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警察からLINE・ビデオ通話が来ることはある?「ニセ警察詐欺」617億円、逮捕状・本物の番号でも信用できない理由

警察からLINE・ビデオ通話が来ることはある?ニセ警察詐欺617.1億円、本物の番号でも注意

警察を名乗る人物とのビデオ通話が表示されたスマートフォンと「その警察、本物?」の文字を描いたニセ警察詐欺の注意喚起イメージ

警察官を名乗る人物から突然電話がかかってきて、「あなたは事件の捜査対象になっている」と言われる。さらにLINEへ誘導され、ビデオ通話で警察手帳や自分の名前が入った逮捕状まで見せられた――。

ここまでされると、「さすがに本物の警察では」と思ってしまうかもしれません。

しかし警察庁は、本物の警察官が電話で捜査対象だと伝えたり、メッセージアプリで捜査連絡をしたり、警察手帳や逮捕状の画像を送ったり、個人のスマートフォンへ突然ビデオ電話をしたりすることはないと明記しています。

さらに厄介なのが、スマートフォンの着信画面に実在する警察本部や警察署の電話番号を偽装表示する手口まで確認されていることです。番号を検索して本物の警察署が出てきても、それだけでは相手が本物の警察官だとは判断できません。

2026年7月末までに確認された「ニセ警察詐欺」の被害額は617.1億円。見た目を本物らしくする手口が次々と使われています。

では、本物の警察とどう見分ければよいのでしょうか。

今、警察を名乗る相手と連絡している場合は、次の点を確認してください。

  • LINEなどのメッセージアプリで捜査の話をしている
  • 突然ビデオ通話を求められた
  • 警察手帳や逮捕状の画像を見せられた
  • 「あなたは捜査対象」「逮捕状が出ている」と電話で言われた
  • 「資産を調べる」などとして送金を求められた
  • 「家族にも話してはいけない」と口止めされた

警察庁は、こうした方法で警察官が捜査を進めることはないと案内しています。

着信画面に実在する警察署の番号が表示されていても、それだけでは本物と判断できません。

相手との通話はいったん切り、相手から教えられた番号ではなく、自分で確認した警察署の公式番号や警察相談専用電話「#9110」から確認してください。

今まさに警察を名乗る相手と話しているなら、まずここを確認

警察庁が現在示している基準は明確です。

  • 電話で「あなたは捜査対象だ」と言われた
  • LINEなどのメッセージアプリへ移るよう求められた
  • 警察手帳や逮捕状の画像を送られた
  • 突然ビデオ通話を求められた
  • 「資産を調べる」などとして送金を求められた
  • 「誰にも話してはいけない」と口止めされた

こうした連絡を受けた場合、相手とのやり取りを続けながら真偽を見極めようとするのではなく、いったん電話やビデオ通話を切ることが重要です

相手から教えられた番号には折り返さず、自分で警察署の公式な連絡先を確認するか、警察相談専用電話「#9110」へ相談します。警察庁も、実在する警察署の番号が表示されている場合であっても、それだけで信用しないよう呼びかけています。

ただし、ここで一つ誤解しやすい点があります。

「警察はLINEを使わない」は正確ではない

「警察からLINEが来たら全部ニセモノ」と覚えてしまうと、別の意味で不正確です。

実際、警察庁には特殊詐欺対策のLINE公式アカウントがあります。警察庁の公式サイトでもSNS公式アカウントの一つとして案内されています。都道府県警察でも、防犯情報や採用情報などを発信するためLINEを利用している例があります。

つまり、

警察組織がLINEというサービスを使うことはある。
しかし警察官がLINEで個人に捜査連絡をすることはない。

この二つは分けて考える必要があります。

公式LINEは防犯情報などを広く届けるための情報発信手段です。一方、警察官を名乗る人物が個別トークへ誘導して、「あなたは容疑者だ」「逮捕状が出ている」「口座を調べる必要がある」と捜査を進めるのは別の話です。

警察庁は、警察官がメッセージアプリで連絡することはないと明記しています。

警察からビデオ通話が来ることはある?

ニセ警察詐欺で特に判断を狂わせやすいのがビデオ通話です。

警察庁は、本物の警察官が個人のスマートフォンへ突然ビデオ電話をすることはないとしています。

実際に警察庁が公開している大阪府警察提供の事例では、被害者へ「逮捕した詐欺グループからあなたのキャッシュカードが見つかった」と電話があり、その後LINEのビデオ通話へ誘導されました。

画面には警察官を名乗る人物が現れ、「警察手帳」のようなものを見せ、さらに被害者本人の実名が記載された「逮捕状」まで提示しています。

犯人はそのうえで、「捜査内容は誰にも話してはいけない」「長期間勾留される可能性がある」などと不安をあおっていました。

制服らしい服装をしている。顔を見せている。警察手帳を持っている。

そこまでそろっていても、ビデオ通話越しでは本物である証明にはなりません。

警察手帳の細かなデザインを覚えて真贋を見分けようとするより、「警察が突然ビデオ通話で捜査を進めること自体がおかしい」と判断する方が安全です。

LINEで逮捕状や警察手帳が届くこともない

逮捕状に自分の本名が書かれていたら、かなり動揺するでしょう。

しかし警察庁は、警察官が警察手帳や逮捕状の画像を送ることはないと明記しています。SNSで画像が届いた時点で、「書類が本物っぽいから信用する」という判断をしないことが大切です。

実名や住所などを犯人側が知っているケースもあるため、「自分の名前を知っていた」という事実も本人確認にはなりません。

さらに、逮捕状の画像を送るだけではない手口も確認されています。

「警視庁」のサイトに自分の逮捕状が出ても信用できない

警察庁が公開している事例では、警察官を名乗る人物が被害者をLINEグループへ招待し、URLと受理番号を伝えました。

リンクを開くと「警視庁」と表示されたウェブサイトにつながり、教えられた番号を入力すると、被害者の名前が入った逮捕状のような書類が表示されたといいます。

しかし、これは警察の正規サイトではなく、犯人側が用意したニセのウェブサイトでした。

ここでも判断基準は同じです。

「警察らしいサイトか」
「自分の名前が載っているか」
「受理番号があるか」

ではありません。

警視庁などと表示されたページへ誘導されても、相手から送られてきたURLの中だけで本物かどうかを確認しないことが重要です。

本物の警察署の電話番号が表示されても信用できない

「番号を検索したら、本当に警察署の番号だった」

ニセ警察詐欺で特に危険なのが、このケースです。

警察庁は2025年3月、特殊詐欺の犯人が実在する警察署などの電話番号を着信画面に偽装表示させる手口を確認したとして注意喚起しました。

公表されている事例では、被害者の携帯電話に愛知県警察本部の実在する代表番号が表示されました。

電話に出ると警察官を名乗る人物から、「あなた名義の口座が不正に開設され、資金洗浄事件の容疑者になっている」と告げられます。

その後SNSのビデオ通話へ移り、顔写真付きの警察手帳を示されたうえで、

「口座の資金をすべて確認する必要がある」
「一度すべて振り込んでもらい、資金調査をする」

などと言われ、被害者は250万円を送金しました。

後から、着信画面に表示されていた愛知県警察本部の代表番号へ自分で電話して確認し、詐欺だったことが判明しています。

ここから分かるのは、非常に重要なことです。

表示されている電話番号そのものは本物でも、その電話が本当にその警察署から発信されたとは限りません。

スマートフォンの着信画面を本人確認の材料にしない方が安全です。

「0110」で終わる電話番号なら警察?

警察署の代表番号には、末尾が「0110」になっているものが数多くあります。

実際、北海道警察でも札幌方面の中央警察署、西警察署、南警察署など、多くの警察署が「0110」で終わる代表番号を使っています。

ただし、

「0110だから本物」でも、「0110だから詐欺」でもありません。

警察庁によると、「+」から始まる国際電話番号の末尾を「0110」にして、警察署からの電話に見せる事例も多く確認されています。

国際電話から突然警察を名乗られれば強い警戒材料になりますが、逆に国内の正規番号らしく見えれば安全というわけでもありません。

番号表示だけで結論を出さないことが重要です。

そもそも本物の警察から電話が来ることはある?

あります。

そのため、

「警察から電話が来た=詐欺」

という説明も正確ではありません。

警察が市民に電話連絡をすること自体まで、警察庁は否定していません。

ニセ警察詐欺対策として警察庁が明確に否定しているのは、電話で「あなたが捜査対象になっている」などと伝える行為です。また、電話で取り調べを行うこともないと案内しています。

したがって、知らない警察署から着信があったというだけで慌てる必要はありません。

問題なのは、

「あなたは容疑者だ」
「逮捕される」
「LINEで事情聴取する」
「口座を調べる」
「お金を移してください」

といった方向へ話が進んだ場合です。

最初から警察を名乗るとは限らない

ニセ警察詐欺は、「○○警察署です」という電話から始まるとは限りません。

警察庁が公開している事例では、「2時間後にこの電話を使えなくする」などという自動音声から始まり、その後電話会社や公的機関を装った人物が対応し、「警察へつなぐ」として警察官役へ交代するケースがあります。

沖縄県警察提供の事例では、国際電話番号から自動音声が流れ、携帯電話が犯罪に使われているなどと言われた後、「鹿児島県警で対応する」「SNSで被害届を受理する」と誘導され、SNS上でニセ警察官とのビデオ通話につながりました。

「最初の相手が警察ではなかったから大丈夫」とは判断できません。

ニセ警察詐欺では、複数の役割を演じ分けながら話の信ぴょう性を高めるケースがあります。

「誰にも話すな」と言われる理由

警察を名乗る人物から、

「捜査中だから家族にも話してはいけない」
「秘密を漏らすと捜査に影響する」

などと言われるケースも確認されています。

大阪府警察提供の実録事例でも、「捜査内容は誰にも話してはいけない」と強く口止めしています。

これは被害者が家族や周囲の人へ相談し、「それ、詐欺では?」と止められるのを防ぐ効果があります。

本当に警察か迷っている状況で「誰にも相談するな」と言われたからといって、警察への確認までためらう必要はありません。

むしろ、その場で相手との連絡を切り、独立した経路から警察へ確認するべき場面です。

ニセ警察詐欺は2026年7月末で5,422件、被害617.1億円

警察庁が2026年9月4日に公表した最新の暫定値によると、2026年1~7月末までに確認されたニセ警察詐欺は、

項目2026年1~7月末前年同期比
認知件数5,422件368件減(6.4%減)
被害額617.1億円126.1億円増(25.7%増)

となっています。

ここで注意したいのは、617.1億円は2026年1年間の被害額ではないことです。

7月末までの暫定値であり、「2026年の被害額が617億円」と期間を省略すると意味が変わってしまいます。

さらに数字を見ると、認知件数そのものは前年同期より6.4%減っています。

一方、被害額は25.7%増えました。

つまり、「被害件数が急増したから617億円になった」と単純には説明できません。

2026年上半期の警察庁資料では、ニセ警察詐欺の既遂1件当たり被害額は1,163.9万円。資産や口座を丸ごと調査すると信じ込ませる手口だけでなく、金地金をだまし取る被害も確認されており、1件の被害が非常に高額になるケースがあります。

ただし、7月末の被害額が前年同期より25.7%増えた理由について、警察庁が一つの原因だけを挙げているわけではありません。「○○が原因で617億円になった」と断定するのは避けるべきです。

2026年から「ニセ警察詐欺」が独立した手口に

統計を見る際には、分類方法の変更にも注意が必要です。

警察庁は2026年から、ニセ警察詐欺を特殊詐欺の独立した手口として位置付けました。同時に、SNS型投資詐欺やSNS型ロマンス詐欺も特殊詐欺の一手口として整理されています。

警察庁は「2025年以前の数値については従来通り」としているため、過去のオレオレ詐欺などの数字と2026年のニセ警察詐欺を、そのまま同じ分類として比較することはできません。

なお、2025年のニセ警察詐欺の確定値は11,014件、被害額1,005.0億円です。

2025年の1年間と、2026年1~7月の617.1億円では集計期間が違うため、金額だけを並べて「今年は減った」と判断するのも適切ではありません。

「特殊詐欺は高齢者が狙われる」だけではない

特殊詐欺というと、高齢者が狙われる犯罪という印象を持つ人もいるかもしれません。

ニセ警察詐欺では、もう少し複雑です。

2025年確定値では被害者の年代は30代が最多で、40代以下では、最初の接触手段として携帯電話が9割以上を占めていました。

ところが、2026年上半期の最新集計では、ニセ警察詐欺の認知件数・被害額とも70代が最多となっています。最初の接触ツールは電話が9割以上を占める状況が続いています。

つまり、「今も30代が一番多い」とも、「高齢者だけ狙われる」とも言えません。

年齢に関係なく、携帯電話や固定電話へ突然連絡が入り、「犯罪に関わっている」と不安をあおられる可能性があります。

本物か迷ったら、相手から渡された情報の外へ出る

では、警察官を名乗る電話が本物かどうか、どう確認すればよいのでしょうか。

最も大事なのは、相手が用意した情報の中だけで本人確認を完結させないことです。

相手の所属や氏名を確認したうえで、いったん電話を切ります。

その後は、

  • 着信履歴からそのまま折り返さない
  • 相手が教えてきた電話番号へかけない
  • SMSやLINEで送られた番号を使わない
  • 自分で警察署の公式電話番号を調べる
  • 不安なら#9110へ相談する

という流れが安全です。

実在する番号を偽装表示する手口がある以上、「着信番号を検索して警察署だったから、そのまま折り返す」という確認方法では十分とは言えません。

自分で警察の公式サイトなどを開き、そこに掲載されている連絡先から確認します。

#9110と110はどう使い分ける?

「これが詐欺なのか分からない」という相談であれば、警察相談専用電話の#9110が主な相談先になります。

警察庁は、

110番
:事件や事故に関する緊急の通報

#9110
:生活の安全に関する悩みや困りごとなど、緊急ではない警察相談

と案内しています。

たとえば、

「警察官を名乗る電話が来たが、本物なのか確認したい」

という段階なら、#9110や最寄りの警察署へ相談できます。

一方、現在進行中の事件や事故で、すぐに警察官の対応が必要な場合は110番です。

すでに振り込んでしまったら、警察と金融機関へ連絡を

ニセ警察詐欺だと気付いたときには、すでに送金してしまっている場合もあります。

金融庁は、振り込め詐欺などの被害に遭った場合、警察と振込先の金融機関へ連絡するよう案内しています。

預金口座への振込が使われた詐欺では、「振り込め詐欺救済法」に基づき、振込先口座に残っている資金から被害回復分配金を受け取れる可能性があります。

ただし、犯人がすでに口座から資金を引き出していれば支払いを受けられない場合があります。手続きをすれば必ず全額戻ってくる制度ではありません。

「もう振り込んだから遅い」と諦めず、できるだけ早く警察と金融機関へ連絡することが重要です。

まとめ

警察庁が示しているニセ警察詐欺の見分け方は、「制服が本物に見えるか」「逮捕状が精巧か」といった外見の判定ではありません。

本物の警察が、その連絡方法や要求をするのか。

ここを見る必要があります。

警察庁や都道府県警察がLINE公式アカウントを運用することはあります。しかし、警察官がLINEなどのメッセージアプリで個別の捜査を進めることはありません。

電話で「あなたは捜査対象だ」と告げ、LINEへ誘導し、ビデオ通話で警察手帳や逮捕状を見せ、「資産を調べるから送金してほしい」と言われた場合は、相手との連絡を続けないことが大切です。

着信画面に実在する警察署の番号や「0110」が表示されていても、それだけでは本物だと確認できません。

いったん電話を切り、相手が示してきた番号ではなく、自分で調べた警察署の公式連絡先や#9110から確認する。

ニセ警察詐欺で最も頼りになるのは、「どれだけ本物らしく見えるか」ではなく、この確認方法です。

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