- 『ワルプルギスの廻天』はなぜ13年ぶり?延期理由・脚本の経緯
- 『ワルプルギスの廻天』は『叛逆の物語』から約13年ぶりの正統続編
- なぜ13年ぶり?実は脚本はかなり早く脱稿していた
- 『叛逆の物語』後、何も動いていなかったわけでもない
- それでも、なぜすぐ映画にならなかったのか?
- 2013年から2026年まで|公開までの流れ
- 2021年、TVアニメ10周年でついに正式制作発表
- 2023年、ようやく「2024年冬公開」と決まった
- 2025年には「2026年2月公開」に
- 2026年2月公開も延期|理由は「製作上の都合」
- 2026年8月28日、約13年ぶりの完全新作が本当に公開された
- 13年ぶりでも主要スタッフ・キャストが戻った
- 公開3日間で53万人超、興収9.39億円|週末動員1位に
- まとめ|13年間作り続けた映画ではない。それでも公開までには長い時間がかかった
『ワルプルギスの廻天』はなぜ13年ぶり?延期理由・脚本の経緯

2013年10月26日に『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語』が公開されてから、約13年。
その正統な続編となる『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』が、2026年8月28日にようやく劇場公開された。
TVアニメが始まった2011年から数えれば15年。2021年4月25日の制作発表からだけでも5年以上が経っている。さらに、一度決まった公開予定も途中で何度か変わった。
ここまで長いと、
「13年間ずっと映画を作っていたの?」
「脚本が決まらなくて時間がかかった?」
「何度も延期されたのは、制作が難航したから?」
と思いたくなる。
ところが、実際の経緯は少し違う。
脚本を担当した虚淵玄氏によれば、『ワルプルギスの廻天』の脚本そのものは2021年の制作発表よりかなり前に脱稿していた。
一方で、「なぜ正統続編の公開まで約13年空いたのか」を一つの理由で説明した公式発表はない。
つまり、この13年は「一本の映画を13年間作り続けた時間」ではない。
脚本が生まれ、新作へ向けた動きが見え、正式に映画制作が発表され、そこから公開予定の変更を経て、ようやく2026年8月28日にたどり着いた――そんな長い時間だった。
なお、公式は2026年9月12日0時までSNSや動画共有サービスでのネタバレ投稿を控えるよう呼びかけている。ここから先も映画本編の展開や結末には触れず、「公開されるまでの約13年」だけを追っていく。
『ワルプルギスの廻天』は『叛逆の物語』から約13年ぶりの正統続編
『魔法少女まどか☆マギカ』は2011年にTVアニメとして放送され、2012年にはTVシリーズを再構成した劇場版[前編]『始まりの物語』と[後編]『永遠の物語』が公開された。
そして2013年10月26日、TVシリーズの先を描く完全新作として公開されたのが『[新編]叛逆の物語』だ。
『叛逆の物語』は興行収入20億円を突破。深夜アニメ発の劇場版として当時大きな記録を残した。
その続きが『ワルプルギスの廻天』である。
2021年に新作映画が発表された際、公式ははっきりと『[新編]叛逆の物語』の「正統なる続編」と位置付けた。単に同じ世界を使った新しい映画ではなく、2013年の劇場版からつながる本編の新作ということになる。
2013年10月26日から2026年8月28日までは、厳密には約12年10カ月。
そのため「丸13年」ではないものの、現在は公式周辺や報道でも「約13年ぶり」「13年ぶり」という表現が使われている。
過去作をどこまで見ておけばいいのか迷っている場合は、TV版から『叛逆の物語』までの予習順を別記事で整理している。
『ワルプルギスの廻天』を見る前に何を見ればいい?時系列・予習順まとめ
なぜ13年ぶり?実は脚本はかなり早く脱稿していた
約13年という数字を考えるうえで、最も重要なのが虚淵玄氏の2021年の発言だ。
『ワルプルギスの廻天』の制作が発表された直後、虚淵氏は脚本を書いた時期について振り返っている。
その説明によると、脚本を脱稿したのは『仮面ライダー鎧武』を終えた直後で、『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』に取りかかる前だった。
『仮面ライダー鎧武』は2014年に放送を終了している。一方、『Thunderbolt Fantasy』が表に出てくるのはその後だ。
つまり少なくとも、
2013年『叛逆の物語』公開
↓
比較的早い段階で続編脚本を脱稿
↓
2021年に映画制作を正式発表
という順番だったことが分かる。
「13年間かけて脚本を書いた」わけではない。
「物語が決まらなかったから13年空いた」とする根拠もない。
むしろ、物語の脚本はかなり早い段階から存在していた。
ただし、ここでも一つ分けて考えたい。
脚本が完成していたことと、その時点から現在の映画を本格的に制作していたことは同じではない。
虚淵氏の発言から分かるのは脚本の脱稿時期までで、その時点で作画や撮影など現在の劇場版制作がどこまで動いていたのかまでは説明されていない。
「脚本があったのに何年も放置された」と決めつけることもできない。
『叛逆の物語』後、何も動いていなかったわけでもない
では、2013年から2021年まで『まどか☆マギカ』の新作に関する動きが完全に止まっていたのか。
そういうわけでもない。
2015年11月、シャフト40周年記念イベント「MADOGATARI展」で、『魔法少女まどか☆マギカ』の新作コンセプトムービーが公開された。
MADOGATARI展の公式サイトにも、新房昭之氏らメインスタッフによってイベントのために制作された新作コンセプトムービーとして記録が残っている。
映像は約4分。
新房氏が絵コンテ、宮本幸裕氏が演出を担当し、劇団イヌカレーや谷口淳一郎氏、梶浦由記氏、悠木碧さん、斎藤千和さんらシリーズを支えてきたスタッフ・キャストが参加していた。
当時の報道では、『叛逆の物語』公開後もMagica Quartetが新作へ向けた打ち合わせを続けていたことも伝えられている。
ここまでを見ると、
「2013年に『叛逆の物語』を公開して、その後2021年まで完全に何もなかった」
という見方も正確ではない。
脚本があり、新作に向けた話し合いがあり、2015年には新しい映像まで作られていた。
ただし、このコンセプトムービーをそのまま『ワルプルギスの廻天』の試作版と呼ぶのも早い。
現在公開された映画とコンセプトムービーがどこまで直接つながっているのかを、イベント公式資料だけから断定することはできない。
確実に言えるのは、『叛逆の物語』の後にも、新しい『まどか☆マギカ』へ向かう動きは存在していたというところまでだ。
それでも、なぜすぐ映画にならなかったのか?
ここまで来ると、逆に疑問は深くなる。
脚本は早い段階で存在していた。
2015年にはコンセプトムービーまで作られていた。
それなのに、正式な映画制作発表は2021年。公開はさらに5年以上後の2026年だった。
では、その間に何があったのか。
ここについては、「これが原因だった」と一本に絞れる公式説明がない。
シャフトの制作スケジュールだったのか。スタッフをそろえる必要があったのか。予算や製作体制が関係したのか。
外からはいくらでも理由を想像できる。
しかし、公式が「約13年空いたのは○○のため」と説明した事実はない。
だから、この部分をもっともらしい理由で埋めてしまうと、むしろ事実から離れてしまう。
分かっている出来事を並べると、長い空白は次のようになる。
2013年から2026年まで|公開までの流れ
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2013年10月26日 | 『[新編]叛逆の物語』公開 |
| 『鎧武』終了後~『Thunderbolt Fantasy』着手前 | 虚淵玄氏が『ワルプルギスの廻天』脚本を脱稿 |
| 2015年11月 | MADOGATARI展で新作コンセプトムービー公開 |
| 2021年4月25日 | 『ワルプルギスの廻天』制作決定 |
| 2023年9月10日 | 「2024年冬公開予定」と発表 |
| 2024年8月16日 | 「2025年冬」へ公開予定を変更 |
| 2025年7月15日 | 「2026年2月公開決定」と発表 |
| 2026年1月23日 | 2月公開を延期 |
| 2026年2月27日 | 8月28日公開を正式決定 |
| 2026年8月28日 | 劇場公開 |
| 2026年8月31日 | 公開3日間で興収9.39億円、週末動員1位 |
2021年の正式発表までにも動きがあり、そこから先もすぐ公開されたわけではない。
特に2023年以降は、一度示された公開時期が何度か変わったことが分かる。
2021年、TVアニメ10周年でついに正式制作発表
転機になったのが2021年4月25日だった。
TVアニメ放送10周年の「魔法少女まどか☆マギカ」Anniversary Stageで、『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』制作決定が発表された。
ここで初めて、2013年の『叛逆の物語』から続く新作映画が正式な形で表に出る。
発表された顔ぶれも大きな意味を持っていた。
原作はMagica Quartet。
総監督・新房昭之氏、脚本・虚淵玄氏、キャラクター原案・蒼樹うめ氏、キャラクターデザイン・谷口淳一郎氏、異空間設計・劇団イヌカレー(泥犬)、音楽・梶浦由記氏、アニメーション制作・シャフト。
鹿目まどか役の悠木碧さん、暁美ほむら役の斎藤千和さんをはじめ、水橋かおりさん、喜多村英梨さん、野中藍さん、阿澄佳奈さん、加藤英美里さんら主要キャストも続投すると発表された。
13年という時間を経ても、シリーズの核を作った人たちが再び集まった。
2026年の公式サイトも、新房氏、虚淵氏、蒼樹氏ら主要スタッフの再結集を大きく打ち出している。
2023年、ようやく「2024年冬公開」と決まった
制作発表から約2年半後の2023年9月10日。
ここで初めて具体的な公開時期として、
「2024年冬公開予定」
が示された。特報第1弾も公開され、ようやく劇場公開が現実的な日程として見えてくる。
しかし、その予定通りには進まなかった。
2024年8月16日、公式は公開予定を、
2024年冬 → 2025年冬
へ変更すると発表する。
理由として示されたのは、「制作上の都合」だった。
より良い作品を届けるため引き続き制作すると説明されたものの、具体的にどの工程で何が起きていたのかは公表されていない。
作画が間に合わなかったのか、スタッフ不足だったのか、別作品の制作が影響したのか。
そうした推測を裏付ける説明は出ていない。
2025年には「2026年2月公開」に
2025年7月15日、公式は次の公開時期を2026年2月と発表した。
本編カットを使った予告映像も公開され、今度こそ公開が近いと感じさせる動きだった。
ここで少しややこしいのが、「延期は何回だったのか」という数え方だ。
一部の報道では、『ワルプルギスの廻天』を「3度の延期」と表現している。2024年冬から2025年冬、そこから2026年2月、さらに2026年2月から再延期――という数え方だ。
一方、公式サイトで明確に「公開延期のお知らせ」と題して発表されたのは、2024年8月16日と2026年1月23日。
2025年7月15日の告知は「2026年2月公開決定」となっている。
そのため、「3度延期」と言い切るより、公開予定は複数回変更されたと整理した方が混乱がない。
2026年2月公開も延期|理由は「製作上の都合」
2026年1月23日。
公開予定まで残りわずかとなったところで、再び延期が発表された。
今回の公式説明は、
「製作上の都合」
だった。
2024年の告知では「制作上の都合」、2026年1月は「製作上の都合」。
漢字が一文字違う。
ただし、ここから「2024年はアニメ制作現場の問題で、2026年は製作委員会側の問題だった」と読み解くことはできない。
公式はその違いを説明していないからだ。
新しい公開日はこの時点では未定で、2月中に改めて知らせるとされた。
そして約1カ月後の2月27日、ついに、
2026年8月28日
という新しい公開日が決まった。
今度は変更されなかった。
2026年8月28日、約13年ぶりの完全新作が本当に公開された
2026年8月28日。
『ワルプルギスの廻天』は予定通り劇場公開された。
2013年10月の『叛逆の物語』から約12年10カ月。
2021年4月の正式制作発表から約5年4カ月。
長く公開を待ってきた新作が、ようやく「公開予定」ではなく実際に劇場へ届いた。
さらに今回は、『まどか☆マギカ』シリーズ初となるIMAX同時公開も実施された。
13年間シリーズから離れていた人もいれば、『マギアレコード』やゲーム、コラボなどを通じて追い続けてきた人もいる。
「13年ぶり」という数字は大きいが、『まどか☆マギカ』というシリーズそのものが13年間眠っていたわけではない。
公式サイトも、コミカライズ、ノベライズ、外伝『マギアレコード』などによって2010年代から2020年代まで世界が広がり続けてきたことを紹介している。
正確に言えば、
約13年間なかったのは、『叛逆の物語』から続く本編の完全新作劇場版
だった。
13年ぶりでも主要スタッフ・キャストが戻った
これだけ期間が空けば、制作陣が大きく変わっても不思議ではない。
それでも『ワルプルギスの廻天』には、新房昭之氏、虚淵玄氏、蒼樹うめ氏、宮本幸裕氏、谷口淳一郎氏、劇団イヌカレー(泥犬)、梶浦由記氏、シャフトなど、シリーズを形作ってきた中核メンバーが並んでいる。公式も「主要スタッフはついに再結集した」と紹介している。
主要キャストも続投した。
もちろん、13年前とすべての制作体制が完全に同じという意味ではない。新しいスタッフやキャストも加わっている。
それでも、作品の根幹を作った人たちが再び集まり、2013年の先を描く。
約13年ぶりの「正統続編」という言葉が重く感じられる理由の一つは、そこにもある。
TVアニメ放送10周年を記念した『魔法少女まどか☆マギカ』のムック第1巻。新房昭之、虚淵玄、蒼樹うめ、谷口淳一郎、悠木碧、斎藤千和ら主要スタッフ・キャストの10周年インタビューに加え、シリーズ10年間を振り返る特集、アンソロジー小説・漫画も収録。『ワルプルギスの廻天』を機に、作品が歩んできた時間をもう一度たどりたい人に合う一冊です。
価格・在庫・仕様や版の違いなどは変動します。購入の際は各ショップの商品ページで最新情報をご確認ください。
公開3日間で53万人超、興収9.39億円|週末動員1位に
そして長い空白は、公開後の数字にも大きな注目を集めた。
8月31日に発表された公開3日間、8月28~30日の成績は、
観客動員53万4722人
興行収入9億3964万7100円
だった。
週末映画動員ランキングでは初登場1位となっている。
約13年ぶりの本編新作であり、公開予定の変更も経験した作品としては非常に大きなスタートだ。
ただ、公開からまだ3日間の数字にすぎない。
最終的にどこまで興行収入を伸ばすのか、『叛逆の物語』の20億円超と比べてどうなるのかは、これから見えてくる。
少なくとも現時点で言えるのは、13年という時間がシリーズへの関心を消してはいなかったということだろう。
まとめ|13年間作り続けた映画ではない。それでも公開までには長い時間がかかった
『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』は、2013年の『[新編]叛逆の物語』から約13年ぶりとなる正統続編だ。
しかし、その13年間ずっと一本の映画を制作し続けていたわけではない。
虚淵玄氏によれば、脚本は『仮面ライダー鎧武』終了後、『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』へ取りかかる前にはすでに脱稿していた。
その後、2015年には新作コンセプトムービーが登場。
2021年に正式な映画制作が発表され、2023年には「2024年冬」という公開予定が初めて示された。
そこから公開予定の変更を経て、2026年8月28日。
ようやく『ワルプルギスの廻天』は劇場公開の日を迎えた。
なぜ正統続編の公開までこれほど長い時間が必要だったのか。
その約13年間を一言で説明する公式な答えは、今も出ていない。
だから「脚本が難航した」「シャフトの人手不足だった」「コロナ禍が原因だった」と、それらしい理由を一つ選んで答えることはできない。
ただ、実際に起きたことを時系列で追えば、一つだけはっきりする。
13年間何もなかったわけでも、13年間ずっと同じ映画を作っていたわけでもない。
早い段階で生まれていた脚本。
『叛逆の物語』後も続いた新作への模索。
2015年のコンセプトムービー。
2021年の正式制作発表。
そして公開予定の変更。
そうした長い時間を一つずつ越えた先にあったのが、2026年8月28日だった。
公開3日間で53万人を超える観客が劇場を訪れ、興行収入は9.39億円。
約13年待たれた「正統なる続編」は、ようやくスクリーンの上で新しい時間を動かし始めた。