- 『西暦1999 ファラオの復活』セガサターン版レビュー|古代遺跡を探索するFPSは今遊んでも面白い?
- 『西暦1999 ファラオの復活』はどんなゲーム?
- 舞台は異星勢力に占拠されたカルナック
- ステージを一度クリアしたら終わり、ではない
- 6つのアーティファクトが、世界そのものを開いていく
- 高い足場を「覚えておく」ことが攻略になる
- 今なら「メトロイドヴァニア的」と呼ばれる。でも、それだけでは足りない
- 一人称視点だから、高低差を見つける面白さがある
- 銃撃もしっかり主役の一つ
- 爆発物は壁だけでなく、ゲームの常識まで壊した
- Team Dollsを探すと、探索はさらに意地悪になる
- 面白い探索と、サターンパッドの苦労は切り離せない
- 水中に入ると、操作感はさらに変わる
- マップがあっても、上下関係までは自分で覚える
- 「戻りたい」と「また戻るのか」は表裏一体
- セーブ地点は回復地点でもある
- PC版をサターンへ移植しただけではない
- サターン版はBuild Engineの移植でもなかった
- PlayStation版は、同じステージをそのまま移したものではない
- 『PowerSlave Exhumed』はサターン版そのもののHD化ではない
- 現行版は日本語に対応していない
- Switch版はNintendo Switch 2でも動作する
- 2026年に遊んでも残る面白さ
- それでも90点台には届かない
- なぜ86点・A Tierなのか
- まとめ|面白いのは「進んだ先」ではなく「戻った先」にある
『西暦1999 ファラオの復活』セガサターン版レビュー|古代遺跡を探索するFPSは今遊んでも面白い?

高い場所に通路が見える。
ジャンプしてみる。しかし届かない。
少し先には深い水路がある。潜ることはできても、奥へ進むには息が続かない。別の場所には毒沼が広がり、その向こうには何かありそうなのに、今は渡るだけで危険だ。
仕方なく、その場を離れる。
そして別の土地を探索しているうちに、新しい力を手に入れる。
跳べる高さが変わった。
もっと長く潜れるようになった。
毒に耐えられるようになった。
そこで、以前通った場所を思い出す。
「あそこへ戻れば、今なら先へ行けるのでは?」
1996年11月29日にセガサターンで発売された『西暦1999 ファラオの復活』には、この瞬間が何度もあります。
一人称視点で敵と戦うゲームです。銃を撃ち、爆発物を投げ、異形の敵を倒す。しかし、ステージの出口を目指して撃ち続けるだけではありません。
一度訪れた場所へ戻り、以前は越えられなかった高さ、水中、危険地帯、力場を、新たに獲得した能力で突破する。プレイヤー自身が強くなることで、すでに知っている世界の意味まで変わっていきます。
つぶログの セガサターン全ソフトTier表 では、A Tier・86点・総合114位タイ。
FPSとして珍しいからでも、1996年のサターンで3D空間を動かしたからでもありません。
「前に行けなかった場所を覚えておき、能力を得てから戻る」ことを、探索そのものの楽しさへ変えた。
そこが86点の中心です。
『西暦1999 ファラオの復活』はどんなゲーム?
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | 西暦1999 ファラオの復活 |
| 対応機種 | セガサターン |
| 発売日 | 1996年11月29日 |
| 発売元 | BMGビクター |
| 開発 | Lobotomy Software |
| 公式ジャンル | アクション |
| プレイ人数 | 1人 |
| 価格 | 5,800円 |
| 型番 | T-18001G |
| Tier | A |
| 評価 | 86点 |
| 総合順位 | 114位タイ |
セガ公式の国内ソフト一覧では、ジャンル表記は「アクション」。一人称視点で銃器を扱うゲーム形式を説明する言葉としてFPSを使いますが、日本での商品上のジャンルはアクションです。発売日、価格、型番についてもセガ公式記録に残っています。
海外では北米版が『PowerSlave』、欧州版が『Exhumed』のタイトルで展開されました。
同じゲームを扱う海外資料では、この二つの名前が頻繁に登場します。
舞台は異星勢力に占拠されたカルナック
物語の舞台はエジプトのカルナック。
異星の勢力によって街は外界から隔離され、派遣された部隊も戻ってこない。ファラオ・ラムセスのミイラまで持ち去られたことが伝えられます。
主人公はカルナックへ潜入するため現地へ向かいますが、乗っていたヘリコプターは谷へ近づいたところで撃墜されます。
そこから、神殿や洞窟、水没した場所、沼地、灼熱地帯などを巡る長い探索が始まります。
主人公の経歴を細かく描くタイプの作品ではありません。
むしろ印象に残るのは、次々に性格の異なる土地へ入り、カルナックそのものを自分の足で理解していく過程です。
ステージを一度クリアしたら終わり、ではない
『西暦1999 ファラオの復活』にはワールドマップがあります。
訪れた場所とルートが地図へ記録され、次に進める経路を確認できる。ただし、そこに道が表示されているからといって、今すぐ全部通れるわけではありません。
能力が足りなければ先へ行けない道もあります。
各ステージ内にもオートマップが用意されているので、自分が歩いた範囲はある程度把握できます。
ゲームの流れは、
今行ける場所を探索する。
新しい武器や能力を得る。
ワールドマップへ戻る。
以前の場所をもう一度訪れる。
今度は別の出口へ到達する。
そうして少しずつ行動範囲を広げていく形です。
Nightdive Studiosによる現行版の商品説明でも、原作は20以上のレベルを持ち、一つのレベル内で複数の階層を移動できる3D構造を特徴として挙げています。橋を渡るだけでなく、水中へ潜る場所もあります。
ただ広いだけではありません。
「今は行けない場所」が意図的に残されていることが、世界を覚える理由になっています。
6つのアーティファクトが、世界そのものを開いていく
その仕組みを支えるのが、6つのアーティファクトです。
原版マニュアルでも、任務を完遂するために6つの聖なる遺物を集めることが示されています。
| アーティファクト | 探索で起きる変化 |
|---|---|
| Sandals of Ikumptet | ジャンプ力が上がり、高い・遠い足場へ届く |
| Sobek Mask | 水中で長時間行動できる |
| Shawl of Isis | 高所からゆっくり降下できる |
| Protective Anklets | 毒沼を安全に進め、灼熱地帯から受ける影響も軽減する |
| Kilmaat Scepter | 特殊な力場を突破できる |
| Horus Feather | 空中へ浮かび、ジャンプだけでは届かない場所へ進める |
ここで大きいのは、アーティファクトが単なる鍵ではないことです。
「青い鍵を取ったから青い扉が開く」なら、変わるのは扉の状態だけです。
本作ではプレイヤーの身体能力そのものが変わります。
ジャンプできる高さが変わる。
潜っていられる時間が変わる。
高い場所から降りる方法が変わる。
危険だった地面を歩けるようになる。
障壁だった力場を通過できる。
最後には空中まで移動経路になる。
同じ景色を見ても、持っている能力によって「道」に見える場所が違ってきます。
高い足場を「覚えておく」ことが攻略になる
この仕組みが効いてくると、ステージの見方まで変わります。
最初は、敵がどこから来るのか、出口がどこなのかを探している。
やがて、
「あそこに足場がある」
「水路の奥にまだ何かありそうだ」
「下へ降りられそうだが、今落ちたら戻れない」
といった場所まで意識するようになります。
その時点では何もできなくても構いません。
後で能力を手に入れればいい。
開発を率いたBrian McNeely氏は、コンソール版について、一本道の体験を避けて探索と達成感を持たせたかったと振り返っています。そのため、アーティファクトによって恒久的な特殊能力を得て、それまで到達不可能だった場所へ行ける仕組みを作り、レベル同士を行き来するためにワールドマップを加えたと説明しています。
つまり、後からそう見えるだけではありません。
「能力を得て、以前行けなかった場所へ戻る」こと自体が、コンソール版を作り直す段階から設計の中心に置かれていました。
今なら「メトロイドヴァニア的」と呼ばれる。でも、それだけでは足りない
現在なら、この構造を「メトロイドヴァニア的なFPS」と説明することもできます。
実際、McNeely氏自身も『Metroid』などを意識したことには触れています。
ただ、その言葉だけで片付けると、本作で実際に何をしているのかが見えにくくなります。
敵を倒す。
高い場所を見つける。
今は届かない。
別のステージへ向かう。
能力を取る。
前の場所を思い出す。
戻る。
届く。
その先から新しいエリアへ進む。
『西暦1999 ファラオの復活』では、この小さな発見の連続が探索を動かしています。
名前を付けるより、この流れ自体の方が本作をよく表しています。
一人称視点だから、高低差を見つける面白さがある
ステージは平面的な迷路ではありません。
橋の上と下。
吹き抜け。
水中。
縦穴。
高い足場。
エレベーター。
複数の高さを持った通路。
Nightdive Studiosも、同じレベル内で階層間を移動できる完全3Dの構造を原作の特徴として掲げています。
「3Dだから技術的にすごい」という話で終わらせるには惜しい部分です。
高低差があるから、
見えているのに届かない
という状況を自然に作れます。
その場所を覚えているから、ジャンプ力が上がった瞬間に「あそこへ戻ろう」と思える。
立体構造が、能力獲得と記憶をつなげています。
銃撃もしっかり主役の一つ
探索へ比重を置いた作品ですが、敵との戦闘が添え物になっているわけではありません。
最初はマチェーテのみ。
その後、拳銃、M-60、アムンボム、火炎放射器、コブラスタッフなどへ武器が増えていきます。Nightdiveの公式説明でも、マチェーテから始まり、手榴弾、火炎放射器、M-60、魔法のコブラスタッフなど6種類の追加武器を探すことが紹介されています。
近距離で使うもの。
連射で押すもの。
爆発を起こすもの。
特殊な攻撃を放つもの。
敵や距離によって使いやすさが変わります。
マチェーテ以外は弾薬が必要で、弾薬表示も武器ごとに管理されます。
弾薬を使い切らないよう考えながら進む必要はありますが、資源管理だけを極端に厳しくしたゲームでもありません。
探索と戦闘が交互に続くなかで、持っている武器を使い分けて突破していく設計です。
爆発物は壁だけでなく、ゲームの常識まで壊した
アムンボムは敵を爆発させるだけの武器ではありません。
マニュアルでは、壁の不自然な部分などに秘密があり、爆発物で隠された場所を開けることも示唆されています。
さらにサターン版の開発中、予定されていなかった使い方が見つかりました。
爆発を自分の近くで起こし、その衝撃で通常より高く跳ぶBomb Boostです。
LobotomyのBrian McNeely氏によれば、サウンド担当のScott Branston氏がテスト中にこの挙動を発見しました。
開発チームは修正して消すのではなく、それを利用しなければ見つけにくい秘密の場所まで追加しています。
通常攻略で必須の基本テクニックではありません。
しかし、ゲームの物理挙動から偶然生まれた遊びを、そのまま探索へ取り込んだところに、サターン版らしい自由さがあります。
Team Dollsを探すと、探索はさらに意地悪になる
各地には、Lobotomy Softwareのスタッフを模したTeam Dollsも隠されています。
サターン版では全部で23体。
通常ルートから少し外れるだけで見つかるものもあれば、Bomb Boostなどを利用して到達する秘密区域に隠されたものもあります。
全部集めると、隠しゲーム『Death Tank』へつながります。
McNeely氏は、Team Dollsを隠す作業の直後、Ezra Dreisbach氏が『Death Tank』を作り、それを全Doll回収の報酬としてゲームへ入れたと当時のインタビューで説明しています。
本編86点を支える中心要素ではありません。
それでも、「この壁の向こうに何かあるかもしれない」「普通には届かない場所にも意味があるかもしれない」という本編の探索感覚を、かなり極端なところまで伸ばしたおまけになっています。
面白い探索と、サターンパッドの苦労は切り離せない
ここまでの話だけなら、現在でもかなり遊びやすそうに聞こえます。
オリジナル版へ戻ると、一番大きな壁になるのが操作です。
標準のサターンパッドでは、十字キーの上下で前進・後退、左右で旋回。
L・Rボタンで左右へ平行移動します。
Aボタンで攻撃、Bボタンでジャンプ、Cボタンでドアやスイッチを操作。Y・Zボタンで武器を切り替えます。
上下を見るときは、Xボタンを押しながら十字キーの上下を使う方式です。
現代のFPSなら、左スティックで移動しながら右スティックで好きな方向を見る操作が当たり前になっています。
1996年のサターン版には、その感覚はありません。
しかも本作は、一人称視点のままジャンプを多用します。
高い足場を見る。
そこへ向けて走る。
距離を合わせる。
跳ぶ。
必要なら空中で位置を調整する。
失敗すれば下へ落ちる。
探索設計が立体的だからこそ、視点操作の古さが強く出ます。
水中に入ると、操作感はさらに変わる
水中では操作体系も少し変化します。
十字キー上下が潜る・浮上する操作となり、Bボタンで泳ぎます。水中では息にも限界があり、通常状態では長時間潜り続けられません。
そこでSobek Maskを入手すると、潜水可能時間が大きく伸びる。
単に「水中ステージが解禁された」と表示されるのではなく、以前から存在した水そのものが攻略ルートへ変わります。
プレイヤーの能力とステージ構造が結びついていることが分かりやすい例です。
マップがあっても、上下関係までは自分で覚える
本作にはオートマップがあるので、3D迷路を完全に記憶だけで進む必要はありません。
これは大きな助けです。
ただし、マップを開けばすべて解決するわけでもありません。
本作では、
「この通路の先に何があるか」
だけでなく、
「この部屋の上に何があるか」
「下へ落ちた途中に足場がないか」
「水路のさらに下へ潜れないか」
といった高さの情報が重要になります。
2Dの地図を眺めるだけでは分からない部分を、自分で景色として記憶する必要がある。
その記憶が能力取得後にうまくつながったときは気持ちいい。
逆に、「どこの高台だったか」を忘れると、かなり歩き回ることになります。
「戻りたい」と「また戻るのか」は表裏一体
再訪を使った探索には、避けられない弱点もあります。
新しい能力を手に入れた瞬間、
「あの場所へ行ける」
と思えたときは楽しい。
一方、実際にそこへ戻るには、以前見た通路や部屋をもう一度移動する必要があります。
現在の探索ゲームほど細かくファストトラベルできるわけでもありません。
ショートカットや新能力によって以前より楽に通れる場所はあっても、再訪そのものが消えるわけではない。
発見のために戻る時間と、単純に移動を繰り返す時間。
本作では、この二つが同じ「バックトラック」の中にあります。
探索が好きなら前者の印象が強くなり、テンポを重視するなら後者が気になりやすい。
86点という評価では、この負担も無視していません。
セーブ地点は回復地点でもある
ステージ内にはピラミッド型のセーブポイントがあります。
触れると進行が保存されるだけでなく、体力が完全に回復し、弾薬も補充されます。
これは長い探索の中でかなりありがたい仕組みです。
敵を倒し、弾薬を消費しながら奥へ進み、ようやくセーブピラミッドへ到達する。
そこで立て直して、次の区画へ向かう。
ただし、現在のゲームのように数分おきに自動保存される感覚ではありません。
ジャンプや探索で失敗した場所によっては、もう一度まとまった距離を進むことになります。
便利な回復セーブと、古い時代らしい復帰の重さが同居しています。
PC版をサターンへ移植しただけではない
開発史を知ると、本作の探索構造がさらに分かりやすくなります。
Lobotomy Softwareのゲームは、もともとPC向けFPS『Ruins』として始まり、Build Engineを使って開発されていました。
やがてPC、セガサターン、PlayStationの3機種へ展開することになります。
PC版の開発が進んだ後にサターン版の計画が始まり、コンソール2機種ではサターンがリードプラットフォームになりました。
最初はPC版をそのまま移植する案もあった。
しかしMcNeely氏はコンソール版なら当時のFPSとは違った方向へ作れると考えます。
そこで移動速度を高め、大きくジャンプできるようにし、立体的な足場移動をレベルデザインへ組み込んだ。
さらに一本道の進行を避けるため、恒久能力を与えるアーティファクトとワールドマップを追加した。
現在まで評価したくなる本作の特徴は、まさにこの段階で作られています。
サターン版はBuild Engineの移植でもなかった
PC版はBuild Engineを使った作品ですが、サターン版の内部まで同じだったわけではありません。
当時のGameFanによるLobotomy特集では、サターン版に使われたエンジンをSlave Driverと呼んでいます。
同じ記事では、Ezra Dreisbach氏がサターンのハードに合わせた3Dエンジンについて語り、部屋の上に別の部屋を置ける立体構造や動的なライティングも説明しています。
この技術は後にLobotomyが手掛けるサターン版『Duke Nukem 3D』『Quake』へつながっていきます。
ただし、それだけで本作を評価する必要はありません。
サターンで何ポリゴン出したかを知らなくても、
「あそこへ後で行けそうだ」
と思わせるレベルデザインは面白い。
技術は、その遊びを成立させるために使われています。
PlayStation版は、同じステージをそのまま移したものではない
PlayStation版も後に発売されましたが、サターン版と完全に同じではありません。
McNeely氏によれば、PlayStation側のエンジンではサターン版と同量のポリゴンを表示できなかったため、ステージを作り直す必要がありました。
結果としてPlayStation版のレベルはややコンパクトになりましたが、再設計する過程で流れやペース、バランスを改善できた部分もあったと本人は評価しています。
つまり、
「サターン版がオリジナルで、PS版はただの劣化移植」
という関係ではありません。
同じコンソール版の設計を共有しながら、レベルそのものには違いがあります。
今回86点で評価しているのは、1996年に日本で発売されたセガサターン版です。
『PowerSlave Exhumed』はサターン版そのもののHD化ではない
現在この作品へ触れるなら、Nightdive Studiosの『PowerSlave Exhumed』が非常に重要です。
2022年2月10日に発売され、現在もSteam、Nintendo Switch、PlayStation、Xbox、GOGなどで展開されています。
ただし、1996年サターン版をそのまま高解像度化した商品ではありません。
Nightdive Studiosは、
PlayStation版とセガサターン版を組み合わせたKEX Engine版
と明記しています。
ワイドスクリーン、HD表示、現代的なゲームパッド、SMAA、異方性フィルタリング、高リフレッシュレート向けの補間なども追加されました。
昔の設計を現在の操作環境で体験するには非常に便利です。
一方、レベル構成も操作も1996年サターン版そのままではありません。
『PowerSlave Exhumed』で分かる本作の面白さと、オリジナルのサターン版を遊んだときの感触は完全には同じではない。
ここは分けて考える必要があります。
現行版は日本語に対応していない
現行版には、日本語という別の問題があります。
Steamの商品ページでは対応言語は英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語の5言語で、日本語は非対応です。Nintendo Switch版の公式ページでも同じ5言語が記載されています。
日本のXboxストアでも現在『PowerSlave Exhumed』は販売されていますが、対応言語は5言語です。
ゲームの中心は探索とアクションなので、すべての瞬間に長文を読む作品ではありません。
それでもストーリーや能力の説明まで日本語で味わいたい場合、現行版は1996年日本版の完全な代わりにはなりません。
Switch版はNintendo Switch 2でも動作する
Nintendo公式では、『PowerSlave Exhumed』のNintendo Switch版について、Nintendo Switch 2でもNintendo Switchと同等の動作が確認されたタイトルとして案内しています。
そのため、Switch版を購入可能な地域・アカウント環境であれば、Switch 2でもプレイできます。
現行版を遊ぶ環境そのものは、1996年当時よりはるかに選びやすくなりました。
ただし、日本版『西暦1999 ファラオの復活』そのものを遊ぶ場合は別です。
こちらは現在も、日本国内版ディスクと対応するセガサターン環境を用意するのが基本となります。
2026年に遊んでも残る面白さ
30年前の3Dグラフィックを、そのまま現在の映像表現と比べても意味はありません。
それでも、本作の探索には現在まで残るものがあります。
高い場所を見つける。
今は届かない。
その場所を覚える。
別の土地へ行く。
能力を手に入れる。
思い出す。
戻る。
今度は届く。
その先に、知らなかった道がある。
この気持ちよさは、解像度とは関係ありません。
プレイヤー自身が世界を覚え、自分にできることが増えるたび、以前の記憶を使って攻略する。
一人称視点だからこそ「あそこに何かある」という景色の記憶も強く残ります。
ここは今でも十分面白い部分です。
それでも90点台には届かない
探索設計を高く評価しても、1996年のサターン版にははっきりした負担があります。
一番大きいのは、立体探索と操作方式の相性です。
上下を見るにはボタンと十字キーを組み合わせる必要がある。
その状態で、本作は高低差を見つけ、足場へジャンプし、水中へ潜り、場合によっては落下地点まで判断させます。
オートマップはあるものの、高さの関係まですべて教えてくれるわけではありません。
さらに、能力を得て以前の場所へ戻る構造そのものが、移動の反復も生みます。
セーブピラミッドは体力と弾薬まで回復してくれる一方、現在の細かなオートセーブほど気軽ではない。
世界を覚えることが楽しい一方、忘れると迷う。
再訪が発見につながる一方、同じ道を歩く時間も生まれる。
ジャンプが探索を広げる一方、一人称+サターンパッドでは着地点を読みづらい。
長所と短所が、かなり近い場所にあります。
なぜ86点・A Tierなのか
つぶログでは『西暦1999 ファラオの復活』を、A Tier・86点・総合114位タイとしています。
B TierではなくA Tierなのは、このゲームに30年後でも説明できる遊びの核があるからです。
銃撃だけなら、現在はもっと遊びやすいFPSがあります。
3D技術だけなら、後から登場したゲームの方が当然進んでいます。
それでも、
「新しい能力を手に入れたから、前に見た場所へ戻ってみたい」
という感覚は古びていません。
しかも能力が変えるのは攻撃力の数字だけではない。
跳べる高さが変わる。
水中が道になる。
落下が移動方法になる。
毒沼や灼熱地帯を突破できる。
力場の向こうへ行ける。
空中そのものが進路になる。
主人公が成長するたび、世界の読み方まで変わります。
これがA Tierへ押し上げた理由です。
一方で、サターンパッドによる一人称操作、ジャンプ時の距離感、上下方向の把握、再訪による移動時間、セーブ地点までの復帰といった負担は残ります。
現在でも面白い設計がある。
しかし、現在でも快適なゲームではない。
その両方を含めて86点です。
まとめ|面白いのは「進んだ先」ではなく「戻った先」にある
『西暦1999 ファラオの復活』を少し遊んだだけなら、古代エジプトを舞台にした1990年代のFPSに見えるでしょう。
敵が現れる。
銃を撃つ。
出口を探す。
次のステージへ進む。
ところが、その途中に「今は行けない場所」が少しずつ残されます。
高い足場。
深い水。
危険な地形。
越えられない力場。
最初は行き止まりにしか見えません。
やがて別の場所で能力を得たとき、それらが頭の中でもう一度つながります。
「あそこへ戻ろう」
戻ってみる。
今度は進める。
その先には、新しい場所がある。
Lobotomy Softwareは、PC版をそのままサターンへ持ってくるのではなく、移動とジャンプを変え、一本道の進行を外し、恒久能力とワールドマップを加えました。
その結果、本作では敵を倒した記憶だけでなく、行けなかった場所の記憶まで攻略に使います。
サターンで3Dを動かしたから86点なのではありません。
昔のFPSとして珍しいからでもありません。
一度諦めた場所が、自分の成長によって道へ変わる。
1996年に作られたその探索が、今遊んでもきちんと面白い。
だから『西暦1999 ファラオの復活』は、A Tier・86点です。