
- 『アクトレイザー』SFC版レビュー|街づくりとアクションの仕組み
- 『アクトレイザー』はどんなゲーム?
- まずACT 1で、神自身が土地を取り戻す
- ジャンプは自由度より、着地点を読むタイプ
- 魔法は4種類、出撃前に一つだけ選ぶ
- ACT 1を終えると、ゲームがまったく違う姿になる
- 人々が進めない場所を「奇跡」で変える
- エンジェルも、ただ町を眺めているわけではない
- 町が育つと、神自身が強くなる
- 人口を増やすだけでは、ACT 2へ進めない
- 住民の問題が、町の発展を止めることもある
- クリエイションは深い都市シミュレーションではない
- アクションだけを見ても、かなり歯応えがある
- 古代祐三の音楽は、二つのモードを別の空気へ切り替える
- 『アクトレイザー2』では、クリエイションがなくなった
- 『アクトレイザー・ルネサンス』は同じゲームの高画質版ではない
- 今遊んでも面白いのは、二つのパートが互いを必要としているから
- 現在では古さを感じるところ
- 2026年現在、SFC版『アクトレイザー』を遊ぶ方法
- まとめ|二つのゲームを入れたのではなく、一つの循環を作った
『アクトレイザー』SFC版レビュー|街づくりとアクションの仕組み
1990年12月16日にエニックスから発売された、スーパーファミコン用ソフト『アクトレイザー』。
開発はクインテット。プレイヤーは「神」となり、魔王サタンに支配された地上を取り戻していきます。
本作を特徴づけるのは、横スクロールのアクションと、人々を導いて土地を発展させる「クリエイションモード」を交互に進める構成です。
ただ、二種類のゲームが入っているだけなら、ここまで特徴的な作品にはなりません。
魔物を倒して土地を解放する。
そこへ人間が戻ってくる。
人々を導き、人口を増やす。
人口が増えると神自身が強くなる。
魔物の巣を封印すると、その土地のACT 2へ進める。
そこで再び、神自らが剣を持って戦う。
戦うことと、人々を育てることが、一つの進行の中で互いに意味を返している。
そこから『アクトレイザー』を見ていきます。
『アクトレイザー』はどんなゲーム?
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発売日 | 1990年12月16日 |
| 対応機種 | スーパーファミコン |
| 発売 | エニックス |
| 開発 | クインテット |
| ジャンル | アクション+シミュレーション |
| プレイ人数 | 1人 |
| 当時価格 | 8,000円+税 |
| セーブ | 1か所 |
世界は魔王サタンと6体の僕によって支配されています。
傷つき眠りについていた神が目覚めたとき、地上から人々の姿はほとんど消え、かつての力も失われていました。
そこで神は、6つの地方を順に解放していきます。
フィルモア、ブラッドプール、カサンドラ、アイトス、マラーナ、ノースウォール。
最初に行けるのはフィルモアだけです。
そこを解放し、人々を増やして神のレベルを上げることで、ほかの地方へ進めるようになります。
つまり物語上の「信仰を取り戻す」という流れと、ゲーム上のレベルアップが最初から重なっています。
まずACT 1で、神自身が土地を取り戻す
新しい土地へ到着すると、最初に行うのが横スクロールのアクションです。
神は地上に残された石像へ乗り移り、剣を手に魔物と戦います。
操作はかなり絞られています。
左右移動
ジャンプ
剣
しゃがみ
魔法
が基本。
ジャンプ中やしゃがんだ状態でも剣を振れます。ゲームを進めれば、剣から「刀気」を飛ばせるアイテムも登場します。
現在のアクションゲームのように、回避、連撃、打ち上げ、空中コンボなどを使い分けるゲームではありません。
それだけに、敵の前へどこまで出るかがそのまま危険度になります。
剣は近接攻撃なので、敵へ届く場所まで入らなければならない。
飛び道具を使う敵なら、弾を避けて近づく必要がある。
飛行する敵なら、ジャンプ斬りで高さも合わせる。
操作の種類よりも、剣を振れる位置へどう入るかに比重があります。
ジャンプは自由度より、着地点を読むタイプ
Bボタンでジャンプ。
空中では方向を調節でき、ジャンプ中の攻撃も可能です。
ただし、現在のアクションゲームほど多彩な空中行動があるわけではありません。
足場を越える。
敵の攻撃を飛び越える。
空中の敵へ剣を当てる。
こうした基本動作を、ステージの地形に合わせて使います。
厳しいのは、失敗したときです。
床や壁から突き出たトゲには、触れただけで即死するものがあります。
崩れる橋の下にある血の湖も即死。
沈む丸太の上では、長く留まることができません。
だから「敵を倒せるか」だけではなく、
次の足場へどう入るか
敵へ接近したあとにどこへ着地するか
まで含めて動かなければなりません。
旧記事にあった「着地硬直」をゲーム性の中心として説明する必要はありません。
本当に厳しいのは、シンプルな操作で敵・地形・即死トラップをまとめて処理することです。
魔法は4種類、出撃前に一つだけ選ぶ
魔法は、ゲーム中のイベントによって増えていきます。
原作SFC版には4種類あります。
ほのおのまほう
ほしくずのまほう
オーラのまほう
ひかりのまほう
です。
戦闘中に4種類を自由に切り替えるのではなく、ACTへ入る前に一つを装備します。
それぞれ消費MPも違います。
炎なら左右へ火球を飛ばす。
星屑なら流星が降り、画面上の敵へダメージを与える。
オーラは自分の周囲へ大きな光球を展開する。
光は画面内の敵すべてへ強力な攻撃を行う。
一括して「広範囲型」「直線貫通型」「多段型」と分類するより、実際の効果を見る方が分かりやすいでしょう。
MPには限りがあるため、剣だけでは処理しにくい場面やボス戦で魔法を使う意味があります。
ただし、魔法を使わなければ成立しない別ゲームになるわけではありません。
剣とジャンプが戦闘の土台で、魔法がそこへもう一つの攻撃手段を加えています。
ACT 1を終えると、ゲームがまったく違う姿になる
ボスを倒してACT 1をクリアすると、その土地へ一組の男女が生まれます。
ここからクリエイションモードです。
操作するのは神自身ではなく、神の僕であるエンジェル。
人々が住む方向を示し、町の発展を助けていきます。
「街づくり」と聞くと、道路や住宅を好きな位置へ一本ずつ配置する都市開発ゲームを想像するかもしれません。
『アクトレイザー』はそういうゲームではありません。
プレイヤーが直接、
「ここに家を置く」
「ここに店を建てる」
と設計するわけではありません。
使うのは「まちのほうこう」。
エンジェルで最大8ブロック分の進路を示すと、人々はその軌跡へ向かって町を広げていきます。
建物を作るのは人間。
神が決めるのは、人々をどちらへ進ませるかです。
人々が進めない場所を「奇跡」で変える
町を伸ばしたくても、地形が邪魔をすることがあります。
そこで使うのが神の「奇跡」です。
いかづち
あめ
たいよう
かぜ
じしん
を使い、地上へ干渉します。
いかづちなら木や岩を取り除ける。
雨なら砂漠を緑地にし、火災を消せる。
太陽なら湿地を乾かし、雪を溶かせる。
風は魔物を吹き飛ばし、イベントでも使います。
地震は地域全体へ影響し、家や畑を壊すこともあります。
万能な都市開発コマンドではありません。
地域ごとの障害に合わせて使い、人々が進める土地を作るための力です。
カサンドラなら乾燥した砂漠。
ノースウォールなら雪。
ブラッドプールなら湿地。
地域の見た目が違うだけでなく、発展を妨げる地形も変わるため、奇跡の用途まで変化します。
エンジェルも、ただ町を眺めているわけではない
クリエイション中も魔物は現れます。
エンジェルは弓矢で攻撃できます。
魔物を倒すとSPが手に入り、奇跡を使うための資源になります。
つまり、
魔物を倒す
↓
SPを得る
↓
奇跡を使う
↓
地形を変える
↓
人々がさらに先へ進める
という小さな循環もあります。
そして各地には、魔物が出現する「巣」があります。
エンジェルが直接壊して終わるわけではありません。
人々の町を巣まで伸ばすことで封印していきます。
だから、町の進行方向を決めることには目的があります。
人口を増やすだけではなく、魔物の巣へ人々を到達させることが攻略になるわけです。
町が育つと、神自身が強くなる
ここがアクションとクリエイションを最もはっきり結び付ける部分です。
町の人口が増えると、神のレベルが上がります。
レベルが上がればHPも増える。
さらに一定レベルへ達すると、新しい土地へ進めるようになります。
人々の発展は、クリエイション画面だけのスコアではありません。
次のアクションを戦う神の強さへ返ってきます。
さらに住民からは「ささげもの」が届くことがあります。
魔法の源ならMPが増える。
橋の技術を別の地域へ渡せば、そこで橋を作れるようになる。
「こめ」を渡せば稲作が始まり、より多くの人を養える。
一つの町で起きたことが、神や別地域へ影響することもあります。
この仕組みのおかげで、クリエイションが「アクションの合間に入る休憩」だけでは終わりません。
人口を増やすだけでは、ACT 2へ進めない
一つの土地にはアクションパートが2回あります。
ACT 1のあとにクリエイションを行い、魔物の巣をすべて封印すると、その地域のACT 2へ進めます。
つまり基本の流れは、
ACT 1
↓
土地の解放
↓
クリエイション
↓
魔物の巣を封印
↓
ACT 2
です。
この構造が6地域へ展開されます。
アクションとクリエイションを好きなタイミングで切り替えて遊ぶオムニバスではありません。
前のパートで行ったことが、次のパートへ進む条件になります。
ジャンルが二つあるというより、一つの攻略手順を二種類の操作で進めるゲームと考えた方が実態に近い作品です。
住民の問題が、町の発展を止めることもある
人々は勝手に増え続けるわけでもありません。
町の状態には、
むじん
おそい
あんてい
ていたい
げんかい
があり、「ていたい」になると何らかの問題を解決する必要があります。
住民から話を聞く。
必要な奇跡を使う。
別の地域で手に入れたものを渡す。
イベントを進める。
こうした対応を行うことで、町が再び動き始めます。
都市開発の自由度は高くありません。
その代わり、クリエイションは地域ごとの問題を解きながら進むイベント型のシミュレーションとして作られています。
ただ人口の数字が上がるのを待つだけではありません。
クリエイションは深い都市シミュレーションではない
現在遊ぶうえでは、ここを理解しておいた方がいいでしょう。
道路を細かく設計する。
税率を決める。
産業を配置する。
資源の生産量を調整する。
そうした都市経営はありません。
町を伸ばす方向を示し、奇跡で地形を整え、魔物を抑え、住民イベントへ対応する。
操作できる範囲はかなり限定されています。
人口が増えるタイミングも一定間隔で訪れる「まち けんせつちゅう」を待つ形なので、現在の感覚では少し待ち時間を感じる場面もあります。
クリエイションだけを取り出せば、一本の都市開発シミュレーションとして極端に深いゲームではありません。
それでも本編では意味があります。
ここで人を増やさなければ、神も強くならない。
この接続があるからです。
アクションだけを見ても、かなり歯応えがある
逆に、アクションは街づくりのおまけでもありません。
フィルモアでは草原や森を進み、ブラッドプールでは血の湖や崩れる足場が現れる。アイトスでは火山地帯、ノースウォールでは雪に閉ざされた土地と、地域によって地形と敵が変わります。
攻撃手段はシンプルですが、
飛び道具を撃つ敵。
突進してくる敵。
空中から来る敵。
即死トラップ。
移動する足場。
ボス。
を、剣・ジャンプ・魔法で処理します。
近接の剣を軸にしているので、敵の攻撃圏へ入らなければ倒せない場面も多い。
そこで、いつ前へ出るかが問われます。
後年の作品ほど自由に動かせるアクションではありませんが、シンプルだから簡単というゲームでもありません。
古代祐三の音楽は、二つのモードを別の空気へ切り替える
音楽は古代祐三氏が担当しています。
アクション、天空城、クリエイション、ボス戦など、場面ごとに明確に曲が切り替わります。2021年の『アクトレイザー・ルネサンス』でも、古代氏自身が原作全曲をアレンジし、新曲も追加しました。
旧記事のように、すべてを一括して「オーケストラ調」と説明する必要はありません。
戦闘では勢いのある曲。
天空城では静かに世界を見下ろす曲。
クリエイションでは人々を導く時間へ切り替わる曲。
ゲーム性が大きく変わるたびに、音楽もその場の速度を変えます。
有名な逸話もあります。
植松伸夫氏は後年、『ファイナルファンタジーIV』制作中に『アクトレイザー』の音を聴いて衝撃を受け、サウンドプログラマーの赤尾実氏とサンプリングをやり直したと振り返っています。
「FFIVの曲そのものを書き直した」という話ではなく、音色用のサンプリングを作り直したという内容です。
『アクトレイザー2』では、クリエイションがなくなった
1993年には続編『アクトレイザー2 沈黙への聖戦』が発売されました。
続編では、初代を特徴づけたクリエイションモードがなくなり、横スクロールアクションへ特化しています。
なぜその方向へ変わったのかを推測する必要はありません。
結果として、初代と『2』ではゲームの構造がかなり違います。
初代を現在遊ぶ価値を考えるときも、「シリーズ第1作だから」ではなく、アクションとクリエイションが交互につながる構造が初代の個性として残っています。
『アクトレイザー・ルネサンス』は同じゲームの高画質版ではない
2021年には『アクトレイザー・ルネサンス』が登場しました。
SFC版を基にしていますが、そのまま映像だけを描き直した移植ではありません。
アクションには、
新しい魔法
回避モーション
斬り上げ・斬り下ろし
新規ステージ
新規ボス
中間セーブ/オートセーブ
などが追加されています。
クリエイション側も大きく拡張されました。
発展段階が増え、追加ストーリーが入り、新しいクリエイションマップも登場します。
さらに、砦を配置して街を守るリアルタイムストラテジー要素があります。
この防衛戦は1990年版にはありません。
原作SFC版でエンジェルが魔物を弓で撃つことと、『ルネサンス』のRTS防衛戦は別のシステムです。
現在の記事で二つを混ぜると、『アクトレイザー』そのものの姿がかなり変わってしまいます。
今遊んでも面白いのは、二つのパートが互いを必要としているから
原作のアクションだけを取り出せば、操作はかなりシンプルです。
クリエイションだけを取り出しても、都市開発の自由度は現在のシミュレーションゲームほど高くありません。
それでも一本通して遊ぶと、意味が変わります。
ACT 1を突破する。
人々が生まれる。
町を伸ばす。
魔物を追い払う。
人口が増える。
神のレベルとHPが上がる。
住民から捧げ物が届く。
巣を封印する。
ACT 2へ向かう。
そして次の土地へ進む。
片方で得た結果が、もう片方を進める理由になります。
これが、『アクトレイザー』を「アクションも遊べる街づくりゲーム」や「街づくりも入っているアクションゲーム」と言い切りにくい理由です。
二つで一つの進行を作っています。
現在では古さを感じるところ
1990年版ならではの厳しさもあります。
アクションの技は少なく、攻撃は近接中心。
一部のトラップは即死。
セーブデータは1か所だけです。
クリエイションも、人々が発展するまで一定の時間を待つ場面があります。
町を自由に設計できるわけではないので、現代的な都市シミュレーションを期待すると物足りません。
UIも現在ほど情報が整理されているわけではありません。
一方で、この簡潔さには利点もあります。
何をすればいいのかは比較的はっきりしています。
魔物を倒す。
人々を導く。
障害を奇跡で除く。
巣を封じる。
次のACTへ行く。
システムが複雑化しすぎないため、二種類のゲームを行き来しても目的を見失いにくい作りです。
2026年現在、SFC版『アクトレイザー』を遊ぶ方法
1990年のオリジナル版をそのまま遊ぶなら、スーパーファミコン本体とカートリッジを使う方法があります。
過去にはWiiバーチャルコンソールでも配信されましたが、新規販売は2019年1月31日に終了しています。
2026年8月現在、Nintendo Switch/Nintendo Switch 2の「Nintendo Classics」には、オリジナルSFC版『アクトレイザー』は収録されていません。
一方、現在購入できるのが『アクトレイザー・ルネサンス』です。
Nintendo Switch、PlayStation 4、Steam、iOS、Androidで展開されており、PlayStation 4版はPS5でも後方互換でプレイできます。Nintendo Switch版とPlayStation版は2026年8月現在もストアで販売されています。
ただし、こちらは原作そのものではありません。
1990年版の簡潔なアクション+クリエイションを知りたいならSFC版。
追加アクションや拡張された街づくりを含めて現在の環境で遊びたいなら『ルネサンス』。
同じ『アクトレイザー』でも、遊びの密度はかなり違います。
まとめ|二つのゲームを入れたのではなく、一つの循環を作った
『アクトレイザー』には、横スクロールアクションとクリエイションがあります。
その組み合わせ自体は、作品の入口にすぎません。
ACT 1で魔物を倒す。
土地へ人間が戻る。
進む方向を示す。
奇跡で土地を整える。
エンジェルで魔物を追い払う。
人口を増やす。
神自身が強くなる。
魔物の巣を封印する。
そしてACT 2へ向かう。
二つのパートは見た目も操作もまるで違います。
でも、ゲームの進行では離れていません。
戦って土地を取り戻すから、人々を育てられる。
人々を育てるから、神が力を取り戻し、次の戦いへ進める。
アクション単体なら、もっと多彩な作品があります。
街づくり単体なら、もっと自由度の高い作品があります。
それでも『アクトレイザー』を遊ぶ理由が残るのは、それぞれ比較的シンプルな二つのゲームを、人口・成長・地域解放によって一つの進行へ結び付けたことにあります。