えりかとさとるの夢冒険に隠された“ひでむし”の長文メッセージ

1988年にファミコンで発売された「えりかとさとるの夢冒険」。
一見すると子ども向けの明るいアクションRPGだが、
その内部には、開発者「ひでむし」による数千字に及ぶ“隠しメッセージ”が眠っていた。
2000年代初頭にROM解析で存在が明らかになり、2004年には実機で表示させるコマンド手順が発見。
画面に現れるのは、上司や同僚への愚痴、制作現場への不満、そしてわずかな感謝の言葉。
まるで“開発者の魂の叫び”のようなその文章は、今もなお語り継がれている。
30年越しに解読された、開発者の叫びとは?
長い時を経て突如発見されたメッセージとその謎に迫ります。
ゲーム概要と開発背景
- 発売・機種:1988年9月27日/ファミリーコンピュータ(日本専用) 。
- 開発・発売:開発=アトラス、発売=ナムコ(NAMCOTレーベル)。
- ジャンルと特徴:アドベンチャー(2人同時プレイ対応)。えりかとさとるを同時に動かすギミックや、家・学校・商店街など“身近な日本の街”を舞台にしたフィールドが特色。2人同時プレイのADVは当時でもレア。
- オーディオ/技術的特徴:ナムコの拡張音源 Namco 163(N163) 対応作の一つで、拡張波形音源を活かした多重発音が可能。
- 企画背景(位置づけ):アトラスがファミコン期にナムコ向けタイトルを複数手がけていた流れの中の一作(例:同社は『女神転生』(1987)なども開発・ナムコ発売)。その系譜上のアトラス開発×ナムコ発売のコンシューマー案件として制作された。
発見の経緯
- 1988年発売。当時は誰も知らなかったが、2000年代初頭にROMテキストとして“長文メッセージ”の存在が指摘される。
- 2004年、ついに実機(ゲーム内)で表示させる入力手順がプレイヤー間で共有され、一気に周知。
- 以降、イベントや記事でたびたび検証され、“ファミコン史でも異例の長文メッセージ”として語り継がれている。
- なお、パスワード欄に関する追加の噂もあるが、実機での再現報告は限定的。本記事では確実に再現できる“エンディング画面の手順”に絞って解説する。
実機での再現手順
目標:エンディング後の静止画面で、“ひでむし”の長文メッセージをゲーム上に出す。
失敗しやすいのは押すタイミングと“同時押しの保持”。以下を落ち着いて実施。
事前準備
- 純正ファミコン本体+純正コントローラ(1P/2P)を用意。
※互換機や連射切替機能つきパッドは認識が不安定なことがあります。 - 通常クリアしてエンディングへ進む(最終ボス撃破→スタッフロール)。
実行タイミング
- スタッフロールが終わり、エンディングの静止画(キャラの立ち絵)に切り替わったら、数秒待って画面が完全に静止しているのを確認。
※切り替え直後の入力は失敗しやすいので、1〜2秒置くのがコツ。
入力(同時押し)
- 1Pは「B + SELECT + 十字の右」を押しっぱなし。
- 2Pは「B + 十字の右 + 十字の下」を押しっぱなし。
- 1Pと2P、両方の入力が揃った状態で1秒ほど保持する。
→ 正しく入っていれば、画面が切り替わり長文メッセージが出現する。
よくある失敗と対処
- 同時押しの“保持”が短い:一瞬だと不発。1秒以上キープ。
- 接点不良:1PのSELECTや2Pの下が入りにくい個体が多い。何度か角度を変えて押す/接点清掃。
- タイミングが早すぎる:静止前に押し始めると認識しない。切り替え後に1〜2秒待つ。
- 互換機での不一致:入力認識の遅延が起きやすい。できれば純正本体で。
補足
- 成功後はリセットで通常動作へ復帰するのが無難(電源OFF/ONでも可)。
- 連射機能はOFFにする。意図しない入力になりやすい。
- 実機がない場合は、同等の入力を“同時に押しっぱなし”で再現できる環境(公式配信/実機互換)を利用する。
“ひでむし”メッセージが残した影響
1980年代のゲームでは、開発者の名前すら出せないことが多かった。
そんな時代に“えりかとさとるの夢冒険”は、開発者の心の声をROMに残した。
これは単なる裏ワザではなく、「作り手の感情が作品に刻まれた最初期の例」とされている。
この発見をきっかけに、ファミコンの内部解析や保存活動が活発化。
「ゲームの裏側にも人間のドラマがある」という視点が広まり、
レトロゲームを“文化として保存すべきもの”と考える動きが加速した。
一方で、個人名や内部事情が含まれることから、
現在では「作品として紹介し、内容は伏せる」形式が主流。
扱い方の難しさも、時代とともに学ばれた重要な教訓となった。
現代のプレイヤーが感じるメッセージ性

“えりかとさとるの夢冒険”に隠された「ひでむしメッセージ」は、
単なる裏技やネタではなく、時代を越えて語りかけてくる声として受け止められている。
今のゲームでは、スタッフクレジットはもちろん、SNSで開発者自身が思いを伝えることもできる。
それでもこの作品の隠しメッセージには、匿名性の中でしか語れなかった本音が宿っている。
“作り手の心が見えること”は、ゲームをより深く味わうきっかけになる。
だからこそこの出来事は、30年以上たった今もファンの記憶に残り、
「ゲームは単なる娯楽ではなく、創る人の感情が刻まれた文化」であることを静かに伝えている。