- はなたーかだか!?とは?天狗が巨大化するPCエンジン横シューティングをレビュー
- 先に結論|パワーアップすると「強さ」と「弱点」が一緒に増える
- 『はなたーかだか!?』とは
- 大・中・小の3段階は、実質的な耐久状態でもある
- 「最強状態を維持すれば勝ち」とは限らない
- サイズによって、次に出るパワーアップまで変わる
- 溜め撃ちは「連射し続けない理由」を作る
- 大天狗だけが使える「強力溜め撃ち」
- サブウェポンは前方ショットの弱点を補う
- 全6ステージだが、「裏6ステージ」が隠されている
- 12枚の封印、その半分はボスを倒すだけで手に入る
- 封印を取り逃しても、物語の結末そのものは変わらない
- シューティングなのに、画面の「怪しいもの」を探す
- 強制スクロールだからこそ、探索が暗記へ寄る瞬間もある
- 裏ステージへ入った後は、逆に「見つけるまで終わらない」
- 小天狗でしか入れない場所が、サイズと探索をつないでいる
- 上下へ広がるステージも、探索と視認性の両方へ効く
- 大天狗の避けにくさと上下スクロールは相性が厳しい
- 一部にはサイズ段階で受けられない即死もある
- ステージ5裏面だけ、さらに操作感まで変わる
- ミス後は中天狗から戻り復活
- コンティニュー無制限だから、失敗回数そのものには上限がない
- パスワードで一度に全6ステージを遊び切る必要はない
- 3段階の難易度を選べる
- ボスよりも、道中に本作らしい仕組みが集中している
- コミカルな和風世界は、ステージの変化にも使われている
- 音楽は山下絹代氏が全曲を担当
- なぜB Tier・79点なのか
- A Tier・80点へ届かなかった最後の1点
- 現在遊ぶなら、原版環境が最も確実
- 総評|最強状態を「一番安全な状態」にしなかった79点
はなたーかだか!?とは?天狗が巨大化するPCエンジン横シューティングをレビュー

シューティングゲームでパワーアップアイテムを見つけたら、普通は迷わず取りに行く。火力が上がり、敵を早く倒せるようになれば、そのぶん画面上の危険も減るからだ。
1991年8月9日にタイトーから発売されたPCエンジン用『はなたーかだか!?』は、そんな分かりやすい強化の気持ちよさに、ひとつ厄介な条件を付けた。
巻物を取ると、天狗自身が大きくなる。
大きくなればショットの攻撃性能が上がり、最大サイズでは専用の強力な溜め撃ちまで使えるようになる。サブウェポンも利用でき、敵を倒す力だけを見るなら明確に強い。
ところが、身体が大きくなったぶんだけ敵や弾を避ける余裕は減る。狭い地形を通れない場所もあり、小天狗でしか入れない通路さえ存在する。大天狗・中天狗・小天狗の3段階は、単なる火力レベルではなく、攻撃、回避、通常被弾への余裕、使用できる追加武器、通行できる地形までまとめて変える状態になっている。
だから本作では、強くなることと安全になることが同じ方向を向いていない。
しかも、ステージ上で見るべきものは敵や弾だけではない。
全6ステージには通常ルートとは別の裏ステージが隠されており、12枚ある「封印の札のかけら」のうち6枚は、その裏側まで探さなければ手に入らない。1997年版『大技林』にも、6つのワールドとサブステージを進んで12個の封印を集め、見つけられなかった分だけエンディング表示が欠ける仕組みが記録されている。
シューティングとして生き残るために画面を見る。
同時に、秘密を見逃さないためにも画面を見る。
この二つを強制スクロールの中で重ねたことが、『はなたーかだか!?』の個性である。
つぶログのPCエンジン全作品Tierでは、本作を79点・B Tier・総合156位としている。
B Tierの上限、A Tierまであと1点。
独自システムそのものはかなり魅力的だ。それでも80点へ上げられなかったのは、戦闘と探索の二つを同時に要求した結果、見落とし、視認性、再到達の負担まで強くなったからである。
先に結論|パワーアップすると「強さ」と「弱点」が一緒に増える
『はなたーかだか!?』を「天狗が巨大化する変なシューティング」と説明するだけなら簡単だ。
実際には、この巨大化がゲームのかなり深いところまで入り込んでいる。
大天狗なら攻撃範囲が広く、火力も高い。通常の溜め撃ちに加え、専用アイテムを持っていれば強力溜め撃ちも使える。サブウェポンも利用できるため、通常ショットでは届きにくい方向へ攻撃を補うこともできる。
しかし身体が大きいので、敵弾の間を抜ける余裕は小さい。狭い通路を通れず、大天狗のままでは選べないルートもある。
中天狗になると強力溜め撃ちは使えなくなるものの、通常溜め撃ちとサブウェポンは残る。火力、回避、地形への対応を考えると、最も扱いやすい中間状態だ。
小天狗まで縮むと攻撃力とショット範囲は弱くなり、強力溜め撃ちとサブウェポンも使えなくなる。その代わり、身体の小ささを生かして弾をかわしやすくなり、小天狗だけが通れる場所もある。通常の溜め撃ちは小天狗でも使える。
サイズを上げれば全部が良くなるわけではない。
ここが本作の出発点だ。
『はなたーかだか!?』とは
今回評価するのは、1991年8月9日に日本国内で発売されたPCエンジン HuCARD版『はなたーかだか!?』である。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発売日 | 1991年8月9日 |
| 発売元 | タイトー |
| ジャンル | 横スクロールシューティング |
| メディア | HuCARD |
| ROM容量 | 4Mbit |
| 発売時価格 | 7,200円(税別) |
| 型番 | TP03018 |
| プレイ人数 | 1人 |
| Tier | B Tier |
| スコア | 79 / 100 |
| PCエンジン全作品中 | 156位 |
発売日、発売元、7,200円という価格、HuCARDという媒体は複数資料で一致しており、型番TP03018も現存商品資料で確認できる。後年の販売サイトで7,920円と表示される場合があるが、こちらは消費税込みの価格である。
物語は、いたずら好きのキツネ「コン太」がタヌキ魔人ジカンダの封印を解いてしまったことから始まる。ジカンダにさらわれたイナリを救うため、コン太に頼まれた天狗が空へ飛び立つ。
和風の昔話を思わせる設定だが、本作はその世界観を背景だけに使っていない。
天狗だからこそ身体そのものが大きくなり、その大きさを戦闘と探索のルールへつないでいる。
大・中・小の3段階は、実質的な耐久状態でもある
巻物を取ると天狗は一段階大きくなる。
反対に、通常の敵や敵弾などからダメージを受けると一段階縮む。
大天狗から中天狗へ。
中天狗から小天狗へ。
小天狗でもう一度通常ダメージを受けるとミスになる。
このためサイズは、通常被弾に対する残り余裕にも近い。
ただし、一般的な体力ゲージとは性格が違う。
大天狗が一発受ければ、残り耐久だけでなく攻撃性能も下がる。強力溜め撃ちを使えなくなり、ショット範囲も縮む。
小天狗まで追い込まれれば、さらに火力が落ち、サブウェポンまで失う。
被弾すると、次の敵を処理する能力まで弱くなる。
ところが同時に身体は小さくなるため、次の攻撃をかわす余裕は増える。
戦力は落ちるが、生存しやすい姿へ変わる。
通常のライフ制では起きにくい変化であり、ダメージを受けた後にも立ち回りを変える理由が残る。
「最強状態を維持すれば勝ち」とは限らない
大天狗の火力は明確な長所だ。
敵を早く倒せるなら、そもそも避けなければならない攻撃の数を減らせる。広い攻撃範囲や追加武装によって、道中の処理能力も高くなる。
そのため大型化を「パワーアップすると弱くなる罰ゲーム」と見るのは違う。
大天狗はちゃんと強い。
問題は、強いからといって万能ではないことだ。
地形が狭い。
敵弾の隙間が小さい。
小天狗専用の通路へ行きたい。
そういう状況では、最大サイズがそのまま扱いづらさへ変わる。
普通のシューティングなら、最後まで最高火力を維持できれば理想的なことが多い。『はなたーかだか!?』では、どのサイズでいるかによって地形との相性まで変化する。
「強さ」を一つの数字で終わらせなかったところが、本作のおもしろい部分だ。
サイズによって、次に出るパワーアップまで変わる
サイズシステムは、現在の能力だけに影響しているわけでもない。
宝箱から出るアイテムには、現在のサイズによって出現条件が変わるものがある。
巨大化用の巻物は、大天狗では出ない。
強力溜め撃ち用のアイテムは、大天狗のときだけ出現する。
サブウェポンは、大天狗か中天狗でなければ出現しない。
つまり、身体の大きさは次にどんな強化を受けられるかにも関わる。
大天狗を維持すれば、より強力な装備を引き出せる。
しかし、その強い状態ほど弾をかわしにくい。
被弾して小さくなれば安全性は増えるが、今度は一部の武装を得られなくなる。
この循環によって、サイズが単なる見た目の演出ではなくなっている。
溜め撃ちは「連射し続けない理由」を作る
通常ショットは前方への射撃。
ショットボタンを押し続けると画面上部のゲージがたまり、最大になったところでボタンを離すと、高威力で一定の貫通性能を持つ溜め撃ちを放てる。
この溜め撃ちは全サイズで使用できる。
そのため小天狗になっても、攻撃手段が完全に弱い通常ショットだけになるわけではない。
一方、チャージ中は通常ショットを連続して撃つことができない。
目の前の雑魚をすぐ処理するのか。
少し先の硬い敵へ溜め撃ちを準備するのか。
大天狗なら、専用アイテムによる強力溜め撃ちを狙うのか。
こうした使い分けが生まれる。
敵が多い場面で何も考えずボタンを押し続けるだけの構造にはしていない。
大天狗だけが使える「強力溜め撃ち」
大天狗状態で専用アイテムを取ると、通常版より個性的な強力溜め撃ちへ変化する。
確認できるのは、鳥天狗、鎌いたち、独楽、青龍の4種類。
鳥天狗は敵を追尾し、鎌いたちは前方5方向へ広がる。独楽は地形へ当たると反射し、青龍は地形に沿って進む。
単純に「威力が2倍になる」といった強化ではない。
地形や敵配置への攻撃方法そのものが変化する。
しかも、これらを使えるのは最も大きく、最も被弾しやすい大天狗だ。
強い攻撃を維持したければ、危険な身体も維持しなければならない。
大型化のメリットとデメリットが、ここでさらに強く結び付く。
サブウェポンは前方ショットの弱点を補う
大天狗と中天狗では、回数制のサブウェポンも利用できる。
癇癪玉は前方の地面へ落ち、まきびしは後方へ投げる。鼠花火は十字キーで方向を調整でき、手鞠は地面を跳ねながら前方へ進む。
本作の通常ショットは基本的に前方へ飛ぶため、サブウェポンには射線を増やす役割がある。
自機より下側へいる敵を狙う。
後方へ残った敵へ攻撃を置く。
地形の影になった相手へ別角度から当てる。
単なる追加火力ではなく、通常ショットが苦手とする方向を補っている。
そして小天狗まで縮むと、この選択肢を失う。
サイズによる戦い方の違いは、ここでもはっきりしている。
全6ステージだが、「裏6ステージ」が隠されている
本編は全6ステージ。
しかし、各ステージには対応する裏ステージがひとつずつ存在する。
通常ステージ内に隠れているジカンダの子分を見つけて攻撃すると、裏ステージへ移動する。そこでさらに別の子分を見つければ、隠されている「封印の札のかけら」を入手し、通常ルートへ戻る。
したがって構造としては、
通常6ステージ+6つの裏ステージ
と考えると分かりやすい。
ただクリアするなら、通常ステージを突破してボスを倒せば進める。
すべての封印を集めようとすると、同じ6ステージが探索ゲームへ変わる。
12枚の封印、その半分はボスを倒すだけで手に入る
「封印の札のかけら」は全部で12枚。
各通常ステージのボスを倒せば1枚ずつ得られるので、普通に6ステージをクリアすれば6枚は確保できる。
残り6枚が、裏ステージ側へ隠されている。
このため、「ゲームクリア」と「封印の完全回収」は同じ条件ではない。
全ての裏ステージへ入らなくても最後まで進める。
ここを「真エンドを見るために必須」と説明すると少し違う。
12枚を全部そろえた場合に得られるのは、エンディングを完全な状態で見られることだ。
封印を取り逃しても、物語の結末そのものは変わらない
隠し封印を取り逃したまま最後まで進んでも、ゲーム自体はクリアできる。
物語上は、取り逃したかけらをコン太が後から集めてきたという扱いになる。
そのため、封印不足によって別のストーリーへ分岐するわけではない。
代わりに、エンディング画面へ未取得分の封印が重なるように表示され、映像の一部が見えなくなる。『大技林』にも、見つからなかった封印の分だけエンディングが削られると記録されている。
だから本作の収集要素は、
「別の結末を解禁する条件」
というより、
エンディングを完全な画面で見るための達成条件
と考えた方が正確だ。
この微妙な意地悪さも、作品のコミカルな性格には合っている。
シューティングなのに、画面の「怪しいもの」を探す
裏ステージの存在によって、通常ステージでの視線が変わる。
敵の出現位置を見る。
敵弾を見る。
地形との距離を見る。
それだけでは足りない。
背景やオブジェクトの中にジカンダの子分が隠れていないか、分岐のどちらへ進むべきか、小さいサイズでしか入れない場所はないかまで考える必要がある。
生存のための観察と、秘密発見のための観察を同時に行う。
一本道の横スクロールシューティングへ、探索する理由を加えた発想はかなり良い。
一度クリアしたステージでも、「前回は下へ行ったが、今度は上側を見てみよう」と目的を変えて再挑戦できる。
スコアやノーミスだけではない周回理由が生まれている。
強制スクロールだからこそ、探索が暗記へ寄る瞬間もある
その探索には大きな問題もある。
通常ステージに隠された裏ステージ入口を発見できるチャンスは、基本的に一度だけ。
画面は強制的に進むため、その地点を通り過ぎたあとに、
「さっきの背景が怪しかった」
と思っても戻れない。
初見で背景の違和感を見つけ、隠し入口を発見できたときには探索として気持ちいい。
ところが、どこにあるのかを知らないと見つけにくい入口では、
「前回ここを見逃したから、次はこの位置を撃つ」
という暗記へ変わる。
発見と記憶の境界がかなり近い。
強制スクロールは秘密を見つけた瞬間の価値を上げる一方、見落としたときの救済を弱くする。
A Tierへ届かなかった理由のひとつである。
裏ステージへ入った後は、逆に「見つけるまで終わらない」
通常ステージ側では、入口を一度逃すと取り返せない。
ところが裏ステージへ入ると仕組みが反転する。
裏ステージはループ構造になっており、中に隠された子分を見つけるまで同じ区間を何度でも回る。
入口側は、
見逃したら終了。
裏側は、
見つけるまで終了しない。
かなり対照的な構造だ。
一度裏へ入れば探索時間を保証してくれるので、通常ステージほど一発勝負ではない。
しかし、目標を見つけられなければ同じ地形を何度も回ることになり、探索の緊張は反復へ変わる。
隠し要素を「探させる」仕組みは意欲的だが、快適さまで完全には整っていない。
小天狗でしか入れない場所が、サイズと探索をつないでいる
探索とサイズ変化が完全に別々の仕組みなら、本作の評価はもう少し低かったかもしれない。
実際には、小天狗でしか通れない狭いルートが存在する。
ここで、
「火力の高い大天狗を維持する」
ことと、
「行ける場所を増やす」
ことが一致しなくなる。
敵を早く倒すだけなら大きい方が有利。
隠し場所へ入りたいなら、小さい方がいいこともある。
シューティングとしての戦力と、探索ゲームとしての行動範囲が、同じサイズ状態によって変化する。
巨大化と隠し探索が、ちゃんと一つのゲームになっている。
79点まで上げられる大きな理由だ。
上下へ広がるステージも、探索と視認性の両方へ効く
基本は横方向への強制スクロールだが、プレイヤーの位置に合わせて画面が上下へ大きく動く場所も多い。
この縦方向の広さがあるから、上ルートと下ルートを選んだり、通常の横STGより広い範囲へ秘密を隠したりできる。
ただし、画面そのものが動くことで敵や弾の位置を把握しづらくなる。
詳細なプレイ資料でも、上下スクロールによって視界外から敵や流れ弾が入ってきやすく、状況が読みづらいことが問題点として挙げられている。
探索するために視野を広げた。
その結果、シューティングとしては危険を把握しにくくなった。
本作ではこうした同じ仕組みから長所と弱点が同時に生まれる場面が多い。
大天狗の避けにくさと上下スクロールは相性が厳しい
大天狗は火力が高い。
しかし上下へ大きく動く画面で、視界外から敵や弾が入ってくる場面では、その大きさがかなり負担になる。
中天狗、小天狗なら通れる隙間でも、大天狗では逃げる位置が少ない。
「高火力だから敵が少なくなる」という恩恵と、「大きいから避けにくい」という危険が、その場ごとに競合する。
このリスク自体は減点要素ではない。
むしろサイズシステムのおもしろさだ。
問題になるのは、視認しづらい攻撃まで重なった場合である。
見えている危険へ対して大型化のリスクを取ることと、見えにくい危険へ大きな身体で巻き込まれることは同じではない。
後者が増えるほど、リスク/リターンではなく理不尽さへ近づく。
一部にはサイズ段階で受けられない即死もある
通常ダメージなら、一段階小さくなる。
しかしゲーム中の全ての危険が、このルールへ従うわけではない。
一部の攻撃には即死効果があり、強制スクロールと地形の間へ挟まれた場合も、サイズを残したまま一発耐えることはできない。
そのため、大天狗だから「あと2回は必ず耐えられる」と考えることはできない。
通常被弾に対するサイズ耐久と、一発でミスになる地形・攻撃が混在している。
即死の存在そのものはシューティングとして珍しいものではないが、本作ではサイズが耐久にも見えるため、危険の種類を理解するまで少し混乱しやすい。
ステージ5裏面だけ、さらに操作感まで変わる
特に特徴的なのがステージ5の裏ステージ。
ここでは自機の移動に独特の慣性が付き、それまでと違う操作感になる。さらに高速の上下スクロールと暗い宇宙背景が重なり、自機位置や周囲の状況を把握しづらい難所として知られている。
一面だけ操作感を変えること自体は、ステージの個性になる。
6ステージという比較的コンパクトな作品の中で、裏ステージまで同じ感触にしなかったことは評価できる。
一方で、封印を完全回収しようとしている場面で、それまで身につけた移動感覚まで一時的に通用しなくなる。
変化としての新鮮さと、収集プレイの負担が同居した場所だ。
ミス後は中天狗から戻り復活
ミスすると、ステージの途中から戻り復活する。
その際、最弱の小天狗ではなく中天狗から再開できる。
これは比較的親切だ。
死亡直後から最低火力で戦わされるわけではなく、通常溜め撃ちとサブウェポンを使えるサイズまで戻してくれる。
ただし、それまで取っていた強力溜め撃ち、サブウェポン、オプションなどのアイテム効果は失う。
自機の基礎状態は中間まで戻るが、そこまで積み上げた追加戦力は作り直しになる。
後半ほど、この差が復帰難度へ効いてくる。
なお裏ステージ内でミスした場合は、対応する裏ステージの冒頭から復活する。
コンティニュー無制限だから、失敗回数そのものには上限がない
残機を全て失った場合でも、コンティニューは無制限。
コンティニューするとステージの最初から再開する。
この仕様によって、作品全体を最初からやり直すような厳しさはない。
隠し入口を見逃した。
難所でゲームオーバーになった。
もう一度そのステージへ挑戦する。
これを回数制限なく繰り返せる。
だから本作の弱点を「やり直しが致命的に重い」とまでは評価しない。
負担になるのは、再挑戦できないことではなく、同じ隠し場所や難所へ戻るためにステージ単位でもう一度進まなければならないことだ。
パスワードで一度に全6ステージを遊び切る必要はない
ゲームオーバー後にはパスワードが表示され、タイトル画面の「呪文」から対応するステージへ再開できる。
イージー、ノーマル、ハードの3難易度それぞれにステージ別のパスワードが存在する。
HuCARD作品なのでバッテリーバックアップはないが、電源を切ったら最初からというゲームでもない。
全6ステージを一度に終わらせる必要がないため、再挑戦を続けやすい。
一方、パスワードへ封印の取得状態がどこまで保持されるかは、今回確実な資料まで固定できない。
そのため、「途中まで集めた封印をパスワードで完全に保存できる」とまでは断定しない。
3段階の難易度を選べる
開始時にはイージー、ノーマル、ハードの3段階から難易度を選択できる。
各難度に対応したステージ別パスワードが残っていることからも、3種類の存在は確認できる。
ただし、敵の耐久値、弾数、配置などのどの項目が具体的にどれだけ変わるのかは、今回の日本版資料だけで完全には固定できない。
そのため「イージーなら封印探しに最適」とまで決めつけず、シューティング部分の難度を選べる仕組みとして扱うのが妥当だ。
ボスよりも、道中に本作らしい仕組みが集中している
ボス戦にも攻撃回避や溜め撃ちの使い分けはあるが、詳細なプレイ評価では、道中と比べると攻撃パターンが素直で、溜め撃ちを使えば比較的短く決着するボスも多いとされている。
これは必ずしも大きな欠点ではない。
本作では、
どのサイズで進むか。
どこを通るか。
何を探すか。
上下スクロールのどこへ位置取るか。
裏ステージ入口を見逃していないか。
という判断の多くが道中へ集中している。
『はなたーかだか!?』は、ボス攻略中心のシューティングではなく、ステージをどう抜けるか自体が主役の作品と見る方が実態に近い。
それでも、ボス戦でもサイズ差や探索で得た武装をさらに強く生かす仕掛けがあれば、ゲーム全体の完成度は一段上がっただろう。
コミカルな和風世界は、ステージの変化にも使われている
主人公は天狗、依頼人はキツネ、敵側にはタヌキ魔人がいる。
この時点でかなり賑やかな世界だが、ステージ背景も和風だけに固定されていない。
江戸時代風の場所から、空中、宇宙、洋風ファンタジーを思わせるような舞台まで現れる。
この自由さは、裏ステージを探すゲームとの相性がいい。
新しいステージへ入るたびに背景と地形が変わるため、「次はどこへ秘密を隠しているのか」という興味を持続させやすい。
ネット上ではさまざまなパロディ元やタイトル由来が語られているが、制作側の一次証言を確認できないものまで特定する必要はない。
ゲームとして評価したいのは、誰かに似たキャラクターがいることではなく、コミカルな題材をステージの変化と遊びへ使えていることだ。
音楽は山下絹代氏が全曲を担当
サウンドについては、かなりはっきりした資料が残っている。
山下絹代氏本人の公式クレジットでは、1991年の『Hana Taaka Daka!?』について**「All composition」**と記載されている。
ゲーム側のクレジット資料でもSoundとして山下氏が確認できる。
和風ののどかな曲だけではなく、裏ステージやボス、場面ごとに雰囲気を変え、コミカルな作品の中でもステージごとの差を作っている。
サイズや封印探索ほどゲームルールへ直接作用する部分ではないが、全6ステージ+裏ステージを同じ調子に感じさせないための支えになっている。
なぜB Tier・79点なのか
『はなたーかだか!?』の79点は、「変わったゲームだから」付けたものではない。
サイズという一つの状態が、かなり多くの判断へつながっている。
大きければ攻撃が強い。
追加武装も豊富になる。
しかし避けにくい。
小さければ火力は落ちる。
その代わり敵弾をかわしやすく、狭い場所へ入れる。
さらに、エンディングを完全な状態で見るには、シューティングとして生き残るだけでなく通常ステージの秘密まで探さなければならない。
この二本柱がしっかり成立している。
| 評価軸 | 79点を支える理由 |
|---|---|
| 3段階のサイズ | 火力、回避、耐久状態、追加武器、通路を一括して変える |
| 大天狗 | 高火力だが避けにくく、狭路に弱い |
| 小天狗 | 火力は低いが回避しやすく、専用通路もある |
| 通常溜め撃ち | 全サイズで使え、連射一辺倒にならない |
| 強力溜め撃ち | 大天狗維持へ明確な攻撃面の報酬を与える |
| サブウェポン | 通常ショットが苦手な方向を補う |
| 上下スクロール | ルートと探索範囲を広げる |
| 6つの裏ステージ | 横STGへ秘密を探す目的を加える |
| 12枚の封印 | ボス攻略と探索を一つの進行へ結び付ける |
| 再挑戦 | 無制限コンティニューとパスワードで挑戦を支える |
| 弱点 | 視界外の危険、入口の見落とし、裏面ループ、一部即死 |
| A Tierへの壁 | 戦闘と探索を同時に要求する画面設計に、救済が少し足りない |
アイデアそのものなら80点以上を狙える。
問題は、そのアイデアを遊び切ろうとしたときに出てくる。
A Tier・80点へ届かなかった最後の1点
大きくなるほど避けにくい。
これは減点理由ではない。
むしろ本作を79点へ押し上げた仕組みだ。
隠しステージを探さなければならない。
これも同じで、探索そのものは加点になる。
A Tierへ届かなかったのは、二つの良い仕組みを同じ強制スクロール画面へ重ねたとき、それを支える視認性と取り逃し救済が少し足りなかったからだ。
敵を避ける。
自機サイズを意識する。
上下へ広がる地形を見る。
隠された子分を探す。
分岐を判断する。
これらを同時に行う。
その状況で画面外から敵や弾が入ってくると、探索へ注意を向けたことがそのまま被弾へつながりやすい。
反対に生存だけへ集中すれば、今度は隠し入口を通り過ぎる。
しかも、その入口は戻って探し直せない。
シューティングとして上手く遊ぶことと、探索として丁寧に見ることが競合する瞬間がある。
この競合自体はおもしろい。
しかし、一度見逃した入口をその場で探し直せない設計まで重なると、発見の楽しさより「場所を知っているかどうか」の比重が高くなる。
ここが79点と80点の境界だ。
現在遊ぶなら、原版環境が最も確実
2026年8月現在、今回評価している『はなたーかだか!?』そのものについて、現行機向けの公式デジタル版を確実に案内できる状況にはない。
Nintendo Switch/Switch 2、Steam、PlayStation、Xbox、Project EGG/EGGコンソールなどで関連するレトロタイトルの復刻は続いているが、本作そのものについては現行商品として案内できる公式販売ページを確認できていない。
そのため、現在確実に挙げられるのは日本版HuCARDと対応するPCエンジン実機環境になる。
中古価格は状態や時期でかなり動いており、現在も高値で流通する例があるが、その希少性を79点というゲーム評価へ混ぜる必要はない。
復刻状況は今後変わる可能性があるため、購入を考える段階ではタイトーや主要配信サービスの最新ラインナップを確認したい。
総評|最強状態を「一番安全な状態」にしなかった79点
『はなたーかだか!?』では、巻物を取れば天狗が大きくなる。
大きくなれば強い。
そこまでは普通のパワーアップだ。
しかし身体まで大きくなるため、同じ敵弾でも逃げられる場所は減る。狭いルートには入りにくくなり、小天狗でなければ通れない場所さえある。
大天狗なら強力溜め撃ちやサブウェポンを使える。
小天狗なら攻撃力は下がるが、生き残る空間は広がる。
被弾すれば残り耐久だけでなく攻撃手段まで変わり、次の瞬間から別の立ち回りを要求される。
火力を上げることと安全に避けることを、あえて同じ方向へ揃えなかった。
この発想だけでも、本作には十分な個性がある。
さらに、その身体の大きさを探索へまで使った。
一番強い姿を維持していれば何でもできるのではなく、小さな身体だから入れる道がある。
敵を倒すだけでなく、強制スクロール中に隠された子分を探し、裏ステージへ入り、12枚の封印を集める。
通常クリアと完全回収を分けることで、一度進んだステージを別の視点から見直す理由も作った。
この二つはよくできている。
だからB Tierの最上段、79点まで届く。
一方、画面上では敵、弾、地形、サイズ、分岐、隠し入口を同時に見なければならない。
上下スクロールによって視界外の危険まで入り、通常ステージの裏入口は一度通り過ぎれば戻れない。
見つけるまでループする裏ステージも、発見できなければ同じ地形の繰り返しになる。
探索を加えたことでシューティングが豊かになり、その探索を強制スクロールへ入れたことで見落としと暗記の負担も増えた。
ここが最後の1点を止めた。
だからB Tier・79点。
『はなたーかだか!?』は、天狗が巨大化すること自体がおもしろいゲームではない。
大きくなるほど攻撃面では強くなりながら、回避と探索では別の弱点を抱え、その状態のまま敵だけでなくステージの秘密まで見つけなければならないシューティングである。
強化を無条件のご褒美にしなかったサイズ設計と、一本道にしなかった探索設計。
その二つが79点を作り、その二つを同時に処理させる画面設計の摩擦が、A Tierへの最後の1点を残した。