HUNTER×HUNTER考察

HUNTER×HUNTER 414話考察|ゴンとキルアは王位継承戦にどう関わる?ワブル救出の役割

目次
  1. ゴンとキルアの再登場は、王位継承戦を「船外」へ広げる布石
  2. クラピカがゴンとキルアを選んだ理由|必要なのは「強さ」ではなく王位継承戦の外側
  3. ゴンとキルアの勝利条件は「王位継承戦に勝つこと」ではない
  4. ゴンの念能力は戻るのか|再登場しても即復活とは限らない
  5. キルアはナニカを使うのか|ワブル救出で生まれる最大のジレンマ
  6. イルミとカルトは敵になるのか|キルアの再登場がゾルディック家を再接続する
  7. 4人の再集結は「合流」ではなく分業で描かれる可能性
  8. ゴンとキルアは同じ答えを出すのか|再登場しても即座に共闘とは限らない
  9. 本物のワブルをどう見つけるのか|最大の難所は「救出」より本人確認
  10. 船外にいれば継承戦から逃れられるのか|残る「呪い」と参加資格の問題
  11. ゴンとキルア再登場の本当の意味|変わったのはクラピカだった
  12. ゴンとキルアは同時に動かない?別々に描かれた再登場の意味
  13. ゴンとキルアが守るべき命は二つ|「偽物のワブル」も犠牲にはできない
  14. ワブルの除念師候補はアベンガネか|ゴン再登場がつなぐ過去の人物
  15. ゴンとキルアはどうやってワブルへたどり着く?暗号郵便が示す捜索ルート
  16. 現時点の最有力は「船外からの間接参戦」
  17. ゴンとキルアの復帰は暗黒大陸編への布石か|ワブル救出が次の旅を生む可能性
  18. ゴンとキルアが対峙する相手は誰か|船外に残るビヨンドの協力者が最大の障害
  19. まとめ|ゴンとキルアの活躍は「誰を倒すか」では決まらない

ゴンとキルアの再登場は、王位継承戦を「船外」へ広げる布石

『HUNTER×HUNTER』第414話「仲間」の終盤で、ゴンとキルアが約10年以上ぶりに本編へ姿を見せました。クラピカがオイトに対し、自分以上に信頼できる仲間の存在を示した直後に二人が描かれた以上、懐かしいキャラクターを登場させただけの演出ではありません。二人が王位継承戦へ再び関わることを示す、明確な予告と考えられます。

ただし、ゴンとキルアが黒鯨号へ乗り込み、王子や護衛たちとの念能力戦に加わるとは限りません。

今回浮上したのは、クラピカが船内で守ってきたワブルとは別に、本物のワブルが船外に隠されている可能性です。クラピカが二人を頼ろうとしているなら、その役割は航海中の船へ追いつくことではなく、既知世界にいるワブルを発見し、追跡者や呪いから守ることだと考えられます。

この構図が成立すれば、王位継承戦は黒鯨号だけで完結する戦いではなくなります。

クラピカたちが船内でワブルの身代わりを守り、敵の目を引きつける一方、ゴンとキルアは船外で本物の生存を支える。人気キャラクターを戦力として追加するのではなく、同じ継承戦を二つの舞台で進める展開です。ゴンとキルアの再登場が重要なのは、戦える人物が増えたからではなく、物語の構造そのものを変える可能性が生まれたからでしょう。

現在のゴンは、以前と同じように念能力を使えるとは確認されていません。そのため、いきなり強敵を倒す役割よりも、優れた感覚や行動力を生かしてワブルの居場所へたどり着くほうが自然です。

一方のキルアには、電光石火による移動能力、暗殺一家としての知識、そしてアルカとナニカという切り札があります。ただし、ナニカの力を利用すればワブルの呪いを簡単に解決できると決めつけることはできません。キルアにとって最優先なのはアルカを守ることであり、ナニカの存在をカキン帝国やハンター協会に知られる危険も伴うからです。

ゴンはワブルを「見つける者」、キルアはワブルを「逃がす者」になるのか。それとも二人の再登場をきっかけに、ゴンの念能力、ナニカと暗黒大陸、ゾルディック家の問題までが王位継承戦へ合流するのか。

本記事では、ゴンとキルアが再登場した事実を振り返るだけではなく、なぜクラピカがこの二人を選んだのか、船外でなければ担えない役割は何か、それぞれの現在の能力と立場から考察していきます。

クラピカがゴンとキルアを選んだ理由|必要なのは「強さ」ではなく王位継承戦の外側

第414話で注目すべきなのは、ゴンとキルアが再登場したこと自体ではありません。

クラピカが二人に託そうとしているのが、黒鯨号へ乗り込んで敵を倒す役割ではなく、船外にいる可能性が浮上した本物のワブルを探し出し、誰にも発見されない状態で守る任務だと考えられる点です。

ワブルのすり替えが事実なら、クラピカにとって最大の問題は「どう継承戦に勝つか」から「船外のワブルを誰に託すか」へ変わります。本人は黒鯨号から離れられず、レオリオも船内にいます。ハンター協会もビヨンドの拘束や暗黒大陸遠征を抱えているため、組織全体を自由に動かすのは難しい状況です。そこで必要になるのが、カキン帝国とも王位継承戦とも接点が薄く、クラピカが無条件で秘密を預けられる船外の協力者です。

この条件を満たす人物は、作中でもほとんどいません。

ゴンとキルアはカキン側から存在を警戒されておらず、王子や私設兵の監視網にも入っていません。二人が動いても、ワブルとの関係を即座に疑われる可能性は低いでしょう。クラピカとのつながりを知られていないこと自体が、今回の任務では大きな武器になります。

ゴンは「戦う者」ではなく「見つける者」になれる

現在のゴンが、以前と同じように念能力を使える状態なのかは確認されていません。

しかし、本物のワブルの所在を探すために必要なのは、必ずしも戦闘能力ではありません。わずかな痕跡から対象を追う感覚、未知の土地でも迷わず行動する判断力、初対面の人間から情報を引き出す率直さは、ゴンが物語の初期から持ち続けてきた資質です。

王位継承戦の複雑な念能力戦へ、念を失ったゴンをそのまま投入するのは不自然です。反対に、念能力に頼らず人や場所を探し当てる任務なら、現在のゴンを無理なく物語へ戻せます。

ゴンの復帰は、新たな必殺技を得るところからではなく、ハンターとして対象を追う原点から始まるのかもしれません。

キルアは「赤ん坊を守りながら逃げる」経験をすでに持っている

キルアの強みは、敵を倒せることだけではありません。

選挙編では、アルカをゾルディック家から連れ出し、追跡する執事やイルミの動きを読みながら、安全な場所まで移動させました。自分よりも無防備な存在を守り、追跡をかわし、必要なら進路を即座に変更するという経験は、ワブルの護衛任務と重なります。

戦闘を避けられない場合にはキルアが対処し、追跡者が近づけばワブルを連れて離脱する。ゴンが所在を突き止め、キルアが安全を確保する役割分担なら、二人の能力を生かしながら、王位継承戦とは異なる形の緊張感を作れます。

さらに重要なのは、キルアが権力や組織の判断よりも、守ると決めた相手を優先する人物であることです。

ワブルが王子だから守るのではなく、命を狙われている赤ん坊だから守る。その判断を期待できるからこそ、クラピカはカキン帝国の重大な秘密を二人に預けられるのでしょう。

本物のワブルが船外にいるなら、勝利条件は敵を全滅させることではありません。

カキン側に所在を知られず、継承戦が決着するまで生存させることです。

ゴンとキルアが選ばれた理由は、王位継承戦でも通用するほど強いからではなく、王位継承戦の外側で、誰にも気づかれずに動ける二人だからだと考えられます。

ゴンとキルアの勝利条件は「王位継承戦に勝つこと」ではない

ゴンとキルアが担う役割を考えるうえで重要なのは、二人がほかの王子陣営を倒してワブルを勝者にする必要はないという点です。

第414話で整理されたワブルの問題は、本物の所在だけではありません。仮に船外で発見できたとしても、ビヨンド=ネテロが用意した詛贄者の呪いをどうするのか、継承戦から離脱した後にカキン帝国がワブルをどう扱うのかという危険が残ります。船の外にいることと、王位継承戦から完全に解放されることは同じではありません。

そのため、ゴンとキルアの任務はワブルを見つけて終わるものではないでしょう。

本物のワブルを秘密裏に保護し、呪いが発動する条件を調べ、クラピカたちが継承戦から離脱させる方法を確立するまで生存させる。二人に求められるのは、王位継承戦へ新たな戦力として加わることではなく、ワブルを戦いのルールから切り離すための時間を稼ぐことだと考えられます。

ここで船内と船外の役割が明確に分かれます。

クラピカは、現在1014号室にいる赤ん坊を第14王子として守りながら、王位継承戦の制度、ビヨンドの計画、詛贄者の呪いを調べる必要があります。一方、ゴンとキルアは、カキン側に本物の所在を知られないまま保護を続けることになります。

船内の赤ん坊が囮として機能している間は、本物のワブルへ追跡の目が向きません。しかし、すり替えが公表されれば、クラピカたちを危険から解放できる代わりに、船外のワブルが新たな標的となります。

つまり、すり替えの事実は早く公表すればよいわけではありません。

ゴンとキルアが本物を確保し、安全な避難先と呪いへの対策を用意した段階で初めて、クラピカは「船内の赤ん坊は第14王子ではない」と明かせます。二人の動きは、クラピカが切れる最後のカードを成立させるための準備になるのです。

この展開なら、ゴンとキルアを無理に黒鯨号へ合流させる必要もありません。

現在の王位継承戦は、多数の王子、私設兵、念能力者、マフィアが絡み合う極めて複雑な状況です。そこへ二人を直接投入すれば、既存の勢力図をさらに膨らませることになります。

しかし、船外に新たな舞台を設ければ、クラピカを王位継承戦の中心に残したまま、ゴンとキルアを物語へ復帰させられます。二人が主役の座を奪うのではなく、クラピカだけでは実行できない部分を引き受ける構造です。

そして最終的な目的は、ワブルを第14王子として勝たせることではありません。

誰かを殺して唯一の生存者にするのでもなく、赤ん坊を死亡扱いにするのでもなく、生きたまま王位継承戦から外すことです。

最後の一人になるまで続くはずだった継承戦に、「参加者を戦いの外へ逃がす」という第三の決着を持ち込む。

ゴンとキルアが果たす最大の役割は、王位継承戦へ参戦することではなく、その絶対的に見えたルールを船外から崩すことなのかもしれません。

ゴンの念能力は戻るのか|再登場しても即復活とは限らない

ゴンが王位継承戦に関わると聞いて、最も気になるのは「念能力を取り戻すのか」という点でしょう。

しかし、第414話の再登場時点では、ゴンが念を使えるようになったことも、修行を再開していることも描かれていません。二人が物語へ戻ったからといって、ゴンまで以前の戦闘力を取り戻したと考えるのは早計です。

ゴンは「オーラを失った」と確定したわけではない

第345話で自分のオーラを出せないことに気づくゴン

キメラ=アント編のゴンは、ネフェルピトーを倒すため、自分が将来得るはずだった力をすべて引き出しました。

その代償によって肉体は瀕死の状態となり、アルカの中にいるナニカの力で命を救われます。ところが回復後、ゴンは以前のようにオーラを出すことができなくなりました。

第345話で相談を受けたジンは、世界樹で会った際のゴンからはオーラが出ていたと指摘しています。ゴンの生命エネルギーそのものが消滅したのではなく、本人がオーラを感じ取り、意識的に扱えない状態になっている可能性があるのです。

一方でジンは、ゴンがすべてを失う覚悟で戦いながら「普通」に戻れたことを重く見るよう促しました。念を再び使う方法を教えたわけでも、修行すれば元に戻ると保証したわけでもありません。

したがって、現時点で正確に言えるのは次の状態です。

ゴンにはオーラが残っている可能性が高い。しかし、それを見たり操作したりできるのか、再び念能力者になれるのかは分からない。

「完全に念を失った」と「すぐ修行すれば復活できる」のどちらも、まだ確定していません。

ナニカに頼んでも元通りにならなかった意味

ゴンの念能力を復活させる方法として、再びナニカに頼む展開を想像することもできます。

ただし、ナニカはすでにゴンの肉体を治しています。それでもゴンが念を扱えなくなったのなら、現在の状態は治療漏れというより、ゴン自身が結んだ誓約の結果として残された可能性があります。

肉体を治すことと、自ら差し出した才能や将来性を取り戻すことは同じではありません。

さらにキルアは、アルカとナニカを便利な能力として利用する家族から守るために旅へ出ました。ゴンを戦力へ戻すため、再びナニカへ力を使わせる展開は、現在のキルアの目的とも合いにくいでしょう。

ワブルを救うためにナニカが関わる可能性は否定できませんが、ゴンの戦闘力を簡単に元へ戻すための手段として使われる可能性は高くないと考えられます。

以前の「ジャジャン拳」がそのまま戻るとは限らない

仮にゴンが再び念を習得できても、キメラ=アント編以前と同じ状態に戻るとは限りません。

ジャジャン拳は、強化系の資質とゴンの単純で一直線な性格が結びついた能力でした。しかし、現在のゴンはネフェルピトーとの戦いで、自分の怒りを優先した結果、キルアを傷つけ、自身の未来まで失っています。

その経験を経たゴンが、以前と同じく全力を拳へ集中させる能力を選ぶのかは疑問が残ります。

念能力は使用者の性格や目的と深く結びつきます。ゴンが再び発を習得するなら、相手を倒すことだけではなく、誰かを探す、守る、危険から逃がすといった目的が反映される可能性もあります。

これは新能力の獲得が確定しているという意味ではありません。

ただ、ゴンが本当に成長しているなら、強大な力を取り戻すことよりも、同じ過ちを繰り返さない能力の使い方を選ぶほうが、再登場後の物語としては意味があります。

王位継承戦はゴンの念を戻すための舞台ではない

王位継承戦では、高度な念能力や複雑な制約が次々と登場しています。

だからこそ、ゴンを参加させるためには念能力の復活が必要だと思われがちです。しかし、ゴンが担当すると考えられるのは、黒鯨号内の王子同士の戦闘ではなく、船外にいる本物のワブルに関わる任務です。

少なくとも最初の段階では、ゴンが強力な念能力者である必要はありません。

むしろ念を使えない状態で依頼を受けるかどうかが、ゴンの変化を示す場面になります。

以前のゴンは、自分が納得するまで危険へ突き進み、周囲の制止を聞かないことがありました。現在の自分にできないことを認め、キルアやほかのハンターへ任せる判断ができるなら、それも明確な成長です。

反対に、ワブルを守るために念が必要だと知り、自分の意思で基礎から学び直すのであれば、ゴンの再出発には新たな理由が生まれます。

父親を探す旅はすでに終わりました。

次に念を身につけるとすれば、それは自分の目的を達成するためではなく、助けを求める誰かに応えるためかもしれません。

ゴンの復活で本当に問われるのは、ジャジャン拳を再び撃てるかではありません。

一度すべてを投げ捨てた少年が、今度は何を守るために力を求めるのか。

王位継承戦への関与は、ゴンの念能力を都合よく元へ戻す展開ではなく、力を失った後のゴンが初めて自分の意志で進路を選ぶ物語になる可能性があります。

キルアはナニカを使うのか|ワブル救出で生まれる最大のジレンマ

船外にいる可能性があるワブルを救ううえで、最大の切り札として思い浮かぶのがナニカです。

ナニカは、キメラ=アント編で瀕死となったゴンの肉体を回復させました。さらにキルアは、通常の「おねだり」と「お願い」の手順とは異なり、ナニカへ直接命令できる特別な立場にあります。ワブルにビヨンド=ネテロが仕込んだ呪いが残っているなら、ナニカに解除させれば解決できるようにも見えます。

しかし、ゴンを治した実績だけで、ナニカがワブルの呪いも解除できるとは断定できません。

ゴンが受けていたのは、自ら結んだ誓約によって肉体が崩壊した状態です。一方、ワブルに関わるのは、詛贄者の死や念を利用して対象を害する仕組みだと考えられています。傷ついた肉体を修復することと、現在も発動条件が生きている呪いを消滅させることは同じではありません。

仮に一度は症状を取り除けても、呪いの根本がビヨンドや詛贄者側に残っていれば、再びワブルへ作用する可能性もあります。

第414話でも、本物とされるワブルを船外で保護するだけではビヨンドの呪いを解決できず、除念やビヨンド本人への対処が必要になる可能性が話し合われました。ゴンとキルアに期待されているのは、現段階ではワブルの捜索と保護であり、ナニカによる解決まで決まったわけではありません。

ナニカを使うには、アルカを危険へ連れていく必要がある

ナニカが治療を行う際には、対象へ直接触れる必要があります。

つまり、ワブルを治すためには、キルアがアルカをワブルのもとまで連れていかなければなりません。電話越しに命令したり、離れた場所から呪いだけを消したりできるとは確認されていないのです。

ここでキルアは重大な選択を迫られます。

所在を隠さなければならないワブルのもとへ、ゾルディック家が追い続けているアルカを連れていけば、守るべき二人を同じ場所へ集めることになります。ワブルを狙うカキン側の人間にナニカの能力を知られれば、今度はアルカ自身が利用や拘束の対象になりかねません。

ハンター協会に協力を求める場合も同様です。

ナニカが規格外の力を持つと知られれば、善意の保護だけで終わる保証はありません。暗黒大陸に由来する可能性が高い存在として、調査や管理を求められる展開も考えられます。

キルアはナニカを「便利な解決手段」に戻せるのか

アルカに謝罪しナニカを呼んでもよいか尋ねるキルア

キルアがアルカと旅に出た理由は、ナニカの力を自由に使うためではありません。

能力だけを恐れ、利用価値でアルカを判断するゾルディック家から、アルカとナニカの両方を守るためでした。キルア自身も一度はナニカへ二度と出てこないよう命じましたが、アルカに拒絶され、ナニカも大切な家族として受け入れ直しています。

そのキルアが、クラピカから頼まれたからといって、ナニカへ一方的に「ワブルの呪いを消せ」と命令するのは、これまでの成長と矛盾します。

ナニカに救える力があるか以上に重要なのは、アルカとナニカがその危険を理解したうえで協力する意思を持つかどうかです。

キルアが今回試されるのは、切り札を使う決断力ではありません。

目の前に救えるかもしれない赤ん坊がいても、アルカとナニカを道具として扱わずにいられるのか。ワブルの命と妹たちの安全が両立しない場合、どこまで危険を引き受けるのかという判断です。

そのため、ナニカは最初から呪いを消す解決役ではなく、通常の除念やビヨンドへの対処が失敗した後に残される最後の選択肢になる可能性が高いでしょう。

キルアの役割は、ナニカを使って王位継承戦を終わらせることではありません。

ワブルを呪いから守りながら、アルカとナニカを新たな争いへ巻き込ませないことです。

一人の子供を救うために、もう一人の子供を犠牲にしない。その難題こそが、再登場したキルアに用意された最も重い戦いになるのかもしれません。

イルミとカルトは敵になるのか|キルアの再登場がゾルディック家を再接続する

キルアがワブル救出へ動く場合、警戒すべき相手はカキン帝国だけではありません。

黒鯨号には、兄のイルミと弟のカルトが幻影旅団の一員として乗船しています。イルミはヒソカから自分を殺す依頼を受けたと説明しており、現在の目的は船内にいるヒソカの捜索です。少なくとも現時点では、キルアやアルカを追うために黒鯨号へ乗ったわけではありません。

黒鯨号に乗船しているイルミとカルト

そのため、ゴンとキルアが船外で動く限り、ゾルディック家の兄弟がすぐに対面する展開にはならないでしょう。

問題は、キルアがナニカの力を使ったことをイルミに知られた場合です。

イルミは選挙編で、キルアが代償を負わずにナニカへ命令できることを知り、その能力を利用するためにはキルアを支配すればよいと考えていました。キルアがアルカを連れて家を離れたことで直接的な追跡は止まりましたが、イルミがナニカへの執着を捨てたと確認できる描写はありません。

ワブルの呪いを解くためにナニカが力を使えば、その痕跡はキルアにとって大きな弱点になります。

規格外の治療や除念が起きれば、クラピカやレオリオだけでなく、ハンター協会、カキン関係者、ビヨンド側の人間にも「誰が何をしたのか」を探られる可能性があります。そこから情報が船内へ届けば、イルミはヒソカとは別に、キルアとナニカを再び追う理由を得ることになります。

つまり、キルアにとって最も強力な解決策が、最も危険な相手を呼び寄せる合図にもなり得るのです。

この構図では、イルミがワブルを直接狙う必要はありません。

ワブルを危険から救おうとするキルアを利用すれば、これまで所在を隠していたアルカとナニカへ接近できます。さらに、ワブルを守るために自由に移動できない状況を作られれば、キルアは選挙編のように逃げ続けることも難しくなります。

キルアはワブルを守るほど、自分が最も守りたいアルカを危険へ近づけてしまうことになります。

一方、カルトがどのように動くかは読めません。

現在のカルトは幻影旅団の一員として行動しており、キルアの再登場を知った場合に兄を助けるのか、イルミに従うのか、旅団の目的を優先するのかは明らかになっていません。ここで家族としての感情を断定することはできませんが、キルアの船外での行動が、船内にいる二人の判断へ影響を与える可能性はあります。

重要なのは、ゴンとキルアが黒鯨号へ乗らなくても、物語が船内と接続できる点です。

船外で起きたナニカの能力行使をイルミが察知する。イルミの動きを警戒したキルアが、船内にいるクラピカやレオリオへ連絡する。あるいは、ヒソカを追うはずだったイルミの目的が変化し、幻影旅団内にも新たな混乱が生まれる。

こうした情報の連鎖だけでも、ワブル救出と船内の抗争はひとつの物語になります。

キルアがイルミとの再戦を避けるためには、ナニカを使わずにワブルを救うのが最も安全です。

しかし、通常の方法では呪いを解除できないと判明すれば、キルアはアルカを危険にさらしてでもナニカへ頼るか、救えるかもしれないワブルを見捨てるかという選択を迫られます。

イルミとの直接対決より先に問われるのは、キルアが最大の切り札を「使わない」という決断を貫けるかどうかです。

ゴンとキルアの再登場は、止まっていたゾルディック家の物語を再び動かす可能性があります。ただし、その引き金になるのは兄弟の偶然の再会ではありません。

ワブルを救うためにナニカを使うか。

その選択こそが、船外にいるキルアと船内にいるイルミを再び結びつける、最も危険な接点になるでしょう。

4人の再集結は「合流」ではなく分業で描かれる可能性

ゴンとキルアが再登場したことで、ハンター試験から続く4人が再び顔をそろえる展開も期待されています。

しかし、現在の状況で全員が黒鯨号に集まる必要はありません。むしろ、それぞれが異なる場所から同じ問題を解決する形のほうが、王位継承戦の構造に合っています。

クラピカは第14王子陣営の内側で、継承戦の制度とビヨンド=ネテロが仕込んだ呪いを調べる立場です。船外へ出られない代わりに、何を確認し、誰を動かすべきかを判断できます。

ゴンとキルアは、カキン帝国の監視が及びにくい船外から本物のワブルを捜索する役割を担えます。ただし、二人が赤ん坊を発見しても、それだけで問題が解決するわけではありません。

本物であることをどう確認するのか。呪いによる身体への影響が出ていないか。移動に耐えられる健康状態なのか。保護後も医療を受けさせながら、存在を隠し続けられるのか。

ここで必要になるのがレオリオです。

レオリオは黒鯨号に乗船し、チードルやゲルとともに医療に携わっています。実際にハルケンブルクが倒れた際にも、医療側の人間として治療に加わりました。戦闘ではなく、船内の医療とハンター協会につながる人物として配置されています。

レオリオがワブルの秘密を知れば、船内で得られた医学的な情報をクラピカへ渡し、船外で保護するゴンとキルアへ必要な対応を伝える橋渡し役になれます。

一方で、協会の医療設備を使えば、診察記録や関係者から情報が漏れる危険も生まれます。チードルたちへ事情を明かすのか、それともレオリオだけに秘密を共有するのか。レオリオには、医療を優先するほどワブルの存在を隠しにくくなるという難しい判断が求められるでしょう。

この分業が成立した場合、4人の役割は明確です。

クラピカが真相を解き、ゴンが対象へたどり着き、キルアが危険から逃がし、レオリオが命をつなぐ。

ハンター試験当時の4人が同じ敵と戦うのではなく、それぞれが歩んできた道で得たものを持ち寄り、ひとりの赤ん坊を救う構図です。

第414話の題名が「仲間」であることを考えても、重要なのは再会そのものではないのでしょう。クラピカが単独で抱えてきた問題を、離れた場所にいる仲間へ託せるようになったことに意味があります。

4人が再び並ぶ場面が描かれるとしても、それは作戦の始まりではなく、別々の場所で役割を果たした後になるのかもしれません。

ゴンとキルアは同じ答えを出すのか|再登場しても即座に共闘とは限らない

第414話で描かれたのは、クラピカが船外のワブルを託せる仲間として、ゴンとキルアを思い浮かべたところまでです。

二人が依頼を受けた場面も、再び一緒に行動すると決めた場面もありません。クラピカの信頼と、ゴンやキルア本人の判断は分けて考える必要があります。

特にキルアは、以前のようにゴンの目的だけを優先できる立場ではありません。

現在のキルアには、アルカとナニカをゾルディック家の支配から守るという、自分で選んだ目的があります。ワブルの捜索がカキン帝国やビヨンド=ネテロの計画へつながる以上、依頼を受ければアルカまで危険に巻き込む可能性を考えなければなりません。

クラピカからの依頼だから協力することと、ナニカの力まで提供することは別問題です。

キルアはワブルの捜索や護衛には応じても、アルカを現場へ連れていくことや、ナニカを除念の手段として使うことには強く反対する可能性があります。ここで条件を設けなければ、選挙編で家族から守り抜いたアルカを、今度は自分が目的のために利用することになってしまうからです。

一方のゴンは、事情を聞けばすぐに行動しようとするでしょう。

命を狙われている赤ん坊を放置できる性格ではなく、クラピカが助けを求めているなら、念能力を使えないことを理由に断るとは考えにくい人物です。

しかし、そこで以前と同じように危険へ飛び込めばよいわけではありません。

現在のゴンには、自分の判断を押し通した結果、キルアを深く傷つけ、自身の未来まで失った経験があります。今回の依頼で問われるのは、困っている相手を助ける勇気よりも、自分にできることとできないことを冷静に判断できるかどうかです。

ゴンが「一緒に来てほしい」と求めても、キルアがアルカの安全を理由に断る可能性はあります。

そのとき、ゴンがキルアの事情を受け入れ、自分だけで動くのか。ナニカに頼らない方法を二人で探すのか。それとも、ワブルとアルカを同時に守れる条件が整うまで行動を待つのか。

この選択は、二人が再び並んで戦うこと以上に重要です。

キメラ=アント編までのゴンとキルアは、互いを大切に思いながらも、対等な関係を保てなくなっていました。ゴンは自分の怒りを優先し、キルアは傷つきながらもゴンを支え続けています。

再登場後の二人が本当に成長しているなら、かつての関係へそのまま戻るのではなく、異なる事情と責任を持つ者同士として協力するはずです。

ゴンがキルアの「できない」を尊重し、キルアもゴンを危険から遠ざけるだけでなく、その判断を信じて任せる。

ワブル救出は、二人を再び一緒に冒険させるための依頼であると同時に、ゴンとキルアが以前とは違う関係を築けるかを試す物語になるのかもしれません。

本物のワブルをどう見つけるのか|最大の難所は「救出」より本人確認

ゴンとキルアが依頼を受けたとしても、すぐに本物のワブルを保護できるとは限りません。

第414話で二人の存在が示された一方、本物のワブルが現在どこにいるのか、誰が育てているのか、オイトが今も連絡を取れる状態なのかは明らかになっていません。捜索を始めるには、まずオイトから赤ん坊を託した相手や移送経路について、可能な限り具体的な情報を引き出す必要があります。

さらに難しいのは、発見した赤ん坊が本当にワブルだと証明することです。

顔や年齢だけでは判断できず、出生記録や医療記録を調べれば、カキン側に捜索の動きを察知される恐れがあります。DNA鑑定も候補になりますが、王族の試料や検査機関を秘密裏に確保しなければならず、結果が外部へ漏れれば本物の所在を自ら知らせることになりかねません。

だからこそ、最初からハンター協会や公的機関を大規模に動かすのは危険です。

ゴンとキルアに求められるのは、赤ん坊を見つけた瞬間に連れ去ることではなく、周囲に気づかれないまま身元と保護者の意図を確認することでしょう。

ゴンは、書類や肩書よりも、目の前の人物を観察して信頼できるかを判断してきました。キルアは追跡者の存在、監視の有無、逃走経路まで含めて状況を組み立てられます。ゴンが保護者との関係を築き、キルアが情報の矛盾や尾行を警戒するなら、二人の違いが捜索で生きてきます。

ただし、オイトが信じている相手が本当に味方とは限りません。

ワブルのすり替えそのものがビヨンド側の計画に利用されていたなら、赤ん坊を預かった人物も監視下に置かれている可能性があります。ゴンとキルアが接触したことをきっかけに、隠されていたワブルの所在が敵側へ伝わる展開も考えられます。

そのため、二人が最初に探すべき相手はワブル本人ではなく、すり替えを実行した人物かもしれません。

誰が赤ん坊を運び、誰が新しい身分を用意し、誰が現在まで生活を支えているのか。その経路を逆にたどることで初めて、保護先が安全なのか、すでにビヨンドやカキン側へ情報が漏れているのかを判断できます。

本物のワブルを発見しても、現在の生活から動かすほうが危険なら、あえて接触せず監視だけを続ける選択も必要です。

ゴンとキルアの最初の活躍は、強敵との戦闘ではなく、ひとつの情報も漏らさずに赤ん坊の身元を確かめる潜入捜査になる可能性があります。

そこで問われるのは、二人がどれほど強いかではありません。

誰の言葉を信じ、いつ正体を明かし、どの段階でワブルを動かすのか。王位継承戦の外側でも、最初の難関は敵を倒すことではなく、味方を見極めることになるでしょう。

船外にいれば継承戦から逃れられるのか|残る「呪い」と参加資格の問題

本物のワブルが黒鯨号の外にいたとしても、それだけで安全が確定するわけではありません。

第414話では、ワブルの所在と王位継承戦への参加資格が別の問題として扱われています。本物が船外にいる場合、ほかの王子陣営から直接襲われる危険は大きく下がります。しかし、壺中卵の儀による継承戦の対象から完全に外れているのか、ビヨンド=ネテロが準備した呪いまで無効になるのかは判明していません。

ここで区別すべきなのは、「船にいないこと」と「継承戦へ参加していないこと」です。

現在1014号室にいる赤ん坊が本物のワブルではないなら、その子にはカキン王家の血統に基づく継承資格がありません。一方、本物のワブルがどの段階ですり替えられたのかによっては、本人が壺中卵の儀や乗船条件に関わっていた可能性が残ります。

つまり、本物が船外で生きていたとしても、儀式だけはワブルを第14王子として認識している状況も否定できません。

この場合、船外は安全地帯ではなく、攻撃者から距離を置けるだけの避難場所になります。ほかの王子が死亡するたびに継承戦の力が変化するのであれば、遠く離れたワブルにも何らかの影響が及ぶ可能性があります。

さらに厄介なのが、ビヨンドの子供たちを利用した呪いです。

詛贄者の呪いが対象の居場所ではなく、第14王子という身分や血縁を基準にしているなら、ワブルが黒鯨号の外にいても逃れられません。むしろ所在が分からなければ、発症の兆候を確認することも、除念師を接触させることも難しくなります。第414話で詛贄者の特定が急務とされたのは、本物を発見するだけでは呪いを止められないからでしょう。

そのため、ゴンとキルアが最初に行うべきなのは、ワブルを別の場所へ移すことではありません。

本物がどこにいるのかを確認したうえで、現在の保護先が知られていないなら、その状態を維持する必要があります。安全な場所から不用意に動かせば、カキン側だけでなく、詛贄者やビヨンドの協力者に所在を察知される危険が高まるからです。

これは、行動力に優れたゴンにとって意外に難しい任務です。

目の前に助けるべき相手がいれば、ゴンはすぐに手を差し伸べようとします。しかし今回は、接触しないこと、連れ出さないこと、事情を知らない保護者へすべてを明かさないことが、ワブルを守る最善策になるかもしれません。

キルアには、その衝動を抑えながら危険の範囲を見極める役割が生まれます。

本物のワブルが継承戦の参加者なのか。呪いは船外まで届くのか。現在の保護先はすでに監視されていないか。この三点が判明するまでは、救出より現状維持を優先する判断が必要です。

ゴンとキルアが王位継承戦のルールを力ずくで破壊するのではなく、ルールが届く境界を船外から確かめる。

二人の最初の成果は、ワブルを派手に救い出すことではなく、誰にも存在を知られないまま「今は動かすべきではない」と判断することになる可能性があります。

ゴンとキルア再登場の本当の意味|変わったのはクラピカだった

第414話「仲間」で最も大きく変化したのは、再登場したゴンとキルアではなく、二人を頼ろうとしたクラピカなのかもしれません。

これまでのクラピカは、仲間を大切に思うからこそ、自分の復讐や危険な任務から遠ざけようとしてきました。王位継承戦でも、協力関係を広げながら最も重い負担は自分で引き受け、ワブルとオイトを守るために命を削り続けています。

しかし、本物のワブルが船外にいる可能性が生まれたことで、クラピカ一人では解決できない領域が現れました。黒鯨号から離れられない以上、船外の捜索と保護は誰かに任せるしかありません。

そこで思い浮かべたのが、強大な組織でも経験豊富な十二支んでもなく、ゴンとキルアでした。

これは単に二人の能力を評価した判断ではないでしょう。クラピカが自分の命だけでなく、守ると決めたワブルの命まで預けられる相手として二人を選んだことに意味があります。利害や契約によって成立した協力者ではなく、失敗した場合の責任まで共有できる「仲間」を初めて作戦の中心に置いたのです。

ワブルがクラピカへ手を伸ばし信じると答えるオイト

そのため、ゴンとキルアは王位継承戦を解決する切り札として登場するのではないと考えられます。

船内の謎を解き、継承戦のルールと向き合う役割は引き続きクラピカにあります。二人が担うのは、クラピカの代わりに戦うことではなく、彼の手が届かない場所を引き受けることです。

第414話の題名が「仲間」であることも、この変化を象徴しています。長期間姿を見せなかったゴンとキルアの再登場だけを指すのではなく、孤立しながら戦ってきたクラピカが、ようやく仲間へ助けを求める段階に進んだという意味も込められているのでしょう。ゴンとキルアが約12年ぶりに本誌へ登場したこと自体、大きな話題となっています。

王位継承戦に二人が加わる最大の効果は、戦力が増えることではありません。

クラピカが「自分がすべてを背負わなければならない」という戦い方から抜け出し、離れた場所にいる仲間を含めた作戦へ切り替えられることです。

ゴンとキルアの帰還は、二人の新しい冒険の始まりであると同時に、クラピカが一人で終わりへ向かう物語を変えるための転換点なのかもしれません。

ゴンとキルアは同時に動かない?別々に描かれた再登場の意味

第414話でゴンとキルアは再登場しましたが、二人が同じ場所で依頼を受けたわけではありません。

ゴンはくじら島で暮らしており、キルアはアルカと旅を続けています。物語から離れていた二人の現在地が別々に描かれたことを考えると、すぐに合流して以前のようなコンビへ戻るとは限らないでしょう。

アルカとの旅を続けるキルアを仲間として送り出すゴン

クラピカが船外の仲間として二人を思い浮かべたとしても、任せる役割まで同じである必要はありません。

本物のワブルを探すだけなら、現在大きな任務を抱えていないゴンのほうが先に動きやすい立場です。念能力を使えるかは不明でも、捜索対象を追い、人と直接向き合いながら手掛かりをつなぐ役割なら、ゴンの行動力を生かせます。

一方、キルアにはアルカを守り続けるという現在の目的があります。

ワブルの捜索に協力するだけならともかく、カキン帝国やビヨンドの呪いへ近づけば、アルカとナニカまで危険にさらしかねません。クラピカから頼まれても即座に合流するのではなく、まずゴンが調査を始め、通常の方法では解決できない問題が判明した段階でキルアへ協力を求める流れも考えられます。

この順番なら、ナニカが最初からすべてを解決する展開も避けられます。

ゴンが本物のワブルへつながる経路を探し、船内のクラピカたちが呪いの仕組みを調べ、それでも保護できないと分かった時点でキルアの判断が必要になる。二人を同時に投入するのではなく、問題の深刻さに応じて段階的に物語へ戻す構成です。

第414話で示されたのは、昔の主人公コンビの完全復活ではありません。

ゴンは力を失った後の生活を送り、キルアはアルカを守る人生を選んでいます。現在の二人には、それぞれ別の事情と責任があります。

だからこそ、再登場後も同じ道を歩ませるのではなく、ゴンは自分にできる方法で捜索を始め、キルアはアルカの安全を守りながら協力の限界を見定める可能性があります。

二人が再び並ぶとしても、それは依頼を受けた瞬間ではないでしょう。

別々の場所で新たな役割を果たした末に合流するからこそ、ゴンとキルアの再会は、過去への回帰ではなく成長後の再出発になるのです。

ゴンとキルアが守るべき命は二つ|「偽物のワブル」も犠牲にはできない

本物のワブルが船外にいると判明しても、1014号室にいる赤ん坊を見捨ててよいことにはなりません。

すり替え説が正しい場合、現在クラピカとオイトが守っている子供は、カキン王家とは無関係の赤ん坊である可能性があります。しかし、ほかの王子陣営からは第14王子ワブルだと認識されているため、本人の出自にかかわらず命を狙われ続けます。

第414話では、船外にいる本物と船内にいる赤ん坊の双方に、ビヨンド=ネテロが用意した呪いの影響が及んでいる可能性も検討されました。つまり、本物を発見できたとしても、船内に残された子供の危険まで消えるとは限りません。

ここに、単純な救出劇では終わらない難しさがあります。

本物の所在を公表すれば、上位王子たちの標的は船外へ移る可能性があります。一方、秘密を守れば、1014号室の赤ん坊がワブルの身代わりとして危険を引き受け続けます。

本物を守るために、別の赤ん坊を囮として利用する。

それでは、ビヨンドやカキン王家が子供たちを計画の道具として扱っている構図と変わりません。

ゴンとキルアが関わる意味は、この二者択一を拒むことにあるのではないでしょうか。

ゴンは、救う相手を立場や血筋で選ぶ人物ではありません。目の前の子供が本物の王子ではないと分かっても、「関係のない子だから仕方がない」と切り捨てるとは考えにくいでしょう。

キルアもまた、家族から危険な存在として扱われていたアルカを、一人の妹として守り抜きました。能力や利用価値ではなく、その人自身を見るという点で、すり替えられた赤ん坊の問題はキルアの物語とも重なります。

そのため、二人が目指すべき結末は「本物のワブルだけを安全な場所へ逃がすこと」ではありません。

船外では本物の所在を確認し、カキン側から隠し続ける。船内ではクラピカたちが、1014号室にいる子供を暗殺と呪いから守る。そして継承戦の仕組みを無効化した段階で、二人とも王家の争いから解放する必要があります。

この構図なら、ゴンとキルアが船外へ登場しても、クラピカの役割は失われません。

本物を守るだけならゴンとキルアでもできます。しかし、船内の赤ん坊を生存させ、オイトへの処罰を避けながら、二人の子供を継承戦から外すには、クラピカが制度そのものを崩す必要があります。

ゴンとキルアが増やすのは、王位継承戦の戦力ではありません。

クラピカが救わなければならない命の範囲です。

本物か偽物か、王族か一般人かに関係なく、利用された二人の赤ん坊をどちらも生かす。その選択を貫くことができれば、ゴンとキルアの参戦はワブル陣営を有利にするだけでなく、人間を犠牲にして続いてきたカキン王家の継承制度そのものを否定する力になるでしょう。

ワブルの除念師候補はアベンガネか|ゴン再登場がつなぐ過去の人物

本物のワブルを発見できたとしても、ビヨンド=ネテロが仕込んだ呪いを解除できなければ救出は完了しません。

第414話では、ワブルが船外にいる場合、本人へ直接除念を施すことが難しくなるため、呪いの大元となる詛贄者の特定を急ぐ必要があると整理されました。そこで今後浮上しそうなのが、誰に除念を依頼するのかという問題です。

候補のひとりとして考えられるのが、グリードアイランド編に登場したアベンガネです。

アベンガネは、ゲンスルーの「命の音(カウントダウン)」を自分の体から外した実績を持つ除念師です。その後は、クラピカの「律する小指の鎖(ジャッジメントチェーン)」を受けたクロロの除念を依頼される流れも描かれました。ゴンとキルアとは同じグリードアイランド参加者として接点があり、過去の人物を現在のワブル救出へつなげるなら不自然ではありません。

ただし、アベンガネの能力は呪いを完全に消滅させるものではありません。

除念した念を異形の念獣へ変え、その能力本来の解除条件が満たされるか、術者が死亡するまで自分のそばに背負い続ける仕組みです。ワブルを狙う呪いが、詛贄者の死によって強まる死後の念に近い性質を持つなら、アベンガネが引き受ける負担はゲンスルーの能力以上になる可能性があります。除念できたとしても、巨大な念獣を長期間抱えることになりかねません。

ここでゴンに、戦闘とは異なる明確な役割が生まれます。

現在のゴンが念を使えなくても、過去に接点のあった人物を追い、グリードアイランドの参加者や関係者から所在を突き止めることはできます。ワブルを守るための戦力になるのではなく、世界でも希少な除念師を探し出す「ハント」を担当する展開です。

アベンガネの現在地は不明であり、第414話でも名前は出ていません。そのため、再登場を確定情報として扱うことはできません。

それでも、ナニカの力ですべてを即座に解決するより、ゴンが過去の人脈をたどって除念師を探し、能力の代償を理解したうえで協力を求めるほうが、王位継承戦の緊張感を維持できます。

ゴンの復帰が戦闘力の回復ではなく、かつて出会ったハンターを追う捜索から始まるなら、それは「強さ」ではなく「狩る力」で主人公へ戻る展開になるでしょう。

ゴンとキルアはどうやってワブルへたどり着く?暗号郵便が示す捜索ルート

本物のワブルが船外にいるとしても、ゴンとキルアが手掛かりのない状態から赤ん坊を探し始めるわけではなさそうです。

第414話の終盤でオイトは、母方の親族がヤマト国の郵便局に勤めており、暗号を仕込んだ手紙を利用して、通常の配達記録を残さずカキン側の連絡先へ届ける方法があると明かしました。これはオイト自身も知らないワブルの居場所へ、緊急時だけ接触するために用意された連絡経路だと考えられます。

重要なのは、この暗号郵便がゴンとキルアへ直接依頼を送る手段とは限らないことです。

まず連絡する相手は、ワブルのすり替えや保護に関わった人物、あるいは現在の保護先へつながる仲介者でしょう。その人物から無事を確認し、必要に応じて新たな接触場所を指定してもらうことで、初めてゴンとキルアが捜索へ入れるようになります。

この仕組みがあれば、二人が広大な既知世界から赤ん坊を闇雲に探す必要はありません。

暗号郵便で保護者側へ接触し、ゴンとキルアが指定された場所へ向かう。オイトがワブルの居場所を知らない状態を保ったまま、信頼できる仲間だけを現地へ送り込めます。

一方で、手紙を送ること自体が安全とは限りません。

連絡先がすでにカキン王家やビヨンド側に監視されていれば、暗号郵便が届いたことで、長く隠されていたワブルの存在が察知される危険があります。受取人が今も味方なのか、連絡網の途中に裏切り者がいないのかも確認できません。

そのため、最初の手紙にワブルの名前や王位継承戦の事情を詳しく書く可能性は低いでしょう。

まずは緊急時に決めていた合図だけを送り、連絡経路が生きているかを確かめる。返答を受けた後も、ゴンとキルアは保護先へ直行せず、指定された人物が監視されていないかを調べる必要があります。

二人の最初の任務は、ワブルを連れ出すことではありません。

オイトが残していた細い連絡網をたどり、本物のワブルが実在するのか、現在も安全なのかを、敵に気づかれず確認することです。

クラピカの言葉とともにゴンとキルアが描かれ、その直後にオイトが暗号郵便の存在を明かした構成を考えると、この一通の手紙が二人を王位継承戦へ接続する可能性は高いでしょう。

ゴンとキルアの復帰は、派手な戦闘や黒鯨号への乗船から始まるのではありません。

誰にも記録されない手紙を受け取り、その先に隠された一人の赤ん坊を探す。二人が久しぶりに挑む「ハント」は、そこから始まるのかもしれません。

現時点の最有力は「船外からの間接参戦」

ゴンとキルアの今後には、黒鯨号へ向かう、本物のワブルを船外で守る、クラピカへの情報提供だけを担うという複数の可能性があります。

その中で最も自然なのは、二人が黒鯨号へ乗り込まず、船外から王位継承戦へ関わる展開です。

ゴンは現在、念を使える状態に戻ったとは確認されていません。キルアにも、アルカを守りながら旅を続けるという事情があります。さらに黒鯨号内では、王子陣営、幻影旅団、マフィア、ハンター協会が同時に動いており、新たに二人を乗船させなければ物語を進められない状況ではありません。

一方、船外に本物のワブルがいるなら、クラピカには絶対に担当できない仕事が生まれます。

保護先へつながる連絡経路が安全かを調べ、赤ん坊の身元を確認し、敵に察知されないまま現状を把握する。この段階なら、ゴンは念能力を取り戻していなくても動けます。必要なのは強敵を倒す力ではなく、わずかな手掛かりから目的の人物へたどり着くハンターとしての資質だからです。

キルアの役割も、最初からナニカに呪いを消させることではないでしょう。

追跡者や監視の有無を見抜き、現在の保護先に残すべきか、別の場所へ移すべきかを判断する。危険が迫った場合には、ワブルを連れて素早く離脱する。暗殺者として身につけた警戒能力を、人を傷つけるためではなく守るために使う展開です。

この役割分担なら、二人の再登場によってクラピカの物語が奪われることもありません。

船内ではクラピカが継承戦の仕組みと呪いの正体を解き、船外ではゴンとキルアがワブルの生存を確保する。どちらか一方が成功しても問題は解決せず、二つの行動がそろって初めてワブルを戦いから逃がせる構造になります。

状況が変わるとすれば、ワブルの居場所が敵側へ知られた場合です。

カキンやビヨンド側の人間が船外へ刺客を送れば、ゴンとキルアにも直接戦闘が必要になります。通常の除念では呪いを止められないと判明すれば、ナニカを関わらせるかという問題も避けられません。

つまり、二人は最初から王位継承戦の主戦力として投入されるのではなく、捜索と保護から始まり、事態の悪化によって戦いへ引き込まれていく可能性が高いと考えられます。

ゴンとキルアが再登場して本当に見たいのは、以前より強くなった二人が敵を倒す姿だけではありません。

念を失ったゴンが何を武器にするのか。アルカを守るキルアが、どこまで他者のために危険を負うのか。二人がそれぞれの現在を捨てずに、一人の赤ん坊を救う方法を見つけられるのか。

王位継承戦への「参戦」は、黒鯨号で戦うことだけを意味しません。

船の外から継承戦の前提を崩すことこそ、現在のゴンとキルアに与えられる最も有力な役割でしょう。

ゴンとキルアの復帰は暗黒大陸編への布石か|ワブル救出が次の旅を生む可能性

ゴンとキルアが船外からワブル救出に関わったとしても、それだけで二人の役割が終わるとは限りません。

今回の事件には、カキン王家の継承戦だけでなく、暗黒大陸を目指すビヨンド=ネテロの計画が深く入り込んでいます。ワブルに関わる呪いの仕組みを調べれば、ビヨンドが暗黒大陸遠征に向けて何を準備してきたのか、その一端にも触れることになるでしょう。

特にキルアには、暗黒大陸へ向かう明確な接点があります。

単行本第33巻では、ナニカが暗黒大陸出身であることが示されています。ただし、五大厄災のアイそのものなのか、同種の存在なのかは明言されていません。ワブルを救うためにナニカの力や性質を調べる必要が生じれば、キルアはアルカを守るためにも、その出自へ向き合わざるを得なくなります。

これまでのキルアは、アルカとナニカを家族の利用から遠ざけるために旅を続けてきました。

しかし、正体を知らないまま逃げ続けるだけでは、イルミやゾルディック家から完全に守ることは難しいままです。ナニカがどこから来たのか、なぜアルカの中にいるのか、能力にはどのような限界があるのか。暗黒大陸へ向かうことが、アルカを危険へ近づける行為ではなく、長期的に守るための調査へ変わる可能性があります。

一方のゴンには、ジンと再会した後の新たな目的が定まっていません。

父親を捜すという最初の旅は終わり、念能力も以前のようには扱えない状態です。だからこそ、ゴンを再び冒険へ向かわせるには、失った力を取り戻すこととは別の理由が必要になります。

その理由になり得るのが、キルアとアルカの問題です。

かつてキルアは、ゴンを救うためにアルカとナニカの力を借りました。今度はゴンが、キルアの大切な家族を守るために動く。ワブル救出を通じてナニカと暗黒大陸の関係が避けられない問題となれば、ゴンがキルアの旅を支える立場へ回る展開にも意味が生まれます。

ただし、第414話の段階で、ゴンとキルアが暗黒大陸へ向かうことまで決まったわけではありません。

黒鯨号はすでに航海中であり、二人が直ちに乗船者へ合流する流れも示されていません。まず描かれるとすれば、既知世界に残されたワブルを巡る問題でしょう。

それでも、船外で始まった救出がビヨンドの計画やナニカの出自へつながれば、二人には王位継承戦が終わった後も物語に残る理由ができます。

ゴンとキルアの再登場は、過去の主人公を一時的に呼び戻した場面ではないのかもしれません。

ワブルを救う任務を入口として、クラピカの王位継承戦、キルアとナニカの謎、そして暗黒大陸探索を一本につなぐ。二人の本格的な復帰は、黒鯨号へ追いつくことではなく、暗黒大陸へ向かう新たな理由を得るところから始まる可能性があります。

ゴンとキルアが対峙する相手は誰か|船外に残るビヨンドの協力者が最大の障害

ゴンとキルアが船外のワブルを守る場合、直接の敵になるのは王子や私設兵ではないでしょう。

本物のワブルはオイトの妹に預けられ、黒鯨号にいるのは妹の息子であることが明らかになっています。ワブルの入れ替えが長期間露見しなかった以上、現在の保護先もカキン王家の通常の監視から外れている可能性が高いと考えられます。

それでも安全とは限りません。

ロンギの告白によれば、ビヨンド=ネテロは長い年月をかけて自らの子供たちをカキンの中枢へ送り込み、その一部を王子へ死の呪いを飛ばす「詛贄者」として利用してきました。ビヨンドの計画は黒鯨号の出航後に始まったものではなく、王位継承戦を見越して何十年も前から準備されていたものです。

本物のワブルが呪いの対象に含まれているなら、ビヨンド側にもその生存や所在を確認する手段が用意されている可能性があります。

呪いが距離に関係なく自動的に作用するなら、ゴンとキルアは発動条件を調べなければなりません。一方、誰かがワブルの所在を特定する必要があるなら、既知世界にはビヨンドへ情報を送る協力者が残されていることになります。

この場合、二人が最初に対峙するのは強力な念能力者ではなく、オイトの親族、郵便、医療記録、出生情報などを監視する人物かもしれません。

しかも、監視役を一人見つけて倒せば終わる問題ではありません。

相手を拘束したことでワブルの存在が確認され、連絡が途絶えたことから別の協力者が動き出す可能性があります。二人には敵を排除するよりも、監視されている事実を悟らせないまま、どこまで情報が流れているのかを突き止める慎重さが必要です。

ここで重要になるのが、偽の情報を利用した逆探知です。

ワブルの保護先を移すという情報を一部の関係者だけに伝え、その直後に誰が動くのかを確認する。あるいは、実在しない移送先を用意し、追跡者を本物から遠ざける。王位継承戦の外側でも、情報を漏らした人物を特定するための駆け引きが始まる可能性があります。

ゴンとキルアの目的は、襲ってきた刺客を倒すことではありません。

ビヨンドの計画が既知世界のどこまで伸びているのかを調べ、ワブルへつながる経路を一つずつ遮断することです。その過程で得た情報をクラピカへ送れれば、船内に潜む詛贄者やビヨンドの実子を絞り込む手掛かりにもなります。

船外で発見した小さな違和感が、黒鯨号内の王位継承戦を動かす。

ゴンとキルアが本当に崩すことになるのは、継承戦のルールそのものではなく、ビヨンドが何十年もかけて築いた計画の土台なのかもしれません。

HUNTER×HUNTER モノクロ版 39

旅団とマフィアの抗争、クラピカの念講習、ロンギが明かすビヨンド=ネテロの秘密を収録。ゴンとキルアの再登場へ続く王位継承戦の状況を整理したい人におすすめの第39巻です。

価格・在庫・仕様や版の違いなどは変動します。購入の際は各ショップの商品ページで最新情報をご確認ください。

まとめ|ゴンとキルアの活躍は「誰を倒すか」では決まらない

第414話で確定したのは、クラピカが命を懸けて信頼できる仲間としてゴンとキルアを挙げ、二人が再び本編に姿を見せたことまでです。依頼を引き受けた場面や、黒鯨号へ向かう展開はまだ描かれていません。

現時点で最も自然なのは、二人が船内の念能力戦へ加わるのではなく、船外にいる本物のワブルを調べる役割です。

ゴンは念能力を取り戻していなくても、限られた手掛かりから人や場所を追うことができます。キルアは追跡者の存在を見抜き、危険が迫れば保護対象を連れて離脱できる人物です。二人の強みは、王子を倒す火力ではなく、カキン側に察知されず捜索と護衛を進められる点にあります。

これは、ビヨンド=ネテロの計画にとっても大きな誤算になり得ます。

ビヨンドは長い年月をかけ、カキン王国の内部や王位継承戦に関係する人物を利用して計画を進めてきました。しかし、カキンとの利害関係を持たず、黒鯨号にも乗っていないゴンとキルアは、その仕組みの外側にいます。

継承戦の内側をクラピカが調べ、外側からゴンとキルアがワブルへ伸びる経路を断つことができれば、ビヨンドが想定していた盤面そのものを崩せます。

ただし、二人が動けばすべて解決するわけではありません。

ゴンの念能力は不明なままであり、キルアもアルカとナニカを危険にさらす判断は簡単にはできません。本物のワブルを発見しても、船内に残る赤ん坊やビヨンドの呪いを放置すれば、別の犠牲を生むだけです。

ゴンとキルアの活躍を測る基準は、強敵を何人倒すかではないでしょう。

本物と身代わり、二人の子供をどちらも犠牲にせず、王位継承戦の外へ逃がす道を作れるか。

長く物語を離れていた二人に与えられるのは、以前のような冒険の再現ではありません。力を失ったゴンと、守るべき家族を得たキルアが、現在の自分たちにできる方法でクラピカの戦いを支える――それが第414話から考えられる、最も有力な再登場後の役割です。

-HUNTER×HUNTER考察
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