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『鈴木爆発』レビュー|なぜミカンや携帯電話まで「爆弾」にしたのか?

目次
  1. 『鈴木爆発』レビュー|ミカンを分解するPS1爆弾解除ゲームは何が面白い?
  2. 『鈴木爆発』とは|日用品を「解体する」PlayStationの異色作
  3. 原点は1991年『ノスタルジア1907』の爆弾解体だった
  4. 実際に何をする? 答えを選ぶのではなく、物体を一層ずつ開けていく
  5. なぜミカンや携帯電話まで「爆弾」にしたのか
  6. 「分解するだけ」をゲームにしたのは、時間が減り続けるから
  7. 論理パズルというより「観察と手順」を組み立てるゲーム
  8. 爆弾一個が「ひとつのステージ」になっている
  9. 実写パートは「変なゲームにするため」だけではなかった
  10. FANTASTIC PLASTIC MACHINEと水木一郎まで出てくる音楽の振れ幅
  11. 制作陣は「100万本」を本気で狙っていた
  12. PS2発売後のゲームだが、「PS1が終わっていたから売れなかった」とは言えない
  13. 82点・A Tier|奇抜だから高評価なのではない
  14. 「攻略」を先に見すぎると、本作の一番おいしい部分が消える
  15. 2026年現在、『鈴木爆発』を遊ぶ方法は?
  16. なぜ移植されない? 「実写だから権利問題」とは断定できない
  17. リメイクの話はあるが、正式企画が発表されたわけではない
  18. まとめ|『鈴木爆発』は「変な物が爆弾」の先まで作っていた

『鈴木爆発』レビュー|ミカンを分解するPS1爆弾解除ゲームは何が面白い?

ミカンを手に取ったら、爆弾だった。

携帯電話も、カセットテープも、アイスコーヒーも爆弾。2000年にエニックスから発売された初代PlayStation用ソフト『鈴木爆発』は、そんな説明だけでも十分に変わったゲームです。

ただ、実際に遊んでみると印象は少し変わります。画面の中にある物体を観察し、工具を選び、ネジや部品を一つずつ外して内部へ進む。限られた時間の中で「次にどこを触るべきか」を考えるゲーム部分は、見た目の奇抜さとは対照的なくらい真面目に作られています。

『鈴木爆発』のおもしろさは、「ミカンまで爆弾だった」という一発の驚きだけではありません。むしろ本質は、普段なら絶対に分解しない物の中を、自分の手で少しずつ暴いていくことにあります。

そして、この遊びには1991年の『ノスタルジア1907』まで遡れる明確な原点がありました。なぜこんなゲームが生まれたのか。なぜ日用品を爆弾にしたのか。2026年現在でも82点・A Tierと評価する理由と、それでも90点級には置かなかった理由まで見ていきます。

『鈴木爆発』とは|日用品を「解体する」PlayStationの異色作

項目内容
タイトル鈴木爆発
発売日2000年7月6日
対応機種PlayStation
発売元エニックス
発売時価格5,800円+税
型番SLPM-86513
JANコード4988601003353
プレイ人数1人
企画四井浩一
プロデューサー安藤武博
開発SOLがゲーム開発に参加
メモリーカード対応。必要ブロック数は資料間で表記が分かれるため本稿では断定しない

発売時価格については、現在の中古ショップで「定価6,380円」と表示される場合がありますが、2000年当時の発売情報では5,800円+税です。現在の消費税率を当てはめた金額と、発売当時の価格を混同しない方がいいでしょう。

ジャンルも資料によって「アドベンチャー」などと分類されますが、当時の商品説明では非常に直球で「爆弾を解体するゲーム」とされています。実際の内容を説明するなら、こちらの方がずっと分かりやすい作品です。

原点は1991年『ノスタルジア1907』の爆弾解体だった

『鈴木爆発』の企画を考えた四井浩一氏は、カプコン時代に『ストライダー飛竜』などへ関わったクリエイターです。ただし、本作を理解するうえでさらに重要なのは、その後に手掛けた1991年のアドベンチャーゲーム『ノスタルジア1907』でした。

『ノスタルジア1907』には爆弾を解体するゲームパートが存在します。2016年に四井氏本人をゲストに迎えたシシララTVの配信でも、この部分が後の『鈴木爆発』につながったことが紹介されています。

ここは制作史としてかなり大切です。『鈴木爆発』は、突然「ミカンを分解するゲームを作ろう」と思いついて、あとから爆弾設定を足した作品だと確認できているわけではありません。

少なくとも確認できる系譜は逆で、先に四井氏が『ノスタルジア1907』で爆弾解体という遊びを扱い、それが約9年後に一本のゲームとして大きく展開された。そのうえで『鈴木爆発』では、爆弾そのものを携帯電話やミカンといった日常物へ広げています。

2017年のBitSummitで四井氏は、既成のゲームシステムを繰り返すのではなく、新しいジャンルを作ろうとしていた当時を振り返っています。『鈴木爆発』は奇抜な見た目から先に語られやすい作品ですが、ゲーム部分の出発点には、以前から取り組んでいた爆弾解体という遊びがありました。

実際に何をする? 答えを選ぶのではなく、物体を一層ずつ開けていく

ゲームが始まると、プレイヤーの前には一つの物体が置かれます。

まず外側を観察し、調べられそうな場所を探す。そこからネジやカバーなどへ手を付け、必要に応じてドライバー、ニッパー、スパナ、六角レンチ、セロハンテープといったゲーム内の工具を使います。外装を一つ外せば、その下から新しい部品や機構が現れ、また観察が始まる。これを繰り返しながら内部へ入っていきます。

重要なのは、最初から正解のボタンが見えているわけではないことです。

「この物体のどこを調べられるのか」「この部品を外すには何を使うのか」「一段開けたら何が出てきたのか」。そうやって対象物の構造を少しずつ理解する過程が、一本のパズルになっています。

ネジも、対象を選んだだけで一瞬にして消えるわけではありません。工具を使って外していく工程そのものを操作として残しています。現実の作業を忠実に再現するシミュレーターではありませんが、「外れた」という結果だけではなく、「外す」という途中の動作をプレイヤーに担当させることが、本作の手触りを作っています。

この考え方は、同じPlayStationで料理の手作業を2本のアナログスティックへ置き換えた『俺の料理』とも少し似ています。遊びの内容はまったく違いますが、どちらも「ボタンを押してキャラクターへ命令する」だけではなく、プレイヤーの入力自体を作業の感覚へ近づけようとした作品です。

さらに方向は違うものの、部品を組み合わせ、試し、作り直すこと自体を遊びにした『パネキット』も含め、1999~2000年前後のPlayStationには「物へ手を加えること」を主役にした作品がいくつも現れています。これらが同じ開発思想から生まれたという意味ではありませんが、完成した物をただ操作するだけではないゲームが成立していた時期だったことは確かです。

なぜミカンや携帯電話まで「爆弾」にしたのか

普通の爆弾解除ゲームなら、最初から機械らしい装置を出せば成立します。むしろその方が分かりやすいでしょう。

ところが『鈴木爆発』は、携帯電話、カセットテープ、アイスコーヒーなど、爆弾には見えない物まで対象にしました。当時の商品説明の時点で、夜空に浮かぶ月まで例として挙げています。

この発想には、単に「変な物を出せば笑える」という以上の効果があります。

たとえばミカンなら、誰でも外側を知っています。色も形も、皮をむけば中に何があるかも知っている。それなのに『鈴木爆発』のミカンには、普通なら存在しない機械的な内部が用意されている。

つまりプレイヤーには、最初からひとつだけ情報があります。

「外側については知っている。でも、このゲームの中で中身がどうなっているかは知らない」

まったく見たことのない架空装置なら、内部に何が出てきても意外ではありません。ところが見慣れた日用品なら、「そんなものが中に入っているのか」という落差が生まれる。外装を一枚外す行為そのものが、次を見たくなる仕掛けになります。

開発者が「人間の分解欲を狙った」と明言した資料までは確認できません。そのため、これは制作意図として断定する話ではなく、完成したゲームを遊んだうえでの構造分析です。

それでも、『鈴木爆発』が日用品を使ったことで、爆弾解除に「次は何が爆弾なのか」という驚きと、「この中はどうなっているのか」という好奇心の両方が生まれていることは間違いありません。

「分解するだけ」をゲームにしたのは、時間が減り続けるから

ただし、物を分解するだけなら工作ゲームでも修理ゲームでもできます。

『鈴木爆発』がそれを爆弾解除にしたことで加わるのが、制限時間です。

本来なら、初めて見る物体はじっくり眺めたい。どこに何があるのか確認し、内部が開いたらまた観察したい。しかし、そのあいだにも時間は減っていきます。

ここで「見る」と「急ぐ」がぶつかります。

雑に進めれば操作を誤る可能性がある。一方、慎重になりすぎても時間を使う。『鈴木爆発』の緊張感は、激しい銃撃戦を作ることではなく、小さな部品を触るだけの作業へ締め切りを持ち込むことで成立しています。

この構造があるから、ネジ一本を外すことにも意味が出てきます。安全な場所で機械を分解しているだけなら単純作業になりかねませんが、「この判断に時間を使って大丈夫か」という圧力が常に残る。本作は派手な題材を使いながら、実際には非常に細かな操作へ緊張を与えるゲームです。

論理パズルというより「観察と手順」を組み立てるゲーム

『鈴木爆発』をパズルゲームと呼ぶと、数字や記号から一つの答えを導くタイプを想像するかもしれません。しかし実際の感触は少し違います。

重要なのは、まず対象をよく見ることです。物体の向きを変えながら調べ、操作できる箇所を見つけ、工具を使い、開いた部分からさらに情報を得る。その先で正しい操作を判断していきます。

だからといって、単なる「触れる場所を全部クリックするゲーム」でもありません。時間制限があり、操作の順番や対象を考える場面もあるため、何も考えず総当たりすればいいわけではない。

分類するなら、純粋な論理パズルよりも、未知の機械を調べながら手順を組み立てる観察型のパズルに近いでしょう。

難易度はEASY、NORMAL、HARDの3段階。ルートにも分岐があり、一度の進行だけですべてが同じ順番で出てくる単線型ではありません。ただし、同じ対象物の内部構造そのものが毎回ランダム生成されるゲームではなく、攻略法を知ることによる影響は後述する再プレイ性にも関わってきます。

爆弾一個が「ひとつのステージ」になっている

本作のスタッフロールを見ると、少し変わった肩書きがあります。

吉本伸一氏が「爆弾設計」、SOLの甘利孝弘氏が「爆弾デザイン」、同じくSOLの渡邊忠志氏が「爆弾プログラム」としてクレジットされています。

この分業から具体的な開発工程のすべてを逆算することはできません。ただ、少なくとも本作では「爆弾」という対象が単なるグラフィックではなく、設計、見た目、動作を分けて作るほどゲームの中心に置かれていたことが分かります。

実際、対象物が変われば外装も内部へ入るまでの見せ方も変わります。携帯電話の絵をミカンへ差し替えただけで同じ問題を解かせるような作りではありません。

この意味では、『鈴木爆発』の爆弾一個一個は、アクションゲームでいう一つのステージに近い存在です。外見を見た瞬間の驚き、その中へ入っていく過程、最後まで解除できるかという山場が、一つの対象物の中に収まっています。

攻略資料では本作の対象を19種類と数える例が多く見られます。ただし、通常の対象、分岐、終盤の扱いなどを含めた正式な数え方を一次資料で最終確認できていないため、本稿では「公式に19種類」とまでは断定しません。

実写パートは「変なゲームにするため」だけではなかった

『鈴木爆発』は実写ゲームとして紹介されることもあります。ただ、長時間のフルモーションビデオを見続けるタイプとは少し違い、作品の印象を作っているのは実写写真を中心とした場面です。そこへ短い映像、CG、音楽などが組み合わさります。

主人公はスタッフロールでも単に「鈴木」と表記され、緒沢凛氏が演じています。ほかにも今宿麻美氏、YOU氏、YOU THE ROCK★氏、リリー・フランキー氏、春一番氏など、ゲーム業界だけでは収まらない顔ぶれが出演しています。

さらに撮影は内藤啓介氏、ストーリーボードは小野英作氏。スタッフロールにはスタイリスト、ヘアメイク、フォトレタッチ、撮影コーディネートも独立して置かれ、衣装協力には当時のファッションブランドも並びます。

こうした実写表現については、後年の証言から制作側の狙いも確認できます。

2017年のBitSummitで、プロデューサーの安藤武博氏は、ゲームファンだけでなく、映画や音楽のようなポップカルチャーを楽しむ人にも届くよう裾野を広げたかったと振り返っています。その方法のひとつが、モデルを起用した実写表現でした。

つまり、実写は単に「意味不明な雰囲気を強くするため」に入れられたわけではありません。

しかも結果として、これはゲーム部分とも相性がいい。

鈴木が暮らしているのは写真で見せられる現実に近い日常です。その中から携帯電話や飲み物のような見慣れた物が現れ、ゲーム画面へ移った瞬間、それを内部まで分解する対象になる。

実写側が「普通の日常」を作り、ゲーム側がその普通の物の中身を壊していく。

映像とパズルはまったく別のことをしているように見えて、「日常に突然爆弾が混ざる」という一点ではきれいにつながっています。

FANTASTIC PLASTIC MACHINEと水木一郎まで出てくる音楽の振れ幅

映像だけでなく、音楽も本作の妙な温度を作っています。

スタッフロールではFANTASTIC PLASTIC MACHINEがクレジットされ、田中知之氏はプロデュース/アレンジ、中塚武氏は追加アレンジ/キーボードなど、役割が細かく記されています。単純に「全曲を田中氏が作曲した」とまとめるより、FANTASTIC PLASTIC MACHINEを軸に複数スタッフで音楽を組み上げたと見る方が正確です。

一方、劇中では水木一郎氏が歌う「無敵合体ガンダー」も登場します。

ラウンジ/クラブ寄りの音作りから、突然ロボットアニメの主題歌のような世界へ飛ぶ。この振れ幅だけを見ると何でもありに感じますが、実写写真、ファッション、音楽、架空の番組や広告のような断片を次々と見せていく作品全体の作りにはよく合っています。

制作陣は「100万本」を本気で狙っていた

『鈴木爆発』について語られる制作秘話の中でも有名なのが、「100万本売るつもりだった」という話です。

これは後世に作られた冗談ではありません。

2017年のBitSummitで安藤氏は、本気で100万本を狙っていたと振り返っています。当時は『パラッパラッパー』や『俺の料理』など、既存ジャンルへ簡単に分類できない作品も市場で存在感を示していた時期でした。エニックス社内でも「同じものを作るな」と言われていたと安藤氏は語っています。

今から『鈴木爆発』だけを見て、「こんな変わったゲームが100万本売れると思っていたのか」と笑い話にしてしまうと、当時の状況を取り逃がします。

制作側から見れば、PlayStationでは新しいゲームが次々と出ていて、従来のゲームファン以外へ広げる余地もある。その中で実写、モデル、音楽、分かりやすい爆弾解除という題材を組み合わせ、広い層へ届けようとしていたわけです。

同じ2017年の講演で安藤氏は、最終的には約10万本が売れ、商業的には成立したという趣旨の振り返りもしています。ただし、この約10万本という数字は後年の関係者による回顧であり、当時の販売会社が公表した監査済み実売データとして扱うべきものではありません。

PS2発売後のゲームだが、「PS1が終わっていたから売れなかった」とは言えない

『鈴木爆発』の発売日は2000年7月6日です。PlayStation 2は同年3月4日にすでに日本で発売されていました。

そのため時系列だけを見ると「次世代機が出た後のPS1ソフトだったから不利だった」と考えたくなりますが、この説明も慎重に見る必要があります。

2000年のPS1市場はまだ巨大で、同年8月には『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』もPlayStationで発売されています。PS2が出た瞬間にPS1市場が消滅したわけではありません。

したがって、『鈴木爆発』の売上とPS2発売を直接結び付ける資料がない以上、「PS2が出たせいで売れなかった」と説明するのは避けるべきでしょう。

82点・A Tier|奇抜だから高評価なのではない

つぶログのPlayStation全ソフトTier表・1500作品版では、『鈴木爆発』を82点・A Tierと評価しています。現在の総合順位は357位タイです。

同じ評価は1999~2000年編でも確認できます。

評価ポイント判断
日用品を爆弾にする発想見た目のネタだけでなく、「外側は知っているが中身は知らない」という観察の動機まで作っている
分解操作ネジや部品を外し、一層ずつ奥へ進む工程そのものをゲーム化している
制限時間地味になりやすい観察・分解へ緊張感を加えている
対象ごとの違い外見だけを差し替えた同一問題ではなく、それぞれを独立したパズルとして見せる
実写演出日常世界と、そこへ割り込む異常な爆弾解除をつないでいる
再プレイ性ルート分岐はあるが、内部構造や解除法を知った対象では初見時の発見が弱くなる
ボリューム一つ一つの密度はあるが、長期的に遊びが増え続ける大作型ではない
総合82点・A Tier/総合357位タイ

A Tierまで上げたのは「中を見たい」が操作につながっているから

発想がおもしろいだけなら、82点までは上げません。

本作が強いのは、「こんな物まで爆弾だった」というネタを見せたあと、本当にその物をプレイヤーへ渡していることです。

見る。工具を選ぶ。外す。中が見える。さらに奥を調べる。

外側から内側へ進むたびに新しい情報が現れるため、「次を見たい」がそのまま次の操作になります。そして、ただ眺めていると時間がなくなるので、観察した内容を行動へ移さなければならない。

ここまでゲームの仕組みへ落とし込めているなら、単なるネタ作品ではありません。

それでも90点・S Tierへ置かなかった理由

一方、『鈴木爆発』最大の長所は、そのまま最大の限界にもなっています。

初めてミカンを開けるときは、中に何があるか分かりません。どこから開くのかも、その先に何が待っているのかも知らない。

ところが一度クリアすると、その「知らない」が減ります。

内部構造を覚え、操作の流れも分かる。初回に強かった「次に何が出るんだろう」という好奇心は、同じ強さでは戻ってきません。

ルート分岐や難易度変更によって未体験の内容へ進む余地はあります。それでも、ゲームの中心は最後まで「観察して、工具を使い、分解して、解除する」という短いサイクルです。

つまり、初見の数時間へ非常に濃い体験を作る一方、それを何十時間にも拡張していくタイプではない。

強いアイデアをちゃんとゲームにできているからA Tier。しかし、一度知ったパズルを再び未知へ戻す仕組みまでは持っていない。

82点という位置は、この作品にはかなりしっくりきます。

「攻略」を先に見すぎると、本作の一番おいしい部分が消える

『鈴木爆発』は古い作品なので、現在は攻略情報も簡単に見つかります。

ただ、これから初めて遊ぶのであれば、解除手順を最初から全部調べることはおすすめしません。

難しい謎を解いた瞬間だけが本作の報酬ではないからです。

「どこから開くんだろう」「ここを外したら何が出てくるんだろう」と迷っている時間そのものが『鈴木爆発』です。

どうしても詰まったときだけ必要な場所を確認するくらいの方が、初見時の価値は残しやすいでしょう。本稿でも、後半の対象物や最終的な解除手順については意図的に触れていません。

2026年現在、『鈴木爆発』を遊ぶ方法は?

2026年10月12日時点で、PS4、PS5、Nintendo Switch、Steam、Xboxなど現行環境向けの『鈴木爆発』公式移植・現行販売ページは確認できません。

そのため、現在もっとも現実的な方法は中古のPlayStation版ディスクを入手し、対応する本体で動かすことです。

環境PS1版ディスク補足
PlayStation/PS one○オリジナル環境
PlayStation 2○PS1ソフトの後方互換機能を利用
PlayStation 3○全シリーズでPS規格CD-ROMを扱えるが、SIEはPSソフトの完全な互換性を保証していない
PlayStation 4×PS4はCD再生自体に対応していない
PlayStation 5×PS1版ディスクを直接起動する後方互換はない
Switch/Steam/Xbox―2026年10月12日時点で公式移植・販売を確認できない

過去のゲームアーカイブスについては「配信されなかった」とする記録が多い一方、歴代の公式配信商品を完全に遡って「一度も配信されたことがない」と証明できる一次資料までは確認できませんでした。そのため、本稿では「2026年現在、購入できる公式ダウンロード版を確認できない」という範囲に留めます。

なお、PS3/PS Vita向けPlayStation Storeは日本を含む地域で2027年7月に終了予定ですが、現在『鈴木爆発』を購入できることは確認できないため、この終了予定によって本作の入手方法が変わるわけではありません。

中古価格は4,000~7,000円前後を確認

2026年10月12日に中古在庫を確認したところ、メディアワールドでは4,640円、駿河屋では4,800円で、他店出品は3,710円から。ハードオフ公式通販では5,500円、6,600円の在庫を確認しました。

したがって現時点では、状態や帯・説明書の有無を除けば、おおむね4,000~7,000円前後がひとつの目安です。

数万円が必要な超高額プレミアソフトという状況ではありません。ただし在庫と価格は常に動くので、購入時にはディスク状態、説明書の有無、販売店の動作保証まで確認した方がいいでしょう。

鈴木爆発(PlayStation)

2000年にエニックスから発売されたPlayStation用ソフト。2026年現在は現行機向けの公式配信を確認できないため、遊ぶ場合は中古のPS1版ディスクが主な選択肢になります。

中古品は価格・在庫・付属品・ディスク状態が変動します。購入の際は各ショップの商品ページで最新情報をご確認ください。

なぜ移植されない? 「実写だから権利問題」とは断定できない

『鈴木爆発』については、実写出演者が多いため「権利関係が複雑で再配信できないのでは」と説明されることがあります。

可能性として想像することはできますが、公式にそう説明された事実は確認できません。

現在移植されていないことと、移植されない理由は別の話です。

権利問題、採算、権利元の判断、開発環境など、外部からはいくらでも理由を想像できます。だからこそ、公式説明がない以上は「実写だから復刻できない」と事実のように書くべきではありません。

リメイクの話はあるが、正式企画が発表されたわけではない

本作の操作を見ると、画面上の物体を触り、回し、工具を使う仕組みはタッチパネルと相性がよさそうに見えます。

実際、安藤氏は後年、タッチ操作との相性や、ファンやスクウェア・エニックス側からリメイクを求める声があることについて語っています。

しかし、これは正式なリメイク作品が開発されているという発表ではありません。

2026年10月12日時点でも、新作、リマスター、リメイクの正式発表は確認できません。「スマホなら出せる」「Switchなら復活する」といった話も、現状は期待や推測の範囲です。

まとめ|『鈴木爆発』は「変な物が爆弾」の先まで作っていた

『鈴木爆発』を初めて知った人が、まずミカンに驚くのは当然です。

ミカンが爆弾。携帯電話も爆弾。実写の女性が淡々とそれを解除する。

ここまでなら、2000年前後に出た変わったPlayStationゲームというだけで終わります。

しかし実際にゲームを始めると、重要なのは爆発そのものではありません。

物体を見る。どこから開けるか探す。工具を使う。外装が外れ、知らなかった内部が見える。そこからまた次の操作を考える。

誰でも知っている日用品だから、外側についての知識は最初から持っている。しかしゲームの中身だけは分からない。その差が「開けてみたい」という気持ちを作り、爆弾という設定が「急いで開けなければならない」という緊張へ変えている。

しかも、このゲームには1991年『ノスタルジア1907』の爆弾解体から続く制作上の系譜があります。実写についても、ただ奇妙な雰囲気を足したのではなく、ゲームファン以外へ裾野を広げようとした当時の狙いがありました。

一方、一度開けた物の中身をもう一度「知らない状態」には戻せません。解除法も覚えていくため、初見の発見があまりに強いぶん、同じ対象を繰り返したときの新鮮さは落ちます。長期間ずっと遊びが増殖するゲームでもありません。

だから評価は82点・A Tier。

発想が変わっているから高評価なのではなく、その発想を「観察する」「分解する」「時間内に判断する」という操作へ落とし込めているからA Tier。それでも、最大の魅力である未知の内部を一度見てしまった後まで、同じ強さで遊びが続く設計ではないためS Tierには届かない。

『鈴木爆発』は、「変な物が爆発するゲーム」というより、身近な物の中を見たいという好奇心を、時間制限付きの分解パズルへ変えたゲームでした。

25年以上経った現在でも語られる理由は、ミカンのインパクトだけではありません。そのミカンを、本当にプレイヤー自身へ開けさせたところにあります。

同じ初代PlayStationの異色作なら、『ビブリボン』のレビューもどうぞ。手持ちの音楽CDをステージに変えた作品で、『鈴木爆発』とは別の形で「思いつきを実際の遊びにする」面白さが味わえます。

主な確認資料

  • シシララTV「『ノスタルジア1907』をつくった人と実況プレイ」/四井浩一氏出演、2016年
  • 4Gamer「『鈴木爆発』『ストライダー飛竜』通好みのゲームはどのようにつくられるのか?」BitSummit講演レポート、2017年
  • ファミ通.com「本気で100万本売る気だった」BitSummit講演レポート、2017年
  • ファミ通.com『鈴木爆発』25周年記事、2025年7月6日
  • PlayStation公式サポート「PS3で再生できるディスクの種類」

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