- ガングリフォンとは?セガサターンの3Dロボットシューティングをレビュー
- 先に結論|「ロボットを動かす」より「兵器を扱う」ことが面白い
- 『ガングリフォン THE EURASIAN CONFLICT』とは
- HIGH-MACSは「格好いいロボット」である前に陸戦兵器
- なぜ三人称ではなくコックピット視点なのか
- 歩く方向と撃つ方向を分けて考える
- 3次元機動は自由飛行ではなく「必要な時だけ空を使う」
- 4種類の武装は残弾まで含めて使い分ける
- 弾切れしたら、補給ヘリのところまで自分で戻る
- レーダーは便利だが、万能ではない
- D.L.S.とブリーフィングを読まずに敵だけ追うと、任務を見失う
- 味方も実際に戦っている
- 3D地形は戦術シミュレーションほど万能ではない
- 8ミッションは少ない。しかし8回同じことをするわけではない
- 成長するのはHIGH-MACSではなくプレイヤー
- しかし、操作を覚えるまでの壁は確実にある
- 慣れてもコックピット視界の狭さは残る
- 本当に惜しいのは、面白くなってから新しい戦場が少ないこと
- 『ガングリフォンII』を見ると初代の弱点も分かりやすい
- 架空の2015年世界は「未来予言」ではなく戦場へ理由を与える設定
- なぜS TierではなくA Tier・89点なのか
- 2026年現在『ガングリフォン』を遊ぶ方法
- 総評|複雑だった操作が「操縦」に変わったとき、本作の面白さが見えてくる
ガングリフォンとは?セガサターンの3Dロボットシューティングをレビュー

1996年3月15日にセガサターンで発売された『ガングリフォン THE EURASIAN CONFLICT』は、巨大ロボットを軽快に動かして敵をなぎ倒すタイプのゲームではない。
プレイヤーが搭乗するHIGH-MACSは、歩き、走り、旋回し、上半身を別方向へ向け、必要な場面ではジャンプによって高度を取る。敵を見つけたら照準を合わせるだけでなく、相手の種類と距離を見ながら武器を選び、残弾や機体の損傷にも気を配る。前線で消耗したなら、戦場へ現れる補給ヘリの位置まで自分で戻らなければならない。
しかも視点は機体の外ではなく、HIGH-MACSのコックピット内部に固定されている。
周囲を一望できない視界の中でレーダーやHUDを読み、味方からの情報を受け取り、目の前の敵だけではなく作戦目標そのものを追い続ける。操作する対象はロボットであっても、そこで求められる感覚はキャラクターアクションよりも「戦場へ送り込まれた一台の兵器をどう動かすか」に近い。
つぶログのセガサターン全1,057作品Tier表では、本作をA Tier・89点・総合36位タイとしている。
90点台へあと一歩届かなかった一方で、操作の扱いにくさまで含めて「兵器を操縦する」というゲーム性へ変えた完成度はセガサターンの3D作品の中でも際立っている。
先に結論|「ロボットを動かす」より「兵器を扱う」ことが面白い
『ガングリフォン』を初めて操作すると、HIGH-MACSは必ずしも思い通りには動いてくれない。
進みながら敵へ向き直ろうとしても、機体の進行方向と攻撃したい方向が噛み合わないことがある。そこで機体そのものを旋回するのか、上半身だけを横へ向けるのか、左右へ移動して射線を作るのかを考える必要が出てくる。
敵が見えた後も仕事は終わらない。
主力火器の弾は有限で、無制限に撃てる機関銃にも連射による過熱がある。強力な兵器を目の前の相手へ使い切れば、その後に現れる重要目標へ残せなくなるかもしれない。損傷や弾薬が厳しくなれば補給も必要だが、安全なメニュー画面を開いて回復する仕組みではなく、補給ヘリのところまで機体を移動させて停止しなければならない。
こうした仕組みを個別に見れば確かに面倒である。
しかし慣れてくると、その面倒さに意味が生まれる。
敵と接触する前に進路を考え、使う武器を決め、戦闘後に補給へ戻れる余力まで残しておく。目の前の敵を倒すことと、任務全体を成立させることが同じではないからこそ、HIGH-MACSを動かす行為そのものが一つの作戦になる。
『ガングリフォン』の89点は、この「扱いにくさを遊びへ変える」設計に対する評価でもある。
『ガングリフォン THE EURASIAN CONFLICT』とは
『ガングリフォン THE EURASIAN CONFLICT』は、ゲームアーツが開発したセガサターン用3Dロボットシューティングである。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | ガングリフォン THE EURASIAN CONFLICT |
| 発売日 | 1996年3月15日 |
| 対応機種 | セガサターン |
| ジャンル | 3Dロボットシューティング |
| プレイ人数 | 1人 |
| メディア | CD-ROM |
| 価格 | 5,800円(税別) |
| 型番 | T-4502G |
| 開発 | ゲームアーツ |
| Tier評価 | A Tier・89点 |
| 総合順位 | 36位タイ |
ゲームアーツでは『ガングリフォン ~ザ ユーラシアンコンフリクト~』という表記も使われている。
1998年3月12日には2,800円(税別)のサタコレ版も発売されたが、本記事で評価しているのは1996年3月15日に発売された日本国内通常版である。
また、1998年の『ガングリフォンII』、2000年のPlayStation 2用『ガングリフォン ブレイズ』、2004年のXbox用『ガングリフォン アライド ストライク』は別作品として扱う。
HIGH-MACSは「格好いいロボット」である前に陸戦兵器
本作の主役となるHIGH-MACSは、ゲームアーツによれば「攻撃ヘリと歩行マシンを融合させた新型機動兵器」とされている。
この設定が面白いのは、説明書や世界観の中だけで終わっていないところだ。
HIGH-MACSは地上を歩行・高速移動しながら戦い、必要な場面ではジャンプによって高度を得られる。進行方向とは別に上半身を向けることもできるため、前へ進みながら横方向にいる敵を攻撃することも可能だ。
普通の戦車ほど砲塔と車体の関係に縛られているわけではなく、人型アクションのように機体全体が一瞬で好きな方向へ向くわけでもない。
その中間にある。
だからHIGH-MACSを上手に動かすには、「どこへ進むか」と「どこへ撃つか」を分けて考えなければならない。
この構造があるため、本作では移動操作そのものが戦闘判断になる。
なぜ三人称ではなくコックピット視点なのか
プレイヤーが戦場を見る場所はHIGH-MACSの外ではない。
画面にはコックピットのフレームが残り、その内側に照準、レーダー、方位、武器、残弾、ジャンプ状態、機体損傷などの情報が並ぶ。
自機を後ろから眺める三人称視点なら、背後や側面にいる敵まで画面内へ入りやすい。しかし『ガングリフォン』では、自分の正面に何が見えているかがそのまま情報量の限界になる。
当然、視界外から攻撃されることもある。
そこでレーダーや警告表示を確認し、敵がいる方向へ機体または上半身を向け直す。
つまりコックピットは雰囲気を出すだけの飾りではない。
プレイヤーから周辺情報をあえて奪い、その代わりに計器を読む理由を作っている。
HIGH-MACSの中にいる感覚が強いのは、この視界制限までゲームシステムに組み込まれているからだ。
歩く方向と撃つ方向を分けて考える
『ガングリフォン』の操作で最初につまずきやすいのが、進行方向と照準を別々に扱えることである。
前進中に右側の敵を見つけたとしても、必ずしも機体全体を右へ向ける必要はない。上半身だけを回せば進路を維持したまま攻撃でき、横方向への移動を組み合わせれば敵との距離や位置関係も調整できる。
敵の攻撃を避けるために進路を変えるのか、それとも脚部はそのままに上半身だけ向けるのか。
操作に慣れていないうちは、この自由度がそのまま混乱につながる。
一方で、HIGH-MACSの構造を理解すると見え方が変わる。
戦場を進む脚と、敵を追う上半身を別々に扱えるからこそ、前進しながら側面を警戒したり、後退しながら照準を維持したりできる。
ボタンが多いから難しいというよりも、一つの瞬間に複数の方向を考えなければならないことが難しいのである。
3次元機動は自由飛行ではなく「必要な時だけ空を使う」
HIGH-MACSにはジャンプ能力があり、ゲームアーツも本機の特徴として3次元機動を挙げている。
ただし、飛行機のように自由に空を飛び続けられるわけではない。
ジャンプには専用の残量があり、連続使用できるのは3回分。使い切れば回復を待つ必要がある。空中では前後方向への移動も可能で、高所から地上兵器を狙ったり、航空戦力へ照準を合わせたり、障害物を越えたりする用途がある。
ここが重要で、ジャンプは地上戦を無効にする能力ではない。
必要な場面で数秒だけ高度を得られるからこそ価値がある。
危険だから跳ぶのか、航空機を狙うために残しておくのか、地形を越えるために使うのか。回数制限があることで、3次元機動そのものが資源になる。
HIGH-MACSは空を自由に飛ぶスーパーロボットではなく、あくまで陸戦兵器であり、その陸戦兵器が限定的に空間の上下を使える。
この制限のかけ方がうまい。
4種類の武装は残弾まで含めて使い分ける
初代『ガングリフォン』でHIGH-MACSが使用する主要武装は4種類。
GUN、MG、RP、ATMである。
GUNは120mm砲で、装甲目標へ使いやすい主力火器。MGは弾薬そのものは尽きないが、長時間連射するとオーバーヒートし、一時的に使えなくなる。
RPは広い範囲へ大きな損害を与えられる反面、弾数は有限。ATMも強力な対戦車ミサイルだが、多用できるほどの弾数は持っていない。
このため、「一番強い武器だけを撃っていればいい」という構造にはならない。
戦場には戦車、歩行兵器、航空機、ヘリ、対空施設など性質の違う目標が存在し、距離や動きも異なる。強力な兵器を簡単な相手へ浪費すれば、その先で本当に必要になったときに残っていない。
武器の使い分けが必要なのは、相性だけが理由ではない。
ミッションの最後まで弾薬を持たせる必要があるからだ。
弾切れしたら、補給ヘリのところまで自分で戻る
本作を「兵器を運用するゲーム」と感じさせる仕組みの中でも、補給は特に印象が強い。
補給はメニューから選ぶものではない。
戦場には味方の補給ヘリが存在し、到着すると情報が入る。HIGH-MACSの弾薬補充や修理を行うには、そのヘリのところまで自分で移動し、そばで機体を停止させなければならない。
つまり前線で大きな損害を受けたからといって、その場で回復できるわけではない。
まだ戦えるのか。
いったん戻るのか。
補給ヘリまで安全に到達できるのか。
弾を使い切る前に引き返した方がいいのか。
こうした判断が戦闘の途中へ入ってくる。
しかも補給ヘリは画面外のサービス施設ではなく、戦場に存在する味方ユニットである。状況によっては敵の攻撃対象となり、失われる可能性もある。
そのため、補給地点周辺の敵を先に排除しておくという判断まで生まれる。
回復システムがここまでゲーム全体の流れへ組み込まれていることが、『ガングリフォン』の特徴の一つだ。
レーダーは便利だが、万能ではない
コックピット視点では周囲を直接見渡せないため、レーダーの役割が大きい。
レーダー上では味方、目標、差し迫った脅威などが色によって区別され、飛行可能なユニットも判別できる。攻撃を受けた場合には、敵がいる方向を警告から読むこともできる。
ところが、このレーダーにも制約がある。
深い森林へ入ると使用できなくなる。
つまり「画面に見えない敵はレーダーで探せばいい」という単純な関係ではない。
森林へ入れば、プレイヤーは目視や方位、照準などへ依存する割合を増やさなければならない。夜間や視界が悪い場面ではナイトビジョンも用意されているため、状況によって頼る情報源そのものが変化する。
コックピット視点によって視界を狭め、その不足をレーダーで補いながら、さらに地形によってレーダーまで封じる。
このあたりは、本作が単に「ロボットを一人称視点にしたゲーム」ではないことをよく示している。
D.L.S.とブリーフィングを読まずに敵だけ追うと、任務を見失う
各ミッションでは、作戦開始前に戦況や目的が提示される。
マップ上では自機だけでなく、敵戦車や歩行兵器、ヘリ、対空施設、補給ヘリなどが種類ごとに表示され、戦闘中にも状況を確認できる。
大切なのは、本作の目的が必ずしも敵全滅ではないことだ。
特定目標を破壊する。
味方を守る。
時間内に作戦を完了する。
損傷した機能を回復したうえで戦線へ戻る。
ステージによって要求されることが変わるため、目の前の敵だけを追い続けていても任務を達成できない場合がある。
戦闘中には味方や司令部から情報が入り、補給ヘリの到着や戦況の変化も伝えられる。
この情報を聞いて行動を変えるところまで含めて、一つのミッションが作られている。
だから『ガングリフォン』は、ロボットシューティングであると同時に、かなり強い意味でミッション遂行型のゲームでもある。
味方も実際に戦っている
戦場にいるのはプレイヤーだけではない。
味方部隊も敵と交戦し、攻撃を受ける。味方側の損害はミッション後の評価にも影響し、作戦によっては味方航空機や地上部隊を守ることそのものが目的になる。
この存在によって、戦場全体がプレイヤー一機だけを中心に回っている感覚が弱まる。
自分の前方にいる敵を倒すことが、常に最優先とは限らない。
別方向にいる味方が危険ならそちらへ向かう必要があり、逆に味方部隊が敵を引きつけている間に重要目標へ進むこともできる。
HIGH-MACSは強力な兵器ではあるが、戦争そのものを一機で終わらせる存在ではない。
大きな戦場の一部として自分がいる。
コックピット視点と合わせて、この感覚が本作の軍事的な空気を支えている。
3D地形は戦術シミュレーションほど万能ではない
ゲームアーツは本作の技術的な特徴として、兵器一体あたり約450ポリゴン、一画面最大2500ポリゴン、光源計算、空気遠近法などを挙げている。
1996年のセガサターン作品としては、立体的な戦場を成立させること自体が大きな挑戦だった。
ただし、本作の3D空間を現代的な戦術シミュレーションのように評価するのは違う。
地形表現や当たり判定には当時相応の粗さもあり、建物や丘を緻密な遮蔽物として自由自在に使える作品ではない。
それでも地形は単なる背景ではない。
森林へ入ればレーダーが使えなくなり、高低差や障害物に対してジャンプを使う意味が生まれる。夜間や悪天候では見える範囲そのものが変わる。
つまり3D空間は、精密な地形戦を実現するためというより、視界、索敵、高低差、移動方法を変化させるために使われている。
ここを過大評価しない方が、本作の実像には近い。
8ミッションは少ない。しかし8回同じことをするわけではない
メインキャンペーンは全8ミッション。
加えて操作練習用のEXERCISEがあり、難易度もEasy、Normal、Hardの3段階から選択できる。ミッション終了後には撃破数やクリア内容などが評価され、ステージと難易度ごとのランキングも記録される。
そのため、一周したら何も残らないゲームではない。
しかもミッションごとに地形、視界、敵構成、目的が変わる。
夜間の戦場もあれば悪天候下の作戦もあり、味方を守る任務や特定目標を狙う場面もある。HIGH-MACSのジャンプ能力や補給をどう使うかまで変化するため、敵配置だけを変えた8ステージではない。
短いなりに密度はある。
それでも、8という数字が本作最大級の弱点であることも否定しにくい。
成長するのはHIGH-MACSではなくプレイヤー
本作には、RPGのような経験値や恒久的な機体強化を積み上げていく遊びが中心に置かれていない。
HIGH-MACSを強くするより、HIGH-MACSの使い方を覚える。
そこに成長がある。
序盤では、敵へ機体を向けるだけでも戸惑う。
やがて脚部と上半身の向きを分けられるようになり、横移動を混ぜながら射線を維持できるようになる。さらに敵の種類を見て武器を選び、弾薬を残し、補給するタイミングまで考えられるようになる。
ゲーム内の数値が上がったわけではない。
それでも同じHIGH-MACSで以前よりはるかに戦える。
この感覚が強い作品だからこそ、操作習熟には意味がある。
しかし、操作を覚えるまでの壁は確実にある
ここは本作を評価するうえで美化できない部分でもある。
「リアルな兵器だから扱いにくくて当然」という説明で済ませるべきではない。
ゲームである以上、プレイヤーが操作を理解できるかどうかは評価対象になる。
『ガングリフォン』では、進行方向、上半身の向き、照準、武器、残弾、レーダー、ジャンプ、損傷、任務目的など、同時に考えたい情報が多い。
慣れればそれぞれに意味がある。
しかし、その意味が分かる前は単純に忙しい。
敵へ照準を合わせるだけでも機体の向きを見失うことがあり、コックピット視点の狭さも初見では負担になる。
このハードルを乗り越えた先に本作の面白さがある一方、その面白さへ全員が簡単に到達できる設計ではない。
ここは89点評価でも明確な減点要素になる。
慣れてもコックピット視界の狭さは残る
操作を習得すれば、最初に感じた多くの不便さは意味へ変わっていく。
ただし、すべてが消えるわけではない。
コックピットフレームによって周囲が見えにくいこと、側面や背後の敵を画面だけでは把握しにくいこと、レーダーと正面視界を頻繁に往復しなければならないことは、慣れた後も残る。
この視界制限こそが操縦感を作っているため、単純に取り除けばいいとも言えない。
しかし敵を探す時間が長くなったり、どこから攻撃されているのか分からないまま被弾したりすれば、それは緊張感であると同時にストレスにもなる。
『ガングリフォン』には、こうした没入感と遊びやすさが同じ仕組みの表裏になっている部分が少なくない。
本当に惜しいのは、面白くなってから新しい戦場が少ないこと
8ミッションというボリュームが重く感じられるのは、単に数字が小さいからではない。
HIGH-MACSをまともに扱えるようになるまでには時間がかかる。
機体と上半身を別々に動かせるようになり、武器を使い分け、レーダーと視界を同時に扱い、補給まで含めて行動できるようになる。
そこまで来た時点で、『ガングリフォン』はかなり面白い。
だからこそ、その状態でもっと新しい任務へ出たくなる。
難易度変更やスコアアタック、ランキングによる再挑戦は用意されているため、同じミッションを詰める楽しさはある。それでも新しい地形、新しい作戦、新しい状況へ次々挑戦するキャンペーンとして見ると、8ミッションはやはり物足りない。
操作を覚えるまで長く、覚えてからもっと遊びたくなる。
このゲームにとって、ミッション数の少なさが惜しいのはそのためだ。
『ガングリフォンII』を見ると初代の弱点も分かりやすい
1998年4月23日に発売された『ガングリフォンII』では、初代の3Dロボットシューティングを基礎にしながら、遊びの幅が広げられた。
シナリオのほか、エクササイズ、VS.バトル、サバイバルといったモードが用意され、対戦ケーブルを利用した2人プレイにも対応している。
重要なのは、「IIだから初代より優れている」と単純に序列をつけることではない。
初代ですでにHIGH-MACSの操縦という中心部分はかなり完成していた。
だから続編では、その操縦システムを使って遊べる場所を増やす方向へ発展できた。
逆に言えば、『II』の存在によって、初代ではHIGH-MACSを習熟した後の遊び場が十分ではなかったことも分かりやすくなる。
それでも初代の価値が失われないのは、シリーズの魅力を生み出した操縦感そのものが、すでにここで成立しているからだ。
架空の2015年世界は「未来予言」ではなく戦場へ理由を与える設定
本作の舞台は、1996年から見た未来である2015年。
環境変動や世界のブロック化、国際秩序の変化などを背景に、各地で軍事衝突が起きる架空世界が設定されている。
この細かな世界設定を、現実の2020年代の戦争や政治と重ねる必要はない。
ゲーム上で重要なのは、現実的な戦車や航空機と架空の歩行兵器HIGH-MACSが同じ戦場に存在する理由が用意されていることだ。
ブリーフィングで戦況を説明し、プレイヤーがなぜその場所へ投入され、何を守り、何を破壊するのかを理解させる。
世界設定がゲームの外にある資料ではなく、ミッションへ意味を与える土台として働いている。
その使い方を見る方が、『ガングリフォン』という作品を理解しやすい。
なぜS TierではなくA Tier・89点なのか
つぶログのセガサターン全1,057作品Tier表では、『ガングリフォン THE EURASIAN CONFLICT』をA Tier・89点・36位タイとしている。
評価を大きく押し上げたのは、HIGH-MACSを一台の兵器として成立させるために、複数の仕組みが同じ方向を向いていることだ。
| 評価を押し上げた部分 | 評価を抑えた部分 |
|---|---|
| コックピット視点による操縦感 | 周囲を把握しにくい視界 |
| 機体と上半身を分けた操作 | 初見では操作を理解しにくい |
| 歩行兵器らしい重量感 | 軽快なアクションとは大きく異なる |
| 制限付きジャンプによる3次元機動 | 自由自在に飛べるわけではない |
| 4種類の武装と残弾管理 | 戦闘中に確認する情報が多い |
| 戦場内の補給ヘリ | 補給のために前線を離れる必要がある |
| レーダー、HUD、ナイトビジョン | 視界と計器の往復が忙しい |
| 味方部隊と任務目標 | 敵撃破だけ考えていては進めない |
| 地形や視界条件の変化 | 当時の3D表現には粗さも残る |
| 密度のあるミッション | メインキャンペーンは8ミッション |
興味深いのは、長所と短所がほとんど同じ場所から生まれていることだ。
機体の扱いにくさがあるから進路を考える。
弾薬制限があるから武器を選ぶ。
補給へ戻らなければならないから、前線から離脱する判断が生まれる。
視界が狭いからレーダーを見る。
弱点を全部削ってHIGH-MACSを軽快に動かせるようにすれば、遊びやすいロボットシューティングにはなるだろう。
しかし、それでは「一台の兵器を操縦している」という感覚まで薄くなる。
だから操作の重さそのものは、本作を減点する理由ではない。
問題なのは、その操作の意味を理解するまでにそれなりの習熟が必要なこと、そして、ようやく操縦そのものが面白くなった後に用意されている新しい作戦が8ミッションという規模にとどまることだ。
難しいから89点なのではない。難しさの多くを「操縦する意味」へ変えることに成功したから89点まで届き、それでも習熟前の壁と習熟後の物量不足までは解消できなかったからS Tierには届かなかった。
この評価が最も本作に合っている。
2026年現在『ガングリフォン』を遊ぶ方法
2026年8月29日時点で、ゲームアーツはセガサターン版『ガングリフォン』を販売終了製品として扱っている。
Nintendo Switch/Nintendo Switch 2、Steam、現行PlayStation、現行Xbox向けに、1996年の初代そのものを購入できる公式ダウンロード版も確認できない。
そのため、日本国内版『ガングリフォン THE EURASIAN CONFLICT』を現在遊ぶ基本的な方法は、セガサターン本体と中古のセガサターン用CD-ROMを用意することになる。
1996年の通常版のほか、1998年発売のサタコレ版も中古市場には存在する。
中古価格やコレクター価値は変動するが、それは今回の89点評価とは別の話である。
本記事では、あくまで1996年3月15日に発売された日本国内セガサターン通常版を一本のゲームとして評価している。
総評|複雑だった操作が「操縦」に変わったとき、本作の面白さが見えてくる
『ガングリフォン THE EURASIAN CONFLICT』では、プレイヤーが担当する仕事が多い。
HIGH-MACSを進ませながら機体の向きを整え、視界の外にいる敵を探し、上半身を旋回させ、相手に応じた武器を選ぶ。弾薬が減れば残りの作戦を考え、損傷が増えれば補給ヘリまで戻る。味方や任務の状況も同時に見なければならない。
遊び始めた直後は、それらが一つひとつ別の操作に感じられる。
だから難しい。
しかしHIGH-MACSの動かし方が分かってくると、別々だったものが次第につながり始める。
どこへ進むかを決めることが、敵へどの角度から接触するかにつながる。武器を温存することが、その後の重要目標を倒す余力につながる。補給へ戻る判断が、次の戦闘まで生き残れるかどうかにつながる。
その頃には、「ボタン操作が多い」という感覚は薄れ、代わりに一台の兵器を戦場でどう運用するかを考えている感覚が強くなる。
これが『ガングリフォン』の面白さだ。
一方で、その地点へ到達するまでのハードルは決して低くなく、到達した後に新しい戦場をもっと遊びたいと思っても、キャンペーンは8ミッションで終わる。
そこに惜しさが残る。
それでも、コックピット視点、機体と上半身を分けた操作、有限の武装、レーダー、ジャンプ、味方部隊、補給ヘリ、任務目標といった仕組みを一つの方向へまとめ、「ロボットを操作するゲーム」を「兵器を操縦するゲーム」へ変えた完成度は高い。
A Tier・89点。
HIGH-MACSを自在に動かせるようになることがゴールなのではない。
自在に動かせるようになって初めて、戦場の見え方そのものが変わる。
『ガングリフォン THE EURASIAN CONFLICT』は、その変化まで含めて評価したいセガサターンの3Dロボットシューティングである。