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発売中止ゲームTier|幻に終わったゲームを“惜しまれ度・歴史的影響・忘れられにくさ”でS~E評価

目次
  1. 発売中止ゲームTier|幻に終わったゲームを惜しまれ度・歴史的影響でS~E評価
  2. 評価方法|完成版の面白さではなく「発売中止そのもの」を見る
  3. 「発売中止」も一種類ではない
  4. 発売中止ゲームTier|100作品の全体像
  5. S Tier|発売中止ゲーム史を語るなら外しにくい6作品
  6. A Tier|ゲーム史の分岐点として無視できない38作品
  7. B Tier|知名度より「調べると面白い」が強い53作品
  8. C Tier|実在は確認できる。それでも核心がまだ見えない
  9. 100作品の個別評価がすべて揃った
  10. 100本で見えたのは「消えたゲーム」ではなく、分岐したゲーム史
  11. 「完成度○%」は、発売中止ゲームで最も危険な数字の一つ
  12. 「正式中止」と「保留」「作り直し」も同じではない
  13. 100本あっても、分からないものは分からないまま残す
  14. Sが6本のままなのは、100本に増えても基準を緩めなかったから
  15. 「発売中止ゲームのその後」と、このTierは何が違う?
  16. 100本は完成ではなく、現在地点
  17. まとめ|発売されなかったゲームにも、確かに歴史が残っている

発売中止ゲームTier|幻に終わったゲームを惜しまれ度・歴史的影響でS~E評価

発売中止ゲームTierをイメージした、歴代ゲーム機と未発売ゲームの試作ROM・開発資料が並ぶゲームアーカイブのイラスト

発売が発表され、雑誌に画面が載り、イベントで遊べるところまで進みながら、店頭には一度も並ばなかったゲームがある。完成までたどり着いたのにハードの世代交代で消えたものもあれば、途中で別作品へ姿を変えたもの、会社やスタジオの事情に巻き込まれたもの、20年、30年を経てようやく正式に日の目を見たものもある。

本記事では、そうした「発売中止ゲーム」をS~EのTierに分ける。ただし評価しているのはゲームとしての出来ではない。発売されていない以上、完成版の操作感やバランス、シナリオをレビューすることはできないからだ。見るのは、その中止がどれほど惜しまれ、どれほど具体的なゲームとして存在し、ゲーム史にどんな空白を残したのか。2026年9月24日時点で確認・監査した100作品を、同じ基準で見ていく。

2026年9月24日時点:100作品掲載/S 6・A 38・B 53・C 3。DとEは、枠を埋めるためだけに作品を入れなかった結果、現時点では該当なしとした。

100本は完成形ではない。今後も資料の追加、新しい開発者証言、正式復活、新たな発売中止が確認できれば追記し、必要なら評価も見直す。


評価方法|完成版の面白さではなく「発売中止そのもの」を見る

100点は6項目に分けた。知名度の高いシリーズだから有利、開発率が高いから自動的に上位、という付け方はしていない。最近中止された作品についても、10年、20年後まで語られるか分からない段階で「忘れられにくさ」を先回りして高くしていない。

評価軸配点
惜しまれ度25点
ゲーム史への潜在的影響20点
忘れられにくさ20点
期待の具体性15点
企画の独自性・魅力10点
中止そのものの歴史的重要性10点
合計100点

6つの評価軸

惜しまれ度は、中止当時からどれほど惜しまれ、その後も復活を望む声が残ったか。ゲーム史への潜在的影響は、実際に確認できる企画内容や後作品への継承から見て、シリーズやハード、ジャンルにどれほど意味を持ち得たかを見る。忘れられにくさは、中止から長い時間がたっても名前が残っているか。期待の具体性は、ゲーム画面、PV、試遊、発売予定日などから「どんなゲームだったか」がどこまで分かるか。スクリーンショットが多いことと、完成度が高いことは分けて考える。

企画の独自性・魅力は、当時ならではの新しい試みや、今見ても「遊んでみたかった」と思える企画かどうか。中止そのものの歴史的重要性は、ハード撤退、企業再編、スタジオ閉鎖、別タイトルへの大規模転換など、その中止がゲーム史上の出来事とどれだけ結び付いているかを見ている。

点数だけでTierを自動決定しない

目安はSが原則91点以上、Aが主に80~89点、Bが主に69~82点、Cが主に50~68点。ただしAとBは点数帯が重なる。82点の『Bound High!』がA、同じ82点の『スペースファンタジーゾーン』がBなのはそのためだ。前者は完成済みの作品がバーチャルボーイそのものの終息で失われたという大きな歴史的分岐がある。後者は「遊んでみたかった」という魅力では負けていないが、中止がハードやシリーズの歴史を大きく分けた作品とは言いにくい。


「発売中止」も一種類ではない

100作品まで広げると、「発売されなかった」の一言だけでは実態を説明できないケースがさらに増えた。そこで本文では、必要に応じて次の違いを意識している。

主な状態意味
CANCELLED予定されていた形では最終的に発売されなかった
PLATFORM_CANCELLEDゲーム自体は別機種などで発売されたが、特定機種向け開発ルートが消えた
TRANSFORMED開発中の企画が大きく変化し、別タイトル・別IPへ移った
REBUILT旧版を破棄・停止した後、内容や技術基盤を大幅に作り直して発売へ至った
REVIVED長期間未発売だった旧版そのもの、または極めて近い形が後年正式に日の目を見た
公開開発版の破棄一般発表・公開まで進んだ開発ルートを捨て、製品版を作り直した
未発表プロトタイプ当時は一般発表されなかったが、後年の関係者証言や試作で開発実態が確認された

正式な中止日や中止理由まで一次資料で確認できない作品もある。その場合は、確認できない部分を推測で埋めず、「理由不明」「正式な中止時期は確認できない」と明記する。


発売中止ゲームTier|100作品の全体像

100作品を一度に表で並べると、特にスマホではタイトルと説明が細切れになってしまう。そこで一覧はTierごとに開閉できるカード形式にした。作品名をタップすると、その作品の詳しい解説へ直接移動できる。

一覧は必要なTierだけ開けます。S Tierのみ最初から開いています。

S Tier6作品
S Tier 発売中止

セガサターン向け本編3Dソニックとして開発されたが製品化されず。

S Tier 発売中止

PlayStation 4向け企画として発表されたが開発中止。『P.T.』は製品版そのものではない。

A Tier38作品
A Tier 発売中止

Virtual Boy向けに完成段階まで進んだが未発売。

A Tier 再構築

M2消滅後、Dreamcastで同名ながら別内容へ再構築。

A Tier 発売中止

完成に近い段階まで進んだが発売元判断で中止。

A Tier 別企画へ変化

NINTENDO64版企画が『Star Fox Adventures』へ統合・転換。

A Tier 発売中止

9.11後にまず無期限延期され、その後Dreamcast版がキャンセル。

A Tier 発売中止

複数機種向けに開発後、長期保留を経て正式中止。

A Tier 発売中止

LucasArtsの内製開発体制終了後、製品化されず。

A Tier 発売中止

PS3/Xbox 360/PC向けに開発されたが中止。

A Tier 発売中止

Xbox One/PC向け開発中止。Lionhead Studiosも閉鎖。

A Tier 発売中止

Xbox One/PC向け大型新規IPとして開発されたが中止。

A Tier 発売中止

Blizzardの次世代MMOとして開発中止。一部の発想・人材は後の『Overwatch』へ。

A Tier 後年復活

64DD版としては未発売。後に『Master Quest』としてニンテンドー ゲームキューブで公式収録。

B Tier53作品
B Tier 発売中止

NES版は未発売。後年プロトタイプが発見・保存。

B Tier 発売中止

NES向けに開発されたが未発売。後年プロトタイプ発見。

B Tier 後年復活

Virtual Boyでは未発売。2026年に任天堂から正式配信。

B Tier 発売中止

64DD向け企画は商品化されず。設計思想の一部は後年作品へ。

B Tier 発売中止

NINTENDO64版は未発売。2024年に元開発者がビルド公開。

B Tier 発売中止

Dreamcast向けに開発されたが中止。

B Tier 発売中止

NINTENDO64向けにSpace World 2000でプレイアブル展示されたが未発売。

B Tier 発売中止

ニンテンドー ゲームキューブ版を中止し、開発リソースを『Metroid Prime』へ集中。

B Tier 別企画へ変化

ニンテンドー ゲームキューブ版から別IPへ再構築されたが、その企画も未発売。

B Tier 発売中止

Dreamcast向け企画。スタジオ活動停止に伴い開発中止。

B Tier 発売中止

Xbox 360向け企画として進行したが開発中止。

B Tier 発売中止

PlayStation 3/PC向け開発中止。SOE再編・拠点閉鎖と同時期。

B Tier 発売中止

PC向けライフシム。発売中止後、開発スタジオも閉鎖。

B Tier 再始動中

M2での開発は中止。井内ひろし氏らが別体制で制作再開に向けて動き、出資に関心のある企業と協議中。

B Tier 発売中止

「カプコン5」の一作として発表されたが未発売。

B Tier 発売中止

品質確保のため中止し、開発資産を次回作へ引き継ぐ方針。

B Tier 発売中止

セガサミーが欧州事業見直しの一環として正式中止。

B Tier 発売中止

EAが品質・ゲームデザイン上の問題から開発中止。

B Tier 発売中止

EAとSteven Spielbergの企画。2009年の否定後、2010年に正式開発終了。

B Tier 未発売・資料限定

『PC原人』復活企画。プレイアブル展示まで進んだが発売されず、正式中止経緯には不明点が残る。

B Tier 発売中止

PlayStation 3向けにTGS試遊まで進んだが、その後開発停止。

B Tier 発売中止

GameCube向け『マネビト』企画は未発売。『自分をゲームへ入れる』思想は後のMiiへ。

B Tier 未発売・資料限定

NAOMI向けトレジャー作品。中止状態と当時報じられたが正式理由などは不明。

B Tier 未発売・資料限定

実働する未発売アーケード基板が現存。商品化されなかった直接理由は不明。

B Tier 別企画へ変化

中心システムを発展させ、主人公・世界観を変更して『LET IT DIE』へ。

B Tier 未発表企画

Armature Studioによる『ロックマンX』FPSリブート試作。社内審査段階で中止。

B Tier 未発表企画

GRINが『FFXII』世界のスピンオフとして開発。GRIN消滅後も含め最終的に製品化されず。

C Tier3作品

D・Eは現時点で該当なし。100作品に増えても、Tierの枠を埋めるためだけの採用はしていない。


S Tier|発売中止ゲーム史を語るなら外しにくい6作品

Sは6本。共通するのは知名度ではなく、長く語られ、何を作ろうとしていたかが見え、中止そのものがシリーズやゲーム史の節目になっていることだ。完成済みの作品もあれば、本編はまだ初期段階だった作品もある。「完成間近だったからS」という単純な並びではない。

S Tier 後年復活
95点

『スターフォックス2』|完成し、デバッグも終わっていたのに発売されなかった

発売中止ゲームを調べると、

「完成間近だった」
「90%できていた」
「ほぼ発売できる状態だった」

という話を何度も見る。ところが、その数字をたどると出所がはっきりしない作品も珍しくない。『スターフォックス2』は違う。

任天堂自身が、1995年には完成し、デバッグまで終わっていたことを明らかにしている。それでもスーパーファミコンでは発売されなかった。理由として語られているのは、ゲームの品質ではない。

Super FX 2を使うことによるコストと、その翌年に控えていたNINTENDO64。3Dゲームの新しい時代が始まろうとする直前に、スーパーファミコン向け3D作品を新たに発売するタイミングが悪くなってしまった。これはこの100作品でも、最も分かりやすい

「完成したのに出なかったゲーム」

の一つである。そして『スターフォックス2』は、そのまま消えたわけでもなかった。360度を自由に移動する考え方や、変形するアーウィンなど、一部の発想は後のシリーズへつながっている。

さらに2017年。発売中止から20年以上を経て、『ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン』収録作品として、任天堂から正式に日の目を見ることになった。発売中止ゲームとしては異例の結末だった。

「幻のゲームを遊んでみたい」という願いが、本当に公式からかなった作品である。だからこそ現在は、二つの時代を同時に評価しなければならない。1995年には、

完成していながら発売されなかったゲーム。

2017年以降は、

20年以上を経て正式発売されたゲーム。

発売中止という状態が永久固定ではないことを示す、代表的な例だ。

6項目の採点を見る95 / 100
項目点数
惜しまれ度23 / 25
ゲーム史への潜在的影響19 / 20
忘れられにくさ20 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性9 / 10
総合95 / 100

完成・未発売・後作品への継承・20年以上後の正式復活。発売中止ゲームを考えるうえで、これほど材料のそろった作品は少ない。


S Tier 発売中止
96点

『Sonic X-treme』|セガサターンに“本編3Dソニック”が存在しなかった理由を象徴する作品

セガサターンには『ソニックR』や『ソニックジャム』がある。しかし、メガドライブ時代の『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』を次世代3Dへ発展させた、本格的な新作アクションは発売されなかった。その最大の空白が『Sonic X-treme』だ。

1990年代半ば、セガサターン向けに開発されていた3Dソニックで、公開された映像や画面は当時としてかなり異様だった。魚眼レンズのように曲がる3Dフィールド。壁や天井まで利用するステージ。

シリーズを3Dへ移行させようとする試みが、既存の3Dアクションとはかなり違う方向へ向かっている。このゲームが今も語られる最大の理由は、

「もし出ていたら面白かったか」だけではない。

セガサターンというハードに、なぜ本編3Dソニックが存在しなかったのか。その問いと『Sonic X-treme』が切り離せなくなっているからだ。開発中には技術や開発体制が何度も変化し、プロジェクトは安定しなかった。

後年になって多くの関係者証言や開発素材も出てきたが、最終的に製品としてまとめ切れないまま1996年に開発終了となる。ここで、「発売されていればNintendo 64と互角に戦えた」

などと書くつもりはない。そこまでは分からない。実際に製品版が存在しない以上、名作だったとも言えない。

ただ一つ確かなのは、

セガの看板キャラクターが32bit世代へ移るタイミングで、本来中心になるはずだった新作が消えた

という事実だ。その結果、サターン時代のソニックには今も独特の空白が残っている。約30年が経過しても『Sonic X-treme』という名前が消えない理由は、そこにある。

6項目の採点を見る96 / 100
項目点数
惜しまれ度23 / 25
ゲーム史への潜在的影響19 / 20
忘れられにくさ20 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力10 / 10
中止そのものの歴史的重要性9 / 10
総合96 / 100

有名シリーズだからSなのではない。

発売されなかったこと自体が、セガサターンとソニック双方の歴史に大きな空白を残した。そこをS Tierとして評価した。


S Tier 発売中止
92点

『Warcraft Adventures: Lord of the Clans』|ほとんど形になっていたのに、Blizzard自身が止めた

現在の『Warcraft』からは少し想像しにくいが、Blizzardは1990年代後半、ポイント&クリック式のアドベンチャーゲームを本格的に作っていた。それが『Warcraft Adventures: Lord of the Clans』だ。主人公はThrall。

後のWarcraft世界で極めて重要になる人物だが、この時点ではゲームを通じてその物語を描こうとしていた。グラフィックも大量に制作され、音声も収録され、ゲームとして一通り動くところまで進んでいた。発売中止ゲームの中でも、かなり完成に近かった側に入る。

それでもBlizzardは発売しなかった。開発が完全に破綻していたわけではない。むしろ、ゲームを出せるところまで持っていくこと自体は可能だった。

問題は、その状態で発売することをBlizzard自身が良しとしなかったことだった。開発期間中にアドベンチャーゲームを取り巻く環境や技術は変わり、会社が求める品質水準との差も広がった。大幅修正案も検討されたが、最終的には中止となる。

この作品が面白いのは、ゲームそのものが消えても、そこで描こうとしていたものすべてが消えたわけではないところだ。Thrallの物語は小説など別の形へ受け継がれ、後のWarcraft世界でも重要な位置を占めるようになる。つまり、

ゲームは発売されなかったが、そこで作ろうとしていた世界の一部は生き残った。

『Warcraft Adventures』は、「完成に近い=発売すべきだった」と単純には言えない作品でもある。Blizzard自身が、自社基準へ届かないと判断して止めたからだ。それが正しかったかどうかを、本記事で決めるつもりはない。

ただ、これほど作られた作品が発売されず、その後も長年発掘・研究の対象になり続けた事実は、発売中止ゲーム史では非常に大きい。

6項目の採点を見る92 / 100
項目点数
惜しまれ度22 / 25
ゲーム史への潜在的影響18 / 20
忘れられにくさ19 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性9 / 10
総合92 / 100

大量に作られたからSなのではない。

発売可能なところまで進みながら、自社基準のために止めるというBlizzardの判断そのものがゲーム史の一場面になった。

そこまで含めてSとした。


S Tier 再構築
96点

『MOTHER 3』NINTENDO64/64DD版|完成への道筋を描けないまま終わった、もう一つのMOTHER 3

『MOTHER 3』というゲームそのものは、2006年にゲームボーイアドバンスで発売されている。それでも、NINTENDO64時代に作られていた『MOTHER 3』を単なる「初期版」として片付けることは難しい。開発期間も、目指していた表現も、途中まで作られていた世界も、それだけ大きかった。

企画はNINTENDO64世代で進み、64DDを利用する構想も含めながら長期開発が続いた。シリーズが2Dのドット絵から3Dへ移ろうとしていた時期でもあり、当時公開された画面には、後のゲームボーイアドバンス版とはかなり印象の違う『MOTHER 3』が映っている。問題は、作りたいものが見えていなかったことではない。

むしろ逆だった。やろうとしていることに対して、完成までの道筋が立たなくなっていった。開発は長期化し、最終的に2000年、中止が発表される。

ここで重要なのは、「NINTENDO64が終わりそうだったので単純に切られた」とだけ考えないことだ。

後年の関係者による振り返りでも、完成の見通しそのものが大きな問題になっていたことが語られている。そして数年後。『MOTHER 3』はゲームボーイアドバンスで再始動した。

ただし、NINTENDO64版をそのまま携帯機へ移植したわけではない。3Dから2Dへ戻り、開発体制も作品の作り方も変わった。だから現在遊べる『MOTHER 3』が存在するからといって、NINTENDO64版が「結局発売された」とは言いにくい。

失われたのは、同じ題名のゲームではなく、

NINTENDO64という時代に、3Dで作ろうとしていた『MOTHER 3』そのもの

だからだ。シリーズ史の大きな空白であり、ゲームボーイアドバンス版が名作として残った今でも、「あのN64版はどんなゲームになっていたのか」という疑問は消えていない。

6項目の採点を見る96 / 100
項目点数
惜しまれ度24 / 25
ゲーム史への潜在的影響20 / 20
忘れられにくさ20 / 20
期待の具体性14 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性9 / 10
総合96 / 100

現在のゲームボーイアドバンス版へつながったからこそ、NINTENDO64版との差も見える。「発売中止後に別ハードで再始動したゲーム」を代表する一作である。


S Tier 発売中止
91点

『ロックマンDASH3 PROJECT』|ファンまで開発に参加していたゲームが、体験版すら出ないまま終わった

『ロックマンDASH3 PROJECT』が他の発売中止作と大きく違うのは、

ゲームが完成する前から、開発過程そのものをファンへ公開していた

ことだ。対応機種はニンテンドー3DS。Capcomは「Developer Room」を開設し、キャラクターデザインやアイデア募集などを通じて、ユーザーを開発へ参加させる試みを進めていた。

さらに通常のゲームでは表に出ない、

Prototype Version

までNintendo eShopで配信する計画だった。これは単なる体験版ではなく、その反応を見て製品版を正式に進めるか判断する役割も持っていた。つまりユーザーからすると、

「完成したゲームを待つ」だけではない。開発途中から一緒にプロジェクトを見ていく作品だった。

だから中止の意味も大きかった。2011年、Capcomはプロジェクト終了を発表。Prototype Versionも発売されなかった。

Developer Roomも終了。さらに、ユーザーから集めたアイデアについても、今後別ゲームへ流用しないことが説明された。製品版だけではなく、

そこまで積み上げた参加型開発の仕組みそのものが止まった

のである。もちろん、ファン参加型だったから完成版が必ず面白くなったとは言えない。Prototypeすら一般配信されていない以上、完成版の評価などできない。

それでも『DASH3』は、中止されたゲームの中でも特殊な記憶を残した。ゲームそのものだけでなく、

「自分たちも作っている途中を見ていた」

という経験まで失われたからだ。シリーズ新作中止という枠だけでは収まらない。それがS Tierへ残した最大の理由である。

6項目の採点を見る91 / 100
項目点数
惜しまれ度24 / 25
ゲーム史への潜在的影響17 / 20
忘れられにくさ19 / 20
期待の具体性14 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合91 / 100

ファン参加型という特殊な開発工程を含め、発売中止の体験そのものが通常のゲームとは違っていたからだ。


S Tier 発売中止
92点

『Silent Hills』|P.T.は完成した「Silent Hills本編」ではない。それでも消えなかった名前

2014年8月、PlayStation 4で突然配信された『P.T.』。最初から『Silent Hills』の宣伝として前面に出していたわけではなく、クリアすると小島秀夫氏、ギレルモ・デル・トロ氏、そしてノーマン・リーダス氏が関わる『Silent Hills』へつながることが判明する仕掛けだった。その登場方法まで含め、強烈だった。

だからこそ一つ整理しておきたい。

『P.T.』は『Silent Hills』本編の体験版ではない。

本編そのものを切り出したデモでもない。完成予定作品のシステムやステージを、そのまま遊べたわけではない。Konami自身も、後に中止となった『Silent Hills』本編をまだ初期段階のプロジェクトとして扱っている。

そのため、「P.T.があれだけ完成されていたのだから、本編もかなり出来ていた」とは評価していない。

今回、期待の具体性を10/15に抑えたのはそのためだ。それでもS Tierになった。理由は、発売中止後の記憶の強さである。

ホラーゲーム史を語る際、現在でもP.T.と『Silent Hills』は頻繁に名前が出る。小島秀夫氏とKonamiの関係、ギレルモ・デル・トロ氏との共同制作、ノーマン・リーダス氏の出演予定。そしてゲームそのものが完成する前にプロジェクトが消えたことまで含めて、一つの大きな出来事になっている。

「完成していたから惜しい」のではない。

何が完成するのか分からない段階で、それでもこれほど強く期待させた企画だったから惜しい。

発売中止ゲームには、こういうSも存在する。

6項目の採点を見る92 / 100
項目点数
惜しまれ度25 / 25
ゲーム史への潜在的影響18 / 20
忘れられにくさ20 / 20
期待の具体性10 / 15
企画の独自性・魅力10 / 10
中止そのものの歴史的重要性9 / 10
総合92 / 100

「ほぼ完成した幻のゲーム」ではない。それでも、発売中止から10年以上たってなお忘れられていない。そこにこの作品の特殊さがある。


A Tier|ゲーム史の分岐点として無視できない38作品

Aには、完成寸前で止められたゲーム、ハードの終息に巻き込まれたゲーム、大量に作ったものを捨てて別作品へ変わったゲームが並ぶ。80点台前半にはBと重なる作品もあるが、Aへ入れたものは「その中止や転換が、ゲーム史の分岐として説明できるか」を重く見た。

A Tier 発売中止
84点

『サウンドファンタジー』|完成していた任天堂の音楽ゲームは、別会社で形を変えて生きた

スーパーファミコンのコントローラーで、画面上を動く生き物と音を組み合わせる。そこへマウスまで使う。1990年代前半としては、かなり変わったゲームだった。

『サウンドファンタジー』を作ったのは、後に『エレクトロプランクトン』などでも知られるメディアアーティスト・岩井俊雄氏。原点には、岩井氏が制作していたインタラクティブ作品『Music Insects』がある。任天堂版の制作は1993年頃に本格化。

一つの音楽ゲームだけではなく、複数の音楽的な遊びをまとめたソフトとして開発された。そして重要なのが、

1994年には完成していた

ということだ。これは後年の推測ではない。1997年のWIREDによる岩井氏本人への取材で確認できる。

それでも任天堂からは発売されなかった。では、なぜ中止されたのか。ここは意外なほど分からない。

岩井氏自身が、任天堂社内の人員変化などもあり、はっきりした説明を受けていないと語っている。PlayStationやセガサターンの登場、『スーパードンキーコング』の成功などが影響したのではないか――という話も同じ記事に出てくるが、これは岩井氏自身の推測だ。公式な中止理由として扱わない。

そして『サウンドファンタジー』の物語はそこで終わらない。岩井氏の『Music Insects』にMaxisが興味を持ち、後にPC向け『SimTunes』が誕生する。任天堂で完成したゲームがそのまま他社へ移植されたわけではない。

しかし、音と生き物を組み合わせて遊ぶという発想は、別の形で市場へ出た。

さらに後年、岩井氏は任天堂で『エレクトロプランクトン』も制作する。ゲーム史へ巨大な商業的分岐を起こした作品ではない。その一方で、

完成済み
↓
未発売
↓
発想の一部が別作品へ
↓
作者は後に再び任天堂で音楽ゲームを制作

という経路は、発売中止ゲームとして非常に面白い。「知らなかった作品を見つける」という今回の記事の目的を象徴する一作でもある。

6項目の採点を見る84 / 100
項目点数
惜しまれ度17 / 25
ゲーム史への潜在的影響17 / 20
忘れられにくさ17 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力10 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合84 / 100

A Tier 発売中止
82点

『Bound High!』|バーチャルボーイがあと少し長く生きていれば、普通に発売されていたかもしれない

発売中止ゲームには、開発が難航して消えた作品がある。『Bound High!』はその逆に近い。

ゲームは完成していた。

開発したのはJapan System Supply。企画・メインプログラムを担当した中西秀之氏によれば、開発だけでなくマニュアルのデザインまで完成。北米向けにはパッケージまで一部作られていたという。内容は、ボール状のキャラクター「Chalvo」を跳ねさせながらステージを攻略するアクション。

バーチャルボーイ特有の奥行き表現を使い、上下方向への跳ね返りを立体視で見せるゲームだった。しかも無名の試作企画ではない。1995年の初心会で実際に展示され、中西氏によれば特別展示エリアに約10台が置かれていた。

当時の雑誌でも、任天堂の山内溥社長がバーチャルボーイの特徴を生かすタイトルとして『Bound High!』を挙げた記録が残っている。そこまで来て、なぜ発売されなかったのか。答えは非常に単純だった。

バーチャルボーイそのものが終わった。

中西氏は、完成するまで発売予定だったものの、マスターROMを作った後に任天堂がプラットフォームを終了したと振り返っている。ここが82点Aとした最大の理由だ。『Bound High!』単体がゲーム業界を変えたはずだとは考えていない。

しかし、製品として完成していたソフトが、ハードの寿命そのものによって市場へ出られなかった

という事実は、バーチャルボーイの歴史を説明するとき非常に象徴的だ。同じ82点のB Tier作品もある。それでも『Bound High!』をAへ置くのは、発売中止が「ハード撤退」という明確なゲーム史上の出来事と直結しているからだ。

6項目の採点を見る82 / 100
項目点数
惜しまれ度18 / 25
ゲーム史への潜在的影響14 / 20
忘れられにくさ16 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性10 / 10
総合82 / 100

A Tier 再構築
88点

『バイオハザード2』初期版、通称『バイオハザード1.5』|約7割まで作ったものを捨てた

発売中止ゲームとして紹介されることが多いが、最初に位置づけを整理しておきたい。『バイオハザード1.5』という独立商品が発売予定だったわけではない。これは、

現在の『バイオハザード2』になる前の、大規模に破棄された初期版

だ。主人公の一人はLeon S. Kennedy。もう一人はClaire Redfieldではなく、バイクレーサーのElza Walker。

警察署も完成版のような奇妙な洋館風施設ではなく、より現代的な建物だった。敵や衣装、ストーリー、マップ構造も大きく違う。そして何より有名なのが、

かなり作ってから捨てた

ことだ。Hideki Kamiya氏は後年のインタビューで、脚本家・杉村升氏が初期シナリオを見た段階で約70%完成していたと振り返っている。別の資料では三上真司氏が約65%と表現した例もあり、細かな数字には幅がある。だから本記事では、

「完成度70%だった」と一つの数字だけを絶対値にはしない。おおむね3分の2前後まで開発が進んでいた段階で、大幅なやり直しを決めたと捉える。

なぜそこまで作ったものを捨てたのか。スタッフ側の振り返りには、

ゲームとして面白くなかった
シリーズらしさが薄かった
ビジュアルやシナリオの方向性に問題があった

といった話が残っている。Kamiya氏自身も、初監督として明確なビジョンを提示できず、初期版の失敗からディレクターとして学んだと後年語っている。普通なら、

「ここまで作ったのだから、とりあえず完成させよう」となってもおかしくない。しかしCapcomはそうしなかった。

大きく作り直し、1998年に現在知られている『バイオハザード2』を発売した。結果的に完成版は大成功した。ただしその成功を理由に、

「1.5を捨てた判断は絶対に正しかった」とTier評価するつもりはない。ここで見ているのは、

発売間近まで進んだ大作を一度捨て、同じ『2』を根本から作り直すという異例の決断

そのものだ。一方、S Tierへ入れなかった理由も明確。これは独立した新作が丸ごと中止された例ではない。

最終的に『バイオハザード2』という製品は完成している。失われたのは、

最初に作られていた『2』の形

だ。それでもシリーズ史の巨大な分岐であることに変わりはない。かなり作った段階から、同じ「2」を根本から作り直した代表例だ。

6項目の採点を見る88 / 100
項目点数
惜しまれ度21 / 25
ゲーム史への潜在的影響18 / 20
忘れられにくさ20 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力7 / 10
中止そのものの歴史的重要性7 / 10
総合88 / 100

A Tier 別企画へ変化
85点

『Virtua Fighter RPG』/セガサターン期『シェンムー』|『バーチャファイター』のRPGからドリームキャストを代表する作品へ

『シェンムー』は最初からドリームキャスト向けに企画されたゲームではない。さらに言えば、最初から『シェンムー』ですらなかった。鈴木裕氏が2014年のGDCで振り返った開発の出発点は、

セガサターン向けの『Virtua Fighter RPG』

だった。『バーチャファイター』の結城晶を主人公とし、格闘ゲームではなく物語主体のRPGを作る。それが最初の構想だった。

企画はやがて『Akira's Story』と呼ばれるようになり、さらに『バーチャファイター』から独立。主人公も世界観も変わり、最終的に『シェンムー』へ向かっていく。ここで注意したい。

これは、「セガサターン版『シェンムー』という完成間近のゲームが中止され、そのままドリームキャストへ移植された」

という話ではない。企画そのものが長い時間をかけて変化した。実際、鈴木氏自身がGDC講演で、Virtua FighterベースのRPGから最終的な『シェンムー』までの長い開発史を説明している。

そのため、本記事では、単純な「開発中止」とは分け、

企画そのものの転換と、セガサターンからドリームキャストへの機種移行

として扱った。惜しまれ度を15/25まで下げているのも同じ理由だ。当時の一般ユーザーが、

「セガサターン版シェンムーが中止された」という一つの製品を広く惜しんだわけではない。しかし、ゲーム史への潜在的影響は20/20。

なぜなら、セガサターンで試行錯誤されていたRPG企画が、最終的にドリームキャストという新ハードを象徴する巨大プロジェクトへ成長したからだ。失敗して消えた企画ではない。

企画を変え続けた結果、別の歴史へ到達した作品。

今回のTierに、こういうゲームも入れておきたかった。

6項目の採点を見る85 / 100
項目点数
惜しまれ度15 / 25
ゲーム史への潜在的影響20 / 20
忘れられにくさ18 / 20
期待の具体性14 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性9 / 10
総合85 / 100

A Tier 再構築
88点

M2版『D2』|ハードそのものが消え、50%まで作ったゲームも消えた

3DOの後継機として開発されながら、市販されることなく消えたゲーム機「M2」。その未発売ハードと一緒に消えた代表的ゲームの一つが、飯野賢治氏率いるワープの『D2』だ。後にドリームキャストで『D2』が発売されているため、

「結局機種を変えて出たゲームでは?」と思うかもしれない。しかし、M2版とドリームキャスト版は同じゲームではない。

飯野氏本人によれば、M2版『D2』は約50%まで開発が進み、バトルエンジンも完成。マップを広げている段階だった。しかも単なるムービー企画ではない。実際のM2ハード上で動いていた。

飯野氏は、当時のM2を非常に高性能なハードとして評価し、その性能を使ってリアルタイム3Dアクションを作ろうとしていたと振り返っている。ところが、ゲームではなくM2そのものが発売中止になる。土台となるハードを失った『D2』も、そこで終了した。

その後、飯野氏はドリームキャストで再び『D2』を制作する。だが、M2版をそのまま移植したわけではない。本人は後年、セガとの契約を受けた後も「同じものをもう一度作りたくなかった」ため、内容を変えたと説明している。M2版ではローラの息子が中心になる予定だったのに対し、ドリームキャスト版では再びローラ本人を主人公とするなど、作品そのものを大きく作り替えた。

つまり、M2版『D2』
↓
ハード消滅とともに開発終了
↓
同じ『D2』というタイトルで別内容を再構築
↓
ドリームキャストで発売

という流れだ。「別機種へ移植された」というより、

一度死んだゲームの名前を使い、新しいゲームを作り直した

に近い。そしてM2という幻のハードまで含めて語れることが、この作品の大きな強みになった。

6項目の採点を見る88 / 100
項目点数
惜しまれ度19 / 25
ゲーム史への潜在的影響18 / 20
忘れられにくさ18 / 20
期待の具体性14 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性10 / 10
総合88 / 100

A Tier 発売中止
84点

『Thrill Kill』|完成したゲームを、発売元が「出さない」と決めた

発売中止ゲームには、完成できなかった作品が多い。技術的にまとまらなかった。開発費が膨らんだ。ハードが終わった。会社がなくなった。『Thrill Kill』は少し違う。

ゲームそのものは完成していた。

4人同時対戦を売りにしたPlayStation向け格闘ゲームで、開発はParadox Development。過激な暴力表現と悪趣味なキャラクターを前面に出し、1998年の発売を予定していた。ところが開発末期、Virgin Interactiveの北米ゲーム事業をElectronic Artsが取得する。EAは『Thrill Kill』を引き継いだものの、最終的に発売しなかった。

GameSpotがEAへ確認した際、同社は作品を正式にキャンセルしただけでなく、他社へ売却するつもりもないと回答している。別の記事では、完成済みだったものの、内容が市場に適切ではないと判断された経緯も伝えられている。この作品について注意したいのは、

「発売禁止になったゲーム」ではない

ということだ。政府機関やレーティング団体によって販売を禁じられたわけではない。新たに発売元となったEAが、自社から販売する作品として適切ではないと判断した。

完成していたにもかかわらず、企業側の方針だけで市場へ出ない。発売中止ゲームの中でも珍しいタイプだ。そしてゲームの技術すべてが無駄になったわけでもない。

後に同じ開発元が手掛けた『Wu-Tang: Shaolin Style』には、『Thrill Kill』のゲームエンジンや4人対戦の基盤が引き継がれている。だから『Thrill Kill』は「消えたゲーム」でありながら、

技術部分は別作品として生き延びた

とも言える。過激だったこと自体を高く評価しているのではない。発売可能な状態まで作られた製品を、発売元が意図的に封印した。

その中止経緯をA Tier相当と判断した。

6項目の採点を見る84 / 100
項目点数
惜しまれ度20 / 25
ゲーム史への潜在的影響14 / 20
忘れられにくさ18 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性9 / 10
総合84 / 100

A Tier 別企画へ変化
80点

『Twelve Tales: Conker 64』|かわいい3Dアクションを捨てた結果、あのConkerが生まれた

『Conker's Bad Fur Day』を知っている人が、初期の『Conker』を見ると驚くと思う。もともとは、

かなり普通にかわいい3Dアクションだった。

NINTENDO64向け『Twelve Tales: Conker 64』。明るい世界で、愛らしいリスのConkerが冒険する。後に発売された『Bad Fur Day』の下品さやブラックユーモアは、ほとんど見当たらない。

ゲーム自体は発売予定作品として公開され、開発も長期間続いていた。だがRare内部では、当時増えていたカラフルな3Dアクションの中に埋もれてしまうという危機感が強まっていった。元スタッフChris Marlow氏も後年、何年も制作した末に方向転換した背景を振り返っている。

そしてプロジェクトは消える。ただし、Conkerまで消えたわけではない。スタッフを組み替え、Chris Seavor氏を中心に企画を全面的に変更。

かわいい世界を逆手に取り、

暴言
ブラックユーモア
映画パロディ
成人向けの題材

を詰め込んだ『Conker's Bad Fur Day』へと変貌した。Seavor氏自身も、初期版から大きく路線転換した経緯を後年語っている。このため本記事では、『Twelve Tales』を「完全消滅したゲーム」とは分類していない。

元の企画を捨て、別作品へ大きく方向転換したケース

だ。しかも変化の幅が極端だった。もし『Twelve Tales』がそのまま完成していたら、『Bad Fur Day』が同じ形で存在した可能性は低い。

ただし、「Twelve Talesを中止したおかげで名作が生まれた」とまで評価するのも結果論になる。

A Tierでは最低点の80点だが、それでもBへは落とさなかった。企画を捨てるという判断そのものがIPの性格を完全に変えたからだ。

6項目の採点を見る80 / 100
項目点数
惜しまれ度18 / 25
ゲーム史への潜在的影響15 / 20
忘れられにくさ17 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性7 / 10
総合80 / 100

A Tier 発売中止
82点

『Castlevania: Resurrection』|理由を説明されないまま消えたドリームキャスト版『悪魔城ドラキュラ』

『悪魔城ドラキュラ』シリーズがドリームキャストへ。その企画として開発されていたのが『Castlevania: Resurrection』だ。1999年のE3などで公開され、主人公の一人には『悪魔城ドラキュラ 漆黒たる前奏曲』のソニア・ベルモンドが登場する予定だった。

もう一人は本作のために用意されたヴィクター・ベルモンド。時代の異なる二人が物語へ関わる3Dアクションとして制作されていた。しかし発売は延期を重ねる。

2000年2月には、当初予定からさらにずれ込み、同年秋へ延期されたと報じられていた。ところがその約2か月後、KonamiはGameSpotに対して開発中止を正式に認めた。問題は、その次だ。

Konamiは中止理由を説明しなかった。

後年、元スタッフからドリームキャスト市場や社内事情などについて証言は出ている。だが、2000年当時のKonamiが示した公式理由ではない。実際、当時のGameSpotも理由については推測と明確に区別している。そのため本記事でも、

「PlayStation 2が出るから中止になった」
「ドリームキャストが売れなかったから消えた」

と断定しない。分かっているのは、

実際にゲームとして動く段階まで進んでいたこと
と、
Konamiが正式に中止したこと

までだ。2021年には開発版とみられる映像も改めて表に出て、20年以上を経てゲーム内容を確認できる材料が増えた。シリーズ人気だけなら、もっと点数を上げることもできる。

しかし、中止後に別作品へ強く影響したことや、業界全体を変えた分岐までは確認できない。そこで82点。A Tier下限寄りだが、長年にわたり「ドリームキャストで出るはずだった悪魔城」として残った存在感を評価した。

6項目の採点を見る82 / 100
項目点数
惜しまれ度20 / 25
ゲーム史への潜在的影響16 / 20
忘れられにくさ18 / 20
期待の具体性14 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性6 / 10
総合82 / 100

A Tier 再構築
84点

NINTENDO64版『バイオハザード0』|半分以上作ってからニンテンドー ゲームキューブへ。システムは生き残った

『バイオハザード0』は2002年にニンテンドーゲームキューブで発売された。だが、開発が始まったハードはNINTENDO64だった。しかも、

「少し試してすぐニンテンドー ゲームキューブへ変更した」という程度ではない。ディレクターの小田晃嗣氏は後年、

NINTENDO64版も半分以上完成していた

と明言している。2000年の東京ゲームショウでは実際にプレイ可能な状態で公開されていた。その時点ではまだ開発途中だったが、その後も制作は続いた。

では、なぜ移行したのか。三上真司氏は、NINTENDO64のカートリッジへ必要な内容を収めることが難しくなり、現実的な価格で実現する方法がなくなったことを理由として説明している。そこへニンテンドー ゲームキューブが発表され、開発を移す判断が行われた。

ニンテンドー ゲームキューブ版は単純移植ではない。グラフィックやデータは全面的に作り直された。しかし、企画の大枠まで捨てたわけでもなかった。

その代表が、パートナーザッピング

である。レベッカとビリー、二人の主人公をリアルタイムに切り替えて進むシステム。小田氏によれば、これはNINTENDO64のカートリッジによる短いロード時間を生かすところから生まれたアイデアだった。

ニンテンドー ゲームキューブへ移ると光ディスクになり、今度は切り替え時のロードをいかに短くするかが課題になった。それでも、

せっかくN64版で完成させたシステムだから残したかった

と説明している。これは非常に面白い。ハードが変わり、グラフィックを全部作り直しても、

旧ハードの特性から生まれたゲームシステムは製品版へ残った。

そのためN64版『バイオハザード0』は、

機種移行
大規模な再構築
ゲームシステムの継承

の三つを付けた。発売中止版を調べる意味がよく分かる一作だ。現在の完成品だけを見ていたら、「パートナーザッピングがなぜ生まれたのか」という開発史までは見えてこない。

6項目の採点を見る84 / 100
項目点数
惜しまれ度18 / 25
ゲーム史への潜在的影響18 / 20
忘れられにくさ17 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合84 / 100

A Tier 別企画へ変化
84点

『Dinosaur Planet』|Rareのオリジナル作品が『スターフォックスアドベンチャー』になるまで

『スターフォックスアドベンチャー』を遊んだことがあるなら、シリーズの他作品とはかなり違うと感じたかもしれない。理由は明確だ。もともとStar Foxではなかった。

RareがNINTENDO64向けに制作していたオリジナル作品、『Dinosaur Planet』。主人公はSabreとKrystal。

恐竜が暮らす世界を探索するアクションアドベンチャーで、NINTENDO64後期の大型作品として開発されていた。一方、任天堂側でもStar Foxを使った別のアドベンチャー企画が検討されていた。そしてNINTENDO64末期。

両方の計画をそのまま進めるのではなく、大きな決断が行われる。今村孝矢氏は2002年の『Nintendo DREAM』インタビューで、宮本茂氏が両作品をニンテンドー ゲームキューブへ移し、

それぞれの良い部分を一つへまとめる

判断をしたと説明している。結果、『Dinosaur Planet』は『スターフォックスアドベンチャー』へ変化した。ただしタイトルだけ付け替えたわけではない。

主人公SabreはFox McCloudへ。世界観もStar Foxへ統合。武器やゲームシステムも調整された。

その一方で、すべてが消えたわけではない。KrystalはStar Foxのキャラクターとして生き残った。今村氏自身、移行時にKrystalを捨てる案が出たものの、残す方向でデザインを調整したことまで語っている。

だからこの作品を、

「発売中止になったRareの幻のN64作品」

だけで終わらせるのはもったいない。実際には、

『Dinosaur Planet』
↓
ニンテンドー ゲームキューブへ移行
↓
Star Fox企画と統合
↓
『スターフォックスアドベンチャー』

という変化を追える。ゲームが消えたというより、

別シリーズへ吸収されながら形を変えた。

元の企画を別シリーズへ組み替えた代表例といえる。

6項目の採点を見る84 / 100
項目点数
惜しまれ度18 / 25
ゲーム史への潜在的影響18 / 20
忘れられにくさ17 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合84 / 100

A Tier 機種版中止
86点

ドリームキャスト版『Half-Life』|完成していたのに「市場環境」で消え、独自シナリオだけがPCへ残った

これは「特定機種版の中止」をどこまで高く評価するか考えるうえで、非常に分かりやすい例だ。『Half-Life』そのものはもちろん発売されている。1998年のPC版はFPS史を語るうえで外せない作品だ。

それをドリームキャストへ移植しようとしていたのが、このバージョンである。単純移植ではなかった。ドリームキャスト版にはグラフィック面の調整に加え、Gearbox Softwareが制作する独自シナリオ、

『Blue Shift』

が収録される予定だった。主人公はBlack Mesaの警備員Barney。本編とは別視点から事件を見る追加エピソードだ。

開発そのものはかなり進んでいた。2001年、発売リストから消えた際にも、GameSpotは開発は完成していると報じている。ところがドリームキャスト市場を取り巻く状況が急速に変わった。

セガはハード事業から撤退。そして2001年7月、Sierraはドリームキャスト版『Half-Life』の正式中止を発表する。理由として公式に示された言葉は、

“changing market conditions”――市場環境の変化

だった。この作品が興味深いのは、その後だ。ドリームキャスト版のために作られた『Blue Shift』は消えなかった。

追加作業を施したうえでPC向けの独立商品として発売された。GearboxのRandy Pitchford氏も、『Blue Shift』がもともとドリームキャスト版向けに制作されていたことを説明している。つまり、

ドリームキャスト版『Half-Life』は発売中止
だが、
そこで作られた新規コンテンツの一部は生存

した。ゲーム本体が完全消滅したケースとは違う。それでも、完成していた大作移植がハード市場の急変によって発売されないまま終わったことは、ドリームキャスト末期を象徴する出来事の一つだ。

特定機種版の中止でも、歴史的な背景が大きければA Tierになり得る。その代表として86点を付けた。

6項目の採点を見る86 / 100
項目点数
惜しまれ度19 / 25
ゲーム史への潜在的影響16 / 20
忘れられにくさ18 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性10 / 10
総合86 / 100

A Tier 発売中止
89点

『Propeller Arena』|9.11直後に「発売中止」ではなく、まず無期限延期になった

『Propeller Arena: Aviation Battle Championship』は、セガAM2がドリームキャスト向けに制作していた空中対戦ゲームだ。個性的なパイロットたちがプロペラ機を操り、市街地や峡谷などを舞台に高速ドッグファイトを繰り広げる。発売時期は2001年秋。

完成もかなり近い段階だった。そして2001年9月11日、アメリカ同時多発テロ事件が発生する。この作品については、

「9.11のため発売中止になったゲーム」

として紹介されることが多い。大筋では間違っていない。しかし実際の経緯は少し違う。

事件直後、Sega of Americaが発表したのは、

発売中止ではなく無期限延期

だった。ゲーム自体がテロを題材にしていたわけではない。セガもそこは明確にしている。

問題になったのは、プレイヤーが意図的に遊べば、航空機が高層建築物の近くを飛ぶなど、事件直後のニュース映像を思い起こさせる場面を作れてしまうことだった。パッケージにも高層ビル付近を飛ぶ航空機が描かれていた。セガは被害者や関係者にさらなる苦痛を与える可能性を避けるとして、出荷を延期した。

この時点では、「発売しません」ではなかった。

しかしドリームキャスト市場には、もう時間が残されていなかった。セガはすでにハード事業撤退へ向かっており、『Propeller Arena』には新たな発売日が設定されないまま、最終的に市販されることなく終わった。したがって本文では、

9.11発生
↓
無期限延期
↓
ドリームキャスト市場終息
↓
未発売のまま終了

と書く。「事件翌日に即キャンセルされた」とはしない。この微妙な違いが、発売中止ゲームを調べるうえでは大切だ。

ゲームそのものの影響力を過大評価するつもりはない。だが、

現実世界の巨大事件と発売判断が直接結び付いた

ケースとして、中止そのものの歴史的重要性は10/10とした。

6項目の採点を見る89 / 100
項目点数
惜しまれ度21 / 25
ゲーム史への潜在的影響15 / 20
忘れられにくさ19 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性10 / 10
総合89 / 100

A Tier 発売中止
89点

『StarCraft: Ghost』|2006年に「中止」ではなかった。長い保留の末、正式に消えた

PC向けリアルタイムストラテジーとして巨大な成功を収めた『StarCraft』を、

家庭用ゲーム機向けの三人称アクションへ変える。

それが『StarCraft: Ghost』だった。2002年に発表。主人公はゴースト部隊のNova。

PlayStation 2、Xbox、ニンテンドーゲームキューブ向けに制作され、ステルス、銃撃、特殊能力を使うアクションゲームとして公開された。『StarCraft』を俯瞰視点ではなく、一兵士の視点から体験する。シリーズとしてかなり大きな方向転換だった。

開発会社の変更などを挟みながら、長期にわたって制作が続く。しかし発売には至らない。ここで日付を整理しておきたい。

『StarCraft: Ghost』は、

2006年に正式発売中止になった

と書かれることが多い。だがBlizzard社長Mike Morhaime氏が2007年に説明した状態は、

indefinite hold――無期限保留

だった。Morhaime氏によると、旧世代機向けとして発売するタイミングを逃しつつあり、競合する上位タイトルへ対抗するには大量の追加作業が必要だった。次世代機へ移して最初から作り直す選択肢もあった。

しかし同時期、Blizzardには『World of Warcraft』をはじめPC側で大きな開発需要があり、そちらへ人員を使うことを選んだ。その結果、『Ghost』は無期限保留になった。そして2014年。

Morhaime氏が改めて『Ghost』をcancelledと表現し、正式に中止された作品であることが確認された。したがって本記事では、

2006年前後:無期限保留
↓
2014年:正式に中止済みと確認

と分ける。この作品が89点まで上がった理由の一つが、

忘れられにくさ20/20

だ。20年以上たった今でも「StarCraftのアクションゲーム」という話題が出るたび、『Ghost』の名前が戻ってくる。家庭用機向けの一作品として終わらず、

Blizzardが何度も挑戦しながら実現できていない“StarCraftを別ジャンルへ広げる試み”の象徴

になっている。それでもSにはしなかった。長期的な記憶は極めて強いが、『Sonic X-treme』や『スターフォックス2』ほど、ハードやシリーズ全体の歴史を象徴する一作とは一段差があると判断した。

6項目の採点を見る89 / 100
項目点数
惜しまれ度21 / 25
ゲーム史への潜在的影響17 / 20
忘れられにくさ20 / 20
期待の具体性14 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合89 / 100

A Tier 発売中止
86点

『True Fantasy Live Online』|2004年の初代Xboxで、日本発の本格MMORPGを目指していた

今なら家庭用ゲーム機でMMORPGを遊ぶこと自体は珍しくない。しかし2002~2004年という時代に、

Xbox Liveを使った大規模オンラインRPGを、日本のレベルファイブが作る

という計画はかなり大きかった。それが『True Fantasy Live Online』だ。開発は『ダーククロニクル』などを手掛けたレベルファイブ。

発売元はMicrosoft。アニメ調の世界で自分のキャラクターを作り、多数のプレイヤーと生活・冒険するXbox専用MMORPGとして発表された。戦闘だけではない。

職業、生産、コミュニケーションなどを含め、

仮想世界で生活する

ことを強く意識したゲームだった。しかもかなり具体的に公開されている。東京ゲームショウにも出展され、発売予定も存在した。

2004年3月にはMicrosoftが、春予定だった日本発売を冬へ延期すると発表。その時点では夏にβテストを行う計画まであり、テスター募集も進められていた。ところが3か月後。

2004年6月、Microsoft Japanは開発中止を発表した。説明された理由は、

開発の進行状況と、ユーザーへ満足できる品質を届ける見通しの問題

だった。つまり、「Xboxが日本で売れなかったから一方的に切られた」

とだけ説明するのは正確ではない。市場環境は無関係ではないだろうが、公式説明では開発進捗と品質も明確に問題として挙げられている。この作品について、

「発売されていたら日本でXboxが成功していた」とまでは言わない。それはさすがに大きすぎる仮定だ。

ただし、2004年の初代Xboxで、日本のレベルファイブが家庭用本格MMORPGを作っていた

という事実だけでも十分に大きい。期待の具体性は15/15。潜在的影響も18/20まで評価した。

この100作品でも、日本のXbox史を考えるうえで特に惜しい一本である。

6項目の採点を見る86 / 100
項目点数
惜しまれ度20 / 25
ゲーム史への潜在的影響18 / 20
忘れられにくさ16 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合86 / 100

A Tier 発売中止
85点

『Star Wars Battlefront III』|「99%完成」と「75%程度」が真っ向から食い違う幻の続編

初代『Star Wars: Battlefront』と『Battlefront II』の後を受け、Free Radical Designが制作していた三作目。現在では大量の映像や資料、元スタッフ証言が残っているため、開発されていたこと自体に疑いはない。

だが、最初に大事な点を一つ。

LucasArtsは当時、『Star Wars Battlefront III』を正式発表していない。

後年、関係者証言や開発素材によって実像が見えるようになった作品だ。そのため、中止当時に公然と発売を待たれていた作品と同じ「惜しまれ方」はしていない。今回、惜しまれ度を20/25へ抑えた理由でもある。

一方、開発内容はかなり大規模だった。地上戦から宇宙戦へシームレスに移動する構想など、後の『Battlefront』シリーズを考えても野心的な要素が作られていた。そして、この作品を有名にしたのが、

完成度をめぐる証言の食い違い

だ。Free Radical共同創業者Steve Ellis氏は2012年、

99%完成しており、残っていたのはバグ修正程度だった

と主張した。しかし元LucasArts関係者はこれを強く否定。「99%はあり得ない」とし、寛大に見ても75%程度だったという、まったく異なる見方を示している。

さらに双方で、開発遅延
マイルストーン
Free RadicalとLucasArtsの関係
キャンセルに至った責任

についても認識が食い違っている。だから本記事では、

「99%完成していたのに理不尽に中止されたゲーム」

とは書かない。それはFree Radical側から見た一つの証言だからだ。正しくは、

Free Radical側はほぼ完成していたと主張する一方、LucasArts側の元関係者はそれを否定しており、開発終了時点の完成度には大きな証言差が残っている。

となる。むしろ、この食い違いまで残っていること自体が面白い。発売中止ゲームの「完成率○%」という数字を、そのまま信じてはいけない理由を示す代表例でもある。

以前の87点から少し下げたのは、当時正式発表されていなかったことを惜しまれ度へ反映したためだ。

6項目の採点を見る85 / 100
項目点数
惜しまれ度20 / 25
ゲーム史への潜在的影響17 / 20
忘れられにくさ18 / 20
期待の具体性13 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合85 / 100

A Tier 再構築
89点

PS3版『絶体絶命都市4 -Summer Memories-』|一度発売中止になった「4」を、別会社が引き継いで作り直した

『絶体絶命都市4』は少し扱いが難しい。なぜなら、

現在『絶体絶命都市4Plus -Summer Memories-』というゲームが実際に発売されている

からだ。しかし、それを理由に2011年のPS3版を「結局発売された作品」とするのも正確ではない。当初の『絶体絶命都市4 -Summer Memories-』は、アイレムがPlayStation 3向けに制作していた。

災害都市からの脱出を描くシリーズ4作目。発売直前期までプロモーションが進んでいたが、2011年3月に発売中止となる。ここで注意したいのが、中止理由だ。

時期だけを見ると、東日本大震災と直接結び付けたくなる。実際、多くの記事ではそう説明されてきた。しかし、

当時の公式中止告知は、具体的な理由を明記していない。

そのため本記事では、「東日本大震災のため発売中止になった」と確定事項のようには書かない。

中止された時期が震災直後だった、という事実と、中止理由の公式説明がないことは分ける。そして数年後、この作品の歴史が再び動く。2014年、グランゼーラがアイレムから『絶体絶命都市』シリーズの権利を取得。

2015年には、2011年に発売中止となった『絶体絶命都市4』を引き継ぎ、PS4タイトルとして再構築している

と正式に発表した。「続編を新しく作った」ではない。旧作の企画を引き継ぎながら、

機種をPlayStation 3からPlayStation 4へ変更し、ゲーム内容も見直し、表現を大幅強化する再構築だった。そして2018年11月22日。『絶体絶命都市4Plus -Summer Memories-』として実際に発売された。グランゼーラ自身も、販売会社とプラットフォームの変更を経て、2010年の発表から8年かかった作品だと振り返っている。

つまり、PS3版発売中止
↓
シリーズ権利移動
↓
別会社が引き継ぐ
↓
PS4向けに再構築
↓
7年以上後に発売

という極めて珍しい道をたどった。スターフォックス2のような「当時の完成品を後年正式発売」とも違う。一度止まったゲームを、権利ごと別会社へ移して作り直した。

その中止後の歴史まで含めてA Tierに置いた。

6項目の採点を見る89 / 100
項目点数
惜しまれ度22 / 25
ゲーム史への潜在的影響17 / 20
忘れられにくさ18 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合89 / 100

A Tier 発売中止
86点

『Star Wars 1313』|地下1313階層を舞台にした大型企画は、LucasArtsの開発体制とともに止まった

2012年に発表された『Star Wars 1313』。タイトルの「1313」は、惑星コルサント地下の巨大都市、

Level 1313

を指していた。ジェダイのフォースやライトセーバーを前面に出すのではなく、犯罪者や賞金稼ぎが生きる地下社会を描く。ゲーム内容も、カバーアクション、銃撃、登攀などを組み合わせた、より地に足のついた三人称アクションとして紹介されていた。

E3で公開された映像はかなり強烈だった。当時として非常に高品質なリアルタイム映像で、「次世代のStar Warsゲーム」

として大きな期待を集めた。ただし、ここでも一つ整理が必要だ。

市販版の対応機種は正式発表されていない。

デモは高性能PC上で動いていたが、それを理由に「PC版が発売予定だった」とはしない。Lucasfilm側の公式サイトにも、2012年時点で『Star Wars 1313』が開発中タイトルとして記録されている。ところが同年、LucasfilmがDisney傘下へ入る。

翌2013年、LucasArtsの内製開発体制は大きく縮小され、スタッフ削減とともに進行中タイトルの開発も停止した。『1313』については、別会社へライセンスして継続する可能性が一時残っていた。つまり、

LucasArts閉鎖と同時に、法的にも完全消滅したとその場で確定した

わけではない。しかし引き受ける開発会社は現れず、作品は製品化されなかった。報道では『1313』と『First Assault』が事実上キャンセルされたことも伝えられている。その後、Star Warsゲームの中心はEAとのライセンス契約へ移っていく。2013年5月にはLucasfilmとEAの新たな複数年契約が正式発表された。

『Star Wars 1313』が出ていれば、現在のStar Warsゲーム史が必ず変わった――とまでは言えない。しかし、

Disney買収前後のLucasArtsが大型内製ゲームを作っていた最後期を象徴するタイトル

であることは間違いない。そして公開から10年以上たっても、未発売Star Warsゲームの代表格として名前が残っている。

6項目の採点を見る86 / 100
項目点数
惜しまれ度21 / 25
ゲーム史への潜在的影響17 / 20
忘れられにくさ18 / 20
期待の具体性13 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合86 / 100

A Tier 発売中止
82点

『Prey 2』|「ほぼ形になっていた」と「品質基準に届かなかった」が同時に残る

2011年に公開された『Prey 2』は、2006年の『Prey』とはかなり違うゲームになろうとしていた。主人公は前作のTommyではなく、米連邦保安官Kilian Samuels。異星の都市を舞台に、賞金稼ぎとしてターゲットを追う。

一人称視点ながら、パルクール的な移動、追跡、ガジェットを使った捕獲などを組み合わせたSFアクションとして披露されていた。E3やGamescom、PAXではデモも公開された。それだけに、その後の長い沈黙は目立った。

そして2014年10月。Bethesdaは『Prey 2』がもう開発されていないことを正式に認めた。理由として示したのは、

求める品質基準へ達していなかったこと。

一方、開発元Human Head側の認識は少し違う。プロジェクトディレクターChris Rhinehart氏は、2011年末に作業を止めた時点で主要コンテンツがそろい、alphaに非常に近い状態だったと後年説明している。この二つは完全には一致しない。

しかし、「Human Headが完成間近だと言っているから、Bethesdaの説明は嘘だった」とも言えない。

ゲームの内容が一通り存在することと、発売可能な品質になっていることは別だからだ。ここを混同しない。『Prey 2』は、

相当量のゲームが作られていた
一方で、
パブリッシャーは製品として必要な品質へ届かなかったと判断した

作品として扱う。そして2017年にはArkane Studiosによる新しい『Prey』が発売されたが、Human Head版『Prey 2』の続きを完成させた作品ではない。同じシリーズ名の下で、企画は途切れた。

具体的なゲーム像がかなり見えていたこと。それが製品にならなかったこと。開発側と発売側で、終了時点の見え方に差が残ったこと。

そのすべてを含め82点Aとした。

6項目の採点を見る82 / 100
項目点数
惜しまれ度20 / 25
ゲーム史への潜在的影響15 / 20
忘れられにくさ17 / 20
期待の具体性14 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性7 / 10
総合82 / 100

A Tier 発売中止
85点

『Fable Legends』|ゲームだけでなく、Lionhead Studiosの歴史まで終わった

2016年3月7日。Microsoftは『Fable Legends』の開発終了を発表した。同じ発表には、シリーズを生み出したLionhead Studiosの閉鎖協議も含まれていた。

一作品の中止だけでは終わらなかった。それが『Fable Legends』をA Tierへ押し上げた最大の理由だ。従来の『Fable』は、一人でAlbionを冒険し、プレイヤーの選択によって人物や世界との関係が変わっていくRPGだった。

『Legends』はかなり違う。4人の英雄役と、それを迎え撃つ1人のヴィラン役。英雄側は協力型アクションRPGのように戦い、ヴィラン側は敵や罠を配置して攻略を妨害する。

さらに基本プレイ無料、Xbox OneとWindows 10のクロスプラットフォーム展開を掲げていた。Microsoftも2015年時点で、同作をXbox One/Windows 10戦略の具体例として紹介している。企画だけで終わったわけでもない。クローズドβまで実施されていた。

リードデザイナーDavid Eckelberry氏は後年、ソフトウェア開発の意味ではほぼcontent completeの段階だったと振り返っている。ただし15部構成のストーリーにはまだ完成していない部分もあった。そのため本記事では、「完全完成していた」

とはしない。しかし、

何年も開発され、一般ユーザーが参加するβまで進み、主要コンテンツがそろった段階で終了した

ことは重い。しかも同時にLionheadそのものが姿を消した。2026年現在、『Fable』はPlayground Gamesによる新しい作品として再出発しているが、開発側自身が「我々はLionheadではない」と語るほど、2016年の断絶は明確だ。

『Fable Legends』の85点は、ゲーム単体の魅力だけではない。

一つのスタジオ時代の終点になった発売中止

としての評価である。

6項目の採点を見る85 / 100
項目点数
惜しまれ度20 / 25
ゲーム史への潜在的影響15 / 20
忘れられにくさ17 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性10 / 10
総合85 / 100

A Tier 発売中止
84点

『Scalebound』|ドラゴンと戦うのではなく、ドラゴンと一緒に成長するPlatinumGamesの大型企画

巨大なドラゴンを倒すゲームは珍しくない。『Scalebound』が目指していたのは、

ドラゴンを相棒にして一緒に成長するアクションRPG

だった。開発はPlatinumGames。ディレクターは神谷英樹氏。

主人公Drewは異世界Draconisへ飛ばされ、ドラゴンThubanと結び付く。Drewを直接操作しながら、AIで動くThubanへ指示を出し、二人の能力を組み合わせて巨大な敵と戦う。しかもドラゴンは単なる召喚獣ではない。

タイプを変化させ、属性を成長させ、装甲を装備させる。Xbox公式ではRex、Tank、Wyvernを基礎にしたDragon Evolutionや、主人公と意識をつないでドラゴンを直接操作するDragon Linkまで詳しく紹介されていた。さらに最大4人協力プレイ。

2016年のXbox E3では、Xbox OneとWindows 10向けのXbox Play Anywhereタイトルとして2017年発売予定と案内されていた。つまり、

タイトルだけ発表されて消えたゲームではない。

どんなゲームを目指していたのかはかなり具体的に見えていた。しかし2017年1月9日、Microsoft Studiosが開発中止を発表。2日後にはPlatinumGamesも正式声明を出し、プロジェクト終了を認めた。

ここでネット上では、

「ほぼ完成していた」
「Microsoft側だけの問題だった」
「PlatinumGames側だけが悪かった」

などさまざまな説明が流れた。本記事ではどれも断定しない。一般公開された映像やシステム情報から、かなり開発が進んでいたことは分かる。

しかし、製品版完成寸前だったことを確定できる材料はない。

期待の具体性を15ではなく13にした理由でもある。それでも84点A。PlatinumGamesの大型新規IPとして長期間公開され、Xboxのファーストパーティー戦略上も大きく扱われた作品が、そのまま製品にならなかった。

有名スタッフの名前だけで評価したわけではない。

具体的なゲームが見えていたにもかかわらず、その完成形だけが存在しない。

そこが今も惜しまれる最大の理由だ。

6項目の採点を見る84 / 100
項目点数
惜しまれ度22 / 25
ゲーム史への潜在的影響16 / 20
忘れられにくさ17 / 20
期待の具体性13 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性7 / 10
総合84 / 100

A Tier 再構築
84点

ゲームキューブ版『星のカービィ』(4人同時プレイ版)|3度の作り直しの最初にあった“幻のカービィ”

『星のカービィ64』の次に据置機向けカービィが出るまで、11年も空いた。その間、HAL研究所が何も作っていなかったわけではない。

任天堂の「社長が訊く」で明かされたのは、完成しなかったカービィが3作あったという事実だ。最初の企画はニンテンドー ゲームキューブ向けで、4人同時プレイを大きな柱にしていた。一般向けにも画面が公開されていたが、1人プレイと複数人プレイを同じゲームの中で成立させる難しさにぶつかり、完成まで届かなかった。

その後も、3D空間を自由に動く案、別の表現を試した案と作り直しが続く。最終的に2011年の『星のカービィ Wii』で、4人同時プレイという最初の企画の核がようやく実現した。

つまり、ゲームキューブ版をそのままWiiへ移したわけではない。何度も旧版を捨てた末に、最初の発想の一部だけが生き残った。

6項目の採点を見る84 / 100
項目点数
惜しまれ度19 / 25
ゲーム史への潜在的影響18 / 20
忘れられにくさ17 / 20
期待の具体性13 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性9 / 10
総合84 / 100

A Tier 発売中止
83点

『Titan』|Blizzardが「楽しさを見つけられなかった」と中止した次世代MMO

『World of Warcraft』で巨大MMOを成功させたBlizzardが、その次を狙って長期間開発していたコードネームが『Titan』だった。

ところが2014年、共同創業者Mike Morhaime氏はプロジェクト中止を認める。理由をぼかさず、「まとまらなかった」「楽しさを見つけられなかった」と振り返ったことが、この未発売作の特徴でもある。

『Titan』そのものは世に出なかった。しかし、開発チームの一部や技術、長期的に世界を広げる発想の一部は次の企画へ残り、『Overwatch』を生む土台の一つになった。

ただし、『Titan』がそのまま『Overwatch』に変化したわけではない。失敗したMMOの残骸を完成させたのではなく、チームが一度立て直され、別のゲームとして出発したと考える方が正確だ。

6項目の採点を見る83 / 100
項目点数
惜しまれ度18 / 25
ゲーム史への潜在的影響19 / 20
忘れられにくさ18 / 20
期待の具体性10 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性9 / 10
総合83 / 100

A Tier 発売中止
82点

『Project Copernicus』|38 Studiosの破綻で消えた大型MMO

『Kingdoms of Amalur: Reckoning』を送り出した38 Studiosが、同じ世界を使う大型MMOとして進めていたのがコードネーム『Project Copernicus』だった。

2012年、38 Studiosは深刻な資金難に陥り、全従業員の解雇、事業停止、Chapter 7による破産へ進む。『Copernicus』も開発を続けられなくなった。破綻後には会社資産として売却が試みられたものの、2013年の競売でも買い手は付かなかった。

この作品では「何%完成していたか」を一つの数字に固定しない。資料ごとに進捗の見方が異なり、会社破綻直前にも相当な追加資金が必要だったとする分析が残っているからだ。

重要なのは、一本のゲームだけではなく、大規模MMOを完成させる前に会社そのものが消滅したこと。企業破綻と未発売ゲームが直結した代表例としてAに置いた。

6項目の採点を見る82 / 100
項目点数
惜しまれ度18 / 25
ゲーム史への潜在的影響17 / 20
忘れられにくさ16 / 20
期待の具体性13 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性10 / 10
総合82 / 100

A Tier 発売中止
84点

『Fallout Online/Project V13』|訴訟和解で開発ライセンスそのものが消えた

Interplayが進めていた『Fallout』MMO企画は、一般的な「開発がうまくいかず中止」とは少し違う終わり方をした。

Bethesdaが『Fallout』IPを取得した後も、Interplayには条件付きでMMOを開発する権利が残されていた。しかし両社はその条件を巡って争い、最終的に2012年に和解する。

和解条件では、Interplayへ与えられていた『Fallout』MMO開発ライセンスが無効となり、その権利は即時Bethesdaへ戻された。Interplayには『Fallout』ブランドを使ってゲーム開発を続ける権利がなくなった。

つまり、開発チームの判断だけではなく、法的な権利そのものが消えたことで企画継続が不可能になったケースだ。発売中止の背景としてはかなり特殊で、84点Aとした。

6項目の採点を見る84 / 100
項目点数
惜しまれ度19 / 25
ゲーム史への潜在的影響17 / 20
忘れられにくさ17 / 20
期待の具体性13 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性10 / 10
総合84 / 100

A Tier 再構築
81点

PlayStation 3版『モンスターハンター3(トライ)』|大型シリーズがWiiへ進路を変えた

『モンスターハンター3(トライ)』そのものは発売中止ゲームではない。2009年にWiiで発売されている。

このTierで評価するのは、その前に発表されていたPlayStation 3向け『モンスターハンター3(仮称)』の開発ルートだ。2006年にはPS3向け作品として名前が出ていたが、2007年10月、カプコンはWii向け『モンスターハンター3(トライ)』を正式発表した。

注意したいのは、「完成間近のPS3版がそのまま捨てられた」と考えないこと。Wii版は新ハードに合わせて作り直されており、失われたのはPS3で完成するはずだった開発ルートそのものだ。

当時のシリーズはすでに大きく成長していた。そんな時期に据置機の主戦場をPS3からWiiへ変えた出来事は、単なる機種変更以上の意味を持つ。一方、開発費が直接の変更理由だったと断定できる一次資料は今回固定できていないため、そこは本文で強く言わない。

6項目の採点を見る81 / 100
項目点数
惜しまれ度19 / 25
ゲーム史への潜在的影響18 / 20
忘れられにくさ16 / 20
期待の具体性10 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性10 / 10
総合81 / 100

A Tier 再構築
87点

初期版『METAL GEAR SOLID: RISING』|一度止まった企画を別会社が作り直した

2009年に発表された『METAL GEAR SOLID: RISING』は、雷電を主人公にしたスピンオフとして進んでいた。2010年のE3では「自由切断」が大きく打ち出され、何でも斬れる技術そのものが作品の顔になっていた。

しかし、小島プロダクション内部では、その技術をゲーム全体の面白さへどう結び付けるかが固まり切らず、旧企画は停止する。

ここからが普通の発売中止作と違う。PlatinumGamesが参加し、作品は『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』として再始動した。物語の時系列は『MGS2』と『MGS4』の間から『MGS4』後へ変わり、ゲームデザインも大きく作り直されている。

「旧版をそのまま外注して完成させた」のではない。名前と切断という核を残しながら、別会社で別のゲームへ組み直したREBUILT型の代表例だ。

6項目の採点を見る87 / 100
項目点数
惜しまれ度21 / 25
ゲーム史への潜在的影響18 / 20
忘れられにくさ18 / 20
期待の具体性14 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性7 / 10
総合87 / 100

A Tier 再構築
81点

PlayStation 3版/初期企画『仁王』|発表から12年、何度も旧版を捨てて完成した

2005年に発表された『仁王』は、当初PlayStation 3向けで、2006年夏発売予定。黒澤明監督の遺稿をもとにした映画『鬼』との連動も想定された企画だった。

しかし予定どおりには出ず、映画企画も消滅。ゲームは長期開発へ入る。その後Team NINJAが担当するようになってからも、一度作れば終わりではなかった。

関係者は、初期版、Team NINJAでの作り直し、それでも満足できず再度仕切り直した経緯を振り返っている。最終的に2017年、PlayStation 4で発売された『仁王』は、2005年版を単純に延期したものではない。

このTierで評価するのは、2005年に発表されたPS3版がそのまま完成する未来が消えたこと。長期延期ではなく、何度も開発ルート自体を捨てて生き残った作品として81点Aに置いた。

6項目の採点を見る81 / 100
項目点数
惜しまれ度15 / 25
ゲーム史への潜在的影響18 / 20
忘れられにくさ17 / 20
期待の具体性13 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性9 / 10
総合81 / 100

A Tier 再構築
80点

初代PlayStation版『鬼武者』|32bit機の企画を捨て、PS2へ全面移行

『鬼武者』はPlayStation 2初期を代表する作品の一つだが、最初からPS2用として始まったわけではない。

初期開発はPlayStation向け。2000年、カプコンは旧PlayStation版を中止し、プロジェクトをPlayStation 2へ移す方針を取った。

この変更は解像度を上げる程度ではなく、PS2の能力を使ってフル3D環境などへ発展させる再構築だった。

その後PS2版は大きな成功を収めシリーズ化する。だからこそ、このTierで見るのは完成版の評価ではなく、「初代PlayStationで完成するはずだった鬼武者」が消えたことだ。

6項目の採点を見る80 / 100
項目点数
惜しまれ度15 / 25
ゲーム史への潜在的影響18 / 20
忘れられにくさ16 / 20
期待の具体性13 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性10 / 10
総合80 / 100

A Tier 発売中止
83点

NINTENDO64期『カービィのエアライド』|企画中断が『スマブラ』の商品化順にも影響

2003年にゲームキューブで発売された『カービィのエアライド』より前に、NINTENDO64期の同名企画が存在した。

桜井政博氏は1999年のインタビューで、当時進めていた『カービィのエアライド』が中断されたこと、その結果として早く商品を出す必要が生まれ、別に試作していた対戦格闘ゲームを先に完成させる判断へつながったと振り返っている。

その対戦格闘の試作が初代『大乱闘スマッシュブラザーズ』になった。

ただし、エアライドがスマブラへ変化したわけではない。ゲーム内容も別企画だ。評価しているのは、中断がHAL研究所の開発優先順位へ影響したという珍しい歴史的分岐である。

6項目の採点を見る83 / 100
項目点数
惜しまれ度18 / 25
ゲーム史への潜在的影響18 / 20
忘れられにくさ17 / 20
期待の具体性13 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合83 / 100

A Tier 後年復活
83点

カプコン期『Red Dead Revolver』|中止された企画をRockstarが権利ごと救った

『Red Dead Revolver』は、最初からRockstar作品として始まったわけではない。初期開発はAngel Studiosが担当し、カプコンが発売元になる予定だった。

2002年のE3ではカプコン作品としてプレイアブル出展され、西部劇を題材にした三人称シューティングとして具体的なゲーム内容まで見えていた。

ところが2003年、Capcom Japanへの確認によってカプコン期の開発中止が判明する。その後Take-Two/Rockstarが権利を取得し、Rockstar San Diegoが開発を進め、2004年に実際に発売した。

中止作の多くは会社内で作り直されるか、そのまま消える。この作品は別会社がタイトルと権利を取得して発売まで持っていった。発売中止後の「救済」としてかなり異例の例だ。

6項目の採点を見る83 / 100
項目点数
惜しまれ度17 / 25
ゲーム史への潜在的影響18 / 20
忘れられにくさ17 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合83 / 100

A Tier 別企画へ変化
84点

初期『バイオハザード4』/『Devil May Cry』前身企画|シリーズから外したことで新しいIPが生まれた

『Devil May Cry』は最初から新規IPとして始まったわけではない。神谷英樹氏が指揮していた初期『バイオハザード4』が出発点だった。

開発を進めるうち、アクション性やゲーム全体の方向性が従来の『バイオハザード』から大きく離れていく。そこで「失敗したから全部捨てる」のではなく、シリーズから切り離し、設定や物語を組み直して別作品にする判断が取られた。

その結果生まれたのが『Devil May Cry』だ。

後に生まれた人気シリーズの大きさだけで点数を上げているわけではない。一般ユーザーへ長期間「未発売のバイオ4」として見えていた作品ではないため惜しまれ度は抑えた。一方、発売中止・企画転換が別IP創出へ直結した歴史的分岐は非常に大きい。

6項目の採点を見る84 / 100
項目点数
惜しまれ度15 / 25
ゲーム史への潜在的影響20 / 20
忘れられにくさ18 / 20
期待の具体性12 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性10 / 10
総合84 / 100
A Tier 発売中止
83点

64DD版『スーパーマリオ64 2』|『マリオ64』に直接続編が存在した未来

『スーパーマリオ64』の成功後、任天堂は64DD向けに直接続編『Mario 64-2』を準備していた。

宮本茂氏は当時のインタビューで64DD向け続編を進めていること、ルイージもすでにゲームへ入っていることを説明している。後年には、マリオとルイージを使ったプロトタイプが長期間動いていたことも語られた。

ただし、完成間近の一本が存在したとまでは言えない。一般へ見えていたゲーム内容は限られ、任天堂がいつ「正式中止」を決めたのかも明確ではない。

それでも、3Dアクションの基準を作った『スーパーマリオ64』に、同世代の直接続編が準備されていた意味は大きい。『Super Mario 128』や『スーパーマリオサンシャイン』と単純に同一視せず、64DD世代で消えた独立した開発ルートとして83点A。

6項目の採点を見る83 / 100
項目点数
惜しまれ度20 / 25
ゲーム史への潜在的影響18 / 20
忘れられにくさ18 / 20
期待の具体性10 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性9 / 10
総合83 / 100

A Tier 再構築
89点

『FINAL FANTASY Versus XIII』|長期開発の外伝企画が『FINAL FANTASY XV』へ

『FINAL FANTASY Versus XIII』は、単に名前を変えて発売されたゲームではない。

PlayStation 3向けとして長期間映像やキャラクターが公開され、『FINAL FANTASY XIII』と世界観を共有する外伝的位置づけで進んでいた。しかし2013年、スクウェア・エニックスはプロジェクト規模がナンバリング相当へ発展したこと、次世代ハード展開を機に『FINAL FANTASY XV』として再編することを正式発表する。

当時は世界観・ストーリー・コンセプトの連続性も説明されたが、2016年の完成版までに開発体制やゲーム内容はさらに変化している。

だから「Versus XIIIは結局そのままXVとして出た」とは言わない。一方で完全消滅でもない。長期間一般へ見えていた大規模企画がナンバリング作品へ変わった異例のTRANSFORMED/REBUILT例として89点A。

6項目の採点を見る89 / 100
項目点数
惜しまれ度21 / 25
ゲーム史への潜在的影響20 / 20
忘れられにくさ19 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力7 / 10
中止そのものの歴史的重要性7 / 10
総合89 / 100

A Tier 再構築
85点

PlayStation 3版『人喰いの大鷲トリコ』|作品の核を守るため、PS3用コードを捨てた

『人喰いの大鷲トリコ』は長期延期作として有名だが、PS3版からPS4版への移行は単純な延期ではない。

吉田修平氏は後年、PS3版が実際に動いていた一方、目標とする性能へ届かなかったと説明している。2012年にPS4移行を決め、PS3のSPU向けに強く最適化した大量のコードを捨て、技術基盤を作り直した。

上田文人氏によれば、物語や基本のゲーム内容は維持された。つまり、作品の核を捨てたのではなく、核を守るためにハードと技術を捨てたケースだ。

一般へ映像が公開され、長期間待たれた具体性も高い。PS3版という開発ルートの消滅を85点Aで評価する。

6項目の採点を見る85 / 100
項目点数
惜しまれ度21 / 25
ゲーム史への潜在的影響17 / 20
忘れられにくさ18 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力7 / 10
中止そのものの歴史的重要性7 / 10
総合85 / 100

A Tier 後年復活
81点

64DD版『裏ゼルダ』|未発売版は消えず、『Master Quest』として後年遊べるようになった

『ゼルダの伝説 時のオカリナ』完成後、任天堂は64DD向けに『裏ゼルダ』を開発していた。

この作品は、未発売のまま完全消滅したわけではない。後年、『時のオカリナGC裏』、海外では『Master Quest』としてゲームキューブ用ディスクに収録され、公式にプレイ可能となった。

さらに開発史では、青沼英二氏が既存ダンジョンを作り替える『裏ゼルダ』ではなく、新しいゼルダを作りたいと提案した流れから『ムジュラの仮面』制作へ向かったことも語られている。

ただし『裏ゼルダ』が『ムジュラの仮面』へ変化したわけではない。旧版自体はMaster Questとして別に残った。この二方向の分岐こそ、この作品の面白さだ。

6項目の採点を見る81 / 100
項目点数
惜しまれ度17 / 25
ゲーム史への潜在的影響18 / 20
忘れられにくさ17 / 20
期待の具体性12 / 15
企画の独自性・魅力7 / 10
中止そのものの歴史的重要性10 / 10
総合81 / 100

A Tier 後年復活
80点

Wii版『天空の機士ロデア』|完成していた旧版が4年後に特典として救済された

『天空の機士ロデア』は、完成したのに単独商品として出なかった珍しいケースだ。

中裕司氏は2011年、Wii版について「完成している」「プロペ側の仕事は終わっている」という趣旨で説明していた。しかしWii版はそのまま発売されず、数年間眠る。

その後プロジェクトはWii U/ニンテンドー3DS向けに再始動するが、新版は旧Wii版の単純移植ではない。操作やゲーム構造にも違いがある。

2015年、Wii U版初回分に完成済みだったWii版そのものが同梱され、旧版もようやく遊べるようになった。完成済み旧版と作り直した新版を実際に比較できるREVIVED例として80点A。

6項目の採点を見る80 / 100
項目点数
惜しまれ度17 / 25
ゲーム史への潜在的影響14 / 20
忘れられにくさ16 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性9 / 10
総合80 / 100

A Tier 発売中止
84点

1990年代版『天外魔境III NAMIDA』|約7割完成で消え、同名PS2版は別作品だった

2005年にPlayStation 2で『天外魔境III NAMIDA』は発売されている。しかし、1990年代に開発されていた旧『III』はそれとは別のゲームだ。

ハドソン時代に開発へ参加していた吉田直樹氏は後年、旧『天外魔境III』について「発売中止になった」「実は7割ぐらい完成していた」と明言している。

旧版はPCエンジン系からPC-FXへ移る時期に進められ、最終的に商品化されなかった。その後2000年代に同じ『NAMIDA』の名を持つPS2版が作られたが、旧版の完成版ではない。

さらに桝田省治氏が考えていた旧版の構想の一部は、後に小説『ハルカ 天空の邪馬台国』へ形を変えて残った。ゲームとしては消え、同名ゲームは別内容で復活し、元シナリオの一部は別媒体へ。未発売作の「その後」を追う意味がよく出る一本だ。

6項目の採点を見る84 / 100
項目点数
惜しまれ度20 / 25
ゲーム史への潜在的影響16 / 20
忘れられにくさ18 / 20
期待の具体性12 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性10 / 10
総合84 / 100

A Tier 開発版破棄
83点

初期開発版『メトロイドプライム4』|任天堂が「最初からやり直す」と公表した大型作

2017年のE3で、任天堂はNintendo Switch向け『Metroid Prime 4』を正式発表した。

しかし約1年半後の2019年1月、高橋伸也氏が動画メッセージで異例の説明を行う。現在の開発状況が『メトロイドプライム』続編として求める品質水準へ達していないため、開発体制を変更し、Retro Studiosと協力して「最初からやり直す」という判断だった。

このTierで評価するのは、後に発売された『Metroid Prime 4: Beyond』そのものではない。2017~2019年に進んでいた旧開発ルートが破棄された出来事だ。

旧版のゲーム画面や試遊版は一般公開されていないため、期待の具体性は高くしない。一方、任天堂が看板タイトルで開発成果の破棄と全面再スタートを公表した歴史的重要性は大きい。83点A。

6項目の採点を見る83 / 100
項目点数
惜しまれ度19 / 25
ゲーム史への潜在的影響18 / 20
忘れられにくさ18 / 20
期待の具体性9 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性10 / 10
総合83 / 100

B Tier|知名度より「調べると面白い」が強い53作品

Bは53本で、100作品の中では最も多い。Aへ届かなかったから価値が低いわけではない。むしろ、一般的な知名度は高くなくても、試作ROMの発掘、数十年後の復活、企業再編、異色の企画など、調べて初めて面白さが見える作品が集中している。

B Tier 発売中止
77点

NES版『SimCity』|26年間消えていた「宮本茂×ウィル・ライト」のラフドラフト

スーパーファミコン版『SimCity』は有名だ。しかしその前に、

ファミコン/NES版が存在した。

しかも単なる後付け移植企画ではない。NintendoとMaxisは1990年、NES版とスーパーファミコン版を同時に発表している。ゲームデザイナーのウィル・ライトが京都を訪れ、宮本茂氏と一緒に家庭用版『SimCity』を再設計。

その共同作業から、Nintendo版『SimCity』が作られていった。1991年1月のWinter CESでは、NES版が実際に展示されている。しかしその後、ひっそりと開発中止。

市販されなかった。そして長い間、数枚の画面写真と短い映像以外、実物を確認できない状態が続く。それが2017年。

2本のプロトタイプカートリッジが突然現れた。

Video Game History Foundationがデータを保存・解析し、翌2018年に詳細を公開している。 (Video Game History Foundation)解析して分かったのは、「ほとんど何もできない試作版」

ではなかったことだ。未完成ではある。バグもある。

しかしゲームのかなりの部分を実際に遊べる。さらに面白いのは、後のスーパーファミコン版へ引き継がれたUIやシステムの“前段階”を確認できることだ。 (Video Game History Foundation)つまりこれは、

Nintendo版『SimCity』のラフドラフト

に近い。完成版がスーパーファミコンで発売されている以上、NES版が消えたことで『SimCity』自体を失ったわけではない。だからAにはしない。

それでも、宮本茂氏とウィル・ライトというゲーム史級の二人が共同で作ったアイデアを、未発売のプロトタイプから追える。しかも26年間行方不明だった。

発売中止ゲームを「遊びたかったゲーム」だけでなく、

開発史を残す資料

として見る意味がよく分かる一本だ。

6項目の採点を見る77 / 100
項目点数
惜しまれ度17 / 25
ゲーム史への潜在的影響14 / 20
忘れられにくさ17 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性6 / 10
総合77 / 100

B Tier 発売中止
74点

『Bio Force Ape』|「そんなゲーム本当にあったのか?」から、本物の試作ROM発見へ

発売中止ゲームを調べていると、

「昔の雑誌に載っていたらしい」
「ROMを持っている人がいるらしい」

という伝説めいた話にぶつかる。『Bio Force Ape』は、それが一度偽物まで登場した作品だ。SETAがNES向けに開発していたアクションゲーム。

薬品を飲んで超人的な力を得たサルが主人公で、高速スクロールとプロレス技を使って敵を倒していく。1991年Summer CESで展示され、『Nintendo Power』などでも紹介された。つまり、当時の市販予定作品だったこと自体は確認できる。

しかし1992年に開発中止。理由は現在もはっきりしない。そして長い間、実物のROMは確認されなかった。

2005年には、「プロトタイプを持っている」

と名乗る人物まで現れた。ところが、その話は偽物だった。ますます「本物は存在するのか」という空気になる。

そして2010年。Yahoo!オークションの日本市場に、

実際の試作ROMが出品された。

保存活動家らが資金を集めて購入し、その後データが保存・公開された。実際に動かしてみると、「タイトル画面だけのデモ」

でもなかった。複数ステージが遊べ、高速移動や格闘アクションなど、雑誌で紹介されていた特徴も確認できる。ゲーム史を変えた大作ではない。

だから潜在的影響は11/20。それでも忘れられにくさ17/20。理由は、

雑誌に載る
↓
発売されない
↓
試作ROMが見つからない
↓
偽物が出る
↓
本物が発見される

という、発売中止後の歴史があまりにも面白いからだ。作品そのものを知らなくても、ここまでの経緯だけで読める。今回の記事で狙っていた「発見枠」の代表である。

6項目の採点を見る74 / 100
項目点数
惜しまれ度16 / 25
ゲーム史への潜在的影響11 / 20
忘れられにくさ17 / 20
期待の具体性14 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性7 / 10
総合74 / 100

B Tier 未発売・資料限定
82点

『スペースファンタジーゾーン』|オパオパで『スペースハリアー』をやる。PCエンジンに本当に存在した異色作

この100作品で、

「そんなゲームが本当に作られていたのか」

という驚きが最も強い一本かもしれない。『スペースファンタジーゾーン』。名前の通り、

『ファンタジーゾーン』
と
『スペースハリアー』

を混ぜたようなゲームだ。自機はオパオパ。しかし横スクロールではない。

画面奥へ向かって飛び続け、敵や障害物をかわしながら進む。ほぼ、

「オパオパで遊ぶ『スペースハリアー』」

と言ってよい。開発していたのはNECアベニュー。PCエンジン CD-ROM系向けタイトルとして、1990年代前半から長期間発売予定表へ残っていた。

発売されないまま年月が過ぎても、予定表からすぐ消えたわけではない。1996年2月号『電撃PCエンジン』の発売予定表にも、

NECアベニュー/STG/発売日不明

としてまだ名前が残っている。それだけ長期間、「いつか出るかもしれないソフト」

として存在していた。ゲームそのものも、画面だけの企画ではない。後年、実際に動く開発版が知られるようになり、複数ステージやショップシステムなど、かなり具体的な内容を確認できる。

では、なぜ発売されなかったのか。ここは慎重にする。後年資料では品質面などを理由として挙げる話もある。

しかし、当時のNECアベニューによる正式な中止声明を現在確認できていない。したがって本文では、

中止理由は確認できない

とする。それでも82点。B Tier最高点だ。

惜しまれ度19。忘れられにくさ18。期待の具体性15。

企画魅力10。かなり高い。それでもAへ上げなかった。

理由は、発売されなかったことがゲーム史全体を大きく分岐させた作品とまでは言えない

からだ。『Bound High!』と同じ82点でも、こちらはB。この違いこそ今回のTier基準をよく表している。

歴史的重要性より、

「こんなものが本当に作られていた」という魅力が極端に強い作品。

100作品の中でも、ぜひ読んでほしい一本である。

6項目の採点を見る82 / 100
項目点数
惜しまれ度19 / 25
ゲーム史への潜在的影響13 / 20
忘れられにくさ18 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力10 / 10
中止そのものの歴史的重要性7 / 10
総合82 / 100

B Tier 後年復活
75点

メガドライブ版『マッドストーカー FULLMETALFORTH』|ROM価格で消えたゲームが26年後に完成した

「なぜ発売中止になったのか」。それを調べると、開発失敗や企業事情など大きな理由を想像しがちだ。メガドライブ版『マッドストーカー FULLMETALFORTH』は、

もっと現実的な理由だった。

ROMが高かった。

オリジナル『マッドストーカー』は1994年にX68000向けとして発売された横スクロールアクション。巨大ロボットを操作し、ベルトスクロール型アクションと格闘ゲーム的な1対1バトルを組み合わせた作品だ。

FM TOWNSやPCエンジンにも移植された。そしてメガドライブ版も作られていた。しかし最終的なデータ量が8Mbit ROMへ収まらない。

16Mbit ROMを使えばよい。ところが当時は供給不足によってROM価格が高騰しており、

16Mbitでは採算が取れない。

結果、完成目前で発売中止になったと後年の関係者資料で説明されている。ここまでなら、「1990年代のハード事情で消えたゲーム」

で終わる。だが2020年。話が動く。

当時の試作ROMが残っていたことから、版権を管理するオペラハウスが開発再開を決定。当時の開発担当・今泉正稔氏監修のもと、

未完成部分を新たに補完し、26年越しで完成させた。

そして2020年9月17日に、メガドライブ/MD互換機向けカートリッジとして発売された。ただし、ここで『スターフォックス2』と同じ「公式復活」とはしない。

商品自体に、オペラハウスのライセンス商品
であり、
セガのライセンス製品ではない

ことが明記されている。したがって今回の分類は、権利者の許諾を得た後年の商品化である。

権利者公認で完成したが、当時のハードメーカーによる公式ソフトではない。数億円の開発失敗でも、スタジオ閉鎖でもない。

カートリッジ容量とROM価格という極めて1990年代らしい事情で消えたゲームが、26年後にはその制約を越えて商品になった。

こういう例まで拾えると、発売中止ゲーム史がかなり立体的になる。

6項目の採点を見る75 / 100
項目点数
惜しまれ度16 / 25
ゲーム史への潜在的影響11 / 20
忘れられにくさ17 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合75 / 100

B Tier 後年復活
78点

『ドラゴンホッパー』|30年前の未発売バーチャルボーイ作品が、2026年に任天堂から正式発売

2026年8月4日。発売中止ゲームの歴史に、とんでもない事例が一つ増えた。バーチャルボーイ向けに開発されながら発売されなかった、

『ドラゴンホッパー』

が任天堂から正式に遊べるようになった。任天堂自身が、

「当時未発売の2タイトル」

として『ZERO RACERS』とともに「バーチャルボーイ Nintendo Classics」へ追加している。 (任天堂公式)約30年越しだ。『ドラゴンホッパー』はIntelligent Systemsが開発していたアクションゲーム。

主人公Dorinnを操作し、上層と下層を行き来しながら立体的なフィールドを探索する。バーチャルボーイの奥行き表現をゲームシステムへ組み込んだ作品だった。1990年代には発売予定として雑誌等で紹介されたものの、市販されずに終わる。

その後長期間、バーチャルボーイの代表的未発売作として名前だけが残った。そして2026年、ハード発売から約31年を経て任天堂自身が正式配信した。

ここで注意したいのが、

2026年版が完成しているからといって、1990年代の開発時点でも100%完成していたとは断定できない

ことだ。現在の正式版と、当時の開発進捗は分ける。だから、1990年代当時の完成度は「不明」のまま扱う。

一方、現在の状態には迷いがない。任天堂自身による、約30年越しの正式な復活である。

ゲーム史全体を左右する作品ではない。しかし、

「発売中止ゲームは30年たっても本当に発売される可能性がある」

ことを現実に証明した一本として、この記事には欠かせなくなった。

6項目の採点を見る78 / 100
項目点数
惜しまれ度16 / 25
ゲーム史への潜在的影響11 / 20
忘れられにくさ17 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性10 / 10
総合78 / 100

B Tier 後年復活
79点

『ZERO RACERS』|バーチャルボーイ版『F-ZERO』系作品も、2026年に約30年越しで復活した

『ドラゴンホッパー』と同じ2026年8月4日。もう一本、任天堂から正式復活したバーチャルボーイ作品がある。

『ZERO RACERS』。

当時は未発売だったレースゲームで、バーチャルボーイの立体視を利用して、奥行きを含むコースを走る。機体デザインや高速レースという方向性から、『F-ZERO』との関係が強く感じられる作品でもある。任天堂の2026年公式紹介では、

「バーチャルボーイ Nintendo Classics」へ追加される当時未発売タイトルとして明確に扱われている。 (任天堂公式)『ドラゴンホッパー』同様、2026年版が存在するからといって、1990年代当時の完成度を100%と推定しない。

ここも分ける。では、なぜこちらは79点と1点だけ上なのか。忘れられにくさを18/20としたためだ。

バーチャルボーイで『F-ZERO』系の高速レースを作ろうとしていたという分かりやすさもあり、未発売バーチャルボーイ作品の中でも以前から比較的名前が残っていた。そして正式復活によって、

「幻のゲーム」から「現在遊べるゲーム」へ本当に移動した。

長い間発売されなかった作品を、当時のハードメーカー自身が後世に救い上げる。『スターフォックス2』だけの特例ではなくなった。2026年の二作品は、この記事を今作る大きな意味の一つでもある。

6項目の採点を見る79 / 100
項目点数
惜しまれ度15 / 25
ゲーム史への潜在的影響12 / 20
忘れられにくさ18 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性10 / 10
総合79 / 100

B Tier 後年復活
78点

スーパーファミコン版『クーリースカンク』|発売中止→PlayStation化→サテラビュー版発掘→29年後に復活

一度発売中止になったゲームが別機種へ移る。ここまでは珍しくない。『クーリースカンク』の歴史は、そこからさらに続く。

開発したのは浮世亭。当初はスーパーファミコン向け2Dアクションとして制作されていた。ディレクター成瀬憲史氏の証言によれば、SFC版はほぼ完成へ近づいていた。

しかしその頃、北米でPlayStation市場が急速に拡大。一方、16bit市場は急速に縮小していた。北米バイヤーからもSFC版中止の要請があり、開発は止まったという。

では全部捨てたのか。そうではない。その後PlayStationで2Dゲームを作る研究過程の中で、

SFC版『クーリースカンク』のキャラクターやアニメーション、背景処理などが使われた。最終的に多くの素材を引き継ぎながら、マップなどを作り直し、

PlayStation版『クーリースカンク』として1996年に発売。

北米では『Punky Skunk』となった。これだけでも、

スーパーファミコン版は中止され、PlayStation版として大きく作り直された。

の良い例だ。しかしさらに20年以上後。SFC版の歴史が再び動く。

かつてサテラビューで配信された体験版データが保存された8Mメモリーパックが発見され、2020年にデータが公開された。そして調べてみると、ただの数ステージ体験版ではなく、

アクセスを封じられていただけで多くのステージデータが内部に残っていた

ことまで判明する。さらに2025年2月23日。当初の発売予定日、

1996年2月23日

からちょうど29年後。SFC互換機向け『クーリースカンク』が正式商品として発売された。商品公式ページ自身が、1996年2月23日発売予定だったが市場環境を考慮して発売見送りになったことを説明している。

ただし、この復刻も任天堂公式ソフトではない。商品ページには、

任天堂株式会社のライセンス製品ではない

と明記されている。したがって、権利者の許諾を得た後年の商品化である。

TierとしてはBでも、

発売中止後の物語だけならこの100本でもトップクラスに面白い。

SFC版中止。PS版へ変化。サテラビュー版発掘。

そして29年後の復活。発売されなかったゲームがどう生き残るか、そのほぼ全部が詰まっている。

6項目の採点を見る78 / 100
項目点数
惜しまれ度17 / 25
ゲーム史への潜在的影響12 / 20
忘れられにくさ18 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合78 / 100

B Tier 発売中止
75点

『Cabbage』|画面すらほとんど残っていないのに、宮本茂・糸井重里・岩田聡が作っていた

この100作品の中でも、

実際のゲーム画面がほとんど残っていないのに、なぜか開発思想だけはかなり追える

という珍しい作品がある。『Cabbage』だ。NINTENDO64の周辺機器64DD向けに、宮本茂氏と糸井重里氏が進めていた企画。

さらにHAL研究所の岩田聡氏も開発へ加わっていた。1997年の『64DREAM』インタビューでは、糸井氏が、

岩田氏が参加したことで制作ツールが大きく近代化し、ツール側とゲーム仕様側を結合する段階まで来ている

と話している。つまり、「名前だけ出したアイデア」

ではない。実際に開発作業は進んでいた。では、どんなゲームだったのか。

これが少し難しい。大枠としては、

何かを育て、その存在と関係を築くゲーム

だった。宮本氏は当時、64DDの書き換え可能な特性や携帯機との連携を利用し、育てている存在へ新しい玩具やイベントを追加するアイデアまで語っている。リアルタイムクロック。

書き換え可能なディスク。携帯機とのデータ移動。1990年代後半の任天堂が、新しいゲームとの付き合い方を考えていたことが分かる。

ただし、開発は長期化した。2000年時点でも宮本氏は『Cabbage』が大幅に遅れていると説明している。そして最終的に製品化されなかった。

後年のNintendo DREAMインタビューについて伝えられた内容では、宮本氏は『Cabbage』の開発終了を認め、一部の考え方が『nintendogs』へ生かされたと説明している。ここは少し慎重に扱いたい。『Cabbage』がそのまま『nintendogs』になったわけではない。

キャラクターもゲームシステムも別物だ。正しくは、

育成や関係性に関する一部の発想が、後の作品へ流れた

程度に見る。今回75点まで付いた最大の理由は、ゲームそのものの完成度ではない。潜在的影響18/20、企画魅力10/10。

宮本茂、糸井重里、岩田聡というメンバーが、64DDという特殊なハードを使い、リアルタイムで育つ存在との関係を模索していた。それなのに、

完成版がどんなゲームになるはずだったのかは今もほとんど見えない。

その空白自体が面白い。

6項目の採点を見る75 / 100
項目点数
惜しまれ度14 / 25
ゲーム史への潜在的影響18 / 20
忘れられにくさ16 / 20
期待の具体性10 / 15
企画の独自性・魅力10 / 10
中止そのものの歴史的重要性7 / 10
総合75 / 100

B Tier 発売中止
75点

『RiQa』|E3 1999で公開されたN64作品。25年後、開発者本人が最後の4ビルドを公開

『RiQa』は、Bits StudiosがNINTENDO64向けに制作していた三人称アクションだ。女性主人公。3D空間。

銃撃。探索。1999年のE3で公開され、当時は『トゥームレイダー』系の新しいアクション作品として注目された。

だが発売されない。そして長い間、「映像やスクリーンショットはあるが、実際どこまでゲームとして作られていたのか」

が分かりにくい作品だった。その状況が2024年に大きく変わる。当時Bits Studiosで働いていた開発者が、

N64版『RiQa』最後期の4ビルドを公開した。

ここで本人の説明が非常に重要だ。公開されたものについて、ステージ内を歩ける。

敵を倒せる場合もある。ボタンを押せる。カットシーンも存在する。

しかし、完成したゲームと呼べるものはほとんどない。

そう本人が説明している。発売中止ゲームでは、

「最終ビルド発見」
と聞くだけで、

ほぼ完成版が発掘された

と思われがちだ。『RiQa』はその逆。最後期のビルドが残っていても、ゲーム全体はまだ未完成だった。

また、開発終了後にチームが『Die Hard』や、後に『Rogue Ops』へつながる別企画へ再配置されたことも元開発者が説明している。ただし、『RiQa』がそのまま『Rogue Ops』になった

とまでは断定しない。開発チームやノウハウが次へ移った、という程度に見る。2024年になって、ようやく「どこまでゲームだったのか」を本人のビルドで確認できるようになった。

こういう作品は、発売中止後も研究対象として歴史が続く。

6項目の採点を見る75 / 100
項目点数
惜しまれ度15 / 25
ゲーム史への潜在的影響14 / 20
忘れられにくさ16 / 20
期待の具体性14 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性7 / 10
総合75 / 100

B Tier 発売中止
80点

『Geist Force』|「完成間近のドリームキャスト大作」という伝説より、実際はもっと未完成だった

『Geist Force』はドリームキャスト初期を語る未発売ゲームとして、かなり有名だ。宇宙を舞台にした3Dシューティング。『スターフォックス』のような奥行き型のゲーム画面と、当時として非常に派手なグラフィック。

ドリームキャストの新世代感を見せるタイトルの一つとして、早い段階から公開されていた。そのため後年、

「ほとんど完成していたのに中止された」

という説明が広がった。しかし詳しく追うと、そこまで単純ではない。Sega of Americaは当時、他のドリームキャストタイトルと比べて品質水準へ届かないと判断し、開発中止を説明している。

一方、元スタッフChristian Senn氏は後年、アート素材はかなり作られていた。設計も進んでいた。

ただしゲームを完成させるには、

品質の高い製品ならさらに1年程度必要だったと思う

と振り返っている。つまり、

素材が大量に存在する
ことと、
ゲームが完成に近い
ことは同じではない。

ここが重要だ。現在残るプロトタイプにも、テクスチャ、アニメーション、音楽、サウンドなど多くの素材が含まれている。しかし、それらをゲームとして結び付ける部分は十分完成していなかったとされる。

それでも80点B。ドリームキャストの初期プロモーションで大きく扱われ、セガ自身の品質判断で消えた。さらに、後世に残った素材量が多いため、今も「どんなゲームだったのか」をかなり具体的に追える。

ただし、完成間近だった幻の名作

とは書かない。そこを訂正できること自体が、この作品を載せる価値でもある。

6項目の採点を見る80 / 100
項目点数
惜しまれ度17 / 25
ゲーム史への潜在的影響14 / 20
忘れられにくさ17 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性9 / 10
総合80 / 100

B Tier 機種版中止
79点

ゲームボーイカラー版『バイオハザード』|無理と思われた移植は、かなり完成に近いところまで来ていた

初代『バイオハザード』をゲームボーイカラーへ。今見てもかなり無茶な企画に思える。PlayStationで背景、キャラクター、演出を組み合わせて成立していた3Dサバイバルホラーを、携帯機へ移そうとしていたからだ。

単なる名前だけの別ゲームではない。HotGenが開発していたGBC版は、可能な限りオリジナル版の構造を再現しようとしていた。キャラクターを背景上で動かし、部屋を移動し、敵と戦う。

ハード性能の差を考えれば、それだけでもかなり異様だ。1999年のE3などで公開され、発売予定も存在した。しかし2000年、Capcomは発売を断念する。

当時の説明では、ゲームボーイカラー上で『Resident Evil』を満足できる水準まで再現できないと判断された。そして、この作品をややこしくしているのが完成度だ。長い間、

「かなり完成していたらしい」と語られてきた。2025年、未発売ゲームを保存するGames That Weren'tが、元開発者Pete Frith氏から中止時点に近い後期ビルドを入手。改めて開発者へ聞き取りを行っている。 (Games That Weren't)

そこで出てくる数字が一致しない。Nigel Speight氏は記憶として、

75~85%程度。

Pete Frith氏は、

98%くらいだったと思う。

と振り返っている。 (Games That Weren't)だから本記事では、

「98%完成していたゲーム」

とは書かない。開発者間でも認識に幅があるからだ。ただ、2025年に確認された後期ビルドを見る限り、相当量のゲームが実際に作られていたこと自体は疑いにくい。

中止から25年以上たっても、新しいビルドが発見され、完成度について再検証されている。これが忘れられにくさ18/20の理由だ。一方、あくまで既存作品の移植版。

ゲーム史の大きな分岐としてはA作品より一段落ちる。

「携帯機では無理だったから企画段階で終わった」のではなく、本当にかなり作っていた。

そこに価値がある。

6項目の採点を見る79 / 100
項目点数
惜しまれ度18 / 25
ゲーム史への潜在的影響13 / 20
忘れられにくさ18 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性7 / 10
総合79 / 100

B Tier 発売中止
70点

『Echo Delta』|NINTENDO64で海底リアルタイムストラテジー。Space Worldでは本当に遊べた

NINTENDO64でリアルタイムストラテジー。それだけでも珍しい。さらに舞台は海底。

『Echo Delta』は、Clever Trickが開発し、任天堂から発売予定だったNINTENDO64向けストラテジーゲームだ。2000年のNintendo Space Worldにも正式出展。GameSpotは会場で実際に試遊し、「NintendoがN64へリアルタイムストラテジーを持ち込んだ」と紹介している。

つまり、「企画書だけ存在した作品」ではない。

ゲームとして人前に出ていた。海中を舞台にユニットを操作し、資源を管理しながら目標を達成する。NINTENDO64後期に出すゲームとしてはかなり異色だった。

だから期待の具体性は15/15。一方、なぜ発売されなかったのか。

ここが分からない。NINTENDO64の世代末期だった。ニンテンドー ゲームキューブが発表された。

そうした時代背景はある。しかし、それを理由と断定できる公式説明は現在確認できていない。したがって、

中止理由は現在も確認できない。

のままにする。完成度についても同様だ。ネット上では高い完成率を示す話が出ることがある。

だが、確かな出所を確認できない数字は使わない。数字だけ見ると低めだが、

Space Worldで本当に遊べた任天堂発売予定の海底RTSが、その後理由不明のまま消えた

という一文だけで十分に面白い。

6項目の採点を見る70 / 100
項目点数
惜しまれ度14 / 25
ゲーム史への潜在的影響12 / 20
忘れられにくさ13 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性7 / 10
総合70 / 100

B Tier 発売中止
74点

『Raven Blade』|消えたRPGのスタッフと時間は、『メトロイドプライム』へ集中した

Retro StudiosがNintendo ニンテンドー ゲームキューブ向けに制作していたRPG、『Raven Blade』。中世ファンタジー風の世界で、剣を持った主人公がドラゴンやモンスターと戦う。

ニンテンドー ゲームキューブ初期タイトルとしてE3 2001にも姿を見せた。ただしここで一つ訂正しておきたい。

E3で一般へ公開されたのは映像であり、プレイアブル展示ではない。

内部では動作するゲームシステムやプロトタイプまで進んでいたことが元スタッフ資料などから確認できるが、「E3で遊べる状態だった」とはしない。

そして2001年7月。Nintendo of Americaは正式に中止を認めた。その理由も明確だった。

Retro Studiosの開発リソースを『Metroid Prime』へ集中させるため。 (GameSpot)NOAは、

Raven Bladeを完成させるために必要となるリソースをMetroidへ集約し、良いゲームにするため

という趣旨を説明している。 (GameSpot)翌月には、『Metroid Prime』以外のプロジェクトを終了し、同作へ全面集中していることも報じられた。 (GameSpot)結果だけを見れば、『Metroid Prime』は後に高く評価される作品となった。

だからといって、「Raven Bladeを中止したから名作が生まれた」

と単純化はしない。開発現場には人員整理も伴っている。元スタッフからも、当時のRetro Studiosがかなり厳しい環境だったことが語られている。

それでも、一方のゲームを中止して、もう一方へ会社の戦力を集める

という判断が、後の大作開発と直接つながっているのは確かだ。ゲーム単体の知名度は低い。しかし「中止したプロジェクトのリソースがどこへ行ったのか」まで追えるため、B Tierの一作として掲載対象として残した。

6項目の採点を見る74 / 100
項目点数
惜しまれ度16 / 25
ゲーム史への潜在的影響16 / 20
忘れられにくさ14 / 20
期待の具体性11 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性9 / 10
総合74 / 100

B Tier 別企画へ変化
78点

『Donkey Kong Racing』|CGムービーだけではなかった。実際に動くレースゲームから、別企画へ変化した

2001年E3で公開された『Donkey Kong Racing』。『ドンキーコング64』のキャラクターたちが、車ではなく動物に乗ってレースする

ニンテンドー ゲームキューブ向け作品だった。公開された映像はCG中心。そのため長い間、

「実際に遊べるものは作られていなかったのでは?」と思われやすかった。しかし元RareスタッフLee Musgrave氏は、後年かなり具体的に説明している。

動物を乗り換える。より速い動物へ飛び移る。落とされたら走って追い付く。

さらに、マルチプレイまで動いていた。

つまり、CGムービーだけの企画ではなかった。ではなぜ消えたのか。RareがMicrosoftに買収されたためだ。

『Donkey Kong』は任天堂IP。買収後、そのまま同じ作品を作り続けることはできない。そこで企画は別の姿へ変わっていった。

Xbox向けに作り直し、Rare自身の『Sabreman』IPを使う

『Sabreman Stampede』

へ変化。しかもそこでも終わらない。単純なレースゲームから、動物を育てる要素を含むオープンワールド型へ変化し、最終的にはその企画も中止された。

つまり、『Donkey Kong Racing』
↓
Rare買収
↓
『Sabreman Stampede』へ再構築
↓
さらに内容変更
↓
最終的に再び中止

という流れ。一度中止になって終わるより、むしろややこしい。『Donkey Kong』というIPだけで高得点にしたのではない。

一本のレースゲームが企業買収を境に別IPへ変わり、それでも完成しなかった

という歴史を評価した。

6項目の採点を見る78 / 100
項目点数
惜しまれ度18 / 25
ゲーム史への潜在的影響14 / 20
忘れられにくさ15 / 20
期待の具体性14 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合78 / 100

B Tier 発売中止
75点

『Agartha』|『Alone in the Dark』の生みの親が作っていたが、「完成間近」ではなかった

『Agartha』は、名前と設定だけを見ると非常に魅力的だ。開発したのはNo Cliché。中心人物は、『Alone in the Dark』を手掛けたFrédérick Raynal氏。

ドリームキャスト向けのホラーアドベンチャーで、雪深い山岳地帯を舞台に、プレイヤーの善悪によって展開が変化する構想だった。ホラーゲーム史の重要人物がドリームキャストで新作を作る。それだけで期待したくなる。

そして後年残った映像を見ると、雰囲気もかなり作られている。だから、

「かなり完成していたのでは?」

と思いやすい。実際は違う。Raynal氏本人は後年、

完成にはほど遠かった

と明言している。主人公が背景内を歩くことはできる。しかし、

インタラクションはまだ存在していなかった。

さらに元スタッフ側の資料でも、プリプロダクションが終わり、本制作へ入った段階で、

制作全体としては約10%程度

だったという証言が残っている。では、なぜ中止になったのか。こちらはかなり明確だ。

No Cliché自身が、

セガが欧州でのゲーム開発を停止したため活動を停止し、『Agartha』も中止

と発表している。ゲーム自体が失敗したというより、セガがドリームキャスト撤退へ向かい、欧州開発体制そのものが縮小した。

その波を受けた作品だ。開発段階はまだ初期だったと見るのが妥当だ。それでも75点B。

企画魅力10/10。ゲームとしてどこまで完成していたかは低くても、

ドリームキャスト撤退によって、Raynal氏の新しいホラー企画とスタジオの活動が同時に終わった

という歴史は重い。完成度とTierは別。そのことを最も分かりやすく示す一本である。

6項目の採点を見る75 / 100
項目点数
惜しまれ度17 / 25
ゲーム史への潜在的影響14 / 20
忘れられにくさ15 / 20
期待の具体性10 / 15
企画の独自性・魅力10 / 10
中止そのものの歴史的重要性9 / 10
総合75 / 100

B Tier 発売中止
80点

『CAPCOM FIGHTING ALL STARS』|3D化よりも面白いのは、Capcom自身が失敗を詳しく語っていること

『ストリートファイター』
『ファイナルファイト』
『私立ジャスティス学園』

などのキャラクターを集めた3D格闘ゲーム。それが『CAPCOM FIGHTING ALL STARS』だった。2002~2003年頃、アーケード向けとして開発されている。

ただの人気キャラクター集合ゲームではない。D.D.、ルーク、イングリッドというオリジナルキャラクターを中心に、爆弾による都市壊滅を止めるストーリーまで用意されていた。特徴的だったのが「勝利宣言」。

対戦前に自分から条件を厳しくし、それを達成できれば高評価を得る。制限時間をストーリーへ組み込む仕掛けも考えられていた。何よりこの作品は、

中止までの過程をディレクター本人がCapcom公式でかなり詳しく話している。

田辺豊寿氏によれば、開発期間は約1年半。東京ゲームショウやAOUへ出展。社内テストまで行われた。

しかし反応が非常に悪かった。 (CAPCOM公式)一度は作り直そうとした。そのためにスタッフまで増員した。

それでも最終的に中止。田辺氏は、自身の経験不足も含めて振り返っている。 (CAPCOM公式)ここまで開発側から「うまくいかなかった」と説明される発売中止ゲームは意外に少ない。

さらに全部が消えたわけでもない。オリジナルキャラクターのイングリッドは後に『CAPCOM FIGHTING Jam』へ登場。田辺氏自身も、それによって少し救われた気持ちになったと話している。

今回80点でもBにした理由は、

開発史としては非常に面白いが、ゲーム史全体を大きく変えた中止とは言いにくい

ためだ。それでも掲載対象から外す理由はなかった。「有名キャラが出ていた幻の格ゲー」だけではなく、

失敗して、作り直して、それでも止めたところまで開発者本人が語れる作品だからである。

6項目の採点を見る80 / 100
項目点数
惜しまれ度18 / 25
ゲーム史への潜在的影響14 / 20
忘れられにくさ17 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合80 / 100

B Tier 発売中止
69点

『Cry On』|『ブルードラゴン』『ロストオデッセイ』の次に出るはずだった、もう一本のXbox 360向けRPG

MistwalkerがXbox 360向けに手掛けていたRPGといえば、

『ブルードラゴン』
『ロストオデッセイ』

の2本が有名だ。だが、もう一本あった。それが『Cry On』である。

2005年に発表されたアクションRPG。企画・シナリオには坂口博信氏が関わり、開発はMistwalkerとCavia。キャラクターデザインには藤坂公彦氏、音楽には植松伸夫氏が参加していた。

主人公は少女Sally。「Cry On」というタイトル通り、悲しさだけでなく喜びも含め、

プレイヤーを泣かせる

ことを大きなテーマにしていた。巨大な生物「Bogle」と少女の関係を軸にした物語が構想されていた。これだけ聞くと、かなり具体的に作られていたように感じる。

実際には、一般公開されたゲーム情報は意外に少ない。コンセプトアートや設定は発表されたが、完成形を想像できるほどゲーム画面や長時間のプレイ映像が公開されたわけではなかった。そこが、今回の期待の具体性を8/15まで抑えた理由だ。

2008年12月。発売元AQインタラクティブは、『Cry On』の開発中止を発表した。理由について同社は、

現在の市場環境と今後の市場見通しを分析した結果

と説明している。つまり、「ゲームが完成できなかったから中止」

と断定できる作品ではない。少なくとも公表された理由は、事業性の判断だった。これはMistwalkerのXbox 360展開を考えるうえでも興味深い。

『ブルードラゴン』『ロストオデッセイ』に続く、もう一つの大型RPG候補が市場へ出ることなく終わったからだ。ただし、坂口博信氏、植松伸夫氏といった名前だけを理由にAへ上げない。一般公開されたゲーム内容が少なく、長期的な存在感も上位作ほど強くない。

B Tierでは下限寄りだが、日本のXbox 360初期~中期にどんな大型RPGが計画されていたのかを知る資料として、掲載する価値は十分にある。

6項目の採点を見る69 / 100
項目点数
惜しまれ度17 / 25
ゲーム史への潜在的影響14 / 20
忘れられにくさ14 / 20
期待の具体性8 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性7 / 10
総合69 / 100

B Tier 発売中止
73点

『The Agency』|スパイMMOは、SOEの大規模再編と一緒に終了した

MMORPGというと、ファンタジー世界で剣や魔法を使う作品を想像しやすい。Sony Online Entertainmentが作っていた『The Agency』は、

スパイ活動そのものをMMOへ持ち込む

企画だった。2007年に発表。銃撃や潜入、諜報活動を組み合わせ、プレイヤーがエージェントとしてミッションをこなす。

ファンタジー系MMOとはかなり違う題材だった。長期間開発が続き、イベントではプレイ可能な形でも公開された。しかし2011年3月31日。

Sony Online Entertainmentは大規模再編を発表。

205人の人員削減。
シアトル、デンバー、ツーソンの3拠点閉鎖。
そして『The Agency』の制作終了。

SOE自身は、開発リソースを『PlanetSide』『EverQuest』系へ集中させるためと説明している。 (Game Informer)つまり、「ゲームの出来が悪かったから中止」

と単純には言えない。企業全体のコスト削減と開発資源再編の中で終了した。それでも73点に抑えた。

理由は、証拠の弱さではない。むしろ中止理由はかなり明確だ。しかし15年以上たった現在、

『Sonic X-treme』
『StarCraft: Ghost』
『True Fantasy Live Online』

などと比較すると、「幻のオンラインゲーム」として残っている一般的な記憶は一段弱い。

資料が強いことと、Tierが高いことは別。

その好例としてBに置いた。

6項目の採点を見る73 / 100
項目点数
惜しまれ度17 / 25
ゲーム史への潜在的影響13 / 20
忘れられにくさ13 / 20
期待の具体性14 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合73 / 100

B Tier 発売中止
75点

『メガマン ユニバース』|自分で『ロックマン』を作る。2010年には実際に遊べた

2010年に発表された『メガマン ユニバース』は、単なる2D『ロックマン』新作ではなかった。プレイヤー自身が、

ロックマンを作る。
ステージを作る。
それを他のプレイヤーと共有する。

という、ユーザー生成コンテンツを大きな柱にした作品だった。キャラクターのパーツを組み合わせれば、見た目だけでなくジャンプ力や移動速度、攻撃力まで変わる。ステージも敵やブロックを自由に配置する。

Capcom自身も2010年9月、キャラクターカスタマイズとステージクリエイトを主要機能として紹介している。 (Capcom公式)しかも構想だけではない。東京ゲームショウ2010では実際にプレイアブル出展された。

PlayStation公式ブログにも、会場で試遊した初期ビルドの詳細が残っている。 (PlayStation.Blog)初代北米版『Mega Man』パッケージの妙にリアルな“Bad Box Art Mega Man”までプレイアブルキャラクターにするなど、かなり遊び心も強かった。さらに『ストリートファイター』のリュウ、『魔界村』のアーサーなど、Capcom作品を横断するキャラクターも登場予定。

今で言えば、『ロックマン』版のクリエイト&シェア作品

に近い。しかし2011年3月31日。Capcomは開発中止を発表した。

日本で示された理由は、

「諸般の事情」

だけだった。 (4Gamer.net)前年には稲船敬二氏がCapcomを退社している。時系列だけ見れば関係を想像したくなる。

ただしCapcomは、

「稲船氏の退社が原因だった」

とは発表していない。本記事でも因果関係は断定しない。ゲームとして何を目指していたかはかなり分かる。

一方、中止が業界へ大きな歴史的分岐を作ったとまでは言えない。有名シリーズだから上へ持ち上げるのではなく、

2010年時点で『ロックマン』をユーザー生成型へ広げようとしていた企画そのものを評価した。

6項目の採点を見る75 / 100
項目点数
惜しまれ度18 / 25
ゲーム史への潜在的影響12 / 20
忘れられにくさ16 / 20
期待の具体性14 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性6 / 10
総合75 / 100

B Tier 発売中止
80点

『The Last of Us Online』|80点でもB。Naughty Dogが「何を作る会社であり続けるか」を選んだ中止

『The Last of Us』のオンライン作品については、開発初期から長く期待されていた。『The Last of Us Part II』制作中からマルチプレイヤーチームがプリプロダクションを進め、その後、単純な追加モードではなく独立した大型オンライン作品へ発展していく。そして2023年12月。

Naughty Dog自身が開発中止を発表した。 (Naughty Dog公式)説明はかなり率直だった。開発を進めるにつれ、プロジェクトの規模が明確になった。

発売するだけなら終わらない。ライブサービスゲームとして出す以上、その後何年もコンテンツを供給し続けなければならない。そのためには、

Naughty Dog全体のリソースを長期的にオンライン運営へ投入する必要があった。

会社には二つの道があった。ライブサービス作品中心のスタジオになるか。それとも、これまでのNaughty Dogを特徴付けてきたシングルプレイヤー作品を作り続けるか。

同社が選んだのは後者だった。 (Naughty Dog公式)これは非常に大きな判断だ。だから潜在的影響18/20、歴史的重要性9/10。

それでもAではなくBにした。最大の理由は、

まだ時間がたっていないからだ。

2023年末の中止から2026年9月現在まで、3年にも満たない。10年、20年たっても、「Naughty Dog史の決定的な分岐だった」

と語られ続けるのかは、まだ分からない。今回のTierでは、最近の作品に未来の評価を先払いしない。

点数だけならAと重なる。それでも、

長期間忘れられずに残った実績がまだない

という一点でBに置いた。今後もっともTierが動く可能性のある作品の一つだ。

6項目の採点を見る80 / 100
項目点数
惜しまれ度20 / 25
ゲーム史への潜在的影響18 / 20
忘れられにくさ12 / 20
期待の具体性13 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性9 / 10
総合80 / 100

B Tier 発売中止
76点

『Life by You』|Early Access開始2週間前まで来ていたのに、会社が「まだ遠すぎる」と判断した

2024年6月4日。本来なら『Life by You』は、この日にEarly Accessを開始する予定だった。ところが5月20日。

Paradox Interactiveは予定日を撤回する。「もう少し時間が必要」としながら、新しい日付は発表しなかった。 (Paradox Interactive公式)そして6月17日。

延期ではなく、発売そのものの中止

が発表された。 (Paradox Interactive公式)わずか4週間弱で状況が大きく変わった。『Life by You』は、『ザ・シムズ』のようなライフシミュレーションへParadoxが挑戦した作品だった。

開発スタジオParadox Tectonicを率いていたのは、『The Sims』シリーズに長く関わったRod Humble氏。ロード画面を極力挟まないオープンワールド。キャラクターを直接操作。

家や街を細かく編集。会話もカスタマイズ。MODツールまでゲーム内へ組み込む。

どんな作品を目指していたのかはかなり具体的だった。だから期待の具体性は15/15。では、なぜEarly Access直前で止めたのか。

Paradox自身の説明では、延期を重ねるごとに個別部分は改善していた。しかし一度立ち止まってゲーム全体を見ると、会社が満足できる製品までの道のりが、あまりにも長く不確実だった。 (Paradox Interactive公式)

中止によって、資産計上していた開発費2億800万スウェーデンクローナも全額減損された。 (Paradox Interactive公式)さらに翌日には、唯一のゲームだった『Life by You』を失ったParadox Tectonicの閉鎖も決まった。ここまでを見るとAでもよさそうに見える。

それでも76点B。中止からまだ2年少々。長期的にどの程度ゲーム史へ残るかは分からない。

スタジオ閉鎖という事実だけで、忘れられにくさまで先回りして高くしない。

「発売直前に見えても、製品として完成が近いとは限らない」

ことを示す近年の代表例として残した。

6項目の採点を見る76 / 100
項目点数
惜しまれ度18 / 25
ゲーム史への潜在的影響15 / 20
忘れられにくさ11 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性9 / 10
総合76 / 100

B Tier 発売中止
74点

『Perfect Dark』リブート|ゲームプレイまで公開された大型復活作は、スタジオごと消えた

2018年、Microsoftが新スタジオ「The Initiative」を設立した。そして2020年。そのスタジオが手掛ける大型タイトルとして発表されたのが、

『Perfect Dark』のリブート

だった。NINTENDO64で人気を集めたシリーズを、現代のXboxへ復活させる。The Initiativeだけでなく、後にはCrystal Dynamicsも開発へ参加した。

長期間ゲーム内容が見えない時期もあった。しかし2024年のXbox Games Showcaseで、ついにゲームプレイが公開される。主人公Joanna Dark。

近未来のカイロ。一人称視点。銃撃だけでなく、パルクール、近接戦闘、ガジェット、ステルスなどを組み合わせる。

つまり中止された時点で、

「何を作ろうとしていたのか全く分からない作品」ではなかった。

ところが2025年7月。Microsoftは開発中止を決定。さらに、

The Initiativeそのものを閉鎖した。 (Game Developer)Xbox Game StudiosのMatt Booty氏は、変化する業界環境の中で優先順位とリソース配置を見直す一環だと説明している。 (Game Developer)歴史的重要性は10/10。

Microsoftがわざわざ新設した大型スタジオが、一本も製品を出さないまま閉じることになったからだ。それでも74点B。2025年の出来事であり、

まだ「忘れられにくい発売中止ゲーム」になったとは判断できない。

忘れられにくさは9/20に抑えた。数年後もこのゲームがXbox史の大きな転換点として語られているなら、Tierや点数を再評価する余地がある。今はまだ、その途中だ。

6項目の採点を見る74 / 100
項目点数
惜しまれ度17 / 25
ゲーム史への潜在的影響15 / 20
忘れられにくさ9 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性10 / 10
総合74 / 100

B Tier 再始動中
76点

『UBUSUNA』|M2では開発中止。しかし別体制で再始動へ動き出した

井内ひろし氏が手掛けるシューティングゲーム『UBUSUNA』は、2014年の発表から長期開発が続いていた。だが2026年5月24日、M2は井内氏の退職に伴い、同社での開発中止を正式に発表した。

M2は井内氏の退職後も継続方法を検討したものの、作品の性質上、井内氏なしで完成へ導くことは難しいと判断した。ここまでは明確な「開発中止」であり、このTierで評価しているのもM2で進んでいた開発ルートが途切れた出来事だ。

ただし、その後が動いた。井内氏は2026年7月、エムツー退職後も『UBUSUNA』を完成させる意思を示し、外部デザイナーらの働きかけで協力者が集まり、別体制で制作を再開する方向へ動いていることを明らかにした。出資に関心を持つ企業との協議も始まっているという。

一方、M2在籍中に制作されたリソースをそのまま自由に使えるわけではなく、出資元や発売体制も2026年9月24日時点では確定していない。したがって「正式復活」「発売決定」とはまだ書かない。M2版はCANCELLED、その先はREVIVAL_IN_PROGRESSという現在地で、76点Bを維持する。

6項目の採点を見る76 / 100
項目点数
惜しまれ度20 / 25
ゲーム史への潜在的影響14 / 20
忘れられにくさ14 / 20
期待の具体性12 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性7 / 10
総合76 / 100

B Tier 発売中止
75点

『フレームシティ』|Xbox 360参入第1弾を狙ったナムコ大型作が消えた

Xbox 360立ち上げ期、ナムコが参入第1弾として前面に出していたのが『フレームシティ』だった。

2042年の都市を舞台にしたアクションアドベンチャーで、Unreal Engine 3を採用した国産タイトルとしても早い時期から注目されていた。発売予定は一度延期されたものの、2006年5月、バンダイナムコゲームスが正式に発売中止を発表する。

理由として示されたのは「諸般の事情」までで、細部は公表されなかった。Xbox 360の国内普及や開発環境を直接の原因だと断定する材料はない。

それでも、次世代機参入の象徴として長く告知されてきた大型作がそのまま消えた意味は小さくない。とくに国産Unreal Engine 3採用作の初期史を振り返ると、発売されなかった一本として存在感が残る。

6項目の採点を見る75 / 100
項目点数
惜しまれ度15 / 25
ゲーム史への潜在的影響15 / 20
忘れられにくさ13 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合75 / 100

B Tier 発売中止
76点

『Dead Phoenix』|「カプコン5」で唯一発売されなかった空中アクション

2002年、カプコンはゲームキューブ向けに5本の新作をまとめて発表した。後に「カプコン5」と呼ばれる『P.N.03』『ビューティフル ジョー』『killer7』『バイオハザード4』、そして『Dead Phoenix』だ。

『Dead Phoenix』は翼を持つ戦士を操作し、大きな空間を飛び回るアクションアドベンチャーとして紹介された。2003年夏発売予定まで示されていたが、同年5月にはまだ「中止ではない」と説明された一方、8月にはCapcom Japanへの確認によって開発中止が報じられている。

なぜこの一本だけ発売されなかったのか、確定した理由は公表されていない。『P.N.03』の販売成績などと結びつける説明もあるが、推測を事実にはしない。

「カプコン5」の中で唯一店頭へ届かなかった作品。その立ち位置だけでも、ゲームキューブ期のカプコンを振り返ると外しにくい一本だ。

6項目の採点を見る76 / 100
項目点数
惜しまれ度17 / 25
ゲーム史への潜在的影響14 / 20
忘れられにくさ16 / 20
期待の具体性12 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合76 / 100

B Tier 発売中止
73点

『Football Manager 25』|二度の延期の末、シリーズは一作を飛ばした

『Football Manager 25』は、存在だけが後から判明したゲームではない。予約販売も行われ、発売日も複数回告知された、現代の大型発売中止例だ。

Sports Interactiveは2025年2月6日、セガとの協議の末に『FM25』の発売を中止し、次回作へ開発を集中すると正式発表した。すでに発売日は二度変更されており、予約購入者には返金案内も行われた。

シリーズにとって大きかったのは、単に延期が長引いたことではない。新しい技術基盤やUIを含む刷新を進めながら、最終的にその年の製品を出さない方を選んだ点にある。

ただし、長期にわたって語られる「幻の作品」になったわけではないため、忘れられにくさは古い名作候補ほど高くしない。発売中止の具体性が極めて高い一方、歴史的評価は今後も変わり得る作品だ。

6項目の採点を見る73 / 100
項目点数
惜しまれ度18 / 25
ゲーム史への潜在的影響15 / 20
忘れられにくさ9 / 20
期待の具体性14 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性9 / 10
総合73 / 100

B Tier 発売中止
81点

『Command & Conquer』(2013)|クローズドαまで進んだ再始動版がスタジオごと消えた

一度は『Command & Conquer: Generals 2』として発表され、その後Free-to-play型の『Command & Conquer』へ再編されたプロジェクト。

開発はVictory Gamesが担当し、クローズドαまで進んでいた。しかし2013年、EAはこのバージョンの制作を停止。Victory Gamesも閉鎖された。

テスト参加者からの反応だけが中止理由だった、と単純化するのは避けたい。公式側の説明では、プレイヤーから受け取ったフィードバックを踏まえ、当初目指したゲームを作れていないと判断したことが示されている。

公開テストまで進んだシリーズ再始動案が、完成前に制作体制ごと終わった。その具体性は高いが、シリーズ全体を決定的に変えた歴史的分岐とまでは評価せずBとした。

6項目の採点を見る81 / 100
項目点数
惜しまれ度20 / 25
ゲーム史への潜在的影響15 / 20
忘れられにくさ17 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力6 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合81 / 100

B Tier 発売中止
78点

『Pirates of the Caribbean: Armada of the Damned』|映画追体験ではなく海賊RPGを狙った企画

Disney Interactive傘下のPropaganda Gamesが制作していた『Armada of the Damned』は、『パイレーツ・オブ・カリビアン』の世界を使いながら、映画の物語をそのまま追うゲームではなかった。

プレイヤー独自の海賊を主人公に据え、選択や成長を取り入れたアクションRPGとして2011年発売を予定していた。しかし2010年、Disney Interactiveは開発中止を認め、Propaganda Gamesの開発体制も再編された。

有名映画IPを使いながら、既存キャラクターの再現だけに寄らず、独自の海賊人生を遊ばせようとしていた点は惜しい。

一方、中止そのものがゲーム史を大きく分岐させたとまでは言いにくい。公開されていた内容の具体性と企画の魅力を中心に78点Bとした。

6項目の採点を見る78 / 100
項目点数
惜しまれ度17 / 25
ゲーム史への潜在的影響14 / 20
忘れられにくさ15 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合78 / 100

B Tier 発売中止
72点

『HYENAS』|セガが発売直前期に止めたCreative AssemblyのオンラインFPS

Creative Assemblyが『Total War』とは異なる方向へ挑戦していたオンラインFPSが『HYENAS』だった。

2023年9月、セガサミーホールディングスは欧州拠点の収益性低下を受けてタイトルポートフォリオを見直し、『HYENAS』と複数の未発表タイトルを中止すると正式発表した。

その後の決算説明では、ゲーム自体を単純に「出来が悪かった」としたのではなく、競争の激しいオンラインゲームとして長期運営し、ユーザーを満足させ続けられる品質に届くかという観点で中止したことが説明されている。

現代のライブサービス型ゲームが抱える難しさを示す事例ではあるが、中止からの時間が短く、長期的な記憶の残り方はまだ評価しにくい。72点Bに留めた。

6項目の採点を見る72 / 100
項目点数
惜しまれ度16 / 25
ゲーム史への潜在的影響14 / 20
忘れられにくさ10 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性9 / 10
総合72 / 100

B Tier 発売中止
74点

『Tiberium』|EAが「品質基準に届かない」と止めたC&CのFPS

『Command & Conquer』の世界を一人称視点で描くFPSとして制作されていたのが『Tiberium』だった。

PC、Xbox 360、PlayStation 3向けに開発され、一度は発売延期も発表された。しかし2008年9月、EAは開発停止を正式確認する。

理由も比較的明確だ。EAは、チームおよびEA Games Labelが設定する品質水準へ届く見通しが立っていないと説明した。社内メモでも、根本的なゲームデザイン上の問題を解消できなかったことが語られている。

「完成間近だったのに経営判断だけで切られた」という作品ではない。むしろ、一定規模まで進んだ大型タイトルでも、品質が成立しないと判断すれば止めるという当時のEAの方針を象徴する一本だ。

6項目の採点を見る74 / 100
項目点数
惜しまれ度16 / 25
ゲーム史への潜在的影響13 / 20
忘れられにくさ15 / 20
期待の具体性14 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合74 / 100

B Tier 別企画へ変化
79点

『エストポリス伝記III ルーインチェイサーズ』|正式発表された“III”が保留のまま消えた

1998年の東京ゲームショウ春では、『エストポリス伝記III ルーインチェイサーズ』がPlayStation向け作品として表に出ていた。タイトル、機種、発売予定時期、価格まで載った冊子が配布され、シリーズの正式な次回作として期待を集めている。

ところが発売元予定だった日本フレックスが財務問題を抱え、開発は停止。ここで注意したいのは、2000年時点のNatsumeが家庭用機版について「中止ではなく保留」と説明していたことだ。

その後PlayStation版が店頭へ戻ることはなく、シリーズはゲームボーイカラーで別の形へ進んだ。ただし、GBC版を旧PlayStation版の単純な縮小移植とは扱わない。旧版から何がどこまで直接受け継がれたのかは切り分ける必要がある。

正式な「中止日」を断定できないためAには上げず、当初の『III』が消えた歴史と現在までの惜しまれ方を評価して79点Bとした。

6項目の採点を見る79 / 100
項目点数
惜しまれ度19 / 25
ゲーム史への潜在的影響16 / 20
忘れられにくさ16 / 20
期待の具体性11 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性9 / 10
総合79 / 100

B Tier 発売中止
77点

『Aliens RPG(Aliens: Crucible)』|アイデアはあっても「遊べるレベル」が足りなかった

Obsidian Entertainmentがセガ向けに制作していた『Aliens』のアクションRPG。後年は『Aliens: Crucible』という名称でも知られている。

2006年から開発が進められたが、2009年にはセガとObsidian双方が、もはや開発していないことを認めた。

興味深いのは、後年Josh Sawyer氏が当時の問題をかなり率直に語っていることだ。アイデア自体はいくつもあった一方、実際に遊べるステージを作る進行が遅く、同時に進めていた『Alpha Protocol』を優先する判断になったという。

「ほぼ完成していた幻のRPG」とは扱わない。企画内容には魅力がありながら、ゲームとして形にする部分が追いつかなかったという未発売作として77点Bに置く。

6項目の採点を見る77 / 100
項目点数
惜しまれ度18 / 25
ゲーム史への潜在的影響14 / 20
忘れられにくさ15 / 20
期待の具体性13 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合77 / 100

B Tier 発売中止
76点

『LMNO』|Steven SpielbergとEAが進めた“人間関係を遊ばせる”企画

Steven Spielberg氏とElectronic Artsの共同企画として進められていたコードネーム『LMNO』。

もう一方の共同企画は後に『Boom Blox』として発売されたが、『LMNO』は長期間表へ出ないまま開発が続いた。2009年にはEAが一度中止説を否定したものの、2010年には「開発を終了した」と正式に回答している。

内容は、派手な銃撃戦を中心とするものではなく、プレイヤーとキャラクターの感情的な関係をゲームプレイへ組み込もうとしたアクションアドベンチャーだったとされる。

一般向けに大規模発表された作品ではないため惜しまれ度は抑えたが、Spielberg氏とEAが映画的演出ではなく“関係性”をゲームにしようとしていた点を評価し76点B。

6項目の採点を見る76 / 100
項目点数
惜しまれ度17 / 25
ゲーム史への潜在的影響15 / 20
忘れられにくさ14 / 20
期待の具体性12 / 15
企画の独自性・魅力10 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合76 / 100

B Tier 発売中止
75点

『Rockman Online(Mega Man Online)』|韓国向けMMOとして進んだロックマンが開発停止

『Rockman Online(Mega Man Online)』は、韓国のNeoWizとCapcomが共同で進めていたPC向けオンラインゲームだった。

『ロックマンX』系を思わせるキャラクターや世界観が公開され、一般的なシリーズ新作とは異なるオンライン展開として注目された。しかし長期間新情報が途絶えた後、2013年にNeoWiz側が開発停止を認める。

説明では、品質、開発期間、両社のコミュニケーションなどを協議し、NeoWizとCapcomの合意で制作を止めたとされている。

シリーズ全体を変えた大型分岐とまでは言えないが、日本発IPを韓国市場向けMMOとして本格展開しようとした企画は珍しい。映像やキャラクターも公開されていた具体性を評価して75点Bとした。

6項目の採点を見る75 / 100
項目点数
惜しまれ度17 / 25
ゲーム史への潜在的影響13 / 20
忘れられにくさ16 / 20
期待の具体性14 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性6 / 10
総合75 / 100
B Tier 発売中止
70点

『ガン★ロコ(GUN LOCO)』|TGSで遊べたスクウェア・エニックス新規IPが消えた

2010年、スクウェア・エニックスがXbox 360向け完全新規IPとして発表したのが『ガン★ロコ』だった。

刑務所惑星を舞台にしたアクションシューターで、最大12人のオンライン対戦も予定。キャラクターは立体造形をベースに作るという独特の制作方法を採り、東京ゲームショウ2010では実際にプレイアブル出展されている。

2011年3月、開発中止が告知された。ただし、中止理由は公表されていない。震災や市場判断など、時期から想像できる要因を直接の原因として書くことは避ける。

大作シリーズの未発売版ほど歴史的影響は大きくない。一方、発売予定年まで示され、一般が遊べる段階へ進んだ新規IPが理由非公表のまま消えた具体性は高い。70点B。

6項目の採点を見る70 / 100
項目点数
惜しまれ度15 / 25
ゲーム史への潜在的影響11 / 20
忘れられにくさ13 / 20
期待の具体性14 / 15
企画の独自性・魅力10 / 10
中止そのものの歴史的重要性7 / 10
総合70 / 100

B Tier 未発売・資料限定
76点

『Bonk: Brink of Extinction』|『PC原人』復活作はプレイアブル展示まで進んだ

日本では『PC原人』として知られるBonk。その久々の家庭用新作として2009年に発表されたのが『Bonk: Brink of Extinction』だった。

Xbox LIVE Arcade、PlayStation Network、WiiWare向けの2.5Dアクションとして制作され、E3などでプレイアブル展示まで進んでいる。

しかし最終的に発売されなかった。2011年にはHudson作品群の発売予定から消えたことが報じられた一方、当時のKonami側説明は将来ラインナップがまだ確定していないという慎重なものだった。

そのため、「コナミによる買収が原因で正式中止された」「ほぼ完成していた」といった説明は断定しない。確かなのは、ハドソンの大きな体制転換期に、実際に遊べる段階まで進んでいた『PC原人』復活作が商品化されなかったことだ。

6項目の採点を見る76 / 100
項目点数
惜しまれ度17 / 25
ゲーム史への潜在的影響12 / 20
忘れられにくさ16 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合76 / 100

B Tier 発売中止
71点

『チョコボレーシング3D(仮称)』|品質基準を満たせず消えた3DSのチョコボレース

2010年、スクウェア・エニックスはニンテンドー3DS向けに『チョコボレーシング3D(仮称)』を正式発表した。

『ファイナルファンタジー』やチョコボシリーズのキャラクターを使い、立体視によるスピード感を狙うレースゲーム。名称だけではなく、機種とジャンルまで公表されていた。

その後、情報は途絶える。2014年にはスクウェア・エニックスの橋本真司氏が、開発中のゲームを見たものの品質に満足できず中止したことを説明している。

2022年にはNintendo Switchで『チョコボGP』が発売されたが、3DS版がそのまま復活した作品とは扱わない。失われたのは、3DS初期に進められていた別のチョコボレース企画だ。

6項目の採点を見る71 / 100
項目点数
惜しまれ度17 / 25
ゲーム史への潜在的影響13 / 20
忘れられにくさ14 / 20
期待の具体性12 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性7 / 10
総合71 / 100

B Tier 発売中止
73点

『CODED ARMS ASSAULT』|TGSで試遊できたPS3初期の国産FPS

コナミがPlayStation 3向けに進めていたFPS『CODED ARMS ASSAULT』。PSP『CODED ARMS』の流れをくみながら、据置機向けに大規模化する企画だった。

2006年の東京ゲームショウではプレイアブル出展され、一般ユーザーが実際に触れられるところまで進んでいた。

しかし2008年、Konamiへの問い合わせに対し、PS3版は現在開発しておらず、発売計画もないとの回答が出る。正式なキャンセルプレスリリースではないが、開発停止は十分に確認できる。

なぜ止まったかは不明。PS3初期の開発費や試遊評価を原因として断定しない。実際に遊べたところまで進んだ国産FPSが消えた、という事実を中心に73点Bとした。

6項目の採点を見る73 / 100
項目点数
惜しまれ度16 / 25
ゲーム史への潜在的影響13 / 20
忘れられにくさ14 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性7 / 10
総合73 / 100

B Tier 機種版中止
73点

セガサターン版『バイオハザード2』|初代は出たのに、続編はDreamcastへ

初代『バイオハザード』はセガサターンにも移植された。その流れで『バイオハザード2』のサターン版も実際に検討・開発されていた。

カプコンの船水紀孝氏は当時のインタビューで、サターン版『BIOHAZARD 2』へ着手していたこと、Dreamcastへの移行を理由に中止したことを説明している。技術的にも、サターンで求めるグラフィック品質を実現する難しさがあった。

『バイオハザード2』自体はPlayStationなどで発売されているため、失われた完全新作ではない。それでも「初代はサターンに出たのに2は出なかった」という空白を追うと、セガハードの世代交代へ行き着く。

ゲーム内容の独自性より、ハード史の転換を映す未発売版として73点B。

6項目の採点を見る73 / 100
項目点数
惜しまれ度18 / 25
ゲーム史への潜在的影響15 / 20
忘れられにくさ16 / 20
期待の具体性10 / 15
企画の独自性・魅力5 / 10
中止そのものの歴史的重要性9 / 10
総合73 / 100

B Tier 発売中止
76点

『Stage Debut』|発売されなかった“自分をゲームに入れる”企画がMiiへ

任天堂社内で「マネビト」と呼ばれ、展示時には『Stage Debut』として紹介されたゲームキューブ向け企画。

プレイヤーに似た3Dキャラクターを作り、多数の服装やアクセサリーを組み合わせる構想だった。しかし開発者自身が後に語った最大の問題は、「キャラクターを作った後に何をさせるのか」をゲームとして固められなかったことだった。

企画自体は発売されなかったが、任天堂が長く追っていた「自分自身をゲーム世界へ入れる」という発想は別の試作と合流し、後のMiiへ結実する。

ソースコードをそのまま流用したという話ではない。未発売企画で解けなかった課題と設計思想が、後の製品へつながったケースとして76点B。

6項目の採点を見る76 / 100
項目点数
惜しまれ度13 / 25
ゲーム史への潜在的影響17 / 20
忘れられにくさ13 / 20
期待の具体性14 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性10 / 10
総合76 / 100

B Tier 再構築
79点

Dreamcast版『ガンヴァルキリー』|ライトガン+パッドという旧版独自の操作が消えた

2002年にXboxで発売された『ガンヴァルキリー』は、もともとDreamcast向けとして開発されていた。

旧Dreamcast版で特徴的だったのが、移動をコントローラー、射撃方向をライトガンで担当するという独特の操作構想だ。グラフィックもXbox完成版とは異なり、よりセルシェーディング寄りの表現が検討されていた。

Xboxへ移行すると、その操作方式は廃止され、ゲーム全体の見せ方も変わる。

同じ題名の完成版が存在するからこそ、ハード変更によって何を捨てたのかが見えやすい。Dreamcast末期の機種移行作として79点B。

6項目の採点を見る79 / 100
項目点数
惜しまれ度17 / 25
ゲーム史への潜在的影響15 / 20
忘れられにくさ15 / 20
期待の具体性14 / 15
企画の独自性・魅力10 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合79 / 100

B Tier 未発売・資料限定
69点

『GUN BEAT』|トレジャーがNAOMIで作っていた異色のアクションレース

『GUN BEAT』は、トレジャーがセガのNAOMI向けに制作していた3D作品。レースにシューティングを組み合わせ、車だけでなく奇妙な乗り物まで登場する、いかにもトレジャーらしい企画だった。

1999年には映像が公開され、実際のゲーム画面も確認できる。しかし2000年時点でGameSpotは開発中止状態と報道している。

ここで慎重にしたいのは、中止理由だ。主要スタッフの退社が原因とする説などはあるが、トレジャー代表・前川正人氏自身は当時の取材で理由を説明していない。

そのため「正式な中止日」「直接の原因」は不明とする。69点Bは、ゲーム史を変えた大作というより、「こんな3D作品まで作っていたのか」という発見性を重視した評価だ。

6項目の採点を見る69 / 100
項目点数
惜しまれ度15 / 25
ゲーム史への潜在的影響12 / 20
忘れられにくさ13 / 20
期待の具体性11 / 15
企画の独自性・魅力10 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合69 / 100

B Tier 別企画へ変化
79点

『コロコロカービィ2』/『Roll-O-Rama』|カービィを外しても商品化できなかったGC+GBA連動企画

2001年のNintendo Space Worldで公開された『コロコロカービィ2』は、ゲームキューブとゲームボーイアドバンスを接続し、GBA側の傾きセンサーを使ってテレビ画面のカービィを操作する作品だった。

しかも映像展示だけではない。実際にプレイアブル出展され、2002年5月発売予定まで案内されていた。

しかしそのまま発売されず、翌年にはカービィを外した『Roll-O-Rama』として再登場する。GBAを傾けてゲームキューブ側のボールを動かす中核アイデアは残っていたが、こちらも最終的に未発売となった。

一度IPを外して救済しようとしたのに、それでも商品化できなかった二段階の未発売史が面白い。後のWiiリモコンやWii U GamePadへ直接つながったとまでは言わず、当時として非常に大胆な連動実験だったことを評価する。

6項目の採点を見る79 / 100
項目点数
惜しまれ度17 / 25
ゲーム史への潜在的影響15 / 20
忘れられにくさ15 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合79 / 100

B Tier 発売中止
74点

『海王(KAIO: King of Pirates)』|4億6100万円の開発中止損まで公表された新規IP

稲船敬二氏の独立後初期のコンシューマ作品として、マーベラスAQLが2011年に発表したニンテンドー3DS向け新規IPが『海王』だった。

海賊を題材にしたアクションアドベンチャーで、単体ゲームだけではなく、漫画なども含むメディアミックス展開まで視野に入れた企画だった。

ところが発売は延期を重ね、2015年3月、マーベラスは開発継続断念を正式発表する。会社IRには、市場環境の急激な変化やメディアミックス展開の編成困難といった理由に加え、仕掛品残高約4億6100万円を開発中止損として計上することまで記された。

この金額だけで「ほぼ完成していた」とは言えない。会計上の仕掛品額とゲーム完成率は別物だ。それでも中止理由と損失額まで企業自身が示した例は珍しい。

6項目の採点を見る74 / 100
項目点数
惜しまれ度16 / 25
ゲーム史への潜在的影響14 / 20
忘れられにくさ14 / 20
期待の具体性12 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性9 / 10
総合74 / 100

B Tier 再構築
72点

『ファイアーエムブレム64』|N64/64DD世代の企画をほぼ作り直してGBAへ

NINTENDO64世代にも『ファイアーエムブレム』新作の開発企画は存在した。

後年の公式系資料では、N64/64DD期に進んでいた『暗闇の巫女』が、開発体制変更を機に大幅に作り直されたことが明らかになっている。ロイなど一部要素は残った一方、物語や多数のキャラクターは変更され、最終的にゲームボーイアドバンス『封印の剣』へ進んだ。

つまり、N64版をそのままGBAへ縮小移植したわけではない。N64世代のファイアーエムブレムという開発ルートが消え、次の携帯機世代で作り直された。

一方、「64DDの不振だけが中止理由だった」と単純化する材料は不足している。旧版の具体像も『MOTHER 3』ほど豊富ではないため72点Bに留める。

6項目の採点を見る72 / 100
項目点数
惜しまれ度16 / 25
ゲーム史への潜在的影響17 / 20
忘れられにくさ15 / 20
期待の具体性7 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性9 / 10
総合72 / 100

B Tier 機種版中止
74点

セガサターン版『バーチャファイター3』|看板シリーズが次世代機へ持ち越された

『バーチャファイター』はセガサターン初期を象徴するシリーズだった。だからこそ、MODEL 3基板で登場した『バーチャファイター3』をサターンへ持ってくる計画は大きく注目された。

当時はサターン版の存在が報じられ、性能差を埋めるためのグラフィックス拡張研究もセガ内部で進められていた。

しかし製品としてのサターン版『VF3』は出なかった。最終的に『バーチャファイター3tb』はDreamcastの初期タイトルとして発売される。

ここで、拡張カートリッジ研究と『VF3』商品化計画を完全に同一視しない。確かなのは、サターンで『3』を成立させようとした流れがあり、結果として次世代Dreamcastへ持ち越されたことだ。

6項目の採点を見る74 / 100
項目点数
惜しまれ度18 / 25
ゲーム史への潜在的影響16 / 20
忘れられにくさ16 / 20
期待の具体性9 / 15
企画の独自性・魅力5 / 10
中止そのものの歴史的重要性10 / 10
総合74 / 100

B Tier 未発売・資料限定
74点

ゲームボーイカラー版『ポケモンピクロス』|20年以上後に“最後まで遊べる”試作版が確認された

1999年、日本のゲーム誌にはゲームボーイカラー向け『ポケモンピクロス』が掲載されていた。

そのまま商品化されず、長く「雑誌に載っただけの未発売ポケモン」の一つとして残る。ところが2020年、後年確認されたプロトタイプによってゲーム内容が一気に具体化した。

確認されているビルドは、最初から最後までプレイでき、エンディングクレジットも存在する状態とされる。

ただし、任天堂が「完成版」として公開したものではないため、「完成していたのに発売中止」とは断定しない。また、なぜ発売されなかったのか、正式な中止時期も確認できていない。

未発売から20年以上後にゲームの中身がほぼ見えるようになった発掘型の一本として74点B。

6項目の採点を見る74 / 100
項目点数
惜しまれ度15 / 25
ゲーム史への潜在的影響12 / 20
忘れられにくさ16 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性7 / 10
総合74 / 100

B Tier 後年復活
78点

初期/ニンテンドーDS期『メトロイド ドレッド』|二度断念し、約15年後に同じ核が実現

2021年にNintendo Switchで発売された『メトロイド ドレッド』の中心構想は、その約15年前から存在していた。

坂本賀勇氏は、ニンテンドーDS時代に一度開発を始めたものの、当時のハードでは目指す恐怖表現を実現できず断念。後に再挑戦したが、そこでも思い描く形にならず、再び止めたことを明らかにしている。

その後MercurySteamとの開発経験を経て、ようやくSwitch版が完成した。

DS版をそのままSwitchへ移植したわけではない。残り続けたのは、「サムスを圧倒的な脅威が追う」というDread=恐怖の核だ。長い時間を経て同じ中心アイデアが復活したREVIVED/REBUILT型として78点B。

6項目の採点を見る78 / 100
項目点数
惜しまれ度16 / 25
ゲーム史への潜在的影響18 / 20
忘れられにくさ16 / 20
期待の具体性9 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性10 / 10
総合78 / 100

B Tier 未発売・資料限定
72点

『SegaSonic Bros.』|実働基板は残ったが、なぜ発売されなかったかは分からない

1992年前後にセガがアーケード向けに制作していた『SegaSonic Bros.』は、ソニックを題材にした対戦パズルゲームだった。

長く実体の見えにくい作品だったが、後年、実際に動作するアーケード基板が確認され、ゲーム内容そのものはかなり具体的に分かるようになった。

一方、「ロケーションテストで不評だったため中止」という説明は確定事項として扱わない。後年のセガ関係者発言も、本人が入社前の出来事として聞いている範囲に留まるからだ。

公開本文で確実に言えるのは、実働する未発売基板が現存すること、商品化されなかった直接理由は確認できないこと。Evidence Cの作品だからこそ、不明点を埋めずに残す。

6項目の採点を見る72 / 100
項目点数
惜しまれ度14 / 25
ゲーム史への潜在的影響12 / 20
忘れられにくさ14 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力10 / 10
中止そのものの歴史的重要性7 / 10
総合72 / 100

B Tier 別企画へ変化
73点

『Lily Bergamo』|主人公も世界も捨て、『LET IT DIE』へ変形した

2013年、Grasshopper ManufactureとガンホーがPlayStation 4向け新作として発表した『Lily Bergamo』。

女性主人公と和風・アニメ的なビジュアルを前面に出した新規IPだったが、翌2014年にはその名前が消え、『LET IT DIE』が発表される。

須田剛一氏によれば、『Lily Bergamo』の開発中に考えた「死亡したプレイヤーのデータが他のプレイヤーにとって敵になる」という仕組みを掘り下げた結果、企画全体が『LET IT DIE』へ進化した。

つまり単なる改題ではない。主人公も世界観も物語も変わった。一方で中心システムの発想や一部アセットは残った。新規IPから別の新規IPへ変形した珍しいTRANSFORMED例として73点B。

6項目の採点を見る73 / 100
項目点数
惜しまれ度15 / 25
ゲーム史への潜在的影響15 / 20
忘れられにくさ14 / 20
期待の具体性12 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合73 / 100

B Tier 開発版破棄
79点

初期『バイオハザード4』Hook Man/幻覚開発版|E3で見せた開発ルートを捨てた

『バイオハザード4』は完成までに何度も作り直された。その中で最も有名な一つが、Hook Man、あるいは幻覚版と呼ばれる開発バージョンだ。

暗い屋敷、青く変色する画面、動き出す甲冑や人形、鉤爪の男。従来の生物兵器路線とは違う心理ホラー寄りの映像がE3 2003で一般公開された。

ただし、「完成間近だった別版バイオ4」とは書かない。制作に関わった川村泰久氏は、Hook Man版をホラー表現を試すための実験的な開発段階だったと説明している。

このTierで評価するのは、独立した発売中止タイトルではなく、一般公開まで進んだ『バイオハザード4』の開発ルートを捨て、完成版へ再構築した事実だ。

6項目の採点を見る79 / 100
項目点数
惜しまれ度17 / 25
ゲーム史への潜在的影響15 / 20
忘れられにくさ17 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力8 / 10
中止そのものの歴史的重要性7 / 10
総合79 / 100

B Tier 未発表企画
78点

『Maverick Hunter』|『ロックマンX』を一人称FPSへ作り直そうとした未発表企画

『Maverick Hunter』は、PSPの『イレギュラーハンターX』とは別物だ。

『Metroid Prime』に関わった元Retro Studiosスタッフらが設立したArmature Studioが、2010年ごろカプコン向けに制作していた『ロックマンX』の一人称FPSリブート企画である。

約6か月開発され、Xバスター、ダッシュ、壁ジャンプなどシリーズ要素を3D一人称視点へ落とし込むプレイ可能なプロトタイプまで存在した。最終的にカプコンの社内審査段階で止められている。

当時一般発表されていなかったため、「発売を待っていたファンが失望した」タイプではない。そのぶん惜しまれ度は抑えた。一方、『ロックマンX』をFPSへ根本再発明する独自性は非常に高い。

6項目の採点を見る78 / 100
項目点数
惜しまれ度16 / 25
ゲーム史への潜在的影響17 / 20
忘れられにくさ15 / 20
期待の具体性12 / 15
企画の独自性・魅力10 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合78 / 100

B Tier 未発表企画
75点

『Fortress』|西洋スタジオがイヴァリースで作っていた未発表『FINAL FANTASY』

スウェーデンのGRINが制作していた『Fortress』は、途中から『FINAL FANTASY XII』の世界、イヴァリースを使うスピンオフとして進められていた。

アーシェなど既存要素も登場予定だった一方、ゲームそのものは本格開発のかなり初期段階。元GRIN関係者によれば、ストーリーやコンセプトは進んでいたが、遊べるゲーム部分はまだ十分ではなかった。

2009年、スクウェア・エニックスからの資金提供が止まり、GRINは倒産。その後企画が別スタジオへ移った可能性も報じられたが、最終的に発売されなかった。

一般向けに正式発表されたFFではなく、完成度も高くなかった。それでも西洋スタジオによるイヴァリース大型スピンオフという歴史的に珍しい企画だったため75点B。

6項目の採点を見る75 / 100
項目点数
惜しまれ度14 / 25
ゲーム史への潜在的影響17 / 20
忘れられにくさ14 / 20
期待の具体性12 / 15
企画の独自性・魅力10 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合75 / 100

C Tier|実在は確認できる。それでも核心がまだ見えない

Cは3作品。作品の存在や当時の紹介は確認できる一方、完成度、中止時期、中止理由、その後への影響まで十分に裏付けられない。分からない部分を推測で埋めず、その不確かさも評価へ反映した。

C Tier 未発売・資料限定
56点

『モンスターメーカー ホーリーダガー』|雑誌で何ページも紹介されたのに、なぜ消えたのか分からない

『モンスターメーカー ホーリーダガー』。セガサターン向けにNECインターチャネルが制作していたSRPGである。『モンスターメーカー』は、九月姫氏のキャラクターデザインで知られるカードゲームを原点とし、家庭用ゲーム機でも複数作品が展開されていた。

『ホーリーダガー』も単なる仮題ではない。当時のゲーム誌には、

大量のゲーム画面を含む複数ページの記事

が掲載されていたことを確認できる。後年保存された『Saturn Fan』誌面紹介では、新規ストーリー。

新キャラクター。3Dで構成されたフィールド。その上を動く2Dキャラクター。

シミュレーションRPGとしてのゲーム画面。かなり具体的な姿が残っている。Unseen64にも、当時の日本誌面から多数のスクリーンショットが確認できる未発売作として記録されている。

つまり、本当に作っていたのか分からないゲーム

ではない。明確に一般向けへ紹介されていた。それでもC Tierになった。

理由は、分からないことが多すぎるからだ。

ネット上では、「ほぼ完成していた」
「完成間近だった」

という説明が見つかる。しかし、その数字や証言の一次的な出所を現在確認できていない。だから使わない。

どこまで完成していたのかは確認できない。

中止理由も分からない。セガサターン市場末期だった。ドリームキャストへの移行期だった。

そうした時代背景から理由を想像することはできる。しかし、NECインターチャネル側が、「この理由で中止しました」

と説明した一次資料は現在確認できていない。だから、

中止理由は確認できない。

それでも56点。Dにはしなかった。一般向け誌面でゲーム内容がかなり見える。

企画の魅力もある。そして何より、

これだけ画面が残っているゲームなのに、中止の核心だけが分からない。

それもまた、発売中止ゲーム史の一つの姿だからだ。発売中止作を今後さらに増やしていけば、こういう作品はもっと増えるだろう。

有名作品のように関係者インタビューが何本も残るとは限らない。会社がなくなり、資料が消え、理由が語られないまま数十年たつ。調べても最後まで分からない。

その不確かさを無理に埋めず、そのまま残す。『モンスターメーカー ホーリーダガー』は、その不確かさを示す代表的な一作になった。

6項目の採点を見る56 / 100
項目点数
惜しまれ度11 / 25
ゲーム史への潜在的影響8 / 20
忘れられにくさ10 / 20
期待の具体性12 / 15
企画の独自性・魅力9 / 10
中止そのものの歴史的重要性6 / 10
総合56 / 100

C Tier 機種版中止
58点

PlayStation 2版『エターナルアルカディア レジェンド』|別機種版だけが消えたからC

Dreamcastで発売された『エターナルアルカディア』は、セガのハード事業撤退後、ニンテンドー ゲームキューブ版とPlayStation 2版が計画された。

PS2版は一度「中止ではない」と否定された時期もあったが、その後本当に開発終了となり、ゲームキューブ版へ開発リソースを集中する方針が示された。

この作品を58点Cに置いた理由は明確だ。『エターナルアルカディア』自体はDreamcastで発売され、追加要素を含む『レジェンド』もゲームキューブで商品化されている。

失われたのは主に「PS2で遊べる版」という販売ルートであり、まったく別のゲーム内容が失われたとは確認できない。有名作品の未発売版でも、ここは高くしない。

6項目の採点を見る58 / 100
項目点数
惜しまれ度12 / 25
ゲーム史への潜在的影響10 / 20
忘れられにくさ11 / 20
期待の具体性12 / 15
企画の独自性・魅力5 / 10
中止そのものの歴史的重要性8 / 10
総合58 / 100

C Tier 発売中止
61点

『ファイナルファンタジー アギト プラス』|発売日まで決まってから技術問題で中止

PlayStation Vita向け『ファイナルファンタジー アギト プラス』は、「出るかもしれない」と噂された程度の作品ではない。

2015年1月15日の配信開始日、基本プレイ無料のダウンロード版、3,800円+税のパッケージ版まで正式発表されていた。

ところが2014年10月、技術的な問題を理由に延期。2015年9月には、スマートフォン版『ファイナルファンタジー アギト』のサービス終了に伴い、Vita版も開発中止となった。

中止経緯は非常に明瞭だが、元のスマートフォン版が実際に存在していたため、失われた完全新作という意味では弱い。有名FFだから高Tierにはせず61点C。

6項目の採点を見る61 / 100
項目点数
惜しまれ度12 / 25
ゲーム史への潜在的影響10 / 20
忘れられにくさ11 / 20
期待の具体性15 / 15
企画の独自性・魅力6 / 10
中止そのものの歴史的重要性7 / 10
総合61 / 100


100作品の個別評価がすべて揃った

ここまでで、発売中止・未発売・再構築された100作品の個別評価が揃った。

S:6作品
A:38作品
B:53作品
C:3作品
D:0作品
E:0作品

合計100作品。これは順位表ではなく、同じTier内の掲載順にも優劣の意味はない。

100作品の平均点は79.39点、中央値は79.0点になった。ただし、この数字を「発売中止ゲーム全体の平均」とは扱わない。記事として追う価値と資料がある作品を選んでいるため、母集団そのものが偏っているからだ。

100本へ増やして改めて分かったのは、発売中止という言葉だけでは経緯を説明できないということだった。

100本で見えたのは「消えたゲーム」ではなく、分岐したゲーム史

完全に消えた企画もある一方で、別ハードへ移った作品、別タイトルへ変わった作品、旧版を捨てて一から作り直した作品、数十年後に元の姿で復活した作品まである。

『FINAL FANTASY Versus XIII』は『FINAL FANTASY XV』へ大規模に再編され、初期版『METAL GEAR SOLID: RISING』はPlatinumGames参加後に『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』として作り直された。初期開発版『メトロイドプライム4』は、任天堂自身が品質基準に届かないと説明し、開発体制を変えて最初からやり直すという異例の判断に至った。

一方、『スターフォックス2』『ドラゴンホッパー』『ZERO RACERS』のように、当時は発売されなかった旧作そのものが何十年後に正式な形で戻ってきた例もある。

発売中止は、必ずしも企画の死を意味しない。むしろ、どこで枝分かれし、何が残り、何が捨てられたのかを見ることで、その時代のゲーム開発が見えてくる。

「完成度○%」は、発売中止ゲームで最も危険な数字の一つ

100作品を調べるほど、完成率を一つの数字で断定する危険性も大きくなった。

『Star Wars Battlefront III』ではFree Radical側がほぼ完成していたと証言する一方、LucasArts側の元関係者は大幅に低い完成度だったと反論している。Hook Man版『バイオハザード4』も、一般公開された映像が残るからといって、一本の完成間近ゲームだったとは言えない。

逆に、完成していなくても歴史的に重要な作品はある。『Maverick Hunter』は一般発表前のプロトタイプだが、『ロックマンX』を一人称視点で再構築しようとした企画そのものに価値がある。

完成率が高い=高Tier、低い=低Tierではない。 何を目指し、どこまで外へ見え、中止が何を残したかを分けて考える。

「正式中止」と「保留」「作り直し」も同じではない

『エストポリス伝記III ルーインチェイサーズ』のように、当時資料では「中止ではなく保留」と説明され、その後元のPlayStation版が復帰しなかった作品がある。『StarCraft: Ghost』のように、長期間の保留を経て後に正式中止が確認された作品もある。

だから記事では、後から発売されなかったことだけを見て、過去のある時点までさかのぼって「この日に中止された」とは書かない。

同じ理由で、対応機種だけが消えたものはPLATFORM_CANCELLED、別作品へ変わったものはTRANSFORMED、大幅に作り直されたものはREBUILTとして扱っている。分類は順位を決めるためではなく、経緯を誤解させないための補助線だ。

100本あっても、分からないものは分からないまま残す

100作品の証拠監査では、Evidence Aが55作品、Bが39作品、Cが6作品、Dは0作品となった。

Evidence Cの6作品は、作品の存在そのものが疑わしいわけではない。開発され、通常の形では発売されなかったことは確認できる一方、正式な中止日、中止理由、厳密な完成率などの一部を一次資料で閉じられない作品だ。

該当するのは、

『スペースファンタジーゾーン』
『モンスターメーカー ホーリーダガー』
『Bonk: Brink of Extinction』
『GUN BEAT』
ゲームボーイカラー版『ポケモンピクロス』
『SegaSonic Bros.』

これらは無理に理由を作らない。「不明」「確認できない」と書く。それでも、未発売ゲーム史を補完する資料として掲載価値はある。

「幻のゲーム」ほど、話を盛らない。 これは100本まで増やしても変えない。

Sが6本のままなのは、100本に増えても基準を緩めなかったから

100作品まで広げても、S Tierは6作品のまま変わっていない。

A Tierには83~89点の作品がいくつもある。それでも、Sは「発売中止ゲーム史そのものを象徴する存在」という基準を崩さなかった。

初期開発版『メトロイドプライム4』も83点A。大きな出来事ではあるが、一般にゲーム内容がほとんど公開されていなかった旧版を、節目だからという理由でSへ上げてはいない。

有名IP、節目の番号、話題性でTierを動かさない。そのための横断比較でもある。

「発売中止ゲームのその後」と、このTierは何が違う?

つぶログでは、発売中止後の行方そのものを追った「発売中止になったゲームはその後どうなった?復活・流用・別作品化まで追跡」も公開している。そちらで中心に見ているのは、

発売されなかったあと、何が起きたのか。

別ハードで復活した。
別作品へ変わった。
キャラクターだけ残った。
システムだけ受け継がれた。
その後の明確な継承先を確認できない。

そうした「その後」が中心になる。このTierで見ているものは違う。こちらで評価しているのは、

発売中止そのものの重さ。

『スターフォックス2』なら、20年以上後に正式発売された経緯だけではなく、

なぜ完成済みのゲームを出さなかったのか。
どれほど具体的な作品だったのか。
どれだけ長く語られたのか。
中止そのものがどんな歴史的意味を持ったのか。

そこを見る。同じゲームが両方の記事に出ても、役割は重ならない。「その後」をさらに詳しく追いたい作品では、自然な位置から関連記事へつなげればいい。


100本は完成ではなく、現在地点

100作品に到達したが、ここで固定する企画ではない。

今後も新しい発売中止作は生まれる。過去作品から当時資料が見つかることもある。元開発者が数十年後に初めて経緯を語ることも、眠っていたプロトタイプが正式商品になることもある。

ただし、「150本にしたいから追加する」という増やし方はしない。実在、開発状況、発売されなかった経緯を確認し、一本の記事として読む価値があるものだけを加える。

新しい資料によって従来の説明が崩れた場合は、点数やTierも見直す。評価を変えないことより、事実に合わせて直すことを優先する。

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まとめ|発売されなかったゲームにも、確かに歴史が残っている

100作品を並べても、「発売中止」の意味は一つではなかった。

完成できなかったゲーム。完成しても発売されなかったゲーム。ハードの終了で消えたゲーム。品質に納得できず作り直されたゲーム。別会社に救われたゲーム。別タイトルへ変わったゲーム。会社やスタジオと一緒に消えたゲーム。そして、数十年後に本当に発売されたゲーム。

完成品を遊べない以上、普通のレビューのように面白さは採点できない。だから本記事では、惜しまれ度、ゲーム史への潜在的影響、忘れられにくさ、期待の具体性、企画の独自性・魅力、中止そのものの歴史的重要性という6項目から見てきた。

S:6作品
A:38作品
B:53作品
C:3作品
D:0作品
E:0作品

100本まで来ても、印象に残るのは有名な大作だけではない。知らなかった企画ほど、「そんなものまで本当に作っていたのか」と驚かされることがある。

当時何を作ろうとしていたのか。なぜ止まったのか。どこまで確認できるのか。その後、何が残ったのか。

「幻に終わったゲーム」の歴史は、100本で終わらない。

-つぶログ深掘り, ゲーム
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