大きく変化しないため、アインクラッドを一層ずつ開拓している感覚よりも、用意されたチェック項目を順番に消化している感覚が強くなっていきます。

さらに、道中で遭遇する敵にも再利用が目立ちます。

能力や色を変えた敵が登場しても、見た目や攻撃方法の変化が小さく、武器やスキルが増えてからも戦闘の印象が変わりにくいです。

武器ごとの立ち回りやパートナーとの連携には選択肢があります。

それでも、相手側の種類やクエストの状況が十分に変わらなければ、せっかく用意された戦闘システムを試す理由も薄くなります。

迷宮区やボス戦では通常のフィールドより緊張感が生まれるものの、そこへ到達するまでの依頼や戦闘が長く感じられることもありました。

アインクラッドという舞台には、未知のモンスター、攻略法の分からないダンジョン、ほかのプレイヤーとの競争や協力など、多彩な出来事を描ける可能性があります。

それだけに、クエストの目的や敵の配置へ、もう少し予想外の展開が欲しかったところです。

SAOの世界へ入り込めることが本作の大きな魅力である一方、ゲーム進行の大部分は比較的定型的です。

物語やキャラクターへの興味が続いている間は先へ進めますが、アクションRPGとして毎回異なる攻略体験を求める人ほど、途中で単調さを感じやすいでしょう。

本作を最後まで楽しめるかどうかは、クエストそのものの変化よりも、アインクラッドの世界や登場人物を見届けたい気持ちを保てるかに左右されます。

装備変更の制限など、MMORPG風の仕様がテンポを損ねている

『Echoes of Aincrad』は、一人用のアクションRPGでありながら、架空のMMORPGへログインしている感覚を再現することを重視しています。

世界観への没入感を高めるという意味では理解できる方針ですが、実際の操作では、不便さにつながっている部分もありました。

特に気になるのが、武器を自由なタイミングで変更できないことです。

本作では、新しい武器を拾っても、その場ですぐに装備して性能を試すことはできません。

武器を変更できるのはクエストとクエストの間で、街にある宿屋の自室へ戻ったときに限られます。公式の初心者向けガイドでも、武器変更は「はじまりの街」でクエストの合間に行う仕様と案内されています。

武器は主人公の戦い方そのものを変える重要な要素です。

片手剣から両手斧へ変更する。

新しく入手した武器の動きを確認する。

強敵に合わせて盾を装備する。

こうした試行錯誤を気軽にできれば、6種類の武器を使い分ける戦闘システムも、さらに活きたはずです。

しかし実際には、フィールドで新しい武器を入手しても、そのクエスト中は現在の装備で進めなければなりません。

性能を確認して試したいと思っても、いったん街へ戻り、宿屋へ移動し、装備を変更してから再びクエストへ向かう手順が必要です。

公式には、フィールドのセーフティーエリアやワープターミナルから街へ戻り、クエストを中断できる救済措置があります。

途中までに入手したアイテムや通貨も保持されるため、装備変更のために成果をすべて失うわけではありません。また、街の中では鍛冶屋やアイテムショップ、保管箱へ直接移動できます。

それでも、武器を試すたびに探索を中断しなければならないこと自体は変わりません。

敵から装備がドロップし、武器の強化やEX-MODの組み合わせを楽しむゲームでありながら、新しい装備を入手した瞬間の高揚感を、その場で行動へつなげられないのは惜しいところです。

さらに、発売時点のレビューでは、通常のメニュー画面を開いてもゲーム全体を自由に一時停止できない仕様も指摘されています。

オンラインゲームらしさを表現する意図は分かりますが、本作は基本的に一人で遊ぶタイトルです。

電話や来客などで急に手を離したい場面でも、安全な場所を探さなければならない設計は、現代の一人用RPGとしては扱いにくく感じます。

こうした制限は、ゲームを極端に難しくするものではありません。

むしろ、アインクラッドで生活し、街で準備を整えてから危険なエリアへ向かうという流れには合っています。

ただし、世界観の再現と遊びやすさは別の問題です。

MMORPGらしい雰囲気を守るために、装備変更や一時停止といった基本的な利便性まで制限する必要があったのかは疑問が残ります。

SAOの世界へ入り込む感覚は強い。

その一方で、一人用アクションRPGとして見ると、必要以上に回りくどい。

世界観へのこだわりが、ゲームのテンポを損ねてしまった部分です。

舞台が第1層と第2層に限られ、アインクラッド攻略としては物足りない

『Echoes of Aincrad』というタイトルから、浮遊城《アインクラッド》を下層から少しずつ攻略していく壮大な冒険を期待する人は多いと思います。

しかし、本作で物語の中心として描かれるのは第1層と第2層です。

開発側も、100層すべてをゲームとして再現すれば約10年規模の開発になるため、本作では序盤の2層を掘り下げる方針を選んだと説明しています。

単純に収録数だけを見れば少なく感じますが、一つの階層を一枚のマップとして簡単に通過する作りではありません。

第1層には「はじまりの街」だけでなく、町や村、湖、湿地、遺跡など複数の地域が存在します。第2層も草原と岩場を中心としたサバンナ風の環境になっており、洞窟や地下水のある場所、高レベルのモンスターが生息する危険地帯など、階層ごとに異なる特徴が用意されています。

原作で詳しく描かれなかった一般プレイヤーの生活や、小規模な依頼、攻略組以外の人々が抱える事情まで扱えるのも、舞台を絞ったからこその利点です。

原作の出来事を急いで追いかけるのではなく、自分がその世界で過ごしている感覚を重視した構成にはなっています。

それでも、「アインクラッドを攻略するゲーム」として考えると、第2層で終わることへの物足りなさは残ります。

アインクラッドは本来100層からなる浮遊城であり、階層ごとに地形、町、モンスター、ボスが変化していくことが大きな魅力です。

次の階層には何が待っているのか。

どこまで生き残れるのか。

攻略が進むにつれて、プレイヤーたちの生活や人間関係はどう変わるのか。

こうした長期的な上昇感を期待していると、本作の物語はようやく本格的な攻略が始まったところで区切られたように感じます。

第1層と第2層を丁寧に描いたことと、ゲーム全体の規模に満足できるかは別の問題です。

限られた階層の中でも多くのクエストやエリアが用意されていますが、前述した依頼や敵の反復もあるため、「2層を深く描いた」という長所が、必ずしも最後まで密度の高い体験につながっているわけではありません。

むしろ、似た目的のクエストを繰り返す時間が長くなるほど、その分を使って第3層以降も見たかったという気持ちが強くなります。

本作が描いているのは、アインクラッド攻略の全体像ではなく、デスゲームが始まった直後のプレイヤーたちの物語です。

序盤の混乱や生活基盤が作られていく過程をじっくり味わいたい人には合っています。

一方、階層を次々と突破し、浮遊城の上を目指す冒険を期待する人にとっては、フルプライス作品として収録範囲が狭いと感じる可能性があります。

第1層と第2層を掘り下げた方向性には意味がある。

それでも、『Echoes of Aincrad』という作品名に見合う規模を考えるなら、もう少し先の階層まで遊びたかったというのが率直な評価です。

おすすめできる人

SAOの世界観や物語を優先して楽しみたい人

『Echoes of Aincrad』を最もおすすめしやすいのは、アクションRPGとしての新しさより、《アインクラッド》で生活し、原作とは異なる視点から物語を体験したい人です。

本作には、クエストや敵の反復、限られた階層など、ゲームとして気になる部分があります。

それでも、デスゲームが始まる前の期待感、ログアウトできないと判明した後の混乱、一般プレイヤーたちが生き残るために生活基盤を作っていく過程は丁寧に描かれています。

原作の名場面だけを短く追体験するのではなく、その周囲で名もないプレイヤーたちが何を考え、どのように過ごしていたのかを知りたい人には向いています。

反対に、SAOの登場人物や設定へ関心がなく、純粋にアクションRPGとして刺激的な展開だけを求める場合は、反復的な進行が目立ちやすいでしょう。

装備収集やビルド調整をじっくり楽しめる人

敵を倒して入手した武器を比較し、強化や合成を繰り返しながら、自分に合う構成を作ることが好きな人にもおすすめできます。

本作は、決められた最強装備へ一直線に進むだけのゲームではありません。

使用する武器、ステータスの振り分け、EX-MOD、同行するパートナーによって、戦いやすさが変化します。

同じクエストでも、攻撃力を重視して短時間で突破するのか、防御や回復を整えて安全に進むのかによって、準備の方針は変わります。

クエスト自体の変化は少ないものの、装備や構成を考えながら自分なりに目標を作れる人であれば、反復する戦闘にも意味を持たせやすくなります。

一方、入手した装備を細かく比較したり、街へ戻って強化したりする作業を面倒に感じる人には合いにくいでしょう。

自分に合う難易度で物語と戦闘を楽しみたい人

アクションが得意でなくても、SAOの物語を楽しみたい人には入りやすい設計です。

本作にはストーリー、ノーマル、ハード、ベリーハードの4段階が用意されています。

ストーリーでは回避やガードを厳密に使わなくても進めやすく、ノーマルは物語と戦闘をバランス良く楽しみたい人向けです。

ハード以上では装備強化やステータス配分の重要性が高まり、ベリーハードではアイテム、回避、ガードを含むシステム全体の理解が求められます。

難易度はクエスト外で変更できるため、最初はノーマルで始め、物足りなければ上げるといった調整も可能です。

さらに、クリア後には、一度の敗北でセーブデータが使えなくなるデスゲームモードへ挑戦できます。

通常の物語を最後まで確認した後、育成や戦闘を理解した状態でもう一度緊張感のある攻略へ挑めるため、同じゲームを異なる条件で遊び直したい人にも向いています。

難しいゲームを強制される作品ではなく、自分が求める緊張感に合わせて遊び方を選べることが、本作の間口を広げています。

慎重でいい人

SAOへの思い入れが薄く、ゲーム単体の完成度を重視する人

『Echoes of Aincrad』は、《アインクラッド》の世界へ自分自身で入り込めることに大きな価値がある作品です。

そのため、SAOの設定や登場人物にあまり興味がなく、純粋にアクションRPGとしての爽快感や変化に富んだ攻略だけを求める人には、優先度が下がります。

戦闘には武器ごとの違いやパートナーとの連携がありますが、クエストの流れや登場する敵には反復が目立ちます。

世界観への興味があれば、街の会話や一般プレイヤーの生活も含めて楽しめます。

一方、物語を読み飛ばして戦闘と探索だけを進めたい場合は、本作の長所より単調さのほうが目につきやすいでしょう。

通常版は8,910円(税込)なので、SAOをほとんど知らない人が、評判だけで購入するには安くありません。

無料体験版でゲーム冒頭の《ベータテスト》編を遊べるため、戦闘の手触りや会話の比重を確認してから判断するのが安全です。

テンポよく装備を試し、次々と攻略したい人

入手した武器をその場で交換し、敵に合わせて構成を頻繁に変えるような遊び方を求める人も慎重でいいと思います。

本作では、武器の変更や強化を行うために街へ戻る必要があります。

探索中に強力な装備を見つけても、すぐに試せるわけではありません。

街で準備を整え、クエストへ出発し、目的を達成して帰還するという流れを、MMORPGらしい生活感として楽しめるかが重要です。

準備を含めて《アインクラッド》での冒険だと考えられる人には合っています。

反対に、メニューから自由に装備を変更し、短時間でさまざまな武器を試したい人には、回りくどく感じる可能性があります。

アインクラッドを何層も登る大規模な冒険を期待する人

本作で描かれるのは、《アインクラッド》の第1層と第2層です。

二つの階層には複数の街やフィールド、ダンジョンが用意されていますが、第3層以降を次々と攻略していく内容ではありません。

デスゲームが始まった直後の混乱や、プレイヤーたちが生活を築いていく過程を深く描く作品と考えたほうが、実際の内容に近いです。

階層数より、一つの地域に暮らす人々や個別の物語を重視する人には向いています。

一方、100層ある浮遊城を少しずつ登り、さまざまな環境やボスを突破していく壮大な冒険を期待している場合は、収録範囲に物足りなさを感じるでしょう。

タイトルから想像するアインクラッド攻略と、実際に描かれる物語の規模には違いがあります。

購入前に「アインクラッド全体を攻略するゲーム」ではなく、「第1層と第2層を舞台に、デスゲーム序盤を描くRPG」だと理解しておく必要があります。

忖度なしレビュー評価スコア

『Echoes of Aincrad』は、《アインクラッド》へ自分自身のアバターで入り込めるという、SAOゲームとして非常に魅力的な作品です。

武器ごとに異なる戦闘スタイル、パートナーとの連携、装備収集とビルド調整など、アクションRPGとして楽しめる土台も用意されています。

一方で、クエストの目的や敵の種類に変化が少なく、長時間遊ぶほど反復感が強くなります。

武器を自由に変更できないことや、一人用ゲームでありながら気軽に一時停止できないことなど、世界観の再現を優先した結果、遊びやすさを損ねている部分も見過ごせません。

第1層と第2層を丁寧に描く方向性には意味がありますが、通常版8,910円(税込)のフルプライス作品として考えると、アインクラッド攻略の規模やゲームプレイの多様性には物足りなさが残りました。

SAOファンであれば、世界観と物語への没入感によって欠点を補いやすい作品です。

しかし、SAOを知らない人が純粋なアクションRPGとして遊ぶ場合は、評価が一段下がると思います。

総合評価は7.1点。

SAOの世界を自分自身の視点で体験できるという企画は魅力的で、シリーズファンに向けた作品としては十分に価値があります。

ただし、アクションRPGとして見ると、優れた素材を反復的なゲーム進行と古い利便性が活かし切れていません。

「SAOファンなら楽しめるが、誰にでも無条件でおすすめできる完成度ではない」

というのが、スコアに反映した最終的な評価です。

評価項目スコア
SAO世界への没入感8.8 / 10
主人公アバターによる物語体験8.5 / 10
アクションバトルの面白さ7.7 / 10
武器収集・育成・ビルドの自由度8.0 / 10
クエスト・探索の変化5.8 / 10
敵・ボスの種類5.5 / 10
操作性・利便性6.0 / 10
ボリューム・コストパフォーマンス6.5 / 10
総合スコア7.1 / 10

SAOの世界を自分自身の視点で体験できるという企画は魅力的で、シリーズファンに向けた作品としては十分に価値があります。

ただし、アクションRPGとして見ると、優れた素材を反復的なゲーム進行と古い利便性が活かし切れていません。

「SAOファンなら楽しめるが、誰にでも無条件でおすすめできる完成度ではない」

というのが、スコアに反映した最終的な評価です。

Echoes of Aincrad -PS5

自分で作成したアバターで《アインクラッド》を冒険できる、SAOファン向けのアクションRPG。武器収集やパートナー連携を楽しめますが、クエストの反復や収録範囲の狭さが気になる人は、体験版を試してからの購入がおすすめです。

価格・在庫・仕様や版の違いなどは変動します。購入の際は各ショップの商品ページで最新情報をご確認ください。

総評

『Echoes of Aincrad』は、これまでのSAOゲームとは異なる可能性を感じさせる作品でした。

キリトを操作して原作の延長を楽しむのではなく、デスゲームへ巻き込まれた一人のプレイヤーとして、《アインクラッド》で自分の居場所を作っていく。

この企画そのものは非常に魅力的です。

街で装備を整え、パートナーを選び、未知の地域へ踏み込み、手に入れた武器を育てる一連の流れには、架空のMMORPGで暮らしているような感覚があります。

SAOの世界を眺めるゲームではなく、その中へ参加するゲームを目指した方向性は、シリーズファンの期待にしっかり応えています。

一方、アクションRPGとしての完成度は、その企画の魅力に追いついていません。

新しい地域へ到達しても、そこで求められる行動は大きく変化せず、物語を進めるために似た依頼と戦闘を繰り返す場面が目立ちます。

装備収集やビルドには考える余地があるものの、それを試す相手や状況に十分な変化がないため、成長する楽しさが単調な進行を最後まで補い切れていません。

アインクラッドを第1層と第2層に絞った判断も、序盤の混乱や一般プレイヤーの生活を細かく描くという点では理解できます。

しかし、限られた範囲を描くのであれば、クエスト、敵、ダンジョン、物語の展開には、さらに高い密度が必要でした。

実際に複数の発売後レビューでも、独自の視点や雰囲気は評価される一方、定型的なクエスト、敵の再利用、物語のテンポ、2層に限られる規模が主な弱点として挙げられています。

本作を楽しめるかどうかは、欠点があるかではなく、SAOの世界に入れる魅力が、その欠点をどこまで上回るかで決まります。

アインクラッドの街を歩き、自分で作った主人公を育て、原作キャラクターとは別の立場からデスゲーム序盤を見届けたい人には、ほかのアクションRPGでは代替しにくい体験があります。

反対に、SAOへの思い入れが薄く、クエストや探索の多様性、テンポの良い装備更新、洗練された戦闘を優先する人には、通常価格で積極的におすすめできません。

公式も本作を、装備や能力を強化し、異なる能力を持つパートナーと戦う一人用アクションRPGとして位置付けています。その基本構想は成立していますが、魅力的な仕組みを最後まで活かすためのゲーム展開が不足していたというのが率直な評価です。

総合評価は7.1点。

SAOゲームとしては挑戦的で、シリーズの新しい方向性を示した一作です。

ただし、誰にでもすすめられる完成度ではなく、

「アインクラッドで自分自身の物語を体験できる魅力は大きいが、反復的なゲーム進行が可能性を狭めた作品」

というのが最終的な結論です。

SAOファンは無料体験版で戦闘や進行の手触りを確かめ、世界観に引き込まれたなら製品版へ進む。

シリーズを知らない人は、価格が下がるまで慎重に判断する。

この選び方が最も後悔しにくいと思います。

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