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『ラストハルマゲドン』PCエンジン版レビュー|魔族12体・3パーティ制と76点の理由

『ラストハルマゲドン』PCエンジン版レビュー|76点・B Tierの理由

1990年8月31日にブレイングレイから発売された、PCエンジン CD-ROM²用RPG『ラストハルマゲドン』。

1988年にPC-8801で登場した作品の家庭用移植版です。

舞台は、人類が滅びた後の地球。

地上へ出てきた12体のモンスターたちが、宇宙から現れたエイリアンと戦います。

主人公が勇者でも人間でもないという設定だけでも強烈ですが、本作のおもしろさは設定だけでは終わりません。

12体は昼・夜・「サルバンの破砕日」という3つの固定パーティに分かれ、ゲーム内の時間によって操作する仲間が変わります。それぞれを成長させ、武器や防具を自分たちで作り、さらに別のモンスターとの合体によって能力まで変化させていく。

人類のいない世界を、12体の異形が交代しながら生き抜く。

その世界設定が、そのままRPGの仕組みになっています。

つぶログのPCエンジン全ソフトTier表では、76点・B Tier・総合242位タイ

企画の独自性だけを見れば、もっと上位に置きたくなる作品です。

それでもB Tierなのは、その濃いシステムを長編RPGとして動かし続ける負担まで無視できないからです。

PCエンジン版『ラストハルマゲドン』はどんなゲーム?

項目内容
発売日1990年8月31日
対応機種PCエンジン CD-ROM²
発売ブレイングレイ
ジャンルRPG
プレイ人数1人
型番BRCD-0001
当時価格7,500円
セーブ対応

物語の始まりは、人類がすでに消滅した地球です。

地上には人間の町も、人間の王国もありません。

そこへ現れたのが、宇宙から来たエイリアン。

地下世界で生きていたモンスターたちは、自分たちの世界へ侵入してきた存在と戦うため地上へ向かいます。

RPGとして珍しいのは、人間側と魔物側の立場を入れ替えただけではないことです。

プレイヤーが動かすのは一人の主人公ではありません。

オーク、スケルトン、スライム、ゴーレムなど12体全員が、この旅を進める主人公です。

そして、その12体を一度に自由編成して使うこともできません。

ここから『ラストハルマゲドン』独自の遊びが始まります。

12体を3つの固定パーティで動かす

PCエンジン版では、12体が4人ずつ3パーティに固定されています。

活動する時間メンバー
昼 10:00~22:00オーク/スケルトン/ジャイアント・スネーク/ハーピー
夜 22:00~10:00ガーゴイル/ゴブリン/ドラゴン・ニュート/サイクロプス
サルバンの破砕日ゴーレム/アンドロ・スフィンクス/ミノタウロス/スライム

昼と夜だけではありません。

月に一度訪れる「サルバンの破砕日」には、普段とは別の4体が行動します。

ゲーム内では日時が進み、その時刻・日付に対応したパーティへ操作が移ります。

好きな4人だけを選んで最後まで育てることはできません。

昼の仲間だけで進める。

夜の仲間だけを集中的に強くする。

そうした通常のRPGでありがちな主力偏重では、このゲーム全体を回しにくくなります。

12体を3組に分ける仕組みは、キャラクター紹介のために用意されているのではありません。

「いま誰が地上を動けるのか」が時間によって決まること自体が、冒険のルールです。

サルバンの破砕日が、12体育成をさらに難しくする

昼パーティと夜パーティは、毎日の中で交代します。

一方、サルバンの破砕日の4体が動けるのは月に一度。

当然、普通に進めているだけでは出番の量に差が生まれます。

ゲームの説明書でも、サルバンの破砕日のパーティは成長させにくいことが明記されています。

これによって、

全員を育てたい
というRPGとしての欲求と、

使える時間そのものが違う
という本作のルールが衝突します。

ここは『ラストハルマゲドン』のおもしろいところであり、同時にプレイ時間を重くする部分でもあります。

12体いるから賑やかなのではありません。

12体いるから、12体分の成長をどう回すかという問題までプレイヤーへ渡されるのです。

戦闘では4人それぞれの行動を選ぶ

敵との遭遇はランダムエンカウント方式。

戦闘に入ると、現在活動しているパーティの4体へ行動を指示します。

選べる主なコマンドは、

  • 接近攻撃
  • 魔法
  • 特殊能力
  • 防御
  • 逃げる

など。

キャラクターごとに覚えている魔法や特殊能力も異なります。

一人の勇者へ「たたかう」を選ぶだけのRPGより、一度の戦闘で確認するものは多めです。

敵の数。

味方の状態。

使える魔法。

特殊能力。

回復が必要か。

誰に何をさせるか。

この選択肢の多さが、強敵との戦いでは本作らしい戦術になります。

その一方、移動中に何度も遭遇する通常戦闘でも同じ操作が発生します。

長時間遊んだときにテンポの重さが出てくる理由の一つです。

「自動」で通常戦闘の入力を減らせる

戦闘には「自動」コマンドもあります。

これを選ぶと、各モンスターが通常攻撃を選び、敵を倒すまで戦闘を続けます。途中で通常操作へ戻すこともできます。

毎回4人分のコマンドを入力しなくてもよいため、ザコとの戦闘ではかなり助かります。

ただし、自動戦闘があるから移動そのものが速くなるわけではありません。

エンカウントは発生する。

戦闘画面にも入る。

敵を倒す時間も必要。

さらに育成のためには戦闘数そのものにも意味があります。

つまり「自動」は、頻繁な戦闘をなくす機能ではなく、その入力負担を軽くする仕組みです。

ここに本作の長所と弱点がよく表れています。

システムが複雑だから、それを補う機能もある。

しかし、長編全体の重さまで消せるわけではありません。

レベル17と34で「合体」――成長すると姿まで変わる

12体は経験を積んで成長します。

さらに各モンスターは、総合レベルが17と34へ達したとき、別のモンスターとの「合体」を行えます。

相手を選ぶと、その特徴や特殊能力、魔法などを受け継ぎ、能力構成が変化します。

外見も変わります。

ここがおもしろいところです。

オークは最後まで同じオークのまま、数字だけ大きくなるわけではありません。

どの相手と合体させるかによって、その後に使える能力まで変わります。

しかも武器作成や防具作成といった特性も継承対象になります。

成長が、

レベルが上がる
だけでなく、

どんな性質を取り込むか

という選択へつながっています。

12体×3パーティという時点ですでに育成対象は多い。

そこへ一体につき二度の合体が加わる。

育成の自由度と管理量が一緒に増えていくゲームです。

一人だけ強くすればいいRPGではない

この仕組みで厄介なのは、気に入った一体だけを育ててもゲーム全体が楽にならないことです。

活動するパーティは時間で決まります。

昼の4体が強くても、夜になれば別の4体へ交代する。

サルバンの破砕日には、さらに別の4体を使わなければなりません。

ゲーム中には特定のメンバーや能力が関係する場面もあります。

そのため、

誰か一人をエースにする

というより、

12体をチーム単位で底上げしていく

感覚が強くなります。

これは世界設定との相性が非常にいい。

人類の代わりに一人の英雄が世界を救うのではなく、異なる種族のモンスターたちが交代しながら地球を歩く。

シナリオ上の集団主人公という発想が、そのまま育成負荷まで含むゲームシステムになっています。

店で買い替えるより、「ジン」から武具を作る

人間の町を巡って、

新しい剣を買う。

防具屋で鎧を更新する。

そんな一般的なRPGの装備更新とはかなり違います。

戦闘では「ジン」という素材を手に入れられます。

そして「武器作成」「防具作成」「道具作成」といった特性を持つモンスターが、ジンを使って必要な物を作ります。

武器。

防具。

回復や状態異常へ対応する道具。

これらを、自分たちの能力で用意していくわけです。

この仕組みも人類滅亡後という舞台によく合っています。

誰かが営業している武器屋へ行くより、戦って材料を手に入れ、自分たちで装備を作る。

世界設定の説明と装備システムが分離していません。

原作PC版より、PCエンジン版ではパーティ運用が固定化された

『ラストハルマゲドン』の原点は、1988年のPC-8801版です。

原作でも12体を昼・夜・サルバンの破砕日に分けて使いますが、メンバーの一部には編成の自由がありました。

PCエンジン版では、3パーティすべてが4人ずつ固定されています。

自由度は下がっています。

その代わり、誰がどの時間帯を担当するかが最初から明確になり、シナリオイベントと各キャラクターを結び付けやすい構成になりました。

ダンジョンにも変更があります。

原作PC版にあった3D表示のダンジョンは、PCエンジン版では2Dマップへ置き換えられています。

物語序盤の大きな探索要素だった多数の石板についても整理され、PCエンジン版では赤い石板12枚を探す形へ縮小されています。

原作をそのままCD-ROM²へ移した作品ではありません。

家庭用機で一本の長編RPGを進めやすいよう、複数の部分が組み直されています。

CD-ROM²版ではイベントに音声が加わった

PCエンジン版では、物語の節目に音声を使ったイベントが追加されています。

ただし、全編の会話を音声化した「フルボイスRPG」ではありません。

普段の探索や戦闘は従来型のRPGとして進み、要所で声やビジュアルを使って場面を強く見せます。

PCエンジン版のスタッフロールには多数の出演者が記録されており、コンピュータ版とは違う家庭用CD-ROM²作品らしい演出が加わりました。

音声の量を誇る作品というより、長いRPGの中で節目の印象を変えるために使っていると見る方が、本作には合っています。

葉山宏治・猪瀬勝幸の音楽が終末世界を支える

『ラストハルマゲドン』の音楽を手がけたのは、葉山宏治氏と猪瀬勝幸氏。

移動、戦闘、イベントと場面ごとに強いテーマが用意されています。

PCエンジン版でも、その楽曲群がゲームの空気を大きく支えています。

荒廃した地上を歩く静かな時間。

高い頻度で入る戦闘。

物語が大きく動く場面。

長時間遊ぶRPGだからこそ、音楽によって場面の温度が切り替わる意味は大きい。

CDだから高音質、というだけで評価しているわけではありません。

重くなりやすい長編の進行へ、音楽が強い場面転換を与えている。

映像・音楽・演出をTierで高めに評価している理由もここにあります。

シナリオは「魔物が主人公」という一発ネタで終わらない

人間がいない。

主人公はモンスター。

敵は宇宙から来たエイリアン。

この導入だけでも十分に変わっています。

しかし物語が進むにつれて、

なぜ人類は滅びたのか。

なぜエイリアンが現れたのか。

地球に何が起きたのか。

モンスターたちは何のために戦っているのか。

最初に当たり前だと思っていた前提そのものが少しずつ崩れていきます。

このレビューでは終盤の答えまでは触れません。

『ラストハルマゲドン』は、序盤の設定を奇抜にするだけではなく、その設定自体を最後まで物語の謎として使っているRPGです。

だからこそ、戦闘や移動の古さを感じても、先の展開を知りたくて進める力が残っています。

今遊んでも独特なのは「世界観がシステムになっている」こと

現在遊んでも目を引くのは、12体のモンスターを主人公にしたことそのものではありません。

モンスターが12体いる。

だから3パーティ必要になる。

時間で活動する集団が変わる。

全員を育てなければならない。

人間の町が中心ではないから、ジンから自分たちで装備を作る。

種族が違うから、合体によって性質を受け継ぐ成長がある。

設定からゲームのルールが次々に生まれています。

ストーリーだけ変わっていて、戦闘は普通の勇者RPGという作品ではありません。

企画性を高く評価しているのは、この結び付きがあるからです。

現在では厳しいのは、その仕組みを何十時間も回すこと

一方で、本作の弱点もかなりはっきりしています。

エンカウントは多い。

一度の戦闘で4人分の行動を考える。

自動戦闘を使っても、戦闘そのものは発生する。

育てる対象は12体。

パーティは固定。

サルバンの破砕日の4体は活動機会も少ない。

さらに合体や装備作成まで管理します。

一つひとつを取り出せば、おもしろい仕組みです。

しかし、それらが全部一つの長編RPGへ入っている。

ここが76点という評価を理解するうえで大きな部分です。

独自システムが多いことと、快適に遊べることは同じではありません。

本作の場合、企画のおもしろさがそのまま操作量や育成量にもなっています。

なぜ76点・B Tierなのか

『ラストハルマゲドン』には、現在でも他作品と簡単には置き換えられない発想があります。

人類滅亡後の地球。

12体のモンスター。

昼、夜、サルバンの破砕日。

3つの固定パーティ。

合体による成長。

ジンからの武具作成。

エイリアンとの戦争。

音声や音楽を使ったCD-ROM²版の演出。

それぞれが、同じ終末世界を表現する方向へつながっています。

ここは非常に強い。

一方で、ゲームとして毎時間向き合うのは、

頻繁なエンカウント。

4人分のコマンド。

12体の育成。

固定パーティによる制約。

長距離移動。

長いゲーム全体を通した管理です。

世界設定に惹かれて始めても、システムを運用する負荷はかなり高い。

だから、

独創的なのにB Tier。

という評価になります。

アイデアを低く見て76点なのではありません。

むしろアイデアは非常に高く評価している。

そのアイデアを長時間遊び続けたときのテンポと負担まで含めた結果が、76点です。

2026年現在、PCエンジン版を遊ぶ方法

PCエンジン版『ラストハルマゲドン』をそのまま遊ぶなら、オリジナルのCD-ROM²ディスクと対応するPCエンジン実機を用意する方法があります。

一方、PCエンジン miniには収録されていません。

Project EGGやEGGコンソールでも、2026年8月現在、PCエンジン版を新規購入できる形では配信されていません。

Nintendo Switch、Nintendo Switch 2、PlayStation、Xbox、Steamにも、PCエンジン版の現行公式配信はありません。

そのため現在は、他の有名なPCエンジンRPGと比べても遊ぶためのハードルが高めです。

なお、HuCARDに対応するレトロゲーム互換機でも、CD-ROM²のディスクをそのまま扱えるとは限りません。

『ラストハルマゲドン』PCエンジン版はCD-ROM²作品です。

まとめ|独創性の高さと、遊び続ける重さが同居したRPG

『ラストハルマゲドン』の印象的なところだけを並べれば、

人類滅亡後。

魔物が主人公。

終末世界。

エイリアン。

という設定の話になりがちです。

でも、この作品のおもしろさはそこから先にあります。

12体いるから、3つのパーティへ分かれる。

時間が変わるから、操作する仲間も変わる。

全員が必要だから、育成対象も増える。

種族が違うから、合体で別の能力を取り込める。

人間社会がない世界だから、ジンを使って自分たちで武具を作る。

物語上の設定が、RPGの仕組みにまで入り込んでいる。

つぶログのPCエンジン全ソフトTier表では、

76点・B Tier・総合242位タイ。

いま遊ぶと、エンカウントや多人数育成、固定パーティ運用の重さはかなり感じます。

それでも、12体の異形を交代させながら人類の消えた地球を進むRPGという設計は、現在でも簡単には代わりが見つかりません。

企画が尖っているからこそ面白い。
そして、尖った仕組みを全部動かさなければならないから重い。

その両方を持つ作品だからこそ、『ラストハルマゲドン』は76点という位置にいます。

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