- カプコンは本当にずっと強い?全ソフトTierで追うゲームメーカー史
- 最初に|「カプコン作品」の数え方は意外と難しい
- カプコンの出発点は、家庭用ゲームだけではなかった
- SFCでは39本を出して、36本がB以上だった
- サターンでは「何が得意な会社なのか」がさらに露骨に出た
- NINTENDO 64を見ると「どこへ行っても強い会社」ではなくなる
- GCでは「高い床」より、とんでもなく高い山が立った
- 『バイオハザード4』が象徴するのは、シリーズを同じ形で残さなかったこと
- ストIIがあったのに、バイオが生まれた
- 既存シリーズも、必要ならかなり大きく変える
- モンハンも「同じゲームを20年売った」わけではない
- 『ストリートファイター6』は、入口まで変えた
- 現在は「作品ごとの技術」まで共有するようになった
- それでも2026年に完全新規IP『プラグマタ』を出した
- 現在のカプコンが商業的に強いことと、ゲームが面白いことは別
- 「カプコン復活」は便利な言葉だが、今はまだ結論にしない
- では、カプコンは本当に「ずっと強かった」のか
- カプコンの本当の強みは「強さを作り直せること」なのかもしれない
カプコンは本当にずっと強い?全ソフトTierで追うゲームメーカー史

カプコンは、昔から強いゲームメーカーだ。
そう言われても、たぶん多くの人は違和感を持たないと思います。
『ロックマン』があり、『ストリートファイターII』があり、『バイオハザード』がある。
2000年代へ入ると『鬼武者』『デビル メイ クライ』『逆転裁判』『モンスターハンター』が加わり、現在も『バイオハザード』『ストリートファイター』『モンスターハンター』が世界規模で動いています。
40年以上の代表作を並べるだけなら、「昔からずっと強かった会社」で話は終わります。
ところが、つぶログで作ってきたハード別の全ソフトTierをメーカー単位で見直してみると、少し違いました。
スーパーファミコンでは、かなりの本数を出しながら下まで崩れない。
セガサターンでは、2D格闘やアーケード移植を中心に上位作が固まる。
NINTENDO 64では、そもそもカプコンの存在感が大きくない。
ゲームキューブになると、平均的に何でも強いというより、『バイオハザード4』『ビューティフル ジョー』『バイオハザード』という非常に高い山が現れる一方、『P.N.03』のように低い評価となった作品もあります。
カプコンは、どの時代も、どのハードも、同じように強かったわけではありません。
それなのに、2026年になっても第一線にいる。
ならば本当に知りたいのは、
「なぜカプコンはずっと強かったのか」ではなく、「強さの形が何度も変わったのに、なぜ何度も次の勝ち方を作れたのか」
なのではないでしょうか。
今回は会社の年表ではなく、実際に発売されたゲームからカプコンの40年以上を追います。
最初に|「カプコン作品」の数え方は意外と難しい
メーカー別のゲーム史を作るとき、最初に困るのが「何をカプコン作品と呼ぶのか」です。
たとえばカプコンのアーケード作品を他社が家庭用へ移植し、別会社が発売しているケースがあります。
逆に、発売元はカプコンでも、開発まで同じ組織がすべて担当したとは限りません。
そのため今回、Tierの統計では原則として各ハードのデータに記録された発売元がカプコンの作品を集計します。
一方、ゲームの歴史を追う部分では、開発元や原作IPも別に確認します。
「発売元カプコンだから、すべて社内開発だった」
「ストリートファイターだから、どの移植版もカプコンが作った」
とは扱いません。
もう一つ注意したいのが点数です。
つぶログのTierは、それぞれのハードでゲームデザイン、操作、技術、機種固有の実装、現在遊ぶ意味などを見ています。そのため、SFCの81点とGCの76点を引き算して、「カプコンの品質が5点落ちた」と判断することはできません。
見るべきなのは、そのハードの中でどれだけ上位へ残ったか、中央値はどうか、上から下までどんな分布になったかです。
ここを混ぜないことが、メーカー史を数字で読むうえではかなり重要です。
カプコンの出発点は、家庭用ゲームだけではなかった
現在のカプコンは、会社情報で「設立」を1979年5月30日、「創業」を1983年6月11日と分けています。
1979年に電子応用ゲーム機器の開発・販売を目的とするアイ・アール・エム株式会社が設立され、1983年には販売部門を担う旧・株式会社カプコンが設立。1989年に吸収合併を経て、現在の株式会社カプコンという商号になりました。
ゲーム関連の歩みを見ると、1984年に業務用ビデオゲーム第1弾『バルガス』、同年に『1942』。1985年にはファミコン版『1942』が同社初の家庭用テレビゲームとして発売されます。
1987年にはアーケード版『ストリートファイター』と、ファミコン版『ロックマン』。
1989年には『ファイナルファイト』が登場しました。
つまり、現在のカプコンを家庭用の人気シリーズだけから遡ると、最初から少し見え方が違います。
アーケードと家庭用の両方に足を置き、その間を行き来しながら大きくなった会社です。
そして、このアーケード由来の作品群が、後のハードによって驚くほど違う結果を出すことになります。
SFCでは39本を出して、36本がB以上だった
まず数字がかなり分かりやすいのがスーパーファミコンです。
つぶログのSFC全1,442作品を発売元別に集計すると、カプコンは39作品。
平均81.55点、Sが4本、Aが21本。S+Aだけで64.1%、B以上まで広げると**39本中36本、92.3%**に達します。
15作品以上を発売したメーカーで比較すると、平均点ではスクウェア88.52点、任天堂85.80点に続く位置です。カプコンだけが突出していたわけではありません。それでも39本という本数を出しながら、9割以上をB以上へ残したのはかなり強い数字です。
ここで重要なのは、最高得点だけではありません。
数本の歴史的傑作が平均を引き上げたメーカーと、数十本を出して大崩れしなかったメーカーでは、「強い」の意味が違います。
SFC期のカプコンには後者の性格がかなりあります。
『ストリートファイターII』という巨大タイトルが目立つ時代ですが、それ一本を外すと急に薄くなるわけではない。
アクション、格闘、アーケード由来作品、シリーズ作を複数抱えながら、ラインアップ全体の床が高かった。
この時期だけを見るなら、「カプコンは安定して強かった」という一般的な印象とデータはかなり一致しています。
サターンでは「何が得意な会社なのか」がさらに露骨に出た
セガサターンになると、違う強さが見えてきます。
カプコン発売は33作品。
そのうちSが6本、Aが16本。
上位2Tierだけで22本、B以上では26本。**B以上率は78.8%**です。
しかもS Tierに入ったカプコン6作品はすべてアクション系で、2D対戦格闘やアーケード移植が目立ちます。つぶログのサターン全1,057本分析でも、カプコンは得意とするアーケード移植と2D作品へ集中したメーカーとしてはっきり数字に出ました。
ここで、「サターンの性能が良かったからカプコン作品が名作になった」とまで言うのは飛躍です。
ゲームそのものの出来、移植スタッフ、原作の完成度など、評価を決めるものはいくつもあります。
ただ、結果として、
当時カプコンが多く持っていた2D格闘・アーケード系タイトルと、サターンで高く評価された作品群がかなり重なった
ことは確認できます。
SFCでは「大量に出しても崩れない」。
サターンでは「得意分野へ寄ったときの上位密度が高い」。
同じ“強いカプコン”でも、中身はすでに少し違います。
NINTENDO 64を見ると「どこへ行っても強い会社」ではなくなる
その次にNINTENDO 64を見ると、流れが途切れます。
SFCやサターンと比べると、カプコンのラインアップそのものが薄い。
だから、このハードだけを使って「カプコンの品質が落ちた」と見るのも違います。
そもそも出している本数が違うからです。
それでも個別作品を見ると、かなり面白い差があります。
N64版『バイオハザード2』は89点・A Tier。
2シナリオ、FMV、HUNKや豆腐といった内容を512Mbitカートリッジへ収めた移植で、つぶログではN64への移植技術を高く評価しています。
一方、『マジカル テトリス チャレンジ featuring ミッキー』は73点。基本のテトリスに巨大・変形ピースを送り込む独自ルールを加えた堅実な作品ではあるものの、その仕組みが長期的な深さまで十分につながらないと評価しました。
『ロックマンDASH 鋼の冒険心』は69点。
元になったPlayStation版の魅力は残るものの、後発移植として新規内容が乏しく、音声・音楽・映像・テクスチャなどの圧縮や削減も評価へ響いています。
ここから分かるのは、カプコンが突然ゲームを作れなくなった、という話ではありません。
89点の『バイオハザード2』も存在する。
ただ、SFCのように市場の中へ39本を送り込み、その大半が上位へ残るような存在感ではない。
ハードが変われば、カプコンの存在感そのものが大きく変わる。
「カプコンは40年間どのハードでも強かった」という説明では、この時点でもう足りません。
GCでは「高い床」より、とんでもなく高い山が立った
ゲームキューブになると、また違います。
つぶログで確定しているGC全277作品では、発売元カプコンは19本。
平均76.11点、中央値74点、S+A率42.1%です。
SFCではB以上92.3%という広い安定感が見えましたが、GCのカプコンはそういう分布ではありません。
ところが上を見ると、
『バイオハザード4』97点。
『ビューティフル ジョー』95点。
初代を全面的に作り直した『バイオハザード』92点。
GC全体の最上位に入る作品が複数あります。
『バイオハザード0』も80点でA Tierに残りました。
その一方で、『P.N.03』は59点・D Tier。
スタイリッシュな見た目やスコアアタック的な遊びには個性があるものの、操作の重さや反復性などが大きく響き、最終監査でも59点の評価が維持されています。
ここに、今回カプコンを調べて一番面白かった違いがあります。
SFCのカプコンを短く表すなら、「床が高い」。
GCのカプコンを短く表すなら、「天井が高い」。
もちろん、ハードごとに採点基準の細部が違うので、平均点を直接引き算することはできません。
それでも同じハード内の分布を見ると、SFCでは大量の作品が上位へまとまり、GCでは作品ごとの差が大きい一方、ハードそのものを代表するほど高い作品が現れています。
「カプコンだから一定以上」というより、
失敗もするが、当たったときの到達点が非常に高い。
少なくともGC期は、こちらの方が実態に近く見えます。
『バイオハザード4』が象徴するのは、シリーズを同じ形で残さなかったこと
GCの『バイオハザード』シリーズを並べると、さらに興味深い差があります。
『バイオハザード4』は97点。
初代リメイク『バイオハザード』は92点。
『バイオハザード0』は80点。
旧作を移した『2』『3 LAST ESCAPE』『コード:ベロニカ完全版』はB Tierにとどまりました。
これだけで、
「新しく作り直せば必ず高評価になる」
とは言えません。
ただ、同じ『バイオハザード』という名前を持つ作品でも、GC上でどこまで再構築されたかによって評価が大きく分かれています。
特に『4』は、それ以前のシリーズと同じ形式を高性能化しただけの作品ではありません。
肩越し視点の照準を軸に、敵との距離、位置取り、戦闘、探索、資源管理の組み合わせそのものを大きく変えました。
それでも『バイオハザード』だった。
ここは、後のカプコンを見るうえでも重要です。
シリーズを長く残すことと、昔の遊び方をそのまま残すことは、同じではありません。
ストIIがあったのに、バイオが生まれた
カプコン公式のゲーム史を並べると、もう一つ特徴があります。
1991年にアーケード版『ストリートファイターII』。
1996年に『バイオハザード』。
2001年には『鬼武者』『デビル メイ クライ』『逆転裁判』。
2004年には『モンスターハンター』が第8回CESA GAME AWARDSで最優秀賞を受賞し、2005年には『戦国BASARA』。
2006年には『デッドライジング』『ロスト プラネット』が登場しています。
この年表を見て、
「カプコンは古いIPを捨てる前に意図的に次の柱を用意した」
とまで言うことはできません。
そこには企画の成立過程も、経営判断も、開発者の事情もあります。資料なしで目的を決めつけるべきではありません。
ただ、結果として分かることがあります。
大ヒットシリーズを持っている時期にも、別の遊びの新作が生まれている。
『ストリートファイター』があるから格闘だけになったわけではない。
『バイオハザード』が売れたからホラーだけになったわけでもない。
『モンスターハンター』が巨大化してからも、それ以外を作ることをやめていません。
これは「名作が多い」という話とは少し違います。
会社の強みが、特定ジャンル一つへ固定されなかったということです。
既存シリーズも、必要ならかなり大きく変える
新しいシリーズを作るだけなら、昔のIPは昔の形で残しておく方法もあります。
カプコンはそこでも変化を選んでいます。
分かりやすい例が『バイオハザード7 レジデント イービル』です。
カプコンは発売前の公式発表で、シリーズのルーツである「恐怖」をメインコンセプトに置き、従来の三人称視点から一人称視点へゲームシステムを変えたと説明しています。
さらに、この作品のためにRE ENGINEを新規開発しました。
重要なのは、「一人称にしたから成功した」と短絡しないことです。
ただし、
20年続いたシリーズでも、視点を含む基本的な体験を変える判断を実際にした
ことは事実です。
シリーズを残すために何を変えたのか。
この観点で見ると、『バイオハザード4』から『7』まで一本の線が見えてきます。
同じ仕組みを守り続けたシリーズではありません。
モンハンも「同じゲームを20年売った」わけではない
『モンスターハンター』も興味深い例です。
シリーズは2004年に始まり、携帯機展開で大きく広がったあと、2018年の『モンスターハンター:ワールド』で世界市場に大きく踏み出しました。
カプコンによれば『ワールド』はシリーズ初のグローバル同日発売で、12言語に対応。
当時の海外販売比率は約60%まで上がり、2019年の資料では従来シリーズの海外比率を25%程度として比較しています。2024年にはシリーズ累計販売本数が1億本を突破しました。
『モンスターハンター』という名前は同じです。
しかし、PS2から携帯機へ移り、集まって遊ぶ文化を広げ、その後は高性能な据え置き機とPCを含む世界市場へ展開した。
これは単純な「長寿シリーズ」とは少し違います。
同じIPを、その時代に届く形へ何度も組み直している。
シリーズ名を守ることより、どう遊ばれるかを固定しなかったことの方が重要に見えます。
『ストリートファイター6』は、入口まで変えた
格闘ゲームは、長く続けば続くほど初心者が入りにくくなるジャンルでもあります。
シリーズが積み重ねてきた操作やセオリーそのものが、経験者には魅力でも、新しく始める側には壁になるからです。
『ストリートファイター6』では、複雑なコマンド入力を必要としない「モダンタイプ」を導入し、アクセシビリティも強化しました。
2026年6月には世界販売700万本を突破しています。
700万本売れたからゲームとして高評価、という意味ではありません。
販売実績と作品評価は別です。
ここで見たいのは、
1991年の『ストII』で完成した操作体系を、そのまま唯一の入口にはしなかった
ことです。
長く続くIPを残しながら、新しく入ってくる人のための触り方を増やした。
昔のファンを持つシリーズほど変えにくい部分へ、実際に手を入れています。
現在は「作品ごとの技術」まで共有するようになった
こうした変化を、現在のカプコンでは開発基盤も支えています。
2025年の統合報告書でカプコンは、現在すべてのタイトルを内製のRE ENGINEで開発していると説明しています。
フォトリアルな『バイオハザード レクイエム』からアニメ調の『モンスターハンターストーリーズ3 ~運命の双竜~』まで一つのエンジンで対応し、画像や3Dモデルなどのアセットをタイトル間で共有できるほか、別チームへ異動した開発者も同じエンジンを使えるため、技術を学び直す負担を減らせるとしています。
これは「RE ENGINEを使えば面白いゲームになる」という話ではありません。
エンジンは企画の面白さを保証しません。
ただ、昔のカプコンが作品ごとに得たノウハウを次へつないでいたのに対し、現在は複数の大型IPを同時に動かすための共通基盤まで社内に持っている。
ホラー、格闘、ハンティングで別々のゲームを作りながら、その下では同じ技術資産を使える。
40年以上のメーカー史を考えると、この変化はかなり大きいところです。
それでも2026年に完全新規IP『プラグマタ』を出した
ここまで読むと、
「今のカプコンが強いのは、結局バイオ、モンハン、ストリートファイターという巨大IPを持っているからでは?」
という疑問が残ります。
もちろん、その3シリーズが現在のカプコンにとって非常に大きいことは間違いありません。
ただ、2026年4月には完全新規IP『プラグマタ』を発売しました。
カプコンによれば全世界で発売16日間に200万本を販売しています。さらに2026年3月期決算の質疑応答では、完全新規IPの創出を「今後の持続的成長を支える重要な取り組み」と位置づけ、今後も続ける方針を明らかにしています。
『プラグマタ』が次の『モンスターハンター』になる、と今の段階で決めつけることはできません。
カプコン自身もシリーズ化については「検討」としている段階です。
それでも面白いのは、2026年のカプコンが「昔から持っているIPを長く売ること」だけを選んでいないことです。
ストIIから35年。
初代バイオから30年。
それだけ古い大型シリーズを持つ会社が、まだ新しい名前のゲームへ投資している。
これは、1980年代から2000年代に新しいシリーズが次々に加わった流れが、完全には途切れていないことを示しています。
現在のカプコンが商業的に強いことと、ゲームが面白いことは別
2026年3月期のカプコンは、全利益項目で9期連続の最高益を記録し、コンシューマゲームの年間販売本数も過去最多となる5,907万本に達しました。
これは、2026年現在もカプコンが商業的な第一線にいることを確認する材料にはなります。
しかし、5,907万本売ったから「昔よりゲームが面白くなった」とは言えません。
ここは分けて考える必要があります。
売れたゲーム。
評価の高いゲーム。
長く残ったゲーム。
後世へ影響を与えたゲーム。
その四つは重なることもありますが、同じではありません。
だから、このメーカー史でも決算をTierの答え合わせには使いません。
現在も巨大な事業を維持しているという事実と、一本一本のゲーム評価は別々に見ます。
「カプコン復活」は便利な言葉だが、今はまだ結論にしない
カプコンについて調べると、「低迷期」「復活」という言葉をよく見かけます。
確かに、ある時期のシリーズ展開に厳しい評価が集まり、その後の『バイオハザード7』『モンスターハンター:ワールド』などを転換点として語る流れはあります。
ただ、つぶログのメーカー史としては、現時点でそこまで断定しません。
なぜなら、「低迷」を名乗るなら、
発売本数が減ったのか。
平均評価が下がったのか。
上位作品が減ったのか。
下位作品が増えたのか。
大型タイトルだけが弱くなったのか。
小規模作品を含めた全体で落ちていたのか。
少なくともこれくらいは分けて見る必要があるからです。
現時点では、すべての世代で同じ粒度の全作品データが揃っているわけではありません。
「昔のカプコンは良かった」「そこから落ちた」「そして復活した」という気持ちのいい三幕構成に、数字を後から合わせることはしたくありません。
今後、PS1、PS2、HD世代まで横断データがそろえば、本当に谷が存在したのか、その谷は何年ごろだったのかも検証できます。
そこは結論を急がない方が、むしろこのシリーズらしいと思います。
では、カプコンは本当に「ずっと強かった」のか
ここまでを見ると、答えは少し複雑です。
ずっと同じように強かった、とは言いにくい。
SFCでは39本を出し、36本がB以上。
大量供給しながら水準を維持する強さがありました。
サターンでは、アーケード移植や2D作品を中心に33本中26本がB以上。
自分たちの得意分野が上位へ密集しています。
N64では、その存在感自体がSFCやサターンほど大きくありません。
ゲームキューブでは平均76.11点・中央値74点ながら、『バイオハザード4』97点、『ビューティフル ジョー』95点、『バイオハザード』92点という大きな山を作った。
一方で『P.N.03』は59点です。
これだけ違う。
だから「カプコン=いつも高品質」で片付けると、かえってカプコンの面白さを見失います。
失敗しない会社ではない。
どのハードでも強い会社でもない。
一つのジャンルだけを極めた会社でもない。
それでも次の時代になると、また違う作品が上へ出てくる。
この繰り返しこそ、今回Tierを横断して初めてはっきり見えてきた部分です。
カプコンの本当の強みは「強さを作り直せること」なのかもしれない
1980年代には『魔界村』『ロックマン』。
1990年代には『ストリートファイターII』『バイオハザード』。
2000年代には『鬼武者』『デビル メイ クライ』『逆転裁判』『モンスターハンター』『戦国BASARA』『デッドライジング』。
その後も既存シリーズの形を変えながら、2026年には完全新規IP『プラグマタ』まで出しています。
これを、「40年間名作を作り続けた」とまとめるのは簡単です。
でも、実際の作品群はもっとでこぼこしています。
SFCでは安定していた。
サターンでは得意分野が強かった。
N64では薄かった。
GCでは失敗もありながら、ハード最高峰級の作品を複数生み出した。
同じシリーズですら、『バイオハザード4』や『7』のように遊び方そのものが変わっています。
『モンスターハンター』は携帯機で広がったあと、世界同日発売の大型据え置き作品へ進んだ。
『ストリートファイター』にはモダン操作という新しい入口が加わった。
そして現在は、RE ENGINEという共通基盤の上で複数の異なるIPを同時に動かしています。
少なくとも今回確認した作品データと公式資料から見えてくるのは、
カプコンが守ってきたのは、一つのゲームの形ではない
ということです。
むしろ、時代が変わったときに、何を残して何を変えるかを何度もやり直している。
だから、
「カプコンはなぜ40年以上ずっと強いのか?」
という最初の問いには、少し言い直して答えたいと思います。
カプコンは、40年以上ずっと同じ強さだったわけではない。
ただ、その時代の強さが通用しなくなっても、別の形で次の強さを作ってきた。
SFCの39本からゲームキューブの『バイオハザード4』、そして2026年の『プラグマタ』まで並べてみると、カプコンというメーカーの本当のしぶとさは、そこにあるように見えます。