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日本はなぜ電柱が多い?無電柱化が進まない理由と地下化の課題を解説

日本はなぜ電柱が多い?無電柱化が進まない理由と地下化の課題を解説

海外の都市を歩いたあと、日本へ戻ってくると、街の景色を横切る電線の多さにあらためて気付くことがあります。

「電線なんて地下に埋めればいいのでは?」

そう考えるのは自然です。実際、日本でも無電柱化は何十年も進められてきました。2026年6月には国土交通省が新しい「第3次無電柱化推進計画」を決定し、2026年度を初年度とする5年間で新たに約1,000kmの整備完了、約4,000kmの計画策定を目標に掲げています。

それでも、全国の電柱が急速になくなる気配はありません。

これは、日本に地中化する技術がないからでも、「地震が多い国だから電線を地下へ入れられない」からでもありません。

大きな壁になっているのは、すでに完成している街の中で、電力・通信という生活を止められないインフラを、地下の水道・下水道・ガスなどと調整しながら移設する必要があることです。そこには高い工事費だけでなく、道路の広さ、地上機器の置き場所、各建物への引込線、複数事業者との調整、長い工事期間が絡みます。

しかも、古い電柱を撤去する一方で、新しい住宅や電力需要に対応するため新設される電柱もあります。

無電柱化は、単に「電柱を抜いて、電線を土の中へ移す工事」ではありません。

街全体の電力・通信インフラを、生活を続けながら組み替えていく大規模な更新事業なのです。

そもそも「無電柱化=すべて地下に埋める」ではない

最初に言葉を整理しておきましょう。

一般には「無電柱化」と「電線地中化」がほぼ同じ意味で使われることがありますが、国土交通省では区別しています。

代表的なのが電線共同溝方式です。道路の地下に管路などを整備し、電力線や通信線を収容します。道路から各家庭や店舗へは、地下から電線を引き込みます。

しかし、無電柱化には地下へ入れない方法もあります。

「裏配線」は、無電柱化したい表通りではなく裏通り側へ電柱や電線を配置し、建物への供給を裏側から行う方法。「軒下配線」は、脇道などから引いた線を建物の軒下・軒先に配置する方法です。近年の技術資料では、それぞれ「迂回配線」「屋側配線」といった名称整理も行われています。

つまり無電柱化の目的は、

何が何でも電線を地下へ埋めること

ではありません。

対象となる道路から電柱や目立つ架空線をなくし、その地域に適した方法で電力・通信を維持することです。

日本の無電柱化は本当に海外より遅れている?

日本の無電柱化が海外主要都市と比べて低い水準にあること自体は、国土交通省も認めています。

ただし、ネットでよく見かける数字には注意が必要です。

以前よく引用された

東京23区8%、大阪市6%

という数字は2019年度末の道路延長ベースでした。これを2026年現在値として紹介するのは正確ではありません。

より新しい国土交通省の道路統計資料では、2024年度末の道路延長ベースで、日本全国が1%、東京都が6%、東京23区が9%、大阪市が6%とされています。同じ2024年度末でもケーブル延長ベースでは東京23区48%、大阪市46%となっており、母数を変えるだけで数字は大きく変わります。

海外比較はさらに慎重に見る必要があります。

国交省が掲載するロンドン、パリ、香港、シンガポールなどの数字は、ロンドンが2018年、パリと香港が2004年、シンガポールが2001年など調査年が異なり、多くがケーブル延長ベースです。日本の道路延長ベースの数字と、そのまま一対一で比較できるものではありません。

したがって、

ロンドンは100%なのに東京は9%だから、日本は10倍以上遅れている

といった単純計算はできません。

それでも、日本の道路には今なお電柱・電線が広く残っており、無電柱化の余地が大きいことは間違いありません。

なぜ日本では、これほど電柱と架空線が広がったのか

ここで視点を逆にすると分かりやすくなります。

「なぜ地下にしなかったのか」だけではなく、

なぜ電柱を使う方法がこれほど普及したのか

を考える必要があります。

架空配線には合理的な利点があります。

地中に大規模な管路を造るより初期整備をしやすく、住宅や施設が増えた際にも線を追加しやすい。設備が地上にあるため、点検や変更もしやすいという特徴があります。

実際、国土交通省が政策レビューで用いている比較では、電力の架空線整備を約0.2億円/km、単独地中化を約2.3億円/kmとしており、条件は限定されるものの、地中設備が高コストになる構造は明確です。

そして日本で国による計画的な電線類地中化が本格的に始まったのは、1986年度からの第1期電線類地中化計画でした。当初の主対象は大都市中心部の主要道路で、その後、駅周辺、住宅地域、緊急輸送道路、通学路、観光地などへ対象が広げられてきました。

言い換えれば、日本ではすでに広範な架空設備が出来上がったあとで、その一部を段階的に無電柱化しているのです。

最初から地中設備を前提に街を造ることと、完成済みの街から電柱を取り除くことでは、難易度が大きく違います。

「電線を地下へ入れれば終わり」ではない

実際の無電柱化工事を考えると、なぜ時間も費用もかかるのかが見えてきます。

道路の地下は空っぽではありません。

水道管、下水道、ガス管、既存の電力・通信設備などがすでに埋まっています。

まず地下の状況を調べ、必要なら試掘する。新しい管路と既存設備がぶつかる場合には、設備の移設も検討しなければなりません。

そのうえで電線共同溝や管路を施工し、電力線や通信線を通します。

さらに忘れてはいけないのが、道路から家や店舗へ伸びている引込線です。

道路の中だけ電線を地下へ移しても、それぞれの建物へ電気と通信を届けられなければ使えません。電線共同溝方式では、各戸へ地下から線を引き込む仕組みまで必要になります。

切り替えが終わって初めて、不要になった架空線や電柱を撤去できます。

しかもその間も、沿道では日常生活や営業が続いています。

無電柱化とは、完成した街の中で電力と通信の経路を使いながら入れ替える工事なのです。

「1kmあたり5.3億円」は本当。ただし全国一律ではない

無電柱化の高コストを象徴する数字として、

約5.3億円/km

がよく引用されます。

この数字には国土交通省の根拠があります。

一般的な電線共同溝方式について、電線共同溝本体が約3.5億円/km、地上機器・電線などが約1.8億円/km、合計約5.3億円/kmとする試算です。

ただし、この数字だけを独り歩きさせてはいけません。

国交省自身が、これは既成市街地で既設電柱を地中化することを想定し、一定条件で積算した仮定の数字だと説明しています。

しかも道路の片側に敷設する場合の単価です。両側に設備が必要なら、道路延長あたりの単価はおおむね2倍になる可能性があります。

一方で、地域条件によってはもっと安く施工できます。

国交省が過去に無電柱化を行った21地区を調べた例では、電線共同溝本体の費用だけでも1.0億円/kmから6.6億円/kmまで幅がありました。

したがって、

「日本の無電柱化はどこでも1km5.3億円かかる」

という理解は誤りです。

何にそんなにお金がかかるのか

5.3億円の試算をさらに見ると、電線だけが高いわけではありません。

電線共同溝本体約3.5億円/kmの中には、管路の敷設約0.9億円、ケーブルの分岐・接続などを行う特殊部約1.0億円のほか、設計、掘削、舗装復旧、支障物の移設、各戸への引込管など約1.6億円が含まれています。

さらに地上から何もかも消えるわけではありません。

配電には電圧を変えるトランスなどが必要で、地中化後も地上機器として置くケースがあります。歩道が狭ければ、その設置場所自体を探さなければなりません。

国交省は、民有地へ地上機器を置いたり、景観に配慮して囲いや植栽を使ったりする事例も紹介しています。

電柱一本を撤去すれば、その場所がそのまま完全な空間になるとは限らないのです。

「日本の道路が狭いから」は一因だが、それだけではない

日本の道路事情も無電柱化を難しくする条件の一つです。

十分な幅の歩道があれば、地下設備も地上機器も配置しやすくなります。

一方、狭い生活道路では歩道そのものがなく、道路ぎりぎりまで建物が並んでいる場所も珍しくありません。その地下に水道・下水・ガスなどがすでに入っていれば、新たな設備を収める空間はさらに限られます。

国交省も、従来の地中化技術が「歩道幅員が広く、電力や通信の需要が大きい地域」を想定して発達してきたことを説明しています。

しかし、

狭い道路だから無電柱化は不可能

という意味ではありません。

狭い場所では設備を小型化したり、地上機器を民地に置いたり、地下化以外の配線方法を使ったりする余地があります。

道路の狭さは「できない理由」というより、設計の自由度を減らし、費用と調整を増やす要因と考える方が正確です。

電力会社だけでは無電柱化を決められない

無電柱化について、

「電力会社が地下へ入れればいいのでは?」

と思うかもしれません。

しかし一本の電柱には、電力会社の設備だけが載っているとは限りません。

電話や光回線などの通信線、ケーブルテレビなど、複数の事業者が同じ柱を利用している場合があります。

道路を管理するのは国や自治体などの道路管理者。地下には別の事業者が管理する水道、下水道、ガスなどもあります。

国の無電柱化政策でも、国土交通省だけでなく総務省、経済産業省、電線管理者などとの連携が前提になっています。第3次計画の発表でも、関係省庁や電線管理者と連携して進めることが明記されています。

各家庭や店舗への引込方法については、沿道所有者との調整まで必要になることがあります。

つまり無電柱化は、

一社が「やります」と決めれば終わる事業ではありません。

工事が長いのは、穴を掘る作業が遅いからではない

過去の計画では、無電柱化事業の完了まで平均7年程度かかることが課題になり、事業期間を短縮する取り組みが進められてきました。

ただし、この「7年」を2026年現在の最新平均工期として使うべきではありません。

重要なのは、なぜ長くなるかです。

地下設備の調査、事業者間の協議、設計、住民との調整、既存埋設物の移設、本体工事、電力・通信線の入線、各戸への引込、旧設備の撤去まで、複数の工程があります。

特に、電力と通信を止めた状態で一気に入れ替えることはできません。

既存設備を使い続けながら新設備を造り、切り替えてから古い設備を撤去する。

この順番が必要だからこそ、無電柱化は道路工事だけを見ていても全体像が分からないのです。

無電柱化しているのに、新しい電柱も増えている

ここには、日本の無電柱化を考えるうえで重要な矛盾があります。

国は電柱を撤去しています。

ところが別の場所では、電柱が新しく建っています。

2024年度の資源エネルギー庁調査では、電力会社系の道路上電柱は全体で9,990本増加しました。国道では440本減少した一方、市町村道では9,242本増えています。

増加要因のうち最も大きかったのが、住宅などへの供給申込みによる6,736本。再生可能エネルギー発電設備への接続によるものも1,818本ありました。

一方、NTTの通信柱だけを見ると状況は逆で、2024年度の道路上電柱は2,623本減少しています。

電力柱と通信柱では集計対象も動きも違うので、これらを単純に足し引きして「日本の電柱は何本増えた」とすることはできません。

ただ、現在の構造はよく分かります。

既存電柱を撤去する政策を進めても、住宅建設や新しい電力需要が発生すれば、別の場所では新しい設備が必要になる。

このため第3次無電柱化推進計画でも、「依然として電柱が毎年増えている」ことを問題視し、既設電柱を減らすだけでなく新設そのものを抑える方向が強く打ち出されています。

「日本には3600万本」は規模感として見る

日本には「約3600万本の電柱がある」という数字もよく使われます。

これは根拠のない数字ではなく、政府資料でも過去に全国約3600万本という規模が示されています。2022年の国交省発表でも「全国には依然として約3600万本の電柱が存在」と説明されていました。

ただし、これは2026年8月に全国の全電柱を再集計した最新値ではありません。

現在は年度ごとの電柱増減について、より詳細な調査が行われています。

したがってこの記事では、

全国に数千万本規模の電柱が存在する

という規模感を理解する数字として扱うのが安全です。

「地震が多いから地下化できない」は事実と逆

日本の無電柱化について非常によく見かけるのが、

「日本は地震が多いから、地下に入れると危険」

という説明です。

しかし、国の政策を見る限り、地震の多さは無電柱化を避ける理由にはなっていません。

むしろ防災・強靱化は無電柱化を進める主要目的の一つです。

過去の災害データを見ると、その理由が分かります。

阪神・淡路大震災では、通信設備の被害率が架空線2.4%に対し地中線0.03%。電力設備では架空線10.3%に対し地中線4.7%でした。

東日本大震災の通信設備でも、津波エリアでは架空線7.9%に対し地中線0.3%という結果が記録されています。

もちろん、異なる災害・設備・地域の数字なので、

「地中線なら常に架空線の○分の1の被害になる」

と一般化はできません。

それでも、少なくとも「地震国だから地下化できない」という説明とは整合しません。

電柱が倒れると、停電以外にも困る

無電柱化の防災上の価値は、停電や通信障害だけではありません。

地震や台風で電柱が倒れれば、道路そのものをふさぐことがあります。

2018年の台風21号では、大阪府を中心に1,700本以上の電柱が倒壊・折損し、大規模停電が発生しました。

大地震でも同じ問題があります。

道路へ電柱や電線が倒れれば、消防車や救急車、復旧車両、物資輸送などの妨げになりかねません。

そのため2026年の第3次計画では、災害後に道路を通れる状態へ戻す「道路啓開」の実効性を高めるため、高速道路インターチェンジと県庁などを結ぶ区間を新たに優先整備区間として設定しました。

中長期的には、こうした区間を今後30年間で概ね無電柱化する方針です。

景観整備だけでは、ここまで防災道路を優先する理由はありません。

だからといって「地下なら絶対安全」でもない

反対に、

「電線を地下へ入れれば災害問題はすべて解決する」

という説明も正確ではありません。

大きな地盤変位や液状化、浸水などが起きれば、地下設備も被害を受ける可能性があります。

地中設備で障害が起きた場合には、地上から目視できない設備もあり、原因箇所や故障内容によっては掘削を伴う復旧が必要になります。

地上にあるトランスなども災害の影響を受けます。

したがって、架空線と地中線について、

「どちらがすべての災害に強いか」

という単純な勝敗は付けられません。

無電柱化で特に大きいのは、電柱そのものが倒れて道路をふさぐリスクを減らせることです。

無電柱化は「街をきれいにする政策」だけではない

電線がなくなれば空が広く見え、歴史的な街並みや観光地の景観も改善します。

ただし、現在の無電柱化政策を景観だけで捉えると目的を見失います。

国は従来から、

防災

安全・円滑な交通の確保

景観形成・観光振興

を主要な目的として無電柱化を進めてきました。

特に歩道や通学路では、電柱が歩行空間を狭める問題があります。

国交省の政策レビューでも、狭い歩道・路側帯の電柱は歩行者の安全やバリアフリーの妨げになると評価されています。

2026年の第3次計画では、電柱を避けるため児童が車道にはみ出して通行している実態を踏まえ、通学路を対象とした新しい目標も設定されました。

「電線が写り込まなくなって景色がきれいになる」だけではないのです。

なぜ全国一斉にやらず、重要な道路から進めるのか

ここまで見てきた通り、無電柱化には大きな費用と時間が必要です。

そこで国は、全国すべての道路を同じ優先順位で無電柱化しているわけではありません。

現在は、災害時に重要な道路、通学路、景観・観光上重要な地区など、効果が大きい場所を重点化しています。

2026年度から始まった第3次計画の目標も、

5年間で全国の電柱をなくす

というものではありません。

新たに約1,000kmを整備完了し、さらに約4,000kmの計画を策定するというものです。

全国の道路規模を考えれば、無電柱化が長期事業になることが分かります。

新しい街なら、最初から無電柱化した方がいい?

既成市街地の工事がこれほど大変なら、

「これから造る住宅地は、最初から電柱なしにすればいいのでは?」

という疑問も出てきます。

これは現在の政策でも重要な考え方です。

道路を造る段階で電力・通信設備も同時に整備できれば、完成した道路を後から掘り返す必要が減ります。

国交省は、道路事業などと合わせて管路を整備する「同時整備」を推進しており、土工や舗装工事を共有することで費用を抑えられると説明しています。

第3次計画でも、市街地開発事業などで新しい電柱を増やさないことが重視されています。

これからの無電柱化には、

既存の電柱を減らすこと

と、

そもそも新しい電柱を増やさないこと

の両方が必要です。

高すぎる工事費を下げる取り組みも進んでいる

約5.3億円/kmという費用が大きな課題である以上、低コスト化も重要になります。

現在は、従来より浅い位置に管路を配置する浅層埋設、小型ボックス、低コスト管路材、設備のコンパクト化などが使われています。

2026年4月の国交省資料によると、2020年度以降に新規着手した1,380か所を対象とした調査では、コスト縮減技術を活用した割合は直轄事業83%、補助事業49%。実例ではおおむね1割程度のコスト縮減となるケースが多いとされています。

さらに、道路工事との同時整備、既存設備の活用、地下化以外の迂回配線・屋側配線などを組み合わせる余地もあります。

今後は、

全国どこでも同じ大規模な電線共同溝を造る

のではなく、その場所に必要な設備と需要を見極めて工法を選ぶことが重要になります。

では、日本の電柱はいつか全部なくなる?

2026年8月25日時点で、

「○年までに日本全国の電柱をゼロにする」

という政府目標はありません。

第3次無電柱化推進計画も、全国一律の電柱ゼロ計画ではありません。

防災上重要な道路、通学路、観光地などの優先度を付け、新設を抑えながら既設電柱を減らし、整備費も下げていく方針です。

しかも現在も、住宅への新規供給などに伴って新しい電柱が必要になる地域があります。

そのため今後も、

「電柱を撤去する」

「新しい電柱を増やさない」

「地下化以外の方法も使う」

「工事費を下げる」

を同時に進める必要があります。

日本の街から電柱が短期間で一斉に消えると考えるのは現実的ではありません。

一方で、国が何もしていないわけでもありません。

1986年度から続いてきた無電柱化は、2026年度から第3次計画という新しい段階へ入りました。

まとめ|日本の電柱が多い理由は「地下化できないから」ではない

日本に今も電柱と電線が多い理由は、一つではありません。

日本では架空配線が広く普及した後から、既成市街地の無電柱化を進めています。

ところが道路の地下には、すでに水道、下水道、ガス、電力、通信など多くの設備があります。そこへ新しい設備を入れ、電力会社や通信事業者、道路管理者、沿道の建物まで調整しながら切り替えるには、費用も時間もかかります。

代表的な電線共同溝の試算は約5.3億円/kmですが、これは一定条件の参考値であり、地域によって大きく変わります。

道路が狭ければ、地下設備や地上機器を置く場所も限られます。

さらに、古い電柱を撤去している一方で、住宅や再生可能エネルギー設備など新しい需要に対応する電柱も建っています。

地震についても、

「日本は地震国だから地下化できない」

という説明は適切ではありません。

過去の大震災では地中設備の被害率が架空設備より低かった例があり、現在の国の政策でも、防災は無電柱化を進める重要な理由になっています。一方で、地下設備にも液状化や浸水などのリスクがあるため、「地下なら絶対安全」と単純化することもできません。

結局、日本の無電柱化を難しくしているのは技術の有無ではなく、

何十年もかけて形成された巨大な都市インフラを、今の生活を止めずに作り替えなければならないこと

です。

「地下に埋めればいいだけ」と考えると不思議だった日本の電柱の多さも、街の地下と工事の仕組みまで見ると、かなり違った姿が見えてきます。

そして2026年からは、単に地中化するだけでなく、新しい電柱を増やさないこと、低コストな工法を使うこと、災害や通学路など効果の大きい場所から整備することまで含めて、無電柱化が進められています。

日本の空から電線が消えていくとしても、それは一度の巨大工事で実現するものではありません。

街を使い続けながら、少しずつインフラを置き換えていく長い更新作業なのです。

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